JP2004263205A - 金属微粉末およびその製造方法ならびにこの金属微粉末を用いた導電ペースト - Google Patents

金属微粉末およびその製造方法ならびにこの金属微粉末を用いた導電ペースト Download PDF

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貢 吉田
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Abstract

【課題】金属微粉末の焼結開始温度を高くして、デラミネーションの発生を抑制することができる、金属微粉末およびその製造方法ならびに導電ペーストを提供することを目的とする。
【解決手段】金属微粉末表面に、オゾンガスにより酸化皮膜を形成する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子部品等に使用される導電ペーストに好適なニッケル、銅、あるいは銀などの金属微粉末およびその製造方法、ならびにこれらの金属微粉末を使用した導電ペーストに関し、特に、積層セラミックコンデンサの内部電極に使用した場合に、焼結特性に優れた金属微粉末等の製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミックコンデンサは、セラミックスのペーストと金属微粉末のペーストとを積層した後焼結することによって、セラミックスの誘電体層と金属微粉末の内部電極層とを交互に形成したものである。ニッケル、銅、銀などの導電性の金属微粉末は、積層セラミックコンデンサの内部電極用材料として有用であり、特にニッケル微粉末はこのような用途において注目されている。
【0003】
一般に、積層セラミックコンデンサは、以下のようにして製造されている。すなわち、チタン酸バリウムなどの誘電体セラミックス粉末を有機バインダと混合したペーストをシート状に形成して誘電体グリーンシートを作製する。一方、内部電極用の金属微粉末を有機溶剤、有機バインダ等の有機化合物と混合して金属微粉末ペーストを形成し、これを誘電体グリーンシート上に印刷し、乾燥する。この電極層塗布誘電体グリーンシートを積層後、加熱圧着して積層体を形成し、目的の形状に加工する。次いで、有機バインダ等の有機成分を除去するために弱酸性雰囲気で積層体に加熱処理(脱バインダ処理)を施し、その後還元性雰囲気中で、1300℃前後、あるいはそれ以上の温度で焼成し、最後に誘電体セラミックス層の外側に外部電極を焼き付けて積層セラミックコンデンサを得る。
【0004】
上記のような積層セラミックコンデンサの製造においては、脱バインダ処理は、有機化合物を除去するため、酸化雰囲気中で行われる。このため、脱バインダ処理中に金属微粉末は酸化されて体積の膨張が生じる。さらに、この脱バインダ処理の後には、積層体をさらに高温に加熱して焼結するが、この焼結が還元雰囲気中で行われるため、金属微粉末は還元されて体積の収縮が生じる。
【0005】
このように、積層セラミックコンデンサの製造工程においては、酸化還元反応により金属微粉末の膨張・収縮による体積変化が生じる。一方、誘電体自身も焼結により体積が変化するが、内部電極に用いた金属微粉末の焼結開始温度が誘電体層の焼結開始温度よりも極端に低い場合には、内部電極層の急激な収縮により、内部電極層と誘電体層との間に体積変化が生じて、デラミネーションと呼ばれる欠陥が発生する。このデラミネーションは、コンデンサ容量の低下を招くことから、焼結開始温度が高く、急激な焼結が起こらない金属微粉末が要望されている。
【0006】
上記のような、金属微粉末の焼結開始温度を高くするための方法として、例えば、ニッケル粉に硫黄を含有させる技術が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−80817号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特許文献1に記載されたニッケル粉の製造技術では、焼結時に硫黄が誘電体層に拡散し、誘電体層の電気的特性を劣化させるおそれがある。
【0009】
したがって、本発明は、上記したようなニッケル粉に硫黄を含有させずに、金属微粉末の焼結開始温度を高くして、デラミネーションの発生を抑制することができる、金属微粉末およびその製造方法ならびに導電ペーストを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
金属微粉末の焼結開始温度に関しては、以下の事実が知られている。すなわち、金属微粉末表面に酸化皮膜が存在する間は焼結が開始されないが、焼成温度の上昇に伴い酸化皮膜が還元されて存在しなくなると、金属微粉末の焼結が開始される。例えば、ニッケル微粉末の場合であれば、通常200〜300℃で焼結が始まるので、200〜300℃以上の温度に加熱されても還元されない、強固な酸化皮膜を形成することで、上記デラミネーションの発生を抑制することができる。
【0011】
本発明者らは、上記事実に基づき、金属微粉末の酸化皮膜について鋭意研究を重ねた結果、オゾンガスにより生成した酸化皮膜は、通常の酸化皮膜と比較して、還元され始める温度がより高温であることから、この酸化膜を金属微粉末の表面に形成すれば、金属微粉末の焼結開始温度をより高温域に移行することができ、これにより上記デラミネーションの発生を抑制することができることを見出した。
【0012】
また、本発明者らは、オゾンガスにより生成した酸化皮膜を有する金属微粉末は、焼結開始温度が従来に比して高温域に移行するため、焼結時における金属微粉末の収縮率を減少させ、これによっても上記デラミネーションの発生を抑制することができることを見出した。
【0013】
さらに、本発明者らは、オゾンガスによる酸化処理は、通常の酸素を使用した酸化処理よりも低温で実施することができるため、酸化処理中の金属微粉末同士の焼結による凝集が防止され、積層セラミックコンデンサ製造工程における内部電極の短絡等の構造欠陥の発生を抑制することにより、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化に伴う内部電極の薄層化、低抵抗化にも寄与し得ることも見いだした。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
【0014】
すなわち、本発明の金属微粉末は、表面にオゾンガスにより生成した酸化皮膜を有することを特徴としている。
本発明によれば、オゾンガスにより生成した酸化皮膜を金属微粉末の表面に形成することにより、酸化被膜の還元による喪失の遅延によって金属微粉末の焼結開始温度をより高温域に移行させ、さらには焼結時における金属微粉末の収縮率を減少させることに基づき、内部電極層と誘電体層との間に発生するデラミネーションを抑制することができる。また、本発明によれば、オゾンガスによる低温域での酸化処理により、酸化処理中の金属微粉末同士の焼結による凝集が防止され、積層セラミックコンデンサ製造工程における内部電極の短絡等の構造欠陥の発生を抑制する。すなわち、本発明の金属微粉末を有機溶媒、有機バインダ等の有機化合物と混合して金属微粉末ペーストを形成し、積層セラミックコンデンサの内部電極として使用した場合には、焼結開始温度が高温であるため、誘電体の焼結開始温度との差が大きくないこと、収縮率が低いため誘電体との間の体積変化が低いこと、さらには凝集粒子が少ないことから、製造工程中におけるデラミネーション、クラック、内部電極の短絡、等の構造欠陥の発生を抑制することができる。したがって、本発明の金属微粉末によれば、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化に伴う内部電極の薄層化、低抵抗化を実現することができる。
【0015】
このような金属微粉末においては、酸化皮膜の厚みが、1〜10nmであることが望ましい。酸化被膜の厚みが1nm未満である場合には、酸化被膜の還元による喪失の遅延を十分に達成することができず、このため、金属微粉末の焼結開始温度をより高温域に移行させることができず、結果的に上記デラミネーション発生を抑制することができない。また、酸化被膜の厚みが10nmを超える場合には、金属微粉末の焼結性が低下するので好ましくない。このようなデラミネーション発生防止と焼結性の防止との双方をより実効あらしめるためには、上記酸化皮膜の厚みは2〜10nmであることが好ましく、2〜5nmであることがさらに好ましい。
【0016】
また、上記金属微粉末においては、金属微粉末が本発明の金属微粉末としては、ニッケル、銅、銀等の導電ペーストフィラに適した金属微粉末や、さらには、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ビスマス等の金属微粉末及びこれらの合金微粉末等が挙げられる。積層セラミックコンデンサの内部電極用として使用する場合、導電性に優れ、還元雰囲気での焼成が可能であり、安価であるニッケル微粉末が最適である。
【0017】
このような金属微粉末においては、とくに金属微粉末の平均粒径を1μm以下とすることが望ましい。上記平均粒径が1μmを超える場合には、焼結性の低下や、積層セラミックコンデンサの内部電極同士の短絡等の構造欠陥が生じ易くなるため好ましくない。この焼結性の低下や構造欠陥の発生をより防止するためには、金属微粉末の平均粒径を0.5μm以下とすることがさらに望ましい。しかしながら、上記平均粒径を過度に小さくした場合には、本発明の酸化工程中に金属微粉末同士の焼結、凝集が進行することから、上記平均粒径の下限値は、0.1μmとすることが望ましい。
【0018】
さらに、このような金属微粉末においては、金属微粉末の酸素濃度と酸化皮膜厚みの比(酸素濃度/酸化皮膜厚み)が0.3〜1.0であることが望ましい。
ここでいう酸素濃度とは、酸化被膜を含む金属微粉末の酸素濃度を意味し、酸化被膜の厚みとは、酸化被膜を含む金属微粉末の形状を仮想球とした場合の、その中心から径方向に測定した酸化被膜の厚みを意味する。
上記比が0.3未満である場合には、酸化被膜が還元され易いため、酸化被膜の上記喪失の遅延を十分に達成することができず、このため、金属微粉末の焼結開始温度をより高温域に移行させることができず、結果的に上記デラミネーション発生を抑制することができない。また、上記比が1.0を超える場合には、金属微粉末の焼結性が低下するので好ましくない。このようなデラミネーション発生防止と焼結性の防止との双方をより実効あらしめるためには、上記比は0.3〜0.8であることが好ましく、0.3〜0.5nmであることがさらに好ましい。
【0019】
また本発明の金属微粉末の製造方法は、上記した金属微粉末を有利に製造するための方法であって、金属微粉末を炭酸水溶液中で処理し、次いでオゾンガス雰囲気中で酸化処理を施し、表面に酸化皮膜を形成させることを特徴としている。
【0020】
本発明の金属微粉末の製造方法によれば、オゾンガスにより生成した酸化皮膜を金属微粉末の表面に形成することにより、酸化被膜の還元による喪失の遅延によって金属微粉末の焼結開始温度をより高温域に移行させ、さらには焼結時における金属微粉末の収縮率を減少させることに基づき、内部電極層と誘電体層との間に発生するデラミネーションを抑制することができる。また、本発明によれば、オゾンガスによる低温域での酸化処理により、酸化処理中の金属微粉末同士の焼結による凝集が防止され、積層セラミックコンデンサ製造工程における内部電極の短絡等の構造欠陥の発生を抑制することにより、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化に伴う内部電極の薄層化、低抵抗化を実現することができる。
【0021】
このような金属微粉末の製造方法においては、酸化処理を200〜250℃の温度範囲で行うことが望ましい。上記酸化処理を200℃未満の温度で行った場合には、金属微粉末の焼結開始温度を高温にすることのできる酸化皮膜を形成するには長時間の酸化処理が必要となり、実用的ではない。また、250℃を超える温度で行った場合には、金属微粉末の内部に至るまで酸化処理がなされてしまい、焼結性の低下や、積層セラミックコンデンサの内部電極の抵抗値の上昇等が生じ、好ましくない。酸化被膜の形成時間をさらに短縮し、かつ焼結性の低下をさらに防止するためには、酸化処理を220〜230℃の温度範囲で行うことがさらに望ましい。
【0022】
また、上記金属微粉末の製造方法においては、酸化処理を1〜20vol%のオゾン濃度範囲で行うことが望ましい。酸化処理を1vol%未満のオゾン濃度で行った場合には、焼結開始温度を高温域に移行させる強固な酸化皮膜を得るために、長時間の酸化処理が必要となり、実用的ではない。また、酸化処理を20vol%を超えるオゾン濃度で行った場合には、金属微粉末の内部まで酸化されやすくなり焼結性の低下を引き起こし易くなるだけでなく、コストも割高となるため実用的ではない。
【0023】
また、上記金属微粉末の製造方法においては、炭酸水溶液中での処理をpH5.5〜6.5の範囲で行うことが望ましい。炭酸水溶液中での処理をpH5.5未満で行った場合には、金属微粉末表面に不均一な酸化皮膜が生成し金属微粉末の焼結性を低下させることになる。また、金属微粉末自体が溶解してしまい、表面の荒れが生じる。pH6.5を超えて行った場合には、金属微粉末表面に付着、もしくは吸着した水酸化物を除去することができず、乾燥後に残存した水酸化物が不均一な酸化皮膜となる。このような不利益をさらに防止するためには、炭酸水溶液中での処理をpH5.5〜6.0の範囲で行うことが望ましい。
【0024】
さらに、このような金属微粉末の製造方法においては、金属微粉末を特にニッケルとすることが、コストが割高とならないことから実用的であり、上記した製造方法にしたがい製造された金属微粉末を用いることで、電子部品等に使用した場合に、上記デラミネーションの発生を防止することができる導電ペーストが得られる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照してニッケル微粉末の製造例をもとに詳細に説明する。なお、本発明金属微粉末の製造方法によって製造される金属微粉末としては、ニッケルの他に、銅もしくは銀のペーストフィラー、チタン材の複合材、または触媒等の各種用途に適した金属微粉末が挙げられ、さらにはアルミニウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、白金、ビスマス等の金属微粉末の製造も可能である。本発明での金属微粉末は気相法や液相法など公知の方法により製造することができるが、特に金属物塩化物ガスと還元性ガスとを接触させることにより金属微粉末を生成させる気相還元法、あるいは熱分解性の金属化合物を噴霧して熱分解する噴霧熱分解法が、生成する金属微粉末の粒子径を容易に制御することができ、さらに球状の粒子が効率よく製造することができるという点において好ましい方法である。
【0026】
ニッケル微粉末気相還元法においては、気化させた塩化ニッケルのガスと水素等の還元性ガスとを反応させるが、固体の塩化ニッケルを加熱し蒸発させて塩化ニッケルガスを生成させてもよい。しかしながら、塩化ニッケルの酸化または吸湿防止またエネルギー効率を考慮すると、金属ニッケルに塩素ガスを接触させて塩化ニッケルガスを連続的に発生させ、この塩化ニッケルガスを還元工程に直接供給し、次いで還元性ガスと接触させ塩化ニッケルガスを連続的に還元してニッケル微粉末を製造する方法が有利である。
【0027】
気相還元反応によるニッケル微粉末の製造過程では、塩化ニッケルガスと還元性ガスとが接触した瞬間にニッケル原子が生成し、ニッケル原子同士が衝突・凝集することによって超微粒子が生成し、成長してゆく。そして、還元工程での塩化ニッケルガスの分圧や温度等の条件によって、生成されるニッケル微粉末の粒径が決まる。上記のようなニッケル微粉末の製造方法によれば、塩素ガスの供給量に応じた量の塩化ニッケルガスが発生するから、塩素ガスの供給量を制御することで還元工程へ供給する塩化ニッケルガスの量を調整することができ、これによって生成するニッケル微粉末の粒径を制御することができる。さらに、金属塩化物ガスは、塩素ガスと金属との反応で発生するから、固体金属塩化物の加熱蒸発により金属塩化物ガスを発生させる方法と異なり、キャリアガスの使用を少なくすることができるばかりでなく、製造条件によっては使用しないことも可能である。従って、気相還元反応の方が、キャリアガスの使用量低減とそれに伴う加熱エネルギーの低減により、製造コストの低減を図ることができる。
また、塩化工程で発生した塩化ニッケルガスに不活性ガスを混合することにより、還元工程における塩化ニッケルガスの分圧を制御することができる。このように、塩素ガスの供給量もしくは還元工程に供給する塩化ニッケルガスの分圧を制御することにより、ニッケル粉末の粒径を制御することができ、よってニッケル微粉末の粒径を安定させることができるとともに、粒径を任意に設定することができる。
【0028】
上記のような気相還元法によるニッケル微粉末の製造条件は、平均粒径1μm以下になるように任意に設定するが、例えば、出発原料である金属ニッケルの粒径は約5〜20mmの粒状、塊状、板状等が好ましく、また、その純度は慨して99.5%以上が好ましい。この金属ニッケルを、まず塩素ガスと反応させて塩化ニッケルガスを生成させるが、その際の温度は、反応を十分進めるために800℃以上とし、かつニッケルの融点である1453℃以下とする。反応速度と塩化炉の耐久性を考慮すると、実用的には900℃〜1100℃の範囲が好ましい。次いで、この塩化ニッケルガスを還元工程に直接供給し、水素ガス等の還元性ガスと接触反応させるが、窒素やアルゴン等の不活性ガスを、塩化ニッケルガスに対し1〜30モル%混合し、この混合ガスを還元工程に導入してもよい。また、塩化ニッケルガスと共にまたは独立に塩素ガスを還元工程に供給することもできる。このように塩素ガスを還元工程に供給することによって、塩化ニッケルガスの分圧が調整でき、生成するニッケル粉末の粒径を制御することが可能となる。還元反応の温度は反応完結に十分な温度以上であればよいが、固体状のニッケル粉末を生成する方が、取扱いが容易であるので、ニッケルの融点以下が好ましく、経済性を考慮すると900℃〜1100℃が実用的である。
【0029】
このように還元反応を行いニッケル微粉末を生成させたら、次は生成ニッケル粉末を冷却する。冷却の際、生成したニッケルの一次粒子同士の凝集による二次粒子の生成を防止して所望の粒径のニッケル粉末を得るために、還元反応を終えた1000℃付近のガス流を400〜800℃程度まで窒素ガス等の不活性ガスを吹き込むことにより急速冷却させることが望ましい。その後、生成したニッケル粉末を、例えばバグフィルター等により分離、回収する。
【0030】
また、噴霧熱分解法による金属微粉末の製造方法では、熱分解性の金属化合物を原料とするが、具体的には、金属の硝酸塩、硫酸鉛、オキシ硝酸塩、オキシ硫酸鉛、塩化物、アンモニウム錯体、リン酸塩、カルボン酸塩、アルコキシ化合物などの1種又は2種以上である。このニッケル化合物を含む溶液を噴霧して、微細な液滴を作るが、このときの溶媒としては、水、アルコール、アセトン、エーテル等が用いられる。また、噴霧の方法は、超音波又は二重ジェットノズル等の噴霧方法により行う。このようにして微細な液滴とし、高温で加熱し金属化合物を熱分解して、金属微粉末を生成させる。このときの加熱温度は、使用される特定の金属化合物が熱分解する温度以上であり、好ましくは金属の融点付近である。
【0031】
液相法による金属微粉末の製造方法では、例えばニッケル微粉末の製造では、硫酸ニッケル、塩化ニッケルあるいはニッケル錯体を含むニッケル水溶液を、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物中に添加するなどして接触させニッケル水酸化物を生成させ、次いでヒドラジンなどの還元剤でニッケル水酸化物を還元し金属ニッケル粉末を得る。このように生成した金属ニッケル粉末は、均一な粒子を得るために必要に応じて解砕処理する。
【0032】
以下金属ニッケルに塩素ガスを接触させて塩化ニッケルガスを連続的に発生させ、この塩化ニッケルガスを還元性ガスと接触させ還元してニッケル微粉末を製造する方法を例に挙げ、より詳細に説明する。
【0033】
A.塩化工程
図1は、本発明に使用する金属微粉末を製造するための装置である。塩化工程は、同図に示すような塩化炉10によって行うと好適である。塩化炉10の上端面には原料金属ニッケル(M)を供給するための供給管11が設置されている。また、塩化炉10の一の上側部には塩素ガス供給管12が接続され、その下側部には不活性ガス供給管13が接続されている。塩化炉10の周囲には加熱手段14が配置され、塩化炉10の他の上側部には、移送管兼ノズル15が接続されている。塩化炉10は、縦型、横型を問わないが、固体−ガス接触反応を均一に行うためには縦型が好ましい。塩素ガスは、流量計測して連続的に塩素ガス供給管12から導入される。移送管兼ノズル15は、後述する還元炉20上端面に接続され、塩化炉10で発生する塩化ニッケルガス等を還元炉20へ移送する機能を有する。また、移送管兼ノズル15の下端部は、還元炉20内に突出して塩化ニッケル噴出ノズルとして機能する。出発原料である金属ニッケル(M)の形態は問わないが、接触効率、圧力損失上昇防止の観点から、粒径約5mm〜20mmの粒状、粗状、板状などが好ましく、またその純度は概して99.5%以上が好ましい。塩化炉10内の金属ニッケル(M)の充填層高は、塩素ガス供給速度、塩化炉内温度、連続運転時間、金属ニッケル(M)の形状などをもとに、供給塩素ガスが塩化ニッケルガスに変換されるに十分な範囲に適宜設定すればよい。塩化炉10内の温度は、反応を十分進めるために800℃以上とし、ニッケルの融点である1483℃以下とする。反応速度および塩化炉10の耐久性を考慮すると、実用的には900℃〜1100℃の範囲が好ましい。
【0034】
本発明の金属微粉末の製造方法においては、金属ニッケル(M)が充填された塩化炉10への塩素ガスの連続供給は、塩化ニッケルガスの連続発生をもたらす。そして、塩素ガス供給量が塩化ニッケルガスの発生量を支配するから、後述する還元反応を支配し、その結果、目的とする製品ニッケル微粉末が生産可能になる。なお、塩素ガス供給については以下の還元工程において具体的に説明する。
【0035】
塩化工程で発生した塩化ニッケルガスは、そのまま移送管兼ノズル15により還元炉20に移送するか、場合によっては不活性ガス供給管13から窒素やアルゴンなどの不活性ガスを、塩化ニッケルガスに対し1mol%〜30mol%混合し、この混合ガスを還元炉20に移送する。移送管兼ノズル15を通過する混合ガス中の好ましい塩化ニッケルガス分圧は、全圧を1.0としたときに0.5〜1.0の範囲、とりわけ粒径0.2μm〜0.5μmといった小粒径のニッケル微粉末を製造する場合には、分圧0.6〜0.9程度が好適である。
【0036】
B.還元工程
塩化工程で発生した塩化ニッケルガスは、連続的に還元炉20に移送される。還元工程は、図1に示すような還元炉20を用いて行うことが望ましい。同図に示した還元炉20は、円筒状をなし、その上半部で還元を行い、その下半部で冷却を行う。還元炉20の上端部には、上述した移送管兼ノズル15のノズル(以下、単にノズル15と称する)が下方へ突出させられている。また、還元炉20の上端面には、還元性ガス供給管(水素ガス供給管)21が接続されている。また、還元炉20の周囲には加熱手段22が配置されている。ノズル15は、塩化炉10から還元炉20内へ塩化ニッケルガス(不活性ガスを含む場合がある)を、好ましい流速で噴出する機能を有する。
【0037】
塩化ニッケルガスと水素ガスとによる還元反応が進行する際には、ノズル15の先端部からは、LPGなどの気体燃料の燃焼炎に似た下方に延びた輝炎Fが形成される。還元炉20への水素ガス供給量は、塩化ニッケルガスの化学当量、すなわち、塩化炉10へ供給する塩素ガスの化学当量の1.0〜3.0倍程度、好ましくは1.1〜2.5倍程度であるが、これに限定するものではない。また、還元反応の温度は反応完結に十分な温度以上であればよいが、固体状のニッケル微粉末を生成する方が取扱いが容易であるので、ニッケルの融点以下が好ましい。また、上記温度は反応速度、還元炉20の耐久性、経済性を考慮すると900℃〜1100℃が実用的であるが、特にこれに限るものではない。
【0038】
上述のとおり、塩化炉10に導入された塩素ガスは、実質的に同モル量の塩化ニッケルガスとなり、これが還元原料とされる。塩化ニッケルガスもしくは塩化ニッケルと不活性ガスとの混合ガスのノズル15先端から噴出されるガス流の線速度を調整することにより、得られるニッケル微粉末Pの粒径を適切化することができる。すなわち、ノズル径が一定であれば、塩化工程への塩素供給量と不活性ガス供給量とを調整することによって、還元炉20で生成されるニッケル微粉末Pの粒径を目的の範囲に調整することができる。
【0039】
ノズル15先端における好ましいガス流の線速度(塩化ニッケルガスおよび不活性ガスの合計(還元温度でのガス供給量に換算した計算値))は、900℃〜1100℃の還元温度において約1m/秒〜30m/秒に設定される。水素ガスの還元炉20内での軸方向の線速度は、塩化ニッケルガスの噴出速度〈線速度)の1/50〜1/300程度が好ましく、1/80〜1/250がすることがさらに好ましい。したがって、実質的には静的水素雰囲気中へ塩化ニッケルガスがノズル15から噴射されることとなる。
【0040】
なお、還元性ガス供給管21の出口の方向は、輝炎F側へ向けないことが好ましい。また、ニッケル微粉末を生成する際に用いる還元性ガスとしては、以上に示した水素ガスの他に硫化水素ガス等を用いることができるが、生成したニッケル微粉末への影響を考慮すると、水素ガスが好適である。さらに、ニッケル微粉末を製造する場合における金属塩化物ガスと還元性ガスとを接触、反応させる還元反応温度領域は、通常900〜1200℃であるが、950〜1100℃、一層好ましくは980〜1050℃である。
【0041】
C.冷却工程
還元工程で生成したニッケル微粉末は、図1に示すように、還元炉20内のノズル15と反対側の空間部分(下方部分)において冷却される。冷却を行うための好ましい例として、当実施形態では、輝炎F先端から下方の空間部分に冷却ガス供給管23から冷却用不活性ガスを吹き込むように構成されている。なお、本発明でいう冷却とは、還元反応で生成したガス流(塩酸ガスを含む)におけるニッケル粒子の成長を停止もしくは抑制するために行う操作であり、具体的には還元反応を終えた1000℃付近のガス流を400℃〜800℃程度まで急速冷却させる操作を意味する。もちろんこれ以下の温度まで冷却を行うこともできる。
【0042】
生成したニッケル微粉末を冷却するための不活性ガスとしては、生成したニッケル微粉末に影響の無いものであれば特に限定されないが、窒素ガス、アルゴンガス等を用いることができる。この中でも、窒素ガスが安価であるため好適である。さらに、冷却用不活性ガスの供給量は、通常生成されるニッケル微粉末1g当り、5Nl/分以上、好ましくは10〜50Nl/分である。なお、供給する不活性ガスの温度は、通常0〜100℃であるが、0〜80℃とした場合にはより効果的である。
【0043】
D.回収工程
塩化、還元および冷却の各工程を順次に経たニッケル微粉末Pと塩酸ガスおよび不活性ガスの混合ガスは、図1のノズル24を経て、回収炉(図示せず)に移送され、そこで混合ガスからニッケル微粉末Pが分離回収される。分離回収には、例えば、バグフィルタ、水中捕集分離手段、油中捕集分離手段および磁気分離手段の1種または2種以上の組合せが好適であるが、これに限定されるものではない。
【0044】
また、分離回収前または後に、必要に応じて生成したニッケル微粉末を水、炭素数1〜4の1価アルコール等の溶媒で洗浄することもできる。さらには、必要に応じて生成したニッケル微粉末を、水素ガスあるいは不活性ガスで希釈された水素ガスの還元性雰囲気下にて水素還元処理し、ニッケル微粉末中の酸素含有量を微調整することもできる。水素還元処理温度は220〜300℃であることが好ましく、250〜300℃であれはさらに好ましい。水素還元処理時間は5〜60分である。
【0045】
E.酸化処理工程
本発明におけるニッケル微粉末では、上記のような方法で得られたニッケル微粉末を炭酸水溶液中で処理し、次いでオゾン雰囲気中で加熱して酸化処理する。
炭酸水溶液処理は、金属ニッケル微粉末スラリー中に炭酸ガスを吹き込んでpH5.5〜6.5とし、炭酸水溶液として常温で60分処理を行った。
酸化処理は、気相還元法によって得られ、炭酸水溶液処理を施した後に乾燥したニッケル微粉末を、酸化炉内に入れて加熱し、該酸化炉内にオゾンガスを供給することによって実施される。オゾンガスは、酸素、空気、一酸化炭素、二酸化炭素等のガスや、水蒸気、低級アルコール等と混合して供給することができるが、酸素ガスとの混合がより効果的である。オゾンガス濃度は1〜20vol%の範囲であることが好適であるが、より好ましくは5〜20vol%である。酸化処理温度は、200〜250℃の低温度領域であることが好適であり,好ましくは220〜230℃の範囲である。酸化処理時間は、前述のオゾンガス濃度と酸化処理温度に応じて、酸化皮膜の厚みが1〜10nmとなるように1分〜30分の範囲内で適宜選択すればよい。
【0046】
気相還元法によって得られたニッケル微粉末は、大気中に放置しておくことにより、水分を吸収して水酸化ニッケルを生成する。このようなニッケル微粉末を有機溶媒等と混合してニッケルペーストとした場合は、分散性が低下しニッケル微粉末同士が凝集して粗粉が増加してしまうことになるため、水酸化ニッケルを除去するための熱処理に長時間を費やすことになる。したがって、気相還元法によって得られたニッケル微粉末に対して酸化処理を施す場合、出来るだけ速やかに上記の酸化処理を行うことが好ましい。
【0047】
酸化処理後は、必要に応じて水素雰囲気、もしくは不活性ガスで希釈された水素ガス雰囲気中で水素還元処理を行い、ニッケル微粉末中の酸素含有量を微調整することも可能である。
【0048】
E.導電ペーストの作製
上記のようにして得られた金属微粉末は、導電ペーストあるいは電極形成用ペーストに好適である。このような金属微粉末は、有機溶媒およびバインダと混錬してペーストを形成する。有機溶媒(有機ビヒクル)としては、従来の導体ペーストに用いられているものを使用すれば足り、例えば、エチルセルロース、エチレングリコール、トルエン、キシレン、ミネラルオイル、ブチルカルビトール、ターピネオール等の高沸点有機溶媒を用いることができる。バインダとしては有機また無機バインダが用いられるが、エチルセルロースなどの高分子バインダを用いることが好ましい。
【0049】
また、必要に応じて鉛系ガラス、亜鉛系ガラスあるいはケイ酸系ガラスなどのガラスフリットや、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ビスマなどの金属酸化物フィラなどを、ペーストを形成する際に混合してもよい。これらの添加物を混合することによってセラミックスなどの基材に塗布、焼結して電極を形成した際、基材との密着性に優れ伝導性の高い電極を形成することができ、また半田との濡れ性を向上させる。その他、フタル酸エステルやステアリン酸などの可塑剤や、分散剤などをペーストに添加することができる。
【0050】
以上のように、金属微粉末の表面にオゾンガスによる強固な酸化皮膜を形成することにより、焼結開始温度が高く、焼結時の収縮率が低く、金属微粉末同士の凝集による粗粉が少なく、また、有機溶媒等と混合して金属ペーストにした際の分散性に優れる、積層セラミックコンデンサの内部電極用としてふさわしい機能を有する金属微粉末を得ることができる。このような金属微粉末を使用することにより、積層セラミックコンデンサ製造工程におけるデラミネーション等の構造欠陥を抑制することが可能となる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明の実施例により、本発明の効果を明らかにする。
ニッケル粉の焼結開始温度評価
[実施例1]
図1に示す金属ニッケル微粉末製造装置の塩化炉10内に、出発原料である平均粒径5mmの金属ニッケル微粉末を原料供給管11から充填するとともに、加熱手段14により炉内雰囲気温度を1100℃とする。次いで、塩素ガス供給管12から塩素ガスを塩化炉10内に供給し、金属ニッケルを塩化して塩化ニッケルガスを発生させた。この塩化ニッケルガスに、塩化炉10の下側部に設けられた不活性ガス導入管13から塩素ガス供給量の10%(モル比)の窒素ガスを供給して混合した。そして、塩化ニッケルガスと窒素ガスの混合ガスをノズル15を介して還元炉20に導入した。
【0052】
次いで、還元工程として、塩化ニッケルガスと窒素ガスとの混合ガスを加熱手段22により1000℃の炉内雰囲気温度とされた還元炉20に、ノズル15から流速2.3m/秒(1000℃換算)で導入した。同時に還元炉20内の上端部に設けられた還元性ガス導入管41から水素ガスを流速7Nl/分で還元炉20内に供給して塩化ニッケルガスを還元し、ニッケル微粉末Pを得た。
【0053】
さらに、冷却工程として、還元工程にて生成したニッケル微粉末Pに、還元炉20下側部に設けられた冷却ガス供給管23から16.4Nl/分・gで供給した窒素ガスを接触させ、ニッケル微粉末Pを冷却した。そして、生成したニッケル微粉末Pを塩素ガス及び塩酸蒸気とともにノズル24を介して図示しない回収炉に導いた。
【0054】
このようにノズル24から回収炉に導かれた窒素ガス、塩酸蒸気、およびニッケル微粉末Pを図示しないバグフィルタに導き、ニッケル微粉末を分離回収した。そして、回収したニッケル微粉末Pを湯洗洗浄し、ニッケル微粉末スラリー中に炭酸ガスを吹き込んでpH5.5とし、常温下においてニッケル微粉末を炭酸水溶液中で60分処理した。
【0055】
炭酸水溶液処理したニッケル微粉末を乾燥した後、酸化処理した。気相還元法で得られたニッケル微粉末Pを酸化炉に入れ、加熱手段にて炉内雰囲気温度を200℃とし、酸化ガス供給管からオゾンガス5vol%含有オゾン−酸素混合ガスを10分間導入してニッケル微粉末Pを酸化処理し、製品ニッケル微粉末を得た。
【0056】
[実施例2]
実施例1と同様に製造したニッケル微粉末Pを酸化工程で酸化するにあたり、酸化炉内雰囲気温度を250℃、オゾン−酸素混合酸化ガス中のオゾン濃度を5vol%、酸化処理時間30分間、として酸化処理を実施した。
【0057】
[比較例1]
実施例1と同様にニッケル微粉末Pを製造し、炭酸水溶液処理は実施せずに酸化処理を施した。酸化処理するにあたり、酸化ガスを酸素ガスとした。また、酸化処理温度、酸化処理時間は実施例1と同一条件で行った。
【0058】
[比較例2]
実施例1と同様にニッケル微粉末Pを製造し、炭酸水溶液処理は実施せずに酸化処理を施した。酸化処理するにあたり、酸化ガスを酸素ガスとした。さらに、実施例1で得られたニッケル微粉末と同じ厚みの酸化皮膜と酸素濃度を有するようにするため、酸化処理温度を400℃、酸化処理時間30分間で実施した。
【0059】
上記実施例1,2および比較例1,2につき、金属ニッケル微粉末の酸化皮膜厚み、酸素濃度、焼結開始温度、収縮率および粒度分布を下記の方法により測定した。
1) 酸化皮膜厚み
まず、金属ニッケル微粉末をコロジオン膜を張った銅製シートメッシュ上に直接振りかけ、その後カーボンを蒸着させ測定試料を作製した。次いで、200kV電解放射型透過電子顕微鏡(HF−2000、日立製作所製)を用いて測定試料の格子像を観察し、金属ニッケル微粉末表面の酸化皮膜厚さを測定した。
【0060】
2) 酸素濃度
金属ニッケル微粉末をニッケル製のカプセルに充填し、これを黒鉛ルツボに入れ、アルゴン雰囲気下で500℃に加熱し、このとき発生した一酸化炭素をIRにより定量し、金属ニッケル微粉末中の酸素濃度を求めた。
【0061】
3) 焼結開始温度
金属ニッケル微粉末1g,樟脳3重量%、アセトン3重量%を混合し、内径5mm、高さ10mmの円柱状金属に充填し、面圧1トンの荷重をかけて試験ピースを作製した。この試験ピースの焼結開始温度の測定を、熱膨張収縮挙動測定装置(TMA−8310、株式会社リガク社製)を用いて、弱還元性雰囲気(1.5%水素−98.5%窒素混合ガス)雰囲気の下、昇温速度5℃/分の条件で行った。上記測定で得られた収縮率曲線にて、1%収縮した時点における温度をもって焼結開始温度とした。
【0062】
4) 収縮率
上記3)の焼結開始温度測定で得た収縮率曲線において、500℃まで昇温した時点における重量減少率をもって収縮率とした。
【0063】
5) 粒度分布
粒度測定器LS230(コールター社製)を用い、試料をエキネン(イソプロピルアルコール10%、エタノール90%)に懸濁させホモジナイザーにて3分間分散させて測定し、積算粒度分布において積算値が50体積%となる粒子径(D50)を求めた。
表1に、実施例1、2および比較例1、2で得られたニッケル微粉末の酸化皮膜厚み、酸素濃度、焼結開始温度、収縮率および粒度分布の測定結果を示す。
【0064】
【表1】
Figure 2004263205
【0065】
表1から明らかなように、実施例1,2において得られたニッケル微粉末は、比較例1,2において得られたニッケル微粉末に比して、酸化皮膜厚さが概して大きく、酸素含有量も多いものであり、焼結開始温度も高く、収縮率は小さいものであった。すなわち、各実施例におけるニッケル微粉末は各比較例におけるニッケル微粉末に比して、強固で焼結挙動を改善するのに十分な酸化皮膜を得ることができることが判る。なお、得られたニッケル微粉末の粒度分布(粗大粒子の割合)については、各実施例は各比較例に比して小さい値となっていた。特に比較例2において粒度分布に関する値が大きいのは、高温で長時間酸化処理したためである。
【0066】
ニッケルペーストの分散性評価
[実施例3]
実施例1で得られた、オゾンガスで酸化処理されたニッケル微粉末の50質量%と、エチルセルロース5質量%とターピオネール95質量%とからなるビヒクル50質量%とを3本ロールで混練してペーストを作製し、これを塗布して膜密度を測定した。
【0067】
[比較例3]
比較例2で得られたニッケル微粉末であって、酸素ガスで酸化処理され、実施例1で得られたニッケル微粉末と同じ厚みの酸化皮膜と同じ酸素濃度を有するニッケル微粉末を使用して、実施例3と同様にペーストを作製し、これを塗布して膜密度を測定した。
表2に、実施例3および比較例3で得られたペーストの膜密度測定結果を示す。
【0068】
【表2】
Figure 2004263205
【0069】
表2によれば、実施例3のペーストは、比較例3のペーストに比して膜密度が大きく、分散性の良好であることが判る。このため、実施例3のペーストでは、積層セラミックコンデンサの内部電極として使用した場合、クラック、デラミネーション等の構造欠陥の抑制効果が得られる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の金属微粉末の製造技術によれば、金属微粉末の表面にオゾンガスにより酸化皮膜を形成して、酸化被膜の還元による喪失の遅延によって金属微粉末の焼結開始温度をより高温域に移行させ、さらには焼結時における金属微粉末の収縮率を減少させることに基づき、内部電極層と誘電体層との間に発生するデラミネーションを抑制することができる。よって、本発明は、電子部品等に使用される導電ペーストに好適な金属微粉末を製造することができる点で有望である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する金属微粉末を製造するための装置を示す図である。
【符号の説明】
10…塩化炉、11…原料金属ニッケル(M)供給管、12…塩素ガス供給管、13…不活性ガス供給管、14…加熱手段、15…移送管兼ノズル、20…還元炉、21…還元性ガス供給管、22…加熱手段、23…冷却ガス供給管、24…ノズル、M…原料金属ニッケル、F…輝炎、P…ニッケル微粉末P。

Claims (11)

  1. 表面に、オゾンガスにより生成した酸化皮膜を有することを特徴とする金属微粉末。
  2. 前記酸化皮膜の厚みが、1〜10nmであることを特徴とする請求項1に記載の金属微粉末。
  3. 前記金属微粉末がニッケル微粉末であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属微粉末。
  4. 前記金属微粉末の平均粒径が1μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属微粉末。
  5. 前記金属微粉末の酸素濃度と酸化皮膜厚みの比(酸素濃度/酸化皮膜厚み)が0.3〜1.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属微粉末。
  6. 金属微粉末を炭酸水溶液中で処理し、次いでオゾンガス雰囲気中で酸化処理を施し、表面に酸化皮膜を形成させることを特徴とする金属微粉末の製造方法。
  7. 前記酸化処理を200〜250℃の温度範囲で行うことを特徴とする請求項6に記載の金属微粉末の製造方法。
  8. 前記酸化処理を1〜20vol%のオゾン濃度範囲で行うことを特徴とする請求項6または7に記載の金属微粉末の製造方法。
  9. 前記炭酸水溶液中での処理をpH5.5〜6.5の範囲で行うことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の金属微粉末の製造方法。
  10. 前記金属微粉末がニッケルであることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の金属微粉末の製造方法。
  11. 請求項1に記載の金属微粉末を用いてなる導電ペースト。
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