JP2000215877A

JP2000215877A - 扁平電池

Info

Publication number: JP2000215877A
Application number: JP11011786A
Authority: JP
Inventors: Mitsuru Sasaki; 充佐々木; Yasuo Yoshihara; 康雄吉原; Hideaki Yoshio; 英明吉尾
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 1999-01-20
Filing date: 1999-01-20
Publication date: 2000-08-04

Abstract

(57)【要約】【課題】樹脂フィルム主体のラミネートシートを外装
ケースとする扁平電池において、先端をケース外に引き
出したリード端子を改良して衝撃、振動による素電池の
移動に起因したリード端子の切断を防止する。【解決手段】正極１、セパレータ３および負極２を積
層一体化した素電池４の正、負極端子部にそれぞれ一端
が溶接されたリード端子に、溶接部に連なって端子部付
け根方向に折り返された第１折り返し部と、端子部付け
根近傍でリード引き出し方向に再度折り返された第２折
り返し部からなる略Ｓ字状折り曲げ部を設け、この略Ｓ
字状折り曲げ部の屈伸変形で衝撃、振動による素電池の
移動に起因した応力を吸収解消し、リード端子の切断を
防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、扁平電池とくにポ
リマー電解質電池など、フィルム状またはシート状の正
極、セパレータおよび負極を積層一体化した扁平な素電
池、またはこの素電池を任意数積み重ねた電池群を外装
ケース内に収容した電池の出入力端子であるリード端子
の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】扁平電池とくに、多孔性集電体にペース
ト状活物質を塗着して得たフィルム状またはシート状の
正極および負極と、この両極間に配した電解質を保持す
るポリマーよりなる多孔性のフィルム状セパレータを積
層一体化した扁平な素電池を、樹脂フィルム主体のラミ
ネートシートで構成された外装ケース内に収容した電池
は、厚み的に薄く、缶状容器を用いた電池よりも形状の
自由度ははるかに高い。

【０００３】この電池では、樹脂フィルム主体のラミネ
ートシート製袋状外装ケースを用いる関係から、正極お
よび負極の端子部にそれぞれ一端が溶接された薄板製リ
ード端子の他端を、外装ケース外に引き出して出入力端
子としている。この場合、素電池の形状にもよるが、一
体化された素電池の反応面と平行な主面部分は、これに
沿って外装ケースの内面が位置するため、外装ケース内
での移動は抑制される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、素電池周囲の
端面部、とくにリード端子が接続された端子部をもつ端
面部分は、リード端子と電極側端子部との接続のための
空間を必要とする。この接続用空間分だけ、素電池端面
と外装ケース内面との間に空間が生じて、強い衝撃や振
動を受けたとき、素電池がこの空間内を移動する。この
素電池の移動が原因となって、リード端子と電極側端子
部との溶接部あるいは溶接部近傍のリード引き出し部に
屈伸や折り曲げ応力が働いてリード端子が切断されると
いう、この電池にとって大きな問題が生じた。

【０００５】本発明の主たる目的は、電池が強い衝撃や
振動を受けて、素電池が外装ケース内の空間を移動する
ときでも、リード端子に設けた略Ｓ字状折り曲げ部の屈
伸あるいは変形によって、前記の応力を解消してリード
端子の切断を防止することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、それぞれがフィルム状またはシート状の正
極、電解質を保持するポリマーよりなるセパレータおよ
び負極を積層一体化した扁平な素電池、またはこれを任
意数積み重ねた電池群と、この素電池または電池群を内
部に密封した樹脂フィルム主体のラミネートシートで構
成された外装ケースとからなる電池において、素電池の
正極および負極それぞれの端子部、または電池群を構成
する各素電池の正極および負極それぞれの端子部が同一
極性どうしで重ねられた部分に一端が溶接され、他端が
外装ケース外に引き出された正負の各リード端子に、そ
の溶接側一端に連なって、電極端子部付け根方向に折り
返され、かつ端子部付け根近傍でリードの引き出し方向
に再度折り返された略Ｓ字状折り曲げ部を形成したもの
である。

【０００７】またこのリード端子は、正極および負極そ
れぞれの端子部の上下いずれか一面側に一端を溶接し、
これに連なって端子部端面を横切り端子部の他面側に折
り曲げられるか、または溶接された一面側において端子
部近傍で端子部付け根方向に向けて折り返された第１折
り曲げ部と、端子部付け根近傍でリードの引き出し方向
に向けて再度折り返された第２折り曲げ部からなる略Ｓ
字状折り曲げ部を設けると、素電池の移動に起因してリ
ード部に加わる応力は、略Ｓ字状折り曲げ部の屈伸や変
形により速やかに解消され、リード端子の切断を良好に
防止できる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、添付図面により、本発明の
実施形態としてポリマー電解質電池に適用した例を説明
する。

【０００９】多孔性の薄い集電体１ａの片面に活物質ペ
ーストを塗着して活物質層１ｂを設けたフィルム状また
はシート状の正極１を、同じく多孔性の薄い集電体２ａ
の両面に活物質ペーストを塗着して活物質層２ｂを設け
たフィルム状またはシート状の負極２の両側に、電解質
を保持するポリマーよりなるフィルム状のセパレータ３
を介して積層一体化し、扁平な素電池４を構成する。必
要な電池容量を得るためにはこの素電池を任意数、例え
ば４〜６個積み重ねて電池群とする。素電池あるいは電
池群は、最終的に樹脂フィルム主体のラミネートシート
で構成される袋状の外装ケース７内に収容され、密封さ
れる。素電池の２枚の正極の端子部１ｃは重ねられた状
態で、１枚の負極の端子部２ｃはそのままで、そこに薄
板からなる正、負極のリード端子８，９の一端がそれぞ
れ溶接される。

【００１０】図１の平面図に示すように、袋状の外装ケ
ース７は、予め長方形状のラミネートシートがその長さ
方向の中心線Ｔで二つ折りされ、上下の側縁部Ｐ１、Ｐ
２が溶着または接着されている。そして端縁Ｐ３が開い
ている状態で、素電池が内部に挿入され、シール用フィ
ルム５，６で一部が取り巻かれたリード端子８，９の先
端部分がケース外に引き出された状態で、端縁Ｐ３部分
が熱溶着されてケースは密封される。

【００１１】この素電池のリード引き出し部および袋状
外装ケース７の端縁Ｐ３のシール構造は、図１の断面図
である図２に示すように構成されている。

【００１２】図２において、袋状の外装ケース７には、
フィルム状またはシート状の負極２の両側にセパレータ
３を介してフィルム状またはシート状の正極１を熱融着
によって積層一体化した扁平な素電池４が密封されてい
る。もちろん、素電池を複数積み重ねた電極群を密封し
てもよい。

【００１３】多孔性の正極集電体１ａは、アルミニウム
箔を素材としたパンチングメタルまたはラスメタルから
なり、その表面にはアセチレンブラックやケッチェンブ
ラックなどの炭素粉末とポリフッ化ビニリデンなどの結
着剤との混合物からなる導電性塗膜が形成されている。
また、負極集電体２ａは銅箔を素材としたパンチングメ
タルまたはラスメタルからなり、その表面には前記正極
集電体１ａと同様の導電性塗膜が形成されている。

【００１４】素電池を構成する２枚の正極１の集電体１
ａのそれぞれには、図１に示すように、右側端縁の偏位
（図では上方向）した位置に、正極リード端子８を接続
するための端子部１ｃが右方向に延出して形成されてい
る。負極２の集電体２ａにも右側端縁の下方向に偏位し
た位置に、負極リード端子９を接続するための端子部２
ｃが右方向に延出形成されている。

【００１５】この正極側端子部１ｃに、集電体１ａより
も厚みの厚いアルミニウム薄板で形成された正極リード
端子８の一端が、負極側端子部２ｃにも集電体２ａより
も厚みの厚い銅薄板で形成された負極リード端子９の一
端が、それぞれ溶接点Ｓで抵抗溶接または超音波溶接さ
れる。

【００１６】正極リード端子８（負極リード端子９も同
様）は、図３に拡大して示したとおり、２枚重ねられた
端子部１ｃの上側に重ねられて溶接される一端１０と、
これに連なって前記の重ねられた端子部１ｃ端面側に折
り曲げられ、端子部下面側に沿って端子部付け根方向に
折り返された第１折り曲げ部１１と、端子部付け根部付
近で再度リード引出し方向に折り返された第２折り曲げ
部１２とからなる略Ｓ字状の折り曲げ部と、この折り曲
げ部に連なり端縁Ｐ３に向かって伸び出て先端がケース
外に突出したリード部１３から構成されている。この衝
撃吸収用の略Ｓ字状の折り曲げ部はわずかな体積しか占
めなく、電池を寸法的に大きくすることなく容積的に制
約されたケース内のリード引出し空間に設けるには好適
である。

【００１７】袋状の外装ケース７は、図１、図２に示し
たように、長方形状に形成されたラミネートシート１４
を中央の折り曲げ線Ｔ部分で二つ折りし、主面１５、１
６を重ね合わせ、平行な側縁Ｐ１、Ｐ２を熱溶着して袋
状にし、素電池を内部に収容してリード端子の引き出し
を終えた後、端縁Ｐ３を最後に熱溶着する。

【００１８】衝撃や振動が素電池に加えられた際、図１
の平面図から明らかなとおり、ケースの主面と側縁Ｐ
１、Ｐ２により、これと対向した素電池の平面部と長側
端部はその移動が抑制される。シートの中央折り曲げ線
Ｔにより、ここから左側への素電池の移動も止められて
いる。ケースの端縁Ｐ３と素電池の端子部との間にはリ
ード端子引き出し用空間があり、この空間部分を素電池
が左から右に移動する。

【００１９】このとき、電池端子部とリード端子一端と
の溶接部Ｓおよびリード部１３に加わる応力は、略Ｓ字
状折り曲げ部の第２の折り曲げ部１２が、リード部１３
を巻き込んでＳ字状部を長く延ばすよう変形することで
解消される。また逆に素電池が右から左に移動する際に
受ける応力は、長く延びたＳ字状部が元の長さに戻る際
の変形力として消費され、溶接部Ｓへの応力集中による
溶接剥離やリード部の切断は生じない。なお、ラミネー
トシート１４は、アルミニウム箔等の金属箔を中央に配
し、その両面に熱融着性の樹脂フィルム、機械的強度に
優れた樹脂フィルムをラミネートしたものが使用でき
る。これらのフィルム形成樹脂としては、ポリプロピレ
ン、変性ポリプロピレン、ポリエチレン、変性ポリエチ
レン、ポリエチレンテレフタレート、熱融着性ポリイミ
ド、ポリメタクリル酸メチル等を単独で、あるいはこれ
らの２種以上の共重合樹脂として用いることができる。

【００２０】このような金属層を含むラミネートシート
は、金属箔によりガスバリアー性や遮光性が向上し、熱
融着性樹脂フィルムどうしの熱溶着で封止は容易に行え
る。

【００２１】

【実施例】次に、この発明の扁平電池の具体例を説明す
る。

【００２２】前記し、図１に示したように正極側端子部
１ｃ及び負極側端子部２ｃにそれぞれ略Ｓ字状折り曲げ
部をもった正極リード端子８、負極リード端子９の一端
が図３の状態に溶接された素電池は、袋状外装ケースの
開口部分からケース内部に挿入され、所定量の電解液が
注入された後、開口していた端縁Ｐ３を熱溶着すること
で、縦約３０ｍｍ，横約６０ｍｍ，厚さ約４ｍｍの扁平
電池に構成される。

【００２３】正、負極リード端子８、９は、いずれも電
極側端子部１ｃ、２ｃの厚みよりも厚く、例えばアルミ
ニウム製正極端子部１ｃの厚み４０μｍに対してアルミ
ニウム薄板製リード端子８は８０μｍに、銅製負極端子
部２ｃの厚み５０μｍに対して銅薄板製リード端子９は
８０μｍにそれぞれ設けられている。リード端子の厚み
を厚くすると、その一端に溶接した電極側端子部の支持
を確実にする上で、また略Ｓ字状折り曲げ部の屈伸に対
する耐久性を確保する上で有効である。なお、幅約６ｍ
ｍのリード引出し空間に臨んだリード部には長さ約２ｍ
ｍの略Ｓ字状折り曲げ部を設けた。この扁平電池をＡと
する。

【００２４】図４に拡大して示すように、正、負極リー
ド端子８、９を変更した電池をＢとした。この電池のリ
ード端子は、極板の重ねられた端子部１ｃ、２ｃの上側
に重ねられて溶接される一端１０と、これに連なって端
子部先端部分で端子部付け根方向へ反転するよう折り曲
げられた第１折り曲げ部１１と、端子部上面に沿って端
子部付け根方向に伸び、付け根部付近で再度リード引出
し方向に反転するよう折り返された第２折り曲げ部１２
とからなる略Ｓ字状の折り曲げ部と、この折り曲げ部に
連なり端縁Ｐ３に向かって伸び出て先端がケース外に突
出したリード部１３から構成されている。

【００２５】図示しないが、正、負極リード端子８、９
それぞれに略Ｓ字状折り曲げ部をもたない平板状のリー
ド端子を用意し、その一端を極板の重ねられた端子部の
上側に重ねて溶接した電池をＣとした。

【００２６】これら電池Ａ、Ｂ、Ｃを各２０個ずつ用意
し、それぞれ所定の同一サイズの樹脂製外装ケースに収
容した状態で落下試験を行い、衝撃、振動によるリード
端子部分の切断、溶接剥離を調べた。試験内容は、３０
ｃｍの高さからコンクリート面上に電池を上下前後左右
の６面状態でそれぞれ落下させることを１サイクルとし
てこれを５０サイクル繰り返し、１０サイクル毎に開放
電池電圧を調べた。

【００２７】その結果、電池Ａ、Ｂは５０サイクル経過
後でも試験前と同等の開放電池電圧を示し、衝撃、振動
によるリード端子部分の切断、溶接剥離は生じなかっ
た。一方電池Ｃは２０サイクル時点で２０個中１０個に
電圧異常が見られ、３０サイクル時点で２０個全数に電
圧異常が見られた。電池Ｃを分解して調べたところ、い
ずれの電池もリード端子の溶接部近く、ケース端縁でシ
ールされた部分の近くが変形引っ張りによる金属疲労で
切断していた。

【００２８】

【発明の効果】以上の説明の通り本発明では、正、負極
端子部にそれぞれ一端が溶接されたリード端子に略Ｓ字
状折り曲げ部を設けて、この部分の屈伸変形により落下
衝撃時に電池に加わる移動応力を吸収解消して、リード
端子の切断をなくしたものであり、信頼性の高い扁平電
池を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態における扁平電池の構成を示
す平面図

【図２】同電池の断面図

【図３】リード端子の構造と取り付け状態を示す拡大断
面図

【図４】別なリード端子の構造と取り付け状態を示す拡
大断面図

【符号の説明】

１正極２負極３セパレータ４素電池７外装ケース８正極リード端子９負極リード端子１０リードの一端１１第１折り曲げ部１２第２折り曲げ部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者吉尾英明大阪府門真市大字門真1006番地松下電器産業株式会社内Ｆターム(参考） 5H011 AA01 AA13 BB03 FF04 5H022 AA09 BB02 BB11 CC02 CC08 CC12 KK03

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】それぞれフィルム状またはシート状の正
極、電解質を保持するポリマーよりなるセパレータおよ
び負極を積層一体化した扁平な素電池と、樹脂フィルム主体のラミネートシートで構成され、前記
素電池を内部に密封した外装ケースとからなる電池であ
って、各素電池の正極および負極は、それぞれの端子部に一端
が溶接され、他端が外装ケース外に引き出されたリード
端子をそれぞれ備え、このリード端子は溶接された一端に連なって、前記端子
部の付け根方向に折り返されかつ付け根近傍でリードの
引き出し方向に再度折り返された略Ｓ字状折り曲げ部を
もっている扁平電池。
【請求項２】リード端子は、正極および負極それぞれ
の端子部の上下いずれか一面側に一端が溶接され、この
一端に連なって前記端子部端面を横切り端子部の他面側
から端子部付け根方向に折り返された第１折り曲げ部
と、端子部付け根近傍でリードの引き出し方向に再度折
り返された第２折り曲げ部からなる略Ｓ字状折り曲げ部
をもっている請求項１記載の扁平電池。
【請求項３】リード端子は、正極および負極それぞれ
の端子部の上下いずれか一面側に一端が溶接され、端子
部の先端近傍で端子部付け根方向に折り返された第１折
り曲げ部と、端子部付け根近傍でリードの引き出し方向
に再度折り返された第２折り曲げ部からなる略Ｓ字状折
り曲げ部をもっている請求項１記載の扁平電池。
【請求項４】リード端子は、正極および負極それぞれ
の端子部を構成する集電体と同材質で形成されていて、
その厚さは前記端子部のそれよりも厚く設けられている
請求項１〜３のいずれかに記載の扁平電池。
【請求項５】それぞれフィルム状またはシート状の正
極、電解質を保持するポリマーよりなるセパレータおよ
び負極を積層一体化した扁平な素電池を任意数積み重ね
た電池群と、樹脂フィルム主体のラミネートシートで構成され、前記
電池群を内部に密封した外装ケースとからなる電池であ
って、電池群を構成する各素電池の正極および負極は、それぞ
れの端子部が同一極性どうしで重ねられた部分に一端が
溶接され、他端が外装ケース外に引き出されたリード端
子をそれぞれ備え、このリード端子は溶接された一端に連なって、前記端子
部の先端近傍で端子部の付け根方向に折り返された第１
折り曲げ部と、端子部付け根近傍でリードの引き出し方
向に再度折り返された第２折り曲げ部からなる略Ｓ字状
折り曲げ部をもっている扁平電池。