JP2000241626A - ヨウ素系偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

ヨウ素系偏光フィルムの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 屋外で使用したり、低消費電力が求められる
液晶表示装置に使用しうる高コントラストを示す偏光フ
ィルムを製造し得る方法を提供する。 【解決手段】 一軸延伸およびヨウ素を吸着配向させた
ポリビニルアルコールフィルムをほう酸含有水溶液中で
浸漬処理してヨウ素系偏光フィルムを製造する方法にで
あって、ほう酸含有水溶液中に亜硫酸塩を連続的または
断続的に添加しながら浸漬処理することを特徴とするヨ
ウ素系偏光フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヨウ素系偏光フィ
ルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、偏光フィルムとしては、ポリビニ
ルアルコール(以下、「PVA」と称することもあ
る。)フィルムに一軸延伸およびヨウ素を吸着配向せし
めたヨウ素系偏光フィルム、PVAフィルムに一軸延伸
および二色性染料を吸着配向せしめた染料系偏光フィル
ムなどが一般に知られている。これらの偏光フィルム
は、通常、偏光フィルムの少なくとも片面、好ましくは
両面に保護膜を貼合した偏光板として用いられる。
【0003】これらの偏光フィルムのうちヨウ素系偏光
フィルムは、通常、一軸延伸およびヨウ素を吸着配向さ
せたPVAフィルムをほう酸含有水溶液中で浸漬処理し
て製造されるが、染料系偏光フィルムと比較して高透過
率及び高偏光度、すなわち高コントラストが得られると
いう特徴を有しており、広く液晶表示装置用の部材とし
て使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、液晶表示装置の
利用分野の拡大と周辺技術の進歩により、偏光板の光学
性能に対する要求も一段と厳しくなってきている。すな
わち、屋外で使用したり、低消費電力が求められる液晶
表示装置では、高透明で高偏光度、すなわち高コントラ
ストを示す偏光フィルムが必要であるが、現在のヨウ素
系偏光フィルムを持ってしても必ずしもこの要求を十分
に満足するものではない。
【0005】本発明者らは、かかる問題を解決するため
に鋭意検討した結果、一軸延伸およびヨウ素を吸着配向
せしめたPVAフィルムをほう酸含有水溶液中で浸漬処
理する際に、ほう酸含有水溶液に亜硫酸塩を連続的に投
入しながら浸漬処理することによって、高コントラスト
を示すヨウ素系偏光フィルムを製造できることを見い出
し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、一軸
延伸およびヨウ素を吸着配向させたポリビニルアルコー
ルフィルムをほう酸含有水溶液中で浸漬処理してヨウ素
系偏光フィルムを製造する方法であって、ほう酸含有水
溶液中に亜硫酸塩を連続的または断続的に添加しながら
浸漬処理することを特徴とするヨウ素系偏光フィルムの
製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】PVAフィルムとしては、重合度
1000〜10000程度、好ましくは1500〜50
00程度のPVAを製膜したものが用いられる。かかる
PVAフィルムのケン化度は通常85〜100モル%程
度であり、好ましくは98〜100モル%程度である。
PVAフィルムはPVAを製膜する方法により製造する
ことができる。PVAの製膜方法は特に限定されるもの
ではなく、公知の方法で製膜することができる。PVA
フィルムの膜厚は特に限定されない。例えば50μm〜
150μm程度である。
【0008】PVAフィルムから一軸延伸およびヨウ素
を吸着配向させたPVAフィルムを調製する方法として
は、通常行われる方法が適用できる。例えば、未延伸の
PVAフィルムを水中にて一軸延伸後、ヨウ素およびヨ
ウ化カリウムの溶液に浸漬する方法、未延伸のPVAフ
ィルムをヨウ素およびヨウ化カリウムの溶液に浸漬後、
一軸延伸する方法、未延伸のPVAフィルムをヨウ素お
よびヨウ化カリウムの溶液に浸漬中に一軸延伸する方
法、または乾式で一軸延伸したPVAフィルムをヨウ素
およびヨウ化カリウムの溶液に浸漬させる方法などを挙
げることができる。
【0009】ヨウ素およびヨウ化カリウムの溶液の組成
は、例えば水溶液の場合には水:ヨウ素:ヨウ化カリウ
ムの重量比が100:(0.01〜0.5):(0.5
〜10)である。その際の水溶液の温度は、例えば20
〜50℃程度である。
【0010】一軸延伸およびヨウ素を吸着配向させたP
VAフィルムをほう酸含有水溶液中に浸漬処理する方法
としては、例えば一軸延伸およびヨウ素が吸着配向した
PVAフィルムをほう酸とヨウ化カリウムが共に含有す
るほう酸含有水溶液中に浸漬する方法が採用される。
【0011】このほう酸含有水溶液の組成は、水:ほう
酸:ヨウ化カリウムの重量比が通常100:(2〜1
5):(2〜20)程度、好ましくは、100:(5〜
12):(5〜15)程度である。ほう酸含有水溶液の
温度は、例えば50℃以上、好ましくは50℃以上85
℃以下の範囲である。ほう酸含有水溶液で処理する時間
は特に限定されない。例えば100〜1200秒、好ま
しくは150〜600秒、より好ましくは200〜50
0秒間である。
【0012】ほう酸含有水溶液中に添加される亜硫酸塩
としては、例えば亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウムな
どの亜硫酸アルカリ金属塩などが挙げられる。ほう酸含
有水溶液中に連続的に亜硫酸塩を投入する手段としては
特に限定されないが、例えば1wt%程度の亜硫酸塩水
溶液とし、これを定量ポンプで連続的にほう酸含有水溶
液中に添加する方法や、断続的に、例えば1分〜30分
おきに添加する方法などが用いられるが、本発明はこれ
に限定されるものではない。
【0013】亜硫酸塩の添加量は、ほう酸含有水溶液1
リットルあたり1時間あたり0.0005g以上である
ことが好ましく、通常は0.05g以下である。
【0014】ほう酸含有水溶液中で浸漬処理されたPV
Aフィルムは、通常の後工程、例えば水洗、乾燥等を行
うことによって偏光フィルムとなる。本発明の方法は連
続的に、安定的に偏光フィルムを製造するのに適してい
る。通常、偏光フィルムは、偏光フィルムの少なくとも
片面に保護膜を貼合して偏光板として用いられる。保護
膜としては、例えば、セルロースアセテート系フィル
ム、アクリル系フィルム、ポリエステル系樹脂フィル
ム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリカーボネート
系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリエーテル
サルホン系フィルム等が挙げられる。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、従来のヨウ素系偏光フ
ィルムに比べて高コントラストを示すヨウ素系偏光フィ
ルムを容易に製造できる。また、本発明の方法は連続的
に、安定的に偏光フィルムを生産性よく製造するのに適
している。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。偏光フィルム
の評価は以下のようにして行った。偏光フィルムの両面
に保護膜を貼合して得た2枚の偏光板をその吸収軸方向
が同一になるように重ねた場合の透過率を平行位透過率
Tp、2枚の偏光板をその吸収軸が直交する様に重ねた
場合の透過率を直交位透過率Tcとした。透過率Tは、
400〜700nmの波長領域で10nmおきに求めた
分光透過率τ(λ)から、計算式(1) 〔式中、P(λ)は標準光(C光源)の分光分布を、y
(λ)は2度視野等色関数をそれぞれ示す。〕により算
出した。ここで分光透過率τ(λ)は分光光度計(島津
UV−2200)を用いて測定した。
【0017】コントラストCrは平行位透過率Tp、直
交位透過率Tcから下記の計算式(2)により求めた。 Cr=Tp/Tc (2)
【0018】実施例1 厚さ75μmのPVAフィルム〔重合度2400、ケン
化度99.9%以上〕に乾式一軸延伸を施し〔延伸倍率
5倍〕、緊張状態に保ったまま、ヨウ素およびヨウ化カ
リウムを含有する水溶液〔ヨウ素:ヨウ化カリウム:水
=0.05:5:100(重量比)〕に、28℃で60
秒間浸漬した。次にほう酸含有水溶液〔ヨウ化カリウム
およびほう酸を含む水溶液、ヨウ化カリウム:ほう酸:
水=6:7.5:100(重量比)〕に、73℃で30
0秒浸漬した。なお、このほう酸含有水溶液には亜硫酸
カリウム水溶液〔亜硫酸カリウム1重量部を水99重量
部に溶解した水溶液〕を連続的に定量ポンプで供給した
(亜硫酸カリウム水溶液の供給量は、1時間あたりほう
酸含有水溶液1リットルあたり0.5gとなるようにし
た。)。ほう酸含有水溶液での浸漬処理の後、さらに1
5℃の純水で10秒水洗した後、50℃で乾燥してヨウ
素系偏光フィルムを得た。
【0019】この偏光フィルムの両面にPVA系接着剤
を塗布し、保護フィルム(表面にケン化処理を施した厚
さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム〔フジタ
ックUV80:富士写真フィルム(株)製)〕を両面に
貼合し、50℃で5分乾燥して偏光板とした。得られた
偏光板のコントラスト(Cr)は、2000であった。
【0020】実施例2 実施例1の操作を行った液を用いて、実施例1と同様の
操作を連続して行い、操作開始から、10時間後に得ら
れた偏光フィルムから実施例1と同様にして偏光板を得
た。なお、10時間の連続浸漬処理中、ヨウ素およびヨ
ウ化カリウムを含有する水溶液〔ヨウ素:ヨウ化カリウ
ム:水=0.05:5:100(重量比)〕と、ほう酸
含有水溶液〔ヨウ化カリウムおよびほう酸を含む水溶
液、ヨウ化カリウム:ほう酸:水=6:7.5:100
(重量比)〕の各成分の濃度を30分おきに測定し、減
少した水、ヨウ化カリウム、ヨウ素、ほう酸をその都度
補給してそれぞれの液組成を一定にしながら連続して浸
漬処理を行った。また、連続浸漬処理の間、実施例1と
同様に、亜硫酸カリウム水溶液〔亜硫酸カリウム1重量
部を水99重量部に溶解した水溶液〕を連続的に定量ポ
ンプで供給した(亜硫酸カリウム水溶液の供給量は、1
時間あたりほう酸含有水溶液1リットルあたり0.5g
となるようにした。)。得られた偏光板のコントラスト
(Cr)は2000であった。
【0021】比較例1 ほう酸含有水溶液中に亜硫酸カリウムを添加しなかった
以外は実施例1と同様に操作して偏光板を得た。得られ
た偏光板のコントラスト(Cr)は700であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蔵田 信行 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA25 BA27 BB33 BB43 BC03 BC09 2H091 FA08X FA08Z FB02 FB12 FC08 LA12 LA17

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一軸延伸およびヨウ素を吸着配向させたポ
    リビニルアルコールフィルムをほう酸含有水溶液中で浸
    漬処理してヨウ素系偏光フィルムを製造する方法であっ
    て、ほう酸含有水溶液中に亜硫酸塩を連続的または断続
    的に添加しながら浸漬処理することを特徴とするヨウ素
    系偏光フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】亜硫酸塩が亜硫酸アルカリ金属塩である請
    求項1に記載のヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】亜硫酸アルカリ金属塩が亜硫酸カリウムま
    たは亜硫酸ナトリウムである請求項2に記載のヨウ素系
    偏光フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】亜硫酸塩の添加量が、ほう酸含有水溶液1
    リットルあたり1時間あたり0.0005g以上である
    請求項1に記載のヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】ほう酸含有水溶液中の水:ほう酸:ヨウ化
    カリウムの重量比が100:(2〜15):(2〜2
    0)である請求項1に記載のヨウ素系偏光フィルムの製
    造方法。
  6. 【請求項6】ほう酸含有水溶液の温度が50℃〜85℃
    で、浸漬処理時間が100〜1200秒である請求項1
    に記載のヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】ポリビニルアルコールフィルムの重合度が
    1500〜5000である請求項1に記載のヨウ素系偏
    光フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】一軸延伸およびヨウ素を吸着配向させたポ
    リビニルアルコールフィルムが、未延伸のポリビニルア
    ルコールフィルムを水中にて一軸延伸後、ヨウ素および
    ヨウ化カリウムの溶液に浸漬して得られたフィルム、未
    延伸のポリビニルアルコールフィルムをヨウ素およびヨ
    ウ化カリウムの溶液に浸漬後、浸漬中に一軸延伸して得
    られたフィルム、ヨウ素およびヨウ化カリウムの溶液に
    浸漬中に一軸延伸して得られたフィルム、または乾式で
    一軸延伸したPVAフィルムをヨウ素およびヨウ化カリ
    ウムの溶液に浸漬して得られたフィルムである請求項1
    に記載のヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
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