JP2000237015A - 浴室用鏡 - Google Patents

浴室用鏡

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JP2000237015A
JP2000237015A JP11041772A JP4177299A JP2000237015A JP 2000237015 A JP2000237015 A JP 2000237015A JP 11041772 A JP11041772 A JP 11041772A JP 4177299 A JP4177299 A JP 4177299A JP 2000237015 A JP2000237015 A JP 2000237015A
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mirror
grooves
film
water
groove
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English (en)
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Hidefumi Fujimoto
英史 藤本
Kaori Morihara
かおり 森原
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 浴室、シャワールームなど汚れ負荷量が大き
い環境下において、水膜を保持することによって防曇性
を維持しながら、鮮明な反射像を得ることができ、外観
上も普通の鏡と変わらず、乾いた状態での使用も可能な
鏡を提供する。 【解決手段】 ガラス本体の表面に縦方向に微細な外観
上透明な溝を設けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浴室、シャワール
ームなど汚染負荷量の大きい環境下において好適に使用
できる鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】特公平7−102168に開示されてい
るようにガラス本体の表面に横方向に無数のキズを入れ
て表面に平行な凹凸に形成し、該凹部の先端には極めて
細かいスリットを設けた鏡が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記方法によれば、確
かに鏡が清浄な状態である間は、キズの方向が横方向で
あるために鏡の両端まで水が十分に拡がり、水膜を保持
することによって鏡表面の曇りを防ぐことができる。し
かしながら、ひとたび何らかの汚れが付着し、少しでも
水をはじくようになると、今度はキズの方向が横方向で
あるがために、水はその表面張力によって玉になろうと
して鏡の端部から中央へと寄っていき、水膜を保持する
ことができなくなり、曇ってしまうのである。浴室は、
水道水中の金属イオンに起因する汚れ、石鹸かすや皮脂
などの他、洗髪・洗体時に使用する洗浄剤、特にリンス
中の保湿成分でもあるシリコーン、さらさら感を得るた
めのカチオン等、鏡表面が水をはじきやすくなる汚染物
が非常に多い。また、汚染物が多い上に、それらは洗髪
・洗体時に直接飛散したり、シャワーによって間接的に
飛散したり、鏡に付着しやすいのである。このように汚
染負荷量が大きい環境下において、横方向にキズを設け
た鏡が防曇性を保持することは、ほとんど不可能であっ
た。また、すりガラスのように目視にて確認できる程大
きな凹凸を設けた場合、水をかけて鏡表面に水膜を形成
してもその水膜は厚くなり、反射像はぼやけてしまう。
キズが横方向に設けてあるため、なおさら水は下にも落
ちず、横方向にも拡がらず、厚い水膜を形成することに
なるのである。このように反射像がぼやけてしまうた
め、髭剃りなど鮮明な反射像を必要とする行為を行うに
は非常に使いにくいものであった。また、水をかけなけ
れば鏡は使えず、鏡が乾いた状態での使用はできないと
いう不都合もあった。本発明では、以上の事情に鑑み、
汚れ負荷量が大きい環境下において、水膜を保持するこ
とによって防曇性を維持しながら、鮮明な反射像を得る
ことができ、外観上も普通の鏡と変わらず、乾いた状態
での使用も可能な鏡を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、ガラス本体
の表面に縦方向に微細な外観上透明な溝を設けた鏡を提
供する。溝を縦方向に設けることで、シャワーなどで水
をかけると水が鏡全体に均一に拡がるため、水膜は良好
な状態で保持され、防曇性を維持することができる。微
細で外観上透明な溝であるため、鮮明な反射像を得るこ
とができ、外観上も普通の鏡と変わらず、乾いた状態で
の使用も可能となる。
【0005】本発明の好ましい態様においては、溝の平
均深さ、幅は200nm以下とする。200nm以下、
つまり可視光の波長の半分以下とすることにより、水を
かけた時に形成される水膜の厚みが適切になり、より鮮
明な反射像を得ることができる。また、その溝は目視で
は認識できないものとなり、確実に外観上透明な溝とす
ることができる。
【0006】本発明の好ましい態様においては、鏡下端
角部を切り落とし、角を無くすようにする。水がかかり
にくく、水をはじきやすい鏡下端角部をあらかじめ無く
しておくことで鏡の撥水化を進行させない。また、鏡の
意匠性も向上する。
【0007】本発明の好ましい態様においては、鏡固定
具は鏡の表面に出ていないようにする。固定具が鏡表面
から出ているとその部分に水や汚れがたまりやすく、水
をはじくようになりやすいからである。少しでも水をは
じくようになったところがあるとその部分を基点にして
徐々にその周囲にまで撥水化が及んでいくのである。固
定具を表に出さないようにすることにより、鏡全体の意
匠性が向上し、高級感のある浴室に設置してもその意匠
を損ねることがない。
【0008】
【実施の形態】鏡表面に溝を付ける方法は、公知の方法
から選択すればよく、機械的に研磨して溝をつける方
法、溝状に被膜を形成する方法、化学的にエッチングし
て溝を設ける方法、溝をつけた型によって成形する方法
などいずれでも良い。また、あらかじめ溝をつけたガラ
スの裏面に反射膜を設けて製鏡してもよく、裏面に反射
膜を設けた通常の鏡、表面に反射膜を設けた鏡など鏡と
して完成したものの表面に溝をつけても良い。機械的に
研磨して溝をつける方法としては、金属酸化物粒子、研
磨紙、研磨剤、ナイロン不織布、たわしなどを用いるこ
とができる。溝状に被膜を形成する方法としては、下記
する金属酸化物のゾルをバーコーター、刷毛、スポン
ジ、布、紙などを使用して、一定方向に塗布することで
可能である。
【0009】表面に親水性を有する被膜を形成した鏡を
研磨して溝をつけても良い。親水性を有する被膜にさら
に溝を設けることで、より良好に水膜が形成されやすく
なる。ここでいう親水性を有する被膜とは、ポリアミ
ド、ポリアクリル酸などに代表される親水性高分子であ
る。
【0010】表面に微細な凹凸を有す鏡を研磨して溝を
つけても良い。微細な凹凸表面そのものが親水性を有す
ため、それにさらに溝を設けることで、水膜はより保持
されやすくなる。水膜保持によって、防曇性能の他、自
己清浄化性能、帯電防止(ほこり付着防止)性能も発揮
され、非常に好都合である。鏡表面に微細な凹凸を形成
する方法としては、限定されるものではないが、サンド
ブラスト、エッチングなどによって、鏡表面を研磨ある
いは侵食させて凹凸にする方法、ゾル塗布法、めっき
法、CVD法、スパッタリング、真空蒸着法などよっ
て、鏡表面上に凹凸を有する被膜を形成する方法、成形
型の凹凸を転写する方法などがある。
【0011】鏡表面を直接凹凸にする方法としては、ケ
ミカルエッチングが好ましい。ケミカルエッチングと
は、基材を例えば酸、アルカリ、過酸化物の溶液に浸漬
あるいはその溶液を加温した際に発生する蒸気に接触さ
せ、その化学反応によって表面処理を行う方法である。
使用する溶液としては、塩酸、硫酸、硫化アンモニウ
ム、フッ酸、フッ化ホウ素、ケイフッ化水素酸等の水溶
液が挙げられる。
【0012】鏡表面上に凹凸を有する被膜を形成する方
法としては、金属酸化物の1種以上を含有する層を基材
表面に被覆形成することが好ましい。これによれば、高
度な親水性を呈する所望の凹凸を容易に形成することが
できる。前記酸化物を被覆形成する方法としては、ゾル
塗布法、真空蒸着、スパッタリング、CVD法、めっき
法など公知の方法から選択してもよく、また、それ以外
でも良い。ゾル塗布法によれば、基材の大きさ、形状に
よって、設備上の制約をうけることがないので、特別の
設備を要せず、簡便に実施することができる。CVD
法、スパッタリング、真空蒸着によれば、大きな基材へ
の適用は設備上制約を受けるが、均一で安定した薄膜を
形成することが可能となる。これらの方法において処理
温度を高くすることにより、耐アルカリ性、耐温水性な
どの耐久性をより向上させることが可能である。
【0013】ここで、金属酸化物としては、シリカ、ア
ルミナ、ジルコニア、セリア、イットリア、ボロニア、
マグネシア、カルシア、フェライト、ハフニア、酸化チ
タン、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化第二鉄、酸
化第一銅、酸化第二銅、三酸化二ビスマス、酸化スズ、
酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化スト
ロンチウム、酸化バナジウム等の単一酸化物や、チタン
酸バリウム、ケイ酸カルシウム、水ガラス、アルミノケ
イ酸塩、リン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、
チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシ
ウム、アルミノシリケート等の複合酸化物が好適に利用
できる。中でも、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタ
ニア、酸化スズ、酸化亜鉛のいずれかを使用することが
好ましい。小さく細かい凹凸を形成するにはシリカ、ア
ルミナがよく、大きな凹凸を形成するにはジルコニア、
チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛が好ましい。ゾル塗布法
においては、粒子径、後述するゾルの性状に関して様々
なものが入手可能なシリカが好ましい。シリカは最も安
価であり、実用性が非常に高い。
【0014】金属酸化物粒子は水または親水性溶媒にコ
ロイド状に分散させたゾルの形態とされるのが好まし
い。親水性溶媒としては前記金属酸化物を安定に分散さ
せ、基材上に均一かつ平滑な被膜を形成させうるもので
ある限り、特に限定されないが、好ましいものとして
は、沸点が200℃以下の有機溶媒を挙げることができ
る。好ましい有機溶媒の例としては、メタノール、エタ
ノール、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブ
タノ−ル、イソブタノ−ル、n−ブタノ−ル、2−メチ
ルプロパノ−ル、ペンタノ−ル、エチレングリコ−ル、
モノアセトンアルコ−ル、ジアセトンアルコ−ル、エチ
レングリコ−ルモノメチルエ−テル、4−ヒドロキシ−
4−メチル−2−ペンタノン、ジプロピレングリコ−
ル、プロピレングリコ−ル、トリプロピレングリコ−
ル、1−エトキシ−2−プロパノ−ル、1−ブトキシ−
2−プロパノ−ル、1−プロポキシ−2−プロパノ−
ル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロ
ピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレング
リコ−ルモノエチルエ−テル、トリプロピレングリコ−
ルモノメチルエ−テル、2−ブトキシエタノール等のア
ルコール系溶剤や、n−ヘキサン、トルエン、キシレ
ン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤を挙げ
ることができる。
【0015】ゾル塗布法によって基材表面に被膜形成す
る場合においては、金属酸化物0.05〜20重量部、
溶媒99.95〜80重量部とするコーティング組成物
を使用することが好ましい。前記塗布液を基材表面に塗
布することにより、優れた防曇性を有し、光干渉や白濁
のない透明な膜を形成することができる。また、平均粒
子径1〜100nmの粒状金属酸化物、平均径1〜50
nm、平均長さ10〜1000nmの鎖状金属酸化物、
平均径1〜50nm、平均長さ10〜500nmの羽毛
状または棒状金属酸化物のいずれかを使用することが好
ましい。平均粒子径1〜100nmの粒状金属酸化物と
しては、シリカ、ジルコニアなどが、平均径1〜50n
m、平均長さ10〜1000nmの鎖状金属酸化物とし
ては、シリカ、アルミナなどが、平均径1〜50nm、
平均長さ10〜500nmの羽毛状または棒状金属酸化
物としては、アルミナ、チタニアなどが挙げられる。鎖
状、羽毛状、棒状金属酸化物を使用すれば、基材表面に
形成した膜の耐久性を向上させることができる。また、
粒状無機酸化物を使用すれば、所望の凹凸を有した上で
より平滑性の高い膜を形成することができる。
【0016】基材表面層には前記金属酸化物を前記基材
表面に固定するためのバインダーを含有させることが好
ましい。バインダーにより基材表面との密着性は向上
し、さらに高度な耐久性、耐摩耗性がえられるからであ
る。バインダーとしては、釉薬、水ガラス、シリコーン
等の無機質のバインダー、熱硬化性樹脂、光硬化性樹
脂、熱可塑性樹脂等の有機質のバインダー等が利用でき
る。
【0017】前記塗布液には、界面活性剤を含むことが
できる。添加が可能な界面活性剤の例としては、スルホ
ン酸ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テルアン
モニウム塩、スルホン酸ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエ−テルナトリウム塩、脂肪酸カリセッケン、脂
肪酸ナトリウムセッケン、ジオクチルスルホコハク酸ナ
トリウム、アルキルサルフェ−ト、アルキルエ−テルサ
ルフェ−ト、アルキルサルフェ−トソ−ダ塩、アルキル
エ−テルサルフェ−トソ−ダ塩、ポリオキシエチレンア
ルキルエ−テルサルフェ−ト、ポリオキシエチレンアル
キルエ−テルサルフェ−トソ−ダ塩、アルキルサルフェ
−トTEA塩、ポリオキシエチレンアルキルエ−テルサ
ルフェ−トTEA塩、2−エチルヘキシルアルキル硫酸
エステルナトリウム塩、アシルメチルタウリン酸ナトリ
ウム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウ
リル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸
ラウリル2ナトリウム、ポリカルボン酸、オレオイルザ
ルコシン、アミドエ−テルサルフェ−ト、ラウロイルザ
ルコシネ−ト、スルホFAエステルナトリウム塩等のア
ニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエ−
テル、ポリオキシエチレントリデシルエ−テル、ポリオ
キシエチレンアセチルエ−テル、ポリオキシエチレンス
テアリルエ−テル、ポリオキシエチレンオレイルエ−テ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシ
エチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェノ−ルエ−テル、ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエ−テル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ
−テル、ポリオキシエチレンラウラ−ト、ポリオキシエ
チレンステアレ−ト、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエ−テル、ポリオキシエチレンオレエ−ト、ソルビ
タンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン
アルキルエステル、ポリエ−テル変性シリコ−ン、ポリ
エステル変性シリコ−ン、ソルビタンラウラ−ト、ソル
ビタンステアレ−ト、ソルビタンパルミテ−ト、ソルビ
タンセスキオレエ−ト、ソルビタンオレエ−ト、ポリオ
キシエチレンソルビタンラウラ−ト、ポリオキシエチレ
ンソルビタンステアレ−ト、ポリオキシエチレンソルビ
タンパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンオレ
エ−ト、グリセロ−ルステアレ−ト、ポリグリセリン脂
肪酸エステル、アルキルアルキロ−ルアミド、ラウリン
酸ジエタノ−ルアミド、オレイン酸ジエタノ−ルアミ
ド、オキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレ
ンドデシルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミ
ン、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、ポリオキ
シエチレンアルキルプロピレンジアミン、ポリオキシエ
チレンオキシプロピレンブロックポリマ−、ポリオキシ
エチレンステアレ−ト等のノニオン性界面活性剤;ジメ
チルアルキルベタイン、アルキルグリシン、アミドベタ
イン、イミダゾリン等の両性界面活性剤;オクタデシル
ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルジ
メチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシル
ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイル
ジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシ−2
−アルキルイミダゾリン4級塩、アルキルイソキノリニ
ウムブロマイド、高分子アミン、オクタデシルトリメチ
ルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモ
ニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムク
ロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ア
ルキルイミダゾリン4級塩、ジアルキルジメチルアンモ
ニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラ
デシルアミン酢酸塩、アルキルプロピレンジアミン酢酸
塩、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等のカチ
オン性界面活性剤等が挙げられる。
【0018】前記塗布液を基材表面に塗布する方法は、
公知の方法から適宜選択すればよく、エアーガン、エア
レスガン、エアゾールスプレー等を用いたスプレーコー
ティング法、スピンコーティング法、ディップコーティ
ング法、フローコーティング法、ロールコーティング
法、刷毛塗り法、スポンジ塗り等があげられるが、これ
らに限定されるものではない。また、前記塗布液を基材
表面に塗布する前の処理として、各種シャンプーやプラ
イマー類、洗浄剤、コンパウンド類、帯電防止剤等を用
いることもできる。
【0019】塗布液を基材表面に塗布した後の熱処理
は、塗布液、基材の種類・性質に応じて適宜行えばよ
く、自然乾燥、加熱、赤外線・紫外線照射等いずれの方
法でも良い。単に溶媒を揮散させ乾燥したのみでもよい
場合もある。 熱処理を行う場合の方法としては、物品
の表面に表面処理剤を塗布しついで熱処理するが、塗布
および熱処理の回数は2回以上であってもよい。塗布の
みを複数回繰り返した後一度で熱処理すること、塗布と
熱処理の一連の操作を複数回行うことなど、様々な方法
が挙げられる。
【0020】あらかじめ凹凸を形成した基材表面上に、
さらに金属酸化物からなる凹凸層を形成することも可能
である。あらかじめ形成する凹凸は、公知の方法より選
択すれば良いが、前記のようにゾル塗布法、真空蒸着
法、スパッタリング、CVDによって形成することが好
ましく、その凹凸構造は前述の凹凸高さ・幅・表面粗さ
の範囲に入っていることが好ましい。凹凸層を形成する
金属酸化物としては、前述の金属酸化物の中から選べば
良いが、特にシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニ
ア、酸化スズ、酸化亜鉛を使用することが好ましい。こ
れらの金属酸化物のうち、ジルコニア、チタニア、酸化
スズ、酸化亜鉛等の光触媒活性を有しているものを使用
することが好ましい。光触媒の親水化機能により、室内
の照明や窓からの入射光などから得られる紫外線の存在
下で、より一層親水性を高めることが可能となる。さら
に、光触媒の分解機能により、防汚・防臭などの効果も
期待できる。これらの酸化物のゾルを使用してゾル塗布
法により形成することが好ましい。ゾルは様々な粒子径
・性状のものが入手可能であり、表面に形成した凹部に
入り込ませるために最適なものを選ぶことができる。酸
化物ゾルは前述の各種金属酸化物が挙げられるが、中で
も粒子径が50nm以下のものが好ましい。あらかじめ
形成した凹凸に入り込むため、基材表面の表面積は大き
くなり、一層親水性が高まるからである。また、スパッ
タあるいはCVDによって前記酸化物の被膜を形成する
方法も好ましい。スパッタあるいはCVDによれば、被
膜形成する前の親水性複合材の凹凸を生かした被膜を形
成することが可能となる。CVDやスパッタにおいて処
理温度を高くすることにより、耐アルカリ性、耐温水性
などの耐久性をより向上させることが可能である。
【0021】また、基材の最表面には、金属粒子を光還
元法により、固定することも可能である。この場合、電
子捕捉効果を有する金属を添加することにより、親水機
能を高めることができる。電子捕捉効果を有する金属と
は、Pt、Pd、Au、Ag、Cu、Ni、Fe、C
o、Zn等のイオン化傾向の小さく、自身が還元されや
すい金属をいう。これらの金属は、複数併用しても構わ
ない。この場合の金属の平均粒子径は200nm以下で
あることが好ましい。光の干渉、乱反射による発色、白
濁を防止するためである。
【0022】また、基材表面に形成した金属酸化物層粒
子の間隙にその間隙よりも小さな粒径の粒子を充填させ
ることも可能である。間隙に粒子を充填することで、基
材表面の表面積を大きくすることができ、親水性の向上
につながる。また、間隙に充填した粒子によって、金属
酸化物層粒子を結合させることができ、基材への密着性
が向上する。前記間隙より小さい粒径の粒子としては、
Sn、Ti、Ag、Cu、Zn、Fe、Pt、Co、P
d、Ni等が挙げられる。前記電子捕捉効果を有する金
属を充填すれば、さらなる親水性の向上が期待できる。
【0023】縦方向につける溝は垂直、斜線状、放射線
状、いずれでもよく、その間隔は等間隔であってもラン
ダムでも良い。水をはじきやすい両端部は、水のかかり
やすく水膜の保持されやすい中央付近よりも、溝の間隔
を狭くするほうが好ましい。また、溝は鏡の上端から下
端まで連続であっても、非連続であってもよい。鏡の中
央付近には水がかかりやすいため、中央付近から下部ま
での溝を多く設けることも一案である。
【0024】固定具を突出させない方法としては、公知
の方法より適宜選択されてよいが、鏡の裏面に係止する
ための金具を取付ける方法や、固定具を使わず、鏡を直
接壁面に接着する方法や磁石にて取付ける方法等を用い
ても良い。
【0025】
【実施例】(実施例1)200mm×300mmの鏡を
5枚準備した。そのうち1枚は、下端角部を丸くカット
した。4枚のうち2枚および下端角部を丸くカットした
鏡をセリア粒子によって縦方向に研磨し、溝をつけた。
1枚はセリア粒子によって横方向に研磨し、溝をつけ
た。残りの1枚は比較のため何の処理も施さなかった。
これらの5枚の鏡を浴室内に設置して実入浴試験を行っ
た。縦方向に溝をつけた長方形の鏡2枚のうち、1枚は
鏡の固定具を使用せず、裏面に強力磁石を貼り付けて設
置した。比較試料を含む残りの4枚の鏡は従来通りの固
定具を用いて設置した。尚、入浴は1日4人とし、評価は
入浴終了後、鏡に水をかけ、2分後に鏡表面が水膜を維
持しているか否かを目視にて確認した。結果は各々の鏡
が水膜を維持できた日数を示した。その結果を下表に示
す。
【0026】
【表1】
【0027】表1からわかるように、水膜を維持できる
日数は、横溝を設けた鏡と従来鏡とで大差はない。しか
し、縦溝をつけた鏡では飛躍的に良くなった。また、角
部を丸くカットした鏡、裏面で固定した鏡はさらに水膜
を維持できた日数が延びた。このことから、鏡に縦溝を
つけることは、水膜を維持するために有効であることが
確認できた。また、下部角部を無くすこと、固定具を突
出させないことは水膜を良好に維持していく上でさらに
有効であることが確認できた。
【0028】(実施例2)サイズ200mm×300m
mの鏡を4枚準備し、下記のように4種類の試料を作成
した。試料1としてセリア粒子で、試料2として120
0番の研磨紙で縦方向に溝をつけた鏡を作成した。次に
スピンコート法にてシリカゾルを塗布した鏡をナイロン
不織布(住友スリーエム製、スコッチ・ブライト、バス
シャインのハード面)にて一定方向に強く擦り、試料3
を作成した。バーコート法にてシリカゾルを鏡に塗布し
て試料4を作成した。それぞれの鏡について、溝が形成
されているかを確認し、溝の深さ・幅を測定した後、鏡
の外観と反射像についての評価をおこなった。尚、溝形
成の有無は、電界放射型走査電子顕微鏡(日立製作所
製、S4100型)にて確認し、溝の深さと幅は、走査
型プローブ顕微鏡(デジタルインスツルメンツ社製、D
3000)のAFM(原子間力顕微鏡)モードにて測定
した。外観・反射像は、10人のモニターに下記の4段
階の基準で評価してもらった。結果を表2に示す。 外観 3点:溝(傷)は見えない 2点:溝(傷)は見えるが気にならない 1点:溝(傷)が少し気になる(我慢できる) 0点:溝(傷)がとても気になる(我慢できない) 水をかけた時の反射像の鮮明度 3点: ぼやけることなく鮮明な反射像が得られる 2点: 一部ぼやけるが使用に問題はない 1点: 全体的にぼやけるが何とか使用できる(我慢で
きる) 0点: 反射像はぼやけて使えない(我慢できない)
【0029】
【表2】
【0030】表2からわかるように、いずれの鏡も縦方
向に溝が形成されていることが確認できた。セリア粒子
で溝をつけた鏡、シリカゾルをコーティングした後、ナ
イロン不織布にて擦った鏡、シリカゾルをバーコーティ
ングした鏡は、溝(傷)は見えず、鮮明な反射像がえら
れることがわかった。一方、研磨紙で溝をつけた鏡は、
溝が見えてやや気になり、反射像はぼやけることがわか
った。溝の深さ・幅は細かいほど外観、反射像とも良い
評価が得られた。このことから、溝の深さ・幅が200
nm以下であれば、外観上透明な溝となり、鮮明な反射
像が得られることが示唆された。
【0031】
【発明の効果】浴室、シャワールームなど汚れ負荷量が
大きい環境下において、水膜を保持することによって防
曇性を維持しながら、鮮明な反射像を得ることができ、
外観上も普通の鏡と変わらず、乾いた状態での使用も可
能な鏡を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一態様を示す正面図である。
【図2】 本発明の異なる一態様を示す正面図である。
【図3】 固定具を鏡表面に突出させない様に固定した
例を示す側面図である。
【図4】 従来例(横方向に溝をつけた鏡)を示す正面
図を示す。
【図5】 図4の従来例の固定状態を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
1 : 鏡 2 : 鏡
固定具 3 : 壁

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鏡表面に、縦方向に微細な外観上透明な
    溝を設けたことを特徴とする浴室用鏡。
  2. 【請求項2】 前記溝の平均深さおよび幅は200nm
    以下であることを特徴とする請求項1記載の浴室用鏡。
  3. 【請求項3】 前記鏡は下端角部の角を無くしたことを
    特徴とする請求項1または2に記載の浴室用鏡。
  4. 【請求項4】 前記鏡の固定具は、鏡表面に突出してい
    ないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記
    載の浴室用鏡。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010047362A (ja) * 2008-08-21 2010-03-04 Fujitec Co Ltd エレベータの鏡装置
JP2019177069A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 Toto株式会社 鏡の固定構造

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