JP2885486B2 - 四輪駆動車用駆動力伝達装置 - Google Patents

四輪駆動車用駆動力伝達装置

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JP2885486B2 JP19111490A JP19111490A JP2885486B2 JP 2885486 B2 JP2885486 B2 JP 2885486B2 JP 19111490 A JP19111490 A JP 19111490A JP 19111490 A JP19111490 A JP 19111490A JP 2885486 B2 JP2885486 B2 JP 2885486B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、四輪駆動車用の入力軸と出力軸との間に
介在して、駆動力を伝達する四輪駆動車用駆動力伝達装
置に関する。
<従来の技術> 四輪駆動車は、悪路走破性に優れているだけでなく、
一般道においても加速性や走行安定性に優れていること
から、近年、急速に普及してきている。
この四輪駆動車において、従来、善隣の駆動軸と後輪
の駆動軸とをリジッドに結合したものがあった。しか
し、これでは、旋回走行時における前輪と後輪との旋回
半径の相違により、前輪の回転数と後輪の回転数に差異
を生じた場合、推進軸に捩じりを生じると共に、旋回半
径の小さな後輪がすべりを生じた状態で引きずられて車
両にがたつきを生じる、いわゆるタイトコーナブレーキ
ング現象が発生するという難点があった。そこで、現在
の四輪駆動車においては、上記のタイトコーナブレーキ
ング現象等を防止するために、両駆動軸間に、両駆動軸
間の回転数差を許容することのできる駆動力伝達装置を
介在している。
上記の駆動力伝達装置として、いわゆるビスカス・カ
ップリング、およびベーンポンプ等を用いた差動ポンプ
型の装置が提供されている。
上記ビスカス・カップリングは、駆動軸のうちの一方
と共に回転する多数枚のインナープレートと、他方と共
に回転するアウタプレートとを近接状態で交互に配設し
ており、両プレートを、その間に非常に粘性の高いオイ
ルを介在させた状態で密閉している。通常状態では、イ
ンナプレートとアウタプレートとが、両者間に介在する
オイルとの間の流体摩擦力によって互いに結合され、ト
ルクが伝達されている。そして、上記両者間の回転数差
が大きくなると、オイルが撹拌されて熱膨張を起こすこ
とにより、両プレートが圧接されて、両駆動軸が直結状
態となり、伝達トルクを急激に上昇させる(ハンプ現
象)。
一方、上記差動ポンプ型の装置は、両駆動軸の何れか
一方と共に回転するベーン付きのロータを、該ロータと
同軸上において、他方と共に回転するケーシングのカム
リング内に配設することにより、ベーンポンプを構成し
ている。そして、上記ロータとカムリングとが、両者間
に介在する圧油を介して結合され、両駆動軸間にトルク
が伝達される。この伝達トルクは、原理的には、ベーン
ポンプによる発生圧力が高いほど、すなわち両駆動軸間
の回転数差が大きいほど大きい。
<発明が解決しようとする課題> ビスカス・カップリングにおいては、上記のように直
結状態を実現できるので、例えばデファレンシャル内に
組み込んで、所要時に左右輪を直結させるリミテッド・
スリップド・デフとしての使用が可能であるという利点
はある。しかし、ハンプ現象発生時の爆発的な内圧上昇
によってシールが破損したり、プレート間のオイルが剪
断によって劣化したり等、耐久性の点で問題があった。
一方、差動ポンプ型の装置においては、オイルの剪断
力ではなく内圧力によって駆動を伝えるので、オイルが
劣化し難く耐久性に優れているという利点はある。しか
し、発生圧力が高くなると、カムリングの両端面に配置
されたベーンポンプの圧力室を構成するサイドプレート
が変形してロータとサイドプレートとの間の隙間が大き
くなるといった現象が生じ、これにより、発生圧力の上
昇が抑制されてしまい、両駆動軸間の回転数差の上昇に
対して、伝達トルクの十分な上昇が得られないという難
点があった。この難点を解消するために、サイドプレー
トの肉厚を厚くして剛性を高くすることも考えられる
が、スペース上の点で困難な場合があった。
そこで、上記両方式の問題点を一挙に解決するべく、
上記差動ポンプ型の装置に隣接して多板クラッチを組み
込み、両駆動軸間の回転数差の増大時(すなわち、差動
ポンプによる伝達トルクの増大時)にカム機構によって
多板クラッチを押圧して圧接させることにより、両駆動
軸を直結するようにした駆動力伝達装置が提案されてい
る(例えば特願平2−61737号参照)。
ところで、上記のタイトコーナブレーキング現象を防
止して、低速走行での急旋回をスムーズに行わせるに
は、低回転域で、両駆動軸間の回転数差を許容して両駆
動軸間の伝達トルクが小さいことが望ましい。
ところが、上記の駆動力伝達装置にあっては、差動ポ
ンプ及び多板クラッチの両者が、直接接触していたの
で、両者間の相対回転によって、両者の接触面どうしの
間に大きなすべり摩擦力が生じており、両駆動軸が直結
されるまでは、この摩擦力を介した摩擦トルクが、常
に、両駆動軸間に伝達されている。
特に、低速回転域での両駆動軸間の伝達トルクは、も
ともとレベル的に小さいので、上記摩擦トルクの付加に
よって、大幅に増加し、低速性走行時の急旋回をスムー
ズに行わせることができなかった。
この発明は、耐久性に優れ且つ所要時に伝達トルクを
急激に増大させることができ、しかも、低速回転域での
伝達トルクが小さく車両の低速急旋回をスムーズに行わ
せる四輪駆動車用駆動力伝達装置を提供することを目的
とする。
<課題を解決するための手段> 上記目的を達成するため、この発明に係る四輪駆動車
用駆動力伝達装置は、一対の駆動軸のうちの一方の駆動
軸に連動回転するハウジングと、他方の駆動軸に連動回
転し、ハウジングに対して相対回転自在な回転軸と、ハ
ウジング及び回転軸の両者の間に介在すると共に、回転
軸の軸方向に移動自在に配置され、且つ上記両者間の回
転数差に応じて発生させた油圧によって上記両者間のト
ルク伝達を行う差動ポンプと、上記両者間に介在すると
共に差動ポンプに隣接配置され、且つ該差動ポンプによ
り押圧されることにより摩擦係合し、上記両者間のトル
ク伝達を行う多板クラッチと、上記差動ポンプ及びハウ
ジングを一体回転可能に連結し、差動ポンプによる伝達
トルクの増大に伴って差動ポンプを多板クラッチ側へ圧
接させるカム機構とを備え、多板クラッチと差動ポンプ
との間に、当該多板クラッチと差動ポンプとの相対回転
による摩擦を低減するスラスト軸受を介在していること
を特徴とするものである。
また、上記カム機構が、ハウジング及びベーンポンプ
にそれぞれ取り外し可能に取り付けられた一対のカム部
材を有しているものであれば望ましい。
<作用> 上記の構成の四輪駆動車用駆動力伝達装置によれば、
ハウジングおよび回転軸の両者間の回転数差が所定未満
では、差動ポンプによって、両者間のトルク伝達が行わ
れている。そして、上記回転数差が所定よりも大きくな
ると、カム機構が、差動ポンプを移動させて多板クラッ
チを直結状態とすることにより、多板クラッチをしてト
ルクを伝達し、伝達トルクを急激に増大させることがで
きる。このトルクの増大は、カム機構によって機械的に
行われ、ビスカス・カップリングのような爆発的な内厚
上昇によって行われるものではない。
また、多板クラッチ及び差動ポンプの両者間に、スラ
スト軸受を介在しているので、当該スラスト軸受によっ
て、上記両者の相対回転による両者間のすべり摩擦力の
発生を抑えることができ、摩擦トルクの付加による両駆
動軸間の伝達トルクを、特に低速回転域において、大幅
に低減することができる。
さらに、カム機構が取り外し可能な一対のカム部材を
有している場合には、これらのカム部材をハウジング及
びベーンポンプから取り外して、カム形状の異なる他の
仕様のものと交換することにより、差動ポンプの多板ク
ラッチへの押圧力を可変することができ、これにより、
伝達トルクの立ち上がり特性を調整することができる。
<実施例> 以下実施例を示す添付図面によって詳細に説明する。
第1図は、この発明の一実施例としての四輪駆動車用
の駆動力伝達装置を示す断面図であり、同図において、
この駆動力伝達装置は、セレーション部などの連結手段
および差動機構を介して左側前輪駆動軸(図示せず)と
連動回転するハウジング1と、このハウジング1に対し
て相対回転自在であって、セレーション等の連結手段に
よって右側前輪駆動軸と連動回転する中空の回転軸2
と、ハウジング1と回転軸2との間にそれぞれ介在し
た、差動ポンプとしてのページポンプ3および多板クラ
ッチ4と、所要時に多板クラッチ4を直結させるカム機
構5と、ベーンポンプ3と多板クラッチ4との間に介在
したスラスト軸受20を有している。
ハウジング1は、ボルト1aによってシール部材(図示
せず)を介して連結された第1ハウジング11と第2ハウ
ジング12とからなり、当該ハウジング1には、トランス
ミッションからギア部11aを介して駆動力が伝達され
る。第1ハウジング11の軸挿通孔11cには、回転軸2
が、摺動回転自在に貫通され、この回転軸2の先端部2a
は、第2ハウジング12のボス部12aを、摺動回転自在に
内嵌させている。そして、これら第1ハウジング11、第
2ハウジング12および回転軸2によって、ベーンポンプ
3および多板クラッチ4を収容した収容部8が形成され
ている。
この収容部8は、回転軸2と第1ハウジング11との間
に介在させたシール61、回転軸2と第2ハウジング12と
の間に介在させたシール62、及び第1ハウジング11と第
2ハウジング12との間に介在させたシール63によって、
密封されている。収容部8内には、多板クラッチ4を潤
滑し、かつベーンポンプ3によるトルク伝達の媒体とな
るオイルが充填されている。
スラスト軸受20は、ベーンポンプ3のサイドプレート
9の凹部9aに嵌合されたフランジ付ワッシャ20a、及び
保持器20bによって、複数のニードル20cを保持したニー
ドルベアリングであり、サイドプレート9からの押圧に
よるスラスト荷重を多板クラッチ4の作動部材43へ伝達
しつつ、作動部材43とサイドプレート9との相対回転を
円滑に行わせる。
第1図、および内圧発生の原理を示す第3図並びに第
4図を参照して、ベーンポンプ3は、ロータ31と、この
ロータ31を内包すると共に、一対のサイドプレート9,10
によって挟持されて、ロータ31との間に複数のポンプ室
を形成したカムリング32と、ロータ31の外周の溝から突
出し、コイルばね33によってカムリング32の内面に押圧
され、上記ポンプ室を作動室A,Bに仕切る複数のベーン3
4と、作動室A,Bに対応するボール弁等からなる複数対の
チェック弁35,36とにより主要部が構成されている。
チェック弁35は、ロータ31の本体に設けた吐出孔31a
の途中部に配置されており、ポンプ室からの圧油の流出
のみを規制している。この吐出孔31aは、ロータ31の本
体の外周面上に互いに相隣接するベーン34の装着位置間
にて開口し、半径方向に所定の深さを有し、その底部
が、ロータ31の本体を軸方向に各別の導油孔31bにより
ロータ31の本体の側面に形成された環状溝31cに連通さ
れている。チェック弁36は、ロータ31に内蔵されてお
り、収容部8からのポンプ室へのオイルの流入のみを許
容する。なお、第3図および第4図において、コイルば
ね33は図示を省略してある。
ロータ31は、回転軸2を介して右側前輪駆動軸に一体
回転可能にスプライン結合されていると共に、回転軸2
の軸方向に移動自在である。カムリング32、サイドプレ
ート9,10は、ボルト37によって一体回転可能に連結され
ている。
サイドプレート10と第1ハウジング11との間には、サ
イドプレート10と第1ハウジング11との相対回転を規制
し、且つベーンポンプ3による伝達トルクの増大時に、
サイドプレート10を多板クラッチ4側へ押圧る上記カム
機構5が、介在している。
カムリング32は、ハウジング1及びカム機構5を介し
て左側前輪駆動軸と一体回転する。ベーン34には、第3
図に示すように、当該ベーン34によって仕切られた作動
室Aと作動室Bとの間のオイルの流通を許容するオリフ
ィス34aが設けられている。サイドプレート9と回転軸
2との間、およびサイドプレート10と回転軸2との間
は、シール64,65によって液密状態を保ちながら相対移
動可能なようになされている。
ベーンポンプ3の働きについて説明する。例えば、右
側前輪がスリップして右側前輪駆動軸が左側前輪駆動軸
よりも早く回転した場合、ロータ31が、カムリング32に
対して第3図に示すように相対的に時計周りに回転し
て、ベーン34が作動室Aの方向に進んでいく。このと
き、ベーン34に設けられたオリフィス34aが小径のた
め、オイルは作動室Aから作動室Bに流出抵抗をもって
移動する。また、作動室Aのオイルは、オイルが溜めら
れている収容部8へ流れ込もうとするが、これはチェッ
ク弁36により阻止される。その結果、作動室A内に高圧
力が発生し、この高圧力は、ベーン34とカムリング32で
囲まれた作動室Aに、ピストン圧として作用し、トルク
伝達媒体となって、ロータ31からカムリング32へトルク
が伝達される。すなわち、スリップした側の右側前輪駆
動軸から、スリップしていない側の左側前輪駆動軸へ、
トルクが伝達され、自動的にトルク配分が行われて、路
面に対するグリップ力が確保される。
なお、上記の圧力は、ロータ31とカムリング32との間
の回転数差が大きいほど大きく、右側前輪駆動軸が左側
前輪駆動軸との間には、両者間の回転数差に応じたトル
クが伝達される。また、作動室Aのオイルは、当該作動
室Aの側面側へ多少漏れ出すが、この漏れ出したオイル
と同量のオイルが、収容部8から作動室Bへ補給され
る。
第4図は、左側前輪がスリップして左側前輪駆動軸が
右側前輪駆動時よりも早く回転した場合に、カムリング
32が、ロータ31に対して相対的に時計周りに回転する状
態を示している。この場合、ベーン34が作動室Bの方向
に進んでいくので、作動室B内に高圧力が発生し、この
高圧力を介して、左側前輪駆動軸から右側前輪駆動軸へ
トルクが伝達される。なお、チェック弁35は閉じてお
り、チェック弁36は開放して当該チェック弁36を介して
収容部8から作動室Aへオイルが供給されている。
多板クラッチ4は、第1ハウジングにスプライン結合
された複数のアウタプレート41と、回転軸2の先端部2a
にスプライン結合され且つ軸方向に移動自在な上記作動
部材43と、この作動部材43にスプライン結合され、上記
アウタプレート41に交互に組み合わされたインナプレー
ト42と、第2ハウジング12と作動部材43との間に介在
し、両プレート41,42が離反する方向に付勢する皿ばね4
4とを有している。
第1図を参照して、カム機構5は、ボルト53によって
サイドプレート10の側面に固定されたカム部材51と、ボ
ルト54によって第1ハウジング11の内側面に固定され、
上記カム部材51に組み合わされたカム部材52とからな
り、何れのカム部材51,52も、ボルト53,54を緩めて他の
仕様のものと交換できるようにしてある。
第5図ないし第8図を参照して、カム部材51は、円周
上に沿って波形に凹入形成されたカム部51aを有してお
り、このカム部51aは、当該カム部51aと同様の波形に突
出形成された、カム部材52のカム部52aに係合されてい
る。このカム機構5には、作動部材43、スラスト軸受20
及びベーンポンプ3を介して、皿ばね44による軸方向の
付勢力が働いているので、回転軸2とハウジング1との
回転数差が小さい状態では、上記付勢力によってカム部
51aおよびカム部52aは、第7図に示すように組み合わさ
れている。そして、カム部51aおよびカム部52aは、上記
回転数差が所定以上となって、第8図に示すように、回
転方向に相対的なずれを生じることにより、両者間の横
方向の距離を遠ざけ、皿ばね44に抗して、ベーンポンプ
3を多板クラッチ4側に押圧する。なお、第5図及び第
6図において、51b,52bはボルト取付孔であり、51c,52c
は、ボルト座部である。
この実施例によれば、左側前輪駆動軸および右側前輪
駆動軸の両者間の、すなわち、ハウジング1と回転軸2
との間の回転数差が小さい状態では、ベーンポンプ3に
よって、両者間のトルク伝達が行われている。そして、
上記回転数差が所定よりも大きくなると、カム機構5
が、ベーンポンプ3を多板クラッチ4側へ移動させ、サ
イドプレート9によって多板クラッチ4のアウタプレー
ト41およびインナプレート42を圧接させて、左側前輪駆
動軸および右側前輪駆動軸を直結状態とすることができ
る。これにより、第9図に実線で示すように、回転数差
の増大に対して伝達トルクを比例的に立ち上がらせ、伝
達トルクを急激に増大させることができる。したがっ
て、リミテッド・スッリップド・デフとしても使用する
ことができる。
しかも、上記トルクの急激な増大は、カム機構5によ
って機械的に行うようにしており、ビスカス・カップリ
ングのような爆発的な内圧上昇によって行うものではな
いので、ビスカス・カップリングが有していた内圧上昇
に起因した耐久性の劣化という問題を解消することがで
きる。このように、ビスカス・カップリングおよび差動
ポンプ型の装置が有していた欠点を一挙に解決すること
ができる。
しかも、多板クラッチ4及びベーンポンプ3の両者間
に、スラスト軸受20を介在しているので、当該スラスト
軸受20によって、上記両者の相対回転による両者間のす
べり摩擦力の発生を抑えることができ、摩擦トルクの付
加による両駆動軸間の伝達トルクを、特に低速回転域に
おいて、(第9図において例えば一点鎖線から実線へ)
大幅に低減することができる。
さらに、カム機構5のカム部材51,52をサイドプレー
ト10及び第1ハウジング11から取り外して、カム形状の
異なる他の仕様のものと交換することにより、ベーンポ
ンプ3の多板クラッチ4への押圧力を可変することがで
き、これにより、伝達トルクの立ち上がり特性を、例え
ば第9図の破線に示すように調整することができる。な
お、皿ばね44の付勢力の調整によっても、上記の立ち上
がり特性を調整することができる。
さらに、ハウジング1の収容部8内に、ベーンポンプ
3および多板クラッチ4を一括して収容しており、収容
部8内に密封したオイルが、多板クラッチ4の各プレー
ト41,42間の潤滑に供されていると共に、ベーンポンプ
3内へ循環供給されているので、別途にオイルタンクを
設ける必要がなく、構造を簡素化することができる。
また、多板クラッチ4の、両プレート41,42を、ベー
ンポンプ3の外方位置に配置しているので、装置全体の
軸方向の寸法短くすることができる。
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものでは
なく、例えば、カム機構を、一対のカム部材の間に、ボ
ールを介在させたボールカム機構として構成することが
できる。
また、スラスト軸受として、スライドメタルを用いる
ことができる。
さらに、この駆動力伝達装置を、推進軸と後輪駆動軸
との間のトルク伝達に用いること、左側後輪駆動軸と右
側後輪駆動軸との間のトルク伝達に用いること等、この
発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すこ
とができる。
<発明の効果> 以上のように、この発明によれば、ハウジングおよび
回転軸の両者間の回転数差が所定未満では、差動ポンプ
によって、車両間のトルク伝達が行われているが、上記
回転数差が所定よりも大きくなると、カム機構が、差動
ポンプを移動させて多板クラッチを直結状態とすること
により、多板クラッチを介してトルクを伝達し、伝達ト
ルクを急激に増大させることができる。しかも、このト
ルクの増大は、カム機構によって機械的に行われ、ビス
カス・カップリングのような爆発的な内圧上昇によって
行われるものではないので、耐久性の劣化を招くことが
ない。
また、多板クラッチ及び差動ポンプの両者間に介在さ
せたスラスト軸受によって、上記両者の相対回転による
両者間のすべり摩擦力の発生を抑えることができ、摩擦
トルクの付加による両駆動軸間の伝達トルクを、特に低
速回転域において、大幅に低減することができ、低速走
行時の車両の急旋回をスムーズに行わせることができ
る。
さらに、カム機構が取り外し可能な一対のカム部材を
有している場合には、これらのカム部材をハウジング及
びベーンポンプから取り外して、カム形状の異なる他の
仕様のものと交換することにより、差動ポンプの多板ク
ラッチ側への押圧力を可変することができ、これによ
り、伝達トルクの立ち上がり特性を容易に調整すること
ができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例としての四輪駆動車用駆動
力伝達装置の断面図、 第2図はスラスト軸受を示す概略断面図、 第3図及び第4図はベーンポンプの働きをそれぞれ示す
概略断面図、 第5図及び第6図はカム部材の平面図、 第7図及び第8図はカム部材の係合状態を示す概略図、 第9図は回転数差と伝達トルクの関係を示す図である。 1……ハウジング、2……回転軸、 3……ベーンポンプ(差動ポンプ)、 4……多板クラッチ、5……カム機構、 51,52……カム部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16D 43/284 F16D 31/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の駆動軸のうちの一方の駆動軸に連動
    回転するハウジングと、 他方の駆動軸に連動回転し、ハウジングに対して相対回
    転自在な回転軸と、 ハウジング及び回転軸の両者の間に介在すると共に、回
    転軸の軸方向に移動自在に配置され、且つ上記両者間の
    回転数差に応じて発生させた油圧によって上記両者間の
    トルク伝達を行う差動ポンプと、 上記両者間に介在すると共に差動ポンプに隣接配置さ
    れ、且つ該差動ポンプにより押圧されることにより摩擦
    係合し、上記両者間のトルク伝達を行う多板クラッチ
    と、 上記差動ポンプ及びハウジングを一体回転可能に連結
    し、差動ポンプによる伝達トルクの増大に伴って差動ポ
    ンプを多板クラッチ側へ圧接させるカム機構とを備え、 多板クラッチと差動ポンプとの間に、当該多板クラッチ
    と差動ポンプとの相対回転による摩擦を低減するスラス
    ト軸受を介在していることを特徴とする四輪駆動車用駆
    動力伝達装置。
  2. 【請求項2】上記カム機構が、ハウジング及びベーンポ
    ンプにそれぞれ取り外し可能に取り付けられた一対のカ
    ム部材を有している上記請求項1記載の四輪駆動車用駆
    動力伝達装置。
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