JP2011223934A - 穀物の害虫駆除方法 - Google Patents

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繁晴 金本
Akira Fukuhara
昭 福原
Kazunobu Kajiwara
一信 梶原
Yasuyoshi Seto
康義 瀬戸
Yasunori Koike
康範 小池
Kazuto Nonaka
和人 野中
Yoichiro Ogura
洋一郎 小椋
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Abstract

【課題】加熱による害虫駆除時に穀物の水分含量が低下することなく、かつ、駆除後の害虫及びその卵を穀物から除去する手段も含めた害虫駆除の方法を提供することを技術的課題とする。
【解決手段】搬送路となる円筒体の内部を搬送手段によって搬送されている原料穀物を加熱蒸気によって加熱するとともに、加熱された原料穀物を搬送しながら撹拌手段によって撹拌して前記円筒体の内壁に当接させる殺虫処理工程と、前記殺虫処理工程後の原料穀物を通風作用によってその表面を乾燥するとともに、摩擦作用により前記原料穀物の表面を研磨する乾燥摩擦処理工程とを含み、前記円筒体の少なくとも前記撹拌手段が位置する部分を、加熱手段によって200℃以上に加熱することを特徴とする技術的手段を講じた。
【選択図】図2

Description

本発明は、穀物を高温体に接触させることにより、前記穀物表層部の害虫及びその卵を死滅させ、死滅させた害虫及び卵を除去する害虫駆除の方法に関するものである。
従来、穀物の害虫駆除は、薬剤の散布、熱処理等によって行われている。しかし、薬剤による処理は、市場のニーズによる安全性の観点から敬遠されている。また、熱処理の方法として、特許文献1には、コンベアで搬送されている穀物をヒータで加熱することで害虫駆除を行うことが記載されており、特許文献2には、ヒータで加熱した空気で害虫駆除を行うことが記載されている。しかし、穀物をヒータにより加熱すると乾燥作用が働き、例えば該穀物が精白米の場合、過乾燥となり品質が低下するという問題が生じる。特に特許文献2のように送風による場合は、乾燥が促進される。
特許文献3には、近赤外線ランプによる近赤外線の照射によって穀物の害虫駆除を行うことが記載されている。この方法によれば、加熱時間が短時間であるので、穀物の過乾燥をある程度は抑えることが可能と思われるが、前記穀物の乾燥を完全に防ぐことはできない。
また、穀物が精白米である場合は、死滅させた害虫及びその卵を取り除くことが好ましい。しかし、特許文献1、2及び3には、加熱処理によって害虫を死滅させることの記載はあるが、死滅させた害虫及びその卵を除去することについての記載はない。
このため、熱処理による穀物の害虫駆除において、加熱時に穀物が必要以上に乾燥することなく、さらに、死滅した害虫及びその卵を取り除くことが可能な方法が望まれている。
特開平2−286027号公報 特開平11−155454号公報 特開2004−275153号公報
本発明は上記問題点にかんがみて、加熱による害虫駆除時に穀物の水分含量が低下することなく、かつ、駆除後の害虫及びその卵を穀物から除去する手段も含めた害虫駆除の方法を提供することを技術的課題とする。
本発明は、粒状物の害虫駆除において、搬送路となる円筒体の内部を搬送手段によって搬送されている原料穀物を加熱蒸気によって加熱するとともに、加熱された原料穀物を搬送しながら撹拌手段によって撹拌して前記円筒体の内壁に当接させる殺虫処理工程と、前記殺虫処理工程後の原料穀物を通風作用によってその表面を乾燥するとともに、摩擦作用により前記原料穀物の表面を研磨する乾燥摩擦処理工程とを含み、前記円筒体の少なくとも前記撹拌手段が位置する部分を、加熱手段によって200℃以上に加熱することを特徴とする技術的手段を講じた。
また、前記蒸気の温度を120℃以上とする技術的手段を講じた。
本発明の穀物の害虫駆除方法は、穀物を蒸気で加湿してから、加熱による前記穀物の殺虫処理を行うので、殺虫処理後に前記穀物の水分が減少することはない。また、極めて短時間で原料穀物表面のみを加熱するため、原料穀物の性質変化を防ぐことができる。さらに、前記殺虫処理を加熱蒸気の雰囲気中で行うため、この蒸気の熱によっても殺虫及び殺卵が行われる。
その上、加熱による殺虫処理後の原料穀物表面を摩擦作用により磨くため、死滅させた害虫及びその卵を原料穀物表面から分離させることができ、そして、通風作用により、分離した害虫及びその卵を取り除くことができるという利点がある。
本発明の害虫駆除方法を実施するための害虫駆除装置1に係る斜視図である。 害虫駆除装置1の概略部分断面図である。 害虫駆除装置1に係るカバーを外した状態の斜視図である。 害虫駆除装置1に係るインナーフレーム及び留め具を外した状態の斜視図である。 害虫駆除装置1に係る筒壁を外した状態の斜視図である。 ノズルの構成を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の害虫駆除方法を実施するための害虫駆除装置1に係る斜視図であり、図2は同装置における内部構造を示すための概略部分断面図である。図3は、カバー62及び63を取り外した状態の害虫駆除装置1の斜視図である。
害虫駆除装置1は、原料表面を加熱する加熱部Aと、原料表面を乾燥及び研磨する乾燥部Bとから構成され、これら加熱部A及び乾燥部Bは本体フレーム6に取り付けられている。害虫駆除を行う精白米等の原料は、供給管7の上端の供給口2から駆除装置1に投入される。供給口2の内側にはシャッタ61が設けられており、該シャッタ61の下方に位置する調節弁3により原料の流量を調節する。なお、シャッタの開閉はスイッチ61aで行い、調節弁3の開閉はダイアル3aで行う。調節弁3を通過した原料は供給管7を流下して加熱部Aに投入される。
本実施例では、原料が精白米である場合について説明するが、前記原料としては、前記精白米以外の米やその他の穀物、又は種子等も考えられ、前記米として、玄米、分搗き米、胚芽米及び無洗米等を処理することができる。
加熱部Aは、搬送路となる横設された円筒型の撹拌室8、シャフト10、ノズル17及びバンドヒータ13等から構成されている。シャフト10にはプーリ12が軸着され、モータ9の動力が、駆動ベルト64、プーリ45及びベルト28を介してプーリ12に伝達されるように構成されている。また、シャフト10は、軸受け11の内部に配設されたベアリングにより、撹拌室8の内部に回転自在に横設されている。
シャフト10には、供給管7から供給された原料を下流側へ搬送するための一条ねじロール(搬送スパイラル)16が供給管7の下方の位置に設けられている。一条ねじロール16の下流側(図2では右側)には、原料を撹拌するための撹拌翼4が複数配設されている。そして、撹拌翼4とプーリ12との間には原料を逆方向に搬送する作用が働く一条ねじロール5が配設されている。一条ねじロール16、撹拌翼4及び一条ねじロール5によって加熱部Aにおける原料の撹拌搬送手段が構成される。
前記撹拌翼4は、撹拌室8内を搬送されている原料を撹拌することで、ノズル17から供給された加熱蒸気を前記原料表面に均一に接触させると同時に、撹拌室8の内壁面に原料を接触させるために設けられている。図2で示すように、撹拌翼4はシャフト10の長手方向に平行に立設している。平行に立設させているのは、撹拌翼4の撹拌作用によって原料が前記内壁面に効率良く接触するようにするためである。
なお、撹拌翼4はシャフト10の長手方向に平行に立設することが望ましいが、原料の搬送速度を調節するために、シャフト10に対して角度をつけて立設させてもよい。また、撹拌翼4はシャフト10に溶接して固定してもよいし、ネジ留めによって固定してもよい。
前記ノズル17は、図2に示すように、一条ねじロール16と撹拌翼4との間に設けられており、一条ねじロール16の搬送作用により連通路27の方向へ搬送される原料に加熱された蒸気を供給するためのノズルである。図6は、ノズル17へ蒸気を供給するための構成を示した図である。
ノズル17は、蒸気発生装置19(ボイラー)と接続されており、該蒸気発生装置19で発生させた蒸気は、蒸気クリーン装置23を通してから、圧力調整弁20、加熱ヒータ21を経て撹拌室8に供給される。なお、符号18は開閉弁であり、符号22はドレンであって、蒸気中の余分な水を取り除くために設けられている。
撹拌室8に供給する蒸気の圧力は、圧力調整弁20によって調整する。該圧力は試験等により求めた適切な値に調整するようにすればよい。また、前記蒸気の温度は、加熱ヒータ21によって調整する。該温度は試験等により求めた適切な値に調整するようにすればよい。
撹拌翼4が内部に位置する撹拌室8の外周には、その部分を高温に加熱するためのバンドヒータ13が巻回されており、該バンドヒータ13は、留め具14により撹拌室8に固定されている。また、温度センサ31によって測定される測定値によって、温度制御されている。符号15は、電源(単相200V)と接続するための碍子である。なお、バンドヒータ13は、撹拌室8の外周をほぼ一周するように巻回するために、撹拌室8を形成する円筒の上面と下面とにそれぞれ設けられ、それぞれのバンドヒータ13に温度センサ31及び碍子15が設けられている。なお、バンドヒータ13には、一般に市販されている製品を使用すればよい。
次に乾燥部Bについて説明する。加熱部Aと乾燥部Bとは連通路27を介して連絡されている。乾燥部Bは、該乾燥部Bに横設した多角柱状の筒壁41と、該筒壁41内に設けた、ミリングローラ44及び回転軸42とからなる。筒壁41は、インナーフレーム33により固定されている。図4は、インナーフレーム33及び留め具14を取り外した状態での害虫駆除装置1の斜視図である。符号34は、インナーフレームを取り付けるための支持ロッドである。
図4の詳細Cにて図示しているように、筒壁41は通気性のある多孔壁面からなり、通孔35の径は、原料の粒径よりも小さくする必要がある。
回転軸42は、中空状であって複数の通風口50が設けられており、軸受け46に支持され回転自在に配設されている。回転軸42には、螺旋転子43とミリングローラ44とがそれぞれ軸装されている。また、回転軸42にはプーリ45が備えられ、駆動ベルト64を介してモータ9が接続されている。
螺旋転子43は連通路27の下方に位置しており、連通路27を流下した原料を乾燥摩擦室40に送り出すために設けられている。また、図5は筒壁41を取り外した状態の害虫駆除装置1の斜視図である。ミリングローラ44には、複数の突脈32と該突脈32に隣接した噴風溝孔51とが設けられている。該噴風溝孔51は、回転軸42に多数穿設した通風口50に連通している。なお、ミリングローラ44は、上流側がテーパ状に形成されている。ところで、図3、4及び5は、モータ9及び駆動ベルト64を省略した図となっている。
筒壁41とミリングローラ44との間の空間部には原料表面が摩擦作用を受ける乾燥摩擦室40が形成されている。また、筒壁41の下方には集塵室47が設けられており、該集塵室47は排風機(図示しない)と接続されている。前記乾燥摩擦室40の下流側には抵抗板48が設けられており、分銅48aにより原料にかかる負荷が調節される。
次に上記構成における作用を説明する。シャッタ61が開いた状態で供給口2から投入された原料は、調節弁3により流量を調節されて供給管7を流下し、連続的に加熱部Aの一条ねじロール16に供給される。前記原料は一条ねじロール16の搬送作用により連通路27の方向へ撹拌室8内を搬送される。
搬送される原料にはノズル17から加熱された蒸気が供給される。供給される蒸気の圧力は、0.2MPa〜0.6MPaの範囲が望ましいが、原料の種類により適宜変更すればよい。また、前記上記の温度は、120℃以上とすればよいが、本発明が害虫駆除を目的としているため、高温であるほど望ましく、150℃以上とするのがよい。より望ましくは200℃以上である。
加熱された蒸気により加温及び加湿された原料は、シャフト10の回転駆動により回転する撹拌翼4の作用により撹拌され、原料が撹拌室8の内壁面に接触する。該内壁面の温度は、バンドヒータ13により、200℃以上、望ましくは250℃以上、より望ましくは300℃以上まで加熱されている。原料の表面が蒸気により加湿された状態で、200℃以上に加熱された前記内壁面に接触するため、前記表面及び表面近傍にいる害虫及びその卵は、この時点で死滅する。
さらに、前記接触において、原料表面の水分が蒸発するため、該蒸発により発生する蒸発熱(エンタルピ)により確実に害虫及びその卵を死滅させることが可能となる。撹拌室8内を搬送されている原料は、撹拌翼4の作用により撹拌される際に、そのほぼ全表面を撹拌室8の内壁面に接触させることが望ましいが、仮に接触しない原料又は原料の表面があったとしても、撹拌室8内は高温の蒸気が充満しているため、該蒸気によって害虫及びその卵を死滅させることが可能である。
なお、原料が撹拌室8のバンドヒータ13を取り付けた部分を通過する時間は、1〜8秒間である。
ところで、害虫駆除を目的とする場合、加熱する温度が高いほど、また、加熱する時間が長いほど害虫駆除の効果が高くなる。しかし、原料が食品である場合、加熱する温度が高いほど、また、加熱する時間が長いほど、原料の性質が変化してしまうおそれが高いので、高温及び長時間での害虫駆除処理は望ましくない。このため、できるだけ低温及び短時間での処理とする必要がある。
原料は加熱された撹拌室8の内壁面への接触を繰り返しながら下流方向へ搬送され、流通路27を流下して乾燥部Bに供給される。
乾燥部Bに供給された原料は、螺旋転子43の搬送作用により乾燥摩擦室40へ送られて摩擦(研磨)作用及び乾燥作用を受ける。乾燥摩擦室40では、排風機の吸引作用により、回転軸42に設けた各通風口50を経てミリングローラ44の噴風溝孔51から乾燥摩擦室40にエアーが噴出され、乾燥摩擦室40内の原料が通風される。なお、回転軸42の両端は開口しているので、害虫駆除装置1内のエアーが、回転軸42の両端から吸引されることになる。
また、加熱部Aでの蒸気により原料最表面(最外層)は湿潤軟質化しており、この状態でミリングローラ44及び突脈32の撹拌作用により最外層が研磨され、加熱部Aで死滅した害虫及びその卵が分離・除去される。さらに、湿潤軟質化しているため、原料が精白米であれば、砕米の発生が完全に防止できると共に該精白米の縦溝部の害虫及びその卵を完全に除去することができる。
表面を研磨されることによって原料から分離された害虫及びその卵は、排風機の吸引作用により、筒壁41の通孔35から排出されて集塵室47へ送られ、さらに、サイクロン(図示せず)等の集塵装置へ送られる。そして、原料は一連の通風による乾燥作用によって、加熱部Aで蒸気によって加湿される前の水分に戻った状態で、排出口29から排出される。
なお、害虫駆除装置1の処理により、害虫及びその卵の他に、砕米等も同時に除去することができる。また、前記処理により、歩留まりが0.1%〜1%程低下する。
1 害虫駆除装置
2 供給口
3 調節弁
4 撹拌翼
5 一条ねじロール
6 本体フレーム
7 供給管
8 撹拌室
9 モータ
10 シャフト
11 軸受け
12 プーリ
13 バンドヒータ
14 留め具
15 碍子
16 一条ねじロール
17 ノズル
18 開閉弁
19 蒸気発生装置
20 圧力調整弁
21 加熱ヒータ
22 ドレン
23 蒸気クリーン装置
27 連通路
28 ベルト
29 排出部
30 三条ねじロール
31 温度センサ
32 突脈
33 インナーフレーム
34 支持ロッド
35 通孔
40 乾燥摩擦室
41 筒壁
42 回転軸
43 螺旋転子
44 ミリングローラ
45 プーリ
46 軸受け
47 集塵室
48 抵抗板
49 排出口
50 通風口
51 噴風溝孔
61 シャッタ
62 カバー
63 カバー
64 駆動ベルト

Claims (2)

  1. 搬送路となる円筒体の内部を搬送手段によって搬送されている原料穀物を加熱蒸気によって加熱するとともに、加熱された原料穀物を搬送しながら撹拌手段によって撹拌して前記円筒体の内壁に当接させる殺虫処理工程と、
    前記殺虫処理工程後の原料穀物を通風作用によってその表面を乾燥するとともに、摩擦作用により前記原料穀物の表面を研磨する乾燥摩擦処理工程とを含み、
    前記円筒体の少なくとも前記撹拌手段が位置する部分を、加熱手段によって200℃以上に加熱することを特徴とする穀物の害虫駆除方法。
  2. 前記蒸気の温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の穀物の害虫駆除方法。
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