JP2000239514A - 芳香族ポリカーボネート組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート組成物

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JP2000239514A
JP2000239514A JP11359438A JP35943899A JP2000239514A JP 2000239514 A JP2000239514 A JP 2000239514A JP 11359438 A JP11359438 A JP 11359438A JP 35943899 A JP35943899 A JP 35943899A JP 2000239514 A JP2000239514 A JP 2000239514A
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aromatic
polycarbonate
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aromatic polycarbonate
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JP11359438A
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English (en)
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Masayuki Nakajima
正之 中島
Katsushige Hayashi
勝茂 林
Michio Kawai
道生 川井
Junshi Takano
純志 高野
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高温下においても高い透明性と良好な色相を維
持する熱安定性の優れた芳香族ポリカーボネート組成物
の提供。 【解決手段】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を導
入し得る化合物とを反応させて得られるポリカーボネー
ト及び下記式(1)で表されるリン化合物を含有するこ
とを特徴とする芳香族ポリカーボネート組成物。 【化1】 (式中、Rは、水素又は置換されていてもよい炭素数1
〜18の脂肪族若しくは芳香族の1価の基であり、8個
のRは、全て同一であっても異なっていてもよい。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネート組成物に関する。詳しくは、色相、熱安定性に優
れた芳香族ポリカーボネート組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、代表的な芳香族ポリカーボネート
の製造法として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(以下、ビスフェノールAと略す)と、ホ
スゲンや炭酸ジエステル等の炭酸結合を導入し得る化合
物とを反応させる方法が知られている。これらの製造法
の中で、エステル交換法は、ホスゲン法(界面重合法)
に比べて、工程が比較的単純であり、操作、コスト面で
優位性が発揮できるだけでなく、毒性の強いホスゲンや
塩化メチレン等のハロゲン系溶剤を使用しないという点
において、環境保全の面からも最近見直されている。
【0003】しかしながら、エステル交換法は、ホスゲ
ン法に比べ物性や製造法の点でいくつかの欠点を有して
いるために、大規模な工業プロセスとしての採用は未だ
少ない。特に、物性面において、エステル交換法で得ら
れるポリカーボネートでは、加熱による色相の悪化が大
きな問題として挙げられる。
【0004】この問題を解決するために、これまで種々
の検討がなされている。例えば、酸性化合物およびエポ
キシ化合物の添加(特開平4−175368)、ホスフ
ァイト化合物の添加(特開平3−265625)、ヒン
ダードフェノール化合物の添加(特開平4−4152
5)等が挙げられる。しかしながら、上記の添加剤を処
方した組成物としても、未だ十分な熱安定性を有するポ
リカーボネートを得ることは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑み、高温高湿下においても高い透明性と良好な色相
を維持し、光ディスクや医療機器の用途に好適な熱安定
性の優れた芳香族ポリカーボネート組成物を提供するも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、更に有効
な添加剤処方について鋭意検討を行った結果、下記式
(1)に示した構造を持つリン化合物を所定量添加する
ことにより、極めて優れた熱安定性を付与できることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【化2】
【0008】(式中、Rは、水素又は置換されていても
よい炭素数1〜18の脂肪族若しくは芳香族の1価の基
であり、8個のRは、全て同一であっても異なっていて
もよい。)
【0009】すなわち、本発明は、芳香族ジヒドロキシ
化合物と炭酸結合を導入し得る化合物とを反応させて得
られるポリカーボネート及び上記式(1)で表されるリ
ン化合物を含有することを特徴とする芳香族ポリカーボ
ネート組成物に係わるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明組成物の構成成分であるポ
リカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結
合を導入し得る化合物とを反応させて得られたものであ
る。ここで「芳香族ジヒドロキシ化合物」は、下記の一
般式(2)で表される。
【0011】
【化3】
【0012】(式中、Aは、単結合、炭素数1〜8のア
ルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5
〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロ
アルキリデン基、−O−,−S−,−CO−,−SO−
又は−SO2 −で示される2価の基であり、X及びY
は、ハロゲン又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、p
及びqは、0〜2の整数である。なお、XとY又はpと
qは、同一でも相互に異なっていてもよい。)
【0013】芳香族ジヒドロキシ化合物の代表例として
は、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビ
スフェノールA〕、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3
−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブ
ロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン等のビスフェノール類;4,
4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−
テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の
ビフェノール類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
ホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの中
でも、ビスフェノールAが好ましい。これらの芳香族ジ
ヒドロキシ化合物は、通常単独で用いられるが、必要に
応じて、2種以上を混合して用い、共重合体とすること
ができる。
【0014】また、「炭酸結合を導入し得る化合物」の
代表例としては、例えば、ホスゲン;ジフェニルカーボ
ネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−
トリルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチル
カーボネート等の炭酸ジエステル;芳香族ジヒドロキシ
化合物のビスクロロホーメート等が挙げられ、中でもホ
スゲンとジフェニルカーボネートが好ましい。
【0015】炭酸結合を導入し得る化合物として炭酸ジ
エステルを用いる反応(エステル交換法)では、炭酸ジ
エステルと共に、好ましくは50モル%以下、さらに好
ましくは30モル%以下の量で、ジカルボン酸又はジカ
ルボン酸エステルを使用してもよい。このようなジカル
ボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタ
ル酸ジフェニル等が用いられる。このようなカルボン酸
又はカルボン酸エステルを、炭酸ジエステルと併用した
場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
【0016】炭酸結合を導入し得る化合物としてホスゲ
ンを用いる反応(ホスゲン法)では、通常酸結合剤及び
溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば
水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物、ピリジン等が用いられる。溶媒としては例えば
塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素
が用いられる。また、反応促進剤のために例えば第三級
アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いてもよ
く、分子量調節剤として例えばフェノール、p−ter
t−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、イソオ
クチルフェノール等の末端停止剤を用いることが望まし
い。反応温度は通常0〜40゜C、反応時間は数分〜5時
間、反応中のpHは通常10以上に保つのが好ましい。
【0017】エステル交換法により、芳香族ジヒドロキ
シ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させて、ポリ
カーボネートを製造する際には、通常触媒が使用され
る。本発明におけるポリカーボネート製造にあたって
は、触媒種に制限はないが、一般的にはアルカリ金属化
合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、
塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン
系化合物等の塩基性化合物が使用される。これらは、1
種類で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用
してもよい。触媒の使用量は、通常は芳香族ジヒドロキ
シ化合物1モルに対して1×10-9〜1×10-3モル、
好ましくは1×10-7〜1×10-4モルの範囲で用いら
れる。
【0018】アルカリ金属化合物としては、リチウム、
ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの、水酸
化物、炭酸塩、炭酸水素化合物等の無機アルカリ金属化
合物、アルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類
との塩等の有機アルカリ金属化合物等がある。これらの
アルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好まし
く、具体的に最も好ましいセシウム化合物を挙げれば、
炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムであ
る。
【0019】また、アルカリ土類金属化合物としては、
ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウムの、水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土
類化合物、アルコール類、フェノール類、有機カルボン
酸類との塩等の有機アルカリ土類金属化合物等がある。
【0020】塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テ
トラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピ
ルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ
素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホ
ウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホ
ウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジル
ホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホ
ウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニ
ルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシ
ウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩等が例示され
る。
【0021】塩基性リン化合物としては、例えば、トリ
エチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、ト
リイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、4級ホスホニウム塩等が
例示される。
【0022】塩基性アンモニウム化合物としては、例え
ば、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラ
エチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラプロピルア
ンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウム
ヒドロキサイド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロ
キサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサ
イド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキサイ
ド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキサイド、ト
リエチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリエ
チルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチル
ベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチルフェ
ニルアンモニウムヒドロキサイド、テトラフェニルアン
モニウムヒドロキサイド、ベンジルトリフェニルアンモ
ニウムヒドロキサイド、メチルトリフェニルアンモニウ
ムヒドロキサイド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒ
ドロキサイド等が例示される。
【0023】アミン系化合物としては、例えば、4−ア
ミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル
−4−アミノピリジン,4−ジエチルアミノピリジン、
2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−
メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、
2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカ
プトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキ
ノリン等が例示される。
【0024】これらの触媒のうち、実用的にはアルカリ
金属化合物が望ましい。
【0025】エステル交換反応は、一般的には2段階以
上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目の反
応は、常圧又は減圧下、140〜260℃、好ましくは
180〜240℃の温度で、0.1〜5時間、好ましく
は0.5〜3時間反応させる。ついで、反応系の減圧度
を上げながら反応温度を高め、最終的には1mmHg以
下の減圧下、240〜320℃の温度で重縮合反応を行
う。反応の形式は、バッチ式、連続式又はバッチ式と連
続式の組み合わせのいずれの方法でもよく、使用する装
置は、槽型、管型又は塔型のいずれの形式であってもよ
い。
【0026】本発明で用いるポリカーボネートとして
は、粘度平均分子量(Mv)が10,000〜100,
000のものが好ましく、特に、12,000〜40,
000のものが好ましい。
【0027】触媒、特にアルカリ金属化合物触媒を用い
た場合、エステル交換法ポリカーボネート中の触媒の失
活剤として、イオウ含有酸性化合物又はその誘導体を使
用することが好ましく、その量は、触媒金属に対して
0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量が選ばれる。
すなわち、ポリマーに対して、通常1〜100ppm、
好ましくは1〜20ppm添加する。
【0028】イオウ含有酸性化合物又はその誘導体とし
ては、例えば、スルホン酸、スルフィン酸、硫酸又はそ
れらのエステルがある。具体的には、ジメチル硫酸、ジ
エチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、そのメチル、エ
チル、ブチル、オクチル及びフェニルエステル類、ベン
ゼンスルホン酸、そのメチル、エチル、ブチル、オクチ
ル、ドデシル及びフェニルエステル類、ベンゼンスルフ
ィン酸、トルエンスルフィン酸、ナフタレンスルホン酸
等が挙げられる。これら化合物の内、p−トルエンスル
ホン酸のエステル又はベンゼンスルホン酸のエステルが
好ましく、またこれらの化合物を2種以上併用してもよ
い。
【0029】イオウ含有酸性化合物又はその誘導体の、
ポリカーボネートへの添加は、任意の方法により行うこ
とができる。例えば、イオウ含有酸性化合物又はその誘
導体を、直接もしくは希釈剤で希釈して、溶融又は固体
状態にあるポリカーボネートに添加し、分散させること
ができる。具体的には、重縮合反応器中、反応器からの
移送ライン中、押出機中に供給して、混合することがで
きる。もちろん、ミキサー等でペレット、フレーク、粉
末等と混合後、押出機等に供給して混練することもでき
る。また、押出機でベントによる減圧処理を行う場合、
水を添加する場合、又は、熱安定剤、離型剤、染料、顔
料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、有機・無機充
填剤等の各種添加剤を添加する場合は、これらの添加及
び処理は、イオウ含有酸性化合物又はその誘導体の添加
と同時に行ってもよいが、これらの添加及び処理に先立
ち、イオウ含有酸性化合物又はその誘導体を添加し、さ
らに混練しておくことが好ましい。
【0030】本発明においては、下記式(1)で表され
るリン化合物の含有量は、ポリカーボネートの重量に対
して、通常、5〜500ppm、好ましくは、10〜3
00ppmである。含有量が、少なすぎると所望の効果
が得られず、過剰では耐湿性や機械的物性が低下する傾
向がある。
【0031】
【化4】
【0032】(式中、Rは、水素又は置換されていても
よい炭素数1〜18の脂肪族若しくは芳香族の1価の基
であり、8個のRは、全て同一であっても異なっていて
もよい。)
【0033】上記リン化合物の代表例を挙げれば、例え
ば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ
フェナンスレン−10−オキサイド、1−メチル−9,
10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナン
スレン−10−オキサイド、2−メチル−9,10−ジ
ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−
10−オキサイド、8−メチル−9,10−ジヒドロ−
9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オ
キサイド、1,8−ジメチル−9,10−ジヒドロ−9
−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキ
サイド、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタメチ
ル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ
フェナンスレン−10−オキサイド、1−フェニル−
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェ
ナンスレン−10−オキサイド、1,8−ジフェニル−
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェ
ナンスレン−10−オキサイド等が例示されるが、特に
好ましくは、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−
ホスファフェナンスレン−10−オキサイドが挙げられ
る。
【0034】上記リン化合物の添加時期、添加方法に制
限はないが、エステル交換法において、重合中又は重合
終了後の、溶融状態のポリカーボネートに添加した場合
に、最も大きな効果が得られる。その場合の添加形態と
しては、希釈せずに直接添加する方法、適当な溶媒に溶
解希釈して添加する方法、ペレットやフレーク状のマス
ターバッチの形態で添加する方法等が挙げられる。ま
た、一旦ペレットにした後、押出機等により混練添加す
る方法も可能である。界面重合法においては、一旦フレ
ークとした後、押出機等により混練添加する方法が適当
である。また、必要に応じて、触媒失活剤、上記リン化
合物以外の熱安定剤、離型剤、紫外線吸収剤、着色剤、
帯電防止剤等との併用も可能である。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例になんら制限を受けるもの
ではない。
【0036】なお、分析は以下の方法で行った。 (1)分子量 ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中20℃の極
限粘度[η]を測定し、下式より求めた。 [η]=1.23×10-4×(Mv)0.83
【0037】(2)色相(初期YI値) 成形した3mm厚シートについて、スガ試験機SC−1
によりYI値(値が小さい方が色相は良好)を測定し
た。
【0038】(3)熱エージング試験 成形した3mm厚シートを、タバイ(株)製ギヤオーブ
ンGHPS−212中に、大気下、140℃、100時
間の条件下で放置した後、スガ試験機SC−1によりY
I値を測定した。
【0039】(4)耐湿性試験 成形した3mm厚シートを、トミー工業(株)製オート
クレーブBS−325中に、120℃、100時間の条
件下で放置した後、日本電色工業(株)製ヘーズメータ
ー1001DPによりヘーズ(曇度)を測定した。
【0040】実施例 1 窒素ガス雰囲気下、ビスフェノールAとジフェニルカー
ボネートとを、一定のモル比(DPC/BPA=1.0
40)に混合調製した溶融混合物を、88.7kg/時
の流量で、原料導入管を介して、常圧、窒素雰囲気下、
210℃に制御した第1竪型攪拌重合槽に連続供給し、
平均滞留時間が60分になるように、槽底部のポリマー
排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ、液面
レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を
開始すると同時に、触媒として0.02重量%の炭酸セ
シウム水溶液を、320ml/時(ビスフェノールA1
モルに対し、1×10-6モル)の流量で連続供給した。
槽底より排出された重合液は、引き続き直列に配した第
2、3、4の竪型重合槽及び第5の横型重合槽に、逐次
連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60
分になるように、液面レベルを制御し、また同時に副生
するフェノールの留去も行った。
【0041】第2〜5重合槽の重合条件は、それぞれ、
第2重合槽(210℃、100Torr、200rp
m)、第3重合槽(240℃、15Torr、100r
pm)、第4重合槽(270℃、0.5Torr、44
rpm)、第5重合槽(280℃、0.5Torr、1
0rpm)で、反応の進行とともに、高温、高真空、低
攪拌速度になるように条件を設定した。ポリカーボネー
トの製造速度は、50kg/Hrである。こうして得ら
れたポリカーボネートの分子量は、Mv=21,500
であった。
【0042】得られたポリマーを、溶融状態にあるうち
に、連続的に、(株)神戸製鋼所製46mm二軸押出機
に導入し、押出機に付設したサイドコンパクターより、
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェ
ナンスレン−10−オキサイド(三光化学(株)製)
を、ポリカーボネートの重量に対して、30ppmの添
加量になるよう、マスターバッチの形態で添加混練し、
ペレタイザーによりペレットとした。
【0043】得られたペレットを、窒素雰囲気下120
℃で、6時間以上乾燥した後、(株)日本製鋼所製J−
100射出成形機にて280℃で、3mm厚のシートを
製作した。成形したシートのYI値は1.51、ヘーズ
は0.6であった。熱エージング試験後のYI値は2.
88であった。耐湿試験後のヘーズは0.7であった。
【0044】実施例2〜4 9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェ
ナンスレン−10−オキサイドの添加量を、表−1に示
す量に変えた以外は、実施例1と同様の方法でポリカー
ボネート組成物を製造した。組成物の物性評価結果を表
−1に示す。
【0045】比較例1 9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェ
ナンスレン−10−オキサイドを添加しない以外は、実
施例1と同様の方法でポリカーボネート組成物を製造し
た。組成物の物性結果を表−1に示す。
【0046】比較例2 9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェ
ナンスレン−10−オキサイドの代わりに、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(旭
電化(株)製、商品名アデカスタブ2112)を200
ppm添加する以外は、実施例1と同様の方法でポリカ
ーボネート組成物を製造した。組成物の物性結果を表−
1に示す。
【0047】実施例5 ホスゲン法(界面重合法)で製造した2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン系ポリカーボネートの
フレーク(ユーピロンS−3000F(商品名):Mv
=21500)100部に、9,10−ジヒドロ−9−
オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサ
イド0.003部を、スーパーミキサーで十分混合した
サンプルを、(株)神戸製鋼所製46mm二軸押出機
に、重量式フィーダーを用いて50kg/hで導入し、
ペレット化した。組成物の物性評価結果を表−1に示
す。
【0048】比較例3 9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェ
ナンスレン−10−オキサイドを添加しない以外は、実
施例5と同様な方法でポリカーボネートをペレット化し
た。組成物の物性評価結果を表−1に示す。
【0049】実施例6 実施例1において、第5重合槽から得られたポリマー
を、溶融状態にあるうちに、連続的に、(株)神戸製鋼
所製46mm二軸押出機に導入し、押出機に付設した2
基のサイドフィードコンパクターを用い、まず1基目の
サイドフィードコンパクターより触媒失活剤としてp−
トルエンスルホン酸−n−ブチルをポリカーボネートの
重量に対して5.4ppm(ポリマー中の触媒金属に対
して3当量)の添加量になるよう、マスターバッチの形
態で添加混練し、次に2基目のサイドフィードコンパク
ターより、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホ
スファフェナンスレン−10−オキサイドを、ポリカー
ボネートの重量に対して、100ppmの添加量になる
よう、マスターバッチの形態で添加混練し、ペレタイザ
ーによりペレットとした。得られたポリカーボネート組
成物の物性評価結果を、表−1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【本発明の効果】本発明によれば、芳香族ジヒドロキシ
化合物と炭酸結合を導入し得る化合物を反応させて得ら
れるポリカーボネートに、下記式(1)で表されるリン
化合物をポリカーボネートの重量に対して、5〜500
ppm添加することにより、耐熱性の極めて優れた芳香
族ポリカーボネート組成物が得られる。
【0052】
【化5】 (式中、Rは、水素又は置換されていてもよい炭素数1
〜18の脂肪族若しくは芳香族の1価の基であり、8個
のRは、全て同一であっても異なっていてもよい。)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 勝茂 三重県四日市市日永東二丁目4番16号 三 菱瓦斯化学株式会社四日市工場内 (72)発明者 川井 道生 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 (72)発明者 高野 純志 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を導
    入し得る化合物とを反応させて得られるポリカーボネー
    ト及び下記式(1)で表されるリン化合物を含有するこ
    とを特徴とする芳香族ポリカーボネート組成物。 【化1】 (式中、Rは、水素又は置換されていてもよい炭素数1
    〜18の脂肪族若しくは芳香族の1価の基であり、8個
    のRは、全て同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 【請求項2】リン化合物の含有量が、ポリカーボネート
    の重量に対して、5〜500ppmであることを特徴と
    する請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート組成物。
  3. 【請求項3】リン化合物が、9,10−ジヒドロ−9−
    オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサ
    イドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の芳
    香族ポリカーボネート組成物。
  4. 【請求項4】ポリカーボネートが、芳香族ジヒドロキシ
    化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させて得られる
    ポリカーボネートである請求項1〜3に記載の芳香族ポ
    リカーボネート組成物。
  5. 【請求項5】溶融重縮合に際し、触媒の使用量が、芳香
    族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1×10-7〜1
    ×10-4モルの範囲である請求項4記載の芳香族ポリカ
    ーボネート組成物。
  6. 【請求項6】溶融重縮合に使用されたアルカリ金属化合
    物触媒の触媒失活剤として、イオウ含有酸性化合物又は
    その誘導体を使用する請求項4又は5記載の芳香族ポリ
    カーボネート組成物。
  7. 【請求項7】触媒失活剤の使用量が、触媒金属に対して
    1〜5当量である請求項6記載の芳香族ポリカーボネー
    ト組成物。
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