JP2000230580A - カップリング装置 - Google Patents

カップリング装置

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JP2000230580A
JP2000230580A JP11034443A JP3444399A JP2000230580A JP 2000230580 A JP2000230580 A JP 2000230580A JP 11034443 A JP11034443 A JP 11034443A JP 3444399 A JP3444399 A JP 3444399A JP 2000230580 A JP2000230580 A JP 2000230580A
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annular
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transmission
piston
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Yoshiyuki Miyazono
好之 宮園
Masaaki Kozuka
聖明 狐塚
Noriyasu Higuchi
徳康 樋口
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Viscodrive Japan Ltd
Original Assignee
Viscodrive Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第1及び第2の伝達部材間の相対回転方向に
よって動力伝達特性が異なるカップリング装置を提供す
る。 【解決手段】 相対回転可能に配置された第1及び第2
の伝達部材10,20 で画成された環状作動室30内に充填さ
れた高粘性流体と、環状作動室30を軸線方向で第1及び
第2の作動室31,32 に仕切り、内周面が第1の伝達部材
10に対して相対回転不能、且つ軸線方向に摺動可能に係
合されると共に、外周面44が第2の伝達部材20に固定さ
れた環状部材50の内周面に当接される環状ピストン40
と、環状ピストン40の外周面44と環状部材50の内周面と
の間で螺旋状に延び、第1及び第2の作動室31,323を相
互に連絡する剪断通路53と、第1の作動室31に連通する
可変容積室33とを備え、環状ピストン40の端面が環状作
動室30の端面内壁との間に配設されたインナプレート61
及びアウタプレート71に支えられて制動力を生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共通の回転軸線の
回りに相対回転可能に配置された第1及び第2の伝達部
材を備え、これら第1及び第2の伝達部材の相対回転時
にこれら伝達部材間に差動制限作用を生成するべく、前
記第1及び第2の伝達部材で画成された環状作動室内に
高粘性流体を充填したカップリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、4輪駆動車の前後輪を駆動する種
々の形式の動力伝達装置が開発されているが、例えば左
右の車軸を差動させる車軸ディファレンシャル装置や前
後の車軸を差動させるセンターディファレンシャル装置
としてビスカスカップリングを設け、左右車軸間や前後
車軸間の差動を制限しつつ、ABS(アンチロック・ブ
レーキ・システム)作動時における左右車輪間の回転干
渉を防止したり車両旋回時のタイトコーナブレーキング
現象の発生を防止したりするようになっている。
【0003】ところが、上記ビスカスカップリングは、
シリコンオイル等の高粘性流体を封入した作動室内に配
置した第1及び第2のプレート組間に生じる粘性抵抗を
用いて回転トルクを伝達する構造である為、例えば車軸
ディファレンシャル装置において左右いずれか一方の車
輪が空転した時には、いずれか他方の車輪に伝達可能な
駆動力の大きさが不足すると共に、差動制限までの応答
時間が遅い場合があった。
【0004】そこで、ビスカスカップリングに設けた第
1及び第2のプレート組をピストンで押圧して互いに密
着させ、所謂摩擦クラッチとして作用させて大きな回転
トルクを伝達可能としたカップリング装置が、例えば特
開平10−184732号公報に開示されている。この
種のカップリング装置1は、図7に示したように、共通
の回転軸線Cの回りに相対回転可能に配置された第1及
び第2の伝達部材2,3が、高粘性流体を充填する環状
作動室4を画成している。
【0005】そして、前記環状作動室4を軸線方向で二
つの作動室4a,4bに仕切る環状ピストン7は、内周
面に設けた係合部分7aが第1の伝達部材2の外周面に
形成された雄スプライン2aと係合して相対回転不能、
且つ前記環状作動室内で軸線方向に摺動可能に該第1の
伝達部材2に対して係合されると共に、外周面7bが第
2の伝達部材3の内周面3bに密に当接されている。
【0006】前記第2の伝達部材3の内周面3bには、
回転軸線Cを中心に螺旋状に延びる凹溝が凹設されてお
り、環状ピストン7の外周面7bとの間で二つの作動室
4a,4bを相互に連絡する剪断通路8を画成してい
る。又、前記環状ピストン7は、左右一対の皿ばねS等
により、環状作動室4内において回転軸線C方向に沿っ
たスライド範囲の中央位置にセンタリングされている。
又、前記環状ピストン7の両端面には、前記環状作動室
4内に100%充填された高粘性流体の温度依存性(温
度変化に伴う体積変化)を補償する補償空間を構成する
補償ピストン9が摺動自在に配設されている。
【0007】更に、前記環状作動室4の各作動室4a,
4b内には、前記第1の伝達部材2の雄スプライン2a
と係合して一体に回転する複数枚のインナプレート5
と、前記第2の伝達部材2の内周面に形成された雌スプ
ライン3aと係合して一体に回転する複数枚のアウタプ
レート6とがそれぞれ交互に並ぶように配置され、一対
のビスカスカップリングを構成している。
【0008】このように構成されたカップリング装置1
の第1及び第2の伝達部材2,3が相対回転すると、各
作動室4a,4b内に配設されたインナプレート5とア
ウタプレート6との間に生じる粘性抵抗によって、従来
のビスカスカップリングと同様に第1及び第2の伝達部
材2,3間で回転トルクが伝達される。同時に、第2の
伝達部材3の内周面3bに凹設された凹溝内の高粘性流
体が環状ピストン7の外周面7bと連れ回りして剪断通
路8内を進行するため、第1及び第2の伝達部材2,3
間の相対回転方向に応じ、二つの作動室4a,4bのい
ずれか一方からいずれか他方に向かって環状作動室4内
の高粘性流体が移動する。
【0009】すると、前記環状ピストン7は、二つの作
動室4a,4bのうち、高粘性流体が流入して内部圧力
が高くなった側からの押圧力を受けて、高粘性流体が流
出して内部圧力が低くなった側に向かって回転軸線Cに
沿って変位する。そこで、例えば所定方向の相対回転に
より内部圧力が低くなった一方の作動室4a側に環状ピ
ストン7が変位すると、該環状ピストン7の端面(図7
中、左側端面)が作動室4a内のインナプレート5とア
ウタプレート6とを押圧し、これらインナプレート5及
びアウタプレート6を相互に及び前記環状作動室4の端
面内壁(図7中、左側端面内壁)に摩擦接触させる。即
ち、環状ピストン7の端面が、前記第2の伝達部材によ
って形成された環状作動室4の端面内壁でインナプレー
ト5及びアウタプレート6を介して間接的に支えられて
制動力を生成する。一方、相対回転により内部圧力が高
くなった他方の作動室4bでは、高粘性流体の粘性抵抗
が強まる。
【0010】これにより、作動室4a内における環状ピ
ストン7の端面と環状作動室4の端面内壁との間ではイ
ンナプレート5及びアウタプレート6を介して摩擦力が
生じ、作動室4b内におけるインナプレート5とアウタ
プレート6の間では強い粘性抵抗が生じるので、第1及
び第2の伝達部材2,3間ではより大きな回転トルクを
伝達することができる。
【0011】従って、上述したカップリング装置1の動
力伝達特性は、図8に示したように、第1及び第2の伝
達部材2,3間の相対回転数ΔNが小さい範囲では、イ
ンナプレート5とアウタプレート6との間に生じる粘性
抵抗によって回転トルクTを伝達するため、これら第1
及び第2の伝達部材2,3間で伝達可能な回転トルク
は、符号Dで示すように従来のビスカスカップリングと
同様である。
【0012】これに対して、第1及び第2の伝達部材
2,3間の相対回転数ΔNが大きい範囲では、一方の作
動室内における摩擦力と他方の作動室内における強い粘
性抵抗とが作用することによって、従来のビスカスカッ
プリングにおける回転トルクD’に比べ、符号Eで示し
たような充分に大きな回転トルクを伝達することができ
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図7に示し
たカップリング装置1においては、環状作動室4の二つ
の作動室4a,4bが、環状ピストン7に対して回転軸
線C方向に左右対称に形成されている。これにより、第
1及び第2の伝達部材2,3間の相対回転方向が正逆い
ずれであろうとも、このカップリング装置1の動力伝達
特性は図8に示した線図と全く同一である。
【0014】しかしながら、このようなカップリング装
置においては、第1及び第2の伝達部材間の相対回転方
向に応じて動力伝達特性を変化させたい場合がある。例
えば、前後車軸間に配置したセンターディファレンシャ
ル装置にこのようなカップリング装置を設けて前後車軸
間の差動回転を制限する場合、駆動時には前車軸側から
後車軸側に積極的に駆動力を伝達したいが、制動時には
後輪(後車軸)の回転を維持して車両の進行方向を安定
させつつ、前輪(前車軸)の回転を減少させる為に、後
車軸側から前車軸側には積極的に駆動力を伝達したくな
い。
【0015】そこで、センターディファレンシャル装置
に設けるこの種のカップリング装置は、第1及び第2の
伝達部材間の相対回転方向に応じて異なる動力伝達特性
を備えなければならない。従って、本発明の目的は第1
及び第2の伝達部材間の相対回転方向に応じて動力伝達
特性を異ならせることができるように、上述した従来の
カップリング装置を改良することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、共
通の回転軸線の回りに相対回転可能に配置された第1及
び第2の伝達部材と、これら第1及び第2の伝達部材の
相対回転時にこれら伝達部材間に差動制限作用を生成す
るべく、前記第1及び第2の伝達部材で画成された環状
作動室内に充填された高粘性流体と、前記環状作動室内
に配置されて該環状作動室を軸線方向で第1及び第2の
作動室に仕切り、一方の周面が前記第1の伝達部材に対
して相対回転不能、且つ前記環状作動室内で軸線方向に
摺動可能に係合されると共に、他方の周面が前記第2の
伝達部材の相手面に密に当接された環状ピストンと、前
記環状ピストンの他方の周面と前記第2の伝達部材の相
手周面との間で回転軸線を中心に螺旋状に延び、前記第
1の作動室と前記第2の作動室を相互に連絡する少なく
とも1つの剪断通路と、前記環状ピストンにより仕切ら
れた前記第1の作動室に連通するように設けられた可変
容積室とを備え、前記環状ピストンの端面が、前記第2
の伝達部材によって形成された前記環状作動室の端面内
壁で少なくとも間接的に支えられて制動力を生成するよ
うに構成されたカップリング装置により達成される。
【0017】上記構成によれば、第1及び第2の伝達部
材が正方向に相対回転すると、剪断通路内の高粘性流体
が環状ピストン又は第2の伝達部材と連れ回りして剪断
通路内を進行し、第1の作動室から第2の作動室に向か
って環状作動室内の高粘性流体が移動する。すると、前
記環状ピストンは、高粘性流体が流入して内部圧力が高
くなった第2の作動室側からの押圧力を受けて、第1の
作動室側に向かって回転軸線に沿って変位する。
【0018】そこで、第1の作動室側に環状ピストンが
変位すると、該環状ピストンの端面が第1の作動室の端
面内壁で少なくとも間接的に支えられて制動力を生成す
る。一方、相対回転により内部圧力が高くなった第2の
作動室では、高粘性流体の粘性抵抗が強まる。これによ
り、第1の作動室内における環状ピストンの端面と環状
作動室の端面内壁との間では少なくとも間接的に摩擦力
が生じ、第2の作動室内では強い粘性抵抗が生じるの
で、第1及び第2の伝達部材間ではより大きな回転トル
クを伝達することができる。
【0019】これに対し、第1及び第2の伝達部材が逆
方向に相対回転した場合には、剪断通路内の高粘性流体
が環状ピストン又は第2の伝達部材と連れ回りして剪断
通路内を進行し、第2の作動室から第1の作動室に向か
って環状作動室内の高粘性流体が移動する。しかしなが
ら、第1の作動室に流入した高粘性流体は、該第1の作
動室に連通した可変容積室に流出するので、該第1の作
動室内の内部圧力は上昇せず、環状ピストンを第1の作
動室側から第2の作動室側に向かって回転軸線に沿って
変位させる押圧力が第1の作動室には生じない。一方、
相対回転により内部圧力が高くならない第1の作動室で
は、高粘性流体の粘性抵抗も強まらない。
【0020】そこで、環状ピストンの端面が第2の作動
室の端面内壁で少なくとも間接的に支えられて生成され
る制動力は、高粘性流体が流出することによって生じる
該第2の作動室内の内部圧力の負圧力によるものだけで
ある。従って、第1及び第2の伝達部材が逆方向に相対
回転することにより、第2の作動室内における環状ピス
トンの端面と環状作動室の端面内壁との間で生じる摩擦
力は、第1及び第2の伝達部材が正方向に相対回転する
ことにより、第1の作動室内における環状ピストンの端
面と環状作動室の端面内壁との間で生じる摩擦力に比べ
て小さく成り、第1及び第2の伝達部材間の相対回転方
向によって、その動力伝達特性が異なったものとなる。
【0021】尚、好ましくは前記環状ピストンの各端面
と前記環状作動室の各端面内壁との間には、前記第1の
伝達部材と相対回転不能、且つ前記環状作動室内で回転
軸線方向に摺動可能に係合された第1のプレートと、該
第1のプレートと交互に配置されて前記第2の伝達部材
と相対回転不能、且つ前記環状作動室内で回転軸線方向
に摺動可能に係合された第2のプレートとが配設され
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る一実施形態の
カップリング装置を、図1乃至図6を参照して詳細に説
明する。ここで、図1は本発明の一実施形態に係るカッ
プリング装置の全体縦断面図、図2乃至図5は図1に示
したカップリング装置の作動を説明する半断面図、図6
は図1に示したカップリング装置の動力伝達特性を示す
線図である。但し、図2乃至図5においては、カップリ
ング装置の動作の理解を容易とする為、各部の動作を誇
張して図示している。
【0023】本実施形態のカップリング装置100は、
車両の前後車軸に駆動力を分配するセンターディファレ
ンシャル装置に取り付けられて前車軸駆動軸と後車軸駆
動軸との差動を制限するために用いられるものであり、
図1に示したように、共通の回転軸線Cの回りに相対回
転可能に配置された第1及び第2の伝達部材10,20
が、高粘性流体を充填する環状作動室30を画成してい
る。
【0024】前記第1の伝達部材10は円筒状の部材
で、その内周面に形成された雌スプライン11に図示さ
れない前車軸駆動軸がスプライン係合し、一体に回転す
るようになっている。また、その両端部にそれぞれ取り
付けられたニードルローラベアリング12,12が、第
1及び第2の伝達部材10,20間の滑らかな相対回転
を可能としている。
【0025】更に、第1及び第2の伝達部材10,20
間には、一対のシール部材13,13が介装されて前記
環状作動室30からの高粘性流体の漏出を防止するとと
もに、一対のワッシャ14,14が介装されて両伝達部
材10,20の直接接触による摩耗を防止している。ま
た、この第1の伝達部材10の外周面で前記環状作動室
30に臨む部分には,後述するインナプレート61の内
周端部が係合する雄スプライン15が形成されている。
【0026】前記第2の伝達部材20は、大径の円筒部
材21の両端部にそれぞれ鍔部材22,23を取り付け
た構造を有し、図示右側の鍔部材22に図示されない後
車軸駆動軸がフランジ結合されて一体に回転するように
なっている。また、前記鍔部材22に貫設されて作動室
30と連通する高粘性流体注入孔は、プラグ90によっ
て閉塞されて環状作動室30内に100%充填した高粘
性流体を封止している。
【0027】また、図示左側の鍔部材23には、後述す
る可変容積室33と連通する複数の連通孔26が貫設さ
れている。更に、前記円筒部材21の内周面には、後述
するアウタプレート71の外周端部が係合する雌スプラ
イン27が形成されている。
【0028】一方、前記環状作動室30を軸線方向で第
1及び第2の作動室31,32に仕切る環状ピストン4
0は、図2に示したように、内側円筒部分41と外側円
筒部分42とを半径方向に延びる縦壁43で接続した断
面形状H形の環状部材である。そして、前記環状ピスト
ン40は、内側円筒部分41の内周面に形成した雌スプ
ラインが第1の伝達部材10の雄スプライン15と係合
して相対回転不能、且つ前記環状作動室30内で軸線方
向に摺動可能に該第1の伝達部材10に対して係合され
る。
【0029】また、前記内側円筒部分41の内周面に
は、第1の伝達部材10の外周面に沿って凹設した溝1
6内に収納されたシール部材17が密着し、環状作動室
30内に封入した高粘性流体が、雌雄のスプラインの間
の隙間を通って第1及び第2の作動室31,32間で容
易に移動しないように封止している。更に、第2の伝達
部材20の円筒部材21の内周面には、前記環状ピスト
ン40の外周面に密に当接して摺動自在に嵌合する環状
部材50が配置されている。この環状部材50は、その
外周面に形成された雄スプラインが第2の伝達部材20
の内周面に形成された雌スプライン27と係合し、第2
の伝達部材20と一体に回転する。しかしながら、この
環状部材50は円筒部材21を貫通するボルト51によ
って、回転軸線C方向には変位できないように固定され
ている。
【0030】さらに、この環状部材50の内周面52に
は、回転軸線Cを中心に螺旋状に延びる凹溝が凹設され
ており、環状ピストン40の外周面との間で第1及び第
2の作動室31,32を相互に連絡する剪断通路53を
画成している。加えて、この環状部材50の外周面に
は、第2の伝達部材20の内周面に沿って凹設した溝2
4内に収納したシール部材25が密着し、環状作動室3
0内に封入した高粘性流体が、雌雄のスプラインの間の
隙間を通って第1及び第2の作動室31,32間で容易
に移動しないように封止している。
【0031】又、前記環状ピストン40の各端面と前記
環状作動室30の各端面内壁との間である第1及び第2
の作動室31,32内には、それぞれ第1のプレートと
しての複数枚のインナプレート61と、第2のプレート
としての複数枚のアウタプレート71とが交互に並ぶよ
うに配置されている。前記インナプレート61は、薄い
金属板を打ち抜いて環状に形成した部材であり、その内
周端縁に形成した雌スプラインが第1の伝達部材10の
雄スプライン15と係合し、第1の伝達部材10と相対
回転不能、且つ前記環状作動室30内で回転軸線C方向
に摺動可能とされている。
【0032】又、前記アウタプレート71は、薄い金属
板を打ち抜いて環状に形成した部材で、その外周端縁に
形成した雄スプラインが第2の伝達部材20の雌スプラ
イン27と係合し、第2の伝達部材20と相対回転不
能、且つ前記環状作動室30内で回転軸線C方向に摺動
可能とされている。なお、環状ピストン40の各端面に
当接するインナプレートは、厚い金属板から打ち抜き成
形された接触プレート62,62とされ、環状ピストン
40がアウタプレート71,71と摩擦接触して摩耗す
ることを防止している。
【0033】さらに、第2の伝達部材20の第1の作動
室31側の端部には、フリーピストン80がスライド自
在に外嵌し、前記連通孔26を介して第1の作動室31
と連通する可変容積室33を画成している。このフリー
ピストン80は、第2の伝達部材20の円筒部材21の
外周面にスライド自在に外嵌する円筒部分81と、この
円筒部分81の開口を閉塞するとともに第2の伝達部材
20の図示左側の鍔部材23とスライド自在に外嵌する
縦壁部分82とからなる断面L字形状の環状部材で、円
筒部材21および鍔部材23と摺動する部分にはシール
部材83,84がそれぞれ配置され、可変容積室33内
の高粘性流体が漏出しないように封止している。
【0034】また、第2の伝達部材20の鍔部材23に
は、サークリップ85が取り付けられ、フリーピストン
80が所定のストローク以上に第1の作動室31から離
間する方向にスライドできないようにしている。なお、
このフリーピストン80は、環状ピストン40が環状作
動室30内における回転軸線C方向のスライド範囲の中
央位置にあるときに、第1の作動室31に対して接近す
ることも離間することもできるように、その基準位置が
定められている。
【0035】次に、上述の構造を有する本実施形態のカ
ップリング装置100の作動について、図2乃至図6を
参照して説明する。先ず、このように構成されたカップ
リング装置100の第1及び第2の伝達部材10,20
が相対回転しない状態では、図2に示したように、環状
ピストン40は図示されないセンタリング手段、例えば
図7に示した従来のカップリング装置1と同様な左右一
対の皿ばねS等により、環状作動室30内において回転
軸線C方向のスライド範囲の中央位置にセンタリングさ
れている。
【0036】この状態では、インナプレート61とアウ
タプレート71との間に隙間が開いているため、第1及
び第2の伝達部材10,20が相対回転し始めると、両
プレート61,71間には粘性抵抗が生じ、第1及び第
2の伝達部材10,20間に差動制限トルクが生じる。
この粘性抵抗に起因する差動制限トルクは、従来のビス
カスカップリングのそれと同様であり、図8中に符号D
で示したように、正逆回転方向に関わらず第1及び第2
の伝達部材10,20間の相対回転数ΔNが増加するに
つれて徐々に増加する。
【0037】一方、第1及び第2の伝達部材10,20
が相対回転する状態では、環状ピストン40の外周面4
4と環状部材50の内周面52とが相対変位する。する
と、環状部材50の内周面52に凹設した凹溝内の高粘
性流体が環状ピストン40の外周面44と連れ回りして
剪断通路53内を移動する。この時、剪断通路53は回
転軸線Cのまわりに螺旋状に延びるように形成されてい
るので、剪断通路53内の高粘性流体は該剪断通路53
内を移動するにつれて、回転軸線C方向に移動する。
【0038】これにより、第1及び第2の作動室31,
32内の高粘性流体は、第1及び第2の伝達部材10,
20間の相対回転方向に応じて、第1の作動室31から
第2の作動室32へ、若しくは第2の作動室32から第
1の作動室31に移動する。尚、本実施形態において
は、第1の作動室31から第2の作動室32へ高粘性流
体が移動する方向の相対回転が正方向の相対回転となる
ように、剪断通路53の螺旋方向が設定されている。
【0039】そこで、第1及び第2の伝達部材10,2
0が正方向に相対回転すると、第2の伝達部材20と一
体に回転する環状部材50の内周面52に凹設された凹
溝内の高粘性流体が環状ピストン40の外周面と連れ回
りして剪断通路53内を進行するため、図3中に矢印A
で示したように、第1の作動室31から第2の作動室3
2に向かって環状作動室30内の高粘性流体が移動す
る。
【0040】この時、第2の作動室32は閉塞した作動
室であるため、第1の作動室31内の高粘性流体が第2
の作動室32内へ移動すると、その内部の圧力が直ちに
上昇し、前記環状ピストン40は、図3中に矢印Bで示
したように、高粘性流体が流入して内部圧力が高くなっ
た第2の作動室32側からの押圧力を受けて、第1の作
動室31側へ回転軸線Cに沿って変位する。
【0041】そして、第1の作動室31側に環状ピスト
ン40が変位すると、該環状ピストン40の端面(図3
中、左側端面)が第1の作動室31内のインナプレート
61とアウタプレート71とを押圧し、これらインナプ
レート61及びアウタプレート71を相互に及び前記環
状作動室30の端面内壁(図3中、左側端面内壁)に摩
擦接触させる。即ち、環状ピストン40の端面が、前記
第2の伝達部材によって形成された環状作動室30の端
面内壁でインナプレート61及びアウタプレート71を
介して間接的に支えられて制動力を生成する。一方、相
対回転により内部圧力が高くなった第2の作動室32で
は、高粘性流体の粘性抵抗が強まる。
【0042】これにより、第1の作動室31内における
環状ピストン40の端面と環状作動室30の端面内壁と
の間ではインナプレート61及びアウタプレート71を
介して摩擦力が生じ、第2の作動室32内におけるイン
ナプレート61とアウタプレート71の間では強い粘性
抵抗が生じるので、第1及び第2の伝達部材10,20
間ではより大きな回転トルクを伝達することができる。
【0043】更に、第1の作動室31内の高粘性流体が
第2の作動室32内に移動するにつれて、可変容積室3
3内の高粘性流体が連通孔26を介して第1の作動室3
1内に流入するため、図4に示したように、フリーピス
トン80はスライドして第1の作動室31に接近する。
そこで、可変容積室33から第1の作動室31内に供給
された高粘性流体は、効率よく第2の作動室32内に送
り込まれ、第2の作動室32の内部圧力を効率よく上昇
させることができるため、図6中に符号Eで示したよう
に、第1及び第2の伝達部材10,20間の相対回転数
ΔNの増加に対する差動制限トルクの増加率を充分に高
く設定することができる。
【0044】従って、上述したカップリング装置100
の動力伝達特性は、図6に示したように、第1及び第2
の伝達部材10,20間の相対回転数ΔNが小さい範囲
では、インナプレート61とアウタプレート71との間
に生じる粘性抵抗によって回転トルクTを伝達するた
め、これら第1及び第2の伝達部材10,20間で伝達
可能な回転トルクは、符号Dで示すように従来のビスカ
スカップリングと同様である。
【0045】これに対して、第1及び第2の伝達部材1
0,20間の正方向の相対回転数ΔNが大きい範囲で
は、第1の作動室31内における摩擦力と第2の作動室
32内における強い粘性抵抗とが作用することによっ
て、従来のビスカスカップリングにおける回転トルク
D’に比べ、符号Eで示したような充分に大きな回転ト
ルクを伝達することができる。
【0046】他方、第1及び第2の伝達部材10,20
が逆方向に相対回転すると、第2の伝達部材20と一体
に回転する環状部材50の内周面52に凹設された凹溝
内の高粘性流体が環状ピストン40の外周面と連れ回り
して剪断通路53内を進行するため、図5中に矢印Fで
示したように、第2の作動室32から第1の作動室31
に向かって環状作動室30内の高粘性流体が移動する。
【0047】しかしながら、第1の作動室31に流入し
た高粘性流体は、該第1の作動室31に連通した可変容
積室33に流出し、図5中に矢印Hで示したようにフリ
ーピストン80を第1の作動室31から離間する側にス
ライドさせる。そこで、前記第1の作動室31内の内部
圧力は上昇せず、環状ピストン40を第1の作動室31
側から第2の作動室32側に向かって回転軸線Cに沿っ
て変位させる押圧力が第1の作動室31には生じない。
一方、相対回転により内部圧力が高くならない第1の作
動室31では、高粘性流体の粘性抵抗も強まらない。
【0048】即ち、環状ピストン40の端面(図5中、
右側端面)が、図5中に矢印Gで示したように第2の作
動室32内のインナプレート61とアウタプレート71
とを押圧し、これらインナプレート61及びアウタプレ
ート71を相互に及び前記環状作動室30の端面内壁
(図3中、右側端面内壁)に摩擦接触させて生成される
制動力は、高粘性流体が流出することによって生じる該
第2の作動室32内の内部圧力の負圧力によるものだけ
である。
【0049】従って、第1及び第2の伝達部材10,2
0が逆方向に相対回転することにより、第2の作動室3
2内における環状ピストン40の端面と環状作動室30
の端面内壁との間で生じる摩擦力は、第1及び第2の伝
達部材10,20が正方向に相対回転することにより、
第1の作動室31内における環状ピストン40の端面と
環状作動室30の端面内壁との間で生じる摩擦力に比べ
て小さく成り、第1及び第2の伝達部材10,20間の
相対回転方向によって、その動力伝達特性が異なったも
のとなる。
【0050】即ち、第1及び第2の伝達部材10,20
間の逆方向の相対回転数ΔNが大きい範囲では、第2の
作動室32内における摩擦力が作用することによって、
図6中に符号D’で示した従来のビスカスカップリング
における相対回転数ΔNの増加に対する差動制限トルク
Tの増加率に比べれば大きいが、正方向の相対回転時に
おける符号Eで示した差動制限トルクTの増加率に比べ
れば小さい符号E’で示したような差動制限トルク特性
に設定される。
【0051】従って、本実施形態のカップリング装置1
00によれば、第1及び第2の伝達部材10,20間の
相対回転方向に応じて、第1及び第2の伝達部材10,
20間の相対回転数ΔNに対する差動制限トルクTの大
きさ、すなわちカップリング装置100の動力伝達特性
を異ならせることができる。さらに、第1の作動室31
に連通する可変容積室33を形成するフリーピストン8
0は、これら第1及び第2の作動室31,32、及び可
変容積室33内に100%充填された高粘性流体の温度
依存性を補償することができるので、図7に示した従来
のカップリング装置1のように、ピストン4に補償ピス
トン9,9を設ける必要がない。これにより、補償ピス
トン9,9を不要として構造を簡単なものとしつつ製造
コストを低減させることができると共に、環状ピストン
を押圧すべくそれぞれ第1及び第2の作動室内で生じた
内部圧力が補償ピストン9を押し込むことによって消費
されるロスを防止できる。
【0052】尚、上記実施形態においては、環状ピスト
ン40の各端面と環状作動室30の各端面内壁との間
に、インナプレート61及びアウタプレート71を配設
したが、本発明はこれに限定されるものではなく、環状
ピストン40の各端面が、前記第2の伝達部材20によ
って形成された環状作動室40の端面内壁で少なくとも
間接的に支えられて制動力を生成するように構成されて
いれば良い。そこで、例えば環状ピストン40の各端面
を摩擦ライニングで覆うことにより、インナプレート6
1及びアウタプレート71を省略することもできる。
【0053】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のカップリング装置は、第1及び第2の伝達部材が逆方
向に相対回転した場合には、第2の作動室から第1の作
動室に向かって環状作動室内の高粘性流体が移動する。
しかしながら、第1の作動室に流入した高粘性流体は、
該第1の作動室に連通した可変容積室に流出するので、
該第1の作動室内の内部圧力は上昇せず、環状ピストン
を第1の作動室側から第2の作動室側に向かって回転軸
線に沿って変位させる押圧力が第1の作動室には生じな
い。一方、相対回転により内部圧力が高くならない第1
の作動室では、高粘性流体の粘性抵抗も強まらない。
【0054】そこで、環状ピストンの端面が第2の作動
室の端面内壁で少なくとも間接的に支えられて生成され
る制動力は、高粘性流体が流出することによって生じる
該第2の作動室内の内部圧力の負圧力によるものだけで
ある。従って、第1及び第2の伝達部材が逆方向に相対
回転することにより、第2の作動室内における環状ピス
トンの端面と環状作動室の端面内壁との間で生じる摩擦
力は、第1及び第2の伝達部材が正方向に相対回転する
ことにより、第1の作動室内における環状ピストンの端
面と環状作動室の端面内壁との間で生じる摩擦力に比べ
て小さく成る。即ち、本発明のカップリング装置は、第
1及び第2の伝達部材間の相対回転方向によって、その
動力伝達特性を異なったものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るカップリング装置の
全体縦断面図である。
【図2】図1に示したカップリング装置の作動を説明す
る半断面図である。
【図3】図1に示したカップリング装置の作動を説明す
る半断面図である。
【図4】図1に示したカップリング装置の作動を説明す
る半断面図である。
【図5】図1に示したカップリング装置の作動を説明す
る半断面図である。
【図6】図1に示したカップリング装置の動力伝達特性
を示す線図である。
【図7】従来のカップリング装置の半断面図である。
【図8】図7に示したカップリング装置の動力伝達特性
を示す線図である。
【符号の説明】
10 第1の伝達部材 11 雌スプライン 15 雄スプライン 20 第2の伝達部材 26 連通孔 27 雌スプライン 30 環状作動室 31 第1の作動室 32 第2の作動室 33 可変容積室 40 環状ピストン 44 外周面 50 環状部材 52 内周面 53 剪断通路 61 インナプレート 71 アウタプレート 80 フリーピストン 100 カップリング装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共通の回転軸線の回りに相対回転可能に
    配置された第1及び第2の伝達部材と、 これら第1及び第2の伝達部材の相対回転時にこれら伝
    達部材間に差動制限作用を生成するべく、前記第1及び
    第2の伝達部材で画成された環状作動室内に充填された
    高粘性流体と、 前記環状作動室内に配置されて該環状作動室を軸線方向
    で第1及び第2の作動室に仕切り、一方の周面が前記第
    1の伝達部材に対して相対回転不能、且つ前記環状作動
    室内で軸線方向に摺動可能に係合されると共に、他方の
    周面が前記第2の伝達部材の相手面に密に当接された環
    状ピストンと、 前記環状ピストンの他方の周面と前記第2の伝達部材の
    相手周面との間で回転軸線を中心に螺旋状に延び、前記
    第1の作動室と前記第2の作動室を相互に連絡する少な
    くとも1つの剪断通路と、 前記環状ピストンにより仕切られた前記第1の作動室に
    連通するように設けられた可変容積室とを備え、 前記環状ピストンの端面が、前記第2の伝達部材によっ
    て形成された前記環状作動室の端面内壁で少なくとも間
    接的に支えられて制動力を生成するように構成されたカ
    ップリング装置。
  2. 【請求項2】 前記環状ピストンの各端面と前記環状作
    動室の各端面内壁との間には、前記第1の伝達部材と相
    対回転不能、且つ前記環状作動室内で回転軸線方向に摺
    動可能に係合された第1のプレートと、該第1のプレー
    トと交互に配置されて前記第2の伝達部材と相対回転不
    能、且つ前記環状作動室内で回転軸線方向に摺動可能に
    係合された第2のプレートとが配設されていることを特
    徴とする請求項1に記載のカップリング装置。
JP11034443A 1999-02-12 1999-02-12 カップリング装置 Pending JP2000230580A (ja)

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