JP2000225776A - 熱転写シート - Google Patents

熱転写シート

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画質に影響を与える可能性のある粒子状物質
をインク層に用いることなく、熱転写時の熱転写シート
と受像シートとの真空密着均一性を確保し、良好な画質
の画像を形成しうる熱転写シートを提供する。 【解決手段】 支持体上に、少なくとも顔料及び非晶質
有機高分子重合体を含有するインク層を有する熱転写シ
ートであって、前記インク層中に該インク層表面に凹凸
を形成する機能を有する粒子状物質を含有せず、かつ前
記インク層の表面の十点平均表面粗さ(Rz)が0.5
〜5.0μmであることを特徴とする熱転写シート。支
持体とインク層との間に、粒子状物質を含有する中間層
が設けられ、かつ前記インク層中にワックスを含有する
態様が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーマルヘッド等
の加熱装置やレーザ光を用いて、高解像度の画像を形成
する画像形成方法に利用される熱転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱転写による画像記録方法と
して、サーマルヘッドを用いて熱転写シートを直接加圧
加熱する方式が実用化されている。この方式は、低騒音
でかつ簡単な装置構成で実施することができるととも
に、メンテナンスフリーでかつドライ処理であるといっ
た優れた特徴を有するものである。サーマルヘッド自体
も近年では高密度化が進んでおり、当該方式においても
画像の高解像度化は、かなりのレベルで達成することが
できる。
【0003】一方、より高解像度の画像を記録すること
のできる熱転写による画像記録方法として、レーザ光を
熱転写シートに照射し、熱転写シート中で前記レーザ光
を熱に変換し、該熱により感熱記録を行うレーザ熱転写
記録方式が知られている。かかる方式は、エネルギー供
給源であるレーザ光を数ミクロン程度まで集光できるの
で、サーマルヘッドによる方式に比べ解像度を飛躍的に
向上させることが可能になる。
【0004】レーザ熱転写記録方式に用いられる熱転写
シートとしては、支持体上に、レーザ光を吸収して熱を
発生する光熱変換層、及び顔料が熱溶融性のワックス、
バインダー等の成分中に分散された画像形成層(インク
層)をこの順に有する熱溶融転写シート(特開平5−5
8045号公報等)が知られている。かかる熱溶融転写
シートを用いる場合、光熱変換層のレーザ光照射領域で
発生した熱によりその領域に対応する画像形成層が溶融
し、熱溶融転写シート上に積層配置された受像シート上
に転写され、受像シート上に転写画像が形成される。
【0005】また、特開平6−219052号公報に
は、支持体上に、光熱変換物質を含む光熱変換層、非常
に薄層(0.03〜0.3μm)の熱剥離層、色材を含
む画像形成層がこの順に設けられ、熱剥離層の介在によ
り結合されている画像形成層と光熱変換層との間の結合
力が、レーザ光の照射により小さくなる熱転写シートを
用いて、その熱転写シート上に積層配置した受像シート
上に高精細画像を形成する画像形成方法が記載されてい
る。この画像形成方法では、所謂「アブレーション」を
利用しており、具体的には、レーザ光の照射を受けた領
域で熱剥離層が一部分解し、気化するため、その領域で
の画像形成層と光熱変換層との間の接合力が弱まり、そ
の領域の画像形成層が、熱転写シート上に積層配置され
た受像シート上に転写され、受像シート上に転写画像が
形成される。
【0006】レーザ光を利用した画像形成方法は、受像
シートとして受像層(接着層)を付設した印刷本紙を用
いることができること、色の異なる画像を次々と受像シ
ート上に転写することによって多色画像が容易に得られ
ること等の利点を有し、特にアブレーションを利用する
画像形成方法は高精細な画像が容易に得られるという利
点を有する。
【0007】これらの熱転写による画像形成方法では、
画像を転写する際の熱転写シートと受像シートとの密着
性が、画像の解像度に大きな影響を与えるため、高解像
度の画像を得るためには、いかにして両者の密着性を高
めることができるかが鍵となる。
【0008】熱転写シートと受像シートとの密着性を高
める方法として、多数の貫通孔を有する円筒状ドラムに
熱転写シートと受像シートとを重ね合わせて巻き付け、
円筒状ドラム内を減圧することにより、熱転写シートと
受像シートとの密着性を向上させる方法が挙げられる。
この方法では、熱転写シートと受像シートとの間に空気
溜まりや両シートのうねり等が発生し、これらが両シー
トの完全な密着を阻害してしまう。このため従来より、
熱転写シート及び/又は受像シートの対向する表面層に
マット剤と称される数μm〜数十μm程度の粒子状物質
を添加することで、熱転写シート及び/又は受像シート
の表面に凹凸を作り、空気溜まり等の問題を解消し、両
シート間の真空密着均一性を確保している。
【0009】しかし、熱転写シートの表面層にマット剤
を添加した場合には、画像抜けの問題が生じる場合があ
るとともに、得られる画像の色相に影響を与え、良好な
色相の画像を形成することができない場合がある。一
方、受像シートの表面層にマット剤を添加した場合に
は、画像抜けの問題が生じる場合がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、本発明は、画質に影響を与える可能性
のあるマット剤をインク層に用いることなく、加熱転写
時の熱転写シートと受像シートとの真空密着均一性を確
保し、高感度で画像濃度が高く、かつ良好な色相を有
し、転写ムラ等の画像欠陥のない高画質な画像を形成し
得る熱転写シートを安定に提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、以下の通りである。即ち、 <1> 支持体上に、少なくとも顔料及び非晶質有機高
分子重合体を含有するインク層を有する熱転写シートで
あって、前記インク層中に該インク層表面に凹凸を形成
する機能を有する粒子状物質を含有せず、かつ前記イン
ク層の表面の十点平均表面粗さ(Rz)が0.5〜5.
0μmであることを特徴とする熱転写シートである。
【0012】<2> 支持体とインク層との間に、イン
ク層表面に凹凸を形成する機能を有する粒子状物質を含
有する中間層が配されてなる前記<1>に記載の熱転写
シートである。 <3> 粒子状物質の個数平均粒径が、インク層表面に
凹凸を形成する機能を有する粒子状物質が存在しない部
分の中間層の層厚よりも大きい前記<2>に記載の熱転
写シートである。
【0013】<4> 粒子状物質の個数平均粒径が0.
5μm以上であって、インク層がワックスを含有する前
記<2>又は<3>に記載の熱転写シートである。 <5> インク層における、ワックスの含有量(W)
と、非晶質有機高分子重合体の含有量(P)との重量比
(W:P)が、5:100〜100:100である前記
<4>に記載の熱転写シートである。
【0014】<6> 粒子状物質の個数平均粒径が、
0.6〜4.0μmである前記<3>〜<5>のいずれ
かに記載の熱転写シートである。 <7> 中間層における、粒子状物質の含有量が、5〜
100mg/m2である前記<2>〜<6>のいずれか
に記載の熱転写シートである。 <8> 粒子状物質が、有機微粒子である前記<2>〜
<7>のいずれかに記載の熱転写シートである。
【0015】<9> 加熱された領域のインク層全体が
転写されるように構成されている前記<1>〜<8>の
いずれかに記載の熱転写シートである。 <10> 中間層が、光熱変換能を有することを特徴と
する前記<2>〜<9>のいずれかに記載の熱転写シー
トである。 <11> 支持体と中間層との間にクッション層を有す
る前記<1>〜<10>のいずれかに記載の熱転写シー
トである。 <12> クッション層の層厚が、1〜30μmである
前記<11>に記載の熱転写シートである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の熱転写シートは、支持体
上に、少なくともインク層を有する熱転写シートであっ
て、前記インク層中に該インク層表面に凹凸を形成する
機能を有する粒子状物質を含有することなく、かつ前記
インク層の表面の十点平均表面粗さ(Rz)を0.5〜
5μmとする。以下、本発明の熱転写シートについて説
明し、該説明と併せて熱転写記録とともに用いる受像シ
ート及び熱転写記録方法についても明らかにする。
【0017】<熱転写シート>本発明の熱転写シート
は、支持体上に少なくとも、顔料及び非晶質高分子重合
体を含有するインク層を有してなり、必要に応じて、支
持体とインク層との間に中間層、クッション層、感熱剥
離層等の他の層をそれぞれ単独で、或いは、それらを組
合わせて設けてなる。また、支持体のインク層を設けて
いない側の表面に、光反射防止層を設けることもでき
る。さらに、インク層の上には、必要に応じて受像シー
トが積層される。
【0018】−支持体− 熱転写シートの支持体の材料としては、特に限定される
ものではなく、各種の支持体材料を目的に応じて採用す
ることができる。支持体材料の好ましい例としては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体等の合成樹脂材料を挙げ
ることができる。なかでも、二軸延伸ポリエチレンテレ
フタレートが、機械的強度や熱に対する寸法安定性を考
慮すると好ましい。なお、本発明の熱転写シートをレー
ザ熱転写記録方式に用いる場合、熱転写シートの支持体
は、レーザ光を透過させ得る透明な合成樹脂材料から形
成することが好ましい。
【0019】熱転写シートの支持体には、その上に設け
られる層(インク層、中間層或いは、クッション層)と
の密着性を向上させるために、表面活性化処理、及び/
又は、一層又は二層以上の下塗層の付設を行うことが好
ましい。表面活性化処理の例としては、グロー放電処
理、コロナ放電処理等を挙げることができる。下塗層の
材料としては、支持体と光熱変換層の両表面に高い接着
性を示し、かつ熱伝導性が小さく、また耐熱性に優れた
ものであることが好ましい。そのような下塗層の材料の
例としては、スチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、ゼラチン等を挙げることができる。下塗層全体の厚
さは通常0.01〜2μmである。
【0020】−インク層− 本発明の熱転写シートでは、支持体上に直接、又は必要
に応じて中間層、クッション層、感熱剥離層等の他の層
をそれぞれ単独、或いは、それら複数の層を介してイン
ク層が設けられる。前記インク層は、少なくとも顔料、
非晶質有機高分子重合体を含有してなり、必要に応じ
て、ワックス、可塑剤等の他の成分を含有してなる。本
発明の熱転写材料のインク層には、ワックスが含有され
ていることが好ましい。
【0021】(顔料)顔料は一般に有機顔料と無機顔料
とに大別され、前者は特に塗膜の透明性に優れ、後者は
一般に隠蔽性に優れる。本発明の熱転写シートを印刷色
校正用に用いる場合には、印刷インキに一般に使用され
るイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと一致する
か、或いは、色調が近い有機顔料が好適に使用される。
またその他にも、金属粉、蛍光顔料等も用いる場合があ
る。好適に使用される顔料の例としては、アゾ系顔料、
フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキ
サジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン
系顔料、ニトロ系顔料を挙げることができる。また、色
相別に代表的な顔料を分けて記載すれば、以下のように
なる。
【0022】1)黄色顔料 ハンザイエローG、ハンザイエロー5G、ハンザイエロ
ー10G、ハンザイエローA、ピグメントイエローL、
パーマネントイエローNCG、パーマネントイエローF
GL、パーマネントイエローHR。 2)赤色顔料 パーマネントレッド4R、パーマネントレッドF2R、
パーマネントレッドFRL、レーキレッドC、レーキレ
ッドD、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、
アリザリンレーキ、ローダミンレーキB。 3)青色顔料 フタロシアニンブルー、ビクトリアブルーレーキ、ファ
ストスカイブルー。 4)黒色顔料 カーボンブラック。
【0023】インク層中における、前記顔料の含有量と
しては、30〜70重量%が好ましく、40〜60重量
%がより好ましい。
【0024】(非晶質有機高分子重合体)インク層に含
有する非晶質有機高分子重合体としては、軟化点が40
℃〜150℃で、かつガラス転移点が−30〜120℃
のものが好ましく、例えば、ブチラール樹脂、ビニルホ
ルマール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹
脂、スルホンアミド樹脂、ポリエステルポリオール樹
脂、石油樹脂、スチレン、ビニルトルエン、α−メチル
スチレン、2−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニ
ル安息香酸、ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、アミノ
スチレン等のスチレン及びその誘導体、置換体の単独重
合体や共重合体、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメ
タクリレート等のメタクリル酸エステル類及びメタクリ
ル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、α−エチルヘキシルアクリレート等の
アクリル酸エステル及びアクリル酸、ブタジエン、イソ
プレン等のジエン類、アクリロニトリル、ビニルエーテ
ル類、マレイン酸及びマレイン酸エステル類、無水マレ
イン酸、ケイ皮酸、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル
系単量体の単独、或いは、他の単量体等との共重合体等
を用いることができる。これらの樹脂は2種以上混合し
て用いることもできる。中でも、ブチラール樹脂が好ま
しい。
【0025】インク層における、前記非晶質有機高分子
重合体の含有量としては、70〜30重量%が好まし
く、60〜40重量%がより好ましい。
【0026】(ワックス)本発明の熱転写材料のインク
層には、ワックスを含有させることが好ましい。前記ワ
ックスとしては、融点が40〜160℃の固体、半固体
のものを好適に挙げることができ、例えば、カルナバワ
ックス、木蝋等の植物ワックス;蜜蝋、鯨蝋等の動物ワ
ックス;パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等
の石油ワックス;モンタンワックス等の鉱物ワックス
等;ベヘン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;パルミチ
ルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコー
ル;パルミチン酸セチル等の高級脂肪酸エステル;パル
ミチン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;ステアリルアミ
ン等の高級アミンが挙げられる。中でも、高級脂肪酸、
高級脂肪酸アミドが好ましい。
【0027】インク層中における、ワックスの含有量
(W)と、非晶質有機高分子重合体の含有量(P)との
重量比(W:P)としては、5:100〜100:10
0が好ましく、10:100〜70:100がより好ま
しい。前記ワックスの含有量(W)が少なすぎると、中
間層に含有する粒子状物質の影響で熱転写時の転写性が
低下し、十分な画像濃度が得られないことがあり、ワッ
クスの含有量が多すぎると、耐接着性が低下し、重ねて
保管等した場合に、インク層が転写を起こして形成画像
に画像故障を生ずることがある。
【0028】(他の成分)本発明の熱転写シートを用い
て、同一の受像シート上に多数の画像層(画像が形成さ
れたインク層)を繰返し重ね合せて多色画像を形成する
場合には、画像間の密着性を高めるためにインク層は可
塑剤を含むことが好ましい。前記可塑剤としては、例え
ば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フ
タル酸ジ(2−エチルヘキシル、フタル酸ジノニル、フ
タル酸ジラウリル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸
ブチルベンジル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジ
(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジ(2−エチルヘ
キシル)等の脂肪族二塩基酸エステル、リン酸トリクレ
ジル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)等のリン酸ト
リエステル類、ポリエチレングリコールエステル等のポ
リオールポリエステル類、エポキシ脂肪酸エステル等の
エポキシ化合物等が挙げられる。また、上記のような一
般的な可塑剤以外にも、ポリエチレングリコールジメタ
クリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタク
リレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペ
ンタエリトリットトリアクリレート、ペンタエリトリッ
トテトラアクリレート、ジペンタエリトリット−ポリア
クリレートのようなアクリル酸エステル類も、用いられ
るバインダーの種類によっては好適に併用できる。な
お、可塑剤は二以上組合せて用いてもよい。
【0029】また、可塑剤は、一般にインク層におい
て、顔料及び非晶質有機高分子重合体の総量と、可塑剤
との重量比が、100:1〜100:3、好ましくは1
00:1.5〜100:2の範囲となるように用いられ
る。インク層には、上記の成分に加えて、必要に応じ
て、界面活性剤、増粘度剤等が添加される。
【0030】インク層の層厚(乾燥層厚)としては、
0.1〜1μmが好ましく、0.2〜1.0μmがより
好ましい。
【0031】本発明の熱転写シートにおいては、インク
層の表面にある程度の凹凸を形成することにより、受像
シートとの真空密着均一性を確保する必要がある。イン
ク層の表面の凹凸の度合いとしては、十点平均表面粗さ
(Rz)で0.5〜5.0μmであることが必須とな
り、中でも特に0.5〜3.0μmが好ましく、1.0
〜2.5μmがより好ましい。前記Rz値が、0.5μ
m未満であると、受像シートとの真空密着均一性が不十
分となることがあり、5.0μmを超えると、受像シー
トとの緻密な密着性が損なわれ、却って転写ムラを誘発
することがある。
【0032】十点平均表面粗さ(Rz)は、JIS B
0601に規定されており、例えば、surfcom
570A 3DF(東京精密(株)製)等の触針式表面
粗さ測定機により容易に測定することができる。
【0033】インク層の表面を本発明に規定する状態に
する方法としては、特に限定されず、例えば、インク層
の表面をエンボス処理する方法や、支持体とインク層と
の間に、インク層表面に凹凸を形成する機能を有する粒
子状物質を含有する中間層を配する方法等が挙げられ、
中でも、支持体とインク層との間に、インク層表面に凹
凸を形成する機能を有する粒子状物質を含有する中間層
を配する方法が好ましい。前記中間層を配する方法の具
体的構成については、後述する。
【0034】−中間層− 本発明の熱転写シートには、支持体とインク層との間
に、中間層を設けることが好ましい。前記中間層には、
(1)既述の如く粒子状物質(マット剤)を含有させ、そ
の上層として形成されるインク層表面に本発明に規定す
る凹凸を形成する機能(凹凸形成機能)を持たせたり、
(2)光熱変換物質を含有させ、レーザ光によるエネルギ
ーを熱に変換しインク層の熱転写を可能とする機能(光
熱変換能)を持たせたり、或いは、それら双方の機能を
併せ持つようにすることができる。以下、各機能を持た
せるにあたり必要とされる物質、及び中間層の形成方法
について説明する。
【0035】(粒子状物質)粒子状物質としては、無機
微粒子及び有機微粒子のいずれも用いることができる。
比重が比較的小さく溶媒中でも沈降することなく、塗布
液安定性が良好となる点で、有機微粒子が特に好まし
い。前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、酸化チ
タン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウ
ム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素等の金属塩、窒
化珪素、カオリン、クレー、タルク、亜鉛華、鉛白、ジ
ークライト、石英、珪藻土、パーライト、ベントナイ
ト、雲母、合成雲母等が挙げられる。前記有機微粒子と
しては、例えば、フッ素樹脂粒子、PMMA粒子、ポリ
スチレン(PS)樹脂粒子、ポリエチレン(PE)樹脂
粒子、グアナミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒
子、アクリル樹脂粒子、スチレン−アクリル共重合体樹
脂粒子、シリコーン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、エポ
キシ樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げることができる。前記
各種有機微粒子の中でも、架橋されたものが好ましい。
また、粒子状物質として、その他の無機顔料や有機顔料
を用いることもできる。
【0036】粒子状物質の形状としては、インク層表面
を所望の凹凸とし得る形状であれば特に制限はなく、安
定した性能が期待できる点で球形であることが好まし
い。
【0037】粒子状物質は、インク層表面の凹凸状態の
均一性を高めるべく、単分散性であることが望ましく、
その粒径としては、インク層表面を所望の凹凸とし得る
大きさとすることが必要であり、中間層及び/又はイン
ク層の層厚や、粒子状物質の添加量によりその好ましい
値は異なってくる。前記粒子状物質の粒径としては、具
体的には、個数平均粒子径として0.5μm以上が好ま
しく、0.6〜4.0μmがより好ましく、0.8〜
2.0μmが最も好ましい。前記個数平均粒径が0.5
μm未満であると、受像シートと真空引きにより真空密
着させた場合に、エアー溜まりができて転写ムラを生ず
ることがある。
【0038】前記粒子状物質の具体例としては、例え
ば、球形シリカ微粒子(1.2μm)、球形シリカ微粒
子(2.0μm)、不定形シリカ微粒子(1.8μ
m)、不定形酸化アルミニウム微粒子(1.5μm)、
球形架橋PMMA微粒子(1.8μm)、球形架橋PM
MA−PS微粒子(1.5μm)、MX−150,18
0,300(線研化学(株)製;PMMA微粒子)、エ
ポスターS12(日本触媒(株)製;メラミン微粒
子)、エポスターMS(日本触媒(株)製;ベンゾグア
ナミン微粒子)、エポスターM30(日本触媒(株)
製;メラミン/ベンゾグアナミン微粒子)、シーホスタ
ーKE−P70,KE−P100,KE−P150(日
本触媒(株)製;メラミン微粒子)等が挙げられる。
【0039】中間層は、その層厚を薄くすることによ
り、粒子状物質は中間層の表面に突出しやすくなり、特
に粒子状物質の存在しない部分の中間層の層厚よりも、
粒子状物質の個数平均粒径を大きいものとすることは、
中間層に含有される粒子状物質のほとんどが中間層の表
面に突出することとなり、インク層の表面の凹凸形成に
効率的に寄与できるため好ましい。粒子状物質の個数平
均粒径は、粒子状物質の存在しない部分の中間層の層厚
より0.05〜10μm大きいことがより好ましく、
0.1〜5μm大きいことがより好ましい。勿論、粒子
状物質の個数平均粒径が、粒子状物質の存在しない部分
の中間層の層厚以下であっても、粒子状物質の添加量が
十分に多い場合には、インク層の表面を所望の凹凸形状
にすることができる。
【0040】粒子状物質の含有量としては、粒子状物質
の個数平均粒径や中間層の層厚等によっても異なるが、
5〜100mg/m2が好ましく、5〜50mg/m2
より好ましい。前記含有量が、5mg/m2であると、
インク層の表面に十分に凹凸を形成することができない
ことがあり、100mg/m2を超えると、画像の転写
性が低下し、画像品質が悪化することがある。
【0041】中間層の層厚としては、既述の如く粒子状
物質の個数平均粒径よりも薄くすることが望まれるが、
具体的には0.1〜1μmが好ましく、0.15〜0.
8μmがより好ましい。
【0042】(バインダー)中間層は、上記粒子状物質
及びバインダーを適当な溶剤に分散させて塗布液を調製
し、これを支持体、或いは、後述のクッション層上に塗
布、乾燥することにより形成される。前記バインダーと
しては、例えば、アクリル酸等のアクリル系モノマーの
単独重合体又は共重合体、セルロースアセテート等のセ
ルロース系ポリマー、ポリスチレン、塩化ビニル/酢酸
ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルア
ルコール等のビニル系ポリマー、ポリエステル、ポリア
ミド、ポリイミド等の縮合系ポリマー、ブタジエン/ス
チレン共重合体のようなゴム系の熱可塑性ポリマー、ポ
リウレタン、エポキシ樹脂、尿素/メラミン樹脂等が挙
げられる。これらの内、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルブチラール、ポリエステル、ポリイミド等のポリマ
ーが好ましく使用される。また、特に好ましいバインダ
ーとして、特願平10−140924号に記載のポリイ
ミド樹脂が挙げられる。
【0043】(光熱変換物質)前記光熱変換物質として
は、特に限定されるものではなく、従来公知のあらゆる
光熱変換物質を用いることができる。従来公知の光熱変
換物質とは、一般的にはレーザ光を吸収することのでき
る色素(顔料等)であり、このような色素(顔料等)の
例としては、カーボンブラックのような黒色顔料、フタ
ロシアニン、ナフタロシアニンのような可視から近赤外
域に吸収を有する大環状化合物の顔料、光ディスク等の
高密度レーザ記録のレーザ吸収材料として使用される有
機染料(本発明に係るインドレニン染料以外のシアニン
染料、アントラキノン系染料、アズレン系色素、フタロ
シアニン系染料)、及びジチオールニッケル錯体等の有
機金属化合物色素が挙げられる。光熱変換物質は、高い
光熱変換能を有することが望まれ、特に好ましい光熱変
換物質として、特願平10−140924号に一般式
(I)として記載されているインドレニン系化合物が挙
げられる。
【0044】光熱変換物質の添加量としては、中間層に
凹凸形成機能を持たせない場合には、バインダーとの固
形分重量比が1:20〜2:1(光熱変換物質:バイン
ダー)の範囲にあることが好ましく、特に1:10〜
2:1の範囲にあることが好ましい。一方、中間層に凹
凸形成機能を持たせる場合には、光熱変換物質と粒子状
物質との合計量と、バインダーとの固形分重量比(「光
熱変換物質+粒子状物質」:バインダー)が上記範囲に
含まれることが好ましい。バインダーの量が少なすぎる
と、中間層の凝集力が低下し、形成画像が受像シートに
転写される際に、中間層が一緒に転写されやすくなり、
画像の混色の原因となる。またバインダーが多すぎる
と、所望の光吸収率を達成すべく中間層の層厚を大きく
せざるを得ず、感度低下を招きやすい。
【0045】中間層の層厚としては、中間層に凹凸形成
機能を持たせる場合は、上記に説明した通りであり、中
間層に凹凸形成機能を持たせない場合には、0.03〜
0.8μmであることが好ましく、0.05〜0.3μ
mであることがより好ましい。また、光熱変換能を有す
る中間層は、700〜2000nmの波長域に0.1〜
1.3の範囲(更に好ましくは、0.2〜1.1の範
囲)の吸光度(光学密度)の極大を有することが好まし
い。
【0046】−中間層の形成方法− 中間層は、既述の如く粒子状物質及び/又は光熱変換物
質と、バインダーとを溶解した塗布液を調製し、これを
支持体或いは、後述のクッション層上に塗布し、乾燥す
ることにより設けることができる。塗布液を調製するた
めの溶剤としては、例えば、1,4−ジオキサン、1,
3−ジオキソラン、ジメチルアセテート、N−メチル−
2−ピロリドン、ジメチルスルホオキサイド、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラク
トン等が挙げられる。塗布、乾燥は、通常の塗布、乾燥
方法を利用して行うことができる。
【0047】−クッション層− 本発明の熱転写シートは、支持体とインク層との間に、
或いは、、中間層を有する場合には支持体と中間層との
間に、クッション層が配されることが好ましい。支持体
上にクッション層を設けることにより、支持体の微妙な
うねり等の影響を排することができるとともに、熱転写
シートと受像シートと重ね合わせて画像を転写する際
に、両シート間の密着性をより向上させることができ
る。
【0048】本発明の熱転写シートに設けることが可能
なクッション層とは、クッション性を有する層であり、
25℃における弾性率が1〜250kg/mm2 程度
の、或いは、JIS K2530−1976に規定され
る針入度が15〜500程度のものであることが好まし
い。
【0049】クッション層を形成するに好ましい材料と
しては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−エチルアクリレート共重合体、ポリブタジエン樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレ
ン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体(SEB
S)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NB
R)、ポリイソプレン樹脂(IR)、スチレン−イソプ
レン共重合体(SIS)、アクリル酸エステル共重合
体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹
脂、ブチルゴム、ポリノルボルネン等が挙げられる。
【0050】また、単体ではクッション性が十分でない
樹脂であっても、各種添加剤を添加することにより所望
のクッション性を確保することができ、クッション層の
材料として用いることができる。かかる添加剤として
は、ワックス等の低融点物質、可塑剤等が挙げられる。
具体的にはフタル酸エステル、アジピン酸エステル、グ
リコールエステル、脂肪酸エステル、りん酸エステル、
塩素化パラフィン等が挙げられ、さらに、例えば「プラ
スチック及びゴム用添加剤実用一覧」化学工業社(昭和
45年発行)等に記載された各種添加剤も使用すること
ができる。これら添加剤の添加量は、ベースとなる樹脂
との組み合わせで適宜調整すればよく、特に限定されな
いが、一般的に樹脂の10重量%以下が好ましく、5重
量%以下がより好ましい。
【0051】クッション層の層厚としては、1〜30μ
mであることが好ましく、より好ましくは1〜20μ
m、さらに好ましくは1〜10μmである。クッション
層の層厚が1μm未満であるとクッション層を設ける効
果が得られない為好ましくない。
【0052】クッション層は、前記材料を適当な溶剤に
溶解或いは、ラテックス状に分散させた塗布液を支持体
上に塗布し、乾燥することにより設けることができる。
塗布、乾燥は、通常の塗布、乾燥方法を利用して行うこ
とができる。
【0053】−感熱剥離層− 本発明の熱転写シートのインク層の下には、サーマルヘ
ッドによる熱、或いは、中間層の光熱変換物質により発
生した熱の作用により、気体を発生するか付着水等を放
出し、これにより支持体、クッション層或いは、中間層
と、インク層との間の接合強度を弱める感熱材料を含む
感熱剥離層を設けることができる。そのような感熱材料
としては、それ自身が熱により分解若しくは変質して気
体を発生する化合物(ポリマー又は低分子化合物)、水
分等の易気化性気体を相当量吸収若しくは吸着している
化合物(ポリマー又は低分子化合物)等を用いることが
できる。これらは併用してもよい。
【0054】熱により分解若しくは変質して気体を発生
するポリマーの例としては、ニトロセルロースのような
自己酸化性ポリマー、塩素化ポリオレフィン、塩素化ゴ
ム、ポリ塩化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ンのようなハロゲン含有ポリマー、水分等の揮発性化合
物が吸着されているポリイソブチルメタクリレート等の
アクリル系ポリマー、水分等の揮発性化合物が吸着され
ているエチルセルロース等のセルロースエステル、水分
等の揮発性化合物が吸着されているゼラチン等の天然高
分子化合物等を挙げることができる。熱により分解若し
くは変質して気体を発生する低分子化合物の例として
は、ジアゾ化合物やアジド化のような発熱分解して気体
を発生する化合物を挙げることができる。なお、上記の
ような、熱による感熱材料の分解や変質等は280℃以
下で発生することが好ましく、特に230℃以下で発生
することが好ましい。
【0055】感熱剥離層の感熱材料として低分子化合物
を用いる場合には、バインダーと組合せることが望まし
い。前記バインダーとしては、上記のそれ自身が熱によ
り分解若しくは変質して気体を発生するポリマーを用い
ることもできるが、そのような性質を持たない通常のポ
リマーを使用することもできる。感熱性の低分子化合物
とバインダーとを併用する場合には、前者と後者の重量
比は0.02:1〜3:1であることが好ましく、0.
05:1〜2:1であることがさらに好ましい。感熱剥
離層は、支持体又は中間層を、そのほぼ全面にわたって
被覆していることが望ましく、その厚さは一般に0.0
3〜1μmであり、0.05〜0.5μmの範囲にある
ことが好ましい。
【0056】感熱剥離層は、サーマルヘッドによる熱、
或いは、中間層の光熱変換物質により発生した熱により
分解、変質し、気体を発生する。そして、この分解又は
気体発生により、感熱剥離層が一部消失するか、或い
は、感熱剥離層内で凝集破壊が発生し、支持体、クッシ
ョン層又は中間層と、インク層との間の結合力が低下す
る。このため、感熱剥離層の挙動によっては、その一部
がインク層に付着して、最終的に形成される画像の表面
に現われ、画像の混色の原因となることがある。従っ
て、そのような感熱剥離層の転写が発生しても、形成さ
れた画像に目視的な混色が現われないように、感熱剥離
層はほとんど着色されていないこと、即ち、可視光に対
して高い透過性を示すことが望ましい。具体的には、感
熱剥離層の光吸収率が、可視光に対し50%以下である
ことが好ましく、より好ましくは10%以下である。
【0057】なお、本発明の熱転写シートには、独立し
た感熱剥離層を設ける代わりに、前記の感熱材料を添加
した中間層塗布液を支持体又はクッション層に塗布し、
中間層が備えるべき機能と、感熱剥離層が備えるべき機
能とを兼ねるような中間層を形成する構成とすることも
できる。
【0058】本発明の熱転写シートは、インク層の表面
にある程度の凹凸が形成され、受像シートとの真空密着
均一性が確保されるとともに、インク層中に該インク層
表面に凹凸を形成する機能を有する粒子状物質が含有さ
れないため、粒子状物質が熱転写シート表面に存在せ
ず、画像抜けや色相の悪化といった問題を生ずることの
ない良好な画質の画像を形成することができる。
【0059】本発明の熱転写シートは、加熱転写時に、
加熱されたインク層全体が受像シートに転写されること
が好ましい。可視領域に吸収をもつ中間層が転写されて
しまうと、色濁り等の問題が発生する場合があるため好
ましくない。
【0060】−光反射防止層− 光熱変換能を有する中間層が形成された熱転写シートに
は、支持体のインク層を設けた面の反対面に、光反射防
止層を設けることが好ましい。光反射防止層を設けるこ
とで、熱転写シートの表面にレーザ光を画像様に照射す
るレーザ光照射操作の際に、光の乱反射による画像の乱
れや解像度の低下を防止することができる。
【0061】光反射防止層としては、一般的な形成方法
として、異なった屈折率を有する材料を積層して、光の
反射防止効果を持たせることが行われており、当該方法
によることが効果的である。このような効果を有する材
料としては、SnS、InS、GeS等の硫化物や、I
n、Sn、Te、Ga、Siの酸化物等が挙げられる。
【0062】<受像シート>本発明の熱転写シートのイ
ンク層の表面には、傷つき防止のために、必要に応じて
保護用のカバーフィルム(例、ポリエチレンテレフタレ
ートシート、ポリエチレンシート等)が積層したり、予
め受像シートを積層したりすることもできる。
【0063】受像シートは、通常、プラスチックシー
ト、金属シート、ガラスシート、紙等のような通常のシ
ート状の基材に一ないし二以上の受像層が付設されたも
のである。プラスチックシートの例としては、ポリエチ
レンテレフタレートシート、ポリカーボネートシート、
ポリエチレンシート、ポリ塩化ビニルシート、ポリ塩化
ビニリデンシート、ポリスチレンシート、スチレン−ア
クリロニトリルシート等を挙げることができる。また、
紙としては印刷本紙、コート紙等を用いることができ
る。受像シートの基材の厚さは通常10〜400μmで
あり、25〜200μmであることが好ましい。基材の
表面は、受像層との密着性或いは、熱転写シートのイン
ク層との密着性を高めるために、コロナ放電処理、グロ
ー放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0064】受像シートの表面に本発明の熱転写シート
のインク層を転写、固定するのを補助する目的で、基材
の表面には前述のように受像層を一層若しくは二層以上
付設することが好ましい。受像層は、有機重合体バイン
ダーを主体として形成される層である。バインダーは熱
可塑性樹脂であることが好ましく、その例としては、ア
クリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル等のアクリル系モノマーの単独重合体及
びその共重合体、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、セルロースアセテートのようなセルロース系ポリマ
ー、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
ブチラール、ポリビニルアルコール等のようなビニル系
モノマーの単独重合体及びその共重合体、ポリエステ
ル、ポリアミドのような縮合系ポリマー、ブタジエン−
スチレン共重合体のようなゴム系ポリマーを挙げること
ができる。受像層のバインダーは、インク層との間の適
度な接着力を得るために、ガラス転移温度(Tg)が9
0℃より低いポリマーであることが好ましい。また、受
像層のガラス転移温度を調節するために受像層に可塑剤
を添加することが好ましい。
【0065】本発明の熱転写シートと受像シートとの積
層体は、熱転写シートのインク層側と受像シートの受像
側(受像層側)とを重ね合せて、加圧加熱ローラに通す
ことによって容易に得ることができる。この場合の加熱
温度は130℃以下とすることが好ましく、100℃以
下とすることがさらに好ましい。
【0066】<画像形成方法>次に、本発明の熱転写シ
ートを用いる画像形成方法を説明する。まず、熱転写シ
ートのインク層の表面と受像シートとが接しているか、
又は非常に近接した状態のものを作る(以下、双方の状
態のものを合わせて「画像形成用積層体」と称す
る。)。光熱変換能を有する中間層が形成されていない
熱転写シートの場合には、画像形成用積層体の表面にサ
ーマルヘッドにより画像様に熱を与え(印字操作)、そ
の後受像シートと熱転写シートとを剥離させることによ
り、インク層の加熱領域が転写した受像シートが得られ
る。一方、光熱変換能を有する中間層が形成された熱転
写シートの場合には、画像形成用積層体の表面に、レー
ザ光を画像様に時系列的に照射し(レーザ光照射操
作)、その後受像シートと熱転写シートとを剥離させる
ことにより、インク層のレーザ光被照射領域が転写した
受像シートが得られる。
【0067】印字操作、或いは、レーザ光照射操作は、
通常、画像形成用積層体の受像シート側を、記録ドラム
(内部に真空形成機構を有し、表面に多数の微小の開口
部を有する回転ドラム)の表面に真空引きにより密着さ
せ、その状態で外側、すなわち熱転写シート側からサー
マルヘッドにより熱を与え、或いは、、レーザ光を照射
することにより行われる。サーマルヘッド、或いは、レ
ーザ光の照射は記録ドラムの幅方向に往復するように走
査し、その印字操作或いは、レーザ光照射操作中は記録
ドラムを一定の角速度で回転させる。また、以上のよう
な記録ドラムを用いずに、サーマルヘッド或いは、レー
ザ光の出力ヘッドにより、平面上を走査して記録を行う
ような形態でもよい。
【0068】レーザ光としては、アルゴンイオンレーザ
光、ヘリウムネオンレーザ光、ヘリウムカドミウムレー
ザ光等のガスレーザ光、YAGレーザ光等の固体レーザ
光、半導体レーザ、色素レーザ光、エキシマレーザ光等
の直接的なレーザ光が利用される。或いは、、これらの
レーザ光を二次高調波素子を通して、半分の波長に変換
した光等も用いることができる。本発明の熱転写シート
を用いる画像形成方法においては、出力パワーや変調の
しやすさ等を考慮すると、半導体レーザを用いることが
好ましい。また、本発明の熱転写シートを用いる画像形
成方法では、レーザ光は、光熱変換層上でのビーム径が
5〜50μm(特に6〜30μm)の範囲となるような
条件で照射することが好ましく、また走査速度は1m/
秒以上(特に3m/秒以上)とすることが好ましい。
【0069】レーザ熱転写記録方法は、黒色マスクの製
造、或いは、単色画像の形成に利用可能であるが、多色
画像の形成にも有利に利用できる。多色画像を形成する
方法としては、例えば、以下に示す態様であってもよ
い。即ち、多色画像を形成する方法の第一の態様では、
記録装置の回転ドラム上に受像材料を真空減圧法で固定
し、該受像材料上に熱転写材料を同様に真空減圧法でそ
の受像層と熱転写材料の画像記録層(色相1)とが接す
るように積層する。次いで、原稿画像の色分解画像のデ
ジタル信号に基づき変調したレーザ光を、ドラムを回転
させながら熱転写材料の支持体側から照射し、その後、
熱転写受像材料を固定した状態で熱転写材料を熱転写受
像材料より剥離する。色相1の画像が記録された熱転写
受像材料上に、上記と同様の方法により色相2、色相
3、必要に応じて色相4の熱転写材料を積層し、レーザ
記録し、剥離する工程を逐次繰り返すことにより、多色
の画像が形成された熱転写受像材料を得ることができ
る。印刷本紙上にカラープルーフ画像を得るには、上記
工程より多色画像が形成された熱転写受像材料を、その
画像面が印刷本紙と接するように積層した後、ラミネー
タ等を通して加熱、加圧し、さらにこれを剥離して印刷
本紙上に画像を受像層とともに転写することにより得る
ことができる。
【0070】多色画像を形成する方法の第二の態様で
は、それぞれ異なる色相の色剤を含むインク層を有する
熱転写材料を積層した積層体を、独立に三種(三色)又
は四種(四色)準備し、その各々について、色分解フィ
ルタを介して得られる、各積層体に対応した各色画像の
デジタル信号に基づきレーザ照射し、その後、熱転写材
料と熱転写受像材料とを剥離する。各熱転写受像材料上
に各色の色分解画像が独立に形成された後、それぞれの
色分解画像を、別に用意した印刷本紙などの実際の支持
体若しくはそれに近似する支持体上に順次積層して画像
形成することができる。
【0071】
【実施例】以下に、実施例を示し本発明を具体的に説明
するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるもので
はない。なお、文中で特に断りのない限り「部」は「重
量部」を意味する。なお、実施例及び比較例において、
「粒子状物質」とあるのは、本発明にいう「インク層表
面に凹凸を形成する機能を有する粒子状物質」を指す。
【0072】(実施例1) <熱転写シートの作製> −中間層塗布液の調製− 下記塗布液組成に示す各成分をスターラーで攪拌しなが
ら混合し、ペイントシェーカー(東洋精機(株)製)で
1時間分散処理して、中間層塗布液を調製した。 [塗布液組成] ・光熱変換物質 10部 (NK−2014、日本発色色素(株)製;赤 外線吸収色素、) ・バインダー(リカコートSN−20、新日本理化(株)製) 200部 ・N−メチル−2−ピロリドン 2000部 ・界面活性剤 1部 (メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) ・粒子状物質 6部 (MX150、綜研化学(株)製;PMMA粒子、個数平均粒径1.5μm)
【0073】支持体(厚さ75μm、A4サイズのポリ
エチレンテレフタレートフィルム)の一方の表面上に、
上記の中間層塗布液を回転塗布機(ホワイラー)を用い
て塗布した後、塗布物を100℃のオーブン中で2分間
乾燥して、支持体上に光熱変換能を有する中間層を形成
した。
【0074】得られた中間層は、波長700〜1000
nmの範囲では830nm付近に吸収極大があり、その
吸光度(光学密度:OD)をマクベス濃度計で測定した
ところ、OD=1.08であった。走査型電子顕微鏡に
より中間層の断面を観察したところ、粒子状物質が存在
しない部分の中間層の層厚は平均で0.3μmであっ
た。また、塗布量、固形分濃度及び中間層の層厚から算
出することより中間層における粒子状物質の量を測定し
たところ、60mg/m2であった。
【0075】−イエローインク層塗布液の調製− 下記顔料分散母液組成に示す各成分をペイントシェーカ
ー(東洋精機(株)製)で2時間分散処理した後、ガラ
スビーズを除去し、イエロー顔料分散母液を調製した。 [顔料分散母液組成] ・ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、デンカブ チラール#2000−L、ビカット軟化点57℃)の 20重量%溶液 12.6部 ・色材(イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー14)) 24部 ・分散助剤(ソルスパースS−20000、ICI(株)製) 0.8部 ・n−プロピルアルコール 110部 ・ガラスビーズ 100部
【0076】下記塗布液組成に示す各成分をスターラー
で攪拌しながら混合して、イエローのインク層塗布液を
調製した。 [塗布液組成] ・上記イエロー顔料分散母液 20部 ・n−プロピルアルコール 60部 ・界面活性剤 0.05部 (メガファックF−176PF、大日本イン化学工業(株)製)
【0077】前記の中間層が形成された支持体の中間層
が形成された側の表面に、上記インク層塗布液をホワイ
ラーを用いて1分間塗布した後、塗布物を100℃のオ
ーブン中で2分間乾燥して、中間層の上にイエローのイ
ンク層(顔料64.2重量%、ポリビニルブチラール3
3.7重量%)を形成した。得られたインク層の吸光度
(光学密度:OD)をマクベス濃度計で測定したとこ
ろ、OD=0.7であった。インク層の層厚は、前記中
間層の場合と同様にして測定したところ、平均で0.4
μmであった。以上の工程より、支持体の上に、中間層
及びインク層がこの順に設けられた、本発明の熱転写シ
ートを作製した。得られた熱転写シートのインク層表面
の十点平均表面粗さ(Rz)を、surfcom 57
0A 3DF(東京精密(株)製)を用いて測定したと
ころ、1.90μmであった。
【0078】<受像シートの作製> −第一受像層塗布液の調製− 下記塗布液組成に示す各成分をスターラーで攪拌しなが
ら混合して第一受像層塗布液を調製した。 [塗布液組成] ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 25部 (MPR−TSL、日信化学(株)製) ・ジブチルオクチルフタレート(DOP、大八化学(株)製) 12部 ・界面活性剤 4部 (メガファックF−177、大日本イン化学工業(株)製) ・溶剤(メチルエチルケトン) 75部
【0079】支持体(厚さ100μm、A4サイズのポ
リエチレンテレフタレートフィルム)の一方の表面上
に、上記の第一受像層塗布液をホワイラーを用いて塗布
した後、塗布物を100℃のオーブン中で2分間乾燥し
て、支持体上に第一受像層(厚さ20μm)を形成し
た。
【0080】−第二受像層塗布液の調製− 下記塗布液組成に示す各成分をスターラーで攪拌しなが
ら混合して第二受像層塗布液を調製した。 [塗布液組成] ・ポリビニルブチラール 16部 (デンカブチラール#2000−L、電気化学工業(株)製) ・N,N−ジメチルアクリルアミド/ブチルアクリレート共重合体 4部 ・界面活性剤 0.5部 (メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) ・溶剤(n−プロピルアルコール) 200部
【0081】前記の第一受像層が形成された支持体の第
一受像層の表面に、上記第二受像層塗布液をホワイラー
を用いて塗布した後、塗布物を100℃のオーブン中で
2分間乾燥して、第一受像層上に第二受像層(厚さ2μ
m)を形成した。以上の工程により、支持体の上に、二
層の受像層が積層された受像シートを作製した。
【0082】<画像形成>真空吸着用のサクション穴が
設けられた回転ドラムに、受像シート面側が回転ドラム
表面に接するようにし、その上から上記より得られた、
受像シートより大サイズの熱転写シートを、そのインク
層が形成された側の表面が受像シートの第二受像層と接
し、かつ覆うように重ね合わせそれぞれ巻き付け、回転
ドラム内部を真空にすることによって当該2つのシート
を回転ドラム表面に固定し、画像形成用積層体を形成し
た(本実施例においては当該構成としたが、当該画像形
成用積層体は予め加圧加熱ローラで前記2つのシートを
重ね合わせておいてもよい)。回転ドラムを回転させ、
回転ドラム上の画像形成用積層体の表面に外側から波長
830nmの半導体レーザ光を、中間層の表面で径が7
μmのスポットとなるように集光し、回転ドラムの回転
方向(主走査方向)に対して直角方向に移動させながら
(副走査)、画像形成用積層体へのレーザ画像記録を行
った。レーザ照射条件は次の通りである。 ・レーザパワー:110mW ・主走査速度:4m/秒 ・副走査ピッチ(1回転当たりの副走査量):20μm
【0083】上記レーザ画像記録を行った画像形成用積
層体をドラムから取り外し、受像シートと熱転写シート
とを手で引きはがし、受像シート上に画像を形成した。
【0084】<評価> 1)画像形成性(感度) レーザ画像記録により得られたベタ画像を、特菱アート
紙(三菱製紙(株))製)にラミネーターCA680T
III (富士写真フイルム(株)製)を用いて転写し、ベ
タ画像Aを形成する。熱転写シートのインク層のみを前
記ラミネーターにて同特菱アート紙に転写してベタ画像
Bを形成する。得られた各ベタ画像A及びBの画像濃度
をマクベス濃度計を用いて、任意に十点測定しさらにそ
の平均をとり、転写率(%)=(ベタ画像Aの濃度)/
(ベタ画像Bの濃度)×100で求められる転写率
(%)について以下の指標で評価した。結果は表1に示
す通りである。 ○:転写率80%以上 △:転写率50%以上80%未満 ×:転写率50%未満
【0085】2)転写抜け レーザ画像記録により得られた画像において、色材の未
転写によると思われる画像の抜けの状態を、以下の指標
にて評価した。結果は表1に示す通りである。 ○:画像の抜けがない、又は画像の抜けのサイズが20
μm未満である。 △:画像の抜けのサイズが20μm以上50μm未満で
ある。 ×:画像の抜けのサイズが50μm以上である。
【0086】3)エアー溜まり レーザ画像記録により得られた画像において、受像シー
トと熱転写シートとの間のエアー溜まりによると思われ
る、色材の未転写を目視にて確認し、以下の指標にて評
価した。結果は表1に示す通りである。 ○:エアー溜まりによると思われる未転写なし。 △:中心部にエアー溜まりによると思われる未転写があ
る。 ×:全体にエアー溜まりによると思われる未転写があ
る。
【0087】4)画像色相 レーザ画像記録により得られた画像を、特菱アート紙
(三菱製紙(株)製)にラミネータCA680TIII
(富士写真フイルム(株)製)を用いて再転写した。転
写後の画像の反射濃度をX−rite938(X−ri
te社製)を用いて測定し、その反射濃度が1.81の
時の色相を測定した。測定後の色相と、印刷物の色見本
の色相とを比較し、その差△Eを画像色相を示す指標と
した。△Eは、小さいほど良好な色相であるといえる。
結果は表1に示す通りである。
【0088】(実施例2)中間層塗布液中の粒子状物質
を、シーホスターKEP100(日本触媒(株)製;シ
リカ粒子、個数平均粒径1.0μm)に代えたこと以
外、実施例1と同様にして、支持体の上に中間層及びイ
ンク層がこの順に積層された、本発明の熱転写シートを
作製した。なお、中間層の吸光度(光学密度:OD)、
粒子状物質が存在しない部分の中間層の層厚、インク層
の吸光度(光学密度:OD)及びインク層の層厚を実施
例1と同様にして測定したところ、すべて実施例1と同
一の値であった。また、実施例1と同様にして、中間層
における粒子状物質の量を測定したところ、60mg/
2であり、得られた熱転写シートのインク層表面の十
点平均表面粗さ(Rz)を実施例1と同様にして測定し
たところ、1.53μmであった。
【0089】得られた熱転写シートと実施例1で作製し
た受像シートを用い、実施例1と同様にして画像を形成
し、形成した画像の画像形成性(感度)、画像抜け、エ
アー溜まり及び画像色相について、実施例1と同様の方
法で評価を行った。評価した結果を下記表1に示す。
【0090】(実施例3)中間層塗布液中の粒子状物質
を、トスパール120(東芝シリコーン(株)製;シリ
コーン樹脂、個数平均粒径1.54μm)に代えたこと
以外、実施例1と同様にして、支持体の上に中間層及び
インク層がこの順に積層された、本発明の熱転写シート
を作製した。なお、中間層の吸光度(光学密度:O
D)、粒子状物質が存在しない部分の中間層の層厚、イ
ンク層の吸光度(光学密度:OD)、及びインク層の層
厚を実施例1と同様にして測定したところ、すべて実施
例1と同一の値であった。また、実施例1と同様にして
中間層における粒子状物質の量を測定したところ、60
mg/m2であり、得られた熱転写シートのインク層表
面の十点平均表面粗さ(Rz)を実施例1と同様にして
測定したところ、1.25μmであった。
【0091】得られた熱転写シートと実施例1で作製し
た受像シートを用い、実施例1と同様にして画像を形成
し、形成した画像の画像形成性(感度)、画像抜け、エ
アー溜まり及び画像色相について、実施例1と同様の方
法で評価を行った。評価した結果を下記表1に示す。
【0092】(比較例1)中間層塗布液中の粒子状物質
の添加量を、6部から60部に変えたこと以外、実施例
1と同様にして、支持体の上に中間層及びインク層がこ
の順に積層された熱転写シートを作製した。なお、中間
層の吸光度(光学密度:OD)、粒子状物質が存在しな
い部分の中間層の層厚、インク層の吸光度(光学密度:
OD)及びインク層の層厚を実施例1と同様にして測定
したところ、すべて実施例1と同一の値であった。ま
た、実施例1と同様にして中間層における粒子状物質の
量を測定したところ、600mg/m2であり、得られ
た熱転写シートのインク層表面の十点平均表面粗さ(R
z)を、実施例1と同様にして測定したところ、5.5
2μmであった。
【0093】得られた熱転写シートと実施例1で作製し
た受像シートを用い、実施例1と同様にして画像を形成
し、形成した画像の画像形成性(感度)、画像抜け、エ
アー溜まり及び画像色相について、実施例1と同様の方
法で評価を行った。評価した結果を下記表1に示す。
【0094】(比較例2)中間層塗布液中の粒子状物質
の添加量を、6部から0.1部に変えたこと以外、実施
例1と同様にして、支持体の上に中間層及びインク層が
この順に積層された熱転写シートを作製した。なお、中
間層の吸光度(光学密度:OD)、粒子状物質が存在し
ない部分の中間層の層厚、インク層の吸光度(光学密
度:OD)及びインク層の層厚を実施例1と同様にして
測定したところ、すべて実施例1と同一の値となった。
また、実施例1と同様にして中間層における粒子状物質
の量を測定したところ、1mg/m2であり、得られた
熱転写シートのインク層表面の十点平均表面粗さ(R
z)を、実施例1と同様にして測定したところ、0.3
8μmであった。
【0095】得られた熱転写シートと実施例1で作製し
た受像シートを用い、実施例1と同様にして画像を形成
し、形成した画像の画像形成性(感度)、画像抜け、エ
アー溜まり及び画像色相について、実施例1と同様の方
法で評価を行った。評価した結果を下記表1に示す。
【0096】(比較例3)中間層塗布液に粒子状物質を
添加しなかったこと以外、実施例1と同様にして、支持
体の上に中間層及びインク層がこの順に積層された熱転
写シートを作製した。なお、中間層の吸光度(光学密
度:OD)、中間層の層厚、インク層の吸光度(光学密
度:OD)及びインク層の層厚を実施例1と同様にして
測定したところ、すべて実施例1と同一の値であった。
また、得られた熱転写シートのインク層表面の十点平均
表面粗さ(Rz)を、実施例1と同様にして測定したと
ころ、0.25μmであった。
【0097】得られた熱転写シートと実施例1で作製し
た受像シートを用い、実施例1と同様にして画像を形成
し、形成した画像の画像形成性(感度)、画像抜け、エ
アー溜まり及び画像色相について、実施例1と同様の方
法で評価を行った。評価した結果を下記表1に示す。
【0098】(実施例4)比較例1と同様にして、本発
明の熱転写シートを作製した。該熱転写シートの表面を
エンボス加工して表面に凹凸を形成した。なお、中間層
の吸光度(光学密度:OD)、中間層の層厚、インク層
の吸光度(光学密度:OD)及びインク層の層厚を実施
例1と同様にして測定したところ、すべて実施例1と同
一の値であった。また、得られた熱転写シートのインク
層表面の十点平均表面粗さ(Rz)を、実施例1と同様
にして測定したところ、1.69μmであった。
【0099】得られた熱転写シートと実施例1で作製し
た受像シートを用い、実施例1と同様にして画像を形成
し、形成した画像の画像形成性(感度)、画像抜け、エ
アー溜まり及び画像色相について、実施例1と同様の方
法で評価を行った。評価した結果を下記表1に示す。
【0100】(比較例4)インク層を形成するための顔
料分散母液の中に、粒子状物質としてシーホスターKE
P100(日本触媒(株)製;シリカ粒子、個数平均粒
径1.0μm)1.8部を加え、中間層塗布液に粒子状
物質を添加しなかったこと以外、実施例1と同様にし
て、支持体の上に中間層及びインク層がこの順に積層さ
れた熱転写シートを作製した。なお、中間層の吸光度
(光学密度:OD)、中間層の層厚、インク層の吸光度
(光学密度:OD)及びインク層の層厚を実施例1と同
様にして測定したところ、すべて実施例1と同一の値で
あった。また、インク層における粒子状物質の量を、イ
ンク層層厚、添加量及び固形分濃度から計算したとこ
ろ、60mg/m2であり、得られた熱転写シートのイ
ンク層表面の十点平均表面粗さ(Rz)を、実施例1と
同様にして測定したところ、1.41μmであった。
【0101】得られた熱転写シートと実施例1で作製し
た受像シートを用い、実施例1と同様にして画像を形成
し、形成した画像の画像形成性(感度)、画像抜け、エ
アー溜まり及び画像色相について、実施例1と同様の方
法で評価を行った。評価した結果を下記表1に示す。
【0102】(実施例5) <熱転写シート> −クッション層塗布液の調製− 下記塗布液組成のクッション層塗布液をスターラーで攪
拌しながら混合して調製した。 [塗布液組成] ・エチレン・エチルアクリレート共重合体(エバフレックスA− 709、三井石油化学(株)製) 20部 ・溶媒(トルエン) 100部
【0103】支持体(厚さ75μm、A4サイズのポリ
エチレンテレフタレートフィルム)の一方の表面上に、
上記のクッション層塗布液を回転塗布機(ホワイラー)
を用いて塗布した後、塗布物を100℃のオーブン中で
2分間乾燥して、支持体上に層厚5μmのクッション層
を形成した。
【0104】前記クッション層が形成された支持体の該
クッション層上に、実施例1で調製した中間層用塗布液
及びイエローインク層塗布液を用いて、実施例1と同様
にして塗布、乾燥し、支持体上にクッション層、中間層
及びインク層がこの順に形成された、本発明の熱転写シ
ートを作製した。なお、中間層の吸光度(光学密度:O
D)、中間層の層厚、インク層の吸光度(光学密度:O
D)及びインク層の層厚を実施例1と同様にして測定し
たところ、すべて実施例1と同一の値であった。また、
実施例1と同様にして、得られた熱転写シートのインク
層表面の十点平均表面粗さ(Rz)を測定したところ、
1.73μmであった。
【0105】得られた熱転写シートと実施例1で作製し
た受像シートを用い、実施例1と同様にして画像を形成
し、形成した画像の画像形成性(感度)、画像抜け、エ
アー溜まり及び画像色相について、実施例1と同様の方
法で評価を行った。評価した結果を下記表1に示す。
【0106】
【表1】
【0107】表1に示すように、実施例1〜5の熱転写
シートは、エアー溜まりのない十分な密着性を得ること
ができ、高感度で、かつ画像濃度が高く、転写抜けやエ
アー溜まりによる未転写といった画像欠陥のない良好な
転写画像を形成することができた。画像の色相も安定し
て優れていた。また、積層体の形成時には、高速で真空
引きが行うことができた。クッション層を設けた実施例
5の熱転写シートでは、クッション層を設けなかった実
施例1の熱転写シートに比べ5%向上し、転写抜けも全
く認められなかった。これに対し、比較例1〜3の熱転
写シートでは、インク層の表面が本発明に規定する範囲
の十点平均表面粗さ(Rz値)から外れ、密着性が低下
し高感度で画像欠陥のない画像を得ることができず(比
較例1)、又は転写抜けやエアー溜まりによる未転写が
生じ、高感度で高画質な画像を得ることはできなかった
(比較例2及び3)。また、比較例1及び4では十分な
画像色相が得られず、特に比較例4のように粒子状物質
をインク層中に添加した場合には、所定の表面性(R
値)を示したものの、画像色相の点で劣っていた。
【0108】(実施例6) <熱転写シートの作製> −中間層塗布液の調製− 下記粒子状物質分散物Aの組成に示す各成分を、直径
0.5mmのガラスビーズ15gとともに、ペイントシ
ェーカー(東洋精機(株)製)で2時間分散処理して、
粒子状物質分散物Aを調製した。 [粒子状物質分散物Aの組成] ・粒子状物質(シリカ微粒子、個数平均粒径1.5μm) 2.5g (シーホスターKE−P150,日本触媒(株)製) ・メチルエチルケトン 22.0g ・分散助剤(ソルスパースS−20000,ICI(株)製) 0.5g
【0109】下記塗布液組成に示す各成分をスターラー
で攪拌しながら混合し、ペイントシェーカー(東洋精機
(株)製)で1時間分散処理して、中間層塗布液を調製
した。 [塗布液組成] ・光熱変換物質(赤外線吸収色素) 0.8g (NK−2014,日本発色色素(株)製) ・バインダー(リカコートSN−20,新日本理化(株)製) 15g ・N−メチル−2−ピロリドン 135g ・メチルエチルケトン 35g ・界面活性剤 0.1g (メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) ・粒子状物質分散物A 1.5g
【0110】支持体(厚さ75μm、2軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフィルム)の一方の表面上に、得ら
れた中間層塗布液を回転塗布機(ホワイラー)により塗
布した後、100℃のオーブン中で2分間乾燥し、支持
体上に光熱変換能を有する中間層を形成した。
【0111】得られた中間層は、波長700〜1000
nmの範囲では830nm付近に吸収極大があり、その
吸光度(光学密度:OD)をマクベス濃度計で測定した
ところ、OD=1.05であった。走査型電子顕微鏡に
より中間層の断面を観察したところ、粒子状物質が存在
しない部分の中間層の層厚は平均で0.4μmであっ
た。また、塗布量、固形分濃度及び中間層の層厚から算
出することより中間層における粒子状物質の量を測定し
たところ、40mg/m2であった。
【0112】−インク層塗布液(1)の調製− 下記顔料分散母液組成に示す各成分を直径0.5mmの
ガラスビーズ15gとともに、ペイントシェーカー(東
洋精機(株)製)で2時間分散処理し、シアン顔料分散
母液を調製した。 [シアン顔料分散母液の組成] ・シアン顔料(#700−10FG,東洋インキ(株)製) 15g ・ポリビニルブチラール(BL−SH,電気化学工業(株)製) 15g ・分散助剤(PW−36,楠本化成(株)製) 0.75g ・n−プロピルアルコール 120g
【0113】下記塗布液組成に示す各成分をスターラー
で攪拌しながら混合して、シアンのインク層塗布液
(1)を調製した。 [塗布液組成] ・上記シアン顔料分散母液 30g ・n−プロピルアルコール 200g ・メチルエチルケトン 60g ・ワックス(ベヘン酸) 0.5g ・ワックス(ステアリン酸) 0.5g ・ワックス(ベヘン酸アミド) 0.5g ・ロジン(KE311,荒川化学(株)製) 0.7g ・ポリビニルブチラール(BL−SH,電気化学工業(株)製) 1.3g ・界面活性剤 0.5g (メガファックF−176PF,大日本イン化学工業(株)製)
【0114】前記中間層が形成された支持体の中間層上
に、得られたシアンのインク層塗布液(1)をホワイラ
ーを用いて1分間塗布した後、100℃のオーブン中で
2分間乾燥し、中間層上にシアンのインク層(顔料6
4.2重量%、ポリビニルブチラール33.7重量%)
を形成した。前記シアンのインク層の吸光度(光学密
度:OD)をマクベス濃度計(シアン)で測定したとこ
ろ、OD=0.7であった。インク層の層厚は、前記中
間層の場合と同様にして測定したところ、平均で0.4
μmであった。以上の工程より、支持体の上に、中間層
及びインク層がこの順に設けられた、本発明の熱転写シ
ートを作製した。得られた熱転写シートのインク層表面
の十点平均表面粗さ(Rz)を、surfcom 57
0A 3DF(東京精密(株)製)を用いて測定したと
ころ、1.83μmであった。
【0115】<評価>得られた熱転写シートと実施例1
で作製した受像シートを用い、実施例1と同様にして画
像を形成し、形成した画像の画像形成性(転写率)につ
いて、実施例1と同様の方法で評価を行った。評価した
結果を下記表7に示す。さらに、レーザ画像記録により
得られた画像に対して以下の評価を行った。
【0116】5)画像の転写ムラ レーザ画像記録により得られた画像において、色材の転
写不良により発生した画像の転写ムラの状態を以下の指
標にて評価した。結果は表7に示す通りである。 ○:画像中に転写ムラの発生はなく、高画質な画像が得
られた。 △:若干転写ムラが認められたが、実用上問題ないレベ
ルであった。 ×:転写ムラの発生が顕著に認められた。
【0117】6)耐接着性 得られた本発明の熱転写シートを25℃、65%RHの
環境下で24時間調湿した後、この熱転写シートを5c
m×5cmの大きさに断裁し、複数枚のシート片を作成
した。これらのシート片を、インク層の表面と、インク
層が設けられていない側の支持体の表面とが接するよう
に重ね合わせ、その上から500gの加重を加えた。こ
の状態で50℃、75%RHの環境下に3日間放置し、
各シート片間のクッツキの程度を目視により、以下の指
標に従い評価した。結果は表7に示す通りである。 ○:シート片の間に、クッツキは全く認められなかっ
た。 △:シート片の端部に僅かにクッツキが認められた。 ×:シート片中央部においてもクッツキが認められた。
【0118】(実施例7〜13)実施例6で用いた粒子
状物質に代えて、下記表2に示す粒子状物質としたこと
以外、実施例6と同様にして、本発明の熱転写シートを
作成した。
【0119】
【表2】
【0120】なお、中間層の吸光度(光学密度:O
D)、中間層の層厚、インク層の吸光度(光学密度:O
D)及びインク層の層厚を実施例6と同様にして測定し
たところ、すべて実施例6と同一の値であった。また、
塗布量、固形分濃度及び中間層の層厚から算出すること
より中間層における粒子状物質の量を測定したところ、
いずれも40mg/m2であった。また、実施例1と同
様にして、得られた熱転写シートのインク層表面の十点
平均表面粗さ(Rz)を測定したところ、下記表7の通
りであった。得られた各熱転写シートと、実施例1で作
製した受像シートとを用い、実施例1と同様にして画像
を形成し、形成した各画像の画像形成性(転写率)につ
いては実施例1と同様の方法により、転写ムラ及び耐接
着性については実施例6と同様の方法により評価を行っ
た。評価した結果を下記表7に示す。
【0121】(実施例14〜16)実施例6で用いた粒
子状物質の含有量を、塗布後のインク層中の含有量が下
記表3に示す量となる含有量としたこと以外、実施例6
と同様にして、本発明の熱転写シートを作成した。
【0122】
【表3】
【0123】なお、中間層の吸光度(光学密度:O
D)、中間層の層厚、インク層の吸光度(光学密度:O
D)及びインク層の層厚を実施例6と同様にして測定し
たところ、すべて実施例6と同一の値であった。また、
塗布量、固形分濃度及び中間層の層厚から算出すること
より中間層における粒子状物質の量を測定したところ、
いずれも40mg/m2であった。また、実施例1と同
様にして、得られた熱転写シートのインク層表面の十点
平均表面粗さ(Rz)を測定したところ、下記表7通り
であった。得られた各熱転写シートと、実施例1で作製
した受像シートとを用い、実施例1と同様にして画像を
形成し、形成した各画像の画像形成性(転写率)につい
ては実施例1と同様の方法により、転写ムラ及び耐接着
性については実施例6と同様の方法により評価を行っ
た。評価した結果を下記表7に示す。
【0124】(実施例17〜19)実施例6で調製した
シアンのインク層塗布液(1)に代えて、下記表4に示
すインク層塗布液を用いたこと以外、実施例6と同様に
して、本発明の熱転写材料を作成した。
【0125】
【表4】
【0126】以下に、上記表4中の各インク層塗布液の
組成を示す。尚、インク層塗布液(2)〜(4)の調製
方法は、実施例1のインク層塗布液(1)の調製方法に
準じて行った。
【0127】 [インク層塗布液(2)の組成] ・実施例6で調製したシアン顔料分散母液 30g ・n−プロピルアルコール 200g ・メチルエチルケトン 60g ・ワックス(ベヘン酸) 0.25g ・ワックス(ステアリン酸) 0.25g ・ワックス(ベヘン酸アミド) 0.25g ・ロジン(KE311,荒川化学(株)製) 0.9g ・ポリビニルブチラール(BL−SH,電気化学工業(株)製) 1.5g ・界面活性剤 0.5g (メガファックF−176PF,大日本イン化学工業(株)製)
【0128】 [インク層塗布液(3)の組成] ・実施例6で調製したシアン顔料分散母液 30g ・n−プロピルアルコール 200g ・メチルエチルケトン 60g ・ワックス(ベヘン酸) 0.7g ・ワックス(ステアリン酸) 0.7g ・ワックス(ベヘン酸アミド) 0.7g ・ロジン(KE311,荒川化学(株)製) 0.5g ・ポリビニルブチラール(BL−SH,電気化学工業(株)製) 1.5g ・界面活性剤 0.5g (メガファックF−176PF,大日本イン化学工業(株)製)
【0129】 [インク層塗布液(4)の組成] ・実施例6で調製したシアン顔料分散母液 30g ・n−プロピルアルコール 200g ・メチルエチルケトン 60g ・ワックス(ベヘン酸) 1.0g ・ワックス(ステアリン酸) 1.0g ・ワックス(ベヘン酸アミド) 1.0g ・ロジン(KE311,荒川化学(株)製) 0.5g ・ポリビニルブチラール(BL−SH,電気化学工業(株)製) 1.5g ・界面活性剤 0.5g (メガファックF−176PF,大日本イン化学工業(株)製)
【0130】なお、中間層の吸光度(光学密度:O
D)、中間層の層厚、インク層の吸光度(光学密度:O
D)及びインク層の層厚を実施例6と同様にして測定し
たところ、すべて実施例6と同一の値であった。また、
塗布量、固形分濃度及び中間層の層厚から算出すること
より中間層における粒子状物質の量を測定したところ、
いずれも40mg/m2であった。また、実施例1と同
様にして、得られた熱転写シートのインク層表面の十点
平均表面粗さ(Rz)を測定したところ、下記表7の通
りであった。得られた各熱転写シートと、実施例1で作
製した受像シートとを用い、実施例1と同様にして画像
を形成し、形成した各画像の画像形成性(転写率)につ
いては実施例1と同様の方法により、転写ムラ及び耐接
着性については実施例6と同様の方法により評価を行っ
た。評価した結果を下記表7に示す。
【0131】(比較例5〜7)実施例6で用いた粒子状
物質に代えて、下記表5に示す粒子状物質を用いたこと
以外、実施例6と同様にして熱転写材料を作成した。
【0132】
【表5】
【0133】なお、中間層の吸光度(光学密度:O
D)、中間層の層厚、インク層の吸光度(光学密度:O
D)及びインク層の層厚を実施例6と同様にして測定し
たところ、すべて実施例6と同一の値であった。また、
塗布量、固形分濃度及び中間層の層厚から算出すること
より中間層における粒子状物質の量を測定したところ、
いずれも40mg/m2であった。また、実施例1と同
様にして、得られた熱転写シートのインク層表面の十点
平均表面粗さ(Rz)を測定したところ、下記表7の通
りであった。得られた各熱転写シートと、実施例1で作
製した受像シートとを用い、実施例1と同様にして画像
を形成し、形成した各画像の画像形成性(転写率)につ
いては実施例1と同様の方法により、転写ムラ及び耐接
着性については実施例6と同様の方法により評価を行っ
た。評価した結果を下記表7に示す。
【0134】(比較例8〜9)実施例6で調製したシア
ンのインク層塗布液(1)に代えて、下記表6に示すイ
ンク層塗布液を用いたこと以外、実施例6と同様にして
熱転写材料を作成した。
【0135】
【表6】
【0136】以下に、上記表6中の各インク層塗布液の
組成を示す。尚、インク層塗布液(5)及び(6)の調
製方法は、実施例1のインク層塗布液(1)の調製方法
に準じて行った。
【0137】 [インク層塗布液(5)の組成] ・実施例6で調製したシアン顔料分散母液 30g ・n−プロピルアルコール 200g ・メチルエチルケトン 60g ・ロジン(KE311,荒川化学(株)製) 0.7g ・ポリビニルブチラール(BL−SH,電気化学工業(株)製) 1.3g ・界面活性剤 0.5g (メガファックF−176PF,大日本イン化学工業(株)製)
【0138】 [インク層塗布液(6)の組成] ・実施例6で調製したシアン顔料分散母液 30g ・n−プロピルアルコール 200g ・メチルエチルケトン 60g ・ワックス(ベヘン酸) 1.8g ・ワックス(ステアリン酸) 1.8g ・ワックス(ベヘン酸アミド) 1.8g ・ロジン(KE311,荒川化学(株)製) 0.7g ・ポリビニルブチラール(BL−SH,電気化学工業(株)製) 1.3g ・界面活性剤 0.5g (メガファックF−176PF,大日本イン化学工業(株)製)
【0139】なお、中間層の吸光度(光学密度:O
D)、中間層の層厚、インク層の吸光度(光学密度:O
D)及びインク層の層厚を実施例6と同様にして測定し
たところ、すべて実施例6と同一の値であった。また、
塗布量、固形分濃度及び中間層の層厚から算出すること
より中間層における粒子状物質の量を測定したところ、
いずれも40mg/m2であった。また、実施例1と同
様にして、得られた熱転写シートのインク層表面の十点
平均表面粗さ(Rz)を測定したところ、下記表7の通
りであった。得られた各熱転写シートと、実施例1で作
製した受像シートとを用い、実施例1と同様にして画像
を形成し、形成した各画像の画像形成性(転写率)につ
いては実施例1と同様の方法により、転写ムラ及び耐接
着性については実施例6と同様の方法により評価を行っ
た。評価した結果を下記表7に示す。
【0140】
【表7】
【0141】上記表7の結果から、粒子状物質を含有す
る中間層と、ワックスを含有するインク層とを設けた実
施例6〜19の熱転写シートでは、エアー溜まりのない
十分な密着性を得ることができ、高感度で画像濃度が高
く色相も良好で、転写ムラ等の画像欠陥のない高画質な
画像を得ることができた。さらに、耐接着性にも優れて
いるため、画像故障のない画像を安定に得ることができ
た。粒子状物質として有機微粒子を用いた実施例9〜1
3では、他の粒子状物質を用いた場合に比べより安定し
た中間層塗布液が得られ、品質の安定した熱転写材料を
簡便に得ることができた。また、積層体の形成時には、
高速で真空引きが行うことができた。一方、中間層に本
発明に規定する粒径の粒子状物質を用いなかった比較例
5〜7の熱転写材料では、エアー溜まりによる未転写や
転写不良を生じ、画像濃度の高い高画質な画像を得るこ
とはできなかった。また、十分な耐接着性も得られなか
った。インク層に本発明に規定する量のワックスを用い
なかった比較例8〜9の熱転写材料では、転写性能の低
下、若しくは耐接着性の低下を伴い、高感度で高画質な
画像を安定に得ることはできなかった。
【0142】
【発明の効果】本発明によれば、画質に影響を与える可
能性のある粒子状物質をインク層に用いることなく、加
熱転写時の熱転写シートと受像シートとの真空密着均一
性を確保し、高感度で画像濃度が高くかつ良好な色相を
有し、転写ムラ等の画像欠陥のない高画質な画像を形成
し得る熱転写シートを安定に提供することができる。ま
た、本発明によれば、熱転写シートと受像シートとの間
に入り込んだゴミ等の異物や、熱転写シート及び/又は
受像シートの変形による画像故障を防止し、高画質な画
像を安定に形成しうる熱転写シートを提供することがで
きる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、少なくとも顔料及び非晶質
    有機高分子重合体を含有するインク層を有する熱転写シ
    ートであって、 前記インク層中に該インク層表面に凹凸を形成する機能
    を有する粒子状物質を含有せず、かつ前記インク層の表
    面の十点平均表面粗さ(Rz)が0.5〜5.0μmで
    あることを特徴とする熱転写シート。
  2. 【請求項2】 支持体とインク層との間に、インク層表
    面に凹凸を形成する機能を有する粒子状物質を含有する
    中間層が配されてなる請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 【請求項3】 粒子状物質の個数平均粒径が、インク層
    表面に凹凸を形成する機能を有する粒子状物質が存在し
    ない部分の中間層の層厚よりも大きい請求項2に記載の
    熱転写シート。
  4. 【請求項4】 粒子状物質の個数平均粒径が0.5μm
    以上であって、インク層がワックスを含有する請求項2
    又は3に記載の熱転写シート。
  5. 【請求項5】 インク層における、ワックスの含有量
    (W)と、非晶質有機高分子重合体の含有量(P)との
    重量比(W:P)が、5:100〜100:100であ
    る請求項4に記載の熱転写シート。
  6. 【請求項6】 粒子状物質の個数平均粒径が、0.6〜
    4.0μmである請求項3から5のいずれかに記載の熱
    転写シート。
  7. 【請求項7】 中間層における、粒子状物質の含有量
    が、5〜100mg/m2である請求項2から6のいず
    れかに記載の熱転写シート。
  8. 【請求項8】 粒子状物質が、有機微粒子である請求項
    2から7のいずれかに記載の熱転写シート。
  9. 【請求項9】 加熱された領域のインク層全体が転写さ
    れるように構成されている請求項1から8のいずれかに
    記載の熱転写シート。
  10. 【請求項10】 中間層が、光熱変換能を有することを
    特徴とする請求項2から9のいずれかに記載の熱転写シ
    ート。
  11. 【請求項11】 支持体と中間層との間にクッション層
    を有する請求項1から10のいずれかに記載の熱転写シ
    ート。
  12. 【請求項12】 クッション層の層厚が、1〜30μm
    である請求項11に記載の熱転写シート。
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