JP2000230779A - 籾の乾燥方法 - Google Patents

籾の乾燥方法

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JP2000230779A JP11172997A JP17299799A JP2000230779A JP 2000230779 A JP2000230779 A JP 2000230779A JP 11172997 A JP11172997 A JP 11172997A JP 17299799 A JP17299799 A JP 17299799A JP 2000230779 A JP2000230779 A JP 2000230779A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 籾に胴割れが発生せず、短時間に乾燥処理で
き、米飯とした場合に食味等が天日干しの籾より劣らな
い籾の乾燥方法を提供する。 【解決手段】 減圧状態の乾燥室内に多量の遠赤外線を
放射すると共に、この乾燥室内に加熱空気を循環させる
内部循環空気流と、この乾燥室内の空気を導出して冷却
除湿した後に乾燥室に供給循環させる外部循環空気流と
によって前記乾燥室内に収容された籾を乾燥する方法で
あって、乾燥室内に給気と排気して50mmないし20
0mm水柱の減圧状態に保持し、外部環空気流と、内部
循環空気流とを混合して乾燥室内の空気の温度を45℃
ないし5℃に保持し、更に前記乾燥室内に籾を層状に分
散状態で支持し、減圧下で多量の遠赤外線の放射と、前
記混合空気流に籾を接触させながら乾燥させるようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は籾の乾燥方法の改良
に関する。
【0002】
【従来の技術】圃場から収穫した籾の乾燥作業は米の生
産者にとって重要な作業であり、この作業の良し悪しに
よって籾の品質や格付けが悪化すると共に売り渡し価格
にも影響する。古来からの籾の最適な乾燥方法は天日乾
燥であるが、この乾燥方法は天候に影響される上に籾を
干す場所の確保が必要であり、そのために小規模な農家
が自家消費する米や翌年の田植えのための少量の種籾を
確保するための小規模な乾燥を対象とするものであっ
た。
【0003】言うまでもなく米は日本人の基礎的な食料
であり、その大部分が政府の管理下におかれ、通常は各
農家は圃場から収穫した籾を農協に持ち込んで農協に設
置されている乾燥装置で乾燥させ、更に籾摺りして玄米
の状態で納めるのが普通である。この籾は前記のように
圃場から収穫されたままのものであることから、水分の
含有率が約22〜30%程度で比較的高いため、これを
保管するためには政府によって規定された約15%ある
いはそれ以下にまで乾燥する必要がある。
【0004】一般的に使用されている乾燥装置の内、小
型の装置の例をあげると、平型の通風乾燥装置と竪型の
通風乾燥装置とがある。
【0005】A)平型の乾燥装置は、乾燥装置本体の中
間部の横断方向に金網貼りスノコを設け、燃焼炉火炉の
バーナーで灯油を直炊きして発生した高温の燃焼ガスを
送風機に新気と共に吸引混合させて所定の温度、例えば
60℃前後の熱風を形成し、前記スノコの下方より上方
に供給し、そのスノコの上に載置堆積している籾層の内
部を通過させて乾燥させるものである。また、このスノ
コの横断面をV形に形成することによって高い位置に送
り込まれた籾を低い位置に徐々に移動させながら本体の
下方より噴出する熱風と接触させて乾燥し、更に最下部
に配置されているスクリューコンベアで上層部に散布し
て供給する操作を繰り返して行うようにしたものであ
る。
【0006】B)竪型の乾燥装置は、乾燥機本体の中央
部に網板で熱風供給路を縦方向に形成し、この供給路に
供給された熱風を乾燥機本体の内部の籾層を横断するよ
うに噴出させて加熱するものである。そしてこの熱風の
風量を調節するために温風供給路内に調節板を多段に設
け、これを揺動させて籾層の厚さと噴出する際の抵抗に
応じて風量を調節するように構成している。
【0007】C)また、竪型の連続的乾燥装置として循
環式火力乾燥装置がある。この乾燥装置は竪型のタンク
の中央部に熱風の供給管を設け、これより燃焼ガスを含
んだ熱風を供給し、タンクの内部に排出して籾層を通過
させて乾燥させると共に、この熱風によって籾を籾層の
最上部に吹き上げて循環させるようにしている。
【0008】D)また、横型の連続乾燥装置として、本
体の内部に横方向にコンベアを多段に交互に移送方向を
異ならせて配置し、このコンベアによって籾が本体内を
ジグザグ状に移送される間に熱風と接触させるようにし
た装置がある。
【0009】E)更に竪型の連続送り式火力乾燥装置と
して、本体の中央部に熱風供給塔を設け、これより熱風
を噴出させながら上方から下方に移動する籾の層を通過
させて排出するようにしたもので、本体の上部に籾溜め
を設けている。
【0010】F)大量の籾を乾燥する大型の乾燥装置と
して流動床式乾燥装置がある。
【0011】例えば大規模な農場で使用されている装置
として、籾の乾燥能力が5000トンプラントと称するもの
で、51t/Hのもので、乾燥装置本体の高さが約30〜35m
もあり、これの両側に籾を下方から上方に移送するバケ
ットコンベアを配置し、更にこの本体に隣接して大型の
籾貯蔵タンクを複数基設置して「テンパリング乾燥」を
するようにしたものがある。
【0012】前記乾燥装置は、本体の内部にスクリーン
を約15cm間隔で併設して縦方向に長い多数の乾燥区画
を列設し、これらの乾燥区画の下方から所定の温度、例
えば約60℃前後の熱風を供給して上方から排出しなが
ら、この乾燥区画の上部から被乾燥物である籾を供給
し、上昇する熱風中に浮遊させることによって落下速度
を緩めて、流動層状態で籾を熱風に接触させて熱交換さ
せると共に、加熱時間を長くしながら乾燥するように構
成している。しかし、前記従来の熱風を熱源とする各種
の乾燥装置は多くの問題を含んでいる。
【0013】イ)第1の問題点は、前記熱風を熱源とし
て使用する乾燥装置は、灯油を燃焼炉で燃焼させる、い
わゆる「灯油じか炊き」あるいは「灯油なま炊き」によ
って高温の燃焼ガスを発生させ、これに前記のように外
気を混合して所定の温度、例えば約60℃程度の加熱空
気に温度調節した後、乾燥装置本体内に供給する点にあ
る。
【0014】この熱風の温度条件は、それぞれの乾燥装
置に合わせて決定した経験的なものであって、籾が大き
く変質しない範囲で、かつ燃料の使用量が最少となる範
囲に決定されたものである。しかし、この方法は多量の
燃料を必要とするためにコスト的に問題があるようであ
る。
【0015】また、前記したように、灯油じか炊きによ
って発生した高温の燃焼ガスは、これを60℃程度に低
下させた場合でも、籾が自然界で受けたことがないよう
な高温である上に、そのガスは灯油が燃焼して発生した
炭酸ガスや窒素酸化物ガスや亜硫酸ガス等の有害ガス、
更に多量の水分と煤等を含んでおり、籾にとっては経験
したことのない過酷な雰囲気の中に置かれることにな
る。
【0016】換言すれば、従来の高温の温風乾燥方式
は、あたかもディーゼルエンジンの悪性の排気ガスを乾
燥機内に吹き込んで籾を加熱するとともに、燃料の燃焼
によって発生した水分を供給しながら乾燥させるような
ものであり、しかも外気温度から温風の温度に至る急激
な加熱によって米の胴割れ等の籾の劣化を生ずる。
【0017】そしてこの乾燥された籾の発芽試験を行う
と、約20〜25%もの大量の籾が発芽しないことが確
認されており、更に発芽したものでも成長に勢いがない
ことが確認されている。このような従来の燃焼ガスを熱
源とする籾の乾燥方法は、古来の秋の太陽熱と乾燥した
冷風を利用した自然乾燥とは著しく乾燥の条件が異なる
ものである。
【0018】ロ)第2の問題点は、外気に触れて冷たく
なっている籾を乾燥装置内に供給すると、冷たい籾が突
然この装置内の高温の熱風に曝されることになり、ここ
に大きな問題がある。
【0019】収穫された籾は多量の水分(約30%)を
含んでいるが、この水分を含んだ常温の籾を乾燥装置に
供給し、その中で約60℃、あるいはそれ以上の高温の
熱風中に急に曝すと、籾は突然、その表面から加熱され
ることになる。例えば晩秋から冬季にかけて籾を乾燥す
る場合は、気温がかなり低い場合があり、このような低
温で平衡含水率の状態にある籾を熱風にさらすと、この
籾に対してかなり大きな温度差が与えられることにな
る。
【0020】このように冷えている籾を急激に加熱する
と、籾殻で保護されている穀粒(米粒)の表面や糠の部
分に急激に水分が発生し、そしてこれが温風で急速に加
熱されると、あたかも表面のみが軽く煮えたような状態
なる。
【0021】そしてこの穀粒の表面部分が急速に加熱さ
れると、それに伴って米の成分であるデンプンが軽く煮
えたような状態となって穀粒の表面に糊状の薄いフイル
ムを形成することになる。このように穀粒の表面が糊状
のフイルム層で覆われ、水蒸気に対する一種のバリヤー
が形成されると、穀粒の内部の水分がこのフイルム層を
透過し難くなる。このように籾の乾燥の初期段階で穀粒
の表面にフイルム層を形成し、しかもこのフイルム層は
穀粒の乾燥と共に硬化し、密度が高くなって内部の水分
の表面への移動を一層困難にすることとなる。
【0022】圃場にあって平衡含水率で水分を安定して
保有している籾が、前記のように乾燥装置内において熱
風によって急激に加熱されて表面に変化が生ずるが、穀
粒の内部の水分は極めて徐々に拡散を繰り返しながら表
面に移動することから、穀粒の表面と内部の含水率が大
きく異なるという現象が発生する。
【0023】この乾燥条件が籾の乾燥に適していない場
合は「胴割れ現象」を発生することが知られている。こ
の胴割れ現象は、籾の急激な乾燥と穀粒に含まれている
水分の移動速度に関係しており、穀粒の表面と内部との
水分含有率に大きくムラが発生することを意味してい
る。
【0024】従って、籾の乾燥においては、穀粒の内層
部と表層部との間に、この水分含有率のムラが大きくな
らないように乾燥することが重要であるが、現実の問題
として、高温で低湿度の熱風を送れば乾燥が速くなる反
面、前記のように水分含有率の差を必然的に発生させた
胴割れ現象の危険性も増大すると言う問題点を含んでい
る。
【0025】このような穀粒の胴割れ現象が発生するの
を防ぐために、40℃以下の低温の乾燥空気によって籾
を加熱乾燥する方法も検討されているが、この方法によ
ると乾燥速度が一層低下することになり、到底、効率的
に籾を乾燥することができないと言う問題がある。
【0026】ハ)このように乾燥中に発生する穀粒の表
面の変質と内部の含水率のムラは、胴割れ現象を惹起し
て米の品質を著しく低下させることになるので、この胴
割れ現象を防がなければならない。
【0027】そのために、従来は、熱風を利用して籾を
乾燥させる行程と、熱風に接触しないようにして穀粒内
の水分の拡散移動とともに、含水率の高い籾と低い籾と
を混合して全体として水分含有率のムラを緩和しながら
順次乾燥する「テンパリング乾燥方法」が実施されてい
るのはこの理由からである。
【0028】このテンパリング乾燥は、例えば、乾燥機
本体内に10分間、高温の熱風を供給し、次に20分そ
の供給を停止するような、熱風加熱と加熱停止を繰り返
すような状態にすることが一般的である。しかし、この
乾燥方式によると穀粒内部の水分を表面まで徐々に安定
した状態で移動させる必要があることから、一度に処理
する量にも関係するが、通常は24時間あるいはそれ以
上の乾燥時間で処理する必要があったのである。
【0029】つまり、従来の乾燥方法によると、籾が長
時間にわたり、間歇的な加熱を受けながら、その際に高
温のディーゼルエンジンの排気ガスのような汚染された
ガスに曝らされ、その間に籾の品質が低下する上に発芽
不良を生ぜざるを得ない問題があったのである。更に灯
油を燃焼させた排気ガスは多量の水分を含んでおり、籾
を乾燥するのに湿度が高く、高温の空気を使用していた
のである。
【0030】ニ)前記従来の籾の乾燥方法は24時間、
あるいはそれ以上の長時間のテンパリング乾燥操作が必
要であったことから、熱源として大量の灯油を燃焼させ
る必要があり、従って籾の乾燥に要するコストを増加さ
せるという問題があったのである。
【0031】前記F)に記載した実際に使用されている
大型の流動床式乾燥装置を例に説明すると、この5000ト
ンプラントと称されている乾燥装置が必要とする熱量
は、1基あたり200t/Dの乾燥籾を処理できる乾燥装
置本体では、1基あたり1,800,000 Kcal/hでこれが2
台も必要であり、合計して3,600,000 Kcal/hもの大量
の熱量を必要としている。
【0032】その理由は、灯油を燃焼させた燃焼ガスは
籾に短時間、直接接触させることによって少量の熱量を
付与するが、この籾の加熱に関与しない大部分の燃焼ガ
スは大気中に無駄に放出されるからである。
【0033】ホ)更に従来の乾燥方法は燃焼ガスを熱源
としてこれを外気で薄めて得られた高温の熱風を使用し
ている点に問題がある。
【0034】即ち、米飯の味の良し悪しは、「米飯の香
り」や「弾力性」に大きく影響される。例えば新米に
は、ほんのりとして香りがあり、柔らかく、しかも弾性
があり、歯ざわりが良く、なんとも言えない光沢があっ
て、他の食品にない味わいがあるものである。
【0035】この香りの素は、米に含まれている微量の
アルコール又はエーテル系の成分であるが、前記のよう
にテンパリング乾燥を採用し、24時間あるいはそれ以
上の長時間、しかも籾にとっては経験したことがような
高温で汚染されたガスに曝すことは、その間に揮発し易
い性質を持つ香りを失う第一の原因となっているのであ
る。このことは、天日乾燥の籾で得られた米飯と、通常
の乾燥装置によって乾燥した籾から得られた米飯とを比
較すると容易に分かることである。
【0036】ヘ)以上詳述したように、従来の籾の乾燥
方法は、最も米の香りと味等の特性を引き出すことがで
きる天日乾燥から著しく異なる条件の、しかも稲が成育
する際には決して経験したことがないようなあたかも
「ディーゼルエンジン」の排気ガスのように、高温で各
種の悪性のガスと多量の水分が含まれている雰囲気中に
おいて長時間行われるもので、籾の劣化が早く、また、
エネルギーコストが高いという問題があった。
【0037】そして乾燥操作で最も恐れている「胴割れ
現象」が本質的に発生し易く、その上に米飯にした場合
に香りが少なくなり、天日乾燥のものに比較して食味、
香り、光沢、粘りなど、全体的に味わいが悪いものであ
った。
【0038】ト)更に、従来の熱風による乾燥方法で処
理された籾の発芽試験をすると、極めて慎重にテンパリ
ング方式の乾燥を行った籾であっても、天日乾燥した籾
に比較して発芽率と発芽後の成長の度合い(発芽勢)が
かなり悪いことが確認されている。つまり、従来の高温
の燃焼ガスを利用した乾燥方法で処理された籾は、本質
的に生きる力が減少し、かなりの割合で発芽不良ないし
は成長不良となっているのである。
【0039】チ)本発明は、前記従来の灯油の燃焼ガス
を熱源とする乾燥方法の問題点を本質的に解消する方法
を提供するものであって、籾の乾燥に適さない高温で悪
性のガスを全く使用せず、また、水分が多量に含まれて
いない低温の乾燥空気を多量に流しながら籾を乾燥す
る、自然乾燥に類似する乾燥方法であり、特に乾燥処理
時間がこの従来技術に比較して極端に短く(約20分の
1)、そして胴割れ現象が実質的にゼロ%であり、更に
自然乾燥に近いことから米飯とした場合に弾力、光沢、
そして香りがあり、食味に優れ、しかも農家の種籾のよ
うに発芽率が高く、高効率の籾の乾燥方法を提供するも
のである。
【0040】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係る乾燥方法は、次のように構成されてい
る。
【0041】1)第1の発明は、乾燥室内を減圧状態に
保持し、この乾燥室内に多量の遠赤外線を放射し、この
乾燥室内に加熱空気を循環させる内部循環空気流と、更
にこの乾燥室内の空気を導出して冷却し、そして除湿し
た後に前記乾燥室に供給循環させる外部循環空気流とに
よって前記乾燥室内に収容された籾を乾燥する方法であ
って、前記乾燥室内に給気すると共に、この給気に使用
する動力より大動力で排気して50mmないし200m
m水柱の減圧状態に保持し、前記外部循環空気流と、内
部循環空気流とを混合して乾燥室内の空気の温度を45
℃ないし5℃に保持し、前記乾燥室内に籾を層状に分散
状態で支持し、減圧下で多量の遠赤外線の放射と、前記
混合空気流に籾を接触させながら乾燥させるようにした
ことを特徴としている。
【0042】本発明の籾の乾燥方法は、従来技術の籾の
乾燥方法で必須要件であった「テンパリング乾燥」の段
階を全く必要としない点である。
【0043】テンパリング乾燥は、籾を高温の燃焼ガス
を薄めた加熱空気で加熱することによっ表面を高度に乾
燥させ、次いでこの加熱を中止し、穀粒の内部の水分を
表面側に移行させる拡散作用を繰り返して利用するもの
であり、この段階では穀粒の表面と内部との間に水分含
有率に大きな差を発生せざるを得ない。
【0044】従って、このように穀粒内部の水分の拡散
作用を利用する限り、籾の表面を高温に加熱して過乾燥
もしくはこれに近い状態に保持し、内部の水分をあたか
も表面側に吸い寄せるように移動させて平衡状態に近づ
けるような操作が必要あり、この水分の拡散による移行
のために、籾の高温の加熱と冷却との間に大きな水分含
有率の差と、そしてこの水分含有率を平衡させるために
24時間あるいはそれ以上の長時間にわたるテンパリン
グ乾燥時間が必要であったのである。
【0045】また、従来の加熱空気を得る方法としては
灯油を燃焼させた排気ガスを熱源として利用しているの
で、この排気ガスは籾にとって悪性である上に、多量の
水分を含んでおり、従って籾は高湿度の雰囲気中で、高
温に加熱されながら無理に乾燥させられていたのであ
る。
【0046】これに対して本発明においては、穀粒の内
部の水分が表面側に移行するための力を、穀粒の内部に
自然に発生させるような条件にした点において、従来の
テンパリング乾燥とは本質的に異なるものである。その
ために本発明においては、次の要件が重要である。
【0047】a)籾、即ち穀粒の内部の水分が表面側に
移行し易い状態の雰囲気とするために、減圧雰囲気中に
保持すること。また、乾燥室内を循環する空気は、籾に
悪性のガスを含まない清浄なものであること。
【0048】b)籾に対して多量の遠赤外線放射して、
穀粒の内部まで積極的に加熱すること。 c)籾が劣化しない温度の、乾燥した比較的低温の空気
の流れに接触させること。
【0049】要件a)の減圧雰囲気を発生させる手段と
して、本発明は乾燥室内にシロッコフアン又はブロワー
で給気しながら、この給気に要する動力よりも大動力で
排気することによって行なっている。
【0050】なお、給気量と排気量とは同じ量である
が、排気側を大動力とすることによって減圧状態を発生
させるものである。このように乾燥室内を所定の減圧状
態に保持することは、蒸気圧を低下させ、それに伴なっ
て穀粒内部の水分が自然に外部に移行し易い条件を形成
していることを意味している。
【0051】この減圧の程度が大きければ穀粒の乾燥作
用が顕著になるが、穀粒に胴割れ等の欠陥が発生せず、
更に電力の使用量が経済的な範囲とすることが必要であ
る。このようなことから、50mmないし100mm、
好ましくは80mmないし200mm水柱程度の減圧状
態に保持する。
【0052】水柱50mmより低い減圧の場合は、穀粒
の含水率の低下の割合が比較的遅くて長い処理時間を必
要とする。これに対して水柱200mmよりかなり高い
減圧の場合には、乾燥室全体を恰もプールの中に沈下さ
せたように大きな圧力を外周から受けることになるの
で、その構造を著しく頑強なものにしなければならない
上に、排気用のシロッコフアンや高排気能力のブロワー
に極端に大きな動力、即ち大きな消費電力を必要とする
という問題がある。
【0053】要件b)の籾に対して多量の遠赤外線を放
射することは、遠赤外線ヒータと籾層との間の空気層を
実質的に加熱しない状態で、籾に対して直接に熱線を輻
射して加熱することを意味している。
【0054】多量の遠赤外線を放射するためには、大型
の遠赤外線ヒータが必要である。具体的には乾燥室の天
井の面積に対して30%ないし85%、好ましくは60
%ないし85%である。
【0055】発明者の多数の遠赤外線ヒータを使用して
各種の被加熱物を加熱した実験結果によると、加熱装置
内の空気層の温度に比較して被加熱物の温度が輻射温度
計で測定して「3〜4℃」は高温に加熱されることを確
認している。このように被加熱物である籾に対して遠赤
外線を放射すると、籾の内部の温度を室温より高く保持
でき、それに伴なって籾の内部に含まれている水分を表
層側に移行する現象を促進することを意味している。
【0056】また、本発明は籾を生命を持つ一つの植物
として認識しており、従って、この生命体が損なわれる
ことを慎重に回避しながら乾燥する手段を提供するもの
である。
【0057】なお、前記被加熱物である籾の表面温度と
内部温度との関係にについては、所定の大きさのサツマ
イモを遠赤外線オーブンで加熱して焼きイモを製造した
際のこのイモの表面温度と内部温度とを測定して比較す
ることによって確認している。
【0058】本発明においては遠赤外線ヒータは重要な
役割りを持つものであるが、そのためにこの遠赤外線ヒ
ータとして燃焼ガスなど、籾に対して悪影響を与えるガ
スを一切発生させない電熱式のものが最も好ましいが、
スチームや電熱加熱による加熱油を使用した間接加熱器
を使用することもできる。
【0059】この電熱式ヒータ等は乾燥室の天井面に配
置して乾燥室内に広く遠赤外線を放射させることは勿論
であるが、更に床面や壁面、あるいは籾を支持する支持
体等、籾に対してあらゆる部分から遠赤外線が放射され
るようにするのが好ましい。
【0060】また、籾を受ける支持皿等の支持体や乾燥
室に収容される部品等にセラミックの溶射層を形成して
遠赤外線の加熱効果を助けることができる。また、セラ
ミックスの微粉を含んだ塗料を各部材に塗布してこれが
遠赤外線の放射を受けて加熱されるとこれより遠赤外線
を放射させることができ、籾に対して遠赤外線を効果的
に与えることもできる。しかし、この遠赤外線を放射す
る表面は多孔性で、放射面積が大いものであることが必
要である。その意味で、塗布法によるものより溶射法に
よるものの方が適しているといえる。
【0061】要件c)は、好ましくは遠赤外線ヒータの
背面に空気を流してその間に加熱空気を形成し、これを
乾燥室内を循環させる内部循環空気流(即ち、加熱空気
流あるいは第一循環空気流)と、乾燥室の空気を、好ま
しくは乾燥室外に導出し、これを冷却して除湿して再び
乾燥室内に戻してこの乾燥室内に横向きの空気流を形成
する外部循環空気流(即ち、第二循環空気流あるいは冷
却・乾燥空気流)とを形成する。
【0062】この外部循環空気流は必ずしも、乾燥室内
の空気を冷却し、そして乾燥させる装置を乾燥室外に設
置することを意味するものではないが、単に乾燥室内で
循環させる空気流と区別するために呼ぶものである。
【0063】乾燥室内に給気し、そしてこの給気の動力
より大きな動力で排気することによって所定の減圧状態
を保持しているが、この給気は外気である場合が多く、
一日の内の作業時間や季節によって湿度が高い場合があ
るので、乾燥室内の条件を乱すことがないように、この
給気も乾燥させ、更に温度が調節されたものであること
が好ましい。
【0064】そして外部循環空気流と内部循環空気を混
合して、乾燥室内を45℃ないし5℃、好ましくは35
℃ないし15℃の温度、即ち、従来の乾燥方法では適用
されていないような低温に乾燥室内の温度を調節しなが
ら、しかも、この混合空気を乾燥室内に大量に流動さ
せ、籾の表面との接触回数を可能な限り大きくすること
によって籾の表面から水分を速やかに蒸発させるもので
ある。
【0065】外部循環空気流は、例えば外気温度が31
℃,相対湿度が67%,乾燥室内の温度が25℃である
場合は、相対湿度が12%程度の低温・低湿度の状態で
乾燥室内を循環するようになっている。
【0066】本発明においては、大量の外部循環空気流
の一部または全部を薄い籾層を通過させることによって
直接に、まんべんなく接触させながら、この籾層を通じ
て乾燥室内に放出するものであるから、この温度は米を
構成しているタンパク質の変質ないし分解する温度以下
であることが必要である。そのために上限温度は45℃
以下で、好ましくは35℃以下であることが必要であ
る。
【0067】本発明は、前記要件b)のように籾に多量
の遠赤外線を放射し、その特性を有効に利用して籾の内
部まで加熱しながら、乾燥室内の空気を導出してこれを
冷却して除湿して低湿度とした低温の空気を乾燥室内に
供給して循環させる外部循環空気流と、乾燥室内に噴出
される加熱空気、即ち内部循環空気流とを混合させなが
ら循環させることによって、結果として乾燥室内の平均
温度を45℃ないし5℃、好ましくは35℃ないし15
℃に保持し、この乾燥した空気を籾に積極的に接触させ
るものであって、籾は遠赤外線による加熱と、籾層の表
面と、更に籾の周囲を流れる大量の乾燥空気に接触させ
ることによって、籾の表面から水分を積極的に蒸発させ
て内部の水分を恰も吸い出すように表層部に移行させて
乾燥を促進するものである。
【0068】乾燥室内の空気の温度が45℃以下で常温
を含んでいることは、熱風によって籾を加熱するより
も、冷風に近い外部循環空気で籾の表面より水分を蒸発
させることを意味しており、従って乾燥空気であれば5
℃程度の熱風でも籾の乾燥に利用することができる。な
お、内部循環空気流は、前記のように加熱装置の遠赤外
線ヒータの背後の空気加熱室で加熱されているが、これ
が噴出口において例えば90℃程度の高温であっても、
この噴出口から乾燥室内に噴出されると同時に、室内の
循環空気と強制的に混合されるので、籾層の場所まで高
温の空気が到達することはないので、噴出口の位置にお
いてはかなり高温であっても良い。また、遠赤外線ヒー
タは室温を保持する役目を持っている。
【0069】前記第1の発明をモデル的に説明すると、
収穫を終った圃場において、秋の柔らかい日差しを「た
っぷりと」浴びながら、排気ガス等が含まれていない清
浄で、しかもひんやりとした空気の流れに包まれて、更
に高原のように気圧の低く、肌から汗が引き出されるよ
うな条件において、しかも籾に前記のような空気を大量
に接触させながら乾燥する方法であって、如何に自然乾
燥を工業的な乾燥に近づけるかが重要な発明のポイント
とも言える。
【0070】後述するが、本発明によると乾燥工程は、
『1〜2時間』程度で極めて短時間の処理であり、従来
の24時間にも及ぶ熱風乾燥方法と同様な水分含有率と
することができる点において驚くべきことであり、圃場
で収穫した籾の持つ各類の性質を実質的に低下させない
点が優れている。
【0071】また、従来のテンパリング乾燥の際に籾と
接触させる熱風の量は少量であるのに対して、本発明の
乾燥室内を循環する空気の量は、著しく大量である点も
特徴としている。
【0072】2)第2の発明は、少なくとも天井面に、
この天井面の面積に対して30%ないし85%の面積を
持つ遠赤外線ヒータを設け、乾燥室内に籾を層状に分散
支持するようにしたことを特徴としている。
【0073】前記したように、天井面は勿論であるが、
壁面、場合によっては床面に遠赤外線ヒータを設けるこ
ともできるし、更に機材等に遠赤外線を放射するセラミ
ックスの薄い層を形成しておくことによってこの乾燥室
内で発生した熱線を遠赤外0とし、これを籾に与えて有
効に加熱し、乾燥することができる。
【0074】3)第3の発明は、外部循環空気流を分散
状態で支持された籾を支持具上の層中を貫通させて前記
乾燥室内に流出させるようにしたことを特徴としてい
る。
【0075】籾に対して大量の空気流と接触させるため
には、籾を薄い層状に保持し、その層を貫通して下側か
ら上側に外部循環空気流、即ち、温度と湿度とを所定の
値になるように調節した空気流を通過させることを特徴
としている。
【0076】従来技術のように、高温の燃焼ガスに空気
に混合して温度を低下させた加熱空気を籾に直接接触さ
せると、この籾を劣化させる危険性が多分にあるが、本
発明においては籾に対して45℃ないし5℃、好ましく
は35℃ないし15℃の低温の空気を接触させるもので
あるから、このような熱劣化の危険性は全くない。
【0077】4)第4の発明は、外部循環空気流は乾燥
室を横方向に流して循環するようにしたことを特徴とし
ている。
【0078】外部循環空気流を乾燥室内を横方向、即ち
籾層の表面を流れる方向に流すことによって、天井面よ
り床面に向けて流下する内部循環空気流と交差させて積
極的に混合させてこの内部循環空気流の温度を急速に下
げると共に乾燥室内の温度の均一化を計っている。
【0079】5)第5の発明は、外部循環空気は前記乾
燥室内を1時間あたり600回ないし2000回、ある
いはそれ以上の回数で循環する風量としたことを特徴と
している。
【0080】外部循環空気流の空気量を、乾燥室内を数
600回から2000回、あるいはそれ以上の回数で循
環させることによって、籾との接触を強めながら乾燥室
内の温度を全体的に均一化することができるのである。
【0081】本発明においては外部循環空気流の流量は
大きければ大きい程良いが、余りにも大きいとコンベア
上に支持されている籾が乾燥室内で飛散することになる
ので、これを避けた範囲で、かつ電力が過大にならない
条件を採用する。
【0082】6)第6は発明は、乾燥室内を減圧状態に
保持し、この乾燥室内に多量の遠赤外線を放射し、この
乾燥室内に加熱空気を循環させる内部循環空気流と、更
にこの乾燥室内の空気を導出して冷却し、そして除湿し
た後に前記乾燥室に供給して循環させる外部循環空気流
とによって前記乾燥室内に収容された籾を乾燥する方法
であって、少なくとも天井面に多量の遠赤外線を放射す
る遠赤外線ヒータと、この遠赤外線ヒータの背面に、一
方より前記乾燥室内の空気を吸気し、他方より排出し、
その間にその空気を加熱するダクト状の空気加熱室を併
設して加熱された空気を乾燥室内に循環する内部循環空
気流を形成するように構成し、前記乾燥室内に給気する
と共に、この給気に使用する動力よりも大動力で排気し
て50mmないし200mm水柱の減圧状態に保持し、
前記除湿した後に乾燥室内を循環させる外部循環空気流
と、乾燥室内を循環する内部循環空気流とを混合して乾
燥室内の空気の温度を45℃ないし5℃に保持し、前記
乾燥室内に配置された支持具上に籾を層状に支持し、減
圧下で多量の遠赤外線の放射と、乾燥室内を循環する循
環空気流によって乾燥させるようにしたことを特徴とし
ている。
【0083】この第6の発明は、第1の発明において内
部循環空気流の形成手段を明確にした点に特徴がある。
【0084】即ち、天井面に設けた遠赤外線ヒータの背
後にダクト状の空気加熱室を形成し、天井面から遠赤外
線を乾燥室内に輻射すると共に室内温度より少し高い温
度の加熱風を送り出すようにすることを要件とするもの
であり、この加熱風は乾燥室内を所定の温度に保持する
熱源として作用している。
【0085】7)第7の発明は、籾を層状に支持するた
めの支持具は、下側に空気流を受入れて案内するダクト
体と、このダクト体の上側に配置され、上面で籾層を支
持しながら空気をこの籾の層を貫通させるための多孔体
からなる支持板とから構成され、この支持具の空気流の
受入れ口に前記外部循環空気流を供給して支持板上の籾
層貫通して乾燥室内に排出するように構成したことを特
徴としている。
【0086】つまり、支持具の上面に籾を層状に支持し
ながら、この支持具の側面から外部循環空気流を受入れ
て籾層を貫通させて乾燥室内に放出させることによっ
て、籾に大量の循環空気流を接触させることによって乾
燥処理を促進するようにしたものである。
【0087】8)第8の発明は、乾燥室内を減圧状態に
保持し、この乾燥室内に多量の遠赤外線を放射し、この
乾燥室内に加熱空気を循環させる内部循環空気流と、更
にこの乾燥室内の空気を導出して冷却し、そして除湿し
た後に前記乾燥室に供給循環させる外部循環空気流とに
よって前記乾燥室内に収容された籾を乾燥する方法であ
って、前記乾燥室内に給気すると共に、その給気に使用
した動力より大動力で排気して50mmないし200m
m水柱の減圧状態に保持し、前記外部循環空気流と、内
部循環空気流とを混合して乾燥室内の空気の温度を45
℃ないし5℃に保持し、前記乾燥室内に配置した多孔性
のコンベア上に籾を層状に分散状態で支持すると共に、
このコンベアの下面から外部循環空気を供給して前記籾
層を貫通させて前記乾燥室内に放出するように構成し、
減圧下で多量の遠赤外線の放射と籾層を貫通する空気流
を利用して乾燥させるようにしたことを特徴としてい
る。
【0088】この第8の発明は、乾燥室内に通気性のベ
ルト、例えば多孔板式スチールベルトを使用したコンベ
ア、多孔板を使用したコンベア、通気性のシートを使用
したコンベア等の通気性コンベアと、このコンベアの下
方に設けたダクトとを組合わせたものであって、所定の
温度条件に調節された乾燥室内で、通気性コンベアによ
って大量の籾を薄い層状に移送しながら多量の遠赤外線
を放射し、籾の層を貫通する外部循環空気流によって効
率的に乾燥させるものである。
【0089】前記したように、本発明においては従来の
テンパリング乾燥を実施することなく、自然に近い状態
で乾燥するものである上に、乾燥時間を著しく短縮する
ことができるので、通気性コンベア(多孔板で構成した
コンベア、ネットコンベア等)を利用して籾を搬送しな
がら、乾燥空気をこの籾の層を貫通するように接触させ
ながら、大量の籾を効率的に乾燥することができるので
ある。
【0090】籾は乾燥室内において通気性コンベアによ
って連続的に流れるように搬送されるので、籾の状態の
監視が容易である上に、コンベア上で拡開した状態で、
しかも籾層の中を空気を貫通させながら乾燥させること
ができるので、極めて効率の良い乾燥を行うことができ
る。
【0091】9)第9の発明は、乾燥室に給気しながら
この給気の動力より大きな動力で排気して減圧状態に保
持し、少なくとも天井面に設けた遠赤外線ヒータによっ
て前記乾燥室内に多量に遠赤外線を放射し、前記乾燥室
の一方の壁面から空気を排出してこの空気の温度と湿度
とを調節して再び前記乾燥室内に循環させるように構成
し、前記乾燥室内に前記遠赤外線ヒータからの遠赤外線
の放射を受けるように籾を層状に保持すると共に、前記
温度と湿度を調節した空気をこの層を通過させながら乾
燥するようにしており、前記乾燥室内を循環する空気は
温度が45℃ないし5℃の除湿された乾燥空気流で乾燥
することを特徴としている。
【0092】この発明は前記第1ないし第8の発明を発
展させたものであって、循環空気は外部循環空気(第二
循環空気流)のみ、あるいはこれを主として使用し、こ
の空気流を遠赤外線を浴びている籾層を貫通させて乾燥
室内に放出させるようにしている。
【0093】本発明は、温度と湿度とを調節した外部循
環空気を乾燥室内を循環させる空気流と、籾の層を貫通
させる空気流との両方に使用するものである。第1ない
し第8の発明においては内部循環空気流と外部循環空気
流とを分離しているので、風量や温度及び湿度を正確に
コントロールすることが可能である。
【0094】しかし、この第9の発明のように一つの空
気流で籾の層を貫通させる空気流と乾燥室内を循環させ
る空気流を形成するために、一つの空気流を二分してそ
れぞれの湿度と温度の条件を調節して最適な条件のもの
とすることが好ましい。
【0095】そして外部循環空気流、あるいは温度と湿
度とを調節され、乾燥室内を高速循環する空気の循環回
数は1時間あたり600回ないし2000回、更にそれ
以上であって、操作上ないし経済上可能な限り多い回数
となる風量で循環するのが良い。
【0096】この風量が多い点は、従来の乾燥方法は穀
粒の表面を極端に加熱してこの表面より直接に蒸発して
乾燥する方法を採用しているのに対して、本発明は穀粒
のタンパク質が変質ないし劣化しない程度の低温の空気
を大量に接触させることによって穀粒の内部の水分を自
然に表面に移動させるためのものである。この場合、乾
燥室内が減圧状態であるから前記乾燥効果が効果的に行
われることになる。
【0097】前記のように本発明は、低温で清浄な空気
を使用して効率良く乾燥ができることから、従来の乾燥
方法及び装置(例えばカンドリエレベータ)に比較して
著しく小型の装置を使用して乾燥設備を建設することが
できる。
【0098】10)第10の発明は、乾燥室内に配置し
た通気性のあるコンベア上に籾を層状に支持して搬送し
ながら、この籾の層を下方から上方に外部循環空気流を
通過させるように構成すると共に、前記コンベア上の籾
の層の一部または全部を、上下に反転あるいは攪拌させ
るように構成したことを特徴としている。
【0099】第8及び第9の発明において籾を通気性の
ある多孔性のコンベア上に支持してこの籾の層に乾燥空
気を貫通させて乾燥する場合は、この籾の層の一部ある
いは全部を反転させることによって乾燥にムラがなくな
り、更に乾燥速度を早めることができるのである。
【0100】例えばカントリエレベータを使用して籾を
乾燥する場合は、籾が長時間にわたってかなりの力で押
し合い、互いに摩擦し合って籾の表面を保護している微
細な毛の殆どが脱落する。しかし、本発明においては、
籾に大きな圧力を加えたり、摩擦させたりすることがな
いので、籾を自然の状態に保持することが可能であり、
この意味からも籾の品質を最高の状態に保持することが
できるのである。
【0101】籾の層を反転させる手段は、鋤状のもの、
攪拌翼状のもの、螺旋翼、水車状のもの等、如何なる構
造のものでも使用することができる。最後に本発明に係
る籾の乾燥方法の要件について説明すると次のように構
成されている。
【0102】第1に、乾燥室内に給気しながらこの乾燥
室内の空気を排出することによって乾燥室内に発生した
高湿度の空気を排気している。そしてこの排気の動力を
給気の動力より遙かに大きくして大量に排気することに
よって水中で50mm〜200mmの減圧の状態を形成
している。
【0103】第2に、乾燥室内に多量の遠赤外線を放射
してこれを籾に与えるようにしている。第3に、籾を通
気性のあるコンベア等の支持具の上に、薄い層として保
持するようにしている。
【0104】そして第4に、乾燥室内を循環する空気
を、その循環行程において乾燥させた外部循環空気流と
し、この外部循環空気流を前記コンベア等の上に薄い層
を形成している籾の層を貫通させるように供給すること
によって籾の層をこの空気流によって膨張させながら接
触を多くしている。
【0105】第5に、前記外部循環空気流を大量に流す
ことによって常時、籾を乾燥空気と接触させるようにし
ている。第6に、乾燥室内に設けた遠赤外線ヒータの背
後を通過してこの乾燥室内を循環する内部循環空気流に
よって乾燥室内の温度を調節するよにしている。
【0106】前記各要件は、各種の材料の乾燥方法に利
用されているもの、ないしはこれに近いものであるかも
知れない。
【0107】しかし、このような構成要件を一体として
有機的に結合させることによって、従来より最高の乾燥
技術として行なわれてきたテンパリング乾燥において
は、20時間あるいはそれ以上の乾燥時間を必要として
いたものが、本発明においては1時間、長くても2時間
程度の、驚くべき短時間において目的とする乾燥状態が
得られるという顕著な効果を奏することができたのであ
る。
【0108】本発明は、単に籾の乾燥時間が著しく短縮
されるのみではなく、米に胴割れを実質的に発生させ
ず、米の品質が格段に向上しており、更に米飯の食味試
験においては同種の米について比較した場合、各種の試
験で最高の点数が与えられている点に注目すべきであ
る。
【0109】更に、この乾燥籾について発芽試験を行な
った場合、従来の乾燥方法によったものは約75%の発
芽であったのに対して、本発明のものは100%であっ
た上に、発芽勢にも顕著な違いが認められている。ま
た、従来の乾燥方法による籾を精米した米と本発明によ
る米とを比較すると驚くべき事実が判明している。
【0110】即ち、従来法による米を水に浸漬すると、
胴部から空気の気泡が発生するが、本発明の米は胚芽の
部分からしか気泡が発生しないことが確認されている。
このことから、従来法の米には胚乳の表面を覆う保護層
に多数の割れ目が発生しているのに対して、本発明の米
は胚乳の表面は保護層で確実に保護され、胚芽の部分の
みが開口され、この部分より水が侵入すると共に空気が
排出されるのである。このことは、発芽試験によって分
かるように、米に実質な損傷を与えない、自然の乾燥方
法を越えた乾燥方法とでもいうことができるのである。
【0111】
【発明の実施の形態】次に図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。 〔実施例1〕図1は本発明の係る乾燥方法を実施するた
めの乾燥装置(設備)1の要部を示す斜視図であって、
断熱壁で構成されたされた乾燥室1aは、上部に天井室
2と両側に側壁室3,3aをそれぞれ配置している。
【0112】(加熱装置4と内部循環空気N)前記天井
室2内には加熱装置4を複数台(実施例には4台)配置
して乾燥室1a内の一方の壁面側(図1においては右
側)から加熱空気を噴出し、他方の壁面側から室内の空
気を流入させるようになっている。図1においては4台
の加熱装置4が同方向から加熱空気を噴出させ、同方向
から室内空気を流入させるように構成しているが、乾燥
装置の設計に応じて、この加熱装置4の向きを変えて乾
燥室1a内の空気の流れを、乾燥室の長手方向に交互に
変えて温度差をなるべく少なくするような配置とするこ
ともできる。
【0113】この加熱装置4は、図2に示すように全体
として遠赤外線を放射するヒータ装置であると共に乾燥
室1a内を循環する空気を加熱する加熱装置であり、下
面に室内に遠赤外線を放射するように遠赤外線ヒータ5
を設け、この遠赤外線ヒータ5の上面に電熱線(シーズ
ヒーター)あるいは高温のスチーム放熱器等からなる加
熱体5aを配置し、更にこの加熱体5aの背後にダクト
状の空気加熱室6を配置している。そしてこの空気加熱
室6の一方に吸気口7を、他方に噴出口8をそれぞれ設
け、前記吸気口7の近傍にフアン9を配置している。
【0114】図2に示すようにフアン9の回転に伴なっ
て吸気口7より乾燥室1a内の空気を吸引し、遠赤外線
ヒータ5の背後の空気加熱室6を通過させ、その間に加
熱体5aの熱で加熱して噴出口8より乾燥室1a内に内
部循環空気流N、として噴出し、この乾燥室1a内の被
乾燥物である図示しない籾を加熱しながら循環する。
【0115】このように乾燥室1aの天井面に設けた遠
赤外線ヒータ5からの遠赤外線の放射と、この遠赤外線
ヒータ5の背後の空気加熱室6を通過して加熱されて乾
燥室1a内を循環する内部循環空気Nとによって乾燥室
1a内の籾を加熱して乾燥するようになっている。
【0116】この内部循環空気Nの温度は、後述する外
部循環空気Gと混合して籾に接触する位置では低下する
が、空気加熱室内より乾燥室内に噴射された直後はかな
り高温の状態であるが、籾に接触する時点で所定の温度
範囲内に低下しておれば良いのである。
【0117】この温度は籾の乾燥の多数の実験結果より
得られたもので、熱風を噴出する場所にもよるが、60
℃以下であることが好ましいが、これ以上の高温、例え
ば90℃程度のものが直接籾に当たるのを避けるように
室内を循環する空気によって噴出した直後に素早く薄め
る必要がある。また、40℃以下であると乾燥室内を所
定の温度に保持するための熱量が足りない場合が発生す
るので、必要な熱量を補う範囲で加熱する必要がある。
【0118】この実施例においては遠赤外線ヒータ5は
加熱室1aの天井面のみに設けた例を示しているが、こ
の遠赤外線ヒータ5は床面や壁面のあらゆる面に設ける
ことができる。
【0119】また、遠赤外線は加熱物体のみではなく、
発熱体より放射される遠赤外線を受けて加熱された物体
からも放射されるものであるから、床面や籾を支持する
支持具等、乾燥室内に収容ないし設置される部材のあら
ゆる物に遠赤外線を放射する能力のある材質のものを設
けておくのが最も効率的である。遠赤外線は籾の乾燥に
適したものであることが必要であり、その波長は4〜1
3μm、好ましくはと7〜9μmが最適な範囲である。
【0120】前記遠赤外線ヒータ5を形成している基材
は、例えば2mm厚のアルミ板あるいはステンレス板等
であり、その表面に形成されたセラミック溶射層は厚さ
が20〜30ミクロン程度である。この基材は通常のも
のは平板状で良いが、設計によってはパンチングプレー
ト等の多孔板を使用してこの孔を加熱空気の通路とする
ことができる。
【0121】セラミックは、1種類の原料である場合も
あるが、複数の原料を混合した組成物であっても良く、
使用する原料には特に限定はないが、籾の乾燥に適した
波長の遠赤外線を多量に放射する特性を持つ材料、例え
ばジルコニア、マグネタイト、アルミナ、チタニヤ、ジ
ルコン、鉄、クロム、マンガン等の複合化合物を使用す
ることができる。セラミック溶射層は、従来技術で採用
されているプラズマ溶射ガンを使用して行う。
【0122】(外部循環空気G)加熱室1aの両側に配
置されている側壁室3,3aは、室内側に加熱室1aの
壁面より間隔をおいて多孔板3b,3cを配置すること
によって偏平で多数の噴出口あるいは排出口を有する一
種の偏平なダクト室を形成している。
【0123】そして一方の側壁室3aより排出された乾
燥室1内の空気(外部循環空気G)はダクト10を介し
てフアン11(ブロワー)で加圧され、次いで空気を冷
却しながらその空気中の水分を除去する機能を持つ空気
調節器12に供給されて所定の温度と湿度(11〜15
%程度)に調節され、そしてダクト10aを通じて前記
側壁室3aに対面する側壁室3内に供給される。この側
壁室3内において壁面に沿って分散されて乾燥室1a内
に面状に噴出され、対面する前記側壁室3aに向かって
水平ないし横方向に流れる。
【0124】この場合、湿度が調節された外部循環空気
Gは、加熱空気である前記内部循環空気Nと混合して乾
燥室1a内の温度を45℃ないし5℃、好ましくは35
℃ないし15℃の範囲の温度となる。
【0125】なお、前記外部循環空気Gの回路中に設け
た空気調節器12は、公知の構造を持つ加熱交換器であ
って、空気を急速に冷却して除湿あるいは減湿する機能
を持っている。更に、この外部循環空気Gが必要以上に
冷却されている場合には、その温度を調節するために空
気加熱器を内蔵させることができる。
【0126】また、季節によって外気の温度と湿度が異
なり、この条件によってこの空気調節器12の操作条件
が異なるので、同じ装置であっても、ある場合には熱媒
を供給したり、反対に冷媒を供給したりすることによっ
て加熱装置としたり、あるいは冷却装置としたりするこ
とができ、1台2役の装置とすることも可能である。
【0127】乾燥室1a内を循環する温度はなるべく自
然乾燥に近い状態に近づけている。高温側の45℃、好
ましくは35℃の温度は、穀粒のタンパク質が変質ない
し劣化しない上限の温度を意味しており、なるべくこれ
以下の温度に保持するように調節する。
【0128】また、低温側の15℃は常温に近いか、そ
れより低い温度、例えば5℃の場合は通常の食品の乾燥
工程では採用されないような低い温度である。この温度
の持つ意味は、本発明においては高温の空気で籾を加熱
するのではなく、減圧下において、遠赤外線を多量に放
射し、比較的低温の、大量の空気流と接触させることに
よって籾の内部から水分が自然に、しかも連続して蒸発
し易い条件としているのである。
【0129】前記のようにして乾燥室1a→側壁室3a
→ダクト10→フアン11→空気調節器12→ダクト1
0aと、両側壁室3,3aと乾燥室1a内を通過する空
気は外部循環空気Gを形成しており、この外部循環空気
Gは、前記のような方法で被乾燥物である籾の含水率に
よって湿度が調節される。即ち、籾の含水率が低い場合
には除湿量は少なくても良いが、高い場合は除湿量を多
くする必要がある。
【0130】また、この外部循環空気Gの風量は籾の含
水率や供給される量に依存するが、1時間あたり、乾燥
室1aの容積の500〜600倍、更に装置の大きさや
籾の含水率等によって2000倍、あるいはそれ以上の
範囲にもなる。従って、乾燥室1a内は恰も小台風ない
し強風が、一定の方向に流れているような状態となって
いる。なお、このような強風は従来のテンパリング乾燥
では全く採用されていないものである。
【0131】籾を低温・低湿度の大量の乾燥空気と接触
させることが重要であり、例えば籾が散らばらない程度
の風速で装置の操作上に問題がなく、更に電力等のコス
トが許す範囲内において大きくするのが好ましい。
【0132】なお、図1に示すようにダクト10aは複
数本に分岐されて側壁室3と接続されており、この分岐
したダクトにはそれぞれダンパー等の風量調節装置が設
けられており、これを調節することによって乾燥室1a
内に偏流が発生しないようにしている。
【0133】図2に示すように、乾燥室1a内には多量
の遠赤外線が放射され、天井面から乾燥の熱源となる内
部循環空気Nと籾の湿度を低下させる空気となる外部循
環空気Gとは乾燥室1a内において混合してこの乾燥室
1a内を45℃ないし5℃、好ましくは35℃ないし1
5℃の温度に調節する。 (乾燥室内の減圧手段)図1に示すように給気用のフア
ン15とダクト16と噴出口16aによって外気を乾燥
室1a内に供給すると共に、排気口17aと排気ダクト
17と排気用のフアン18(ブロワー)によって前記乾
燥室1a内の空気が強力に排気されるようになってい
る。
【0134】乾燥室内への給気量と排気量とは等しい
が、前記給気用のフアン15の動力に比較して排気用の
フアン18の動力を著しく大きくすることによって減圧
条件を制御することができる。シロッコフアンあるいは
ブロワーからなるフアン15の駆動力に対して、シロッ
コフアンあるいはブロワーからなるフアン18を大動力
で駆動して排気することによって乾燥室1a内を水柱で
50mmないし200mmで運転するのが良い。しか
し、籾の含水率や乾燥処理量に応じてそれ以上の減圧に
することができる。
【0135】水柱50mm未満の減圧は、籾の内部から
水分を蒸発を促進する雰囲気とするのには適当ではな
く、多くの処理時間を必要とするので、この点を考慮し
て50mm以上とするのが良い。また、水柱200mm
以上でも運転は可能であるが、乾燥室1aの耐圧力を著
しく高めた構造が必要であるし、また、減圧状態を保持
するための電力も格段に増加するので、各種のコストを
考慮すると200mm以上の減圧は好ましくない。
【0136】(給気装置)図1に示すように給気フアン
(またはブロワー)15により外気(給気)Kを吸引
し、ダクト16を経由して噴出口16aより乾燥室1a
内に供給しているが、この給気フアン15の直後ないし
ダクト16の途中に冷却・除湿装置等の減湿装置を設け
ておくことによって外気の温度や湿度の変化に関係な
く、乾燥室1a内の条件を容易に調節することができ
る。
【0137】(籾保持装置)本発明においては被乾燥物
である籾をできるだけ薄い層に分散して保持することが
必要である。籾を層状にすることによって温度が調節さ
れた乾燥空気と接触させながら貫通して流すことが可能
であると共に、その間に籾に対して、たっぷりと、まん
べんなく遠赤外線を照射することができる。
【0138】図3は籾保持装置20の要部の一例を示す
ものであって、キャスター付台車21の枠体22に、ダ
クト体23とその上に籾が漏れない程度の小孔を多数開
口したパンチングメタルからなる籾支持皿24を重ねて
使用するようになっている。
【0139】この籾保持装置20は図4に示すように、
側壁室3を形成している多孔板3bに当接するように配
置するか、近接して使用されるものであって、ダクト体
23の口部に設けたシール部材23aを多孔板3bに当
接させ、この多孔体3bの小孔3eから噴出する外部循
環空気Gの一部の空気g(実質的に内部循環空気Nと混
合して循環する空気)をダクト体23と籾支持皿24の
間の空間24a内に導入し、籾層Mの下方から貫通させ
て上方に排出するようになっている。
【0140】前記のように籾層Mを貫通して乾燥した外
部循環空気Gが流れると共に、この籾層Mの上面は多量
の遠赤外線Sを受け、そして図2に示す内部循環空気N
に接触しながら乾燥されることになる。
【0141】前記のように本発明は、従来の装置のよう
に乾燥室1a内に高温の熱風を循環させて被乾燥物を熱
風のみによって乾燥させるものではなく、乾燥室1a内
を減圧状態に保持し、比較的低温の乾燥した空気を乾燥
室1a内を大量に循環させながら籾に接触させ、大量の
遠赤外線の放射を浴びせ、これらの総合的な作用で乾燥
させるものである。
【0142】換言すれば、本発明は天日による自然乾燥
の条件を、凝縮させて工業的に適用できるようにしたも
のであり、従来のテンパリング乾燥とは本質的に技術的
思想が異なるものである。 (実験データ)前記実施例1における乾燥室1a(巾:
2.3 m、奥行き:4.0m、天井面までの高さ;2.5m)の
天井面に遠赤外線ヒータ(巾:90cm、長さ:150c
m、高さ:30m、ヒータの容量が3KW×3、送風量が
2400m3 /分、電源:220ボルト)を設置した乾
燥設備を次の条件で運転した。
【0143】 a.外気温度 :23℃ b.遠赤外線ヒータの表面温度 :45℃ c.内部循環空気(第一循環空気流)の噴出温度 :50℃ d.内部循環フアンの送風量 :250m3 /時 e.外部循環空気の温度 :15℃ f.外部循環空気(第二循環空気流)の送風量:6000m3 /時 g.乾燥室内温度 :16℃ h.給気フアンの送風量 :800m3 /時 i.排気フアンの送風量 :2400m3 /時 j.空気冷却器の出口空気の温度:5℃ h.全体の使用電力量 :6.3KW/時
【0144】前記本発明に係る乾燥装置を使用して秋田
県の「あきたこまち」の籾(水分含有率24%)のもの
を使用し、乾燥室1a内の温度が35℃で乾燥処理した
ところ、1時間ないし2時間の極めて短時間で水分含有
率が15%の籾を得た。そしてこの籾を使用した米飯を
〔試料1〕とした。
【0145】そして従来広く行われている灯油を燃焼さ
せた燃焼ガスを薄めて60℃とした温風による「テンパ
リング乾燥」を、20時間行って水分含有率を15%と
した籾を使用した米飯を〔試料2〕とした。これらの試
料1,2を秋田県の関係専門家22名による「食味、香
り、外観、粘り」からなる試食テストを行ったところ、
表1の結果を得た。
【0146】
【表1】
【0147】試食ステトに対する評価:前記試食テスト
の結果から理解できることは、本発明によって乾燥した
籾からなる米飯の試料1と、従来の乾燥法による米飯の
試料2の間に食味と香りに大きな開きがあることであ
る。
【0148】このことは、従来の乾燥方法であると、燃
焼ガスを含んだ高温の加熱空気に籾が直接接触させてい
ること、籾が自然界で体験していない高温に曝されてい
ること、しかも長時間のテンパリング乾燥処理が必要で
あることから、得られた米が変質していることである。
特に高温における長時間(24時間以上)の処理によっ
て食味を失い、香りの元の殆どを消失しているものと判
断できる。
【0149】これに対して本発明の乾燥方法は、乾燥室
内の平均温度が35℃以下(最高でも45℃)で、1時
間程度の従来方法では到底処理できないような短時間の
乾燥処理であり、米は熱の影響を受けることなく、実質
的に変質しておらず、自然乾燥に近いものであり、天日
乾燥した籾による米飯に相当、ないしはそれ以上の評価
を得ることができたものと推察できる。
【0150】試料1と試料2の元になった籾について、
更に驚くべき試験結果が得られている。即ち、両試料の
籾について『発芽試験』を行ったところ、試料1の籾の
発芽率は100%であったが、試料2の籾の発芽率は7
6%であり、この発芽試験においては大きさ差があるこ
とが理解できる。また、発芽した後の苗の伸びは試料1
のものは試料2のものに比較して遙かに大きい(勢いが
良い)ことが確認されている。
【0151】このことは、従来のテンパリング乾燥方法
によったものは、籾のかなりの部分が発芽不良で、しか
も生き残りのものでも発芽した後の勢力がないのに対し
て、本発明で乾燥した籾は、実質的に全部が生きて勢い
も良好であることが分かる。
【0152】このことから、本発明によって乾燥した籾
は越年した古米であってもかなり良質の状態を保持する
ものと期待でき、米の品質保持上極めて有効であること
が分かる。 〔実施例2〕この実施例は図5ないし図8に示す実施例
は大型の乾燥設備30の例である。
【0153】実施例1と同様に乾燥室30a内に天井室
31と両側壁室32(32a:図示せず)を設け、この
天井室31に加熱装置33を複数台配置し、側壁室32
の一面を形成している側板32bに隣接してコンベア3
5を配置している。
【0154】前記加熱装置33は図1及び図2に示した
ものと同様に下面に遠赤外線ヒータ33aを、その背面
に空気加熱室33bを有し、この空気加熱室33bの一
端より乾燥室30a内の空気を吸入し、他端より加熱さ
れた空気(内部循環空気流)を排出するようになってい
る。
【0155】また、この乾燥室30aに給気フアンと排
気フアンとを設けて、所定量の給気と排気を行ないなが
ら、両フアンの駆動力の差によって乾燥室30a内を水
柱で50mm〜200mmの減圧状態を保持できるよう
になっている。
【0156】前記側板32b側に一側を位置させて通気
性コンベア35を配置し、このコンベア35の一端側に
設けたタンク36に被乾燥物である籾を収容し、ロータ
リーバルブ37を経て供給体38より籾を層状に分散し
て供給する。このロータリーバルブ37は乾燥室内を減
圧状態に保持しながら籾を所定量つづ供給する役目をす
るものである。もし、このロータリーバルブを使用しな
い場合は籾が気圧の差で吹き出して供給が不安定になっ
たり、吸い込まれて排出が困難となる。
【0157】また、この供給体38の後方にシリンダ装
置40で駆動されるドクターブレード39を設けて供給
体38で供給された籾をコンベア35上に所定の厚さに
均している。また、このコンベア35の終端には乾燥籾
受け部41を設けており、これで受けた乾燥籾を前記と
同様な機能を持つロータリバルブ42と、スクリューコ
ンベア43を介して乾燥室30a外あるいは所定の場所
に排出するようになっている。
【0158】コンベア35は図6〜図8に示すように、
側板32bの表面に固定したダクト状の支持体35aの
上部の開口部に通気性のコンベア体35bを配置して内
部にダクト部35Aを形成し、このコンベア体35bの
下面をレール35cで支持してチエン35dと図示しな
いスプロケットホイールで所定の速度で駆動して所定の
経路を循環するようになっている。また、コンベア体3
5bの上方に突出する縁部35eに接してシール/案内
部材35fを設けてこのコンベア体35の移動方向を規
制すると共にダクト部35Aの気密性を保持している。
【0159】前記コンベア体35bとしては、多孔金属
板を使用したコンベア、主体部を金属ネットで形成し、
その両側にローラ部分を周回できるように折曲げ可能な
仕切り板を設けたもので形成する。
【0160】そして側板32bに設けた開口部32cよ
り側壁室32内に送り込まれた外部循環空気Gを前記ダ
クト部35A内に供給し、コンベア体35bに設けた多
数の小孔35g(あるいはネットの間隙)より噴出させ
て支持されている籾層中を下方から上法に貫通して籾層
を軽く分散、膨張させながら接触して乾燥室30a内に
放出されるようになっている。
【0161】なお、この実施例においては側板32bを
多孔板とせずにダクト状のコンベア35の内部に開口部
32cを通じて外部循環空気Gを供給するようになって
いるが、必要に応じて乾燥室内に外部循環空気Gの一部
を噴出するための小孔ないしスリットを設けることもで
きる。
【0162】この乾燥設備30はタンク36内に被乾燥
物である籾を投入し、ロータリバルブ37で所定量の籾
を供給体38を通じてコンベア35上に分散して供給し
ながらドクターブレード39で所定の厚みに均して貫通
する空気の抵抗を一定にしながら移送する。
【0163】このコンベア35の一側面は開放され、内
部にダクト部35Aが形成してあるので、このダクト部
35A内に側壁室32からの温度と湿度を調節し、乾燥
した外部循環空気Gを供給し、そして多孔板等の通気性
にしたコンベア体35bの下方より上方に吹き抜けてコ
ンベア体35b上に分散配置された籾層を貫通して乾燥
室30a内に放出してこの室内を循環する空気と混合し
て他方の側壁室内に流入する。
【0164】前記のように籾は、実施例1と同様な操作
で減圧状態に保持されている乾燥室30a内において、
コンベア35上に層状に支持されて移送されながら、上
面から加熱装置33の遠赤外線ヒータ33aより放射さ
れる多量の遠赤外線を受けて籾の内部まで加熱され、そ
してコンベア体35bの下方から上方に抜けて籾層を貫
通する、実施例1と同様な温度と風量を持つ、多量で低
温の循環空気に接触して乾燥されることになる。
【0165】なお、乾燥室30a内の温度は、前記加熱
装置33の空気加熱室33bで加熱されて室内に供給さ
れる内部循環空気Nと外部循環空気Gとが混合されて4
5℃ないし5℃、好ましくは35℃ないし15℃の範囲
に調節されている。
【0166】この実施例においては、遠赤外線ヒータ3
3aを乾燥室30aの天井面のみに設けたが、必要に応
じて壁面やコンベア35の内部にも配置して籾に多量の
遠赤外線を放射するようにすることもできる。
【0167】また、乾燥室の天井や壁面や床面は勿論、
籾の支持具やコンベアにも遠赤外線を放射する性質を持
つセラミックス層を形成しておくことによって効率的に
籾を加熱乾燥することができる。 〔実施例3〕図9は内部循環空気Nを積極的に使用する
ことなく、主として外部循環空気Gを主として使用した
装置を示している。
【0168】乾燥設備50を構成する乾燥室50a内は
天井室51と側壁室52(52a)を有し、前記天井室
51には遠赤外線ヒータ53が配置され、側壁室52と
52aとの間にブロワ57、空気を冷却して除湿する空
気調節器58、前記冷却された空気を所定の温度に加熱
する空気加熱器59が直列に設けてある。また、この乾
燥室50aは給気フアン60と排気フアン61を設けて
乾燥室50a内を所定の減圧状態に保持するようになっ
ている。
【0169】そして乾燥室50a内には、図5の場合と
同様に上部から空気を噴出するダクト状の空気供給部5
4と、その周囲を周回する多孔性のコンベア54と、籾
の供給体62、ドクターブレード63、更に乾燥した籾
の排出部64等が設けられている。
【0170】なお、遠赤外線ヒータ53を天井室51の
床面、即ち天井面51aに配置している関係でこの天井
室51内の空気が加熱されるが、この空気は実施例1と
同様に乾燥室50a内に内部循環空気として循環させ
る。
【0171】この実施例のように外部循環空気Gを、低
湿度で所定の温度に加熱して乾燥室50a内に供給した
場合でも前記実施例1及び実施例2と同様な籾の乾燥を
することができる。
【0172】なお、この実施例においては空気調節器5
8と空気加熱器59を直列に設けているが、点線で示す
ようにこれらを並列に連結して外部循環空気Gの温度を
調節することもできる。
【0173】(乾燥中の籾の反転)図5〜図9に示すよ
うに、籾の搬送手段として通気性、多孔性のコンベア3
5を使用し、このコンベア35の下面から上面に籾の層
を抜けるように乾燥空気、多くの場合、外部循環空気G
を貫通させることによって籾を僅かに浮かせて表面を包
みながら通過させることが重要であるが、この場合でも
籾の水分含有率や乾燥空気の流量等によって下層部と上
層部とに差異が発生することがある。このような場合に
は籾の上層部と下層部とを反転させながら乾燥させるの
が好ましい。
【0174】図10及び図11に示すように、コンベア
35の上面に籾Mの流れの上流側に向けて鋤状の反転装
置70とシャベル形の反転装置71とドクターブレード
72を設けている。
【0175】鋤状の反転装置70で籾Mの層を2つに分
割しながら反転させ、更に下流側の反転装置71で籾M
を中央部に寄せ集めながら反転させ、更にドクターブレ
ード72で籾Mの上面を平坦化して、コンベア35の下
方より上方に抜ける外部循環空気流に対して一定の抵抗
を与えるように構成している
【0176】コンベア35は図11に示すようにネット
コンベアであって、ネット体35aの両側にローラの周
囲を周回可能に折曲げできるようにした側板35bを配
置し、ネット体35aの下方を板状の支持骨35cで支
持し、その下方にパイプ状の補強体35dとブラケット
35eを配置し、更にブラケット35fを介してローラ
35gを支持し、このローラ35gの側面にチエン35
hを配置し、このチエン35hで前進する力を与えて、
レール35i上を走行するようになっている。
【0177】図12はコンベア35上に斜板73,7
4,75・・を適宜配置し、その後方にドクターブレー
ド72を配置してものである。図13はコンベア35の
下面にノズル76を配置し、その上方に両側に柔軟なカ
ーテン77a,77bを有するカバー77を配置したも
ので、籾Mの下面より空気を噴出させてカバー77内で
飛散混合させるようにしたもので、このノズル76を横
向きの直線状に形成しておくことによってコンベア35
の全幅にわたって籾Mを反転処理することができる。
【0178】図14は軸80aの周囲にブリッスルから
なるブラシ体80bを植毛した攪拌ブラシロール80を
形成したもので、このブラシ体80bを籾Mの層中に進
入させて攪拌するようにしたもので、この攪拌ロール8
0は籾Mの流れによって回転するようにしても良いし、
動力で回転させても良い。
【0179】図15は図14の攪拌ブラシロールの変形
であって、軸81aの周囲に円板状のブラシ体81bを
間隔をおいて配置したものである。図16は軸82aの
周囲にインペラ状の攪拌翼82bを風車のように配置し
た攪拌装置82であって、この攪拌翼82bの先端が籾
Mの層の中に侵入するように支持しておけば、籾Mの流
れと共に自然に籾の層を上下反転させることができる。
また、この攪拌装置82を積極的に駆動することによっ
て籾層を効率的に反転させることができる。
【0180】図示していないが、軸の周囲に丸棒や板を
螺旋状に配置し、その螺旋方向を中央部より軸端方向
へ、また、軸端から中央部へ螺旋が移動するように形成
した攪拌装置とドクターブレードや鋤形やシャベル形の
反転装置と組合わせることができる。また、コンベアに
部分的に振動を与えることによって籾層を自然に反転さ
せることも可能である。このように、コンベア35上に
籾Mを層状に載置して移送しながら、反転させることに
よって籾Mを全体的に均一に乾燥させることができるの
である。
【0181】
【発明の効果】A.請求項1の発明により、籾は減圧下
において多量の遠赤外線と、多量の比較的低温の乾燥空
気に接触して乾燥されるので、穀粒は内部が良好に加熱
され、表面は積極的に水分が蒸発する条件になってお
り、穀粒内部の水分は表面への移動が自然で極めて良好
である。従来のテンパリング乾燥方法によると24時間
あるいはそれ以上の処理時間を必要としていたのに対し
て、本発明によると1〜2時間程度の極めて短時間で穀
粒中の水分を政府規定の15%程度にすることができ
る。
【0182】また、乾燥した籾を使用した米飯の試食試
験によると、従来のテンパリング乾燥したものよりも遙
かに良好な評価を得ており、試験者の多くは天日によっ
て自然乾燥した籾の米飯よりも食味が良好であると評価
している。
【0183】これに対して従来の籾の乾燥方法である
と、高温の有害な燃焼ガス、即ち排気ガスを含んだ加熱
空気に長時間接触させながら、籾の表面を急激に加熱し
ているので、この急激な加熱と共に穀粒の表面に発生し
た水分がフイルム状の薄い層を形成し、これのために蒸
発が阻害される上に、穀粒の内部と表面との間の水分含
有率の差が必然的に大きくなっているので、加熱と冷却
を長時間にわたって繰り返すテンパリング乾燥が必要で
あった。
【0184】本発明を感覚的に表現すると、高い山の上
や高原(減圧条件)で太陽光線(遠赤外線)を全体的に
浴びながら、比較的冷たい乾燥した空気の流れ(外部循
環空気)の中で籾を乾燥するようなものであり、従来の
ように生きている籾が枯れるような温度や有害な排ガス
に曝すようなことが全くなく、超自然的で籾を優しく乾
燥して胴割れや米飯として食味が低下する等の欠点を発
生するようなことがない。
【0185】このことは、自然乾燥を工業的な乾燥方法
に巧妙に近づけたものであり、乾燥した籾は生きてお
り、米飯とした場合に美味である上に発芽勢が高く、更
に籾を長期に保存しても品質が低下することが少ないこ
とが期待される。
【0186】B.請求項2の発明により、効率的に籾を
乾燥できる装置を提供できる。 C.請求項3の発明により、籾の周囲を積極的に乾燥し
た空気を流して接触させるので、効率的な籾の乾燥を行
うことができる。
【0187】D.請求項4の発明により、天井面から下
流する熱風と低温の空気との混合を良好に行うことがで
きて、乾燥室内の温度を籾の乾燥に最適な範囲に保持し
て効率的に乾燥することができる。 E.請求項5の発明により、低温の空気を大量に乾燥室
中を流して籾を乾燥するようにしたので、籾の水分蒸発
を促進することができる。
【0188】F.請求項6の発明により、被乾燥物であ
る籾は支持具上に層状に支持されているので遠赤外線に
まんべんなく接触させ、そして循環する空気との接触が
良好になって乾燥時間を著しく短縮することができる。
【0189】G.請求項7の発明により、籾層中を空気
を通過させて乾燥時間を短縮することができる。
【0190】H.請求項8の発明により、支持具を通気
性のコンベアを使用し、これの上に籾を層状に分散させ
て移送するようにしているので、連続的に籾を所定の含
水率まで効率的に乾燥することができる。
【0191】I.請求項9の発明により内部循環空気N
(第一循環空気流)と外部循環空気G(第二循環空気
流)を一体化して温度と湿度を調節された空気の循環回
路を簡略化しているので、この空気量や温度や湿度の調
節が容易となる。
【0192】J.請求項10の発明により籾Mの層をコ
ンベアによって移送して乾燥空気を籾層を通過させて乾
燥させ、その乾燥中に反転させるので、籾の層を均一に
乾燥させることができる。
【0193】K.請求項11の発明により、籾層を乾燥
中に反転させるので、籾の乾燥を平均して行うことがで
き、良品質の籾を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の乾燥装置の要部を示す斜視図であ
る。
【図2】図1の乾燥装置の横断面図である。
【図3】籾の支持具を分解して示す斜視図である。
【図4】籾の支持具と乾燥する空気との関係を示す側断
面図である。
【図5】実施例2の連続式籾乾燥設備の要部を分解して
示す斜視図である。
【図6】通気性籾コンベヤの要部断面図である。
【図7】図6に示す籾コンベアの側断面図である。
【図8】通気性の籾コンベアを断面して示す斜視図であ
る。
【図9】図3の籾乾燥設備の要部を示す斜視図である。
【図10】コンベア上に鋤形のシャベル形の攪拌装置を
設けた乾燥装置の斜視図である。
【図11】図10における正面図である。
【図12】斜板を使用した攪拌装置を設けた乾燥装置の
平面図である。
【図13】ノズルより空気を噴射して攪拌するようにし
た乾燥装置の側断面図である。
【図14】ブラシ形攪拌装置の斜視図である。
【図15】ブラシ形攪拌装置の斜視図である。
【図16】翼形攪拌装置の斜視図である。
【符号の簡単な説明】
1 乾燥装置 1a 乾燥室 2 天井室 3,3a 側壁室 3b 多孔板 4 加熱装置 5 遠赤外線ヒータ 5a 加熱体 6 空気加熱室 7 吸気口 8 噴出口 9 フアン 10 ダクト 12 空気調節器 15 フアン(ブロワー) 16 ダクト 16a 噴出口 17 排気ダクト 17a 排気口 18 フアン(ブロワー) 20 籾保持装置 21 台車 22 枠体 23 ダクト体 N 内部循環空気流 G 外部循環空気流 70,71,73,74,75,80,81,82 攪
拌装置
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月17日(1999.12.
17)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 籾の乾燥方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は籾の乾燥方法の改良
に関する。
【0002】
【従来の技術】圃場から収穫した籾の乾燥作業は米の生
産者にとって重要な作業であり、この作業の良し悪しに
よって籾の品質や格付けが悪化すると共に売り渡し価格
にも影響する。古来からの籾の最適な乾燥方法は天日乾
燥であるが、この乾燥方法は天候に影響される上に籾を
干す場所の確保が必要であり、そのために小規模な農家
が自家消費する米や翌年の田植えのための少量の種籾を
確保するための小規模な乾燥を対象とするものであっ
た。
【0003】言うまでもなく米は日本人の基礎的な食料
であり、その大部分が政府の管理下におかれ、通常は各
農家は圃場から収穫した籾を農協に持ち込んで農協に設
置されている乾燥装置で乾燥させ、更に籾摺りして玄米
の状態で納めるのが普通である。この籾は前記のように
圃場から収穫されたままのものであることから、水分の
含有率が約22〜30%程度で比較的高いため、これを
保管するためには政府によって規定された約15%ある
いはそれ以下にまで乾燥する必要がある。
【0004】一般的に使用されている乾燥装置の内、小
型の装置の例をあげると、平型の通風乾燥装置と竪型の
通風乾燥装置とがある。
【0005】A)平型の乾燥装置は、乾燥装置本体の中
間部の横断方向に金網貼りスノコを設け、燃焼炉火炉の
バーナーで灯油を直炊きして発生した高温の燃焼ガスを
送風機に新気と共に吸引混合させて所定の温度、例えば
60℃前後の熱風を形成し、前記スノコの下方より上方
に供給し、そのスノコの上に載置堆積している籾層の内
部を通過させて乾燥させるものである。また、このスノ
コの横断面をV形に形成することによって高い位置に送
り込まれた籾を低い位置に徐々に移動させながら本体の
下方より噴出する熱風と接触させて乾燥し、更に最下部
に配置されているスクリューコンベアで上層部に散布し
て供給する操作を繰り返して行うようにしたものであ
る。
【0006】B)竪型の乾燥装置は、乾燥機本体の中央
部に網板で熱風供給路を縦方向に形成し、この供給路に
供給された熱風を乾燥機本体の内部の籾層を横断するよ
うに噴出させて加熱するものである。そしてこの熱風の
風量を調節するために温風供給路内に調節板を多段に設
け、これを揺動させて籾層の厚さと噴出する際の抵抗に
応じて風量を調節するように構成している。
【0007】C)また、竪型の連続的乾燥装置として循
環式火力乾燥装置がある。この乾燥装置は竪型のタンク
の中央部に熱風の供給管を設け、これより燃焼ガスを含
んだ熱風を供給し、タンクの内部に排出して籾層を通過
させて乾燥させると共に、この熱風によって籾を籾層の
最上部に吹き上げて循環させるようにしている。
【0008】D)また、横型の連続乾燥装置として、本
体の内部に横方向にコンベアを多段に交互に移送方向を
異ならせて配置し、このコンベアによって籾が本体内を
ジグザグ状に移送される間に熱風と接触させるようにし
た装置がある。
【0009】E)更に竪型の連続送り式火力乾燥装置と
して、本体の中央部に熱風供給塔を設け、これより熱風
を噴出させながら上方から下方に移動する籾の層を通過
させて排出するようにしたもので、本体の上部に籾溜め
を設けている。
【0010】F)大量の籾を乾燥する大型の乾燥装置と
して流動床式乾燥装置がある。
【0011】例えば大規模な農場で使用されている装置
として、籾の乾燥能力が5000トンプラントと称するもの
で、51t/Hのもので、乾燥装置本体の高さが約30〜35m
もあり、これの両側に籾を下方から上方に移送するバケ
ットコンベアを配置し、更にこの本体に隣接して大型の
籾貯蔵タンクを複数基設置して「テンパリング乾燥」を
するようにしたものがある。
【0012】前記乾燥装置は、本体の内部にスクリーン
を約15cm間隔で併設して縦方向に長い多数の乾燥区画
を列設し、これらの乾燥区画の下方から所定の温度、例
えば約60℃前後の熱風を供給して上方から排出しなが
ら、この乾燥区画の上部から被乾燥物である籾を供給
し、上昇する熱風中に浮遊させることによって落下速度
を緩めて、流動層状態で籾を熱風に接触させて熱交換さ
せると共に、加熱時間を長くしながら乾燥するように構
成している。しかし、前記従来の熱風を熱源とする各種
の乾燥装置は多くの問題を含んでいる。
【0013】イ)第1の問題点は、前記熱風を熱源とし
て使用する乾燥装置は、灯油を燃焼炉で燃焼させる、い
わゆる「灯油じか炊き」あるいは「灯油なま炊き」によ
って高温の燃焼ガスを発生させ、これに前記のように外
気を混合して所定の温度、例えば約60℃程度の加熱空
気に温度調節した後、乾燥装置本体内に供給する点にあ
る。
【0014】この熱風の温度条件は、それぞれの乾燥装
置に合わせて決定した経験的なものであって、籾が大き
く変質しない範囲で、かつ燃料の使用量が最少となる範
囲に決定されたものである。しかし、この方法は多量の
燃料を必要とするためにコスト的に問題があるようであ
る。
【0015】また、前記したように、灯油じか炊きによ
って発生した高温の燃焼ガスは、これを60℃程度に低
下させた場合でも、籾が自然界で受けたことがないよう
な高温である上に、そのガスは灯油が燃焼して発生した
炭酸ガスや窒素酸化物ガスや亜硫酸ガス等の有害ガス、
更に多量の水分と煤等を含んでおり、籾にとっては経験
したことのない過酷な雰囲気の中に置かれることにな
る。
【0016】換言すれば、従来の高温の温風乾燥方式
は、あたかもディーゼルエンジンの悪性の排気ガスを乾
燥機内に吹き込んで籾を加熱するとともに、燃料の燃焼
によって発生した水分を供給しながら乾燥させるような
ものであり、しかも外気温度から温風の温度に至る急激
な加熱によって米の胴割れ等の籾の劣化を生ずる。
【0017】そしてこの乾燥された籾の発芽試験を行う
と、約20〜25%もの大量の籾が発芽しないことが確
認されており、更に発芽したものでも成長に勢いがない
ことが確認されている。このような従来の燃焼ガスを熱
源とする籾の乾燥方法は、古来の秋の太陽熱と乾燥した
冷風を利用した自然乾燥とは著しく乾燥の条件が異なる
ものである。
【0018】ロ)第2の問題点は、外気に触れて冷たく
なっている籾を乾燥装置内に供給すると、冷たい籾が突
然この装置内の高温の熱風に曝されることになり、ここ
に大きな問題がある。
【0019】収穫された籾は多量の水分(約30%)を
含んでいるが、この水分を含んだ常温の籾を乾燥装置に
供給し、その中で約60℃、あるいはそれ以上の高温の
熱風中に急に曝すと、籾は突然、その表面から加熱され
ることになる。例えば晩秋から冬季にかけて籾を乾燥す
る場合は、気温がかなり低い場合があり、このような低
温で平衡含水率の状態にある籾を熱風にさらすと、この
籾に対してかなり大きな温度差が与えられることにな
る。
【0020】このように冷えている籾を急激に加熱する
と、籾殻で保護されている穀粒(米粒)の表面や糠の部
分に急激に水分が発生し、そしてこれが温風で急速に加
熱されると、あたかも表面のみが軽く煮えたような状態
となる。
【0021】そしてこの穀粒の表面部分が急速に加熱さ
れると、それに伴って米の成分であるデンプンが軽く煮
えたような状態となって穀粒の表面に糊状の薄いフイル
ムを形成することになる。このように穀粒の表面が糊状
のフイルム層で覆われ、水蒸気に対する一種のバリヤー
が形成されると、穀粒の内部の水分がこのフイルム層を
透過し難くなる。このように籾の乾燥の初期段階で穀粒
の表面にフイルム層を形成し、しかもこのフイルム層は
穀粒の乾燥と共に硬化し、密度が高くなって内部の水分
の表面への移動を一層困難にすることとなる。
【0022】圃場にあって平衡含水率で水分を安定して
保有している籾が、前記のように乾燥装置内において熱
風によって急激に加熱されて表面に変化が生ずるが、穀
粒の内部の水分は極めて徐々に拡散を繰り返しながら表
面に移動することから、穀粒の表面と内部の含水率が大
きく異なるという現象が発生する。
【0023】この乾燥条件が籾の乾燥に適していない場
合は「胴割れ現象」を発生することが知られている。こ
の胴割れ現象は、籾の急激な乾燥と穀粒に含まれている
水分の移動速度に関係しており、穀粒の表面と内部との
水分含有率に大きくムラが発生することを意味してい
る。
【0024】従って、籾の乾燥においては、穀粒の内層
部と表層部との間に、この水分含有率のムラが大きくな
らないように乾燥することが重要であるが、現実の問題
として、高温で低湿度の熱風を送れば乾燥が速くなる反
面、前記のように水分含有率の差を必然的に発生させた
胴割れ現象の危険性も増大すると言う問題点を含んでい
る。
【0025】このような穀粒の胴割れ現象が発生するの
を防ぐために、40℃以下の低温の乾燥空気によって籾
を加熱乾燥する方法も検討されているが、この方法によ
ると乾燥速度が一層低下することになり、到底、効率的
に籾を乾燥することができないと言う問題がある。
【0026】ハ)このように乾燥中に発生する穀粒の表
面の変質と内部の含水率のムラは、胴割れ現象を惹起し
て米の品質を著しく低下させることになるので、この胴
割れ現象を防がなければならない。
【0027】そのために、従来は、熱風を利用して籾を
乾燥させる工程と、熱風に接触しないようにして穀粒内
の水分の拡散移動とともに、含水率の高い籾と低い籾と
を混合して全体として水分含有率のムラを緩和しながら
順次乾燥する「テンパリング乾燥方法」が実施されてい
るのはこの理由からである。
【0028】このテンパリング乾燥は、例えば、乾燥機
本体内に10分間、高温の熱風を供給し、次に20分そ
の供給を停止するような、熱風加熱と加熱停止を繰り返
すような状態にすることが一般的である。しかし、この
乾燥方式によると穀粒内部の水分を表面まで徐々に安定
した状態で移動させる必要があることから、一度に処理
する量にも関係するが、通常は24時間あるいはそれ以
上の乾燥時間で処理する必要があったのである。
【0029】つまり、従来の乾燥方法によると、籾が長
時間にわたり、間歇的な加熱を受けながら、その際に高
温のディーゼルエンジンの排気ガスのような汚染された
ガスに曝らされ、その間に籾の品質が低下する上に発芽
不良を生ぜざるを得ない問題があったのである。更に灯
油を燃焼させた排気ガスは多量の水分を含んでおり、籾
を乾燥するのに湿度が高く、高温の空気を使用していた
のである。
【0030】ニ)前記従来の籾の乾燥方法は24時間、
あるいはそれ以上の長時間のテンパリング乾燥操作が必
要であったことから、熱源として大量の灯油を燃焼させ
る必要があり、従って籾の乾燥に要するコストを増加さ
せるという問題があったのである。
【0031】前記F)に記載した実際に使用されている
大型の流動床式乾燥装置を例に説明すると、この5000ト
ンプラントと称されている乾燥装置が必要とする熱量
は、1基あたり200t/Dの乾燥籾を処理できる乾燥装
置本体では、1基あたり1,800,000 Kcal/hでこれが2
台も必要であり、合計して3,600,000 Kcal/hもの大量
の熱量を必要としている。
【0032】その理由は、灯油を燃焼させた燃焼ガスは
籾に短時間、直接接触させることによって少量の熱量を
付与するが、この籾の加熱に関与しない大部分の燃焼ガ
スは大気中に無駄に放出されるからである。
【0033】ホ)更に従来の乾燥方法は燃焼ガスを熱源
としてこれを外気で薄めて得られた高温の熱風を使用し
ている点に問題がある。
【0034】即ち、米飯の味の良し悪しは、「米飯の香
り」や「弾力性」に大きく影響される。例えば新米に
は、ほんのりとして香りがあり、柔らかく、しかも弾性
があり、歯ざわりが良く、なんとも言えない光沢があっ
て、他の食品にない味わいがあるものである。
【0035】この香りの素は、米に含まれている微量の
アルコール又はエーテル系の成分であるが、前記のよう
にテンパリング乾燥を採用し、24時間あるいはそれ以
上の長時間、しかも籾にとっては経験したことがような
高温で汚染されたガスに曝すことは、その間に揮発し易
い性質を持つ香りを失う第一の原因となっているのであ
る。このことは、天日乾燥の籾で得られた米飯と、通常
の乾燥装置によって乾燥した籾から得られた米飯とを比
較すると容易に分かることである。
【0036】ヘ)以上詳述したように、従来の籾の乾燥
方法は、最も米の香りと味等の特性を引き出すことがで
きる天日乾燥から著しく異なる条件の、しかも稲が成育
する際には決して経験したことがないようなあたかも
「ディーゼルエンジン」の排気ガスのように、高温で各
種の悪性のガスと多量の水分が含まれている雰囲気中に
おいて長時間行われるもので、籾の劣化が早く、また、
エネルギーコストが高いという問題があった。
【0037】そして乾燥操作で最も恐れている「胴割れ
現象」が本質的に発生し易く、その上に米飯にした場合
に香りが少なくなり、天日乾燥のものに比較して食味、
香り、光沢、粘りなど、全体的に味わいが悪いものであ
った。
【0038】ト)更に、従来の熱風による乾燥方法で処
理された籾の発芽試験をすると、極めて慎重にテンパリ
ング方式の乾燥を行った籾であっても、天日乾燥した籾
に比較して発芽率と発芽後の成長の度合い(発芽勢)が
かなり悪いことが確認されている。つまり、従来の高温
の燃焼ガスを利用した乾燥方法で処理された籾は、本質
的に生きる力が減少し、かなりの割合で発芽不良ないし
は成長不良となっているのである。
【0039】チ)本発明は、前記従来の灯油の燃焼ガス
を熱源とする乾燥方法の問題点を本質的に解消する方法
を提供するものであって、籾の乾燥に適さない高温で悪
性のガスを全く使用せず、また、水分が多量に含まれて
いない低温の乾燥空気を多量に流しながら籾を乾燥す
る、自然乾燥に類似する乾燥方法であり、特に乾燥処理
時間がこの従来技術に比較して極端に短く(約20分の
1)、そして胴割れ現象が実質的にゼロ%であり、更に
自然乾燥に近いことから米飯とした場合に弾力、光沢、
そして香りがあり、食味に優れ、しかも農家の種籾のよ
うに発芽率が高く、高効率の籾の乾燥方法を提供するも
のである。
【0040】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係る乾燥方法は、次のように構成されてい
る。
【0041】1)第1の発明は、乾燥室に給気すると共
に、この給気に使用する動力より大動力で排気してこの
乾燥室内を減圧状態に保持し、この乾燥室内に多量の遠
赤外線を放射し、この乾燥室内に乾燥した循環空気流を
大量に循環させ、更にこの乾燥室内に配置された通気性
の搬送装置上に籾を層状に分散状態で支持して搬送しな
がら、前記循環空気流を前記籾層の下方から上方に貫通
させて籾と循環空気流とを十分に接触させて籾を乾燥さ
せる方法において、遠赤外線を放射するヒータは、少な
くとも前記搬送装置の上方に設けられ、乾燥室の天井面
の面積に対して30%ないし85%の面積を有してお
り、また、前記減圧状態は水柱50mmないし200m
mであり、前記乾燥室内の空気の温度は45℃ないし5
℃の範囲に保持されており、更に、前記籾層を貫通して
循環する空気流は乾燥室内を1時間あたり600回ない
し2000回、あるいはそれ以上の多数の回数で循環さ
せられていることを特徴としている。
【0042】この第1の発明によると、乾燥室内に給気
すると共に大動力で排気してこの乾燥室内を所定の減圧
状態に保持し、通気性の搬送装置層状に分散状態で支持
して搬送される籾層に対して、所定の大面積を有する遠
赤外線ヒータより大量の遠赤外線を放射しながら、乾燥
室を含む循環回路に、大量の循環空気流を流して高速循
環する循環空気流を、前記籾層を下方から上方に貫通さ
せて接触させて乾燥させるようにしている。
【0043】つまり、籾を通気性の搬送装置上に層状に
分散させて搬送しながら、大量の遠赤外線を放射すると
共に、乾燥室内を循環する大量の空気流を籾層を貫通し
て接触させて乾燥させるものであって、これらの諸要件
の結合によって従来技術のように籾をテンパリング操作
することなく、効率的に乾燥させることができるのであ
る。
【0044】なお、外部循環空気流の流量は多ければ多
い程良いが、余りにも多すぎるとコンベア上に支持され
ている籾が乾燥室内で飛散することになるので、これを
避ける範囲で、かつ電力が過大にならない条件を採用す
る。
【0045】従来の乾燥技術において穀粒の胴割れ現象
を防止するために必須であった「テンパリング乾燥」の
段階を、本発明においては全く必要としない点が本質的
に異なっている。周知のように、このテンパリング乾燥
は、所定時間の籾の熱風加熱とその後に続く他の籾との
接触を伴う常温の放置の繰り返しによって穀粒の内部の
水分を徐々に表面に移動させて乾燥させるもので、籾の
表面からの熱風加熱に伴なって穀粒の表面に移行した水
分を、低温の他の籾との接触によって移行させ、穀粒内
部の水分を均質化させる作用が必要であり、穀粒の加熱
と放置の時間は正確に、しかも穏やかに行う必要があっ
【0046】従って、このように穀粒内部の水分の拡散
作用を利用する限り、籾の表面を高温に加熱して過乾燥
もしくはこれに近い状態に保持し、内部の水分をあたか
も表面側に吸い寄せるように移動させて平衡状態に近づ
けるような操作が必要あり、この水分の拡散による移行
のために、籾の高温の加熱と冷却との間に大きな水分含
有率の差と、そしてこの水分含有率を平衡させるために
24時間あるいはそれ以上の長時間にわたるテンパリン
グ乾燥時間が必要であったのである。
【0047】また、従来の加熱空気を得る方法としては
灯油を燃焼させた排気ガスを熱源として利用しているの
で、この排気ガスは籾にとって悪性である上に、多量の
水分を含んでおり、従って籾は高湿度の雰囲気中で、高
温に加熱されながら無理に乾燥させられていたのであ
る。
【0048】これに対して本発明においては、穀粒の内
部の水分が表面側に移行するための力を、穀粒の内部に
自然に発生させるような条件にした点において、従来の
テンパリング乾燥とは本質的に異なるものである。その
ために本発明においては、次の要件が重要である。
【0049】a)籾、即ち穀粒の内部の水分が表面側に
移行し易い状態の雰囲気とするために、減圧雰囲気中に
保持すること。また、乾燥室内を循環する空気は、籾に
悪性のガスを含まない清浄なものであること。
【0050】b)籾に対して多量の遠赤外線放射して、
穀粒の内部まで積極的に加熱すること。 c)籾が劣化しない温度の乾燥した比較的低温の空気
の、大量の流れに接触させること。
【0051】要件a)の減圧雰囲気を発生させる手段と
して、本発明は乾燥室内にシロッコフアン又はブロワー
で給気しながら、この給気に要する動力よりも大動力で
排気することによって行なっている。
【0052】なお、給気量と排気量とは同じ量である
が、排気側を大動力とすることによって減圧状態を発生
させるものである。このように乾燥室内を所定の減圧状
態に保持することは、蒸気圧を低下させ、それに伴なっ
て穀粒内部の水分が自然に外部に移行し易い条件を形成
していることを意味している。
【0053】この減圧の程度が大きければ穀粒の乾燥作
用が顕著になるが、穀粒に胴割れ等の欠陥が発生せず、
更に電力の使用量が経済的な範囲とすることが必要であ
る。このようなことから、水柱で50mmないし100
mm、好ましくは80mmないし200mm程度の減圧
状態に保持することが必要である。
【0054】水柱50mmより低い減圧の場合は、穀粒
の含水率の低下の割合が比較的遅くて長い処理時間を必
要とする。これに対して水柱200mmよりかなり高い
減圧の場合には、乾燥室全体を恰もプールの中に沈下さ
せたように大きな圧力を外周から受けることになるの
で、その構造を著しく頑強なものにしなければならない
上に、排気用のシロッコフアンや高排気能力のブロワー
に極端に大きな動力、即ち大きな消費電力を必要とする
という問題がある。
【0055】要件b)の籾に対して多量の遠赤外線を放
射することは、遠赤外線ヒータと籾層との間の空気層を
実質的に加熱しない状態で、籾に対して直接に熱線を輻
射して加熱することを意味している。
【0056】多量の遠赤外線を放射するためには、大型
の遠赤外線ヒータが必要である。具体的には乾燥室の天
井の面積に対して30%ないし85%、好ましくは60
%ないし85%である。
【0057】発明者が多数の遠赤外線ヒータを使用して
各種の被加熱物を加熱した実験結果によると、加熱装置
内の空気層の温度に比較して被加熱物の温度が輻射温度
計で測定して「3〜4℃」は高温に加熱されることを確
認している。このように被加熱物である籾に対して遠赤
外線を放射すると、籾の内部の温度を室温より高く保持
でき、それに伴なって籾の内部に含まれている水分を表
層側に移行する現象を促進することを意味している。
【0058】また、本発明は籾を生命を持つ一つの植物
として認識しており、従って、この生命体が損なわれる
ことを慎重に回避しながら乾燥する手段を提供するもの
である。
【0059】なお、前記被加熱物である籾の表面温度と
内部温度との関係にについては、所定の大きさのサツマ
イモを、遠赤外線オーブンで加熱して焼きイモを製造し
た際のこのイモの表面温度と内部温度とを測定して比較
することによって確認している。
【0060】本発明においては遠赤外線ヒータは重要な
役割りを持つものであるが、そのためにこの遠赤外線ヒ
ータとして燃焼ガスなど、籾に対して悪影響を与えるガ
スを一切発生させない電熱式のものが最も好ましいが、
スチームや電熱加熱による加熱油を使用した間接加熱器
を使用することもできる。
【0061】この電熱式ヒータ等は乾燥室の天井面に配
置して乾燥室内に広く遠赤外線を放射させることは勿論
であるが、更に床面や壁面、あるいは籾を支持する支持
体等、籾に対してあらゆる部分から遠赤外線が放射され
るようにするのが好ましい。
【0062】また、籾を受ける支持皿等の支持体や乾燥
室に収容される部品等にセラミックの溶射層を形成して
遠赤外線の加熱効果を助けることができる。また、セラ
ミックスの微粉を含んだ塗料を各部材に塗布してこれが
遠赤外線の放射を受けて加熱されるとこれより遠赤外線
を放射させることができ、籾に対して遠赤外線を効果的
に与えることもできる。しかし、この遠赤外線を放射す
る表面は多孔性で、放射面積が大いものであることが必
要である。その意味で、塗布法によるものより溶射法に
よるものの方が適しているといえる。
【0063】要件c)は、好ましくは遠赤外線ヒータの
背面に空気を流してその間に加熱空気を形成し、これを
乾燥室内を循環させる内部循環空気流(即ち、加熱空気
流あるいは第一循環空気流)と、乾燥室の空気を、好ま
しくは乾燥室外に導出し、これを冷却して除湿して再び
乾燥室内に戻してこの乾燥室内に横向きの空気流を形成
する外部循環空気流(即ち、第二循環空気流あるいは冷
却・乾燥空気流)とを形成する。
【0064】この外部循環空気流は必ずしも、乾燥室内
の空気を冷却し、そして乾燥させる装置を乾燥室外に設
置することを意味するものではないが、単に乾燥室内で
循環させる空気流と区別するために呼ぶものである。
【0065】乾燥室内に給気し、そしてこの給気の動力
より大きな動力で排気することによって所定の減圧状態
を保持しているが、この給気は外気である場合が多く、
一日の内の作業時間や季節によって湿度が高い場合があ
るので、乾燥室内の条件を乱すことがないように、この
給気も乾燥させ、更に温度が調節されたものであること
が好ましい。
【0066】そして外部循環空気流と内部循環空気を混
合して、乾燥室内を45℃ないし5℃、好ましくは35
℃ないし15℃の温度、即ち、従来の乾燥方法では適用
されていないような低温に乾燥室内の温度を調節しなが
ら、しかも、この混合空気を乾燥室内に大量に流動さ
せ、籾の表面との接触回数を可能な限り大きくすること
によって籾の表面から水分を速やかに蒸発させるもので
ある。
【0067】外部循環空気流は、例えば外気温度が31
℃,相対湿度が67%,乾燥室内の温度が25℃である
場合は、相対湿度が12%程度の低温・低湿度の状態で
乾燥室内を循環するようになっている。
【0068】本発明においては、大量の外部循環空気流
の一部または全部を薄い籾層を通過させることによって
直接に、まんべんなく接触させながら、この籾層を通じ
て乾燥室内に放出するものであるから、この温度は米を
構成しているタンパク質の変質ないし分解する温度以下
であることが必要である。そのために上限温度は45℃
以下で、好ましくは35℃以下であることが必要であ
る。
【0069】本発明は、前記要件b)のように籾層に対
して多量の遠赤外線を放射し、その遠赤外線の透過性を
有効に利用して籾の内部まで加熱しながら、乾燥室内の
空気を導出してこれを除湿して低湿度とした低温の空気
を乾燥室内に供給して循環させる外部循環空気流と、乾
燥室内に噴出されて循環する加熱空気、即ち内部循環空
気流とを混合させながら循環させることによって、結果
として乾燥室内の平均温度を45℃ないし5℃、好まし
くは35℃ないし15℃に保持し、この乾燥した空気を
籾に積極的に接触させるものである。
【0070】籾は、遠赤外線の透過性ないし貫通力のあ
る加熱を受けることによって前記実験結果より推定して
穀粒の内部が室温より高温となり、そして籾の周囲を流
れる大量の乾燥空気に積極的に接触させられることにな
る。従って、遠赤外線の加熱によって穀粒の内部から表
面に拡散するように移行させられた水分を、乾燥した大
量の空気流との接触によって短時間に蒸発させることに
よって穀粒の内部の水分を、恰も吸い出すように表層部
に移行させて乾燥を促進することができるのである。
【0071】このように、籾に対して所定範囲の減圧下
において、所定範囲の温度の低温加熱と、大量の遠赤外
線の放射を与えながら、大量の乾燥空気を接触させるこ
とによって、その総合的な効果として後述するようにテ
ンパリング操作を伴うことなく、乾燥時間を従来法に比
較して著しく低下させ、穀粒に胴割れを実質的に発生さ
せずに高品質の乾燥籾を得ることができるのである。常
識的には、籾を加熱する温度を上げることによって乾燥
速度を早めることができるように考えがちであるが、こ
の方法を採用すると、前記のように「胴割れ現象」が多
発し、穀粒の品質が劣化する危険性があり、そこでこれ
を回避するために従来行なわれているテンパリング乾燥
を省略することができなかったのである。
【0072】これに対して本発明は、従来のテンパリン
グ乾燥による籾の乾燥方法の常識に反して、しかも従来
技術では到底想像できない程度に乾燥速度を早めて乾燥
させても、穀粒の品質に何ら影響を与えることなく、か
えって従来法よりも品質の優れた籾を乾燥できる点にお
いて優れた効果を発揮することができるものである。
【0073】乾燥室内の空気の温度が45℃以下で常温
を含んでいることは、熱風によって籾を加熱するより
も、冷風に近い循環空気で籾の表面より水分を蒸発させ
ることを意味しており、従って乾燥空気であれば5℃程
度でも籾の乾燥に利用することができる。なお、内部循
環空気流は、前記のように加熱装置の遠赤外線ヒータの
背後の空気加熱室で加熱されているが、これが噴出口に
おいて例えば90℃程度の高温であっても、この噴出口
から乾燥室内に噴出されると同時に、室内の循環空気と
強制的に混合されるので、籾層の場所まで高温の空気が
到達することはないので、噴出口の位置においてはかな
り高温であっても良い。また、遠赤外線ヒータは室温を
保持する役目を持っている。
【0074】前記第1の発明をモデル的に説明すると、
収穫を終った圃場において、秋の柔らかい日差しを「た
っぷりと」浴びながら、排気ガス等が含まれていない清
浄で、しかもひんやりとした空気の流れに包まれて、更
に高原のように気圧の低く、肌から汗が引き出されるよ
うな条件において、しかも籾に前記のような空気を大量
に接触させながら乾燥する方法であって、如何にしてこ
のような自然乾燥を工業的な乾燥に近づけるかが重要な
発明のポイントとも言える。
【0075】後述するが、本発明によると乾燥工程は、
圃場で収穫された籾の水分含有量にもよるが『1〜2時
間』程度で極めて短時間の処理であり、従来の24時間
にも及ぶテンパリング乾燥による熱風乾燥と同様な水分
含有率に乾燥することができる点において驚くべきこと
であり、圃場で収穫した籾の持つ各類の性質を実質的に
低下させない点が優れている。
【0076】また、従来のテンパリング乾燥の際に籾と
接触させる熱風の量は少量であるのに対して、本発明の
乾燥室内を循環する空気の量は、著しく大量である点も
特徴としている。
【0077】以上のように、本発明は低温で清浄な空気
を大量に籾に接触させて効率良く乾燥させることができ
ることから、従来のカントリエレベータのような大型の
乾燥装置に比較して著しく小型の装置を使用して乾燥設
備を建設することができる。
【0078】2)第2の発明は前記第1の発明におい
て、乾燥室内を循環する空気流を乾燥室内の空気を循環
する内部循環空気流と、乾燥室の一方より空気を導入し
て加圧し、前記通気性の乾燥装置の下方より噴出させて
籾層を貫通させ、前記乾燥室の他方より導出して循環さ
せる外部循環空気流で形成したことを特徴している。
【0079】循環空気流を、内部循環空気流と外部循環
空気流の2種類で形成することによって、この内部循環
空気流で乾燥室内の温度を調節し、外部循環空気流で籾
に直接に接触させる空気量を調節して水分を蒸発させる
ことができ、籾を乾燥するのに最適な室温に保ちなが
ら、遠赤外線で籾の内部までの加熱し、更に大量の循環
空気流との接触によって籾に熱的な損傷を与えることな
く、効率的に乾燥することができる。
【0080】3)第3の発明は前記第1の発明におい
て、遠赤外線ヒータの背面に、一方より乾燥室内る空気
を吸気し他方より排出するダクト状の空気加熱室を併設
しており、前記遠赤外線ヒータが発生する熱により空気
加熱室を通過する内部循環空気流を加熱するように構成
したことを特徴としている。
【0081】遠赤外線ヒータにより乾燥室内に多量の遠
赤外線を放射しながら、その背面で内部循環空気流を加
熱するので、小型の装置でありながら乾燥室内の温度を
正確に調節できる。
【0082】更に、前記のように遠赤外線ヒータの背面
に空気加熱室を併設しているので、この空気加熱室内を
空気流を通過させることによって遠赤外線ヒータが必要
以上に高温になるのを防止できる。
【0083】4)第4の発明は第1の発明において、内
部循環空気流は、主として乾燥室内を循環する空気流の
温度を調節する機能を有し、また、外部循環空気流は主
として籾層を貫通して水分を奪取する機能を有している
ことを特徴としている。乾燥室内を流れる循環空気流を
2つの空気流で形成し、それぞれの役割分担を与えるこ
とによって籾の乾燥に適した条件を調節することができ
る。
【0084】5)第5の発明は第1の発明において、外
部循環空気を除湿して循環させるように構成したことを
特徴としている。この外部循環空気を除湿して籾層を下
方より上方に貫通させることによって常に乾燥空気を籾
層に接触させることができることから、籾を目標とする
水分含有量に急速に乾燥させることができる。
【0085】6)第6の発明は第1の発明において、
記乾燥室の一方の壁面から空気を供給し、前記コンベア
上の籾の層を貫通して前記乾燥室の他方の壁面から導出
することにより、全体として循環空気流は乾燥室を横方
向に流れるように構成したことを特徴としている。
【0086】乾燥室の一方の壁面から空気を供給し、籾
層を貫通させた後に他方の壁面から導出することによっ
て乾燥室内の空気の流れが円滑になり、内部の温度をほ
ぼ均一化させることができる。
【0087】7)第7の発明は第1の発明において、籾
を多孔性のコンベア上に層状に支持して搬送すると共
に、この籾層の一部あるいは全部を反転あるいは攪拌さ
せるように構成したことを特徴としている。籾を多孔性
のコンベア上に層状に支持してこの籾層に乾燥空気を貫
通させて乾燥する場合は、この籾層の一部あるいは全部
を反転させることによって籾全体の乾燥程度にムラがな
くなり、更に乾燥速度を早めることができる。
【0088】特に、大量の籾を連続処理する場合はその
層の厚みを厚くすることになるが、このような場合に循
環空気が貫通し難くなって乾燥程度に場所的にムラが発
生することがあるので、これを防止して大量処理を行う
ために反転あるいは攪拌させるのが良い。
【0089】籾を通気性のある多孔性のコンベア上に支
持してこの籾の層に乾燥空気を貫通させて乾燥させる場
合は、この籾の層が薄いと空気流の影響によって厚さに
ムラを発生し易い。そしてこの籾の層の厚さが変化する
と、籾の層を貫通する空気は薄い部分を通過し、そして
この空気が通過した部分の籾の層を排除して吹き抜け部
分を発生し易くなる。また、籾の層が厚い場合は遠赤外
線が内部まで作用しなくなり、温度ムラが発生し易くな
る。このような場合は籾の層の一部あるいは全部を反転
あるいは攪拌させることによって乾燥ムラを防止して乾
燥速度を早めることができるのである。
【0090】籾を反転させる手段は、鋤状のもの、攪拌
翼状のもの、螺旋翼、水車状のもの等、如何なる構造の
ものでも使用することができる。例えば、カントリエレ
ベータを使用して籾を乾燥する場合は、籾が高く積まれ
た状態になるので、籾同志が長時間にわたってかなりの
力で押し合い、互いに摩擦し合って籾の表面を保護して
いる微細な毛の殆んどが脱落する。
【0091】しかし、本発明は、層状に搬送装置上に支
持されて処理されるために、乾燥中の籾に大きな圧力を
加えたり、大きな力で摩擦させたたすることがなく、籾
を自然の状態に保持することが可能であり、この意味か
らも籾の品質を最高の状態に保持することができるので
ある。
【0092】8)第8の発明は、乾燥室に給気と、この
給気に使用する動力より大動力で排気することによって
この乾燥室内を減圧状態に保持し、この乾燥室内に多量
の遠赤外線を放射すると共に、この乾燥室内に乾燥した
循環空気流を大量に循環させ、更にこの乾燥室内に配置
された通気性の支持具の上に籾を層状に分散状態で支持
させ、前記循環空気流を前記籾層の下方から上方に貫通
させて籾と循環空気流とを十分に接触させながら籾を乾
燥させる方法において、
【0093】前記支持具は、下側に空気流を受入れて案
内するダクト体と、このダクト体の上側に配置された多
孔体からなる支持皿で構成され、この支持具の上方に設
けられ、前記乾燥室の天井面の面積に対して30%ない
し85%の面積を有する遠赤外線ヒータより多量の遠赤
外線を乾燥室内に放射し、前記乾燥室内を排気して50
mmないし200mm水柱の減圧状態をすると共に、乾
燥室内の空気の温度を45℃ないし5℃の範囲に保持
し、更に、前記籾層を貫通して循環する空気流は、乾燥
室内を1時間あたり600回ないし2000回、あるい
はそれ以上の多数の回数で循環させるように構成されて
いることを特徴としている。
【0094】籾を層状に支持するための支持具は、コン
ベアに代えて、下側に空気流を受入れて案内するダクト
体と、このダクト体の上側に配置され、上面で籾層を支
持しながら空気をこの籾層を貫通させるための多孔体か
らなる支持皿とから構成され、この支持具の空気流の受
入れ口に前記外部循環空気流を供給して支持皿上の籾層
を貫通して乾燥室内に排出するように構成すると良い。
つまり、支持具の上面に籾を層状に支持しながら、この
支持具の側面から外部循環空気流を受入れて籾層を貫通
させて乾燥室内に放出させることによって、籾に大量の
循環空気流を接触させることができ、乾燥処理をより促
進させることができるのである。
【0095】第9の発明は第1の発明あるいは第8の発
明において、乾燥室内への給気を、外気を除湿処理した
後に行うことを特徴としている。
【0096】第1の発明のように、乾燥室内において籾
を通気性コンベア上に支持して連続的に流れるように搬
送しながら乾燥する場合には、籾の状態の監視が容易で
ある上に、コンベア上で拡開した状態で、しかも籾層の
中を空気を貫通させながら乾燥させることができるの
で、極めて効率の良い乾燥を行うことができる。
【0097】外部循環空気を、通気性の搬送装置の下方
から上方に貫通させ、そして乾燥室内において高速で循
環させることが重要である。この外部循環空気の循環回
数は通常の室内の温度調節装置のものよりも遙かに大き
く、この空気の循環回数は、1時間あたり600回ない
し2000回、操作及び経済性を考慮してそれ以上の回
数で乾燥室内を循環させて籾との接触を図りながら、温
度と湿度との均一化を図ることが必要である。
【0098】従来の乾燥方法は、結果的に穀粒の表面を
圃場にある間には経験しない高温で直接に加熱して穀粒
より強制的に水分を蒸発させる方法を採用している。こ
れに対して本発明は、所定の減圧下において穀粒を構成
するタンパク質が変質ないし劣化しない程度の低温の空
気を、籾の表面に大量に通過接触させることによって、
穀粒の内部の水分を自然に表面に移行させ、そして空気
によってこの水分を奪取して乾燥させるものであり、乾
燥速度が従来のテンパリングを伴う乾燥方法に比較して
著しく早いものである。
【0099】驚くべきことに、従来法に比較して著しく
高速乾燥であるにも係わらず、穀粒の胴割れ減少が実質
的に発生しておらず、更に乾燥した籾の発芽試験を行っ
た場合には殆ど100%もの発芽を得ることができる上
に、発芽勢が大幅に向上している。
【0100】本発明は低温で清浄な空気を使用して、
ンパリング乾燥を採用することなく籾を効率良く乾燥さ
せることができることから、従来のカントリエレベータ
のような乾燥方法や装置に比較して、著しく小型の装置
を使用して乾燥設備を建設することができる。
【0101】最後に本発明に係る籾の乾燥方法の要件に
ついて説明すると、本発明は次のように構成されてい
る。
【0102】第1に、乾燥室内に給気しながらこの乾燥
室内の空気を排出することによって乾燥室内に発生した
高湿度の空気を排気している。そしてこの排気の動力を
給気の動力より遙かに大きくして大量に排気することに
よって乾乾燥室内を50mm〜200mmの減圧の状態
を形成している。
【0103】第2に、乾燥室内に多量の遠赤外線を放射
してこれを籾の層に与えるようにしている。第3に、籾
を通気性のあるコンベア等の搬送装置の上に、薄い層と
して保持するようにしている。
【0104】そして第4に、乾燥室内を循環する空気
を乾燥室外を循環する外部循環気流として形成し、この
外部循環気流を前記通気性のあるコンベア等の搬送装置
上に分散されて搬送されている籾の層を貫通させること
によって、多量の外部循環気流と接触させて乾燥を早め
るようにしている。
【0105】第5に、前記外部循環空気流を大量に流す
ことによって常時、籾を乾燥空気と接触させるようにし
ている。第6に、乾燥室内に設けた遠赤外線ヒータの背
後を通過してこの乾燥室内を循環する内部循環空気流に
よって乾燥室内の温度を調節するよにしている。
【0106】これらの各要件は、各種の材料の乾燥方法
に利用されているもの、ないしはこれに近いものである
かも知れない。
【0107】しかし、このような構成要件を一体として
有機的に結合させることによって、従来の乾燥技術に採
用されているテンパリング乾燥においては、20時間あ
るいはそれ以上の乾燥時間を必要としていたのに対し
て、本発明においては1時間、長くても2時間程度の、
驚くべき短時間において目的とする乾燥状態が得られる
という顕著な効果を奏することができたのである。
【0108】本発明は、単に籾の乾燥時間が著しく短縮
されるのみではなく、米に胴割れを実質的に発生させ
ず、米の品質が格段に向上しており、更に米飯の食味試
験においては同種の米について比較した場合、各種の試
験で最高の点数が与えられている点に注目すべきであ
る。
【0109】更に、この乾燥籾について発芽試験を行な
った場合、従来の乾燥方法によったものは約75%の発
芽であったのに対して、本発明のものは100%であっ
た上に、発芽勢にも顕著な違いが認められている。ま
た、従来の乾燥方法による籾を精米した米と本発明によ
る米とを比較すると驚くべき事実が判明している。
【0110】即ち、従来法によって乾燥された籾からな
米を水に浸漬すると、米の胴部から空気の気泡が発生
するが、本発明の米は胚芽の部分からしか気泡が発生し
ないことが確認されている。このことから、従来法の米
には胚乳の表面を覆う保護層に多数の割れ目が発生して
いるのに対して、本発明の米は胚乳の表面は保護層で確
実に保護され、胚芽の部分のみが開口され、この部分よ
り水が侵入すると共に空気が排出されるのである。この
ことは、発芽試験によって分かるように、米に実質な損
傷を与えない、自然の乾燥方法を越えた乾燥方法とでも
いうことができるのである。
【0111】
【発明の実施の形態】次に図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。 〔実施例1〕図1は本発明の係る乾燥方法を実施するた
めの乾燥装置(設備)1の要部を示す斜視図であって、
断熱壁で構成されたされた乾燥室1aは、上部に天井室
2と両側に側壁室3,3aをそれぞれ配置している。
【0112】(加熱装置4と内部循環空気N)前記天井
室2内には加熱装置4を複数台(実施例には4台)配置
して乾燥室1a内の一方の壁面側(図1においては右
側)から加熱空気を噴出し、他方の壁面側から室内の空
気を流入させるようになっている。図1においては4台
の加熱装置4が同方向から加熱空気を噴出させ、同方向
から室内空気を流入させるように構成しているが、乾燥
装置の設計に応じて、この加熱装置4の向きを変えて乾
燥室1a内の空気の流れを、乾燥室の長手方向に交互に
変えて温度差をなるべく少なくするような配置とするこ
ともできる。
【0113】この加熱装置4は、図2に示すように全体
として遠赤外線を放射するヒータ装置であると共に乾燥
室1a内を循環する空気を加熱する加熱装置であり、下
面に室内に遠赤外線を放射するように遠赤外線ヒータ5
を設け、この遠赤外線ヒータ5の上面に電熱線(シーズ
ヒーター)あるいは高温のスチーム放熱器等からなる加
熱体5aを配置し、更にこの加熱体5aの背後にダクト
状の空気加熱室6を配置している。そしてこの空気加熱
室6の一方に吸気口7を、他方に噴出口8をそれぞれ設
け、前記吸気口7の近傍にフアン9を配置している。
【0114】図2に示すようにフアン9の回転に伴なっ
て吸気口7より乾燥室1a内の空気を吸引し、遠赤外線
ヒータ5の背後の空気加熱室6を通過させ、その間に加
熱体5aの熱で加熱して噴出口8より乾燥室1a内に内
部循環空気流N、として噴出し、この乾燥室1a内の被
乾燥物である図示しない籾を加熱しながら循環する。
【0115】このように乾燥室1aの天井面に設けた遠
赤外線ヒータ5からの遠赤外線の放射と、この遠赤外線
ヒータ5の背後の空気加熱室6を通過して加熱されて乾
燥室1a内を循環する内部循環空気Nとによって乾燥室
1a内の籾を加熱して乾燥するようになっている。
【0116】この内部循環空気Nの温度は、後述する外
部循環空気Gと混合して籾に接触する位置では低下する
が、空気加熱室内より乾燥室内に噴射された直後はかな
り高温の状態であるが、籾に接触する時点で所定の温度
範囲内に低下しておれば良いのである。
【0117】この温度は籾の乾燥の多数の実験結果より
得られたもので、熱風を噴出する場所にもよるが、60
℃以下であることが好ましいが、これ以上の高温、例え
ば90℃程度のものが直接籾に当たるのを避けるように
室内を循環する空気によって噴出した直後に素早く薄め
る必要がある。また、40℃以下であると乾燥室内を所
定の温度に保持するための熱量が足りない場合が発生す
るので、必要な熱量を補う範囲で加熱する必要がある。
【0118】この実施例においては遠赤外線ヒータ5は
加熱室1aの天井面のみに設けた例を示しているが、こ
の遠赤外線ヒータ5は床面や壁面のあらゆる面に設ける
ことができる。
【0119】また、遠赤外線は加熱物体のみではなく、
発熱体より放射される遠赤外線を受けて加熱された物体
からも放射されるものであるから、床面や籾を支持する
支持具等、乾燥室内に収容ないし設置される部材のあら
ゆる物に遠赤外線を放射する能力のある材質のものを設
けておくのが最も効率的である。遠赤外線は籾の乾燥に
適したものであることが必要であり、その波長は4〜1
3μm、好ましくはと7〜9μmが最適な範囲である。
【0120】前記遠赤外線ヒータ5を形成している基材
は、例えば2mm厚のアルミ板あるいはステンレス板等
であり、その表面に形成されたセラミック溶射層は厚さ
が20〜30ミクロン程度である。この基材は通常のも
のは平板状で良いが、設計によってはパンチングプレー
ト等の多孔板を使用してこの孔を加熱空気の通路とする
ことができる。
【0121】セラミックは、1種類の原料である場合も
あるが、複数の原料を混合した組成物であっても良く、
使用する原料には特に限定はないが、籾の乾燥に適した
波長の遠赤外線を多量に放射する特性を持つ材料、例え
ばジルコニア、マグネタイト、アルミナ、チタニヤ、ジ
ルコン、鉄、クロム、マンガン等の複合化合物を使用す
ることができる。セラミック溶射層は、従来技術で採用
されているプラズマ溶射ガンを使用して行う。
【0122】(外部循環空気G)加熱室1aの両側に配
置されている側壁室3,3aは、室内側に加熱室1aの
壁面より間隔をおいて多孔板3b,3cを配置すること
によって偏平で多数の噴出口あるいは排出口を有する一
種の偏平なダクト室を形成している。
【0123】そして一方の側壁室3aより排出された乾
燥室1内の空気(外部循環空気G)はダクト10を介し
てフアン11(ブロワー)で加圧され、次いで空気を冷
却しながらその空気中の水分を除去する機能を持つ空気
調節器12に供給されて所定の温度と湿度(11〜15
%程度)に調節され、そしてダクト10aを通じて前記
側壁室3aに対面する側壁室3内に供給される。この側
壁室3内において壁面に沿って分散されて乾燥室1a内
に面状に噴出され、対面する前記側壁室3aに向かって
水平ないし横方向に流れる。
【0124】この場合、湿度が調節された外部循環空気
Gは、加熱空気である前記内部循環空気Nと混合して乾
燥室1a内の温度を45℃ないし5℃、好ましくは35
℃ないし15℃の範囲の温度となる。
【0125】なお、前記外部循環空気Gの回路中に設け
た空気調節器12は、公知の構造を持つ加熱交換器であ
って、空気を急速に冷却して除湿あるいは減湿する機能
を持っている。更に、この外部循環空気Gが必要以上に
冷却されている場合には、その温度を調節するために空
気加熱器を内蔵させることができる。
【0126】また、季節によって外気の温度と湿度が異
なり、この条件によってこの空気調節器12の操作条件
が異なるので、同じ装置であっても、ある場合には熱媒
を供給したり、反対に冷媒を供給したりすることによっ
て加熱装置としたり、あるいは冷却装置としたりするこ
とができ、1台2役の装置とすることも可能である。
【0127】乾燥室1a内を循環する温度はなるべく自
然乾燥に近い状態に近づけている。高温側の45℃、好
ましくは35℃の温度は、穀粒のタンパク質が変質ない
し劣化しない上限の温度を意味しており、なるべくこれ
以下の温度に保持するように調節する。
【0128】また、低温側の15℃は常温に近いか、そ
れより低い温度、例えば5℃の場合は通常の食品の乾燥
工程では採用されないような低い温度である。この温度
の持つ意味は、本発明においては高温の空気で籾を加熱
するのではなく、減圧下において、遠赤外線を多量に放
射し、比較的低温の、大量の空気流と接触させることに
よって籾の内部から水分が自然に、しかも連続して蒸発
し易い条件としているのである。
【0129】前記のようにして乾燥室1a→側壁室3a
→ダクト10→フアン11→空気調節器12→ダクト1
0aと、両側壁室3,3aと乾燥室1a内を通過する空
気は外部循環空気Gを形成しており、この外部循環空気
Gは、前記のような方法で被乾燥物である籾の含水率に
よって湿度が調節される。即ち、籾の含水率が低い場合
には除湿量は少なくても良いが、高い場合は除湿量を多
くする必要がある。
【0130】また、この外部循環空気Gの風量は籾の含
水率や供給される量に依存するが、1時間あたり、乾燥
室1aの容積の500〜600倍、更に装置の大きさや
籾の含水率等によって2000倍、あるいはそれ以上の
範囲にもなる。従って、乾燥室1a内は恰も小台風ない
し強風が、一定の方向に流れているような状態となって
いる。なお、このような強風は従来のテンパリング乾燥
では全く採用されていないものである。
【0131】籾を低温・低湿度の大量の乾燥空気と接触
させることが重要であり、例えば籾が散らばらない程度
の風速で装置の操作上に問題がなく、更に電力等のコス
トが許す範囲内において大きくするのが好ましい。
【0132】なお、図1に示すようにダクト10aは複
数本に分岐されて側壁室3と接続されており、この分岐
したダクトにはそれぞれダンパー等の風量調節装置が設
けられており、これを調節することによって乾燥室1a
内に偏流が発生しないようにしている。
【0133】図2に示すように、乾燥室1a内には多量
の遠赤外線が放射され、天井面から乾燥の熱源となる内
部循環空気Nと籾の湿度を低下させる空気となる外部循
環空気Gとは乾燥室1a内において混合してこの乾燥室
1a内を45℃ないし5℃、好ましくは35℃ないし1
5℃の温度に調節する。
【0134】(乾燥室内の減圧手段)図1に示すように
給気用のフアン15とダクト16と噴出口16aによっ
て外気を乾燥室1a内に供給すると共に、排気口17a
と排気ダクト17と排気用のフアン18(ブロワー)に
よって前記乾燥室1a内の空気が強力に排気されるよう
になっている。
【0135】乾燥室内への給気量と排気量とは等しい
が、前記給気用のフアン15の動力に比較して排気用の
フアン18の動力を著しく大きくすることによって減圧
条件を制御することができる。シロッコフアンあるいは
ブロワーからなるフアン15の駆動力に対して、シロッ
コフアンあるいはブロワーからなるフアン18を大動力
で駆動して排気することによって乾燥室1a内を水柱で
50mmないし200mmで運転するのが良い。しか
し、籾の含水率や乾燥処理量に応じてそれ以上の減圧に
することができる。
【0136】水柱50mm未満の減圧は、籾の内部から
水分を蒸発を促進する雰囲気とするのには適当ではな
く、多くの処理時間を必要とするので、この点を考慮し
て50mm以上とするのが良い。また、水柱200mm
以上でも運転は可能であるが、乾燥室1aの耐圧力を著
しく高めた構造が必要であるし、また、減圧状態を保持
するための電力も格段に増加するので、各種のコストを
考慮すると200mm以上の減圧は好ましくない。
【0137】(給気装置)図1に示すように給気フアン
(またはブロワー)15により外気(給気)Kを吸引
し、ダクト16を経由して噴出口16aより乾燥室1a
内に供給しているが、この給気フアン15の直後ないし
ダクト16の途中に冷却・除湿装置等の減湿装置を設け
ておくことによって外気の温度や湿度の変化に関係な
く、乾燥室1a内の条件を容易に調節することができ
る。
【0138】(籾保持装置)本発明においては被乾燥物
である籾をできるだけ薄い層に分散して保持することが
必要である。籾を層状にすることによって温度が調節さ
れた乾燥空気と接触させながら貫通して流すことが可能
であると共に、その間に籾に対して、たっぷりと、まん
べんなく遠赤外線を照射することができる。
【0139】図3は籾保持装置20の要部の一例を示す
ものであって、キャスター付台車21の枠体22に、ダ
クト体23とその上に籾が漏れない程度の小孔を多数開
口したパンチングメタルからなる籾支持皿24を重ねて
使用するようになっている。
【0140】この籾保持装置20は図4に示すように、
側壁室3を形成している多孔板3bに当接するように配
置するか、近接して使用されるものであって、ダクト体
23の口部に設けたシール部材23aを多孔板3bに当
接させ、この多孔体3bの小孔3eから噴出する外部循
環空気Gの一部の空気g(実質的に内部循環空気Nと混
合して循環する空気)をダクト体23と籾支持皿24の
間の空間24a内に導入し、籾層Mの下方から貫通させ
て上方に排出するようになっている。
【0141】前記のように籾層Mを貫通して乾燥した外
部循環空気Gが流れると共に、この籾層Mの上面は多量
の遠赤外線Sを受け、そして図2に示す内部循環空気N
に接触しながら乾燥されることになる。
【0142】前記のように本発明は、従来の装置のよう
に乾燥室1a内に高温の熱風を循環させて被乾燥物を熱
風のみによって乾燥させるものではなく、乾燥室1a内
を減圧状態に保持し、比較的低温の乾燥した空気を乾燥
室1a内を大量に循環させながら籾に接触させ、大量の
遠赤外線の放射を浴びせ、これらの総合的な作用で乾燥
させるものである。
【0143】換言すれば、本発明は天日による自然乾燥
の条件を、凝縮させて工業的に適用できるようにしたも
のであり、従来のテンパリング乾燥とは本質的に技術的
思想が異なるものである。
【0144】(実験データ)前記実施例1における乾燥
室1a(巾:2.3 m、奥行き:4.0m、天井面までの高
さ;2.5m)の天井面に遠赤外線ヒータ(巾:90cm、
長さ:150cm、高さ:30m、ヒータの容量が3KW×
3、送風量が2400m3 /分、電源:220ボルト)
を設置した乾燥設備を次の条件で運転した。
【0145】 a.外気温度 :23℃ b.遠赤外線ヒータの表面温度 :45℃ c.内部循環空気(第一循環空気流)の噴出温度 :50℃ d.内部循環フアンの送風量 :250m3 /時 e.外部循環空気の温度 :15℃ f.外部循環空気(第二循環空気流)の送風量:6000m3 /時 g.乾燥室内温度 :16℃ h.給気フアンの送風量 :800m3 /時 i.排気フアンの送風量 :2400m3 /時 j.空気冷却器の出口空気の温度:5℃ h.全体の使用電力量 :6.3KW/時
【0146】前記本発明に係る乾燥装置を使用して秋田
県の「あきたこまち」の籾(水分含有率24%)のもの
を使用し、乾燥室1a内の温度が35℃で乾燥処理した
ところ、1時間ないし2時間の極めて短時間で水分含有
率が15%の籾を得た。そしてこの籾を使用した米飯を
〔試料1〕とした。
【0147】そして従来広く行われている灯油を燃焼さ
せた燃焼ガスを薄めて60℃とした温風による「テンパ
リング乾燥」を、20時間行って水分含有率を15%と
した籾を使用した米飯を〔試料2〕とした。これらの試
料1,2を秋田県の関係専門家22名による「食味、香
り、外観、粘り」からなる試食テストを行ったところ、
表1の結果を得た。
【0148】
【表1】
【0149】試食テストに対する評価:前記試食テスト
の結果から理解できることは、本発明によって乾燥した
籾からなる米飯の試料1と、従来の乾燥法による米飯の
試料2の間に食味と香りに大きな開きがあることであ
る。
【0150】このことは、従来の乾燥方法であると、燃
焼ガスを含んだ高温の加熱空気に籾が直接接触させてい
ること、籾が自然界で体験していない高温に曝されてい
ること、しかも長時間のテンパリング乾燥処理が必要で
あることから、得られた米が変質していることである。
特に高温における長時間(24時間以上)の処理によっ
て食味を失い、香りのの殆んどを消失しているものと
判断できる。
【0151】これに対して本発明の乾燥方法は、乾燥室
内の平均温度が35℃以下(最高でも45℃)で、1時
間程度の従来方法では到底処理できないような短時間の
乾燥処理であり、米は熱の影響を受けることなく、実質
的に変質しておらず、自然乾燥に近いものであり、天日
乾燥した籾による米飯に相当、ないしはそれ以上の評価
を得ることができたものと推察できる。
【0152】試料1と試料2の米飯の元になった籾につ
いて、更に驚くべき試験結果が得られている。即ち、両
試料の籾について『発芽試験』を行ったところ、試料1
の籾の発芽率はほぼ100%であったが、試料2の籾の
発芽率は76%であり、この発芽試験においては大きさ
差があることが理解できる。また、発芽した後の苗の伸
びは試料1のものは試料2のものに比較して遙かに大き
い(勢いが良い)ことが確認されている。
【0153】このことは、従来のテンパリング乾燥方法
によったものは、籾のかなりの部分が発芽不良で、しか
も生き残りのものでも発芽した後の勢力がないのに対し
て、本発明で乾燥した籾は、実質的に全部が生きて勢い
も良好であることが分かる。
【0154】このことから、本発明によって乾燥した籾
は越年した古米であってもかなり良質の状態を保持する
ものと期待でき、米の品質保持上極めて有効であること
が分かる。
【0155】〔実施例2〕この実施例は図5ないし図8
に示す実施例は大型の乾燥設備30の例である。
【0156】実施例1と同様に乾燥室30a内に天井室
31と両側壁室32(32a:図示せず)を設け、この
天井室31に加熱装置33を複数台配置し、側壁室32
の一面を形成している側板32bに隣接してコンベア3
5を配置している。
【0157】前記加熱装置33は図1及び図2に示した
ものと同様に下面に遠赤外線ヒータ33aを、その背面
に空気加熱室33bを有し、この空気加熱室33bの一
端より乾燥室30a内の空気を吸入し、他端より加熱さ
れた空気(内部循環空気流)を排出するようになってい
る。
【0158】また、この乾燥室30aに給気フアンと排
気フアンとを設けて、所定量の給気と排気を行ないなが
ら、両フアンの駆動力の差によって乾燥室30a内を水
柱で50mm〜200mmの減圧状態を保持できるよう
になっている。
【0159】前記側板32b側に一側を位置させて通気
性コンベア35を配置し、このコンベア35の一端側に
設けたタンク36に被乾燥物である籾を収容し、ロータ
リーバルブ37を経て供給体38より籾を層状に分散し
て供給する。このロータリーバルブ37は乾燥室内を減
圧状態に保持しながら籾を所定量つづ供給する役目をす
るものである。もし、このロータリーバルブを使用しな
い場合は籾が気圧の差で吹き出して供給が不安定になっ
たり、吸い込まれて排出が困難となる。
【0160】また、この供給体38の後方にシリンダ装
置40で駆動されるドクターブレード39を設けて供給
体38で供給された籾をコンベア35上に所定の厚さに
均している。また、このコンベア35の終端には乾燥籾
受け部41を設けており、これで受けた乾燥籾を前記と
同様な機能を持つロータリバルブ42と、スクリューコ
ンベア43を介して乾燥室30a外あるいは所定の場所
に排出するようになっている。
【0161】コンベア35は図6〜図8に示すように、
側板32bの表面に固定したダクト状の支持体35aの
上部の開口部に通気性のコンベア体35bを配置して内
部にダクト部35Aを形成し、このコンベア体35bの
下面をレール35cで支持してチエン35dと図示しな
いスプロケットホイールで所定の速度で駆動して所定の
経路を循環するようになっている。また、コンベア体3
5bの上方に突出する縁部35eに接してシール/案内
部材35fを設けてこのコンベア体35の移動方向を規
制すると共にダクト部35Aの気密性を保持している。
【0162】前記コンベア体35bとしては、多孔金属
板を使用したコンベア、主体部を金属ネットで形成し、
その両側にローラ部分を周回できるように折曲げ可能な
仕切り板を設けたもので形成する。
【0163】そして側板32bに設けた開口部32cよ
り側壁室32内に送り込まれた外部循環空気Gを前記ダ
クト部35A内に供給し、コンベア体35bに設けた多
数の小孔35g(あるいはネットの間隙)より噴出させ
て支持されている籾層中を下方から上法に貫通して籾層
を軽く分散、膨張させながら接触して乾燥室30a内に
放出されるようになっている。
【0164】なお、この実施例においては側板32bを
多孔板とせずにダクト状のコンベア35の内部に開口部
32cを通じて外部循環空気Gを供給するようになって
いるが、必要に応じて乾燥室内に外部循環空気Gの一部
を噴出するための小孔ないしスリットを設けることもで
きる。
【0165】この乾燥設備30はタンク36内に被乾燥
物である籾を投入し、ロータリバルブ37で所定量の籾
を供給体38を通じてコンベア35上に分散して供給し
ながらドクターブレード39で所定の厚みに均して貫通
する空気の抵抗を一定にしながら移送する。
【0166】このコンベア35の一側面は開放され、内
部にダクト部35Aが形成してあるので、このダクト部
35A内に側壁室32からの温度と湿度を調節し、乾燥
した外部循環空気Gを供給し、そして多孔板等の通気性
にしたコンベア体35bの下方より上方に吹き抜けてコ
ンベア体35b上に分散配置された籾層を貫通して乾燥
室30a内に放出してこの室内を循環する空気と混合し
て他方の側壁室内に流入する。
【0167】前記のように籾は、実施例1と同様な操作
で減圧状態に保持されている乾燥室30a内において、
コンベア35上に層状に支持されて移送されながら、上
面から加熱装置33の遠赤外線ヒータ33aより放射さ
れる多量の遠赤外線を受けて籾の内部まで加熱され、そ
してコンベア体35bの下方から上方に抜けて籾層を貫
通する、実施例1と同様な温度と風量を持つ、多量で低
温の循環空気に接触して乾燥されることになる。
【0168】なお、乾燥室30a内の温度は、前記加熱
装置33の空気加熱室33bで加熱されて室内に供給さ
れる内部循環空気Nと外部循環空気Gとが混合されて4
5℃ないし5℃、好ましくは35℃ないし15℃の範囲
に調節されている。
【0169】この実施例においては、遠赤外線ヒータ3
3aを乾燥室30aの天井面のみに設けたが、必要に応
じて壁面やコンベア35の内部にも配置して籾に多量の
遠赤外線を放射するようにすることもできる。
【0170】また、乾燥室の天井や壁面や床面は勿論、
籾の支持具やコンベアにも遠赤外線を放射する性質を持
つセラミックス層を形成しておくことによって効率的に
籾を加熱乾燥することができる。 〔実施例3〕図9は内部循環空気Nを積極的に使用する
ことなく、主として外部循環空気Gを主として使用した
装置を示している。
【0171】乾燥設備50を構成する乾燥室50a内は
天井室51と側壁室52(52a)を有し、前記天井室
51には遠赤外線ヒータ53が配置され、側壁室52と
52aとの間にブロワ57、空気を冷却して除湿する空
気調節器58、前記冷却された空気を所定の温度に加熱
する空気加熱器59が直列に設けてある。また、この乾
燥室50aは給気フアン60と排気フアン61を設けて
乾燥室50a内を所定の減圧状態に保持するようになっ
ている。
【0172】そして乾燥室50a内には、図5の場合と
同様に上部から空気を噴出するダクト状の空気供給部
と、その周囲を周回する多孔性のコンベア54と、籾
の供給体62、ドクターブレード63、更に乾燥した籾
の排出部64等が設けられている。
【0173】なお、遠赤外線ヒータ53を天井室51の
床面、即ち天井面51aに配置している関係でこの天井
室51内の空気が加熱されるが、この空気は実施例1と
同様に乾燥室50a内に内部循環空気として循環させ
る。
【0174】この実施例のように外部循環空気Gを、低
湿度で所定の温度に加熱して乾燥室50a内に供給した
場合でも前記実施例1及び実施例2と同様な籾の乾燥を
することができる。
【0175】なお、この実施例においては空気調節器5
8と空気加熱器59を直列に設けているが、点線で示す
ようにこれらを並列に連結して外部循環空気Gの温度を
調節することもできる。
【0176】(乾燥中の籾の反転)図5〜図9に示すよ
うに、籾の搬送手段として通気性、多孔性のコンベア3
5を使用し、このコンベア35の下面から上面に籾の層
を抜けるように乾燥空気、多くの場合、外部循環空気G
を貫通させることによって籾を僅かに浮かせ気味にして
表面を包みながら通過させることが重要であるが、この
場合でも籾の水分含有率や乾燥空気の流量等によって下
層部と上層部とに差異が発生することがある。このよう
な場合には籾の上層部と下層部とを反転させながら乾燥
させるのが好ましい。
【0177】図10及び図11に示すように、コンベア
35の上面に籾Mの流れの上流側に向けて鋤状の反転装
置70とシャベル形の反転装置71とドクターブレード
72を設けている。
【0178】鋤状の反転装置70で籾Mの層を2つに分
割しながら反転させ、更に下流側の反転装置71で籾M
を中央部に寄せ集めながら反転させ、更にドクターブレ
ード72で籾Mの上面を平坦化して、コンベア35の下
方より上方に抜ける外部循環空気流に対して一定の抵抗
を与えるように構成している。
【0179】コンベア35は図11に示すようにネット
コンベアであって、ネット体35aの両側にローラの周
囲を周回可能に折曲げできるようにした側板35bを配
置し、ネット体35aの下方を板状の支持骨35cで支
持し、その下方にパイプ状の補強体35dとブラケット
35eを配置し、更にブラケット35fを介してローラ
35gを支持し、このローラ35gの側面にチエン35
hを配置し、このチエン35hで前進する力を与えて、
レール35i上を走行するようになっている。
【0180】図12はコンベア35上に斜板73,7
4,75・・を適宜配置し、その後方にドクターブレー
ド72を配置してものである。図13はコンベア35の
下面にノズル76を配置し、その上方に両側に柔軟なカ
ーテン77a,77bを有するカバー77を配置したも
ので、籾Mの下面より空気を噴出させてカバー77内で
飛散混合させるようにしたもので、このノズル76を横
向きの直線状に形成しておくことによってコンベア35
の全幅にわたって籾Mを反転処理することができる。
【0181】図14は軸80aの周囲にブリッスルから
なるブラシ体80bを植毛した攪拌ブラシロール80を
形成したもので、このブラシ体80bを籾Mの層中に進
入させて攪拌するようにしたもので、この攪拌ロール8
0は籾Mの流れによって回転するようにしても良いし、
動力で回転させても良い。
【0182】図15は図14の攪拌ブラシロールの変形
であって、軸81aの周囲に円板状のブラシ体81bを
間隔をおいて配置したものである。図16は軸82aの
周囲にインペラ状の攪拌翼82bを風車のように配置し
た攪拌装置82であって、この攪拌翼82bの先端が籾
Mの層の中に侵入するように支持しておけば、籾Mの流
れと共に自然に籾の層を上下反転させることができる。
また、この攪拌装置82を積極的に駆動することによっ
て籾層を効率的に反転させることができる。
【0183】図示していないが、軸の周囲に丸棒や板を
螺旋状に配置し、その螺旋方向を中央部より軸端方向
へ、また、軸端から中央部へ螺旋が移動するように形成
した攪拌装置とドクターブレードや鋤形やシャベル形の
反転装置と組合わせることができる。また、コンベアに
部分的に振動を与えることによって籾層を自然に反転さ
せることも可能である。このように、コンベア35上に
籾Mを層状に載置して移送しながら、反転させることに
よって籾Mを全体的に均一に乾燥させることができるの
である。
【0184】
【発明の効果】A.請求項1の発明により、籾は所定の
減圧下において、層状に分散状態で支持搬送されなが
ら、少なくとも天井面に設けられた所定の面積を持つ遠
赤外線ヒータより多量の遠赤外線を浴び、そして所定の
温度の比較的低温の大量の乾燥空気を、下方から上方に
貫通させて接触させながら乾燥されるので、穀粒内部の
水分は表面への移動が自然で極めて良好である。本発明
によると圃場より収穫した籾を乾燥する場合、刈り取り
時期の天気が良い場合は1〜2時間程度の極めて短時間
で穀粒中の水分を政府規定の15%程度にすることがで
きる。籾の含水量は天候に左右されることが多いが、天
候不順の場合に収穫した籾の乾燥でも上記時間より若干
延長される程度である。これに対して従来のテンパリン
グ乾燥方法によると24時間あるいはそれ以上の長い処
理時間を必要としている。もし、この処理時間を本発明
の処理時間のように短縮した場合は、本来のテンパリン
グ乾燥を行うことができず、穀粒に胴割れが多発して殆
どが不良品となる可能性が大きい。
【0185】また、乾燥した籾を精米した米飯の試食試
験によると、実施例で説明したように従来のテンパリン
グ乾燥したものよりも遙かに良好な評価を得ており、試
験者の多くは、天日によって自然乾燥した籾の米飯より
も本発明の乾燥方法に係る籾からなる米飯の食味が良好
であると評価している。
【0187】本発明を感覚的に表現すると、高い山の上
や高原(減圧条件)で太陽光線(遠赤外線)を全体的に
浴びながら、比較的冷たい乾燥した空気の流れ(外部循
環空気)の中で籾を乾燥するようなものであり、従来の
ように生きている籾が枯れるような温度や有害な排ガス
に曝すようなことが全くなく、超自然的で籾を優しく乾
燥して胴割れや米飯として食味が低下する等の欠点を発
生するようなことがない。
【0188】本発明は、自然乾燥を工業的な乾燥方法に
巧妙に近づけたものであり、乾燥した籾は生きており、
米飯とした場合に美味である上に発芽勢が高く、更に籾
を長期に保存しても品質が低下することが少ないことが
期待される。
【0189】B.請求項2の発明により、乾燥室内を循
環する空気流をこの室内を循環する空気流と、この乾燥
室内の一方より空気を導出して加圧し、他方より通気性
の搬送装置の下方より上方に噴出させて籾層を貫通させ
て他方より導出して循環させる外部循環空気流とで構成
することによって、乾燥室内の空気の温度と籾層を貫通
して乾燥させる空気流の流量を個々に調節できるので、
籾の水分量に合わせた循環空気流を形成して効率的に乾
燥させることができる。 C.請求項3の発明により、乾燥室内に向けて遠赤外線
ヒータの表面より遠赤外線を放射し、この遠赤外線ヒー
タの背後に併設されているダクト状の加熱室内で内部循
環空気流を効率的に加熱して乾燥室内に噴出することが
できるので、前記A,Bに記載したように効率良く籾を
乾燥することができる。 D.請求項4の発明により、内部循環空気流で乾燥室内
の温度を調節し、大量の外部循環空気流によって籾層を
乾燥するので、前記Aに記載したように効率良く籾を乾
燥することができる。
【0190】E.請求項5の発明により、外部循環空気
流を除湿して循環させるように構成したことによって、
籾層に対して乾燥空気を積極的に接触させることがで
き、効率的に乾燥させることができる。 F.請求項6の発明により、乾燥室の一方の壁面から空
気を供給し、この空気流を籾の層を貫通させて乾燥室内
に流出させて他方の壁面から導出するので、籾層を介在
する乾燥室を横方向に流れる循環空気流を形成すること
ができるために温度と湿度のむらを少なくした循環空気
流を形成でき、効率的に籾を乾燥することができる。
【0191】G.請求項7の発明により、籾を多孔性コ
ンベア上に層状に支持して搬送すると共に、この籾層の
一部あるいは全部を反転あるいは攪拌させることによっ
て、籾層をムラのない状態で乾燥することができる。籾
の処理量によって籾層の厚さを変化させることになる
が、籾層が厚い場合でも、この籾層を反転したり攪拌し
て籾に遠赤外線を均等に与えることができてムラなく乾
燥させることができる。
【0192】H.請求項8の発明により、通気性のダク
ト体と、これの上に載置される支持板からなる支持具を
使用し、前記支持板上に籾を層状に支持し、この支持具
の一方より乾燥空気を導入し、支持板の孔から籾層を貫
通して乾燥室内に排出するように構成しているので、バ
ッチ式で効率的に籾を乾燥することができる。また、異
なる支持具に異なる籾を載置して乾燥することもできる
ので、品質の異なる籾でも一緒に乾燥することができ
る。なお、支持具によって異なる種類の籾を支持するこ
とによって同一の乾燥室内において異なる銘柄籾を乾燥
させることができる。 I.請求項9の発明により、外気を除湿した後に乾燥室
に供給するので、外気の湿度の状態に関係なく籾を乾燥
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の乾燥装置の要部を示す斜視図であ
る。
【図2】図1の乾燥装置の横断面図である。
【図3】籾の支持具を分解して示す斜視図である。
【図4】籾の支持具と乾燥する空気との関係を示す側断
面図である。
【図5】実施例2の連続式籾乾燥設備の要部を分解して
示す斜視図である。
【図6】通気性籾コンベヤの要部断面図である。
【図7】図6に示す籾コンベアの側断面図である。
【図8】通気性の籾コンベアを断面して示す斜視図であ
る。
【図9】外部循環空気のみを使用した籾乾燥設備の要部
を示す斜視図である。
【図10】コンベア上に鋤形のシャベル形の攪拌装置を
設けた乾燥装置の斜視図である。
【図11】図10における正面図である。
【図12】斜板を使用した攪拌装置を設けた乾燥装置の
平面図である。
【図13】ノズルより空気を噴射して攪拌するようにし
た乾燥装置の側断面図である。
【図14】ブラシ形攪拌装置の斜視図である。
【図15】ブラシ形攪拌装置の斜視図である。
【図16】翼形攪拌装置の斜視図である。
【符号の簡単な説明】 1 乾燥装置 1a 乾燥室 2 天井室
3,3a 側壁室 3b 多孔板 4 加熱装置 5 遠赤外線ヒー
タ 5a 加熱体 6 空気加熱室 7 吸気口 8
噴出口 9 フアン 10 ダクト 12 空気調節器 15 フアン(ブロワー) 16 ダクト 16
a 噴出口 17 排気ダクト 17a 排気口 18 フアン
(ブロワー) 20 籾保持装置 21 台車 22 枠体
23 ダクト体 N 内部循環空気流 G 外部循環空気流 70,71,73,74,75,80,81,82 攪
拌装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清川 太郎 埼玉県草加市弁天町402番地 Fターム(参考) 2B100 AA02 BA06 BA10 BB01 BC01 BD20 DA02 DA13 DA18 DA25 3L113 AB06 AC10 AC21 AC23 AC25 AC39 AC45 AC46 AC48 AC49 AC50 AC52 AC53 AC55 AC56 AC57 AC58 AC63 AC65 AC67 AC72 AC73 AC74 AC79 BA03 CA08 CA09 CA11 CA16 CA20 CB06 CB13 CB15 CB17 CB22 CB23 CB24 CB27 CB28 CB29 CB34 DA02 DA07 DA10 DA11 DA24 DA25

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾燥室内を減圧状態に保持し、この乾燥
    室内に多量の遠赤外線を放射し、この乾燥室内に加熱空
    気を循環させる内部循環空気流と、更にこの乾燥室内の
    空気を導出して冷却し、そして除湿した後に前記乾燥室
    に供給循環させる外部循環空気流とによって前記乾燥室
    内に収容された籾を乾燥する方法であって、 前記乾燥室内に給気すると共に、この給気に使用する動
    力より大動力で排気して50mmないし200mm水柱
    の減圧状態に保持し、 前記外部循環空気流と、内部循環空気流とを混合して乾
    燥室内の空気の温度を45℃ないし5℃に保持し、 前記乾燥室内に籾を層状に分散状態で支持し、 減圧下で多量の遠赤外線の放射と、前記混合空気流に籾
    を接触させながら乾燥させるようにしたことを特徴とす
    る籾の乾燥方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも天井面に、この天井面の面積
    に対して30%ないし85%の面積を持つ遠赤外線ヒー
    タを設け、乾燥室内に籾を層状に分散支持するようにし
    たことを特徴とする請求項1記載の籾の乾燥方法。
  3. 【請求項3】 前記外部循環空気流を分散状態で支持さ
    れた籾の層中を貫通させて前記乾燥室内に流出させるよ
    うにしたことを特徴とする請求項1記載の籾の乾燥方
    法。
  4. 【請求項4】 前記外部循環空気流は乾燥室を横方向に
    流れて循環するようにしたことを特徴とする請求項1記
    載の籾の乾燥方法。
  5. 【請求項5】 前記外部循環空気は前記乾燥室内を1時
    間あたり600回ないし2000回、あるいはそれ以上
    の回数で循環する風量である請求項1記載の籾の乾燥方
    法。
  6. 【請求項6】 乾燥室内を減圧状態に保持し、この乾燥
    室内に多量の遠赤外線を放射し、この乾燥室内に加熱空
    気を循環させる内部循環空気流と、更にこの乾燥室内の
    空気を抽出して冷却し、そして除湿した後に前記乾燥室
    に供給して循環させる外部循環空気流とによって前記乾
    燥室内に収容された籾を乾燥する方法であって、 少なくとも天井面に多量の遠赤外線を放射する遠赤外線
    ヒータと、この遠赤外線ヒータの背面に、一方より前記
    乾燥室内の空気を吸気し、他方より排出し、その間にそ
    の空気を加熱するダクト状の空気加熱室を併設して加熱
    された空気を乾燥室内に循環する内部循環空気流を形成
    するように構成し、 前記乾燥室内に給気すると共に、この給気に使用する動
    力よりも大動力で排気して50mmないし200mm水
    柱の減圧状態に保持し、前記除湿した後に乾燥室内を循
    環させる外部循環空気流と、乾燥室内を循環する内部循
    環空気流とを混合して乾燥室内の空気の温度を45℃な
    いし5℃に保持し、前記乾燥室内に配置された支持具上
    に籾を層状に支持し、減圧下で多量の遠赤外線の放射
    と、乾燥室内を循環する循環空気流によって乾燥させる
    ようにしたことを特徴とする籾の乾燥方法。
  7. 【請求項7】 籾を層状に支持するための支持具は、下
    側に空気流を受入れて案内するダクト体と、このダクト
    体の上側に配置され、上面で籾層を支持しながら空気を
    この籾層を貫通させるための多孔体からなる支持板とか
    ら構成され、この支持具の空気流の受入れ口に前記外部
    循環空気流を供給して支持板上の籾層貫通して乾燥室内
    に導出するように構成したことを特徴とする請求項6記
    載の籾の乾燥方法。
  8. 【請求項8】 乾燥室内を減圧状態に保持し、この乾燥
    室内に多量の遠赤外線を放射し、この乾燥室内に加熱空
    気を循環させる内部循環空気流と、更にこの乾燥室内の
    空気を導出して冷却し、そして除湿した後に前記乾燥室
    に供給循環させる外部循環空気流とによって前記乾燥室
    内に収容された籾を乾燥する方法であって、 前記乾燥室内に給気すると共に、その給気に使用した動
    力より大動力で排気して50mmないし200mm水柱
    の減圧状態に保持し、 前記外部循環空気流と、内部循環空気流とを混合して乾
    燥室内の空気の温度を45℃ないし5℃に保持し、 前記乾燥室内に配置した多孔性のコンベア上に籾を層状
    に分散状態で支持すると共に、このコンベアの下面から
    外部循環空気を供給して前記籾層を貫通させて前記乾燥
    室内に放出するように構成し、減圧下で多量の遠赤外線
    の放射と籾層を貫通する空気流を利用して乾燥させるよ
    うにしたことを特徴とする籾の乾燥方法。
  9. 【請求項9】 乾燥室に給気しながらこの給気の動力よ
    り大きな動力で排気して減圧状態に保持し、少なくとも
    天井面に設けた遠赤外線ヒータによって前記乾燥室内に
    多量に遠赤外線を放射し、前記乾燥室の一方の壁面から
    空気を排出してこの空気の温度と湿度とを調節して再び
    前記乾燥室内に循環させるように構成し、 前記乾燥室内に前記遠赤外線ヒータからの遠赤外線の放
    射を受けるように籾を層状に保持すると共に、前記温度
    と湿度を調節した空気をこの層を通過させながら乾燥す
    るようにしており、 前記乾燥室内を循環する空気は温度が45℃ないし5℃
    で、除湿された乾燥空気であることを特徴とする籾の乾
    燥方法。
  10. 【請求項10】 乾燥室内に配置した通気性のあるコン
    ベア上に籾を層状に支持して搬送しながら、この籾の層
    を下方から上方に外部循環空気流を通過させるように構
    成すると共に、前記コンベア上の籾の層の一部または全
    部を、上下に反転あるいは攪拌させるように構成したこ
    とを特徴とする請求項8あるいは9記載の籾の乾燥方
    法。
  11. 【請求項11】 乾燥室内への給気を外気を除湿した後
    に行うことを特徴とする請求項1,6,8及び9の何れ
    かに記載の籾の乾燥方法。
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