JP2000212864A - エアベルトカバー用たて編み物 - Google Patents

エアベルトカバー用たて編み物

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JP2000212864A
JP2000212864A JP11276855A JP27685599A JP2000212864A JP 2000212864 A JP2000212864 A JP 2000212864A JP 11276855 A JP11276855 A JP 11276855A JP 27685599 A JP27685599 A JP 27685599A JP 2000212864 A JP2000212864 A JP 2000212864A
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    • B60R21/02Occupant safety arrangements or fittings, e.g. crash pads
    • B60R21/16Inflatable occupant restraints or confinements designed to inflate upon impact or impending impact, e.g. air bags
    • B60R21/20Arrangements for storing inflatable members in their non-use or deflated condition; Arrangement or mounting of air bag modules or components
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    • D04B21/20Warp knitting processes for the production of fabrics or articles not dependent on the use of particular machines; Fabrics or articles defined by such processes specially adapted for knitting articles of particular configuration
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B60R21/02Occupant safety arrangements or fittings, e.g. crash pads
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膨張可能なエアベルトを構成する、帯状とな
るように折り畳まれた袋状ベルトを被覆するためのエア
ベルトカバー用のたて編み物として、優れた耐ラン性を
具備するエアベルトカバー用たて編み物を提供する。 【解決手段】 編み糸20とこの編み糸20に挿入した
挿入糸30を備えるエアベルトカバー用たて編み物にお
いて、挿入糸30が3列以上の縦列に絡まっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両衝突時等に車
両乗員を保護するために、シートベルトの一部を袋状ベ
ルトとし、ガス発生装置からのガスによって該袋状ベル
トを膨張させるようにしたエアベルト装置の該袋状ベル
トを被覆するためのエアベルトカバー用のたて編み物に
関する。
【0002】
【従来の技術及び先行技術】この種のエアベルト装置と
して、本出願人は、先に、膨張可能なエアベルトと、該
エアベルト内にガスを供給して膨張させるガス発生器と
を備えてなり、該エアベルトは、帯状となるように折り
畳まれた袋状ベルトと、該袋状ベルトを囲んでいるカバ
ーとを備えてなるエアベルト装置において、該カバー
は、エアベルトの長手方向には殆ど伸長せず、エアベル
トの膨張方向に伸長し、且つこのエアベルト膨張方向に
伸長することによりエアベルト長手方向の長さを小さく
するエアベルト装置を提案した(特願平9−23690
3号。以下「先願」という。)。
【0003】以下図面を参照して先願のエアベルト装置
について説明する。第1図(a)は先願のエアベルト装
置を備えた車両内部の斜視図、第1図(b)はこのエア
ベルト装置を示す斜視図である。第2図(a)はショル
ダーベルトとラップベルトとの連結部付近の平面図、第
2図(b)は袋状ベルトの平面図、第2図(c),
(d),(e)はそれぞれ第2図(a)のC−C線、D
−D線、E−E線に沿う断面図である。第3図(a)は
エアベルトが膨張した状態におけるショルダーベルトの
平面図、第3図(b)は膨張した状態の袋状ベルトの平
面図、第3図(c)及び(d)は第3図(a)のC−C
線、D−D線に沿う断面図である。第4図はエアベルト
のカバーの編み方の説明図である。
【0004】このエアベルト装置1は、乗員の右側から
左側へ斜めに延設されるショルダーベルト2と、乗員の
右側から左側へ延設されるラップベルト3と、車体床部
等に配設されたバックル装置4と、ベルト装着時にバッ
クル装置4に挿入係止されるタング5と、ショルダーベ
ルト2を案内する中間ガイド6とを備えている。
【0005】ショルダーベルト2は、従来の一般的なシ
ートベルトと同様のノーマルベルトで構成されたウェビ
ング2Aと、このウェビング2Aの一端に連結されたエ
アベルト2Bとから構成されている。ウェビング2Aは
中間ガイド6に摺動自在に案内掛通されている。ウェビ
ング2Aの他端は、車体に固定された緊急時ロック機構
付きシートベルトリトラクタ(ELR)7に連結されて
いる。このシートベルトリトラクタ7にウェビング2A
は巻き取り可能とされている。
【0006】エアベルト2Bは乗員が当接する部分に位
置するようになっており、ウェビング2Aとの連結端部
と反対側の端部がタング5に連結されている。
【0007】ラップベルト3は、一般的なシートベルト
と同様のノーマルベルトにより形成され、その一端がタ
ング5に連結されているとともに、他端が車体に固定さ
れたシートベルトリトラクタ(ELR)8に連結されて
いる。更にバックル装置4には、車両衝突時等の緊急必
要時に作動して高圧のガスを発生するガス発生装置9が
連結されている。
【0008】タング5及びバックル装置4には、ガス発
生装置9からのガスをエアベルト2Bに導くための通路
が設けられている。
【0009】第2図及び第3図に示される通り、エアベ
ルト2Bは、袋状ベルト10と、該袋状ベルト10を囲
んでいる筒状のニットカバー12とを備えている。袋状
ベルト10は、シートに座った乗員の胸から腹にかけた
部分が広がった形状を有しており、第2図に示すよう
に、この広がった部分を折り畳むことにより長い帯状と
される。なお、11は袋状ベルト10の縫目である。
【0010】ニットカバー12は幅方向には柔軟に伸縮
するが、長手方向には殆ど伸長しない構成のものとなっ
ている。第4図(a),(b)はそれぞれこのニットカ
バーの編み方を示すものである。
【0011】第4図(a)は編み糸20よりなる通常の
たて編み物であり、複数本の編み糸20(20A〜20
D)がループRをつくっている。各ループRは図の上か
ら下に向って左方及び右方に交互に配置されている。各
ループRの先端側(例えばループRB2の先端側)は隣
接する編み糸のループの付け根部分(例えばループRA
1の付け根部分)に巻き付き、基端側には隣接する編み
糸のループの先端側(例えばループRA3の先端側)が
巻き付いている。従って、図の上下方向においてはルー
プRが連続して配置され、上下方向に左側の編み糸のル
ープ、右側の編み糸のループが交互に配列されている。
即ち、上からループRA1,RB2,RA3の順で並ん
でいる。
【0012】第4図(b)は編み糸20に挿入糸30を
入れることにより強度を高め且つ薄くしうるようにした
ものである。この挿入糸30は、この上下方向に連なる
ループの列に沿って且つ編み糸20同士との交点を編み
物の表側から裏側及び裏側から表側へ交互に通り抜ける
ように編み込まれている。図示の通り、この挿入糸30
は編みの1列の縦列に絡んでいる。
【0013】このエアベルト2Bとラップベルト3はタ
ングに接合されている。ニットカバー12はウェビング
2Aとタング5の双方に接合されており、エアベルトに
加えられる引張負荷を負担するよう構成されている。
【0014】バックル装置4にタング5を装着した状態
でガス発生装置9が作動すると、エアベルト2Bが膨張
する。この際、ニットカバー12のエアベルト2B長手
方向の長さが短くなり、エアベルト2Bが乗員に密着
し、乗員をきわめて確実に保護することが可能となる。
【0015】第5図は、第4図(b)に示す挿入糸30
を用いたたて編み物よりなるニットカバー12がエアベ
ルト2B(袋状ベルト10)の膨張時にその長手方向の
長さが短かくなる状況を示している。上記の通り、この
ニットカバー12は加熱延伸加工が施されることにより
ベルト長手方向へは殆ど伸びないものとなっている。袋
状ベルト10が膨らんだときにニットカバー12の編目
が横方向に広がり、その結果としてニットカバー12が
長手方向に縮み、エアベルト2Bの長手方向の長さが短
くなる。
【0016】かかるエアベルト装置にあっては、ガス発
生器が作動してエアベルトが膨張した場合、カバーも膨
張する。このカバーはエアベルト長手方向には殆ど伸長
しないため、エアベルト膨張時に長さが短くなる。この
ように、エアベルトの長さが短くなる結果、エアベルト
が強く乗員にフィットするようになる。このため乗員を
確実に保護することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
挿入糸を有したエアベルトカバー用たて編み物のラン
(伝線)の耐性を高めることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のエアベルトカバ
ー用たて編み物は、膨張可能なエアベルトを構成する、
帯状となるように折り畳まれた袋状ベルトを被覆するた
めのエアベルトカバー用のたて編み物であって、編み糸
とこの編み糸に挿入された挿入糸とを備えるエアベルト
カバー用たて編み物において、該挿入糸を編みの縦列に
対し3列以上絡ませたことを特徴とするものである。
【0019】かかる本発明のエアベルトカバー用たて編
み物では、挿入糸を3個以上の編み縦列に対し絡ませた
ことにより、ランに対する耐性が著しく向上する。
【0020】本発明では、基本編み組織に対し、鎖編み
の部分を少なくとも2回以上連続させることが好まし
い。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に第6,7図を参照して本発
明の実施の形態を説明する。
【0022】本発明のエアベルトカバー用たて編み物
は、通常のたて編み物の編み糸20に挿入糸30を入れ
たものであり、基本編み地に対して、1本の挿入糸30
が各々上下方向に連なるループの3列の縦列に絡むよう
に編み込まれている。
【0023】第6図(a)では縦列の鎖編みが縦列方向
には連続していない。即ち、編み糸は1個の鎖編み(ル
ープ)を形成すると直ちに隣りの縦列にシフトしてその
縦列で1個の鎖編み(ループ)を形成し次いでまた元の
縦列に戻り、これを繰り返している。第6図(b)では
縦列の鎖編みが縦列方向に2個連なっている。即ち、編
み糸は1本の縦列で上下方向に連なる2個の鎖編み(2
個のループ)を形成した後、隣りの縦列にシフトし、そ
の縦列で2個の鎖編み(ループ)を形成し再び元の縦列
に戻るという繰り返しになっている。
【0024】第6図(c)では、縦列の鎖編みは縦列方
向にのみ連続しており、隣りの縦列同士は挿入糸によっ
てのみ連結されている。
【0025】第6図(a)〜(c)のいずれの編み組織
においても挿入糸は3縦列に渡って絡んでいる。例え
ば、左、中、右の3縦列において挿入糸は左→中→右→
中→左中→右→中(以下、繰り返し)の順に3個の縦列
に絡んでいる。
【0026】このように挿入糸を3縦列に絡ませること
により、ランが防止される。なお、第7図は挿入糸が無
い比較例におけるランの発生状況を示す模式図である。
(a)図のように糸切れが起り、ループの絡みが1ヶ所
において無くなると、(b)図、(c)図のように次々
とループが外れ、裂目が広がる。挿入糸を設けることに
よりこの裂け目の拡大が防止されるのであるが、挿入糸
を3列以上の縦列に絡ませることにより、この裂目の拡
張がきわめて確実に防止されるようになる。
【0027】本発明では、挿入糸30は3〜6列の縦列
に絡まっていることが好ましい。
【0028】なお、本発明においては、編み糸及び挿入
糸(以下、これらを「構成糸」と総称する。)は、ポリ
アミド又はポリエステル糸等の熱可塑性合成フィラメン
ト糸よりなり、原糸強度8.0g/d以上のものが好ま
しい。
【0029】また、本発明においては、構成糸は、5〜
10dの細いフィラメントで構成されるのが好ましく、
特に好ましくは、挿入糸としては、5〜10dのフィラ
メント100〜300本よりなる1000〜3000d
の糸条を2本引き揃えて3000d以下としたものを用
い、編み糸としては、5〜10dのフィラメント30〜
300本よりなる250〜1500dの糸条を上記挿入
糸のデニール数よりも小さくしたものを用いるのが好ま
しい。
【0030】また、本発明のエアベルトカバー用たて編
み物は、ヒートセットによる加熱延伸加工を施すこと
で、伸度設定や幅調整を行うのが好ましい。
【0031】なお、本発明においては、要求される引張
強度特性から挿入糸の本数を決定するのが好ましい。
【0032】本発明のエアベルトカバー用たて編み物
は、上記構成により、好ましくは、厚さ1.0〜2.0
mmで、100kPa時の横方向(ウェール)の伸びに
よる長さ方向(コート)に発生する張力(以下、この張
力を「長さ規制張力」と称す。)が200〜600kg
fとなるように製作される。
【0033】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、エアベル
ト装置のニットカバーとしての優れた耐ラン性を具備し
たエアベルトカバー用たて編み物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】先願に係るエアベルト装置を備えた座席の斜視
図と、該エアベルト装置の斜視図である。
【図2】エアベルトの構成図である。
【図3】エアベルトの膨張時の構成図である。
【図4】ニットカバーの編み方の説明図である。
【図5】エアベルトの平常時と膨張時の状態を対比して
示す説明図である。
【図6】実施の形態に係るエアベルトカバー用たて編み
物の構成図(編み組織図)である。
【図7】ランの発生状況の説明図である。
【符号の説明】
1 エアベルト装置 2 ショルダーベルト 2A ウェビング 2B エアベルト 3 ラップベルト 4 バックル装置 5 タング 6 中間ガイド 7,8 シートベルトリトラクタ 9 ガス発生装置 10 袋状ベルト 12 ニットカバー 20 編み糸 30 挿入糸
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月1日(1999.11.
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 エアベルトカバー用たて編み物
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両衝突時等に車
両乗員を保護するために、シートベルトの一部を袋状ベ
ルトとし、ガス発生装置からのガスによって該袋状ベル
トを膨張させるようにしたエアベルト装置の該袋状ベル
トを被覆するためのエアベルトカバー用のたて編み物に
関する。
【0002】
【従来の技術及び先行技術】この種のエアベルト装置と
して、本出願人は、先に、膨張可能なエアベルトと、該
エアベルト内にガスを供給して膨張させるガス発生器と
を備えてなり、該エアベルトは、帯状となるように折り
畳まれた袋状ベルトと、該袋状ベルトを囲んでいるカバ
ーとを備えてなるエアベルト装置において、該カバー
は、エアベルトの長手方向には殆ど伸長せず、エアベル
トの膨張方向に伸長し、且つこのエアベルト膨張方向に
伸長することによりエアベルト長手方向の長さを小さく
するエアベルト装置を提案した(特願平9−23690
3号。以下「先願」という。)。
【0003】以下図面を参照して先願のエアベルト装置
について説明する。第1図(a)は先願のエアベルト装
置を備えた車両内部の斜視図、第1図(b)はこのエア
ベルト装置を示す斜視図である。第2図(a)はショル
ダーベルトとラップベルトとの連結部付近の平面図、第
2図(b)は袋状ベルトの平面図、第2図(c),
(d),(e)はそれぞれ第2図(a)のC−C線、D
−D線、E−E線に沿う断面図である。第3図(a)は
エアベルトが膨張した状態におけるショルダーベルトの
平面図、第3図(b)は膨張した状態の袋状ベルトの平
面図、第3図(c)及び(d)は第3図(a)のC−C
線、D−D線に沿う断面図である。第4図はエアベルト
のカバーの編み方の説明図である。
【0004】このエアベルト装置1は、乗員の右側から
左側へ斜めに延設されるショルダーベルト2と、乗員の
右側から左側へ延設されるラップベルト3と、車体床部
等に配設されたバックル装置4と、ベルト装着時にバッ
クル装置4に挿入係止されるタング5と、ショルダーベ
ルト2を案内する中間ガイド6とを備えている。
【0005】ショルダーベルト2は、従来の一般的なシ
ートベルトと同様のノーマルベルトで構成されたウェビ
ング2Aと、このウェビング2Aの一端に連結されたエ
アベルト2Bとから構成されている。ウェビング2Aは
中間ガイド6に摺動自在に案内掛通されている。ウェビ
ング2Aの他端は、車体に固定された緊急時ロック機構
付きシートベルトリトラクタ(ELR)7に連結されて
いる。このシートベルトリトラクタ7にウェビング2A
は巻き取り可能とされている。
【0006】エアベルト2Bは乗員が当接する部分に位
置するようになっており、ウェビング2Aとの連結端部
と反対側の端部がタング5に連結されている。
【0007】ラップベルト3は、一般的なシートベルト
と同様のノーマルベルトにより形成され、その一端がタ
ング5に連結されているとともに、他端が車体に固定さ
れたシートベルトリトラクタ(ELR)8に連結されて
いる。更にバックル装置4には、車両衝突時等の緊急必
要時に作動して高圧のガスを発生するガス発生装置9が
連結されている。
【0008】タング5及びバックル装置4には、ガス発
生装置9からのガスをエアベルト2Bに導くための通路
が設けられている。
【0009】第2図及び第3図に示される通り、エアベ
ルト2Bは、袋状ベルト10と、該袋状ベルト10を囲
んでいる筒状のニットカバー12とを備えている。袋状
ベルト10は、シートに座った乗員の胸から腹にかけた
部分が広がった形状を有しており、第2図に示すよう
に、この広がった部分を折り畳むことにより長い帯状と
される。なお、11は袋状ベルト10の縫目である。
【0010】ニットカバー12は幅方向には柔軟に伸縮
するが、長手方向には殆ど伸長しない構成のものとなっ
ている。第4図(a),(b)はそれぞれこのニットカ
バーの編み方を示すものである。
【0011】第4図(a)は編み糸20よりなる通常の
たて編み物であり、複数本の編み糸20(20A〜20
D)がループRをつくっている。各ループRは図の上か
ら下に向って左方及び右方に交互に配置されている。各
ループRの先端側(例えばループRB2の先端側)は隣
接する編み糸のループの付け根部分(例えばループR
A1の付け根部分)に巻き付き、基端側には隣接する編
み糸のループの先端側(例えばループRA3の先端側)
が巻き付いている。従って、図の上下方向においてはル
ープRが連続して配置され、上下方向に左側の編み糸の
ループ、右側の編み糸のループが交互に配列されてい
る。即ち、上からループRA1,RB2,R A3の順で
並んでいる。
【0012】第4図(b)は編み糸20に挿入糸30を
入れることにより強度を高め且つ薄くしうるようにした
ものである。この挿入糸30は、この上下方向に連なる
ループの列に沿って且つ編み糸20同士との交点を編み
物の表側から裏側及び裏側から表側へ交互に通り抜ける
ように編み込まれている。図示の通り、この挿入糸30
は編みの1列の縦列に絡んでいる。
【0013】このエアベルト2Bとラップベルト3はタ
ングに接合されている。ニットカバー12はウェビング
2Aとタング5の双方に接合されており、エアベルトに
加えられる引張負荷を負担するよう構成されている。
【0014】バックル装置4にタング5を装着した状態
でガス発生装置9が作動すると、エアベルト2Bが膨張
する。この際、ニットカバー12のエアベルト2B長手
方向の長さが短くなり、エアベルト2Bが乗員に密着
し、乗員をきわめて確実に保護することが可能となる。
【0015】第5図は、第4図(b)に示す挿入糸30
を用いたたて編み物よりなるニットカバー12がエアベ
ルト2B(袋状ベルト10)の膨張時にその長手方向の
長さが短かくなる状況を示している。上記の通り、この
ニットカバー12は加熱延伸加工が施されることにより
ベルト長手方向へは殆ど伸びないものとなっている。袋
状ベルト10が膨らんだときにニットカバー12の編目
が横方向に広がり、その結果としてニットカバー12が
長手方向に縮み、エアベルト2Bの長手方向の長さが短
くなる。
【0016】かかるエアベルト装置にあっては、ガス発
生器が作動してエアベルトが膨張した場合、カバーも膨
張する。このカバーはエアベルト長手方向には殆ど伸長
しないため、エアベルト膨張時に長さが短くなる。この
ように、エアベルトの長さが短くなる結果、エアベルト
が強く乗員にフィットするようになる。このため乗員を
確実に保護することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
挿入糸を有したエアベルトカバー用たて編み物のラン
(伝線)の耐性を高めることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のエアベルトカバ
ー用たて編み物は、膨張可能なエアベルトを構成する、
帯状となるように折り畳まれた袋状ベルトを被覆するた
めのエアベルトカバー用のたて編み物であって、編み糸
とこの編み糸に挿入された挿入糸とを備えるエアベルト
カバー用たて編み物において、該挿入糸を編みの縦列に
対し3列以上絡ませると共に、基本編み組織に対し、鎖
編みの部分を少なくとも2回以上連続させたことを特徴
とするものである。
【0019】かかる本発明のエアベルトカバー用たて編
み物では、挿入糸を3個以上の編み縦列に対し絡ませ絡
ませると共に、基本編み組織に対し、鎖編みの部分を少
なくとも2回以上連続させたことにより、ランに対する
耐性が著しく向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に第6,7図を参照して本発
明の実施の形態を説明する。
【0021】本発明のエアベルトカバー用たて編み物
は、通常のたて編み物の編み糸20に挿入糸30を入れ
たものであり、基本編み地に対して、1本の挿入糸30
が各々上下方向に連なるループの3列の縦列に絡むよう
に編み込まれている。
【0022】第6図(a)では縦列の鎖編みが縦列方向
に2個連なっている。即ち、編み糸は1本の縦列で上下
方向に連なる2個の鎖編み(2個のループ)を形成した
後、隣りの縦列にシフトし、その縦列で2個の鎖編み
(ループ)を形成し再び元の縦列に戻るという繰り返し
になっている。
【0023】第6図()では、縦列の鎖編みは縦列方
向にのみ連続しており、隣りの縦列同士は挿入糸によっ
てのみ連結されている。
【0024】第6図(a)〜()のいずれの編み組織
においても挿入糸は3縦列に渡って絡んでいる。例え
ば、左、中、右の3縦列において挿入糸は左→中→右→
中→左中→右→中(以下、繰り返し)の順に3個の縦列
に絡んでいる。
【0025】このように挿入糸を3縦列に絡ませること
により、ランが防止される。なお、第7図は挿入糸が無
い比較例におけるランの発生状況を示す模式図である。
(a)図のように糸切れが起り、ループの絡みが1ヶ所
において無くなると、(b)図、(c)図のように次々
とループが外れ、裂目が広がる。挿入糸を設けることに
よりこの裂け目の拡大が防止されるのであるが、挿入糸
を3列以上の縦列に絡ませることにより、この裂目の拡
張がきわめて確実に防止されるようになる。
【0026】本発明では、挿入糸30は3〜6列の縦列
に絡まっていることが好ましい。
【0027】なお、本発明においては、編み糸及び挿入
糸(以下、これらを「構成糸」と総称する。)は、ポリ
アミド又はポリエステル糸等の熱可塑性合成フィラメン
ト糸よりなり、原糸強度8.0g/d以上のものが好ま
しい。
【0028】また、本発明においては、構成糸は、5〜
10dの細いフィラメントで構成されるのが好ましく、
特に好ましくは、挿入糸としては、5〜10dのフィラ
メント100〜300本よりなる1000〜3000d
の糸条を2本引き揃えて3000d以下としたものを用
い、編み糸としては、5〜10dのフィラメント30〜
300本よりなる250〜1500dの糸条を上記挿入
糸のデニール数よりも小さくしたものを用いるのが好ま
しい。
【0029】また、本発明のエアベルトカバー用たて編
み物は、ヒートセットによる加熱延伸加工を施すこと
で、伸度設定や幅調整を行うのが好ましい。
【0030】なお、本発明においては、要求される引張
強度特性から挿入糸の本数を決定するのが好ましい。
【0031】本発明のエアベルトカバー用たて編み物
は、上記構成により、好ましくは、厚さ1.0〜2.0
mmで、100kPa時の横方向(ウェール)の伸びに
よる長さ方向(コート)に発生する張力(以下、この張
力を「長さ規制張力」と称す。)が200〜600kg
fとなるように製作される。
【0032】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、エアベル
ト装置のニットカバーとしての優れた耐ラン性を具備し
たエアベルトカバー用たて編み物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】先願に係るエアベルト装置を備えた座席の斜視
図と、該エアベルト装置の斜視図である。
【図2】エアベルトの構成図である。
【図3】エアベルトの膨張時の構成図である。
【図4】ニットカバーの編み方の説明図である。
【図5】エアベルトの平常時と膨張時の状態を対比して
示す説明図である。
【図6】実施の形態に係るエアベルトカバー用たて編み
物の構成図(編み組織図)である。
【図7】ランの発生状況の説明図である。
【符号の説明】 1 エアベルト装置 2 ショルダーベルト 2A ウェビング 2B エアベルト 3 ラップベルト 4 バックル装置 5 タング 6 中間ガイド 7,8 シートベルトリトラクタ 9 ガス発生装置 10 袋状ベルト 12 ニットカバー 20 編み糸 30 挿入糸
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膨張可能なエアベルトを構成する、帯状
    となるように折り畳まれた袋状ベルトを被覆するための
    エアベルトカバー用のたて編み物であって、編み糸とこ
    の編み糸に挿入された挿入糸とを備えるエアベルトカバ
    ー用たて編み物において、 該挿入糸を編みの縦列に対し3列以上絡ませたことを特
    徴とするエアベルトカバー用たて編み物。
  2. 【請求項2】 請求項1において、基本編み組織に対し
    鎖編みの部分を少なくとも2回以上連続させたことを特
    徴とするエアベルトカバー用たて編み物。
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