JP2000239158A - 易崩壊性錠剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】打錠性および水溶性に優れ、例えば、食品、ト
イレタリー、台所用品、浴用品、衣料用洗剤、溶解型肥
料などとして園芸用品に、また、胃腸薬などの医薬に好
適な易崩壊性錠剤を提供する。 【解決手段】飽和脂肪酸を構成脂肪酸とし、且つ、モノ
エステルの含量が４０〜８５重量％のショ糖脂肪酸エス
テルを含有して成る易崩壊錠剤。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、易崩壊性錠剤に関
し、詳しくは、打錠性と水溶性に優れた易崩壊性の錠剤
として、また、発泡剤を添加した発泡性錠剤として、食
品、トイレタリー、台所用品、浴用品、園芸用品や医薬
などに好適な錠剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】錠菓や錠剤の製造に際しては、従来か
ら、原料粉体の固結を防止し、流動性を改善して製錠装
置への充填性を良くすると共に、錠剤表面に光沢を与え
る滑沢剤として、ＨＬＢ２〜３のショ糖脂肪酸エステル
が使用されていた（特開昭４９−７４２１号公報、特開
昭５５−３６０号公報など）。

【０００３】近年、各種の成分を一度に有効摂取する目
的や、製品の保存安定性を高める上から、各種の粉体を
錠剤化する傾向が増加している。中には、出来上がった
錠剤を水に溶解して使用するケースもある。例えば、溶
解型肥料として園芸用に、また、胃腸薬などの医薬、入
れ歯や浴槽の洗浄用品などに、各種の錠剤が使用されて
いる。

【０００４】しかしながら、滑沢剤としてＨＬＢ２〜３
のショ糖脂肪酸エステルを使用した従来の錠剤は、水に
溶解して使用する様な易崩壊性あるいは発泡性の錠剤と
して使用する際、水溶性が劣るために短時間では水や温
水に溶解せず、また、経時的に不溶物が浮上もしくは沈
降し、使用に不便を感じたり、見栄えが悪いという問題
がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みなされたものであり、その目的は、打錠性および水溶
性に優れ、例えば、食品、トイレタリー、台所用品、浴
用品、衣料用洗剤、溶解型肥料などとして園芸用品に、
また、胃腸薬などの医薬に好適な易崩壊性錠剤を提供す
ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、飽和脂肪酸を構成脂肪酸とし、且つ、モノエステル
の含量が４０〜８５重量％のショ糖脂肪酸エステルを含
有して成ることを特徴とする易崩壊錠剤に存する。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の易崩壊性錠剤に使用される原料粉体としては、
水に溶解して使用される各種の粉体が挙げられる。例え
ば、錠菓や健康食品用の錠剤に配合されるブドウ糖、エ
リスリトール等の炭水化物、ビタミン、ミネラル等の各
種機能性成分、Ｎ、Ｐ、Ｋ等の栄養成分を含む園芸用の
溶解型肥料粉末、各種の薬効成分を含む医薬粉末などが
挙げられる。

【０００８】本発明に使用されるショ糖脂肪酸エステル
（ＳＥ）は、ＨＬＢが７〜１６のものが好ましい。従っ
て、本発明においては、飽和脂肪酸を構成脂肪酸とし、
且つ、モノエステルの含量が４０〜８５重量％、更に好
ましくは５０〜５５重量％のＳＥを使用する。この様な
ＳＥの使用により、打錠性と水溶性に優れた易崩壊性錠
剤を得ることが出来る。モノエステル含量が少なく、
ジ、トリ等の含量が多いＳＥでは十分な水溶性が得られ
ず、また、逆に、モノエステル含量が多すぎると打錠性
が低下し、不良製品の発生が多くて収率が低下する。

【０００９】飽和脂肪酸としては、炭素数１６〜１８の
飽和脂肪酸、具体的には、パルミチン酸およびステアリ
ン酸が好ましい。また、本発明においては構成脂肪酸の
種類が２種以上であるＳＥが好ましく、特に、パルミチ
ン酸とステアリン酸の割合が約３対７であるＳＥが好ま
しい。この様なＳＥとしては、三菱化学フーズ社の「リ
ョートーシュガーエステル（ＴＭ）」シリース゛、「Ｓ
−９７０」、「Ｓ−１１７０」、「Ｓ−１５７０」、
「Ｓ−１６７０」等の微粉砕品が挙げられる。特に、粒
径２０μｍ以下の微粉砕品が５０重量％以上含まれてい
るＳＥを使用した場合は、粉体の流動性が向上し、均一
に充填され、均一に圧縮成型されるので好ましい。

【００１０】本発明の易崩壊性錠剤におけるＳＥの含有
量は、通常、０．５〜４重量％、好ましくは１〜２重量
％である。特に、粒径２０μｍ以下の微粉砕品が５０重
量％以上含まれているＳＥを使用する場合は、ＳＥの含
有量が１重量％程度でも十分な効果が得られる。

【００１１】本発明の易崩壊性錠剤には、原料粉体とＳ
Ｅの他に、必要に応じ、糖類その他の成分を配合するこ
とが出来る。発泡性錠剤とする場合には、水との接触に
より気体を発生する成分を原料粉体に配合する。水との
接触により気体を発生する成分としては、一般に、水に
溶けて酸性を示す固体酸性物質と水溶性のアルカリ金属
またはアルカリ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩が使用
される。

【００１２】上記の固体酸性物質としては、蓚酸、クエ
ン酸、コハク酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸などが
挙げられる。上記の炭酸塩または重炭酸塩としては、炭
酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム等が挙げられる。

【００１３】固体酸性物質と炭酸塩または重炭酸塩の割
合は、水分下で反応するのに十分な量であれば特に制限
はなく、一般には等当量で添加するが、酸性物質の等当
量以上の炭酸塩または重炭酸塩を加えることが好まし
い。また、上記各成分の添加量についても特に制限はな
く、水に錠剤を投入した際、速やかに反応し炭酸ガスを
発生して錠剤を崩壊させるに十分な量を添加すればよ
い。具体的には、クエン酸、コハク酸などの有機酸を５
〜３０重量％、重曹を１０〜２０重量％配合することに
より、優れた発泡性を有する効果的な錠剤が得られる。

【００１４】本発明の易崩壊性錠剤は、通常、所定の割
合で上述の各成分を混合した後、定法に従って打錠機で
処理することにより得られる。錠剤の形状は、特に限定
されず、例えば、丸型、平板、三角状など、目的に応じ
て任意の形状とすることが出来、その大きさも適宜選ぶ
ことが出来る。

【００１５】

【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。

【００１６】実施例１〜２及び比較例１ 表１に示す配合（重量％）の原料粉体１００重量部に対
し、表２に示すＳＥを表３に示す量添加して試料を調製
し、打錠機（菊水社製）を使用し、打錠圧６００ｋｇｆ
で打錠して丸型の錠剤（直径８ｍｍ、中央部厚さ４ｍ
ｍ、約０．２ｇ）を得た。２００ｍｌ試験管に３７℃の
水を１００ｍｌ入れて振とう器（３７℃水浴）にセット
し、上記で得られた各錠剤１０錠を投入し、振幅３０ｍ
ｍ、１２０往復／分で１０分間振とうさせた後、溶解状
態を目視で観察した。結果を表３に示す。

【００１７】

【表１】

【００１８】

【表２】

【００１９】

【表３】

【００２０】実施例３〜４及び比較例２ 表４に示す配合（重量％）の原料粉体を使用した他は、
実施例１と同様にして丸型の発泡性錠剤（直径２０ｍ
ｍ、中央部厚さ８ｍｍ、約２．０ｇ）を得た。２００ｍ
ｌ試験管に３７℃の水を１００ｍｌ入れ、上記で得られ
た各錠剤１錠を投入し、１分間攪拌した後、溶解状態を
目視で観察した。結果を表５に示す。

【００２１】

【表４】

【００２２】

【表５】

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、打錠性と水溶性に優れ
た錠剤として、食品、トイレタリー、台所用品、浴用
品、衣料用洗剤、園芸用品や医薬などに好適な易崩壊性
錠剤が提供される。そして、本発明の易崩壊性錠剤は、
発泡剤を添加した発泡性錠剤とすることも出来る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠原 健史 東京都中央区銀座一丁目３番９号 三菱化 学フーズ株式会社内 Ｆターム(参考） 4C076 AA36 CC24 CC40 DD25 DD41 DD67 DD68 EE31 EE38 FF06 FF33 FF54

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 飽和脂肪酸を構成脂肪酸とし、且つ、モ
   ノエステルの含量が４０〜８５重量％のショ糖脂肪酸エ
   ステルを含有して成ることを特徴とする易崩壊錠剤。
2. 【請求項２】 飽和脂肪酸の炭素数が１６〜１８である
   請求項１に記載の錠剤。
3. 【請求項３】 構成脂肪酸が２種以上である請求項１又
   は２に記載の錠剤。
4. 【請求項４】 ショ糖脂肪酸エステルが粒径２０μｍ以
   下の微粉砕品を５０重量％以上含むものである請求項１
   〜３の何れかに記載の錠剤。
5. 【請求項５】 水との接触により気体を発生する成分
   を含有する発泡性錠剤である請求項１〜４の何れかに記
   載の錠剤。
6. 【請求項６】 気体を発生する成分として有機酸およ
   び重曹を含有する請求項５に記載の錠剤。