JP2000226513A - 抗血栓性に優れた高分子組成物およびそれからなる医療用材料 - Google Patents

抗血栓性に優れた高分子組成物およびそれからなる医療用材料

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JP2000226513A
JP2000226513A JP11028748A JP2874899A JP2000226513A JP 2000226513 A JP2000226513 A JP 2000226513A JP 11028748 A JP11028748 A JP 11028748A JP 2874899 A JP2874899 A JP 2874899A JP 2000226513 A JP2000226513 A JP 2000226513A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアミドの抗血栓性を改善すること。 【解決手段】 ポリオキシアルキレン単位の含有量が重
量比で全体の10〜90重量%の範囲内である特定のポ
リアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共
重合体(A)1〜50重量部、及びポリアミド(B)9
9〜50重量部とから構成される高分子組成物であり、
血液と接触して使用されるための医療用材料の素材とし
て有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗血栓性に優れた高
分子組成物およびそれを用いた医療用材料に関する。さ
らに詳しくは特定のポリアルキルエーテル/ポリアルキ
ルエーテルスルホン共重合体とポリアミドとからなる抗
血栓性に優れた高分子組成物、およびそれを用いた、血
液と接触して使用するための医療用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成高分子材料は、人工臓器、カ
テーテルをはじめとする医療用材料に広く用いられてい
る。その代表的なものは、医療用高分子材料としてはポ
リエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリメタクリル酸
エステル及び含フッ素樹脂などの疎水性高分子や、ポリ
ビニルアルコール、ポリエーテルウレタン(セグメント
化ポリウレタン、SPU)、ポリ(メタクリル酸2ーヒ
ドロキシエチル)およびポリアクリルアミドなどの親水
性高分子である。これら従来の材料の大部分が、主にそ
の物理的、機械的特性に着目して使用されてきた中にお
いて、SPUに関しては、比較的抗血栓性に優れること
が知られている。中でもBiomerR、CardiothaneRなどは
人工心臓への応用が試みられているが、なお十分な効果
を得るには至らなかった(E.Nylas,R.C.Reinbach, J.B.
Caulfield,N.H.Buckley, W.G.Austen; J.Biomed.Mater.
Res.Symp.,3,129(1972)、L.P.Joyce,M.C.Devries,W.S.H
astings,D.B.Olsen,R.K.Jarvik,W.J.Kolff; Trans.ASAI
O, 29,81(1983))。
【0003】一方、医療技術の進歩に伴って、生体組織
や血液と材料が接触する機会はますます増加しており、
材料の生体親和性が大きな問題になってきている。中で
も蛋白質や血球などの生体成分が材料表面に吸着し、変
性することは、血栓形成、炎症反応などの、通常では認
められない悪影響を生体側に引き起こすばかりでなく、
材料の劣化にもつながり、医療用材料の根本的かつ緊急
に解決せねばならない重要な課題である。材料表面での
血液凝固の防止に関しては、従来ヘパリンに代表される
血液抗凝固剤の連続投与が行われてきたが、最近長期に
わたるヘパリン投与の影響が問題となってきており、特
に血液透析、血液濾過などの血液浄化をうける慢性腎不
全患者の血液透析療法に関して、抗凝固剤を必要としな
い血液接触材料の開発が強く望まれるようになってき
た。現在、日本における血液浄化法適用患者は10万人
を超える。
【0004】一方、これら医用材料の特性を損なわずに
補体活性化の抑制または抗血栓性を改善する方法も幾つ
か提案されている。例えばセルロースの補体活性化抑制
に関しては、第三級アミノ基を有する高分子の表面固
定、ポリエチレンオキシド鎖のような親水性高分子を表
面に共有結合によりグラフトしたりする方法等も報告さ
れ、ある程度の補体活性化抑制の効果は確認されている
が、血液凝固の抑制(抗血栓性)までは不十分であっ
た。またセルロース膜の抗血栓性の改善に関しては、膜
表面のヘパリン化(特開昭51−194号公報)、ある
いはプロスタグランジンE1ーセルロース誘導体吸着層
による表面修飾(特開昭54−77497号公報)によ
る抗血栓性付与が、また抗血栓性に優れたポリマーであ
る2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン(MP
C)をセルロース表面にグラフト重合、固定化する方法
(BIO INDUSTRY,8(6),412- 420(1991))あるいは化学修
飾したMPCグラフトセルロース誘導体の中空糸への固
定(特開平5−220218号公報および5−3458
02号公報)等が報告されている。しかし、生理活性物
質の低安定性の問題等、効果が十分でなかったり、また
は固定化方法の煩雑さによる高コスト化、均質な固定化
表層の獲得の困難さといった面で問題も多く、実用化さ
れていない。更に、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン等の合成高分子からなる素材では、再生セルロースに
比べ補体活性化抑制等の血液適合性に優れるといった報
告が近年なされているが、抗血栓性は不十分であり、抗
凝固剤の使用を低減するには至っていない。
【0005】一方、最近になり、再生セルロースに変わ
る透析用膜素材としてセルロースのエステル誘導体であ
るアセチル化されたセルロース・アセテートが主流に用
いられるようになり、実際その透析用中空糸膜が再生セ
ルロース膜をはるかに凌ぐ透析性能を示すことが報告さ
れている。しかしながら抗血栓性はなく、血液適合性は
不十分である。
【0006】その他前記のポリ塩化ビニル、ポリメタク
リル酸エステルといった疎水性高分子材料や、ポリビニ
ルアルコール、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル)などの親水性高分子材料は、いずれも機械的強度、
生体親和性等において満足できるものではない。更にBi
omerR、CardiothaneRなどセグメント化ポリウレタン
は、剛直な芳香族ウレタン結合部位と柔軟なポリエーテ
ル結合部位の間のミクロ相分離構造により血小板粘着が
抑制されるが、その効果は必ずしも十分ではない。特に
ウレタン結合やウレア結合のように水素結合性の部分構
造は、分子鎖の剛直性向上に寄与するものの、主鎖の極
性基間の相互作用が強いため、疎水性相互作用を軽減し
うる水分子の水和が阻害される。従って血中タンパクが
吸着した際にタンパクの変性を誘起、血小板粘着を促進
することが報告されている。そもそも一般に水酸基、ア
ミノ基といった極性部位は、血液接触時に補体活性化
(第二経路)を誘発し、フィブリン形成促進による血栓
形成の要因ともなる。
【0007】その他ポリエステル系ポリマーでは、PEO
(ポリエチレンオキシド)/PBT(ポリブチレンテレフタレ
ート)共重合体が、血液適合性に優れた生体適合ポリマー
として知られているが(特開昭60−238315号公
報)、これも高い加水分解性、およびそれに伴う低分子
溶出物の体内への漏洩など、化学的な安定性にかける欠
点があり、実用上問題が大きい。
【0008】一方、ポリマー表面を親水/疎水ミクロド
メイン構造とすることで血小板粘着を抑制して抗血栓性
を発現するという材料設計が、HEMA(2-hydroxyethylmet
hacrylate)-Styrene-HEMAブロック共重合体等で知られ
ている(C.Nojiri,T.Okano,D.Grainger,K.D.Park,S.Nak
ahama,K.Suzuki,S.W.Kim,Trans. ASAIO,33,596(198
7))が、これも高価格であり、また脆く、溶融成型、湿
式成型も困難であるなど実用上の問題が大きい。最近で
は表面エネルギーの小さな(疎水性の大きい)フルオロ
アルキル基等をミクロドメイン構造の疎水性ドメインに
適応することで、表面エネルギーの大きな親水性ドメイ
ンとの相分離状態を安定化し、より血液適合性を向上さ
せる試みがなされているが、なお加工性の問題は解決さ
れてない。先述の生体膜類似表面構造を有するMPC(2-me
thacryloyloxyethylphosphoryl choline)-BMA(buthylm
ethacrylate)共重合体が抗血栓性に優れることも示され
たが(K.Ishihara, R.Aragaki,T.Ueda,A.Watanabe,N.N
akabayashi,J.Biomed.Mater.Res.,24,1069(1990))、こ
れも成型加工性、価格等に問題がある。
【0009】ところで、ポリウレタン同様、分子骨格中
にアミノ基を有するポリアミドは、加工性、平滑性や機
械特性に優れ、上述した血液透析用の中空糸や血漿分離
用粘着カラムの基質、血管カニューレ、血液回路用コネ
クターなど、血液接触型の医用素材として幾つかのもの
が好適に用いられている。しかしながら骨格中のアミノ
基等の影響により血液適合性は低く、やはり血栓形成や
細胞粘着を抑制するには、アルブミン、ゼラチン等で表
面を被覆し更に血液をヘパリン処理する必要がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、コス
ト、成型性等の面で実用的であり、かつ抗血栓性を改善
させ、更に素材性能に優れたポリアミド組成物、及びこ
れからなる医療用抗血栓性高分子材料、ならびにそれを
用いた医療用素材を提供することにある。
【0011】ところで、ポリエーテル/ポリスルホン系
共重合体が優れた抗血栓性を有し、これを抗血栓性材料
として用いることは本発明者らによって提案されてい
る。従って、既存のポリアミドにかかるポリエーテル/
ポリスルホン系共重合体を何らかの方法で複合化するこ
とで、機械特性に優れ、かつその抗血栓性を向上できる
のではないかと考える。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、血液適合
性(特に抗血栓性)、生体安全性、経済性、溶剤溶解性
等を考慮し、ポリアミドの抗血栓性を改善することを検
討した。その結果、特定のポリアルキルエーテル/ポリ
アリールエーテルスルホン系共重合体を少量混合したポ
リアミド組成物は、これを溶融成型することにより得ら
れた膜表面に該共重合体が有効に偏析され、ポリアミド
に抗血栓性を付与できることを見出した。即ち、抗血栓
性に優れる、ソフトセグメントであるポリオキシアルキ
レングリコールとハード成分であるポリアリールエーテ
ルスルホンとの共重合体において、ポリオキシアルキレ
ングリコール単位数、疎水性であるハード成分の種類、
およびこれらの共重合組成の制御等を詳細に検討した結
果、適当な鎖長から成るポリオキシアルキレングリコー
ルとアリールエーテルスルホンモノマーから得られる、
ポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン
系共重合体をポリアミドに少量配合することにより、得
られるポリアミド組成物は溶融成型することで素材の機
械的特性を維持したまま、良好な抗血栓性を有するポリ
アミド組成物が得られることを見出し本発明を達成する
に至った。
【0013】すなわち、本発明は、下記式(1)〜
(3)
【0014】
【化2】 −(−Ar1−X−Ar2−O−)− ・・・(1) −(−Ar3−Y−Ar4−O−)− ・・・(2) −(−RO−)k− ・・・(3)
【0015】(ここで、Xは−SO2−であり、Ar1
よびAr2はそれぞれ独立に、核置換されていても良い
炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基であり、Ar
3及びAr4はそれぞれ独立に、核置換されていても良い
炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基であり、Yは
置換されていてもよい炭素数1〜13の2価の炭化水素
基、フッ化炭素基、ヘテロ原子またはヘテロ原子団であ
り、Rは炭素数2〜3のアルキレン基であり、kは(R
O)kで示されるポリオキシアルキレン構造の分子量が
2000〜20000となるような単位繰り返し数であ
る。)で示される繰り返し単位から実質的になり、かつ
上記式(1)、(2)及び(3)で表される繰り返し単
位の合計量に基づく、上記式(3)で表わされる繰り返
し単位の含有量が重量比で10〜90重量%の範囲内で
あり、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタ
ン6/4(重量比)混合溶媒で濃度1.2g/dl、3
5℃で測定した還元粘度が0.5以上であるポリアルキ
ルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体
(A)1〜50重量部、及びポリアミド(B)99〜5
0重量部とから構成されていることを特徴とする抗血栓
性に優れた高分子組成物である。
【0016】また本発明は、上記ポリアルキルエーテル
/ポリアリールエーテルスルホン共重合体(A)1〜5
0重量部、及びポリアミド(B)99〜50重量部とか
ら構成されている高分子組成物を、血液と接触して使用
するための医療用材料を製造するための素材として使用
することである。
【0017】また本発明は、血液と接触して使用される
ための医療用材料であって、少なくとも血液と接触して
使用される表面を持つ部分は、上記ポリアルキルエーテ
ル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体(A)1〜
50重量部、及びポリアミド(B)99〜50重量部と
から構成されている高分子組成物を素材として形成され
ている医療用材料である。
【0018】本発明に用いるポリアルキルエーテル/ポ
リアリールエーテルスルホン共重合体(A)は、主に上
記式(1)〜(3)で示される部分構造より構成され
る。
【0019】上記式(1)、(2)においてAr1、A
2、Ar3およびAr4はそれぞれ独立に、核置換され
ていても良い炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基
を示し、具体的にはp−フェニレン、m−フェニレン、
2,6−ナフチレン、2,7−ナフチレン、1,4−ナ
フチレン、1,5−ナフチレン、4,4’−ビフェニレ
ン、2,2’−ビフェニレン、4,4’−オキシジフェ
ニレン、4,4’−イソプロピリデンジフェニレン、
4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テ
トラメチルジフェニレン、4,4’−スルホニルジフェ
ニレン等、およびそれらのモノ、ジ、トリ、テトラ核置
換体を例示することができる。核置換基としてはメチ
ル、エチル、フェニル等の炭素数1〜8のアルキル基、
アリール基、フッ素、塩素等のハロゲン基、ニトロ基、
炭素数1〜8のアルコキシ基等があげられる。 Ar、
Ar1としてはこれらのうちp−フェニレンが、 A
2、Ar3としては4,4’−オキシジフェニレン、
4,4’−イソプロピリデンジフェニレン、4,4’−
イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラメチル
ジフェニレン、4,4’−スルホニルジフェニレン等が
好ましい。
【0020】また、上記式(1)において、Xは−SO
2−であり、上記式(2)においてYは置換されていて
もよい炭素数1〜13の2価の炭化水素基、フッ化炭素
基、ヘテロ原子またはヘテロ原子団である。具体的なY
の構造としては、メチレン、エチレン、メチルメチン、
イソプロピリデン等のアルキル基、1,3,−ジフルオ
ロイソプロピリデン、1,1,3,3−テトラフルオロ
イソプロピリデン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロイソプロピリデン、トリフルオロメチルメチレン
などのハロゲン化アルキル基、更に酸素によるエーテル
結合、硫黄によるチオエーテル結合、アミノ基、アミド
基、スルホン基、スルホキシド基のようなヘテロ原子や
ヘテロ原子団による結合構造があげられる。このうちY
としては、メチレン、イソプロピリデン、1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピリデン、エーテ
ル型酸素、アミノ基、スルホン基等が好ましい。
【0021】上記式(3)において、Rは炭素数2〜3
のアルキレン基を示し、具体的には、エチレン、プロピ
レン等を例示することができる。Rとしてはこれらのう
ち、エチレンが好ましい。Rは単独の構造でもよいし、
二種以上の構造から構成されていてもよい。また、kは
(RO)kで示されるポリオキシアルキレン構造の分子
量が、400〜20000となるような繰り返し単位数
を示す。ポリオキシアルキレン構造の分子量は、好まし
くは600〜15000、より好ましくは800〜10
000、特に好ましくは1000〜6000である。
【0022】上記ポリアルキルエーテル/ポリアリール
エーテルスルホン共重合体(A)は、上記式(3)で表
わされるポリオキシアルキレン構造の含有量がポリアル
キルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体
に対し、10〜90重量%の範囲である。該ポリオキシ
アルキレン構造の含有量が重量比10%以下ではポリア
ルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合
体の疎水性が高すぎ、乾燥膜状態での水への濡れが充分
ではない。また90%以上では親水性が高すぎるため、
水中への溶出、著しい膨潤が起こり機械的強度も十分で
はない。該ポリオキシアルキレン構造の含有量は、好ま
しくは30〜80重量%、より好ましくは30〜70重
量%である。
【0023】本発明のポリアルキルエーテル/ポリアリ
ールエーテルスルホン共重合体(A)は、例えば上記式
(1)で示されるアリール骨格の末端がハロゲン化され
たビス(ハロアリール)スルホン、上記式(2)で示さ
れるアリール骨格の末端がヒドロキシル化されたジヒド
ロキシアリール化合物および上記式(3)で示されるア
ルキルエーテル骨格の末端がハロゲン化されたα,ω−
ビス(2−ハロアルコキシ)ポリオキシアルキレン化合
物を、アルカリの存在下、加熱反応させることによって
効率よく製造することができる。
【0024】また本発明のポリアルキルエーテル/ポリ
アリールエーテルスルホン共重合体(A)は、上記式
(1)で示されるアリール骨格の末端がハロゲン化され
たビス(ハロアリール)スルホン 、上記式(2)で示
されるアリール骨格の末端がヒドロキシル化されたジヒ
ドロキシアリール化合物および上記式(3)で示される
アルキルエーテル骨格の末端がヒドロキシル化された
α,ω−ビスヒドロキシポリオキシアルキレン化合物
を、アルカリの存在下、加熱反応させることによっても
同様に効率よく製造することができる。
【0025】反応は、これらの原料を望む組成の上記共
重合体を重合するに適切なモル比で仕込み混合し、適当
な溶媒の存在下、アルカリと共に反応せしめる。この
際、上記各原料の仕込みにおけるモル比を変えること
で、種々の組成のポリアルキルエーテル/ポリアリール
エーテルスルホン共重合体を得ることができる。加熱反
応温度は120〜400℃が好ましく、より好ましくは
160〜350℃である。反応温度が400℃より高い
と副反応が起こったり、原料の分解が起こりやすく、ま
た120℃より低いと反応が遅くなる。
【0026】反応に用いるアルカリとしては、アルカリ
金属炭酸塩または水酸化物が好ましく、例えば炭酸リチ
ウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化リチウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素リチ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどをあ
げることができる。なかでも炭酸塩、特に炭酸カリウム
が好ましい。アルカリの量は、反応中に発生するハロゲ
ン化水素を実質的に中和する量であることが必要である
が、実際は理論量よりも5%程度多くても、少なくて
も、反応させることができる。反応には適当な可塑剤、
溶媒を用いることもできる。適当な溶媒を例示すれば、
ジフェニルスルフォン、N−メチルピロリドン、N,N
−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド等を
用いることができるが、中でもN,N−ジメチルアセト
アミド、ジフェニルスルフォンが好ましい。
【0027】反応に際してその促進のために添加剤を加
えることができる。かかる添加剤の例として金属または
その塩、包接化合物、キレート剤、有機金属化合物など
をあげることができる。
【0028】かくして得られる本発明のポリアルキルエ
ーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体は、上
記式(1)〜(3)で表される繰り返し単位を有する
が、これを言い換えると、ポリオキシアルキレン構造が
共重合した芳香族ポリアリールエーテルスルホンであ
り、下記式(4)および(5)、または下記式(4)お
よび(6)
【0029】
【化3】 - ( - Ar - S O2- Ar1- O - Ar2- Y-Ar3- O - ) - (4) (ここでYは、先述の式(2)のYと同義である。)
【0030】
【化4】 - ( - R O - ) k - Ar2-Y-Ar3- O - (5) (ここでYは、先述の式(2)のYと同義である。)
【0031】
【化5】 - ( - R O - ) k - Ar - SO2 - Ar1- O - (6) (ここでYは、先述の式(2)のYと同義である。)
【0032】で表される繰り返し単位から主としてなる
共重合体であり、かつ上記式(4)と(5)で表される
繰り返し単位、または上記式(4)と(6)で表される
繰り返し単位の合計重量のうち、ポリオキシアルキレン
構造(- ( - R O - ) k -)の重量割合が10〜90重
量%、即ちポリオキシアルキレン構造(- ( - R O - )
k -)がポリマー全体の10〜90重量%)である。
【0033】上記ポリアルキルエーテル/ポリアリール
エーテルスルホン共重合体(A)は、還元粘度が0.5
以上、好ましくは1.0〜3.0である。還元粘度が0.
5未満の場合には、ポリマーの機械的強度が不充分とな
り好ましくない。なお、ここでいう還元粘度は、フェノ
ール/1,1,2,2−テトラクロルエタン混合溶媒
(重量比6/4)中、ポリマー濃度1.2g/dl、温
度35℃で測定される値をいう。
【0034】上記ポリアルキルエーテル/ポリアリール
エーテルスルホン共重合体は、その目的に応じてポリオ
キシアルキレン構造の分子量、共重合組成を任意に変化
させることができる。
【0035】なお本発明において、上記ポリアルキルエ
ーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体は、そ
の性質が本質的に変化しない範囲(例えばポリマーの2
0重量%以下、好ましくは10重量%以下)で他の成分
を共重合成分として含有していてもよい。共重合させる
他の成分としては、例えば、エチレンテレフタレート単
位を主たる繰り返し単位として含有するポリエステル、
ブチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とし
て含有するポリエステル、ジフェニルスルホンを主たる
繰り返し単位として含有するポリエーテルスルホン、ジ
フェニルスルホンとビスフェノールAの縮合物を主たる
繰り返し単位として含有するポリスルホン、ビスフェノ
ールAの炭酸エステルを主たるくり返し単位として含有
するポリカーボネート等を挙げることができる。
【0036】上記ポリアルキルエーテル/ポリアリール
エーテルスルホン共重合体(A)は、ヒト血漿に37℃
で一時間接触した時のMicroBCA法により測定し
た蛋白吸着量が非常に少なく、0.7μg/cm2以下
であり、血漿溶液に接したときの血液中の蛋白および血
小板の粘着等に対して優れた吸着抑制効果を有する。こ
の理由については、以下のように考えられる。上記ポリ
アルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重
合体は、剛直部位で疎水性の大きなポリアリールスルホ
ン(ハード成分)及びポリマー主鎖中に固定された親水
性ポリオキシアルキレンユニット(ソフト成分)を有し
ており、これら親水性セグメントと疎水性のポリアリー
ルスルホンセグメント双方は熱力学的にのみならず、巨
視的に相分離した表面構造を特徴とする。かかるポリマ
ーには主鎖中に水素結合供与基が存在しないため、主鎖
間の相互作用が小さく、該親水性ポリオキシアルキレン
ユニットのドメインには、疎水性相互作用を逓減しうる
水分子の接触が容易に起こる。従ってドメインのパター
ンに基づく生体蛋白の表面への選択的吸着が起こり、吸
着蛋白は表面で変性することがない。この結果、ポリマ
ー表面は正常蛋白が単分子層で表面吸着した状態とな
り、それ以上の生体成分(赤血球、白血球および血小
板)の粘着が抑制される。また補体活性化、血栓形成、
細胞膜損傷等の有害な生体反応を回避できる。かかる蛋
白吸着量は少ないほど望ましいが、0.3〜0.7μg
/cm2の範囲にあれば実際的に十分効果がある。
【0037】このようなポリアルキルエーテル/ポリア
リールエーテルスルホン共重合体において剛直で疎水性
の高いポリアリールエーテルスルホンセグメントは安定
なドメイン構造を形成し易く、血液適合性発現に優利で
ある。更にこのような微細ドメイン構造により、ポリア
ルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合
体は濡れ性や溶剤溶解性、他のポリマーへの混和性も変
化する結果、成型加工の面からも種々の特徴を付与でき
る可能性がある。
【0038】こうして調製したポリアルキルエーテル/
ポリアリールエーテルスルホン共重合体(A)は、種々
の方法によりポリアミド(B)と混合されて本発明の抗
血栓性に優れた高分子組成物が提供される。
【0039】上記共重合体(A)を混合するポリアミド
(B)としては、医療用途に用いられるオリゴマーの少
ない数平均分子量10,000〜300,000の素材
であれば良い。これらのポリアミドとしては、ヘキサメ
チレンジアミンとアジピン酸を加熱重縮合することによ
り得られるナイロン−6,6、ε−カプロラクタムを加
熱開環重合することにより得られるナイロン−6,6、
ポリアミノ酸誘導体、芳香族/脂肪族ブロックコポリア
ミドおよびそれらの共重合体やポリエーテル、ポリエス
テルとのブロックコポリマーを挙げることができる。も
ちろんこれらのポリアミド(B)は上記共重合体(A)
と分子レベルでは均一混合せず、ポリアルキルエーテル
/ポリアリールエーテルスルホン共重合体(A)が表面
偏析したブレンド体を形成する。
【0040】ポリアミド(B)への上記ポリアルキルエ
ーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体(A)
のブレンド比率に関しては、上記共重合体(A)が少な
くとも重量比1%以上であるべきであり、1〜50重量
%とすることが好ましく、10〜30重量%とすること
がより好ましい。上記共重合体(A)のブレンド率が1
重量%以下であると、該共重合体(A)の表面偏析絶対
量が少なすぎるため、十分な抗血栓化の効果が得られ
ず、また50重量%以上であると、素材の形状によって
は本来の物理的特性、使用条件が大きく変化する恐れが
ある。
【0041】ブレンド方法に際しては、ポリマーの物性
により様々の方法が考えられるが、この高分子組成物
は、例えば共重合体(A)とポリアミド(B)とを上記
所定の割合で混合し、しかる後溶融混合することにより
調製することができる。
【0042】上記高分子組成物において、共重合体
(A)とポリアミド(B)とは、分子レベルで均一に混
合することはなく、別個の相を形成し、相分離して存在
する。
【0043】ポリアルキルエーテル/ポリアリールエー
テルスルホン共重合体(A)は、親水性のポリオキシエ
チレン鎖を有しており、基本的に従来の疎水性高分子材
料と分子レベルで均一混合することはない。従って得ら
れる高分子組成物(以降ブレンド体を呼ぶことがある)
は両ブレンド成分、すなわちポリアルキルエーテル/ポ
リアリールエーテルスルホン共重合体(A)とポリアミ
ド(B)とが相分離した構造を有する。この相分離状態
において、上記共重合体(A)はブレンド体の表面(厳
密にはキャストフィルム成膜時の空気界面のようなポリ
マー近傍のバルク界面)に優先して偏析する。偏析の駆
動力としては、ポリアリールエーテルスルホンユニット
自体のポリアミドとの低い相溶性が寄与するほかに、界
面が水との接触面であれば、該共重合体の親水性ユニッ
トであるポリオキシエチレン鎖の親水性が、また空気と
の界面であれば表面自由エネルギーの小さなポリアリー
ルエーテルスルホンユニットの疎水性、疎油性が主とし
て働く。得られたブレンド体は共重合体(A)が表面に
偏析しているので、先述の機構により、血液接触時に血
液適合性を示すものと推定される。抗血栓性発現にはブ
レンド体の表面組成について上記共重合体が50重量%
以上となるよう高濃度に偏析して存在することが好まし
いが、60重量%以上となることがより好ましく、70
重量%となるよう偏析することがさらに好ましい。ここ
で言う表面組成とは、あくまでポリマーの表面近傍、具
体的には表面から深さ100Å程度までの領域でのポリ
マーの分率を指しており、両者のポリマー全体でのバル
クのブレンド組成のことではない。
【0044】本発明によれば、高分子組成物のこのよう
な性質を利用して、血液と接触して使用されるための医
療用材料であって、少なくとも血液と接触して使用され
る表面を持つ部分はポリアルキルエーテル/ポリアリー
ルエーテルスルホン共重合体(A)とポリアミド(B)
とからなる高分子組成物を素材として形成され、そして
該部分の表面近傍における上記共重合体(A)の濃度が
該部分を形成する該ポリマー組成物全体中の上記共重合
体(A)の濃度よりも高いことを特徴とする医療用材料
が提供される。
【0045】表面近傍における共重合体(A)の割合
は、ポリマー組成物の溶融成型において融解状態の組成
物を成形加工、冷却して医療用材料を製造する際に、ポ
リマー組成物全体中の共重合体(A)の割合(濃度)よ
りも高くなる。即ち、前者の加工法では溶液から有機溶
媒が飛散するにつれて、また後者では冷却時に、それぞ
れ表面近傍で相分離が起り、最終的に表面近傍において
共重合体(A)の濃度の高い医療用材料が得られる。表
面近傍とは厳密ではないが表面から深さ100Å程度ま
での領域である。
【0046】こうして得られる高分子組成物は、濃度5
重量%であるヒト貧血小板血漿(PPP)のリン酸緩衝
液に37℃、一時間接触させた時の上記共重合体表面へ
の蛋白吸着量が0.8μg/cm2以下(MicroBCA法によ
るアルブミン換算)であることが好ましく、0.6μg
/cm2以下であることがより好ましい。血液接触時の
蛋白吸着量が0.8μg/cm2以上であると、それに続
く血小板粘着、活性化を十分に抑制できないため、血栓
形成が進行する。
【0047】(作用)本発明の抗血栓性に優れる高分子
組成物は、該材料の血液と接触する部分に、上記のポリ
アルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重
合体(A)がポリアミド(B)にブレンド混在している
ことを特徴とする。ここで血液と接触する部分とは、血
液が接触する材料の表面およびその近傍をさす。先述の
ように、該材料中において上記ポリアルキルエーテル/
ポリアリールエーテルスルホン共重合体(A)は、もう
一つのブレンド体の成分であるポリアミド(B)と巨視
的に相分離した状態にある。上記ポリエーテル/ポリス
ルホン共重合体のポリオキシエチレンユニットは、溶媒
除去の際に、ブレンド体における界面自由エネルギーを
安定化させるべく、ブレンド体内部より、むしろブレン
ド体とバルクとの界面(血液/ブレンド体界面)に配向
する。従って水(これは血液の主成分である)の存在
下、血液との接触界面の大部分にわたって上記共重合体
(A)が配向し、血漿蛋白の吸着および血小板粘着を抑
制できるものと考える。例えば、実際に人工透析用中空
糸として使用する場合には、少なくとも血液が流れるそ
の多孔膜表面に上記共重合体(A)が混在されていれば
よい。従って材料全体を本発明のブレンド体自体によっ
て成形してもよいし、他の素材と複合する方法も好まし
く実施できる。
【0048】
【発明の効果】本発明の抗血栓性に優れる高分子組成物
は、蛋白質や血球などの生体成分の吸着が少なく、また
吸着した蛋白質の変性や接触した血小板の粘着、活性化
を抑制することができる。更にブレンド体中のオキシエ
チレン自由末端鎖、遊離水酸基末端数等が少ないため、
補体活性化、細胞膜損傷を回避できる。それ故、本発明
の高分子組成物の利用分野としては、直接血液成分と接
触して用いることが主たる目的となる医療用材料として
有用であり、例えば、人工腎臓、人工血管、人工心肺、
血液透析膜、血液バッグ、カテーテル、血漿分離膜等に
用いることができる。そして、このような材料として本
発明の高分子組成物を用いる場合、ブレンド体自体を材
料として用い中空糸、シート、フィルム、チューブとし
て成形するのみならず、ブレンド体を溶媒に溶解し、こ
の溶液をこれら各種材料表面に塗布し、血液接触表面の
みを改質することも可能である。
【0049】
【実施例】以下、参考例および実施例によって本発明を
更に詳しく説明する。ただし、以下の実施例は本発明を
限定するものではない。 1.例中の「部」は特にことわらない限り「重量部」を
表す。
【0050】2.高分子組成物の作成とESCAによる
表面組成解析 ポリアミドを、上記ポリエーテル/ポリアリールエーテ
ルスルホン共重合体(A)と溶融ブレンドすることによ
り、高分子組成物を作成し、その表面組成をESCAに
より解析した。高分子組成物の作成は、次のように行っ
た。参考例で製造した該共重合体(A)をコントロール
であるポリアミド(ナイロン−6、数平均分子量5000
0、帝人製)と共に加熱溶融ブレンド後、テフロン支持
基板上、熱プレス(210℃、40kg/cm2)することで、乾
式法による厚さ約0.5mmの高分子組成物からなる膜を得
た。また比較例として、ナイロン−6のみからなる膜を
調整した。
【0051】ESCAの測定には、膜を直径1cmの円盤
上に切り出し、リン酸緩衝液中で37℃で一夜平衡化し
た後、凍結乾燥することで測定試料とした。装置はVG
社ESCALAB−200を用い、MgKα線を光電子
取り出し角45゜となるよう照射、スキャンした。測定
は、キャスト時空気界面と接触していた表面について行
った。
【0052】3.蛋白質吸着量の評価 膜に吸着したタンパク質の定量評価は、MicroBCA法によ
り行った。これは銅イオンおよび下記構造で示される B
CA蛋白検出試薬を用いたキットによる蛋白定量法であ
る。試料中に存在する蛋白により一価に還元された銅イ
オンのみが、この試薬とキレート反応を行い発色(57
0nm)するため、サンプルの吸光度測定より蛋白濃度
(アルブミン換算)を定量することができる。
【0053】
【化6】
【0054】評価にあたっては、コントロールポリマー
として抗血栓性のないポリアミド(ナイロン−6)を比
較実験として用いた。
【0055】サンプルの作成については、実施例1と同
様に調整した共重合体(A)とナイロン−6(B)との
ブレンド膜を直径15mmに切り出して評価試料とした。測
定ではこれらの膜をヒト貧血小板血漿(PPP)を用
い、この血漿溶液に接触させたときの蛋白吸着量を分光
定量した。評価に際しては、PPPをリン酸緩衝液で所
定濃度(5重量%リン酸緩衝液溶液)に調製したものを
37℃、一時間ポリマー膜へ接触させ、吸着蛋白を1wt
%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で抽出、MicroBCA キ
ットを用い、常法により発色させ、吸光度から吸着量を
見積った。
【0056】4.SEM観察による膜表面に吸着した血
小板粘着の評価 一般に、重篤な血栓形成の前段階である血小板の粘着、
凝集には,材料表面へ吸着するタンパク質の種類及びそ
の表面における配向が大きく関与することが知られてい
る。そして粘着した血小板の活性化(変形、顆粒放出)
がその後の凝集、血小板血栓形成、凝固因子系の反応促
進に影響する。従って血液(全血又は成分血)と接触し
た後の材料表面における血小板の粘着状態を観察するこ
とで、そのポリマーの血液適合性の程度を大まかに見積
もることができる。
【0057】ここではヒト多血小板血漿(PRP)を用
い、PRP接触後の膜表面の血小板粘着挙動をSEMに
より観察した。PRPはヒト上腕部静脈より採取した新
鮮血に3.5wt%クエン酸三ナトリウム水溶液を1/
9容加え、1000r.p.m.で10分遠心分離した
上澄みを調製した。サンプルは先述のポリエーテル/ポ
リアリールエーテルスルホン共重合体(A)とナイロン
−6(B)とのブレンド膜、及び比較例としてコントロ
ールのナイロン−6平膜を用いた。これらを培養シャー
レ(Falcon,24well))中、0.7mlの
PRPと37℃、3時間接触した。接触後のポリマーサ
ンプルは蒸留水でよく洗浄し、2.5wt%グルタルア
ルデヒド水溶液で室温下二時間かけて固定し、凍結乾燥
後、金蒸着して観察試料とした。
【0058】[参考例1] (α,ω−ビス(2−クロロエトキシ)ポリオキシエチ
レン(数平均分子量3000)の合成)ポリエチレング
リコール(#3000)30部、ピリジン2.4部、脱
水クロロホルム150部をスリ付き三角フラスコ中に仕
込み、撹拌して均一溶液とした。これに塩化チオニル
1.8部、脱水クロロホルム15部の混合溶液を氷冷下
30分かけて滴下、その後氷冷をはずして液温が室温に
上昇した後、更にもう8時間撹拌を続けた。クロロホル
ムを減圧留去後、更にもう15部の新鮮な塩化チオニル
を加え、24時間加熱乾留した。その後減圧下で余剰の
塩化チオニルを留去し、残査を新鮮なクロロホルム30
0部に溶解し、飽和食塩水200部で三回洗浄、ついで
純水200部で一回洗浄しクロロホルム層を分取、無水
硫酸ナトリウムで一晩乾燥した。クロロホルムを留去し
得られた油状物は室温で直ちに固化した。これをアセト
ン40部に加熱溶解し、ジエチルエーテル200部より
再沈殿を行うことで白色粉状晶28.8部を得た。生成
物の融点は50.5℃〜53.5℃であった。IR(赤外分
光)測定よりこの化合物はα,ω−ビス(2−クロロエ
トキシ)ポリオキシエチレン(数平均分子量3000)
であることが確認された。
【0059】[実施例1〜4(A.ポリマーの製造)] (実施例1)4,4-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフ
ェノール16.80部、ビス(4−クロロフェニル)スルホ
ン11.90部、及び予めトルエンとの共沸により共存する
水分を除去したα,ω−ビス(2−クロロエトキシ)ポ
リオキシエチレン(数平均分子量3035)25.95部、トル
エン200ml、N,N-ジメチルアセトアミド100ml、炭酸カリ
ウム8.625部を、窒素導入口と排出口を持った3つ口フ
ラスコに入れ、これをディーン・スタークス・トラップ
に誘導し窒素置換を行い、115〜125℃で16時間
加熱環流を行った。反応に伴う水の流出が終了したのを
確認後、トルエンを8時間かけて留去しながら、新たに
N,N−ジメチルアセトアミドをトルエンの減少分を補
う形で計200ml加え、フラスコ内を窒素置換後、165
〜180℃で20時間加熱撹拌し、反応せしめた。反応
後、全体をイオン交換水3000mlに撹袢しながら開け洗浄
後、更に新たなイオン交換水3000mlで2時間撹袢洗浄す
るという操作を3回繰り返した。ついでポリマーを0.1w
t%塩酸水溶液3000mlで8時間撹袢洗浄、残存するアルカ
リ触媒を完全に失活させ水中に溶出した。これを更に新
たなイオン交換水3000mlで2時間撹袢洗浄、脱塩酸する
という操作を3回繰り返した。得られたポリマーを80
℃、24時間かけて減圧乾燥後クロロホルムで抽出し濾
過、乾燥した。最終的に理論収率の92%程度(約48
g)の乾燥ポリマーを得た。このポリマーはポリオキシ
エチレン成分50重量%とポリスルホン成分50重量%
とからなる共重合体であり、これをPEO3000(5
0)−co−PFS(50)と略す。
【0060】このポリマー120mgをフェノール/
1,1,2,2−テトラクロルエタン混合溶媒(重量比
6/4)10mlに溶解させ、還元粘度を測定したとこ
ろ0.85であった。また、このポリマーの数平均分子
量は約25000(ポリスチレン換算)であった。結果
を表1に示す。
【0061】同様な方法で、共重合体組成比の異なるP
EO3000(60)−co−PFS(40)(実施例
2)、 PEO3000(60)−co−PES(4
0)(実施例3)を合成した。
【0062】(実施例4)4,4-ヘキサフルオロイソプロ
ピリデンジフェノール12.848部、ビス(4ークロロフェ
ニル)スルホン部、及び予めトルエンとの共沸により共
存する水分を除去したα,ω−ビス(2ーヒドロキシ)
ポリオキシエチレン#300035.37部、トルエン15m
l、N,N-ジメチルアセトアミド20ml、炭酸カリウム8.28
部を、窒素導入口と排出口を持った3つ口フラスコに入
れ、これをディーン・スタークス・トラップに誘導し窒
素置換を行い、115〜125℃で20時間加熱環流を
行った。反応に伴う水の流出が終了したのを確認後、ト
ルエンを8時間かけて留去しながら、フラスコ内を窒素
置換後、135〜145℃で80時間加熱撹拌し、反応せ
しめた。反応後、全体をイオン交換水3000mlに撹袢しな
がら開け洗浄後、更に新たなイオン交換水3000mlで2時
間撹袢洗浄するという操作を3回繰り返した。ついでポ
リマーを0.1wt%塩酸水溶液3000mlで8時間撹袢洗浄、残
存するアルカリ触媒を完全に失活させ水中に溶出した。
これを更に新たなイオン交換水3000mlで2時間撹袢洗
浄、脱塩酸するという操作を3回繰り返した。得られた
ポリマーを80℃、24時間かけて減圧乾燥後クロロホ
ルムで抽出し濾過、乾燥した。最終的に理論収率の95
%程度(約56g)の乾燥ポリマーを得た。このポリマ
ーはポリオキシエチレン成分60重量%とポリスルホン
成分40重量%とからなる共重合体であり、これをPE
O3000(60)−co−PSFS(40)と略す。
【0063】このポリマー120mgをフェノール/
1,1,2,2−テトラクロルエタン混合溶媒(重量比
6/4)10mlに溶解させ、還元粘度を測定したとこ
ろ1.55であった。また、このポリマーの数平均分子
量は約32000(ポリスチレン換算)であった。結果
を表1に示す。
【0064】実施例1〜4で重合したこれらのポリマー
の分子量、粘度をまとめて表1に併記した。また、併せ
てポリマーの構造も示す。
【0065】
【表1】
【0066】1)略号はそれぞれ下記構造式に対応する。 2)フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン混
合溶媒(重量比6/4)10mlに120mgを溶解させ
て35℃で測定した還元粘度。
【0067】
【化7】
【0068】[実施例5〜7(B.高分子組成物、それ
からなる膜の製造及びESCAによる表面組成解析)]
各種ポリアリールエーテル/ポリアリールエーテルスル
ホン共重合体(A)とポリアミド(B)のブレンド体よ
り成る高分子組成物の膜のESCAによる表面組成解析
結果を表2に示す。何れのブレンド体も、表面より深さ
100Å内の表面組成において、該ポリエーテル/ポリ
アリールエーテルスルホン共重合体(A)の分率は均一
混合を仮定した値を上回り、該共重合体が有効に膜の表
面偏析していることを確認した。
【0069】
【表2】
【0070】[実施例8〜10、比較例1] C.蛋白質吸着量の評価 上記の方法にしたがって膜表面の蛋白質吸着量を測定し
た。膜を構成する共重合体(A)のブレンド率は10重
量%である。表3に示すように、本発明のポリアルキル
エーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体とポ
リアミドとの高分子組成物は、従来のポリアミドに比
べ、有意な蛋白吸着抑制を示した。
【0071】
【表3】
【0072】1)アルブミン換算した値 2)粘着血小板の活性化に伴う変形の度合を定量化した
値。血小板の変形状態を、未変形を第1段階として4段
階に分類し各状態の血小板の個数にその段階の数を乗
じ、総和を粘着血小板総数で割り、形態指数とする。従
って粘着血小板全てが未変形であれば形態指数は1とな
り、全てが第4段階の変形を起こしていれば指数は4と
なる。
【0073】D.ヒトPRPを用いたポリマー表面への
血小板粘着のSEM観察 表2にPRP接触後の各種ポリマーの膜表面の血小板粘
着数を併記した。先の検討により、タンパク吸着抑制が
低い疎水性ポリマーであるポリアミドでは、多くの血小
板が表面に粘着が認められた。一方、タンパク吸着抑制
能の高いポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテル
スルホン共重合体(A)とポリアミドとのブレンドマー
膜は、オリジナルのポリアミドと比較して明らかな血小
板粘着抑制が見られた。
【0074】以上の結果より、タンパク吸着抑制能に優
れた本発明の高分子組成物は、既存のポリアミドに比
べ、血小板の粘着を有意に抑制することが明らかとなっ
た。これにより、本発明の高分子組成物を溶融また乾/
湿式紡糸することで、ポリアミドが本来有する優れた膜
特性を維持し、なおかつ血液適合性に優れた医療用膜を
提供できることが明らかになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C081 AB13 AB32 AB33 AB34 AB35 AC08 AC12 AC15 BA02 CA181 CA231 CC01 DA01 DA03 DA16 DC12 4J002 CL011 CL021 CL031 CL071 CL081 CN032 GB03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)〜(3) 【化1】 −(−Ar1−X−Ar2−O−)− ・・・(1) −(−Ar3−Y−Ar4−O−)− ・・・(2) −(−RO−)k− ・・・(3) (ここで、Xは−SO2−であり、Ar1およびAr2
    それぞれ独立に、核置換されていても良い炭素数6〜3
    0の2価の芳香族炭化水素基であり、Ar3及びAr4
    それぞれ独立に、核置換されていても良い炭素数6〜3
    0の2価の芳香族炭化水素基であり、Yは置換されてい
    てもよい炭素数1〜13の2価の炭化水素基、フッ化炭
    素基、ヘテロ原子またはヘテロ原子団であり、Rは炭素
    数2〜3のアルキレン基であり、kは(RO)kで示さ
    れるポリオキシアルキレン構造の分子量が2000〜2
    0000となるような単位繰り返し数である。)で示さ
    れる繰り返し単位から実質的になり、かつ上記式
    (1)、(2)及び(3)で表される繰り返し単位の合
    計量に基づく、上記式(3)で表わされる繰り返し単位
    の含有量が重量比で10〜90重量%の範囲内であり、
    フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン6/
    4(重量比)混合溶媒で濃度1.2g/dl、35℃で
    測定した還元粘度が0.5以上であるポリアルキルエー
    テル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体(A)1
    〜50重量部、及びポリアミド(B)99〜50重量部
    とから構成されていることを特徴とする抗血栓性に優れ
    た高分子組成物。
  2. 【請求項2】 上記ポリアルキルエーテル/ポリアリー
    ルエーテルスルホン共重合体(A)1〜50重量部、及
    びポリアミド(B)99〜50重量部とから構成されて
    いる高分子組成物を、血液と接触して使用するための医
    療用材料を製造するための素材として使用すること。
  3. 【請求項3】 血液と接触して使用されるための医療用
    材料であって、少なくとも血液と接触して使用される表
    面を持つ部分は、上記ポリアルキルエーテル/ポリアリ
    ールエーテルスルホン共重合体(A)1〜50重量部、
    及びポリアミド(B)99〜50重量部とから構成され
    ている高分子組成物を素材として形成されている医療用
    材料。
  4. 【請求項4】 血液と接触して使用される表面を持つ部
    分の表面近傍における上記ポリアルキルエーテル/ポリ
    アリールエーテルスルホン共重合体(A)の濃度が、該
    部分を形成する該高分子組成物全体中の上記共重合体
    (A)の濃度よりも高い請求項3記載の医療用材料。
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