JP2000241429A - 生理活性成分の測定法 - Google Patents
生理活性成分の測定法Info
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Abstract
を除去して測定対象物を測定するための前処理法を提供
する。 【解決手段】 生体試料に界面活性剤及びアルカリ剤か
ら選ばれた少なくとも1種の前処理剤を混合し、生体試
料中の結合タンパク質を測定対象物から乖離させ、同時
に不可逆的変性を起こし失活させる。
Description
ク質又はレセプターを用いたアッセイにより、生体試料
中の生理活性成分を測定する方法に関する。
どの生理活性成分の多くは、生体内において結合性のタ
ンパク質と結合し、その作用や代謝速度が調節されてい
る。抗体、結合タンパク質、又はレセプターを用いたア
ッセイにより生理活性成分を測定する場合、しばしばこ
の共存するタンパク質が測定値に影響を及ぼす。
タンパク質が生体試料中に共存する場合、該結合タンパ
ク質の測定への影響を排除するために様々な前処理が行
われてきた。インスリン様成長因子1(IGF−I)を
例に取ると、現在最もよく行われている方法として「酸
エタノール法」が挙げられる(W.H. Daughaday Journal
of Clinical Endocrinology and Metabolism, 1980, V
ol.51 p781-788)。この方法は、生体試料を塩酸−エタ
ノール混液で処理すると、酸性条件でIGF−Iを乖離
した結合タンパク質はエタノール雰囲気下で不溶性とな
るため、遠心操作によって容易に試料中から除くことが
できることを利用したものである。
遠心操作を省略すると、中和した時点でIGF−Iに対
する結合タンパク質の結合活性が回復し、測定値に影響
を及ぼす。この欠点を補うため、酸処理した後の中和用
緩衝液に、再結合阻害剤を添加する方法が報告されてい
る(特開平8−145998)。この方法では、中和後
の生体試料溶液中には、IGF−Iが全て遊離状態で存
在すると考えられるので、結合タンパク質の共存は測定
値に影響を与えない。再結合阻害剤としては、8−アニ
リノ−1−ナフタレンスルホン酸塩(ANS)などが用
いられている。
質から乖離させる目的で古くから使用されているもので
あるが、光や空気酸化に対して不安定であり、かつ毒性
が強い等の操作上の問題の他に、免疫反応に影響を及ぼ
す場合があることが指摘され、生体試料の測定に用いる
には制約が多い。
の影響を除去する方法として、ビタミンB12の分析にお
いて結合タンパク質にチオール基を導入し、ビタミンB
12に対する結合活性を消失させる方法(特許登録194
0596)や、ペルオキシ酸を用いて結合タンパク質を
変性させる方法(特許登録2023927)が知られて
いる。しかしこれらの方法においては、過剰の変性剤を
添加するため、結合タンパク質を変性させた後、余剰の
変性剤を失活させる必要があった。
のIGF−IIを添加する方法が知られている。IGF−
IIは結合タンパク質の結合部位を全てふさぐため、追い
出される格好で遊離するIGF−Iをイムノアッセイで
測定する方法である(W.F. Blum, Acta Endocrinokogic
a, 1988, Vol.118 p374-380)。この方法では測定に用い
る抗体がIGF−IIと交差反応しないことが求められる
が、IGF−IとIGF−IIは構造が酷似しているた
め、前処理で添加する過剰量のIGF−IIに全く影響を
受けない抗体を得ることは困難である。同様な方法がス
テロイドホルモンの測定でも報告されているが(特開平
06−102275)、使用可能な測定系が限定される
上に、コストが高くつくなどの欠点があった。
生体試料中に共存する結合タンパク質の影響を除去する
のに、高価な試薬や毒性の高い試薬を、前処理剤、中和
剤、又は測定用緩衝液に加えることが必要であったり、
あるいは煩雑な操作や特別な機器を必要とした。そのた
め、このような既存方法の有する欠点を解決することが
求められていた。
の活性に影響を及ぼさない範囲で、特定の前処理剤を試
料に添加すると、結合タンパク質のみが失活し、この混
合物をそのまま測定に供することができることを見い出
した。
はアルカリ剤に曝すことによって、結合タンパク質が測
定対象物から乖離し、同時に不可逆的変性を起こす。前
処理を終えた試料は、変性剤の官能基を中和したり、測
定対象物と結合タンパク質の再結合を阻止するような特
別な物質を加える必要はなく、pHが測定に適した条件に
なるように中和もしくは希釈すればよい。あるいはその
まま測定に供することが可能となるのである。
体試料中の成長因子、特にインスリン様成長因子1及び
インスリン様成長因子2、ホルモン、ビタミン又は薬
物、あるいはアミノ酸、アミノ酸代謝物、ペプチド又は
タンパク質の測定に、煩雑な操作や危険性の高い特別な
試薬を必要とせず、測定系の精度を損なわないで前処理
を行う測定系が提供される。
/又はアルカリ剤を使用するものである。前処理剤は通
常、水性媒体として用いられ、2種以上の成分を用いる
場合は、別々の液として用いても、混合液として用いて
もよいが実用上、後者が好ましい。
剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)
界面活性剤、両性界面活性剤が用いられる。好ましく
は、アニオン性界面活性剤が用いられる。アニオン性界
面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン
酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム(以下、SDSと略記)
等、カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシル
トリメチルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチル
アンモニウムクロリド等、ノニオン性界面活性剤として
はアルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルポリ
オキシエチレンフェノール、ポリオキシエチレンソルビ
タンアルキルエステル(Tween)等、両性界面活性
剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等が用
いられる。本発明においては、アニオン性界面活性剤が
好ましく用いられ、特に好ましくはSDSが用いられ
る。前処理剤中の界面活性剤の濃度としては、例えば、
0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜1重量%が
用いられるが、測定対象物や使用する界面活性剤によっ
て至適濃度を決定するのが好ましい。
化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが挙げ
られ、特に、水酸化ナトリウムが好ましい。前処理剤中
のアルカリ剤の濃度は、通常、0.001〜1重量%で
ある。また、前処理剤として、他の種々の配合剤(変性
剤、乖離剤等)を用いても差し支えない。一例として低
級脂肪族アルコールを併用することができる。このアル
コールとしては、通常、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、ブタノールなどが挙げられるが、エタノ
ールが最適である。アルコールの使用量としては前処理
剤全量に対して25〜30重量%が望ましい。
処理することにより、生体試料中の結合タンパク質の影
響が抑制されるが、この前処理においては、通常室温程
度(例えば10〜40℃)で撹拌処理することで十分な
効果が得られる。この混合処理において、生体試料中に
供給される界面活性剤の量としては、通常、生体試料に
対して0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜1重
量%であり、また、アルカリ剤の量は、通常、生体試料
に対して0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜
0.5重量%である。かかるアルカリ剤は、界面活性剤
と併用する場合は少ない使用量で、単独で用いる場合は
多めの使用量とする等、その量を適宜調整して使用され
る。
の結合タンパク質の悪影響がなくなるが、この混合液を
引き続き競合法又はサンドイッチ法などの公知の測定法
により、生理活性成分を測定する。その際、本発明では
前記混合液を固液分離や抽出などの特段の操作をするこ
となく、そのまま測定に供する。
は、抗体、結合タンパク質又はレセプターを用いること
ができる。この際、標識として放射性物質、酵素、蛍光
試薬又は化学発光基質を用いた免疫測定法;あるいはラ
テックス、磁性ラテックスもしくは蛍光標識ラテックス
を用いた凝集反応による測定法等を例示することができ
る。
ようなキットを構成する試薬例としては、少なくとも以
下の成分を挙げることができる。一例として、測定対象
物がインスリン様成長因子(IGF)測定用キットは、
例えば、サンドイッチ法の場合、 (a)界面活性剤を含む前処理液 (b)標識抗IGF抗体 (c)固相化抗IGF抗体 競合法の場合、 (a)界面活性剤を含む前処理液 (b)標識IGF (c)抗IGF抗体 ラテックス凝集法を用いた競合法の場合、 (a)界面活性剤を含む前処理液 (b)IGF固定ラテックス (c)抗IGF抗体 蛍光標識ラテックスを用いたサンドイッチ法の場合、 (a)界面活性剤を含む前処理液 (b)抗IGF抗体固定蛍光(ユーロピウム)標識ラテ
ックス (c)抗IGF抗体固定磁性ラテックス を少なくとも含有するキットが一例として挙げられる。
発明はこれにより限定されるものではない。 実施例1(界面活性剤を用いたインスリン様成長因子1
(IGF−I)の測定) a)前処理液の調製 0.15%SDSを調製した。 対照のための酸エタノール液として、0.1M HC
l、90%エタノールになるよう前処理液を調製した。
ポリスチレンビーズに物理的に吸着させ、測定に供し
た。
ッチを形成しうるモノクローナル抗体に、標識としてク
ロラミンT法でヨウ素125 を導入した。このトレーサー
を下記ウシ血清アルブミンなどを含むリン酸緩衝液で希
釈し、測定に供した。 0.1M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4) 0.15M 塩化ナトリウム 10mMエデト酸二ナトリウム 0.1%ウシ血清アルブミン 0.1%ツィーン20(界面活性剤) 0.02%アジ化ナトリウム
様のウシ血清アルブミンなどを含むリン酸緩衝液で0.
3〜100ng/ml になるように希釈した。
時まで保管した。
上記又はの前処理液500μl を加えた。上記の
前処理液は、試料撹拌後直ちに測定に供した。の酸エ
タノール抽出液は、試料撹拌後、遠心操作を加え、上清
を測定に供した。
験管にはかり取り、これにトレーサー溶液300μl を
添加した。混和後、各試験管に抗体ビーズを1個入れて
室温で2時間撹拌した後、精製水各3mlで2回ずつ洗浄
し、抗体ビーズに結合した放射能をγカウンターで測定
した。標準IGF−Iの7濃度の結合放射能量から検量
線を作製した(表1及び図1)。
結合放射能量(236cpm)を引いた値で表示した。
から、前処理済み試料中のIGF−I濃度を求め、21
倍することで処理前の試料中IGF−I濃度を求めた。
結果を表2に示す。
したインスリン様成長因子1(IGF−1)の測定) 実施例1と同様の試料中のIGF−I濃度を、前処理液
として0.1M HCl+90%エタノール混液と、
0.18%SDS+1mM NaOH+30%エタノー
ルを使用した場合とを実施例1と同様に測定し比較し
た。その結果を表3に示す。
し、1mM NaOH+0.18%SDS+30%エ
タノールでは、操作性をあげることが可能であった。
様成長因子1(IGF−I)の測定) a)前処理液の調製 50mM水酸化ナトリウム水溶液を調製した。 対照のための酸のエタノール液として、1規定塩酸1
容にエタノール9容を加えた前処理液を調製した。以
下、(b)抗体ビーズの調製、(c)トレーサーの調
製、(d)標準IGF−Iの調製、(e)ヒト血清試料
の入手、(f)試料の前処理は実施例1と同様に行っ
た。
験管にはかり取り、これにトレーサー溶液300μl を
添加した。混和後、各試験管に抗体ビーズを1個入れて
室温で2時間撹拌した後、精製水各3mlで2回ずつ洗浄
し、抗体ビーズに結合した放射能をγカウンターで測定
した。標準IGF−Iの7濃度の結合放射能量から検量
線を作製した(表4及び図2)。
から、前処理済み試料中のIGF−I濃度を求め、21
倍することで処理前の試料中IGF−I濃度を求めた。
結果を表5に示す。
たインスリン様成長因子1(IGF−I)の測定) 実施例3と同様に試料中のIGF−I濃度を、前処理液
として50mMNaOH液単用と、5mMNaOH+3
0%エタノール混液を使用した場合と、対照として
0.1M HCl+90%エタノール混液を使用した場合
とを実施例3と同様に測定し比較した。その結果を表6
に示す。
併用の5mMに落とすことによって、前処理後の試料の保
存安定性が向上し、また試験者が濃いアルカリ液に暴露
される危険性を低減させることができた。
なうことなく、試料中に共存する結合タンパク質のみが
失活する濃度の界面活性剤を前処理に用いているので、
高価な試薬や毒性の高い試薬、または煩雑な操作や特別
な機器を用いずに、生体試料中の測定対象物濃度を正確
に測定することが可能である。
Claims (18)
- 【請求項1】 生体試料に界面活性剤及びアルカリ剤か
ら選ばれた少なくとも1種の前処理剤を混合し、生体試
料中の結合タンパク質の影響を抑制した後、測定に供す
ることを特徴とする、生理活性成分の測定法。 - 【請求項2】 界面活性剤がアニオン性界面活性剤であ
る請求項1記載の測定法。 - 【請求項3】 界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム
(SDS)である請求項1記載の測定法。 - 【請求項4】 アルカリ剤が水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム又はアンモニア水溶液である請求項1の方法。 - 【請求項5】 界面活性剤の使用量が0.01〜5重量
%である請求項1記載の測定法。 - 【請求項6】 アルカリ剤の使用量が0.001〜1重
量%である請求項1の方法。 - 【請求項7】 前処理剤として、界面活性剤及びアルカ
リ剤を併用することを特徴とする請求項1に記載の測定
法。 - 【請求項8】 前記前処理剤とともに低級脂肪族アルコ
ールを共存させる請求項1の方法。 - 【請求項9】 生体試料が体液である請求項1記載の測
定法。 - 【請求項10】 測定対象物が、成長因子、ホルモン、
ビタミン又は薬物である請求項1記載の測定法。 - 【請求項11】 測定対象物の成長因子が、インスリン
様成長因子1又はインスリン様成長因子2である請求項
10記載の測定法。 - 【請求項12】 測定対象物が、アミノ酸、アミノ酸代
謝物,ペプチド又はタンパク質である請求項1記載の測
定法。 - 【請求項13】 前記前処理剤を混合した生体試料混合
物をそのまま測定に供することを特徴とする請求項1の
方法。 - 【請求項14】 測定法が、抗体、結合タンパク質又は
レセプターを用いた測定法であり、標識として放射性物
質、酵素、蛍光物質もしくは化学発光基質を用いた測定
法;又はラテックス、磁性ラテックスもしくは蛍光標識
ラテックスを用いた測定法である請求項1記載の測定
法。 - 【請求項15】 少なくとも次の試薬(a)、(b)及
び(c)を含み、生体試料中のインスリン様成長因子を
サンドイッチ法により測定するためのキット。 (a)界面活性剤を含む前処理液 (b)標識抗IGF抗体 (c)固相化抗IGF抗体 - 【請求項16】 少なくとも次の試薬(a)、(b)及
び(c)を含み、生体試料中のインスリン様成長因子を
競合法により測定するためのキット。 (a)界面活性剤を含む前処理液 (b)標識IGF (c)抗IGF抗体 - 【請求項17】 少なくとも次の試薬(a)、(b)及
び(c)を含み、生体試料中のインスリン様成長因子を
ラテックス凝集法を用いた競合法により測定するための
キット。 (a)界面活性剤を含む前処理液 (b)IGF固定ラテックス (c)抗IGF抗体 - 【請求項18】 少なくとも次の試薬(a)、(b)及
び(c)を含み、生体試料中のインスリン様成長因子を
蛍光標識ラテックスを用いたサンドイッチ法により測定
するためのキット。 (a)界面活性剤を含む前処理液 (b)抗IGF抗体固定蛍光標識ラテックス (c)抗IGF抗体固定磁性ラテックス
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