JP2000239381A - ポリコハク酸イミドの製造方法 - Google Patents

ポリコハク酸イミドの製造方法

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JP2000239381A
JP2000239381A JP37157799A JP37157799A JP2000239381A JP 2000239381 A JP2000239381 A JP 2000239381A JP 37157799 A JP37157799 A JP 37157799A JP 37157799 A JP37157799 A JP 37157799A JP 2000239381 A JP2000239381 A JP 2000239381A
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polysuccinimide
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acidic catalyst
solvent
high molecular
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JP37157799A
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Katsuhiko Machida
勝彦 町田
Susumu Fukawa
進 府川
Shinji Ogawa
伸二 小川
Toshio Kato
敏雄 加藤
Makoto Sukegawa
誠 助川
Yoshihiro Irisato
義広 入里
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 より簡便な装置により、液相重合により高い
重量平均分子量を有するポリコハク酸イミドを提供す
る。 【解決手段】 アスパラギン酸と、アスパラギン酸の少
なくとも一部を溶解する機能を有する酸性触媒を含んで
なる、アスパラギン酸の少なくとも一部が前記酸性触媒
に溶解した混合物を、液相重合することを特徴とする高
分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリコハク酸イミ
ドの製造方法に関する。より具体的には、本発明は酸性
触媒を用いてアスパラギン酸の重合を行うポリコハク酸
イミドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリコハク酸イミドは、ポリアスパラギ
ン酸等のポリアミノ酸誘導体の製造において、好適な前
駆体又は中間体である。
【0003】ポリコハク酸イミド、ポリアスパラギン酸
等のポリアミノ酸誘導体は、生分解性を有することが知
られており、環境に適合するポリマーとして極めて有用
である。また、ポリコハク酸イミドの誘導体である架橋
ポリアスパラギン酸塩は、生分解性とともに、吸水性を
有する極めて有用なポリマーである。
【0004】アスパラギン酸を、酸性触媒の存在下で反
応させることにより、ポリコハク酸イミドを製造する技
術としては、例えば、以下〜に挙げるようなものが
ある。
【0005】 米国特許5,142,062号 第1段階として、アスパラギン酸とリン酸類の混合物
を、温度100〜250℃、圧力1bar未満の真空系
で反応させ、重量平均分子量1万〜10万のポリコハク
酸イミドを含有する固体反応混合物を製造し、第2段階
として、第1段階で得た固体反応混合物を0.001〜
2mmの粒子サイズに粉砕し、さらに第1段階の温度・
圧力範囲から選択した条件下で重縮合を行うことによっ
て、重量平均分子量10万〜20万を有するポリコハク
酸イミドを製造する技術が開示されている。
【0006】実施例1では、アスパラギン酸50g
(0.38mol)と85%リン酸25g(リン酸
0.22mol)を混合し((リン酸/アスパラギン
酸)モル比=0.58)、真空系において200℃下、
4時間、重合を行い、ポリコハク酸イミドとリン酸から
なる粗生成物を製造している。この粗生成物の一部につ
いて、リン酸を洗浄後、分子量を評価し、重量平均分子
量(Mw)8.6万であることが開示されている。実施
例2では、実施例1の粗生成物について、さらに、粒子
サイズが0.001〜2.0mmとなるように粉砕後、
再度、真空系(1mbar)において200℃、4時
間、重合操作を行い、Mw12.4万を有するポリコハ
ク酸イミドを得ている。
【0007】実施例1及び実施例3より、反応物は、反
応の進行に伴い、流動体から固体へと性状が変化してい
くことが開示されている。この技術では、粉砕操作を行
うことで、高い重量平均分子量を有するポリコハク酸イ
ミドを製造できるという特徴があるが、通常、反応物の
固化を伴う反応に対応して、工業的に製造を実施しよう
とする場合には、特殊な反応装置が要求され、装置設計
が困難である。特に、反応物の性状が、反応の進行に伴
い、流動体から固体へと連続的に変化していくことに対
応して、連続式の反応装置を設計するのは困難である。
【0008】 米国特許第5,457,176号(特
開平7−216084号) アミノ酸と酸性触媒の混合物を加熱し、アミノ酸ポリマ
ーを製造する方法が開示されている。
【0009】カラム2(15〜16行)には、最大重量
平均分子量6万以下を有するアミノ酸ポリマーを製造す
ることが、この技術の目的の1つであることが明らかに
されている。
【0010】実施例3には、アスパラギン酸800g
(6.01モル)、85%オルトリン酸200g(リン
酸 1.73モル)を混合して得た湿潤粘着性白色粉末
の反応混合物を、ステンレス鋼パン上にて層状として加
熱した例が開示されている。実施例3において、湿潤粘
着性粉末の反応混合物は、240℃、1時間の加熱によ
って、外側が硬く、中心部が粘着性である、固体の塊へ
変化したことが開示されている。固体の塊については、
乳鉢と乳棒を用いて粉砕後、さらに240℃、6時間、
加熱を行い、Mw1.55万を有するポリコハク酸イミ
ドが得られている。
【0011】粘着性を有する状態から固体の塊状物へと
変化していく過程に対応して、工業的に製造を実施する
には、特殊な反応装置が必要になり、装置設計が極めて
困難である。特に、リン酸存在下、かつ、高温下におい
て特殊な機構を有する反応装置を設計するのは困難であ
る。
【0012】実施例に開示されたポリコハク酸イミドの
重量平均分子量の最大値は、2.4万であり、分子量6
万以下のアミノ酸ポリマーを製造するという目的と一致
している。
【0013】 米国特許第5,688,903(特開
平8−231710号) 重合触媒としてのリン酸、五酸化リン又はポリリン酸の
存在下で、アミノ酸を塊状熱重縮合し、次いで随意に加
水分解することによる、アミノ酸の重縮合物又はそのポ
リペプチド加水分解物の製造方法が開示されている。こ
の技術は、アミノ酸1分子当たりに、0.005〜0.
25モルの触媒が均一に分散された微粉状の原料を製造
し、重縮合操作を実施することを特徴とする。
【0014】実施例には、真空系、及び、常圧系での反
応例が開示されており、アスパラギン酸とリン酸を均一
に混合した原料を、微粉砕機によって粉砕して微粉状原
料とし、反応が実施されている。
【0015】リン酸、五酸化リン又はポリリン酸の使用
量を前記範囲とし、微粉状原料を用いて反応を行うこと
により、重合過程での泡沫相形成、重合後の凝集塊生成
等の問題を解決している。しかし、PSIをDMF溶液
として評価した粘度指数値をMwに換算すると、例4は
Mw約1.9万、例8はMw約2.8万であり、得られ
たポリコハク酸イミドはMw3万未満の低分子量に限ら
れており、高分子量のポリコハク酸イミドを製造する方
法としては十分でない。
【0016】一方、リン酸量を、前記範囲を超える使用
量とした実施例の例10(比較例)では、Mw約7.6
万のポリコハク酸イミドが生成している。即ち、例10
(比較例)の方が、粘性相の形成、反応物の凝固は生じ
るものの、前記の例4、例9よりも高いMwを有するポ
リコハク酸イミドが得られることが明らかにされてい
る。
【0017】前記の従来の技術及びのように、反応
物の固化を生じ、粉砕操作を要する重合操作は、連続か
つ大量の製造を実施しようとする場合には装置設計が困
難である。特に、リン酸存在下、かつ、高温下において
特殊な機構を有する反応装置を設計するのは困難であ
る。
【0018】一方、前記の従来技術では、リン酸量を
所定の範囲に設定した微粉状反応原料を使用することに
より、粘性相の形成、反応物の凝固塊生成は防止できる
ものの、生成するポリコハク酸イミドの重量平均分子量
は低い。
【0019】即ち、従来の技術では、高い重量平均分子
量を有するポリコハク酸イミドの製造と、粘性相生成、
泡沫形成および反応物の凝固塊生成の防止は、両立する
ことができなかった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題の一つは、高い重量平均分子量を有するポリコ
ハク酸イミドを提供することである。
【0021】本発明が解決しようとする課題の一つは、
より簡便な装置によりポリコハク酸イミドを製造する技
術を提供することである。
【0022】本発明の解決しようとする課題の一つは、
従来の技術による製造の過程で生じていた、極めて高度
の粘性相の生成、過度の泡沫形成、及び、反応物の凝固
塊生成等を解決し、連続かつ大量の製造に好適な、高い
重量平均分子量を有するポリコハク酸イミドの製造技術
を提供することである。
【0023】本発明が解決しようとする課題の一つは、
液相重合により、高い重量平均分子量を有するポリコハ
ク酸イミドを提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点に鑑み、高分子量のポリコハク酸イミドの
製造方法について鋭意検討した結果、アスパラギン酸
と、アスパラギン酸の少なくとも一部を溶解する機能を
有する酸性触媒を含んでなる、アスパラギン酸の少なく
とも一部が前記酸性触媒に溶解した混合物を、液相重合
することを特徴とする高分子量ポリコハク酸イミドの製
造方法により、重量平均分子量3万以上を有する高分子
量のポリコハク酸イミドが製造できることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0025】本発明の製造方法は、連続式、及び/又
は、回分式の操作にて実施することができる。
【0026】本発明は、以下の[1]〜[21]に記載
した事項により特定される。
【0027】[1] アスパラギン酸と、アスパラギン
酸の少なくとも一部を溶解する機能を有する酸性触媒を
含んでなるアスパラギン酸の少なくとも一部が前記酸性
触媒に溶解した混合物を、液相重合することを特徴とす
る高分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。
【0028】[2] アスパラギン酸の少なくとも一部
を溶解する機能を有する酸性触媒の使用量が、アスパラ
ギン酸1モル当たり、0.5〜100モルの範囲である
ことを特徴とする[1]に記載した高分子量ポリコハク
酸イミドの製造方法。
【0029】[3] 高分子量ポリコハク酸イミドが、
数式(1)(数1)で示される重量平均分子量Mw1を
有するものであることを特徴とする[1]又は[2]に
記載した高分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。 3.0×104 ≦ Mw1 ≦ 5.0×105 (1)。
【0030】[4] 前記液相重合が、アスパラギン酸
と、アスパラギン酸の少なくとも一部を溶解する機能を
有する酸性触媒を含んでなるアスパラギン酸の少なくと
も一部が前記酸性触媒に溶解した混合物を、30〜35
0℃に加熱することを特徴とする[1]乃至[3]の何
れかに記載した高分子量ポリコハク酸イミドの製造方
法。
【0031】[5] 工程1(液体状反応混合物製造工
程)として、[1]乃至[4]の何れかに記載した製造
方法により、高分子量ポリコハク酸イミドを含有する液
体状反応混合物を製造する工程、工程2(単離工程)と
して、工程1(液体状反応混合物製造工程)で得られた
高分子量ポリコハク酸イミドを含有する液体状反応混合
物から、酸性触媒を分離し、固体状の高分子量ポリコハ
ク酸イミドを単離する工程、とを含んで構成されること
を特徴とする、高分子量ポリコハク酸イミドの製造方
法。
【0032】[6] 工程1(液体状反応混合物製造工
程)として、[1]乃至[4]の何れかに記載した製造
方法により、数式(1)で示される重量平均分子量Mw
1を有する高分子量ポリコハク酸イミドを含有する液体
状反応混合物を製造する工程、 工程2(単離工程)と
して、工程1(液体状反応混合物製造工程)で得られた
高分子量ポリコハク酸イミドを含有する液体状反応混合
物から、酸性触媒を分離し、数式(2)で示される重量
平均分子量Mw2を有する固体状の高分子量ポリコハク
酸イミドを単離する工程、とを含んで構成され、かつ、
重量平均分子量Mw1と重量平均分子量Mw2との関係
が、数式(3)で示されるものであることを特徴とする
高分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。 3.0×104 ≦ Mw1 ≦ 5.0×105 (1) 3.0×104 ≦ Mw2 ≦ 5.0×105 (2) Mw1 ≧ Mw2 (3)。
【0033】[7] 工程2(単離工程)が、工程2−
1(スラリー製造工程)として、工程1(液体状反応混
合物製造工程)で製造された高分子量ポリコハク酸イミ
ドを含有する液体状反応混合物に、ポリコハク酸イミド
を溶解せず、かつ、酸性触媒を少なくとも一部溶解する
機能を有する抽出溶媒を加えて、液体状反応混合物に含
有される酸性触媒の少なくとも一部を抽出溶媒相に移行
せしめ、酸性触媒含有量が低減された固体状の高分子量
ポリコハク酸イミドと、抽出された酸性触媒と抽出溶媒
を含んでなる抽出溶液からなるスラリーを製造する工
程、工程2−2(固液分離工程)として、工程2−1
(スラリー製造工程)で製造されたスラリーを、酸性触
媒含有量が低減された固体状の高分子量ポリコハク酸イ
ミドと、抽出された酸性触媒と抽出溶媒を含んでなる抽
出溶液とに分離する工程を含んで構成されるものであ
る、[5]又は[6]に記載した高分子量ポリコハク酸
イミドの製造方法。
【0034】[8] 工程2(単離工程)が、工程2−
1(スラリー製造工程)として、工程1(液体状反応混
合物製造工程)で製造された高分子量ポリコハク酸イミ
ドを含有する液体状反応混合物に、ポリコハク酸イミド
を溶解せず、かつ、酸性触媒を少なくとも一部溶解する
機能を有する抽出溶媒を加えて、液体状反応混合物に含
有される酸性触媒の少なくとも一部を抽出溶媒相に移行
せしめ、酸性触媒含有量が低減された固体状の高分子量
ポリコハク酸イミドと、抽出された酸性触媒と抽出溶媒
を含んでなる抽出溶液からなるスラリーを製造する工
程、工程2−2(固液分離工程)として、工程2−1
(スラリー製造工程)で製造されたスラリーを、酸性触
媒含有量が低減された固体状の高分子量ポリコハク酸イ
ミドと、抽出された酸性触媒と抽出溶媒を含んでなる抽
出溶液とに分離する工程、 工程2−3(乾燥工程)と
して、工程2−2(固液分離工程)で製造された固体状
の高分子量ポリコハク酸イミドに含有される溶媒を乾燥
することにより、溶媒を含有しない固体状の高分子量ポ
リコハク酸イミドを製造する工程を含んで構成されるも
のである[5]又は[6]に記載した高分子量ポリコハ
ク酸イミドの製造方法。
【0035】[9] 工程2(単離工程)が、工程2−
1(混合溶液製造工程)として、工程1(液体状反応混
合物製造工程)で製造された高分子量ポリコハク酸イミ
ドを含有する液体状反応混合物に、高分子量ポリコハク
酸イミド、及び、酸性触媒を、少なくとも一部溶解する
機能を有する希釈溶媒を加えて、液体状反応混合物が希
釈された混合溶液を製造する工程、工程2−2(スラリ
ー製造工程)として、工程2−1(混合溶液製造工程)
で製造された混合溶液に、高分子量ポリコハク酸イミド
を溶解せず、かつ、酸性触媒及び希釈溶媒を少なくとも
一部溶解する機能を有する抽出溶媒を加えて、混合溶液
に含有される酸性触媒及び希釈溶媒の少なくとも一部を
抽出溶媒相に移行せしめ、酸性触媒及び希釈溶媒の含有
量が低減された固体状の高分子量ポリコハク酸イミド
と、抽出された酸性触媒及び希釈溶媒と抽出溶媒を含ん
でなる抽出溶液からなるスラリーを製造する工程、工程
2−3(固液分離工程)として、工程2−2(スラリー
製造工程)で製造されたスラリーを、酸性触媒及び希釈
溶媒の含有量が低減された固体状の高分子量ポリコハク
酸イミドと、抽出された酸性触媒及び希釈溶媒と抽出溶
媒を含んでなる抽出溶液とに分離する工程、を含んで構
成されるものである[5]又は[6]に記載したポリコ
ハク酸イミドの製造方法。
【0036】[10] 工程2(単離工程)が、工程2
−1(混合溶液製造工程)として、工程1(液体状反応
混合物製造工程)で製造された高分子量ポリコハク酸イ
ミドを含有する液体状反応混合物に、高分子量ポリコハ
ク酸イミド、及び、酸性触媒を、少なくとも一部溶解す
る機能を有する希釈溶媒を加えて、液体状反応混合物が
希釈された混合溶液を製造する工程、工程2−2(スラ
リー製造工程)として、工程2−1(混合溶液製造工
程)で製造された混合溶液に、高分子量ポリコハク酸イ
ミドを溶解せず、かつ、酸性触媒及び希釈溶媒を少なく
とも一部溶解する機能を有する抽出溶媒を加えて、混合
溶液に含有される酸性触媒及び希釈溶媒の少なくとも一
部を抽出溶媒相に移行せしめ、酸性触媒及び希釈溶媒の
含有量が低減された固体状の高分子量ポリコハク酸イミ
ドと、抽出された酸性触媒及び希釈溶媒と抽出溶媒を含
んでなる抽出溶液からなるスラリーを製造する工程、工
程2−3(固液分離工程)として、工程2−2(スラリ
ー製造工程)で製造されたスラリーを、酸性触媒及び希
釈溶媒の含有量が低減された固体状の高分子量ポリコハ
ク酸イミドと、抽出された酸性触媒及び希釈溶媒と抽出
溶媒を含んでなる抽出溶液とに分離する工程、工程2−
4(乾燥工程)として、工程2−3(固液分離工程)で
製造された固体状の高分子量ポリコハク酸イミドに含有
される溶媒を乾燥することにより溶媒を含有しない固体
状の高分子量ポリコハク酸イミドを製造する工程を含ん
で構成されるものである[5]又は[6]に記載した高
分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。
【0037】[11] 液相重合が、0.1MPa以
上、50MPa以下の圧力下、不活性ガス中において実
施されることを特徴とする[1]乃至[10]の何れか
に記載した高分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。
【0038】[12] 液相重合が、0.00001M
Pa以上、0.1MPa未満、の圧力下において実施さ
れることを特徴とする[1]乃至[10]の何れかに記
載した高分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。
【0039】[13] 抽出溶媒が、有機溶剤、水、及
び、酸性触媒からなる群から選択された少なくとも一種
以上を含んでなるものである[7]乃至[12]の何れ
かに記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
【0040】[14] 希釈溶媒が、非プロトン性極性
溶媒、酸性触媒、水、及び、有機溶剤からなる群より選
択された少なくとも一種以上を含んでなるものである
[9]乃至[13]の何れかに記載した高分子量ポリコ
ハク酸イミドの製造方法。
【0041】[15] 有機溶剤が、 炭素原子数1〜20のアルコール、 炭素原子数3〜20のケトン、 炭素原子数3〜20のエーテル、及び、 炭素原子数3〜20の酢酸エステル からなる群から選択された少なくとも一種以上の有機溶
剤を含んでなるものである[13]又は[14]に記載
したポリコハク酸イミドの製造方法。
【0042】[16] 有機溶剤が、メタノール、イソ
プロピルアルコール、及び、アセトンからなる群から選
択された少なくとも一種以上の有機溶剤を含んでなるも
のである[15]に記載したポリコハク酸イミドの製造
方法。
【0043】[17] 酸性触媒が、リン酸素酸を含む
ものであることを特徴とする[1]乃至[16]の何れ
かに記載した高分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。
【0044】[18] リン酸素酸が、オルトリン酸、
ピロリン酸、ポリリン酸、及び、五酸化リンからなる群
から選択された少なくとも一種であることを特徴とする
[17]に記載した高分子量ポリコハク酸イミドの製造
方法。
【0045】[19] [1]乃至[18]の何れかに
記載した製造方法により得られた高分子量ポリコハク酸
イミド。
【0046】[20] [19]で得た高分子量ポリコ
ハク酸イミドを加水分解して得られた高分子量ポリアス
パラギン酸(塩)。
【0047】[21] [19]で得た高分子量ポリコ
ハク酸イミドに対し、架橋反応、及び、加水分解反応を
含む操作を実施して得られた吸水性ポリマー。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な態様につい
て説明する。
【0049】[1]アスパラギン酸 本発明で使用するアスパラギン酸は、L体、D体、DL
体の何れであってもよい。
【0050】[2]酸性触媒 本発明で使用する酸性触媒は、特に限定されるものでは
ない。本発明では、好ましくは、アスパラギン酸の少な
くとも一部を溶解する機能を有する酸性触媒が用いられ
る。また、本発明では、好ましくは、ポリコハク酸イミ
ド、及び/又は、ポリアスパラギン酸(塩)の少なくと
も一部を溶解する機能を有する酸性触媒が用いられる。
【0051】このような酸性触媒としては、例えば、リ
ン酸素酸が好ましい。リン酸素酸類の具体例としては、
例えば、オルトリン酸(分子量98.00)、ピロリン
酸、ポリリン酸、及び、五酸化リン等が挙げられ、これ
らからなる群から選択された少なくとも一種を使用する
ことが好ましい。
【0052】使用する酸性触媒は、溶媒(例えば、水、
アルコール、ケトン等の極性溶媒)で希釈された状態で
あってもよい。例えば、リン酸を使用する場合には、8
5重量%のリン酸と、15重量%の水からなる混合物を
使用してもよい。
【0053】通常、好ましくは10重量%以上、より好
ましくは50重量%、特に好ましくは70重量%以上、
最も好ましくは85重量%以上の酸性触媒濃度を有する
ものを重合に使用する。酸性触媒濃度が低すぎると、一
般に、重合操作の過程で除去しなければならない溶媒の
量が多くなり、エネルギーを余計に使用することにな
る。
【0054】[3]ポリコハク酸イミド 本発明の方法に従って得られるポリコハク酸イミドの構
造は、線状構造であっても、分岐状構造を有するもので
あってもよい。
【0055】[4]不活性ガス 本発明では、少なくとも1つ以上の工程に不活性ガスを
使用することが好ましい。不活性ガスの組成は、特に限
定されない。反応に悪影響を与えないガスが好ましく、
具体的には、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン等が
好ましく使用される。なお、不活性ガスは、1種類のガ
スを用いても、複数種類のガスを混合して用いてもかま
わない。
【0056】不活性ガスは、通常、再生処理を経て、再
使用されることが好ましい。再生処理は、一般に、不活
性ガス中に含有される、水分及び/又は不純物(反応副
生成物等)の濃度を低減するために実施される。
【0057】具体的操作としては、通常、吸着操作、吸
収操作、冷却操作、加熱操作、集塵操作等から選択され
る少なくとも一つ以上の操作を実施し、水分及び/又は
不純物の濃度を低減することが好ましい。ここで吸着操
作においては、ゼオライト類や、親水性架橋樹脂類(例
えば、イオン交換樹脂等)等、を吸着剤に用いることが
できる。
【0058】不活性ガスを用いる際、不活性ガス中の水
分濃度が高いと、通常、得られるポリコハク酸イミドの
重量平均分子量は低くなることがある。逆に、水分濃度
が0%の場合には、ポリマーには影響が無いが、一般
に、不活性ガスの再生処理に関係するコストが過大とな
らないように考慮する必要が有る。
【0059】また、不純物濃度が高いと、場合により、
ポリコハク酸イミドの着色、変性等が生じることが有
る。逆に、不純物濃度が0%の場合には、ポリマーには
影響が無いが、一般に、不活性ガスの再生処理に関係す
るコストが過大とならないように考慮する必要が有る。
【0060】[5]液体状反応混合物製造工程 液体状反応混合物製造工程は、連続式、及び/又は、回
分式の操作にて実施することができる。
【0061】液体状反応混合物製造工程は、アスパラギ
ン酸と、アスパラギン酸の少なくとも一部を溶解する機
能を有する酸性触媒を含んでなる、アスパラギン酸の少
なくとも一部が酸性触媒に溶解した混合物を、液相重合
を行って、高分子量ポリコハク酸イミドと酸性触媒を含
有する液体状反応混合物を製造するものであれば、特に
限定されない。
【0062】ここで、『液体状』とは、溶液状態、分散
状態、ペースト状態、水飴状態、ゲル状態等を包含す
る。
【0063】1)酸性触媒量 本工程において、酸性触媒は、触媒としての機能を有す
る。また、好ましくは、酸性触媒は、反応物に対する溶
媒の機能をも有する。
【0064】本発明では、原料のアスパラギン酸1モル
当たり、酸性触媒を0.5〜100モルの範囲で用いる
ことにより、液体状の反応混合物を製造する。酸性触媒
の使用量が、前記範囲よりも少なすぎる場合、重合過程
で、ポリコハク酸イミドの分子量が増大するのに伴い、
反応物の粘性が増大し、発泡が生じて重合操作が困難と
なる場合がある。さらに反応を進めると、反応物が発泡
した状態のまま塊状で固化し、場合によっては反応装置
に固着し、操作を継続することが極めて困難になること
がある。逆に、前記範囲を超える過剰量の酸性触媒使用
は、酸性触媒の分離や、再使用に必要なエネルギーを増
大させるため、一般に、不経済である。
【0065】本発明では、酸性触媒を、原料のアスパラ
ギン酸1モル当たり、通常、好ましくは1.0モル以
上、より好ましくは1.5モル以上、さらに好ましくは
2.0モル以上、特に好ましくは2.3モル以上、最も
好ましくは2.5モル以上、で使用する。また、本発明
では、酸性触媒を、原料のアスパラギン酸1モル当た
り、通常、好ましくは50モル以下、より好ましくは1
0モル以下、さらに好ましくは8モル以下、特に好まし
くは5モル以下、で使用する。
【0066】2)液体状反応混合物製造工程の操作 本工程における原料(アスパラギン酸、酸性触媒、等)
の混合操作は、通常、直接混合することで実施するが、
場合によっては、溶媒(水、アルコール、ケトン等の極
性溶剤)に、アスパラギン酸、及び/又は、酸性触媒
を、溶解又は分散させて実施してもよい。ただし、水以
外の溶媒は、副反応を防止するため、反応開始前に十分
に系内から除去されることが好ましく、反応開始前に水
以外の溶媒濃度が0重量%となるまで系内から除去され
ることがより好ましい。
【0067】また、酸性触媒との混合後には、アスパラ
ギン酸の縮合により水が生成する場合がある。生成する
水を利用して、酸性触媒とアスパラギン酸を混合する操
作をより効率的に実施することもできる。
【0068】本工程の操作を行う温度は、好ましくは、
5〜400℃、より好ましくは、30〜350℃、さら
に好ましくは、80〜250℃、特に好ましくは、12
0〜200℃の範囲である。主として、アスパラギン
酸、酸性触媒からなる原料混合物は、酸性触媒量や加熱
温度等の反応条件により、液状、スラリー状、ペースト
状等の種々の性状を示し、その後、さらに加熱すること
により液体状へと変化する。温度が低すぎると、通常、
前記数式(1)の範囲の重量平均分子量を有するポリコ
ハク酸イミドを含有した液体状反応混合物を製造するた
めに要する反応時間が長くなり、大型の反応装置が必要
となるため装置設計が困難である。逆に温度が高すぎる
と、通常、酸性触媒とアスパラギン酸が十分に混合され
る前に、不均一な状態で重合が開始し、一部に、不均一
な反応物が形成される虞がある。
【0069】本工程の圧力は、適宜選択される。加熱操
作を行う温度下で、効率よく系内の水分を低減できる圧
力とする。圧力は、好ましくは、0.000001〜5
0MPa、より好ましくは、0.00001〜10MP
a、さらに好ましくは、0.0001〜1MPa、であ
る。圧力が低すぎると、通常、液体状反応混合物を製造
する過程で、水分が蒸発する際に著しい気泡が生じ、容
積効率が低下することがある。圧力が高すぎると、通
常、高耐圧性の反応器が必要となり、大量の製造を行う
場合には、装置設計が困難になる。
【0070】本工程に要する時間は、特に限定されない
が、好ましくは、1分〜50時間、さらに好ましくは、
10分〜10時間、より好ましくは、20分〜5時間、
特に好ましくは、30分〜3時間、とする。加熱操作時
間は、適度な時間とすることで、顕著な着色や変性が生
じていない液体状反応混合物が得られる。
【0071】本工程の操作は、系内の酸素濃度が低減さ
れた条件下、又は、酸素濃度が0%である条件下で実施
することが好ましく、前記の不活性ガス中で実施するこ
とが好ましい。
【0072】3)製造装置 液体状反応混合物の製造は、連続式操作、回分式操作の
何れで実施してもよい。液体状反応混合物を製造するた
めの装置は、特に限定されず、前記のような原料の混合
操作及び加熱操作が実施できる装置であればよい。ま
た、原料の混合処理と、加熱処理を、2つ以上の装置に
分割して行ってもよい。具体的には、例えば、攪拌槽、
遊星運動攪拌装置付反応機、1軸又は2軸混練機等、任
意の装置を用いることができる。液体状反応混合物の性
状(例えば、粘性等)に応じて、均一な混合状態が得ら
れる反応装置を選択すればよい。
【0073】液体状反応混合物製造工程での加熱操作
は、反応物を、間接、及び/又は、直接、加熱媒体と接
触させて行うことができる。
【0074】また、本発明の液体状反応混合物の製造に
用いられる装置としては、『改訂六版 化学工学便覧』
(編者:社団法人 化学工学会、発行所:丸善株式会
社、1999年)の『7 攪拌』(421〜454
頁)、『6 伝熱・蒸発』(343〜420頁)に記載
されている装置を包含する。
【0075】4)重量平均分子量 液体状反応混合物製造工程では、重量平均分子量(Mw
1)が、前記数式(1)で示される分子量を有するポリ
コハク酸イミドを含有した液体状反応混合物を製造す
る。重量平均分子量が低すぎると、通常、後工程におけ
る操作が困難になること場合がある。具体的には、単離
工程において、固体状ポリコハク酸イミドが得られない
場合がある。逆に、重量平均分子量が高すぎると、通
常、液体状反応混合物を製造する装置での非常に長い滞
留時間が要求され、副反応を生じる虞がある。本発明で
は、液体状反応混合物中の高分子量ポリコハク酸イミド
の重量平均分子量が、好ましくは数式(4)の範囲に、
より好ましくは数式(5)の範囲に、特に好ましくは数
式(6)の範囲となるように操作を行なう。 6.0×104 ≦ Mw1 ≦ 5.0×105 (4) 8.0×104 ≦ Mw1 ≦ 5.0×105 (5) 1.0×105 ≦ Mw1 ≦ 5.0×105 (6)。
【0076】本発明では、Mw1の下限値は、特に限定
されるものではないが、好ましくは、3.0×104
上、より好ましくは、6.0×104以上、さらに好ま
しくは、8.0×104以上、特に好ましくは、1.0
×105以上、とすることで、品質、及び/又は、性能
の良好な誘導体(例えば、吸水性ポリマー、ポリアスパ
ラギン酸塩、等)を製造することができる。一方、Mw
1の上限値は、特に限定されるものではないが、好まし
くは、5.0×105以下、より好ましくは、4.0×
105以下、さらに好ましくは、3.0×105以下、特
に好ましくは、2.5×105以下、最も好ましくは、
2.0×105以下、とすることで、長い反応時間を要
することなく、液体状反応混合物の製造を実施すること
ができる。
【0077】[6]単離工程 単離工程は、連続式及び/又は回分式の操作にて実施す
ることができる。単離工程は、前記の液体状反応混合物
製造工程で製造された液体状反応混合物から、固体状の
ポリコハク酸イミドを製造するものであれば特に限定さ
れない。
【0078】単離工程の好ましい態様としては、工程2
−1(スラリー製造工程)、及び、工程2−2(固液分
離工程)、を含んで構成されるものが挙げられる。ま
た、別の好ましい態様としては、工程2−1(スラリー
製造工程)、工程2−2(固液分離工程)、及び、工程
2−3(乾燥工程)を含んで構成されるものが挙げられ
る。
【0079】さらに別の好ましい態様としては、工程2
−1(混合溶液製造工程)、工程2−2(スラリー製造
工程)及び工程2−3(固液分離工程)、を含んで構成
されるものが挙げられる。また、さらに別の好ましい態
様としては、工程2−1(混合溶液製造工程)、工程2
−2(スラリー製造工程)、工程2−3(固液分離工
程)、及び、工程2−4(乾燥工程)を含んで構成され
るものが挙げられる。
【0080】各工程は、連続式、及び/又は、回分式の
操作にて実施することができる。ここで、『固体状』と
は、固体状態、ゴム状固体(弾性体)状態、粒子が独立
の形状を有する状態等を包含する。
【0081】1) 酸性触媒量 本発明では、液体状反応混合物は、好ましくは酸性触媒
が溶媒として機能し、高分子量ポリコハク酸イミドを含
有して液体状となったものである。単離工程では、液体
状反応混合物から、酸性触媒を分離し、固体状の高分子
量ポリコハク酸イミドを単離する。
【0082】本発明では、単離工程後、固体状の高分子
量ポリコハク酸イミド中に含有される酸性触媒の濃度
は、低い方が好ましく、又は、0重量%であることが好
ましい。酸性触媒の濃度が高すぎる場合、通常、ポリコ
ハク酸イミドの保存安定性が低下する場合がある。逆
に、酸性触媒が含有されない場合には、特に問題は無い
が、一般に、酸性触媒を分離するための負荷が過大とな
らないように配慮する必要がある。本発明では、単離工
程後の固体状ポリコハク酸イミド中に含有される酸性触
媒は、通常、好ましくは50重量%以下、より好ましく
は10重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特
に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.1
重量%以下である。
【0083】2)混合溶液製造工程 混合溶液製造工程では、高分子量ポリコハク酸イミドを
含有する液体状反応混合物に、高分子量ポリコハク酸イ
ミド、及び、酸性触媒を、少なくとも一部溶解する機能
を有する希釈溶媒を加えて、液体状反応混合物が希釈さ
れた、混合溶液を製造する。本工程は、連続式、及び/
又は、回分式の操作で実施することができる。
【0084】本発明の希釈溶媒は、高分子量ポリコハク
酸イミド、及び、酸性触媒を、少なくとも一部溶解する
機能を有するものであれば、特に限定されない。本発明
では、希釈溶媒として、非プロトン性極性溶媒、酸性触
媒、有機溶剤、水からなる群より選択された少なくとも
1種以上が好ましく用いられる。
【0085】ここで非プロトン性極性溶媒は、具体的に
は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DM
F)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2
−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられ
る。
【0086】希釈溶媒に用いられる有機溶剤の具体例と
しては、炭素原子数1〜20のアルコール類、炭素原子
数3〜20のケトン類、炭素原子数3〜20のエーテル
類、炭素原子数3〜20の酢酸エステル類が挙げられ
る。
【0087】さらに具体的には、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブ
タノール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコー
ル、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタ
ノール、イソアミルアルコール、4−メチル−2−ペン
タノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−
ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノー
ル、2−ヘプタノール、1−オクタノール等のアルコー
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ペン
タノン、3−ペンタノン等のケトン類;ジイソプロピル
エーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル
等の酢酸エステル類;等が挙げられる。
【0088】これらのうち、好ましい有機溶剤は、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブ
タノール、2−ブタノール、i−ブチルアルコール、t
−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノ
ール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、1−
オクタノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジ
イソプロピルエーテル、酢酸ブチルであり、より好まし
い有機溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、i−ブ
チルアルコール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノ
ール、2−ペンタノール、アセトン、ジイソプロピルエ
ーテルであり、特に好ましい有機溶剤は、メタノール、
イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノ
ール、i−ブチルアルコール、アセトン、ジイソプロピ
ルエーテルであり、最も好ましい有機溶剤は、メタノー
ル、イソプロピルアルコール、アセトンである。
【0089】本発明では、希釈溶媒の使用量は、液体状
反応混合物1重量部当り、0〜100重量部が好まし
い。希釈溶媒が多すぎると、通常、希釈溶媒、及び/又
は、酸性触媒を回収する際の負荷(例えば、蒸留に要す
るエネルギー、等)が過大となる。希釈溶媒の使用量
は、液体状反応混合物1重量部当り、好ましくは、50
重量部以下、より好ましくは、30重量部以下、さらに
好ましくは、10重量部以下、特に好ましくは、5重量
部以下、最も好ましくは、3重量部以下である。
【0090】混合溶液製造工程の温度は、5〜300℃
であることが好ましい。この温度が5℃未満であると、
混合溶液の製造に長時間を要する場合がある。一方、3
00℃を超えると、希釈溶媒、及び/又は、ポリコハク
酸イミドの一部が変性し、分子量が低下し、場合によっ
ては着色し、ポリマーの品質低下を招く。この温度は、
10〜200℃が好ましく、15〜150℃がより好ま
しく、20〜100℃が特に好ましい。
【0091】本工程の圧力は、特に限定されない。好ま
しくは、使用する溶媒の物性で決定される。操作を行う
温度が、溶媒の臨界温度より低い場合は、少なくとも一
部に液相が存在する圧力とする。例えば、窒素、二酸化
炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で操作を行う場
合は、そのガスにより、操作を行なう温度下での溶媒の
飽和蒸気圧以上に加圧するとよい。操作を行う温度が、
溶媒の臨界温度より高い場合は、高分子量ポリコハク酸
イミド、及び/又は、酸性触媒の少なくとも一部が溶媒
に溶解する圧力とする。
【0092】本工程に要する時間は、特に限定されな
い。十分に均一な混合溶液が得られればよい。混合溶液
製造工程に要する時間は、一般的には1秒〜20時間、
好ましくは1分〜5時間である。ここで、混合溶液製造
工程に要する時間は、液体状反応混合物と希釈溶媒が接
触を開始した時点を基準とした時間とする。本工程の操
作に長時間を要すると、大型の装置が必要になり、装置
設計が困難である。一方、本工程の操作の時間が短すぎ
ると、十分に均一な混合溶液が得られない虞がある。
【0093】3)スラリー製造工程 スラリー製造工程では、液体状反応混合物に含有される
酸性触媒の少なくとも一部を、抽出溶媒を用いて分離す
ることにより、酸性触媒量の低減された固体状の高分子
量ポリコハク酸イミドを製造する。
【0094】また、別の態様としては、スラリー製造工
程では、混合溶液に含有される酸性触媒、及び/又は、
希釈溶媒の少なくとも一部を、抽出溶媒を用いて分離す
ることにより、酸性触媒量、及び/又は、希釈溶媒の低
減された固体状の高分子量ポリコハク酸イミドを製造す
る。
【0095】本工程の操作は、連続式、及び/又は、回
分式で実施することができる。
【0096】単離工程では、ポリコハク酸イミドを溶解
せず、かつ、酸性触媒を少なくとも一部溶解する機能を
有する溶媒を使用する。例えば、有機溶剤、有機溶剤と
水及び/又は酸性触媒との混合物、水、水および酸性触
媒との混合物のうち少なくとも一つを使用することがで
きる。抽出溶媒は、主に、酸性触媒に対する抽出能力、
抽出を行う際の温度及び圧力条件、溶媒自体の安定性を
考慮して選択すればよい。
【0097】抽出溶媒の抽出能力の目安としては、比誘
電率εr値が挙げられる。本発明では、25℃での比誘
電率が、好ましくは2以上、より好ましくは10以上、
さらに好ましくは15以上、最も好ましくは19以上で
ある抽出溶媒を使用するとよい。
【0098】抽出溶媒に用いられる有機溶剤の具体例と
しては、炭素原子数1〜20のアルコール類、炭素原子
数3〜20のケトン類、炭素原子数3〜20のエーテル
類、炭素原子数3〜20の酢酸エステル類が挙げられ
る。
【0099】さらに具体的には、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブ
タノール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコー
ル、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタ
ノール、イソアミルアルコール、4−メチル−2−ペン
タノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−
ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノー
ル、2−ヘプタノール、1−オクタノール等のアルコー
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ペン
タノン、3−ペンタノン等のケトン類;ジイソプロピル
エーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル
等の酢酸エステル類;等が挙げられる。
【0100】これらのうち、好ましい有機溶剤は、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブ
タノール、2−ブタノール、i−ブチルアルコール、t
−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノ
ール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、1−
オクタノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジ
イソプロピルエーテル、酢酸ブチルであり、より好まし
い有機溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、i−ブ
チルアルコール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノ
ール、2−ペンタノール、アセトン、ジイソプロピルエ
ーテルであり、特に好ましい有機溶剤は、メタノール、
イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノ
ール、i−ブチルアルコール、アセトン、ジイソプロピ
ルエーテルであり、最も好ましい有機溶剤は、メタノー
ル、イソプロピルアルコール、アセトンである。
【0101】抽出溶媒として、水と共沸混合物を形成す
る有機溶剤を使用する場合は、その共沸組成の水を含有
した混合物を用いてもよい。また、抽出を行う温度およ
び圧力条件下で飽和溶解度分の水を含有する有機溶剤混
合物を用いることもでき、逆に、抽出を行う温度および
圧力条件下で飽和溶解度分の有機溶剤を含有する水混合
物を用いることもできる。さらに、水と完全に混合する
有機溶剤の場合には、任意の割合で水と有機溶剤を混合
して用いることもできる。
【0102】また抽出溶媒中には、酸性触媒及び/又は
希釈溶媒が含有されていてもよい。その酸性触媒の含有
量は、ポリマー中の酸性触媒の残存量が前記の範囲に調
整できるよう、抽出溶媒の抽出能力をあまり低下させな
い量にすればよい。
【0103】抽出溶媒中の酸性触媒量は、一般的には9
0重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ま
しくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以
下、最も好ましくは10重量%以下である。抽出溶媒中
の酸性触媒濃度が高すぎると、本工程で、前記の酸性触
媒重量濃度の範囲に設定することが困難となる。
【0104】また、抽出溶媒中の希釈溶媒量は、一般的
には90重量%以下、好ましくは60重量%以下、さら
に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量
%以下、最も好ましくは10重量%以下である。抽出溶
媒中の希釈溶媒濃度が高すぎると、本工程で前記の酸性
触媒重量濃度の範囲に設定することが困難となる。
【0105】液体状反応混合物は、酸性触媒の分離を行
なうことで、不連続に相が変化し、固体状の高分子量ポ
リコハク酸イミドが得られる。また、混合溶液は、酸性
触媒、及び、希釈溶媒の分離を行なうことで、不連続に
相が変化し、固体状の高分子量ポリコハク酸イミドが得
られる。
【0106】スラリー製造工程で用いる装置としては、
例えば、撹拌槽、固定床型抽出器、移動床型抽出器、ロ
トセル抽出機、等が挙げられる。また、本発明のスラリ
ー製造工程に用いられる装置及び方法としては、『改訂
六版 化学工学便覧』(編者:社団法人 化学工学会、
発行所:丸善株式会社、1999年)の『12 抽出・
液液反応』(637〜688頁)、『7 攪拌』(42
1〜454頁)、『6伝熱・蒸発』(343〜420
頁)に記載されている装置及び方法を包含する。
【0107】スラリー製造工程の具体的な操作方法は、
例えば、前記の抽出溶媒を攪拌槽に仕込み、攪拌下、液
体状反応混合物、及び/又は、混合溶液を導入する方法
が挙げられる。また、液体状反応混合物、及び/又は、
混合溶液を攪拌槽に仕込み、攪拌下、抽出溶媒を導入す
る方法が挙げられる。
【0108】スラリー製造工程で行われる抽出操作は、
1段あるいは多段抽出で好ましく実施される。多段抽出
では抽出溶媒を向流式あるいは並流式で使用するが、抽
出溶媒の使用量が抑えられる点で、特に向流式が好まし
い。多段抽出操作においては酸性触媒及び/又は希釈溶
媒を含有する抽出溶媒を、少なくとも一部の段において
使用してもよい。
【0109】抽出溶媒の使用量は、酸性触媒1重量部当
り、通常、好ましくは0.1〜1000重量部、より好
ましくは0.3〜100重量部、特に好ましくは0.5
〜50重量部、最も好ましくは1〜10重量部である。
抽出溶媒を過剰に用いると、抽出液中の酸性触媒濃度及
び/又は希釈溶媒の濃度が低くなるので、抽出後、酸性
触媒及び/又は希釈溶媒と抽出溶媒を分離する際の効率
が悪くなる。一方、抽出溶媒が少な過ぎると、抽出液中
の酸性触媒及び/又は希釈溶媒の濃度が増加するので、
固体状の高分子量ポリコハク酸イミドに残存する酸性触
媒及び/又は希釈溶媒の濃度が増大する。抽出溶媒の使
用量をより少なくし、効率良く抽出操作を行うには、多
段向流型の抽出操作が好ましい。
【0110】また、多段抽出を行う場合には、各段の間
で、固体状の高分子量ポリコハク酸イミドと、抽出液と
を可能な限り分離した後、次の段の操作を行うことが好
ましい。具体的には、固体状の高分子量ポリコハク酸イ
ミド100重量部当たりに含有される抽出液が、一般的
には50重量部以下、好ましくは30重量部以下、より
好ましくは10重量部以下、特に好ましくは5重量部以
下、最も好ましくは1重量部以下となるまで分離を行
う。
【0111】抽出液と固体状の高分子量ポリコハク酸イ
ミドとの分離は、具体的には、濾過機、遠心分離機、沈
降分離装置、浮上分離装置あるいはそれらを組み合わせ
た工程により実施できる。なお、固体状の高分子量ポリ
コハク酸イミドと抽出液を分離した後、さらに、同じ種
類あるいは異なる種類の抽出溶媒を用いて、固体状の高
分子量ポリコハク酸イミドに含まれる抽出液の置換洗浄
を行ってもよい。置換洗浄操作1回当たりに用いる抽出
溶媒量は、固体状の高分子量ポリコハク酸イミド1重量
部当たり、好ましくは0.01〜10重量部、より好ま
しくは0.05〜5重量部、特に好ましくは0.1〜2重
量部である。
【0112】本工程の温度は、5〜300℃が好まし
い。この温度が5℃未満であると、通常、固体状の高分
子量ポリコハク酸イミド中の酸性触媒及び/又は希釈溶
媒の残存濃度が高くなる。一方、300℃を超えると、
通常、ポリコハク酸イミドの一部が変性し、分子量が低
下し、場合によっては着色し、ポリマーの品質低下を招
く。この温度は、10〜200℃が好ましく、15〜1
50℃がより好ましく、20〜100℃が特に好まし
い。
【0113】本工程の圧力は、特に限定されない。好ま
しくは、使用する抽出溶媒の物性で決定される。抽出操
作を行う温度が、抽出溶媒の臨界温度より低い場合は、
少なくとも一部に液相が存在する圧力とする。例えば、
窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で
抽出を行う場合は、そのガスにより、抽出温度での抽出
溶媒の飽和蒸気圧以上に加圧するとよい。抽出操作を行
う温度が、抽出溶媒の臨界温度より高い場合は、酸性触
媒の少なくとも一部が抽出溶媒に溶解する圧力とする。
【0114】多段抽出を行う場合には、各段における温
度及び/又は圧力を、前記の範囲内で異なる値に設定し
てもよい。
【0115】スラリー化工程での抽出時間は、一般的に
は0.5秒〜12時間、好ましくは1秒〜5時間、より
好ましくは3秒〜3時間、特に好ましくは5秒〜2時
間、最も好ましくは10秒〜60分である。ここで、抽
出時間とは、抽出を行う温度下で、ポリマーと抽出溶媒
及び/又は抽出液が接触している時間とする。抽出に長
時間を要すると、大型の装置が必要になり、装置設計が
困難である。一方、抽出時間が短すぎると、本工程によ
る、酸性触媒の分離が十分に実施できない虞がある。
【0116】4)固液分離工程 この固液分離工程における分離操作としては、先に述べ
た多段抽出の各段の間で行う分離操作と同様な方法が挙
げられる。すなわち、具体的には、濾過機、遠心分離
機、沈降分離装置、浮上分離装置あるいはそれらを組み
合わせた工程により分離操作を実施できる。本工程は、
連続式、及び/又は、回分式の操作にて実施することが
できる。
【0117】5)乾燥工程 固液分離工程で得られた固体状の高分子量ポリコハク酸
イミドについては、さらに乾燥操作を行っても構わな
い。乾燥工程では、固体状の高分子量ポリコハク酸イミ
ドに含有される溶媒を乾燥することにより、溶媒を含有
しない固体状の高分子量ポリコハク酸イミドを製造する
ことができる。
【0118】乾燥操作は、真空系、常圧系、加圧系のう
ち少なくとも1つ以上の圧力条件下において実施するこ
とができる。
【0119】具体的には、例えば、熱風移送型乾燥器、
材料攪拌型乾燥器(流動層乾燥機等)、材料搬送及び静
置型乾燥器、円筒乾燥器、赤外線乾燥器、マイクロ波乾
燥器、過熱蒸気乾燥器からなる群より選択される、少な
くとも一つの装置を用いて、連続式又は回分式の乾燥操
作を行うことができる。
【0120】また、本発明の乾燥工程に用いられる装置
及び方法としては、『改訂六版 化学工学便覧』(編
者:社団法人 化学工学会、発行所:丸善株式会社、1
999年)の『14 調湿・水冷却・乾燥』(735〜
788頁)、『7 攪拌』(421〜454頁)、『6
伝熱・蒸発』(343〜420頁)に記載されている
装置及び方法を包含する。
【0121】乾燥操作は、ポリコハク酸イミドの着色や
変性を防止するため、通常、系内の酸素濃度が低減され
た条件下、又は、酸素濃度が0%である条件下で実施す
ることが好ましく、前記の不活性ガス中で実施すること
が好ましい。
【0122】乾燥操作を行う際の、固体状の高分子量ポ
リコハク酸イミドの温度は、5〜300℃となるように
操作を行なうことが好ましい。温度が5℃未満である
と、固体状の高分子量ポリコハク酸イミドの乾燥に長時
間を要する。一方、400℃を超えると、抽出溶媒を含
有していることによって、固体状の高分子量ポリコハク
酸イミドの一部が変性し、分子量が低下し、場合によっ
ては着色し、ポリマーの品質低下を招く虞がある。この
温度は、10〜200℃が好ましく、20〜150℃が
より好ましく、30〜120℃が特に好ましい。
【0123】6)固体状の高分子量ポリコハク酸イミド
の重量平均分子量 本発明では、前記の数式(2)で示される範囲の重量平
均分子量Mw2を有する固体状の高分子量ポリコハク酸
イミドを製造する。単離工程を経て得られる固体状の高
分子量ポリコハク酸イミドの重量平均分子量は、液体状
反応混合物の重量平均分子量から、大幅な低下が生じな
いように実施されることが好ましい。
【0124】本発明では、ポリコハク酸イミドの重量平
均分子量Mw2が、好ましくは数式(7)の範囲に、よ
り好ましくは数式(8)の範囲に、特に好ましくは数式
(9)の範囲となるように操作を行なう。 6.0×104 ≦ Mw2 ≦ 5.0×105 (7) 8.0×104 ≦ Mw2 ≦ 5.0×105 (8) 1.0×105 ≦ Mw2 ≦ 5.0×105 (9)。
【0125】本発明では、Mw2の下限値は、特に限定
されるものではないが、好ましくは、3.0×104
上、より好ましくは、6.0×104以上、さらに好ま
しくは、8.0×104以上、特に好ましくは、1.0
×105以上、とすることで、品質、及び/又は、性能
の良好な誘導体(例えば、吸水性ポリマー、ポリアスパ
ラギン酸塩、等)を製造することができる。一方、Mw
2の上限値は、特に限定されるものではないが、好まし
くは、5.0×105以下、より好ましくは、4.0×
105以下、さらに好ましくは、3.0×105以下、特
に好ましくは、2.5×105以下、最も好ましくは、
2.0×105以下、とすることで、長い反応時間を要
することなく、ポリコハク酸イミドの製造を実施するこ
とができる。
【0126】7)粒子サイズ 粒子サイズを把握する方法としては、例えば、標準ふる
いを用いた方法がある。標準ふるいを、例えば機械式振
とう機とともに使用し、乾式又は湿式でふるい分けを行
い、粒径分布の測定や、最大粒子直径の規定を行なうこ
とができる。
【0127】微粉状反応混合物の粒子サイズを把握する
他の方法としては、レーザー回折・散乱法による測定方
法がある。この方法では、通常、微粉状反応混合物中に
含有される成分に対しての貧溶媒中で、微粉状反応混合
物を分散させ、レーザー回折・散乱法により粒径分布を
測定することができる。具体的な装置としては、例え
ば、リーズ&ノースラップ社製・粒度分析測定装置(モ
デル;9320−X100)が挙げられる。この装置で
は、粒子体積Vi、粒子径diを用い、数式(10)で
定義される、体積平均直径を測定することができる。 体積平均直径 = Σ(Vi×di) / Σ(Vi) (10) また、粒子が球形であると仮定し、数式(11)で定義
される、個数平均直径を測定することもできる。 個数平均直径=( Σ(Vi)/di2)/( Σ(Vi)/di3) (11)。
【0128】前記の方法に従って実施される単離工程で
は、液体状反応混合物から、最大粒子直径が、好ましく
は、10mm以下、より好ましくは、3mm以下、さら
に好ましくは、1mm以下、特に好ましくは、700μ
m以下、最も好ましくは、400μm以下、を有する粒
子が得られる。
【0129】[8]後処理工程 1)固体状ポリコハク酸イミドの精製操作 単離工程後、ポリコハク酸イミド中に含有される酸性触
媒、及び/又は、希釈溶媒は、ポリコハク酸イミドに対
しての貧溶媒である前記抽出溶媒を用い、10〜300
℃において、さらに洗浄操作を実施し、高純度のポリコ
ハク酸イミドを製造してもよい。酸性触媒、及び/又
は、希釈溶媒を含有した洗浄液は、必要に応じ精製操作
を行った後、又は、精製操作を経ることなく、スラリー
製造工程での抽出溶媒として使用することもできる。
【0130】また、液体状反応混合物製造工程、及び/
又は、単離工程の後、ポリコハク酸イミド中に含有され
る酸性触媒及び/又は希釈溶媒は、ポリコハク酸イミド
に対しての良溶媒(例えば、非プロトン性極性溶媒[ジ
メチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド
等]、等)に一旦溶解後、ポリコハク酸イミドに対して
の貧溶媒(例えば、前記抽出溶媒[メタノール、イソプ
ロパノール、アセトン、水等]、等)で再沈し、濾過を
行い、さらに必要があれば貧溶媒でリンスを行って、洗
浄、除去してもよい。
【0131】また、単離工程後、ポリコハク酸イミドを
加水分解することで、ポリアスパラギン酸(塩)を製造
することもできる。加水分解操作は、ポリコハク酸イミ
ドから酸性触媒を除去後に行ってもよく、また、酸性触
媒を含有したままの状態で行って、酸性触媒の中和も兼
ねて実施してもよい。
【0132】ポリコハク酸イミド中に含有される酸性触
媒量は、通常、元素分析、蛍光X線分析等の手段で評価
することができる。精製操作は、ポリコハク酸イミド中
に含有される酸性触媒濃度が、好ましくは、5重量%以
下、より好ましくは、1重量%以下、さらに好ましく
は、0.5重量%以下、特に好ましくは0.2重量%以
下、最も好ましくは、0.1重量%以下、まで低減され
るように実施することが好ましい。具体的には、精製操
作を繰り返し実施することにより、あるいは、洗浄操作
に用いる溶媒量を増加させて精製操作を行っても構わな
い。
【0133】2)酸性触媒、及び/又は、抽出溶媒の回
収、リサイクル 単離工程や、前記の固体状の高分子量ポリコハク酸イミ
ドの精製操作からは、酸性触媒及び/又は希釈溶媒を含
有する溶液(抽出液や洗浄液)が回収される。本発明で
は、必要に応じ、酸性触媒を含有する溶液から、溶媒を
分離し、再度、酸性触媒、及び/又は、溶媒をポリコハ
ク酸イミドの製造に再使用しても構わない。
【0134】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0135】1)リン酸濃度 リン酸の重量濃度は、リン(P)元素の、元素分析値を
基に、オルトリン酸として評価した。
【0136】2)重量平均分子量 反応混合物(液体状反応混合物、固体状の高分子量ポリ
コハク酸イミド)に酸性触媒が含有される場合には、2
5℃まで冷却した後、大過剰の冷メタノール(5℃)中
に入れて1時間攪拌後、濾過を行って固体状ポリマーを
回収し、さらにガラス製カラムに充填し、メタノール
(30℃)を連続的に流通させ、酸性触媒を分離した。
次いで、濾過により固体状のポリマーを回収し、真空乾
燥を行った。ポリマー中のリン酸分が100ppm未満
であることを確認後、秤量し、分子量測定用DMF(臭
化リチウム0.01mol/リットル含有)に溶解、G
PC分析を行って重量平均分子量を評価した。
【0137】3)粒子サイズ 固体状ポリコハク酸イミド、及び、固体状高分子量ポリ
マー混合物の体積平均直径は、リーズ&ノースラップ社
製・粒度分析測定装置(モデル;9320−X100)
を用いて測定した。
【0138】4)生成物の分析 以下の実施例で得られたポリマーは、1H−NMR、13
C−NMRより、ポリコハク酸イミドであることを確認
した。
【0139】5)吸水量 実施例中の吸水量は、以下のティーバッグ法にて測定し
た。ティーバッグ法による吸水量の測定は、蒸留水、及
び、生理食塩水を対象として行った。
【0140】乾燥した吸水性ポリマー(粒子径100〜
500μmの乾式分級品)0.02gを、不織布製のテ
ィーバッグ(80mm×50mm)に入れ、過剰の対応
する溶液中(生理食塩水、又は、蒸留水)に浸して、吸
水性ポリマーを40分膨潤させた後、ティーバッグを引
き上げて10秒間水切りを行い、さらに24枚重ねのテ
ィッシュペーパー上で10秒間水切りを行った後、膨潤
した樹脂を含むティーバッグの重量を測定した。その重
量から、同様な操作をティーバッグのみで行った場合の
ブランク重量と、乾燥時の吸水性樹脂の重量を、減じた
値を、吸水性樹脂の重量で除した値、即ち、吸水性樹脂
の単位重量当たり吸水重量(g/g−吸水性樹脂)を評
価した。なお、生理食塩水は、0.9重量%塩化ナトリ
ウム水溶液である。
【0141】 [実施例1] ポリコハク酸イミドの製造例(I) 300mlフラスコ中に、85重量%リン酸68.6g
(リン酸0.595mol)、L−アスパラギン酸2
0.0g(0.150mol)、を順次仕込み、窒素雰
囲気の常圧下、100℃で30分間攪拌して混合操作を
行い、透明な均一溶液を得た(リン酸、アスパラギン酸
の二成分系でのリン酸濃度:74.5wt%、〔リン酸
/アスパラギン酸〕モル比=3.96)。
【0142】次いで、圧力を500〜5mmHg(0.
0667〜0.00067MPa)で調整しながら、1
90℃まで30分を要して昇温した。190℃まで昇温
後、5mmHg(0.00067MPa)下、5時間、
攪拌下に加熱した。加熱の間、反応物は過度の発泡状態
や、高度の粘性相等を生じることなく、溶液状で反応が
進行した。加熱終了後、やや粘性を有し、わずかに茶色
味のある透明な均一溶液として、液体状反応混合物を得
た。
【0143】液体状反応混合物から、前記の方法に従
い、含有されるポリコハク酸イミドの単離を行った。重
量平均分子量8.6万を有するポリコハク酸イミド1
4.2gを得た(収率 97.2%)。
【0144】 [実施例2] ポリコハク酸イミドの製造例(II) 300mlのフラスコに、85重量%リン酸60.84
g(リン酸0.528mol)、L−アスパラギン酸2
0.0g(0.150mol)、を順次仕込み、窒素雰
囲気の常圧下、100℃で30分間攪拌して混合操作を
行い、透明な均一溶液を得た(リン酸、アスパラギン酸
の二成分系でのリン酸濃度:72.1wt%、〔リン酸
/アスパラギン酸〕モル比=3.51)。
【0145】次いで、圧力を500〜10mmHg
(0.0667〜0.0013MPa)で調整しなが
ら、150℃まで15分を要して昇温した。150℃ま
で昇温後、10mmHg(0.0013MPa)下、1
2時間、攪拌下に加熱した。加熱の間、反応物は過度の
発泡状態や、高度の粘性相等を生じることなく、溶液状
で反応が進行した。加熱終了後、やや粘性を有し、わず
かに黄色味のある透明な均一溶液として液体状反応混合
物を得た。
【0146】液体状反応混合物から、前記の方法に従
い、含有されるポリコハク酸イミドの単離を行った。重
量平均分子量4.4万を有するポリコハク酸イミド1
4.4gを得た(収率 99%)。
【0147】 [実施例3] ポリコハク酸イミドの製造例(III) 300mlのフラスコに、85重量%リン酸25.74
g(リン酸0.223mol)、L−アスパラギン酸2
0.0g(0.150mol)、を順次仕込み、窒素雰
囲気の常圧下、110℃で30分間攪拌して混合操作を
行い、透明な均一溶液を得た(リン酸、アスパラギン酸
の二成分系でのリン酸濃度:52.2wt%、〔リン酸
/アスパラギン酸〕モル比=1.49)。
【0148】次いで、圧力を500〜5mmHg(0.
0667〜0.00067MPa)で調整しながら、1
80℃まで20分を要して昇温した。180℃まで昇温
後、15〜5mmHg(0.0020〜0.00067
MPa)下、4時間、攪拌下に加熱した。加熱の間、反
応物は過度の発泡状態や、高度の粘性相等を生じること
なく、溶液状で反応が進行した。加熱終了後、やや粘性
を有し、わずかに茶色味のある透明な均一溶液として、
液体状反応混合物を得た。
【0149】液体状反応混合物から、前記の方法に従
い、含有されるポリコハク酸イミドの単離を行った。重
量平均分子量11.2万を有するポリコハク酸イミド1
4.3gを得た(収率 98.1%)。
【0150】 [比較例1] ポリコハク酸イミドの製造例 500mlのフラスコに、50重量%リン酸40.5g
(リン酸0.207mol)、L−アスパラギン酸5
0.0g(0.376mol)、を順次仕込み、窒素雰
囲気の常圧下、130℃で30分間攪拌して混合操作を
行い、ペースト状の反応物を得た(リン酸、アスパラギ
ン酸の二成分系でのリン酸濃度:28.8wt%、〔リ
ン酸/アスパラギン酸〕モル比=0.55)。
【0151】次いで、圧力を500〜100mmHg
(0.0667〜0.0133MPa)で調整しなが
ら、180℃まで20分を要して昇温した。180℃ま
で昇温後、反応物の発泡状態を、圧力で調節しながら、
100〜20mmHg(0.0133〜0.00267
MPa)下、5時間、攪拌下に加熱したところ、反応物
は固体状へと変化し、それ以上の攪拌はできなくなった
ため、反応を中止した。
【0152】固体状となった反応物を、粉砕することに
よって回収し、前記の方法に従い、含有されるポリコハ
ク酸イミドの単離を行った。重量平均分子量2.7万を
有するポリコハク酸イミド36.1gを得た(収率 9
9%)。
【0153】[実施例4] ポリコハク酸イミドからの
吸水性ポリマー製造例 撹拌装置を備えたフラスコに、DMF11.3gと、実
施例3で得たポリコハク酸イミド(重量平均分子量1
1.2万)のうち3.0g(0.031モル)とを装入
し、均一なポリマー溶液を得た。
【0154】窒素気流下に、架橋剤溶液2.2g[水酸
化ナトリウム0.22g(0.0056モル)と蒸留水
1.13gからなる混合溶液で、L−リジン塩酸塩0.
85g(0.0046モル)中の塩酸分を中和した液]
を、25℃下、30秒かけて導入した。架橋剤溶液添加
から6分後に、反応マスは架橋物特有のゲル状になり、
撹拌を停止した。架橋物は、25℃下で1日間静置し
た。
【0155】次いで、蒸留水80gとメタノール100
gからなる混合液をミキサーに装入し、撹拌下に架橋物
を裁断した。その後、25〜30℃下で水酸化ナトリウ
ム水溶液(水酸化ナトリウム濃度:25重量%)を、p
H11.5〜12に維持されるように添加し、架橋物を
加水分解したところ、粘性のあるゲル状物となった。加
水分解後、7%塩酸溶液で、pH7まで中和し、ゲル状
物を大過剰のメタノール中に導入し、固化させた。次い
で濾過を行って固体を回収し、乾燥して、架橋ポリアス
パラギン酸塩4.6g(収率98%)を得た。
【0156】ここで得られたポリマーの蒸留水に対する
吸水量は、590[g/g−ポリマー](40分後)、
生理食塩水に対する吸水量は、52[g/g−ポリマ
ー](40分後)であった。
【0157】[比較例2] ポリコハク酸イミドからの
吸水性ポリマー製造例 撹拌装置を備えたフラスコに、DMF11.3gと、比
較例1で得たポリコハク酸イミド(重量平均分子量2.
7万)のうち3.0g(0.031モル)とを装入し、
均一なポリマー溶液を得た。窒素気流下に、架橋剤溶液
2.2g[水酸化ナトリウム0.22g(0.0056
モル)と蒸留水1.13gからなる混合溶液で、L−リ
ジン塩酸塩0.85g(0.0046モル)中の塩酸分
を中和した液]を、25℃下、30秒かけて導入した。
架橋剤溶液添加から1日間を経過しても、反応マスは架
橋物特有のゲル状にはならなかった。次いで、実施例4
と同様に加水分解操作を行ったが、吸水性ポリマーは得
られず、水溶性ポリマーが生成した。
【0158】[実施例1〜4と比較例1〜2の考察]比
較例1では、少ないリン酸使用量下でのポリコハク酸イ
ミドの製造を試みたが、途中で反応物の固化が生じ、反
応操作の継続は困難だった。比較例2では、比較例1で
得た重量平均分子量2.7万を有するポリコハク酸イミ
ドを用いて、ポリコハク酸イミド誘導体の製造を試みた
が、重量平均分子量が小さいため吸水性ポリマーは得ら
れなかった。
【0159】対照的に、実施例1〜3では、高い重量平
均分子量を有するポリコハク酸イミドを高収率で製造す
ることができた。さらに実施例4では、、実施例3で得
た高い重量平均分子量を有するポリコハク酸イミドを用
いて、誘導体の製造を試みた結果、良好な吸水性を有す
る吸水性ポリマーを、高収率で得ることができた。
【0160】
【発明の効果】本発明によって、高い重量平均分子量を
有するポリコハク酸イミドを提供することができる。ま
た、より簡便な装置によりポリコハク酸イミドを製造す
る技術を提供することができる。また、従来の技術によ
る製造の過程で生じていた、極めて高度の粘性相の生
成、過度の泡沫形成、及び、反応物の凝固塊生成等を解
決し、連続かつ大量の製造に好適な、高い重量平均分子
量を有するポリコハク酸イミドの製造技術を提供するこ
とができる。また、液相重合により、高い重量平均分子
量を有するポリコハク酸イミドを提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 伸二 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二580番地32 三 井化学株式会社内 (72)発明者 加藤 敏雄 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二580番地32 三 井化学株式会社内 (72)発明者 助川 誠 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二580番地32 三 井化学株式会社内 (72)発明者 入里 義広 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二580番地32 三 井化学株式会社内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アスパラギン酸と、アスパラギン酸の少
    なくとも一部を溶解する機能を有する酸性触媒を含んで
    なる、アスパラギン酸の少なくとも一部が前記酸性触媒
    に溶解した混合物を、液相重合することを特徴とする高
    分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 アスパラギン酸の少なくとも一部を溶解
    する機能を有する酸性触媒の使用量が、アスパラギン酸
    1モル当たり、0.5〜100モルの範囲であることを
    特徴とする請求項1に記載した高分子量ポリコハク酸イ
    ミドの製造方法。
  3. 【請求項3】 高分子量ポリコハク酸イミドが、数式
    (1)で示される重量平均分子量Mw1を有するもので
    あることを特徴とする請求項1又は2に記載した高分子
    量ポリコハク酸イミドの製造方法。 3.0×104 ≦ Mw1 ≦ 5.0×105 (1)
  4. 【請求項4】 前記液相重合が、アスパラギン酸と、ア
    スパラギン酸の少なくとも一部を溶解する機能を有する
    酸性触媒を含んでなるアスパラギン酸の少なくとも一部
    が前記酸性触媒に溶解した混合物を、30〜350℃に
    加熱することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記
    載した高分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。
  5. 【請求項5】 工程1(液体状反応混合物製造工程)と
    して、請求項1乃至4の何れかに記載した製造方法によ
    り高分子量ポリコハク酸イミドを含有する液体状反応混
    合物を製造する工程、 工程2(単離工程)として、工程1(液体状反応混合物
    製造工程)で得られた高分子量ポリコハク酸イミドを含
    有する液体状反応混合物から、酸性触媒を分離し、固体
    状の高分子量ポリコハク酸イミドを単離する工程、とを
    含んで構成されることを特徴とする高分子量ポリコハク
    酸イミドの製造方法。
  6. 【請求項6】 工程1(液体状反応混合物製造工程)と
    して、請求項1乃至4の何れかに記載した製造方法によ
    り、数式(1)で示される重量平均分子量Mw1を有す
    る高分子量ポリコハク酸イミドを含有する液体状反応混
    合物を製造する工程、 工程2(単離工程)として、工程1(液体状反応混合物
    製造工程)で得られた高分子量ポリコハク酸イミドを含
    有する液体状反応混合物から、酸性触媒を分離し、数式
    (2)で示される重量平均分子量Mw2を有する固体状
    の高分子量ポリコハク酸イミドを単離する工程、 とを含んで構成され、かつ、重量平均分子量Mw1と重
    量平均分子量Mw2との関係が、数式(3)で示される
    ものであることを特徴とする高分子量ポリコハク酸イミ
    ドの製造方法。 3.0×104 ≦ Mw1 ≦ 5.0×105 (1) 3.0×104 ≦ Mw2 ≦ 5.0×105 (2) Mw1 ≧ Mw2 (3)
  7. 【請求項7】 工程2(単離工程)が、 工程2−1(スラリー製造工程)として、工程1(液体
    状反応混合物製造工程)で製造された高分子量ポリコハ
    ク酸イミドを含有する液体状反応混合物に、ポリコハク
    酸イミドを溶解せず、かつ、酸性触媒を少なくとも一部
    溶解する機能を有する抽出溶媒を加えて、液体状反応混
    合物に含有される酸性触媒の少なくとも一部を抽出溶媒
    相に移行せしめ、酸性触媒含有量が低減された固体状の
    高分子量ポリコハク酸イミドと、抽出された酸性触媒と
    抽出溶媒を含んでなる抽出溶液からなるスラリーを製造
    する工程、 工程2−2(固液分離工程)として、工程2−1(スラ
    リー製造工程)で製造されたスラリーを、酸性触媒含有
    量が低減された固体状の高分子量ポリコハク酸イミド
    と、抽出された酸性触媒と抽出溶媒を含んでなる抽出溶
    液とに分離する工程を含んで構成されるものである請求
    項5又は6に記載した高分子量ポリコハク酸イミドの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 工程2(単離工程)が、 工程2−1(スラリー製造工程)として、工程1(液体
    状反応混合物製造工程)で製造された高分子量ポリコハ
    ク酸イミドを含有する液体状反応混合物に、ポリコハク
    酸イミドを溶解せず、かつ、酸性触媒を少なくとも一部
    溶解する機能を有する抽出溶媒を加えて、液体状反応混
    合物に含有される酸性触媒の少なくとも一部を抽出溶媒
    相に移行せしめ、酸性触媒含有量が低減された固体状の
    高分子量ポリコハク酸イミドと、抽出された酸性触媒と
    抽出溶媒を含んでなる抽出溶液からなるスラリーを製造
    する工程、 工程2−2(固液分離工程)として、工程2−1(スラ
    リー製造工程)で製造されたスラリーを、酸性触媒含有
    量が低減された固体状の高分子量ポリコハク酸イミド
    と、抽出された酸性触媒と抽出溶媒を含んでなる抽出溶
    液とに分離する工程、 工程2−3(乾燥工程)とし
    て、工程2−2(固液分離工程)で製造された固体状の
    高分子量ポリコハク酸イミドに含有される溶媒を乾燥す
    ることにより、溶媒を含有しない固体状の高分子量ポリ
    コハク酸イミドを製造する工程を含んで構成されるもの
    である、請求項5又は6に記載した高分子量ポリコハク
    酸イミドの製造方法。
  9. 【請求項9】 工程2(単離工程)が、 工程2−1(混合溶液製造工程)として、工程1(液体
    状反応混合物製造工程)で製造された高分子量ポリコハ
    ク酸イミドを含有する液体状反応混合物に、高分子量ポ
    リコハク酸イミド、及び、酸性触媒を、少なくとも一部
    溶解する機能を有する希釈溶媒を加えて、液体状反応混
    合物が希釈された、混合溶液を製造する工程、 工程2
    −2(スラリー製造工程)として、工程2−1(混合溶
    液製造工程)で製造された混合溶液に、高分子量ポリコ
    ハク酸イミドを溶解せず、かつ、酸性触媒及び希釈溶媒
    を少なくとも一部溶解する機能を有する抽出溶媒を加え
    て、混合溶液に含有される酸性触媒及び希釈溶媒の少な
    くとも一部を抽出溶媒相に移行せしめ、酸性触媒及び希
    釈溶媒の含有量が低減された固体状の高分子量ポリコハ
    ク酸イミドと、抽出された酸性触媒及び希釈溶媒と抽出
    溶媒を含んでなる抽出溶液からなるスラリーを製造する
    工程、 工程2−3(固液分離工程)として、工程2−2(スラ
    リー製造工程)で製造されたスラリーを、酸性触媒及び
    希釈溶媒の含有量が低減された固体状の高分子量ポリコ
    ハク酸イミドと、抽出された酸性触媒及び希釈溶媒と抽
    出溶媒を含んでなる抽出溶液とに分離する工程、 を含んで構成されるものである、請求項5又は6に記載
    したポリコハク酸イミドの製造方法。
  10. 【請求項10】 工程2(単離工程)が、 工程2−1(混合溶液製造工程)として、工程1(液体
    状反応混合物製造工程)で製造された高分子量ポリコハ
    ク酸イミドを含有する液体状反応混合物に、高分子量ポ
    リコハク酸イミド、及び、酸性触媒を、少なくとも一部
    溶解する機能を有する希釈溶媒を加えて、液体状反応混
    合物が希釈された混合溶液を製造する工程、 工程2−2(スラリー製造工程)として、工程2−1
    (混合溶液製造工程)で製造された混合溶液に、高分子
    量ポリコハク酸イミドを溶解せず、かつ、酸性触媒及び
    希釈溶媒を少なくとも一部溶解する機能を有する抽出溶
    媒を加えて、混合溶液に含有される酸性触媒及び希釈溶
    媒の少なくとも一部を抽出溶媒相に移行せしめ、酸性触
    媒及び希釈溶媒の含有量が低減された固体状の高分子量
    ポリコハク酸イミドと、抽出された酸性触媒及び希釈溶
    媒と抽出溶媒を含んでなる抽出溶液からなるスラリーを
    製造する工程、 工程2−3(固液分離工程)として、工程2−2(スラ
    リー製造工程)で製造されたスラリーを、酸性触媒及び
    希釈溶媒の含有量が低減された固体状の高分子量ポリコ
    ハク酸イミドと、抽出された酸性触媒及び希釈溶媒と抽
    出溶媒を含んでなる抽出溶液とに分離する工程、 工程2−4(乾燥工程)として、工程2−3(固液分離
    工程)で製造された固体状の高分子量ポリコハク酸イミ
    ドに含有される溶媒を乾燥することにより、溶媒を含有
    しない固体状の高分子量ポリコハク酸イミドを製造する
    工程を含んで構成されるものである請求項5又は6に記
    載した高分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。
  11. 【請求項11】 液相重合が、0.1MPa以上、50
    MPa以下の圧力下、不活性ガス中において実施される
    ことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載した
    高分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。
  12. 【請求項12】 液相重合が、0.00001MPa以
    上、0.1MPa未満、の圧力下において実施されるこ
    とを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載した高
    分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。
  13. 【請求項13】 抽出溶媒が、有機溶剤、水、及び、酸
    性触媒からなる群から選択された少なくとも一種以上を
    含んでなるものである請求項7乃至12の何れかに記載
    したポリコハク酸イミドの製造方法。
  14. 【請求項14】 希釈溶媒が、非プロトン性極性溶媒、
    酸性触媒、水、及び、有機溶剤からなる群より選択され
    た少なくとも一種以上を含んでなるものである請求項9
    乃至13の何れかに記載した高分子量ポリコハク酸イミ
    ドの製造方法。
  15. 【請求項15】 有機溶剤が、 炭素原子数1〜20のアルコール、 炭素原子数3〜20のケトン、 炭素原子数3〜20のエーテル、及び、 炭素原子数3〜20の酢酸エステル からなる群から選択された少なくとも一種以上の有機溶
    剤を含んでなるものである請求項13又は14に記載し
    たポリコハク酸イミドの製造方法。
  16. 【請求項16】 有機溶剤が、メタノール、イソプロピ
    ルアルコール、及び、アセトンからなる群から選択され
    た少なくとも一種以上の有機溶剤を含んでなるものであ
    る請求項15に記載したポリコハク酸イミドの製造方
    法。
  17. 【請求項17】 酸性触媒が、リン酸素酸を含むもので
    あることを特徴とする請求項1乃至16の何れかに記載
    した高分子量ポリコハク酸イミドの製造方法。
  18. 【請求項18】 リン酸素酸が、オルトリン酸、ピロリ
    ン酸、ポリリン酸、及び、五酸化リンからなる群から選
    択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項
    17に記載した高分子量ポリコハク酸イミドの製造方
    法。
  19. 【請求項19】 請求項1乃至18の何れかに記載した
    製造方法により得られた高分子量ポリコハク酸イミド。
  20. 【請求項20】 請求項19で得た高分子量ポリコハク
    酸イミドを加水分解して得られた高分子量ポリアスパラ
    ギン酸(塩)。
  21. 【請求項21】 請求項19で得た高分子量ポリコハク
    酸イミドに対し、架橋反応、及び、加水分解反応を含む
    操作を実施して得られた吸水性ポリマー。
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JP2002179791A (ja) * 2000-12-07 2002-06-26 Mitsui Chemicals Inc 架橋ポリアスパラギン酸(塩)及びその製造方法
JP2003002971A (ja) * 2001-06-20 2003-01-08 Mitsui Chemicals Inc ポリコハク酸イミドの製造方法

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JP4677126B2 (ja) * 2001-06-20 2011-04-27 三井化学株式会社 ポリコハク酸イミドの製造方法

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