JP2000234109A - 積層セラミックコンデンサー電極用金属粉末の製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサー電極用金属粉末の製造方法

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JP2000234109A
JP2000234109A JP3153699A JP3153699A JP2000234109A JP 2000234109 A JP2000234109 A JP 2000234109A JP 3153699 A JP3153699 A JP 3153699A JP 3153699 A JP3153699 A JP 3153699A JP 2000234109 A JP2000234109 A JP 2000234109A
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powder
metallic
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Tadakuni Naya
匡邦 納谷
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶性・分散性が高い金属微粉末が得られる
気相化学反応法による製造方法を改良し、充填性(ひい
ては電極形成能力)も高く、かつ電極薄層化傾向に添い
得る積層セラミックコンデンサー電極用金属粉末を製造
する方法を提供する。 【解決手段】 金属塩化物蒸気の一部を水蒸気と反応さ
せて金属酸化物粒子を生成させた後、該水蒸気と未反応
の金属塩化物蒸気および該金属酸化物粒子から水素還元
により金属粒子を生成させ、該金属粒子を回収すること
からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層セラミックコ
ンデンサーの内部電極および外部電極に用いられる金属
粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】積層セラミックコンデンサーは、誘電体
と内部電極とが交互に積み重ねられた積層体と、該積層
体の端部に取り付けられた外部電極とからなり、次のよ
うにして作製する。
【0003】(1)誘電体を粉末化する。誘電体は、一
般に、チタン酸バリウム、チタン酸鉛などのペロブスカ
イト型酸化物が用いられる。
【0004】(2)粉末化した誘電体からドクターブレ
ード法により誘電体シートを形成する。
【0005】(3)誘電体シートの表面に内部電極用金
属ペーストをスクリーン印刷法にて転写し、乾燥する。
内部電極用金属ペーストは、一般に、金属微粉末、有機
ビヒクル、希釈溶剤などから構成され、有機ビヒクルに
金属微粉末をロールミルなどで混練し希釈溶剤を加える
ことにより製造される。
【0006】(4)乾燥したシート状部材を所定枚数重
ね、圧縮して、圧着する。
【0007】(5)圧着した積層体を電気炉(通常はベ
ルト炉)に装入して1300℃程度の温度で焼成して、
内部電極用金属ペースト中の有機ビヒクルを燃焼させ、
引き続き誘電体や金属ペースト中の金属微粉末を焼結さ
せる(焼結積層体の形成)。
【0008】(6)焼結体の両端を磨き、内部電極を露
出させた後、外部電極用金属ペーストにその磨かれた端
面を浸し、乾燥する。外部電極用金属ペーストは、一般
に、金属微粉末、有機ビヒクル、希釈溶剤などから構成
され、有機ビヒクルに金属微粉末をロールミルなどで混
練し希釈溶剤を加えることにより製造される。
【0009】(7)乾燥した焼結体を電気炉(通常はベ
ルト炉)に装入して900℃程度の温度で焼成して、外
部電極用金属ペースト中の有機ビヒクルを燃焼させ、引
き続き金属ペースト中の金属微粉末を焼結させる(外部
電極の形成)。
【0010】(8)(7)で得られた焼結体は、外部電
極に半田をのせ易くするため、外部電極表面にニッケル
めっきなどを施し、積層セラミックコンデンサーとす
る。
【0011】上記電極(内部電極・外部電極)用金属ペ
ーストに用いられる金属微粉末には種々の特性が要求さ
れている。特に重要とされる特性としては、微粉末粒子
の結晶性、分散性、および金属ペーストにしたときの充
填性である。いずれも高い方が優れる。
【0012】(1)微粉末粒子の結晶性 結晶性が重視される理由は、焼成時における金属微粉末
の焼結挙動に結晶性が大きく影響するためである。金属
ペーストにバインダとして含まれている有機ビヒクルを
熱分解させる(脱バインダ)ために焼成時の雰囲気に少
量加える酸素によって、結晶性の低い微粉末粒子は酸化
を受けやすい。粒子が酸化した金属微粉末は焼結性が極
端に悪化するので焼結が満足に進まず、そのため目的と
する静電容量が得られず電極として機能しない。また、
酸化を受けない雰囲気で脱バインダしても、金属微粉末
が過焼結となって島状に孤立したようになり、そのため
やはり、目的とする静電容量が得られず電極として機能
しない。
【0013】(2)微粉末粒子の分散性 分散性の悪い金属微粉末は、凝集性が強いために、3本
ロールミルなどによって混練しペースト化しても、ペー
スト中において粒子がほぐれず凝集状態で存在する場合
が多い。そのため、焼成の際に電極表面に突起となって
しまう場合が多い。このような突起があると、電荷の集
中がおき積層セラミックコンデンサーの耐電圧性が大き
く劣化してしまう。外部電極がこのような状態になる
と、外観形状不良ともなる。
【0014】(3)金属ペーストにしたときの充填性 充填性が重視される理由は、内部電極の膜形成性(電極
形成能力)に充填性が大きく影響するためである。充填
性の低い金属微粉末を内部電極形成に用いた場合には、
内部電極ペースト中に金属微粉末粒子を充分均一に分散
しきれず、ペースト印刷後の乾燥工程においてポアが多
数残留し、ポアが残ったまま焼結が進むので、焼結後の
電極膜はポーラスで不均一になってしまう。そのため、
設計した電極面積(有効電極面積)、従って目的とする
静電容量が得られず電極として機能しない。
【0015】ところで、近年、積層セラミックコンデン
サーはより小型化される傾向にあり、これに伴い内部電
極層も薄層化される傾向にある。そして、内部電極層を
薄層化するために、従来品に比べ粒子径の小さい金属微
粉末を用いるようになってきている。
【0016】以上のことから、結晶性・分散性・充填性
のいずれも高く、かつ粒子径のできるだけ小さい積層セ
ラミックコンデンサー電極用金属微粉末の製造方法とし
て、気相化学反応法によるNi微粉末の製造方法が提案
されている(特開平4−365806号公報)。この方
法では、原料である塩化ニッケルを蒸発させる蒸発部
と、該蒸発部に連なる水素ガス反応部と、該水素ガス反
応部に連なる微粉末回収部とからなる装置を用いる。こ
の装置の蒸発部には、塩化ニッケル蒸気の濃度を制御す
るとともに該蒸気を移送するためのキャリアガス(例え
ばアルゴンガス)を導入するキャリアガス導入管が配置
される。また、水素ガス反応部には、水素ガスによる化
学反応(水素還元反応)を起こすための水素ガスを供給
する水素ガス供給管が配置される。この装置を用いてN
i微粉末を製造する際、蒸発部において、塩化ニッケル
を蒸発させ、塩化ニッケル蒸気をキャリアガスと混合
し、キャリアガス・塩化ニッケル蒸気混合ガスとして水
素ガス反応部に移送する。移送されたキャリアガス・塩
化ニッケル蒸気混合ガスを水素ガス反応部において水素
ガスと混合し接触させて、水素還元反応を起こす。この
反応によりNi微粉末が生成する。生成したNi微粉末
を微粉末回収部で回収する。こうして得られたNi微粉
末は、結晶性・分散性が高く、かつ粒子径も0.1〜1
μm程度で非常に小さい。
【0017】しかしながら、上記気相化学反応法による
製造方法で製造したNi微粉末を用いて内部電極を形成
すると、該Ni微粉末の粒子径が小さくて充填性が悪い
ために有効電極面積が設計通りに得にくいという問題が
発生してきている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み、結晶性・分散性が高い金属微粉末が得られる上記
気相化学反応法による製造方法を改良し、充填性(ひい
ては電極形成能力)も高く、かつ電極薄層化傾向に添い
得る積層セラミックコンデンサー電極用金属粉末を製造
する方法を提供することを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、次の(1)〜(4)の事
項を見いだし、本発明に到達した。
【0020】(1)金属粉末の粒度分布の幅を広くする
と、充填性が高まる。
【0021】(2)上記気相化学反応法による製造方法
で製造された金属微粉末は、粒度分布の幅を十分広くす
ることができない。
【0022】(3)充電性を充分高めることができれ
ば、粉末粒子の粒子径を必ずしも小さくしなくても電極
薄層化傾向に添い得る。
【0023】(4)金属酸化物粒子から水素還元によっ
て得られる金属粉末は、金属塩化物蒸気から水素還元に
よって得られる金属粉末より、粒子径が大きい。
【0024】すなわち、本発明の積層セラミックコンデ
ンサー電極用金属粉末の製造方法は、金属塩化物蒸気の
一部を水蒸気と反応させて金属酸化物粒子を生成させた
後、該水蒸気と未反応の金属塩化物蒸気および該金属酸
化物粒子から水素還元により金属粒子を生成させ、該金
属粒子を回収することからなる。
【0025】本発明において、金属はNi、Cu、A
g、Pdなどが例示できる。金属塩化物蒸気は、アルゴ
ンガスなどのキャリアガスと混合されて水蒸気と反応す
るのが好ましく、また水蒸気は、アルゴンガスなどのキ
ャリアガスと混合されて金属塩化物蒸気と反応するのが
好ましい。さらに、金属酸化物粒子の生成量は、水蒸気
の量で調整することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】従来の気相化学反応法による金属
微粉末製造方法は、次のようである。まず、金属塩化物
を加熱して昇華させ、反応性の少ない気体中に均一に分
散させる。次に、反応性の少ない気体中に分散した金属
塩化物蒸気を水素ガスと接触させ、水素還元反応を起こ
す。この反応により、粒子径が0.1〜1μm程度の金
属微粉末が生成する。この金属微粉末の粒子径は、金属
塩化物蒸気濃度に比例するので該濃度を制御することに
より調整できるが、該濃度は変化させにくいので、生成
した金属微粉末の粒度分布(粒子径の範囲)は非常に狭
くなる。
【0027】これに対して本発明の金属粉末製造方法で
は、原料である金属塩化物を蒸発させる蒸発部と、該蒸
発部に連なる水蒸気反応部と、該水蒸気反応部に連なる
水素ガス反応部と、該水素ガス反応部に連なる粉末回収
部とからなる装置を用いる。この装置の蒸発部には、金
属塩化物蒸気の濃度を制御するとともに該蒸気を移送す
るためのキャリアガス(例えばアルゴンガス)を導入す
るキャリアガス導入管が配置される。また、水蒸気反応
部には、水蒸気による化学反応(加水分解反応)を起こ
すための水蒸気を供給する水蒸気供給管が配置される。
さらに、水素ガス反応部には、水素ガスによる化学反応
(水素還元反応)を起こすための水素ガスを供給する水
素ガス供給管が配置される。
【0028】本発明方法により金属粉末を製造する際、
上記装置の蒸発部において、金属塩化物を蒸発させ、金
属塩化物蒸気をキャリアガスと混合し、キャリアガス・
金属塩化物蒸気混合ガスとして水蒸気反応部に移送す
る。
【0029】移送されたキャリアガス・金属塩化物蒸気
混合ガスを、水蒸気反応部において水蒸気と混合し接触
させて、該金属塩化物蒸気の一部に加水分解反応を起こ
す。この反応により、粒子径が1〜10μm程度の金属
酸化物粒子が生成する。金属酸化物粒子の生成量は、水
蒸気反応部に供給する水蒸気量で調整する。水蒸気は、
水蒸気単味で水蒸気反応部に供給してもよいが、水蒸気
供給量を制御しやすくするとともに加水分解反応後のガ
スや粒子を移送しやすくするためのキャリアガスと混合
してキャリアガス・水蒸気混合ガスとした後に供給する
こともできる。
【0030】生成した金属酸化物粒子を未反応の金属塩
化物蒸気とともに水素ガス反応部に移送する。水素ガス
反応部において、金属酸化物粒子および未反応金属塩化
物蒸気と水素ガスとを接触させて水素還元反応を起こ
す。この反応により金属粉末が生成する。水素ガス反応
部で生成した金属粉末粒子の粒子径は、該金属粉末粒子
が金属酸化物粒子の水素還元により生成した場合、該金
属酸化物粒子の粒子径とほぼ同様の1〜10μm程度に
なる。これに対して、金属粉末粒子が水素ガス反応部に
おいて未反応の金属塩化物蒸気の水素還元により生成し
た場合、前述したように0.1〜1μm程度である。
【0031】生成した金属粉末を粉末回収部で回収す
る。
【0032】本発明方法では以上のようにして金属粉末
を製造するので、水蒸気反応部に供給する水蒸気量を主
として制御することにより、最終的に得られる金属粉末
の粒度分布(粒子径の範囲)を任意に広く調整すること
ができる。このような金属粉末は、結晶性・分散性・充
填性・電極形成能力のいずれも高く、しかも電極薄層化
傾向に添い得る。そのため、積層セラミックコンデンサ
ー電極用に好適である。高い充填性および電極形成能力
が得られるのは、金属酸化物粒子の還元により生成した
比較的粗い金属粒子が未反応金属塩化物蒸気の還元によ
り生成した金属微粒子中に均一に分散するので、該微粒
子のペースト中への分散性を該粒子が向上させるためで
あると考えられる。
【0033】
【実施例】以下、実施例および比較例を用いて本発明を
より詳しく説明する。
【0034】以下に述べる実施例および比較例におい
て、試薬NiCl2 ・6H2 O(和光純薬(株)製)を
180℃で72時間乾燥して結晶水を除いたものを原料
に用いた。
【0035】図1は使用した金属粉末製造装置の模式図
である。図1の装置は、原料を蒸発させる蒸発部10
と、蒸発部10に連なる水蒸気反応部20と、水蒸気反
応部20に連なる水素ガス反応部30と、水素ガス反応
部30に連なる粉末回収部40とからなる。
【0036】蒸発部10は、直径30cm、高さ1mの
空洞円柱(円筒)状である。そして、蒸発部10には、
原料を収容し加熱し(加熱器は図示せず)て蒸発させる
原料収容器11、および蒸発した原料蒸気の濃度を制御
するとともに該蒸気を移送するためのアルゴンガスを加
熱し(加熱器は図示せず)て導入するアルゴンガス導入
管12が配置されている。
【0037】蒸発部10の側面中央に直径10cm、長
さ2mの空洞円柱(円筒)状物をつなぎあわせ、該空洞
円柱状物の中途に隔壁52を設けて、水蒸気反応部20
および水素ガス反応部30を形成している。隔壁52は
貫通孔51を有する。
【0038】水蒸気反応部20に、加水分解反応を起こ
すための水蒸気を加熱し(加熱器は図示せず)て供給す
る水蒸気供給管21(Ni製、直径8mm)、および該
加水分解反応の反応温度を制御する加熱器(図示せず)
が配置されている。水蒸気は、その供給量を制御しやす
くするとともに加水分解反応後のガスや粒子を移送しや
すくするためのアルゴンガスと混合室22で混合してア
ルゴンガス・水蒸気混合ガスとした後に、水蒸気供給管
21から水蒸気反応部20に供給する。
【0039】貫通孔51を経て流入した金属酸化物粒子
と未反応金属塩化物蒸気とを水素還元する水素ガスを加
熱し(加熱器は図示せず)て供給する水素ガス供給管3
1(Ni製、直径8mm)、および該水素還元の反応温
度を制御する加熱器(図示せず)が、水素ガス反応部3
0に配置されている。
【0040】水素ガス反応部30と粉末回収部40との
隔壁41に貫通孔53が設けてあり、粉末回収部40に
は、貫通孔53を経て流入した水素還元後のガスや金属
粉末粒子を固気分離するフィルター42が配置されてい
る。金属粉末粒子はフィルター42上に、ガスはフィル
ター42を通過しガス排出管43から排出し適宜処理さ
れる。
【0041】[実施例1〜3]蒸発部10において原料
(塩化ニッケル)を1000℃で蒸発させ、原料蒸気を
5リットル/分のアルゴンガスとの混合ガスとして水蒸
気反応部20に移送した。水蒸気反応部20は1000
℃に保持するようにした。アルゴンガス・原料蒸気混合
ガスの移送と同時に、流量が5リットル/分で、40℃
(実施例1)、60℃(実施例2)、80℃(実施例
3)で飽和した水蒸気を含むアルゴンガス・水蒸気混合
ガスを水蒸気供給管21から水蒸気反応部20に供給し
た。水蒸気反応部20において、アルゴンガス・原料蒸
気混合ガスとアルゴンガス・水蒸気混合ガスとを混合し
接触・反応させて、酸化ニッケル粒子を生成させた。生
成した酸化ニッケル粒子を未反応の塩化ニッケル蒸気な
どのガスとともに、貫通孔51を経て水素ガス反応部3
0に移送した。水素ガス反応部30は1100℃に保持
するようにした。水素ガス反応部30において、水蒸気
反応部20から移送された酸化ニッケル粒子および未反
応塩化ニッケル蒸気を、水素ガス供給管31から供給さ
れる5リットル/分の水素ガスと接触・反応させて、ニ
ッケル粉末を生成させた。このようにしてニッケル粉末
を3時間継続して生成させた。生成したニッケル粉末を
粉末回収部40のフィルター42上に回収した。
【0042】以上のニッケル粉末製造条件の主なものを
表1に示す。
【0043】次に、回収したニッケル粉末について、粒
度分布、充填性および電極形成能力を評価した。
【0044】粒度分布の評価は、粒度分布測定装置(マ
イクロトラック(株)製HRA−X100型)でニッケ
ル粉末の粒度分布を測定した後、積算粒度分布における
積算値が10体積%となる粒子径d10および同積算値が
90体積%となる粒子径d90を求め、粒子径比r(=d
90/d10)を算出することにより行った。rの値が大き
いほどニッケル粉末の粒度分布(粒子径の範囲)が広い
ことになる。
【0045】充填性の評価は、ニッケル粉末:50重量
%・セルロース樹脂:2重量%・ターピネオール:48
重量%なる組成でニッケル粉末をペースト化し、縦4c
m・横4cm・厚み100μmで塗布し、そして50℃
で62時間乾燥して乾燥膜を作製した後、乾燥膜の寸法
および重量を測定し、乾燥膜の密度を算出することによ
り行った。乾燥膜の密度が高いほど充填性が高いことに
なる。
【0046】電極形成能力の評価は、ニッケル粉末:5
0重量%・セルロース樹脂:2重量%・ターピネオー
ル:48重量%なる組成でニッケル粉末をペースト化
し、アルミナ基板に印刷し、そして80℃で2時間乾燥
して1300℃の中性雰囲気で焼成して膜厚1μmの焼
成膜を作製した後、焼成膜のバックライトデンシティー
を測定することにより行った。バックライトデンシティ
ーは、焼成膜の裏面から光を当て透過光の通過した面積
Sを求め、光を当てた面積S0 に対する(S0 −S)の
百分率[{(S0 −S)/S0 }×100]を算出して
求めた。バックライトデンシティーが高いほど電極形成
能力が高いことになる。
【0047】得られた結果を表2に示す。
【0048】[比較例1]原料(塩化ニッケル)蒸気を
10リットル/分のアルゴンガスとのアルゴンガス・原
料蒸気混合ガスとしたこと、およびアルゴンガス・水蒸
気混合ガスを水蒸気反応部20に供給しなかったこと以
外は、実施例1と同様に試験した。従って、アルゴンガ
ス・原料蒸気混合ガスは、1000℃の水蒸気反応部2
0を水蒸気との接触なしに通過した。
【0049】以上のニッケル粉末製造条件の主なものを
表1に、得られた結果を表2に示す。
【0050】
【表1】 (注)流量の単位はすべてリットル/分である。
【0051】
【表2】
【0052】表1および表2から、次の(1)〜(4)
のことが分かる。
【0053】(1)水蒸気を供給しない比較例1では粒
度分布(粒子径の範囲)が狭く、乾燥膜密度およびバッ
クライトデンシティーが低いのに対して、水蒸気を供給
する実施例1〜3では粒度分布(粒子径の範囲)が広く
なり、乾燥膜密度およびバックライトデンシティーが高
くなっている。
【0054】(2)水蒸気供給量の増加とともに、積算
粒度分布における積算値が10体積%となる粒子径d10
はほぼ一定であるのに対して、積算粒度分布における積
算値が90体積%となる粒子径d90は著しく増大する。
従って、水蒸気供給量の増加とともに、粒子径比r(=
90/d10)は著しく増大する、言い換えれば粒度分布
が著しく広くなる。
【0055】(3)水蒸気を供給すると、乾燥膜密度は
向上する。
【0056】(4)水蒸気供給量の増加とともに、バッ
クライトデンシティーが向上する。
【0057】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、製造される
金属粉末の粒度分布(粒子径の範囲)を任意に広く調整
することができるので、結晶性・分散性・充填性・電極
形成能力のいずれも高く、かつ電極薄層化傾向に添い得
る積層セラミックコンデンサー電極用金属粉末を製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2、3および比較例1で使用した金
属粉末製造装置の模式図である。
【符号の説明】
10 蒸発部 11 原料収容器 12 アルゴンガス導入管 20 水蒸気反応部 21 水蒸気供給管 22 混合室 30 水素ガス反応部 31 水素ガス供給管 40 粉末回収部 41、52 隔壁 42 フィルター 43 ガス排出管 51、53 貫通孔

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属塩化物蒸気の一部を水蒸気と反応さ
    せて金属酸化物粒子を生成させた後、該水蒸気と未反応
    の金属塩化物蒸気および該金属酸化物粒子から水素還元
    により金属粒子を生成させ、該金属粒子を回収すること
    からなる積層セラミックコンデンサー電極用金属粉末の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 金属はニッケルである請求項1に記載の
    積層セラミックコンデンサー電極用金属粉末の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 金属塩化物蒸気は、キャリアガスと混合
    されて水蒸気と反応する請求項1に記載の積層セラミッ
    クコンデンサー電極用金属粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 水蒸気は、キャリアガスと混合されて金
    属塩化物蒸気と反応する請求項1または3に記載の積層
    セラミックコンデンサー電極用金属粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 キャリアガスは、アルゴンガスである請
    求項3または4に記載の積層セラミックコンデンサー電
    極用金属粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属酸化物粒子の生成量は、水蒸気の量
    で調整する請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ
    ー電極用金属粉末の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011129160A1 (ja) * 2010-04-12 2011-10-20 Jfeミネラル株式会社 ニッケル微粒子、ニッケル微粒子混合物、導電性ペースト、および、ニッケル微粒子の製造方法
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