JP2000212380A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形体

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JP2000212380A
JP2000212380A JP11019045A JP1904599A JP2000212380A JP 2000212380 A JP2000212380 A JP 2000212380A JP 11019045 A JP11019045 A JP 11019045A JP 1904599 A JP1904599 A JP 1904599A JP 2000212380 A JP2000212380 A JP 2000212380A
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thermoplastic resin
vinyl
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Ryoji Mori
亮 二 森
Akira Todo
堂 昭 藤
Masaaki Ogisawa
澤 雅 明 扇
Ryuichi Sugimoto
本 隆 一 杉
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、[I]プ
ラグフロー型反応槽において、特定の極限粘度およびM
w/Mnを有するエチレン系重合体(A)に、ビニル単量
体(B)を、塊状重合法、塊状懸濁重合法および溶液重合
法のいずれかの重合法を用いて連続的にグラフト重合し
て得られるビニル化合物変性エチレン系重合体と、[I
I]60℃より高いTgを有するポリマーを与える、ビ
ニル単量体(C)をプロピレン系重合体(D)にグラフトした
ビニル化合物変性プロピレン系重合体と、[III]引張弾
性率が800MPa以上である極性基含有樹脂とを特定
割合で含有してなる。本発明の成形体は、上記組成物か
らなる。 【効果】本発明によれば、剛性および表面硬度と、耐衝
撃性および耐傷付き性とのバランスに優れた熱可塑性樹
脂組成物およびその成形体を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ポリプロピレンに、ビニ
ル化合物変性エチレン系重合体と他の極性基含有樹脂を
配合した熱可塑性樹脂組成物およびその成形体に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリプロピレンは、剛性、硬度お
よび耐熱性などに優れており、射出成形、カレンダー成
形、押出成形などの種々の成形方法によって容易に所望
する形状にすることができ、しかも安価であるため、広
範な用途、たとえば家電製品のハウジング、フィルム用
途、容器用途、自動車内装用途、フェンダー、バンパ
ー、サイドモール、マッドガード、ミラーカバー等の自
動車外装用途、一般雑貨用途などに広く利用されてい
る。
【0003】また、このような種々の用途に応じて、ポ
リプロピレンに、ポリエチレンあるいはゴム成分たとえ
ばポリイソブチレン、ポリブタジエン、非晶性あるいは
低結晶性エチレン・1-ブテン共重合体(EBR)などを
配合して耐衝撃性を改善したポリプロピレン組成物も知
られているが、ゴム成分の配合により剛性、表面硬度が
低下するという問題がある。。
【0004】上記のようなゴム成分の配合により低下す
る剛性、表面硬度を補うために、ポリプロピレンに、ゴ
ム成分とともにタルクなどの無機充填剤や結晶造核剤を
添加したポリプロピレン組成物も知られているが、これ
らの組成物では、耐傷付き性はいずれも改良されないた
め、家電用途、自動車の外装部品用としては性能が充分
とはいえない。
【0005】本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意
研究した結果、特定の方法で調製したビニル化合物変性
エチレン系重合体を、特定のビニル化合物変性プロピレ
ン系重合体および特定の極性基含有樹脂に特定の割合で
配合すると、剛性および表面硬度と、耐衝撃性および耐
傷付き性とのバランスに優れた成形体を製造できる熱可
塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、剛性および表面
硬度と、耐衝撃性および耐傷付き性とのバランスに優れ
た成形体を製造できる熱可塑性樹脂組成物およびその成
形体を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、
[I]プラグフロー型反応槽において、135℃のデカ
リン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl
/gの範囲にあり、かつ、GPCにより測定した分子量
分布(Mw/Mn)が4以下であるエチレン系重合体
(A)に、ビニル単量体(B)を、塊状重合法、塊状懸
濁重合法および溶液重合法のいずれかの重合法を用いて
連続的にグラフト重合して得られるビニル化合物変性エ
チレン系重合体:1〜50重量部と、[II]60℃より
高いガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを与え
る、ビニル単量体(C)をプロピレン系重合体(D)に
グラフトしたビニル化合物変性プロピレン系重合体:4
9〜98重量部と、[III]引張弾性率が800MPa以
上である極性基含有樹脂:1〜50重量部(成分
[I]、[II]および[III]の合計量は100重量部と
する)とを含有してなることを特徴としている。
【0008】前記エチレン系重合体(A)としては、エ
チレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンおよび
ポリエンの中の少なくとも1種の成分とからなるエチレ
ン系共重合体が好ましい。
【0009】前記エチレン系重合体(A)のエチレン含
量は35〜90モル%であることが好ましい。また、前
記エチレン系重合体(A)としては、下式(I)または
(II)で表わされる遷移金属錯体(a)と、イオン化イ
オン性化合物(b)、有機アルミニウム化合物(c)お
よびアルモキサン(d)の中から選択される1種以上の
化合物とからなるメタロセン系触媒を用いて調製された
共重合体が好ましい。
【0010】
【化2】
【0011】[式(I)、(II)中、Mは、Ti、Z
r、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、Cp1
およびCp2は、Mとπ結合しているシクロペンタジエ
ニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの
誘導体基であり、X1 およびX2 は、アニオン性配位
子または中性ルイス塩基配位子であり、Yは、窒素原
子、酸素原子、リン原子、または硫黄原子を含有する配
位子であり、Zは、C、O、B、S、Ge、Siまたは
Sn原子あるいはこれらの原子を含有する基である。] 前記ビニル単量体(B)およびビニル単量体(C)とし
ては、ニトリル系ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、
不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選ば
れる少なくとも1種のビニル化合物などが挙げられる。
たとえばスチレン、アクリロニトリル、無水マレイン
酸、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体からな
る群から選ばれる少なくとも1種のビニル化合物が好ま
しく用いられる。
【0012】前記プロピレン系重合体(D)のメルトフ
ローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)は、
0.1〜200g/10分であることが好ましい。前記
極性基含有樹脂[III]は、ポリカーボネート、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリス
チレンからなる群から選ばれた樹脂であることが好まし
い。
【0013】本発明に係る成形体は、上記の本発明に係
る熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴としている。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物およびその成形体は、
剛性および表面硬度と、耐衝撃性および耐傷付き性との
バランスに優れている。
【0014】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る熱可塑性樹脂
組成物およびその成形体について具体的に説明する。
【0015】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、
[I]ビニル化合物変性エチレン系重合体と、[II]ビ
ニル化合物変性プロピレン系重合体と、[III]極性基含
有樹脂とを含有している。
【0016】まず、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を
形成する各成分について説明する。 [I]ビニル化合物変性エチレン系重合体 本発明で用いられる[I]ビニル化合物変性エチレン系
重合体は、エチレン系重合体(A)のビニル単量体
(B)によるグラフト変性物である。エチレン系重合体(A) 本発明で用いられるエチレン系重合体(A)は、135
℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.0
1〜10dl/g、好ましくは0.05〜10dl/g
の範囲にあることが望ましい。エチレン系重合体(A)
の極限粘度[η]が、上記範囲内にあると、耐候性、耐
オゾン性、耐熱老化性、低温特性、耐動的疲労性などの
特性に優れたビニル化合物変性エチレン系重合体[I]
が得られる。
【0017】このエチレン系重合体(A)は、単一のガ
ラス転移温度を有し、かつ、示差走査熱量計(DSC)
によって測定したガラス転移温度(Tg)が、通常20
℃以下、好ましくは0℃以下、特に好ましくは−20℃
以下の範囲にあることが望ましい。このエチレン系重合
体(A)のガラス転移温度(Tg)が上記範囲内にある
と、耐寒性、低温特性に優れたビニル化合物変性エチレ
ン系重合体[I]が得られる。
【0018】また、エチレン系重合体(A)は、GPC
により測定した分子量分布(Mw/Mn、ポリスチレン
換算、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)
は、4.0以下であることが好ましい。エチレン系重合
体(A)のMw/Mnが上記範囲内にあると、耐傷付き
性、耐衝撃性が良好となるため好ましい。
【0019】本発明で用いられるエチレン系重合体
(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレ
フィンおよび非共役ジエン、共役ジエン等のポリエンの
中から選ばれた少なくとも一の成分とからなる共重合体
が好ましい。
【0020】上記のような炭素原子数3〜20のα- オ
レフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテ
ン、1-ヘキセン、3-メチル-1- ペンテン、3-エチル-1-
ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、1-オクテン、1-デセ
ン、1-ドデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。中で
も、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-
ペンテン、1-オクテンが好ましく用いられる。
【0021】また、ポリエンとしては、具体的には、1,
4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエ
ン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタ
ジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、
ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル
-1,6- オクタジエン、4-エチリデン-8- メチル-1,7- ノ
ナジエン等の非共役ジエン;ブタジエン、イソプレン等
の共役ジエンなどが挙げられる。中でも、ノルボルネン
骨格を有するポリエンが好ましい。
【0022】上記のようなポリエンを用いたエチレン系
重合体(A)のヨウ素価は、通常80以下、好ましくは
5〜60である。エチレン系重合体(A)としては、エ
チレン含量が35〜90モル%、好ましくは35〜80
モル%、さらに好ましくは35〜70モル%であるエチ
レン系重合体(A)が望ましい。[エチレン系重合体(A)の製造] 本発明で用いられる
エチレン系重合体(A)は、エチレンと、炭素原子数3
〜20のα- オレフィンおよび非共役ジエン等のポリエ
ンの中から選ばれた少なくとも1種の成分とを、下記に
示すメタロセン系触媒の存在下に共重合させることによ
り得られる。
【0023】このようなメタロセン系触媒としては、下
記式(I)、(II)で表わされる遷移金属錯体(a):
【0024】
【化3】
【0025】[式(I)、(II)中、Mは、Ti、Z
r、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、Cp1
およびCp2 は、Mとπ結合しているシクロペンタジエ
ニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの
誘導体基であり、X1 およびX2 は、アニオン性配位子
または中性ルイス塩基配位子であり、Yは、窒素原子、
酸素原子、リン原子、または硫黄原子を含有する配位子
であり、Zは、C、O、B、S、Ge、SiまたはSn
原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]と、
下記成分(b)、(c)および(d)の中から選択され
る1種以上の化合物と、からなる少なくとも1つの触媒
系が用いられる。 (b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性
の錯体を形成する化合物(イオン化イオン性化合物とも
言う。) (c):有機アルミニウム化合物 (d):アルモキサン。
【0026】まず、本発明で用いられる下記式(I)で
表わされる遷移金属錯体(a)について説明する。 <遷移金属錯体(a)>
【0027】
【化4】
【0028】式(I)中、Mは、Ti、Zr、Hf、R
n、Nd、SmまたはRuであり、好ましくはTi、Z
rまたはHfであり、Cp1 およびCp2 は、Mとπ結
合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フ
ルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、X1 およ
びX2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位
子であり、Zは、C、O、B、S、Ge、SiまたはS
n原子あるいはこれらの原子を含有する基である。
【0029】式(I)中、結合基Zは、特にC、O、
B、S、Ge、Si、Snから選ばれる1個の原子であ
ることが好ましく、この原子はアルキル基、アルコキシ
基などの置換基を有していてもよく、Zの置換基は、互
いに結合して環を形成していてもよい。これらのうちで
は、Zは、O、SiおよびCから選択されることが好ま
しい。
【0030】Cp1 、Cp2 は、遷移金属に配位する配
位子であり、シクロペンタジエニル基、インデニル基、
4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基な
どのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、
このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アル
キル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハ
ロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0031】X1 およびX2 は、アニオン性配位子また
は中性ルイス塩基配位子であり、具体的には、炭素原子
数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキ
シ基、スルホン酸含有基(−SO3 Ra 、ただし、Ra
はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、
アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基また
はアルキル基で置換されたアリール基である。)、ハロ
ゲン原子、水素原子などが挙げられる。
【0032】以下に、Mがジルコニウムであり、かつ、
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個含むメ
タロセン化合物を例示する。シクロヘキシリデン- ビス
(インデニル)ジメチルジルコニウム、シクロヘキシリ
デン- ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イ
ソプロピリデン- ビス(インデニル)ジルコニウムジク
ロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル- フ
ルオレニル)ジルコニウムジクリド、ジフェニルシリレ
ン- ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチ
ルフェニルシリレン- ビス(インデニル)ジルコニウム
ジクロリド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-1
- インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチル
シリレン- ビス(4,7-ジメチル-1- インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2,4,
7-トリメチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2,4,6-トリメチル-1
- インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチル
シリレン- ビス(4-フェニル-1- インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチ
ル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(α-
ナフチル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(β-ナフチ
ル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(1-アントリル)-
1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニル
メチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコ
ニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニ
ル-1- フルオレニル)ハフニウムジクロリド、イソプ
ロピル(シクロペンタジエニル-1- フルオレニル)ジル
コニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペン
タジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドな
ど。
【0033】また、上記のような化合物においてジルコ
ニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き
換えたメタロセン化合物を例示することもできる。上記
のようなメタロセン化合物は、単独でまたは2種以上組
合わせて用いることができる。
【0034】また、上記のようなメタロセン化合物は、
粒子状担体に担持させて用いることもできる。このよう
な粒子状担体としては、具体的には、SiO2 、Al2
3、B23、MgO、ZrO2 、CaO、TiO2
ZnO、SnO2 、BaO、ThOなどの無機担体、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1- ブテン、ポリ4-
メチル-1- ペンテン、スチレン- ジビニルベンゼン共重
合体などの有機担体を用いることができる。これらの粒
子状担体は、単独で、または2種以上組合わせて用いる
ことができる。
【0035】本発明では、上記式(I)で示される繊維
金属化合物(メタロセン化合物)だけでなく、下記式
(II)で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)
を用いることもできる。
【0036】
【化5】
【0037】式(II)中、Mは、周期率表第4族または
ランタニド系列の遷移金属であり、具体的には、Ti、
Zr、Hf、Rn、Nd、Sm、Ruであって、好まし
くはTi、Zr、Hfであり、Cp1 は、Mとπ結合し
ているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオ
レニル基またはそれらの誘導体基であり、X1 およびX
2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子で
あり、Yは、窒素原子、酸素原子、リン原子、または硫
黄原子を含有する配位子であり、Zは、炭素、酸素、イ
オウ、ホウ素または周期率表第14族の元素(たとえば
ケイ素、ゲルマニウムまたはスズ)であり、好ましくは
炭素、酸素、ケイ素のいずれかであり、Zは置換基を有
していてもよく、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0038】さらに詳説すると、Cp1 は、遷移金属に
配位する配位子であり、シクロペンタジエニル基、イン
デニル基、フルオレニル基あるいはそれらの誘導体基な
どのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、
このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アル
キル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハ
ロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0039】また、Zは、C、O、B、S、Ge、S
i、Snから選ばれる原子であり、Zは、アルキル基、
アルコキシ基などの置換基があってもよく、Zの置換基
は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0040】X1 およびX2 は、アニオン性配位子また
は中性ルイス塩基配位子であり、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子もしくはハロゲン原子である
か、または20個以下の炭素原子、ケイ素原子もしくは
ゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリル基もし
くはゲルミル基である。
【0041】このような式(II)で示される化合物とし
ては、具体的に、(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオ
レニル)シランチタンジメチル、(ジメチル(t-ブチル
アミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)
シリレン)チタンジクロリド、((t-ブチルアミド)
(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)-1,2- エ
タンジイル)チタンジクロリド、(ジメチル(フェニル
アミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)
シリレン)チタンジクロリド、(ジメチル(t-ブチルア
ミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)シ
リレン)チタンジメチル、(ジメチル(4-メチルフェニ
ルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニ
ル)シリレン)チタンジクロリド、(ジメチル(t-ブチ
ルアミド)(η5-シクロペンタジエニル)シリレン)チ
タンジクロリド、(テトラメチル(t-ブチルアミド)
(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)ジシリレ
ン)チタンジクロリドなどが挙げられる。
【0042】本発明においては、オレフィン重合用触媒
として、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用い
られる。次に、メタロセン系触媒を形成する (b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性
の錯体を形成する化合物(すなわちイオン化イオン性化
合物)、(c):有機アルミニウム化合物、および
(d):アルモキサン(アルミニウムオキシ化合物)に
ついて説明する。 <(b)イオン化イオン性化合物>(b)イオン化イオ
ン性化合物は、(a)遷移金属錯体成分中の遷移金属M
と反応してイオン性の錯体を形成する化合物であり、こ
のような(b)イオン化イオン性化合物としては、ルイ
ス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン
化合物を例示することができる。
【0043】ルイス酸としては、BR3 (式中、Rはフ
ッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換
基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子であ
る。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフル
オロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロ
フェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)
ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-
トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス
(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0044】イオン性化合物としては、トリアルキル置
換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジ
アルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム
塩などを挙げることができる。具体的に、トリアルキル
置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)
アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられ
る。ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ
(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ
(フェニル)ホウ素などが挙げられる。さらにイオン性
化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルア
ニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0045】ボラン化合物としては、デカボラン(1
4)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ド
デカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(II
I)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0046】カルボラン化合物としては、4-カルバノナ
ボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビ
ス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハ
イドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩
(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げら
れる。
【0047】上記のような(b)イオン化イオン性化合
物は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることがで
きる。前記(d)有機アルミニウムオキシ化合物または
(b)イオン化イオン性化合物は、上述した粒子状担体
に担持させて用いることもできる。
【0048】また触媒を形成するに際しては、(d)有
機アルミニウムオキシ化合物および/または(b)イオ
ン化イオン性化合物とともに以下のような(c)有機ア
ルミニウム化合物を用いてもよい。 <(c)有機アルミニウム化合物>(c)有機アルミニ
ウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl−
炭素結合を有する化合物が利用できる。このような化合
物としては、たとえば下記一般式で表わされる有機アル
ミニウム化合物が挙げられる。
【0049】(R1 )mAl(O(R2 ))nHpXq (式中、R1 およびR2 は、互いに同一でも異なってい
てもよく、炭素原子数が通常1〜15、好ましくは1〜
4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは
0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0
≦q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p+q
=3である。) <(d)有機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサ
ン)>(d)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公
知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−7
8687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性
の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0050】従来公知のアルミノキサン(アルモキサ
ン)は、具体的には、下記一般式で表わされる。
【0051】
【化6】
【0052】式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチ
ル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。mは
2以上の整数であり、好ましくは5〜40の整数であ
る。
【0053】ここで、アルミノキサンは式(OAl(R
1))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位お
よび式(OAl(R2))で表わされるアルキルオキシ
アルミニウム単位(ここで、R1 およびR2 は、Rと同
様の炭化水素基であり、R1およびR2 は相異なる基を
示す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位
から形成されていてもよい。
【0054】なお、(d)有機アルミニウムオキシ化合
物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分
を含有していてもよい。本発明では、上記エチレン系重
合体(A)製造用の触媒(オレフィン系触媒)として
は、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用いられ
るが、場合によっては上記メタロセン系触媒以外の、従
来より公知の(1) 固体状チタン触媒成分と有機アルミニ
ウム化合物とからなるチタン系触媒、(2) 可溶性バナジ
ウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジ
ウム系触媒を用いることもできる。
【0055】本発明では、通常、上記のようなメタロセ
ン系触媒の存在下に、エチレンとプロピレン等のα- オ
レフィンなどを通常液相で共重合させる。この際、一般
に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレンを溶媒とし
て用いてもよい。この共重合はバッチ法または連続法の
いずれの方法でも行なうことができる。
【0056】メタロセン系触媒を用い、共重合をバッチ
法で実施する場合には、重合系内の(a)遷移金属錯体
(メタロセン化合物)の濃度は、重合容積1リットル当
り、通常0.00005〜1ミリモル、好ましくは0.
0001〜0.5ミリモルの量で用いられる。
【0057】(d)有機アルミニウムオキシ化合物(ア
ルモキサン)は、(a)メタロセン化合物中の遷移金属
原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比
(Al/M)で、1〜10000、好ましくは10〜5
000となるような量で用いられる。
【0058】(b)イオン化イオン性化合物は、(a)
メタロセン化合物に対する(b)イオン化イオン性化合
物のモル比((b)/(a))で、0.5〜20、好ま
しくは1〜10となるような量で用いられる。
【0059】また、(c)有機アルミニウム化合物が用
いられる場合には、重合容積1リットル当り、通常約0
〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるよう
な量で用いられる。
【0060】共重合反応は、通常、温度が−20〜15
0℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜
100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm
2 、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2 の範囲の
条件下に行なわれる。
【0061】また、反応時間(共重合が連続法で実施さ
れる場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度な
どの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好
ましくは10分間〜1.5時間である。
【0062】上記エチレン、炭素原子数3〜20のα-
オレフィン由来の成分の共重合用モノマーは、上述のよ
うなエチレン系重合体(A)が得られるような量でそれ
ぞれ重合系に供給される。なお、共重合に際しては、水
素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0063】上記のようにしてエチレン、炭素原子数3
〜20のα- オレフィン由来の成分の共重合用モノマー
を共重合させると、エチレン系重合体(A)は、通常こ
れを含む重合液として得られる。この重合液は常法によ
り処理され、エチレン系重合体(A)が得られる。
【0064】上記のようにして得られるエチレン系重合
体(A)は、上述したように、エチレンと、炭素原子数
3〜20のα- オレフィン、ノルボルネン骨格を有する
ポリエンおよびノルボルネン骨格を有しないポリエンの
中から選ばれた1種以上の成分とから得られる共重合体
である。ビニル単量体(B) 本発明で用いられるビニル単量体(B)としては、具体
的には、芳香族ビニル単量体、たとえばスチレン;α-
メチルスチレン、o- メチルスチレン、m- メチルスチ
レン、p- メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、t-ブ
チルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ジビ
ニルベンゼン等のスチレン誘導体;また、ニトリル系ビ
ニル単量体、たとえばアクリロニトリル;α- クロロア
クリロニトリル等のアクリロニトリル誘導体;また、不
飽和カルボン酸およびその誘導体、たとえば(メタ)ア
クリル酸;メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチ
ルアクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体;マレイ
ン酸等;無水マレイン酸等のマレイン酸の誘導体;ま
た、マレイミド系単量体、たとえばN-フェニルマレイミ
ド、N-メチルフェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマ
レイミド、N-エチルマレイミドなどが挙げられる。これ
らの化合物は、グラフトモノマーとして1種単独で、あ
るいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0065】上記芳香族ビニル単量体としては、スチレ
ンまたはその誘導体が好ましく、スチレン、α- メチル
スチレン、p- メチルスチレンがより好ましく、特にス
チレン、α- メチルスチレンが好ましい。スチレンが最
も好ましい。
【0066】また、芳香族ビニル単量体以外のビニル単
量体の中では、アクリロニトリル、メチルメタクリレー
ト、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸が好ま
しく、特にアクリロニトリル、メチルメタクリレートが
好ましい。
【0067】ビニル化合物変性エチレン系重合体[I]
のグラフト量は、ビニル単量体(B)換算で、グラフト
変性前のエチレン系重合体(A)100重量%に対し
て、通常5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%
である。プラグフロー型反応槽 本発明で用いられるビニル化合物変性エチレン系重合体
[I]の製造方法では、プラグフロー型反応槽が用いら
れるが、本発明におけるプラグフロー型反応槽は、単な
る完全混合槽よりもプラグフロー(ある時刻に着目して
いる領域に同時に流入した流体部分が、他の液体部分と
混合することなく、その後も一体となって運動を続ける
流動状態(「化学工学辞典」化学工学協会編、丸善
(株)発行))に近い流動状態を発現することができる
反応槽を意味するものであり、反応槽の形式、形状を限
定するものではない。
【0068】たとえば完全混合槽であれば、複数の、好
ましくは3基以上の完全混合槽を直列に連結した反応
槽、また完全混合槽よりもプラグフローに近い管型反応
槽や塔型反応槽を意味し、特に仕切り板で複数の部分に
分離された管型反応槽や塔型反応槽を1〜3基、好まし
くは1〜2基用いることが望ましい。
【0069】上記管型反応槽、塔型反応槽としては、従
来公知の管型反応槽、塔型反応槽を用いることができ、
塔型反応槽としては、たとえば「新ポリマー製造プロセ
ス」(工業調査会、佐伯康治/尾見信三著)185頁の
図7.5に記載されている塔式反応槽などが挙げられ
る。この塔型反応槽は、原料の投入口と生成重合体の出
口を有し、この原料投入口と生成重合体の出口との間に
用いられる反応槽について、以下の液テストの結果から
プラグフロー性が試験される。
【0070】すなわち、原料の投入口より、粘度10ポ
イズの液をF(リットル/時)の速度で反応槽に供給
し、出口よりF(リットル/時)の速度で液を取り出
し、そのときの反応槽の容積をV(リットル)とし、F
=Vとして連続的に定常状態で液を流しておき、時刻t
0において突然、濃度C0(%)の赤色に着色した粘度1
0ポイズの液に切り替えたとき、時刻t1(t1はt0
り2時間経過した時間)で出口の濃度C1(%)が(C1
/C0)>0.9となる重合装置が、本発明では好まし
く用いられる。本明細書では、このような条件を満たす
重合を「プラグフロー系重合」と定義し、またこの重合
に用いる反応槽を「プラグフロー型反応槽」と定義す
る。なお、プラグフロー型反応槽は、単数の反応槽であ
ってもよいし、また複数の反応槽からなっていてもよ
い。
【0071】本発明においては、プラグフロー型反応槽
内に投入されたエチレン系重合体(A)に、ビニル単量
体(B)の全量を一括添加または分割して添加すること
ができるが、分割添加の方が、得られるビニル化合物変
性エチレン系重合体[I]の品質が優れている等の点で
好ましい。
【0072】プラグフロー型反応槽内のエチレン系重合
体(A)にビニル単量体(B)を分割添加する方法は、
特に限定されるものではないが、プラグフロー型反応槽
の原料の主投入口から出口までの間に1カ所以上、好ま
しくは複数の単量体フィード口を設けて連続、もしくは
間欠的にビニル単量体をフィードすることが望ましい。
一つのフィード口において、間欠的にビニル単量体を反
応槽内にフィードすることは、本発明でいう分割添加に
含まれない。本発明でいう分割添加とは、2カ所以上の
異なるフィード口からビニル単量体(B)を投入するこ
とを云う。プラグフロー型反応槽の原料の主投入口から
出口までに単量体フィード口が1カ所の場合は、ビニル
単量体(B)の一部は、必ず原料の主投入口からフィー
ドされる。また、2カ所以上の異なるフィード口とは、
原料の主投入口から同じ距離でもよく、たとえば塔型反
応槽を用いる場合には、反応槽胴体の同一円周上の異な
った点に2つのフィード口を設けて、これらのフィード
口からビニル単量体(B)を反応槽内にフィードする場
合も、本発明で云う分割添加に含まれる。
【0073】このようなビニル単量体(B)の分割添加
では、プラグフロー型反応槽の主投入口からフィードさ
れるビニル単量体と、主投入口から出口までの間にフィ
ードされるビニル単量体とは、同じ化合物であってもよ
いし、異なる化合物であってもよい。さらには、主投入
口から出口までの間で複数箇所からビニル単量体をフィ
ードする場合、各箇所からフィードされるビニル単量体
は、同じ化合物であってもよいし、異なる化合物であっ
てもよい。
【0074】また、プラグフロー型反応槽の主投入口か
らフィードされるビニル単量体と、主投入口から出口ま
での間にフィードされるビニル単量体との比率、および
主投入口から出口までの間で複数箇所からビニル単量体
をフィードする場合、各箇所からフィードされるビニル
単量体の比率は、特に限定されるものではなく、ビニル
単量体の全量をプラグフロー型反応槽の主投入口からフ
ィードしてもよいし、ビニル単量体の全量をプラグフロ
ー型反応槽の主投入口から出口までの間にフィードして
もよいし、適度に分割してフィードしてもよい。重合法 本発明における塊状重合法、塊状懸濁重合法および溶液
重合法は、重合反応工程に原料のエチレン系重合体
(A)およびビニル単量体(B)を供給し、グラフト重
合反応を行なわせ、生成重合体を重合反応工程より取り
出し、重合体の製品を得る重合法であって、通常溶剤を
30%以上用いる場合を「溶液重合法」と呼び、30%
未満(0%を含む)の量で用いる場合を「塊状重合法」
と呼び、30%未満の量で用い、懸濁状態である場合を
「塊状懸濁重合法」と呼ぶ。
【0075】本発明においては、不活性有機溶剤を用い
ることもでき、たとえばベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、アセトン、イソプロピルベンゼ
ン、メチルエチルケトンなどが用いられ、これらの中で
も、トルエン、エチルベンゼン、キシレンが好ましく用
いられる。
【0076】これらの有機溶剤は、エチレン系重合体
(A)、ビニル単量体(B)および有機溶剤の合計量1
00重量部に対し、通常400重量部以下、好ましくは
200重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下
の割合で用いられる。
【0077】本発明においては、上記のような重合法を
採用して、ビニル単量体(B)をエチレン系重合体
(A)にグラフト重合させるに際し、ラジカル開始剤を
用いることが好ましい。
【0078】このようなラジカル開始剤(重合開始剤)
としては、特に限定するものではないが、たとえばベン
ゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t-
ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシベン
ゾエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチ
ルパーオキシオクトエート、クミルパーオキシオクトエ
ート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5- トリメ
チルシクロヘキサンなどの有機過酸化物の使用が好まし
い。中でも、特にベンゾイルパーオキサイド、ラウロイ
ルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-
ブチルパーオキシオクトエート、1,1-ビス(t-ブチルパ
ーオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサンが好まし
く用いられる。
【0079】これらのラジカル開始剤は、エチレン系重
合体(A)、ビニル単量体(B)および有機溶剤の合計
量100重量部に対し、通常0.001〜5.0重量
部、好ましくは0.001〜3.5重量部、さらに好ま
しくは0.001〜2.0重量部の割合で用いられる。
【0080】また、本発明においては、目的物のビニル
化合物変性エチレン系重合体[I]の分子量調節のた
め、上記不活性有機溶剤のほかに、種々の連鎖移動剤を
用いることができる。たとえばα- メチルスチレンダイ
マー、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタ
ン、n-オクチルメルカプタンなど公知の連鎖移動剤が用
いられる。
【0081】これらの連鎖移動剤は、エチレン系重合体
(A)、ビニル単量体(B)および有機溶剤の合計量1
00重量部に対し、通常0.001〜5.0重量部、好
ましくは0.001〜3.5重量部、さらに好ましくは
0.01〜2.0重量部の割合で用いられる。
【0082】本発明においては、重合温度はラジカル開
始剤の使用の有無にもよるが、一般的には、好ましくは
50〜180℃、より好ましくは60〜150℃であ
り、滞留時間は、好ましくは0.2〜6時間、より好ま
しくは0.5〜4時間である。
【0083】本発明においては、重合によって得られた
ポリマー溶液を減圧乾燥することによりビニル化合物変
性エチレン系重合体[I]と、未反応のビニル単量体
(B)や不活性有機溶剤などとを回分的に分離してもよ
いし、また、得られたビニル化合物変性エチレン系重合
体[I]と、未反応のビニル単量体(B)や不活性有機
溶剤などとを連続的に分離する工程を経て、ビニル化合
物変性エチレン系重合体[I]を連続的に製造してもよ
い。
【0084】なお本発明においては、上記のようにして
得られるビニル化合物変性エチレン系重合体[I]を用
いるに当たり、必要に応じて少量生成するビニル化合物
重合体を溶媒分別などの方法で除去して用いても良い
し、除去せずに用いても良い。
【0085】本発明においては、[I]ビニル化合物変
性エチレン系重合体は、[I]ビニル化合物変性エチレ
ン系重合体、[II]ビニル化合物変性プロピレン系重合
体、および[III]極性基含有樹脂の合計量100重量部
に対して、1〜50重量部、好ましくは1〜40重量
部、さらに好ましくは1〜30重量部の割合で用いられ
る。[II]ビニル化合物変性プロピレン系重合体 本発明で用いられる[II]ビニル化合物変性プロピレン
系重合体は、ビニル単量体(C)でグラフト変性された
プロピレン系重合体(D)である。ビニル単量体(C) 本発明でグラフトモノマーとして用いられるビニル単量
体(C)は、60℃より高いガラス転移温度(Tg)を
有するポリマーを与えるビニル単量体である。このTg
は、ビニル単量体の単独重合体のDSC曲線から求めて
もよいし、また固体粘弾性測定により得られた損失正接
の最大ピークを示す温度から求めてもよい。ビニル単量
体を2種以上併用する場合には、各々のビニル単量体の
単独重合体のTgがそれぞれ60℃以上であればよい。
【0086】このようなビニル単量体(C)としては、
具体的には、芳香族ビニル単量体、より具体的には、ス
チレンおよびその誘導体、たとえばスチレン、α- メチ
ルスチレン、o- メチルスチレン、m- メチルスチレ
ン、p- メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、t-ブチ
ルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ジビニ
ルベンゼンなどが挙げられる。これらの中では、スチレ
ン、α- メチルスチレン、p- メチルスチレンが好まし
く用いられ、特にスチレンが好ましく用いられる。
【0087】ビニル単量体(C)として用いることがで
きる上記以外のビニル単量体としては、具体的には、ニ
トリル系ビニル単量体、より具体的には、アクリロニト
リル、α- クロロアクリロニトリル等のアクリロニトリ
ル誘導体;また、不飽和カルボン酸およびその誘導体、
より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸およびその
誘導体、たとえばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸n-ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系
単量体、およびマレイン酸、無水マレイン酸等のマレイ
ン酸誘導体;また、マレイミド系単量体、より具体的に
は、N-フェニルマレイミド、N-メチルフェニルマレイミ
ド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-エチルマレイミド
などが挙げられる。これらの中では、アクリロニトリ
ル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、メタクリル
酸、アクリル酸、特にアクリロニトリル、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸、アクリル酸が好ましく用いられ
る。
【0088】これらの単量体は、1種単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて用いることができる。2種類の
単量体を併用する場合、スチレンとメタクリル酸メチ
ル、スチレンとメタクリル酸、スチレンとアクリル酸、
スチレンとアクリロニトリルの組み合わせが好ましい。
【0089】ビニル化合物変性プロピレン系重合体[I
I]のグラフト量は、ビニル単量体(C)換算で、グラ
フト変性前のプロピレン系重合体(D)100重量%に
対して、通常1〜50重量%、好ましくは1〜40重量
%である。プロピレン系重合体(D) 本発明で用いられるプロピレン系重合体(D)は、メル
トフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、2.16k
g荷重)が0.1〜200g/10分であることが好ま
しく、0.1〜100g/10分であることがさらに好
ましい。
【0090】また、このプロピレン系重合体(D)の6
4℃n-デカン不溶成分量は、通常は99.9〜80重量
%であり、好ましくは99.9〜90重量%である。プ
ロピレン系重合体(D)の64℃n-デカン不溶成分は、
具体的には、試料(プロピレン系重合体)5gを、沸騰
n-デカン200cc中に5時間浸漬して溶解した後、64
℃まで冷却して、析出した固相をG4ガラスフィルター
で濾別して、固相(不溶成分)を乾燥することにより得
ることができる。
【0091】また、この64℃n-デカン不溶成分の沸騰
ヘプタン不溶成分は、下記式(1)により求められる立
体規則性指標[M5]の値が0.970〜0.995で
あり、下記式(2)により求められる立体規則性指標
[M3]の値が0.0020〜0.0050であること
が望ましい。
【0092】この沸騰ヘプタン不溶成分の立体規則性指
標[M5]は、沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRス
ペクトルにおけるPmmmm、Pw、Sαγ、Sαδ+ 、T
δ+δ+ の吸収強度から下記式(1)により求められ、
立体規則性指標[M5]は、13C−NMRスペクトルに
おけるPmmrm、Pmrmr、Pmrrr、Prmrr、Prmmr、Prr
rr、Pw、Sαγ、Sαδ+ 、Tδ+ δ+ の吸収強度か
ら下記式(2)により求められる。
【0093】
【数1】
【0094】(式中、 [Pmmmm]:プロピレン単位が5単位連続してアイソタ
クチック結合した部位における第3単位目のメチル基に
由来する吸収強度であり、 [Pw] :プロピレン単位のメチル基に由来する吸
収強度であり、 [Sαγ] :主鎖中の2級炭素であって、該2級炭素
から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がα位にあ
り、他方がγ位にあるような2級炭素に由来する吸収強
度であり、 [Sαδ+] :主鎖中の2級炭素であって、該2級炭素
から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がα位にあ
り、他方がδ位またはδ位より離れた位置にあるような
2級炭素に由来する吸収強度であり、 [Tδ+δ+ ]:主鎖中の3級炭素であって、該3級炭
素から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がδ位また
はδ位より離れた位置にあり、他方がδ位またはδ位よ
り離れた位置にあるような3級炭素に由来する吸収強度
である。)
【0095】
【数2】
【0096】「Pw]、[Sαγ」、[Sαδ+ ]およ
び[Tδ+ δ+ ]は、上記式(1)と同様である。) 上記のようなプロピレン系重合体(D)(沸騰n-ヘプタ
ン不溶成分)の立体規則性の評価に用いられる立体規則
性指標[M5 ]および[M3 ]について具体的に説明す
る。
【0097】プロピレン系重合体(D)がプロピレンの
単独重合体である場合、該不溶成分は、たとえば下記式
(A)のように表わすことができる。
【0098】
【化7】
【0099】で表わされるプロピレン単位5連鎖中の3
単位目のメチル基(たとえばMe3、Me4)に由来する
13C−NMRスペクトルにおける吸収強度をPmmmmと
し、プロピレン単位中の全メチル基(Me1、Me2、M
3・・・)に由来する吸収強度をPwとすると、上記式
(A)で表わされる沸騰ヘプタン不溶成分の立体規則性
は、PmmmmとPwとの比、すなわち下記式(1A)から
求められる値により評価することができる。
【0100】
【数3】
【0101】また、プロピレン系重合体(D)がプロピ
レン単位以外の他のオレフィンから誘導される構成単
位、たとえばエチレン単位を少量含む場合、該不溶成分
は、たとえば下記式(B-1)または(B-2)のように表
わすことができる。なお式(B-1)は、プロピレン単位
連鎖中に1個のエチレン単位が含まれる場合を示し、式
(B-2)は、プロピレン単位連鎖中に、2個以上のエチ
レン単位からなるエチレン単位連鎖が含まれる場合を示
している。
【0102】
【化8】
【0103】このような場合、プロピレン単位5連鎖中
の3単位目のメチル基以外のメチル基(上記式(B-
1)、(B-2)では、Me4、Me5、Me6およびM
7)に由来する吸収強度は立体規則性を評価する際、
原理的に除外すべきものである。しかしこれらのメチル
基の吸収は他のメチル基の吸収と重なって観測されるた
め、定量することは困難である。
【0104】そこで、プロピレン系重合体(D)の沸騰
n-ヘプタン不溶成分が式(B-1)で示されるような場合
には、エチレン単位中の2級炭素であって、プロピレン
単位中の3級炭素(Ca )と結合している2級炭素
(C1 )に由来する 13C−NMRスペクトルにおける
吸収強度(Sαγ)、およびプロピレン単位中の2級炭
素であって、エチレン単位中の2級炭素(C2)と結合
している2級炭素(C3)に由来する吸収強度(Sα
γ)を用いてこれを除外する。
【0105】すなわち、主鎖中の2級炭素であって、該
2級炭素(C1 またはC3 )から最も近い2個の3級炭
素のうち、一方(CaまたはCb)がα位にあり、他方
(CbまたはCa)がγ位にあるような2級炭素に由来す
る吸収強度(Sαγ)を2倍したものをPwから引くこ
とにより、プロピレン単位5連鎖中の3単位目のメチル
基以外のメチル基(Me4、Me5、Me6およびMe7
に由来する吸収強度を除外する。
【0106】また、プロピレン系重合体(D)の沸騰n-
ヘプタン不溶成分が式(B-2)で示されるような場合
は、2個以上のエチレン単位からなるエチレン単位連鎖
中の2級炭素であって、プロピレン単位中の3級炭素
(Cd)と結合している2級炭素(C4)に由来する13
−NMRスペクトルにおける吸収強度(Sαδ+)、お
よびプロピレン単位中の2級炭素であって、2以上のエ
チレン単位連鎖中の2級炭素(C5)と結合している2
級炭素(C6)に由来する吸収強度(Sαδ+)を用いて
これを除外する。
【0107】すなわち、主鎖中の2級炭素であって、該
2級炭素(C4またはC6)から最も近い2個の3級炭素
のうち、一方(CdまたはCe)がα位にあり、他方(C
eまたはCd)がδ位またはδ位より離れた位置にあるよ
うな2級炭素に由来する吸収強度(Sαδ+)を2倍し
たものをPwから引くことにより、プロピレン単位5連
鎖中の3単位目のメチル基以外のメチル基(Me4、M
5、Me6およびMe7)に由来する吸収強度を除外す
る。
【0108】したがって、上記式(B-1)、(B-2)で
表わされるプロピレン系重合体の沸騰n-ヘプタン不溶成
分の立体規則性は、下記式(1B)から求められる値に
より評価することができる。
【0109】
【数4】
【0110】さらに、プロピレン系重合体(D)の沸騰
n-ヘプタン不溶成分が少量のエチレン単位を含み、か
つ、エチレン単位連鎖中に1個のプロピレン単位が含ま
れる場合には、該不溶成分は、たとえば下記式(C)の
ように表わすことができる。
【0111】
【化9】
【0112】このような場合、上記(1B)式をそのま
ま適用すると、除外すべきメチル基が5個(Me4、M
5、Me6、Me7およびMe8)であるにもかかわら
ず、SαγまたはSαδ+ に該当するメチル基が4個あ
るため、プロピレン単位5連鎖中の中央のメチル基以外
のメチル基を、3個多く除外することになるため、さら
に補正が必要となる。
【0113】そこで、エチレン単位連鎖中に含まれるプ
ロピレン単位中の3級炭素に由来する13C−NMRスペ
クトルにおける吸収強度を用いてこれを補正する。すな
わち主鎖中の3級炭素であって、該3級炭素から最も近
い2個の3級炭素(Cf、Cg)のうち、一方(Cf)が
δ位またはδ位より離れた位置にあり、他方(Cg)が
δ位またはδ位より離れた位置にあるような3級炭素
(C7)に由来する吸収強度(Tδ+ δ+ )を3倍した
ものをPwに加えることによりこれを補正する。
【0114】したがって、プロピレン系重合体(D)の
沸騰n-ヘプタン不溶成分の立体規則性は、上記式(1)
により求めた立体規則性指標[M5 ]の値により評価す
ることができる。
【0115】なお、(1A)式および(1B)式は、
(1)式と異なるものではなく、(1)式の特殊なケー
スと位置づけられる。なお、沸騰n-ヘプタン不溶成分に
含まれるプロピレン単位以外の構成単位単位によって
は、上記の補正が不要となる場合もある。
【0116】また、立体規則性指標[M3]を求める上
記式(2)中、 [Pmmrm]、[Pmrmr]、[Pmrrr]、
[Prmrr]、[Prmmr]、[Prrrr]は、プロピレン単
位連鎖中における5個の連続するプロピレン単位のメチ
ル基のうち、3個が同一方向、2個が反対方向を向いた
構造(以下「M3 構造」ということがある)を有する
プロピレン単位5連鎖中の第3単位目のメチル基に由来
する吸収強度を示している。すなわち上記(2)により
求められる立体規則性指標[M3]の値は、プロピレン
単位連鎖中におけるM3 構造の割合を示している。
【0117】本発明で用いられるプロピレン系重合体
(D)の沸騰n-ヘプタン不溶成分は、上記式(1)によ
り求められる立体規則性指標[M5]の値が0.970
〜0.995の範囲にあり、沸騰n-ヘプタン不溶成分の
上記式(2)により求められる立体規則性指標[M3
の値が0.0020〜0.0050の範囲にあるため、
極めて長いメソ連鎖(α- メチル炭素が同一方向に向い
ているプロピレン単位連鎖)を有している。
【0118】この[M3]の値は、好ましくは0.00
23〜0.0045、より好ましくは0.0025〜
0.0040である。一般にプロピレン系重合体(D)
は、立体規則性指標[M3]の値が小さい方がメソ連鎖
が長い。しかし立体規則性指標[M5]の値が極めて大
きく、立体規則性指標[M3]の値が非常に小さい場合
には、立体規則性指標[M5]の値がほぼ同じであれば
立体規則性指標[M3]の値が大きい方がメソ連鎖が長
くなる場合がある。
【0119】たとえば下記に示すような構造(イ)を有
するプロピレン系重合体と、構造(ロ)を有するプロピ
レン系重合体とを比較すると、M3構造を有する構造
(イ)で表わされるプロピレン系重合体は、M3 構造
を有しない構造(ロ)で表わされるプロピレン系重合体
に比べ長いメソ連鎖を有している。(ただし下記構造
(イ)、構造(ロ)は、いずれも1003単位のプロピ
レン単位からなるものとする)
【0120】
【化10】
【0121】上記構造(イ)で表わされるプロピレン系
重合体の立体規則性指標[M5]の値は0.986であ
り、上記構造(ロ)で表わされるプロピレン系重合体の
立体規則性指標[M5]の値は0.985であり、構造
(イ)で表わされるプロピレン系重合体および構造
(ロ)で表わされるプロピレン系重合体の立体規則性指
標[M5]の値は、ほぼ等しい値である。しかしなが
ら、M3 構造を有する構造(イ)で表わされるプロピレ
ン系重合体では、メソ連鎖に含まれるプロピレン単位
は、平均497単位であり、M3 構造を含有しない構
造(ロ)で表わされるプロピレン系重合体では、メソ連
鎖に含まれるプロピレン単位は、平均250単位とな
る。すなわち、立体規則性指標[M5]の値が極めて大
きいプロピレン系重合体では、プロピレン単位連鎖中に
含まれるr(racemo)で示される構造の割合が極めて小
さくなるので、r(racemo)で示される構造が集中して
存在するプロピレン系重合体(M3構造を有するプロピ
レン系重合体)は、r(racemo)で示される構造が分散
して存在するプロピレン系重合体(M3構造を有しない
プロピレン系重合体)より長いメソ連鎖を有することに
なる。
【0122】上記のような立体規則性指標値[M5]お
よび[M3]は、下記のように測定される沸騰n-ヘプタ
ン不溶成分の13C−NMRの各々の構造に基づくピーク
強度あるいはピーク強度の総和とから求めることができ
る。
【0123】13C−NMRは、該不溶成分0.35gを
ヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。
この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重
水素化ベンゼン0.5ml を加え、内径10mmのNM
Rチューブに装入し、日本電子(株)製GX−500型
NMR測定装置を用い、120℃で13C−NMR測定を
行なう。積算回数は10,000回以上である。
【0124】プロピレン系重合体(D)の64℃n-デカ
ン不溶成分は、上記のような沸騰n-ヘプタン不溶成分量
を、通常80重量%以上、好ましくは85重量%以上、
より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは93
重量%以上、特に好ましくは94重量%以上の量で含有
している。
【0125】なお、この沸騰n-ヘプタン不溶成分は、上
記64℃n-デカン不溶成分1.5gを6時間以上n-ヘプ
タンでソックスレー抽出して、抽出残渣として得られ、
沸騰n-ヘプタン不溶成分量は、64℃n-デカン可溶成分
が、沸騰n-ヘプタンにも可溶と仮定して算出されるもの
である。
【0126】本発明では、沸騰n-ヘプタン不溶成分の結
晶化度は、60%以上、好ましくは65%以上、より好
ましくは68%以上であることが望ましい。この結晶化
度は、試料を180℃の加圧成形機にて厚さ1mmの角
板に成形した後、直ちに水冷して得たプレスシートを用
い、理学電機(株)製ローターフレックス RU300
測定装置を用いて測定することにより求めることができ
る。(出力50kV、250mA)。この際の測定法と
しては、透過法を用い、またサンプルを回転させながら
測定を行なう。
【0127】本発明では、上記のようなプロピレン系重
合体(D)の64℃n-デカン不溶成分は、上記のような
特性を満たせば、ホモポリプロピレンからなっても、あ
るいはプロピレンと他のオレフィン類との共重合体から
なっていてもよい。
【0128】他のオレフィン類としては、たとえばエチ
レン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテ
ン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセ
ン、4-メチル-1- ペンテン等のα- オレフィン、ビニル
シクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボ
ルナン等のビニル化合物、酢酸ビニル等のビニルエステ
ル、無水マレイン酸等の不飽和有機酸またはその誘導体
などが挙げられる。
【0129】これらのうちでも、ホモポリプロピレンか
らなることが望ましい。また、この64℃n-デカン不溶
成分を形成するポリプロピレン成分は、たとえば3-メチ
ル-1- ブテン、3,3-ジメチル-1- ブテン、3-メチル-1-
ペンテン、3-メチル-1- ヘキセン、3,5,5-トリメチル-1
- ヘキセン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキ
サン、ビニルノルボルナンなどの単独重合体または共重
合体をたとえば予備重合により形成される予備重合体と
して含有していてもよく、このような予備重合体を少量
たとえば1重量ppm〜3重量%程度の量で含んでいる
と、結晶化速度が大きくなるため好ましい。[ビニル化合物変性プロピレン系重合体[II]の製造]
本発明で用いられるビニル化合物変性プロピレン系重合
体[II]の製造方法については、特に限定されるもので
はないが、たとえばプロピレン系重合体(D)100重
量部に、重合開始剤(前記した重合開始剤)を0.05
〜5重量部、ビニル単量体(C)を1〜50重量部添加
し、溶融押出することにより、プロピレン系重合体
(D)をビニル化合物変性させる方法や、プロピレン系
重合体(D)に予め電子線を照射し、ラジカルサイトを
生じさせ、ビニル単量体(C)を1〜50重量部添加
し、加温させることにより、プロピレン系重合体(D)
をビニル化合物変性させる方法などが挙げられる。
【0130】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、上記
のようなビニル化合物変性プロピレン系重合体[II]を
1種単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用
いてもよい。
【0131】なお、本発明においては、上記のようにし
て得られるビニル化合物変性プロピレン系重合体[II]
を用いるに当たり、必要に応じて少量生成するビニル化
合物重合体を溶媒分別などの方法で除去して用いても良
いし、除去せずに用いても良い。
【0132】本発明においては、[II]ビニル化合物変
性プロピレン系重合体は、[I]ビニル化合物変性エチ
レン系重合体、[II]ビニル化合物変性プロピレン系重
合体および[III]極性基含有樹脂の合計量100重量部
に対して、49〜98重量部、好ましくは50〜95重
量部、さらに好ましくは50〜90重量部の割合で用い
られる。[III]極性基含有樹脂 本発明で用いられる[III]極性基含有樹脂は、引張弾性
率が800MPa以上の樹脂であり、たとえば、ポリア
ミド、ポリエステルおよびポリアセタールなどの結晶性
熱可塑性樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネー
ト、ポリフェニレンオキサイドなどの非結晶性熱可塑性
樹脂が用いられる。
【0133】上記ポリエステルとしては、具体的には、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族系ポリエス
テル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート
などを挙げることができる。中でも、ポリエチレンテレ
フタレートが特に好ましい。
【0134】上記ポリアミドとしては、具体的には、ナ
イロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロ
ン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミド、芳香
族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族
ポリアミドなどを挙げることができる。中でも、ナイロ
ン−6が特に好ましい。
【0135】上記ポリアセタールとしては、具体的に
は、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポ
リアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリ
ブチルアルデヒドなどを挙げることができる。中でも、
ポリホルムアルデヒドが特に好ましい。
【0136】上記ポリスチレンは、スチレンの単独重合
体であってもよく、スチレンとアクリロニトリル、メタ
クリル酸メチル、α- メチルスチレンとの二元共重合体
であってもよい。
【0137】上記ABSとしては、アクリロニトリルか
ら誘導される構成単位を20〜35モル%の量で含有
し、ブタジエンから誘導される構成単位を20〜30モ
ル%の量で含有し、スチレンから誘導される構成単位を
40〜60モル%の量で含有するABSが好ましく用い
られる。
【0138】上記ポリカーボネートとしては、ビス(4-
ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ
フェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタンな
どから得られるポリマーを挙げることができる。中で
も、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンから得
られるポリカーボネートが特に好ましい。
【0139】上記ポリフェニレンオキシドとしては、ポ
リ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)を用いる
ことが好ましい。これらの極性基含有樹脂[III]のなか
では、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、
ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレンが好ましく、
特にポリカーボネート、ポリアミドが好ましい。
【0140】上記のような極性基含有樹脂[III]は、単
独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いても
よい。さらに上記の極性基含有樹脂[III]とともに、上
記以外の極性基含有樹脂を用いてもよい。
【0141】本発明においては、[III]極性基含有樹脂
は、[I]ビニル化合物変性エチレン系重合体、[II]
ビニル化合物変性プロピレン系重合体および[III]極性
基含有樹脂の合計量100重量部に対して、1〜50重
量部、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは1
〜30重量部の割合で用いられる。その他の成分 本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、
無機充填剤、有機充填剤、核剤、耐候安定剤、耐熱安定
剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング
剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、
塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を、本発明の目的を
損なわない範囲で配合することができる。また、本発明
の目的から逸脱しない限りにおいて他の合成樹脂を少量
ブレンドすることができる。[無機充填剤および有機充填剤] 無機充填剤として、具
体的には、微粉末タルク、カオリナイト、焼成クレー、
バイロフィライト、セリサイト、ウォラスナイト等の天
然珪酸または珪酸塩、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、水酸化アル
ミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、酸化亜
鉛、亜鉛華、酸化マグネシウム等の酸化物、含水珪酸カ
ルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸
等の合成珪酸または珪酸塩などの粉末状充填剤;マイカ
などのフレーク状充填剤;塩基性硫酸マグネシウムウィ
スカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミ
ニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Processed
Mineral Fiber)、ゾノトライト、チタン酸カリ、エレ
スタダイトなどの繊維状充填剤;ガラスバルン、フライ
アッシュバルンなどのバルン状充填剤などを用いること
ができる。
【0142】本発明では、これらのうちでもタルクが好
ましく用いられ、特に平均粒径0.01〜10μmの微
粉末タルクが好ましく用いられる。なお、タルクの平均
粒径は、液相沈降方法によって測定することができる。
【0143】また本発明で用いられる無機充填材特にタ
ルクは、無処理であってもよいし、予め表面処理されて
いてもよい。この表面処理の例としては、具体的には、
シランカップリング剤、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、不
飽和有機酸、有機チタネート、樹脂酸、ポリエチレング
リコールなどの処理剤を用いる化学的または物理的処理
が挙げられる。このような表面処理が施されたタルクを
用いると、ウェルド強度、塗装性、成形加工性にも優れ
た熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0144】上記のような無機充填剤は、1種単独で、
あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。ま
た、本発明では、このような無機充填剤とともに、ハイ
スチレン類、リグニン、再ゴムなどの有機充填剤を用い
ることもできる。[核剤] 核剤としては、従来知られている種々の核剤が
特に制限されることなく用いられる。中でも、下記に挙
げる核剤を好ましい核剤として例示することができる。
【0145】
【化11】
【0146】(式中、R1 は、酸素原子、硫黄原子、
もしくは炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R
2 、R3 は、水素原子、もしくは炭素原子数1〜10
の炭化水素基であり、R2 、R3 は同種であっても異
種であってもよく、またR2 同士、R3 同士またはR
2 とR3 が結合して環状となっていてもよく、Mは、
1〜3価の金属原子であり、nは1〜3の整数であ
る。) 上記式で表わされる核剤としては、具体的には、ナトリ
ウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)
フォスフェート、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス
(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウ
ム-2,2'-メチレン- ビス-(4,6-ジ-t- ブチルフェニル)
フォスフェート、リチウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6
-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,
2'-エチリデン-ビス(4-i-プロピル-6-t-ブチルフェニ
ル) フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス(4
-メチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、リチウ
ム-2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニ
ル) フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス
(4-メチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、
カルシウム-ビス[2,2'-チオビス(4-エチル-6-t-ブチ
ルフェニル) フォスフェート] 、カルシウム-ビス[2,
2'-チオビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェ
ート] 、マグネシウム-ビス[2,2'-チオビス(4,6-ジ-t
-ブチルフェニル)フォスフェート] 、マグネシウム-ビ
ス[2,2'-チオビス-(4-t-オクチルフェニル) フォスフ
ェート] 、ナトリウム-2,2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-
メチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-ブ
チリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェ
ート、ナトリウム-2,2'-t-オクチルメチレン-ビス(4,6
-ジ-メチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,
2'-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-t- ブチルフェニ
ル) フォスフェート、カルシウム- ビス-(2,2'-メチレ
ン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート)
、マグネシウム-ビス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t
-ブチルフェニル) フォスフェート] 、バリウム-ビス
[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フ
ォスフェート] 、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4-
メチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリ
ウム-2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニ
ル) フォスフェート、ナトリウム(4,4'-ジメチル-5,6'
-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニル) フォスフェート、カル
シウム-ビス[(4,4'-ジメチル-6,6'-ジ-t-ブチル-2,2'
-ビフェニル) フォスフェート] 、ナトリウム-2,2'-エ
チリデン-ビス(4-m-ブチル-6-t-ブチルフェニル) フォ
スフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-
メチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メ
チレン-ビス(4,6-ジ-エチルフェニル) フォスフェー
ト、カリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチル
フェニル) フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2'-エ
チリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フオスフェ
ート] 、マグネシウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス
(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、バリ
ウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフ
ェニル) フォスフェート]、アルミニウム-トリス[2,2'
-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェル)フォスフェ
ート] およびアルミニウム-トリス[2,2'-エチリデン-
ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] お
よびこれらの2個以上の混合物を例示することができ
る。特にナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブ
チルフェニル)フォスフェートが好ましい。
【0147】
【化12】
【0148】(式中、R4 は、水素原子もしくは炭素
原子数1〜10の炭化水素基であり、Mは、1〜3価の
金属原子であり、nは1〜3の整数である。) 上記式で表わされる核剤としては、具体的には、ナトリ
ウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナ
トリウム-ビス(4-メチルフェニル)フォスフェート、
ナトリウム-ビス(4-エチルフェニル)フォスフェー
ト、ナトリウム-ビス(4-i-プロピルフェニル)フォス
フェート、ナトリウム-ビス(4-t-オクチルフェニル)
フォスフェート、カリウム-ビス(4-t-ブチルフェニ
ル)フォスフェート、カルシウム-ビス(4-t-ブチルフ
ェニル)フォスフェート、マグネシウム-ビス(4-t-ブ
チルフェニル)フォスフェート、リチウム-ビス(4-t-
ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウム-ビス
(4-t-ブチルフェニル)フォスフェートおよびこれらの
2種以上の混合物を例示することができる。特にナトリ
ウム-ビス(4-t-ブチルフェニル) フォスフェートが好
ましい。
【0149】
【化13】
【0150】(式中、R5 は、水素原子、もしくは炭
素原子数1〜10の炭化水素基である。) 上記式で表わされる核剤としては、具体的には、1,3,2,
4-ジベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4
-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデ
ン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メ
チルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3
-p-エチルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトー
ル、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリ
デンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p-
メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチ
ルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチル
ベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-プロピ
ルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-i-プロ
ピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-ブ
チルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-s-ブ
チルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-t-ブ
チルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(2',4'-
ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-
メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-
エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3-ベンジリデ
ン-2-4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-ク
ロルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3
-p-クロルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソル
ビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-エチルベ
ンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-
2,4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチル
ベンジリデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトール
および1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトー
ルおよびこれらの2個以上の混合物を例示でき、特に1,
3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メ
チルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチ
ルベンジリデン)ソルビトール、1,3-p-クロルベンジリ
デン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4
-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよびそれ
らの2種以上の混合物が好ましい。
【0151】その他の核剤としては、芳香族カルボン酸
や脂肪族カルボン酸の金属塩を例示でき、具体的には、
安息香酸アルミニウム塩、p-t-ブチル安息香酸アルミニ
ウム塩やアジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸
ナトリウム、ピローレカルボン酸ナトリウムなどを挙げ
られる。熱可塑性樹脂組成物の調製 本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、従来公知の任意の
方法を採用して調製することができ、たとえば[I]ビ
ニル化合物変性エチレン系重合体、[II]ビニル化合物
変性プロピレン系重合体、[III]極性基含有樹脂、およ
び必要に応じて上記無機充填剤等の添加剤を、押出機、
ニーダー等を用いて溶融混練することにより得られる。成形体 本発明に係る成形体は、上記のようにして得られる本発
明に係る熱可塑性樹脂組成物から形成される。本発明に
係る熱可塑性樹脂組成物は、公知の方法で射出成形、中
空成形、圧縮成形、押出成形などを行なうことができ、
種々の成形品やフィルム、シートに加工できる。たとえ
ば自動車内外装材、家電分野(ハウジング等)、容器用
途、フィルム用途などに用いられる。
【0152】
【発明の効果】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、特
定のビニル化合物変性エチレン系重合体を、特定のビニ
ル化合物変性プロピレン系重合体および極性基含有樹脂
に特定の割合で配合されてなるので、剛性および表面硬
度と、耐衝撃性および耐傷付き性とのバランスに優れた
成形体を提供することができる。
【0153】本発明に係る成形体は、本発明に係る熱可
塑性樹脂組成物からなるので、剛性および表面硬度と、
耐衝撃性および耐傷付き性とのバランスに優れている。
【0154】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらの実施例により何ら限定されるものでは
ない。
【0155】なお、実施例等における曲げ初期弾性率
(FM)、アイゾット衝撃強度(IZ)、ロックウェル
硬度(HR)および鉛筆硬度(耐傷付き性)の試験は、
下記の方法に従って行なった。 (1)曲げ初期弾性率(FM) 曲げ初期弾性率(FM)は、ASTM C 790に準拠
して、厚さ1/8インチの試験片を用いて、スパン間5
1mm、曲げ速度20mm/分の条件下で測定し、剛性の指
標とした。 (2)アイゾット衝撃強度(IZ) アイゾット衝撃強度(IZ)は、ASTM D 256に
準拠して、厚さ1/4インチの試験片(後ノッチ)を用
いて、23℃で測定した。 (3)ロックウェル硬度(HR) ロックウェル硬度(HR)は、ASTM D 785に準
拠して、厚さ2mm×縦120mm×横130mmの角
板を用いて測定した。 (4)鉛筆硬度(耐傷付き性) 鉛筆硬度は、JIS K 5401に準拠して、厚さ2m
m×縦120mm×横130mmの角板を用いて測定し
た。
【0156】また、実施例等における融点(Tm)、極
限粘度[η]およびMw/Mnは、下記の方法ないし条
件で測定した。 (1)融点(Tm) DSCの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度を融点
(Tm)とする。
【0157】示差走査熱量計(DSC)を用いて、試料
をアルミパンに詰め、100℃/分で200℃まで昇温
し、200℃で5分間保持した後、10℃/分で−15
0℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱
曲線より求めた。
【0158】なお、DSC測定時の吸熱ピークから、単
位重さ当たりの融解熱量を求め、これをポリエチレンの
結晶の融解熱量70cal/gで除して求めることによ
り、結晶化度(%)を求めることができる。 (2)極限粘度[η] 極限粘度[η]は、135℃デカリン中で測定した。 (3)Mw/Mn Mw/Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、
140℃で測定した。
【0159】
【製造例1】[ビニル化合物変性エチレン系重合体(G
PE−1)の製造]容積が1リットルのプラグフロー塔
型反応槽(「新ポリマー製造プロセス」(工業調査会、
佐伯康治/尾見信三著)185頁、図7.5(b)に記
載の三井東圧化学タイプの塔型反応槽と同種の反応槽で
10段に仕切られたC1/C0=0.955を示すも
の。)を連続的重合装置として用いてスチレンとアクリ
ロニトリルでグラフト変性したエチレン・1-ブテンラン
ダム共重合体(ビニル化合物変性エチレン系重合体)を
製造した。
【0160】すなわち、エチレン含量が53モル%のエ
チレン・1-ブテンランダム共重合体(極限粘度[η]=
2.9dl/g、Mw/M=2.1)を9.5重量部、
スチレン13.5重量部、トルエン70重量部を混合、
溶解させた溶液Aを調製するとともに、トルエン2.5
重量部に、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5- ト
リメチルシクロヘキサン0.04重量部を溶解させた溶
液Bを別に調製した。
【0161】次いで、溶液Aと溶液Bとアクリロニトリ
ル4.5重量部とを別々にプラグフロー塔型反応槽に全
体で400g/hになるように連続的に供給して、反応
槽の縦方向の中央部分が100℃になるようにしてグラ
フト重合を行なった。
【0162】上記のようにして得られた重合溶液を、1
90℃で30分間10kPaabs.にて減圧乾燥して、目
的とするポリマーを得た。得られたポリマー5gにメチ
ルエチルケトン500ccを加えて室温にて、可溶部と
不溶部に分別し、それぞれの成分を真空乾燥した。得ら
れたメチルエチルケトン不溶部について元素分析を行な
い、窒素含量を測定した結果、窒素含量は1.3重量%
であり、アクリロニトリル含量は4.9重量%であっ
た。また、得られたメチルエチルケトン不溶部について
NMRでスチレン含量を測定した結果、スチレン含量は
13.3重量%であった。
【0163】
【製造例2】[ビニル化合物変性エチレン系重合体(G
PE−2)の製造]製造例1において使用した重合装置
を用いて、エチレン含量が53モル%のエチレン・1-ブ
テンランダム共重合体(極限粘度[η]=2.9dl/
g、Mw/Mn=2.1)10.5重量部、スチレン1
9重量部、トルエン69重量部を混合、溶解させた溶液
Aを調製するとともに、トルエン1.5重量部に、1,1-
ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロ
ヘキサン0.07重量部を溶解させた溶液Bを別に調製
した。
【0164】次いで、溶液Aと溶液Bとを別々にプラグ
フロー塔型反応槽に全体で400g/hになるように連
続的に供給して、反応槽の縦方向の中央部分が100℃
になるようにしてグラフト重合を行なった以外は、製造
例1と同様にして、目的とするポリマーすなわちスチレ
ングラフト変性エチレン・1-ブテンランダム共重合体を
得た。
【0165】得られたポリマー5gにメチルエチルケト
ン500ccを加えて室温にて、可溶部と不溶部に分別
し、それぞれの成分を真空乾燥した。得られたメチルエ
チルケトン不溶部についてNMRでスチレン含量を測定
した結果、スチレン含量は18.7重量%であった。
【0166】
【製造例3】[ビニル化合物変性エチレン系重合体(G
PE−3)の製造]製造例1において、アクリロニトリ
ルの代わりにメチルメタクリレートを用いた以外は、製
造例1と同様にして、目的とするポリマーすなわちスチ
レンとメチルメタクリレートでグラフト変性したエチレ
ン・1-ブテンランダム共重合体を得た。
【0167】得られたポリマー5gにメチルエチルケト
ン500ccを加えて室温にて、可溶部と不溶部に分別
し、それぞれの成分を真空乾燥した。得られたメチルエ
チルケトン不溶部について元素分析を行ない、酸素含量
を測定した結果、酸素含量は1.5重量%であり、メチ
ルメタクリレート含量は4.7重量%であった。また、
得られたメチルエチルケトン不溶部についてNMRでス
チレン含量を測定した結果、スチレン含量は13.7重
量%であった。
【0168】
【製造例4】[ビニル化合物変性プロピレン系重合体
(GPP)の製造]パウダー状のプロピレン単独重合体
(Tm=162.2℃、Mw/Mn=5.4、MFR
(230℃)=11g/10分、極限粘度[η]=1.
8dl/g)100重量部に、イルガノックス1010
(商品名;チバガイギー社製)0.1重量部、酸化防止
剤としてBHT(タケタ゛)[武田薬品工業(株)製]0.1
重量部、およびステアリン酸カルシウム0.1重量部を
混合した。
【0169】上記のようにして得られた配合物に、スチ
レンモノマー(スチレンを単独重合して得られるポリマ
ーのTg=100℃)を30重量部、パーヘキシン25
B(商品名;日本油脂(株)製のラジカル開始剤]1重
量部を添加し、ヘンシェルミキサーを用い、40℃で2
0分間混合して吸収含浸させた。得られた含浸ブレンド
物を、スクリュー径が30mmで、L/D=48である
同方向型二軸押出機にフィードし、温度200℃で溶融
混練し、ペレタイズした。
【0170】得られたペレット状のスチレングラフト変
性プロピレン共重合体5gにメチルエチルケトン500
ccを加えて室温にて、可溶部と不溶部に分別し、それ
ぞれの成分を真空乾燥した。得られたチルケトン不溶部
についてNMRでスチレン含量を測定した結果、スチレ
ン含量は18.9重量%であった。
【0171】
【参考例1】[ビニル化合物変性エチレン系重合体(G
PE−4)の製造]ペレット状のエチレン含量が53モ
ル%のエチレン・1-ブテンランダム共重合体(極限粘度
[η]=2.9dl/g、Mw/Mn=2.1)100
重量部に、イルガノックス1010(商品名;チバガイ
ギー社製)0.1重量部、酸化防止剤としてBHT(タケタ
゛)[武田薬品工業(株)製]0.1重量部、およびステ
アリン酸カルシウム0.1重量部を混合した。
【0172】上記のようにして得られた配合物に、スチ
レンモノマーを20重量部、パーヘキシン25B[商品
名;日本油脂(株)製のラジカル開始剤]1重量部を添
加し、ヘンシェルミキサーを用い、40℃で20分間混
合して吸収含浸させた。得られた含浸ブレンド物を、ス
クリュー径が30mmで、L/D=48である同方向型
二軸押出機にフィードし、温度200℃で溶融混練し、
ペレタイズした。
【0173】得られたペレット状のポリマー5gにメチ
ルエチルケトン500ccを加えて室温にて、可溶部と
不溶部に分別し、それぞれの成分を真空乾燥した。得ら
れたメチルエチルケトン不溶部についてNMRでスチレ
ン含量を測定した結果、スチレン含量は17.7重量%
であった。
【0174】
【実施例1】製造例4で得られたビニル化合物変性プロ
ピレン系重合体(GPP)50重量部と、製造例1で得
られたビニル化合物変性エチレン系重合体(GPE−
1)20重量部と、帝人(株)製のポリカーボネート
(商品名 L1250)30重量部とを混合し、溶融混
練により熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0175】得られた熱可塑性樹脂組成物を用い、曲げ
初期弾性率(FM)、アイゾット衝撃強度(IZ)、ロ
ックウェル硬度(HR)および鉛筆硬度について、上記
方法に従って試験を行なった。その結果、この組成物の
曲げ初期弾性率(FM)は1850MPaであり、ロッ
クウェル硬度(HR)は95であり、アイゾット衝撃強
度(IZ)は130J/mであり、鉛筆硬度はHBであ
った。
【0176】
【実施例2】実施例1において、製造例1で得られたビ
ニル化合物変性エチレン系重合体(GPE−1)の代わ
りに、製造例2で得られたビニル化合物変性エチレン系
重合体(GPE−2)を用いた以外は、実施例1と同様
にして、熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0177】得られた熱可塑性樹脂組成物を用い、曲げ
初期弾性率(FM)、アイゾット衝撃強度(IZ)、ロ
ックウェル硬度(HR)および鉛筆硬度について、上記
方法に従って試験を行なった。その結果、この組成物の
曲げ初期弾性率(FM)は1800MPaであり、ロッ
クウェル硬度(HR)は94であり、アイゾット衝撃強
度(IZ)は150J/mであり、鉛筆硬度はHBであ
った。
【0178】
【実施例3】実施例1において、製造例1で得られたビ
ニル化合物変性エチレン系重合体(GPE−1)の代わ
りに、製造例3で得られたビニル化合物変性エチレン系
重合体(GPE−3)を用いた以外は、実施例1と同様
にして、熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0179】得られた熱可塑性樹脂組成物を用い、曲げ
初期弾性率(FM)、アイゾット衝撃強度(IZ)、ロ
ックウェル硬度(HR)および鉛筆硬度について、上記
方法に従って試験を行なった。その結果、この組成物の
曲げ初期弾性率(FM)は1830MPaであり、ロッ
クウェル硬度(HR)は95であり、アイゾット衝撃強
度(IZ)は130J/mであり、鉛筆硬度はHBであ
った。
【0180】
【比較例1】実施例1において、製造例1で得られたビ
ニル化合物変性エチレン系重合体(GPE−1)の代わ
りに、参考例1で得られたビニル化合物変性エチレン系
重合体(GPE−4)を用いた以外は、実施例1と同様
にして、熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0181】得られた熱可塑性樹脂組成物を用い、曲げ
初期弾性率(FM)、アイゾット衝撃強度(IZ)、ロ
ックウェル硬度(HR)および鉛筆硬度について、上記
方法に従って試験を行なった。その結果、この組成物の
曲げ初期弾性率(FM)は1830MPaであり、ロッ
クウェル硬度(HR)は94であり、アイゾット衝撃強
度(IZ)は60J/mであり、鉛筆硬度はBであっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 69/00 C08L 69/00 71/12 71/12 77/00 77/00 101/00 101/00 (72)発明者 扇 澤 雅 明 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井化学 株式会社内 (72)発明者 杉 本 隆 一 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井化学 株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BC032 BN061 CF002 CH072 CL002 CQ002 4J028 AA01A AB00A AB01A AC01A AC08A AC09A AC10A AC26A AC27A AC28A AC49A BA00A BA01B BA02B BA03B BB00A BB00B BB01B BB02B BC12B BC13B BC15B BC16B BC17B BC19B BC24B BC25B BC27B CA02C CA25A CA26A CA27A CA28A CA29A CB09A CB94B EA01 EB02 EB04 EB05 EB07 EB09 EB10 EB13 EB14 EB16 EB17 EB18 EC03 EC05 FA01 FA02 FA07 FA09 GA04 GA06 GA19 4J100 AA02P AA03Q AA04Q AA15Q AA16Q AA17Q AA18Q AA19Q AA21Q CA01 DA04 DA09 DA22 DA25 DA36 DA48 DA52 FA10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[I]プラグフロー型反応槽において、1
    35℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.0
    1〜10dl/gの範囲にあり、かつ、GPCにより測
    定した分子量分布(Mw/Mn)が4以下であるエチレ
    ン系重合体(A)に、ビニル単量体(B)を、塊状重合
    法、塊状懸濁重合法および溶液重合法のいずれかの重合
    法を用いて連続的にグラフト重合して得られるビニル化
    合物変性エチレン系重合体:1〜50重量部と、[II]
    60℃より高いガラス転移温度(Tg)を有するポリマ
    ーを与える、ビニル単量体(C)をプロピレン系重合体
    (D)にグラフトしたビニル化合物変性プロピレン系重
    合体:49〜98重量部と、[III]引張弾性率が800
    MPa以上である極性基含有樹脂:1〜50重量部(成
    分[I]、[II]および[III]の合計量は100重量部
    とする)とを含有してなることを特徴とする熱可塑性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】前記エチレン系重合体(A)が、エチレン
    と、炭素原子数3〜20のα- オレフィンおよびポリエ
    ンの中の少なくとも1種の成分とからなるエチレン系共
    重合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑
    性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記エチレン系重合体(A)のエチレン含
    量が35〜90モル%であることを特徴とする請求項1
    または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記エチレン系重合体(A)が、下式
    (I)または(II)で表わされる遷移金属錯体(a)
    と、イオン化イオン性化合物(b)、有機アルミニウム
    化合物(c)およびアルモキサン(d)の中から選択さ
    れる1種以上の化合物とからなるメタロセン系触媒を用
    いて調製された共重合体であることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物; 【化1】 [式(I)、(II)中、Mは、Ti、Zr、Hf、R
    n、Nd、SmまたはRuであり、 Cp1およびCp2は、Mとπ結合しているシクロペンタ
    ジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれ
    らの誘導体基であり、 X1 およびX2 は、アニオン性配位子または中性ルイ
    ス塩基配位子であり、 Yは、窒素原子、酸素原子、リン原子、または硫黄原子
    を含有する配位子であり、 Zは、C、O、B、S、Ge、SiまたはSn原子ある
    いはこれらの原子を含有する基である。]。
  5. 【請求項5】前記ビニル単量体(B)が、ニトリル系ビ
    ニル単量体、芳香族ビニル単量体、不飽和カルボン酸お
    よびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種
    のビニル化合物であることを特徴とする請求項1に記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】前記ビニル単量体(B)が、スチレン、ア
    クリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタク
    リル酸およびその誘導体からなる群から選ばれる少なく
    とも1種のビニル化合物であることを特徴とする請求項
    1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】前記ビニル単量体(C)が、ニトリル系ビ
    ニル単量体、芳香族ビニル単量体、不飽和カルボン酸お
    よびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種
    のビニル化合物であることを特徴とする請求項1に記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】前記ビニル単量体(C)が、スチレン、ア
    クリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタク
    リル酸およびその誘導体からなる群から選ばれる少なく
    とも1種のビニル化合物であることを特徴とする請求項
    1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】前記プロピレン系重合体(D)のメルトフ
    ローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が、
    0.1〜200g/10分であることを特徴とする請求
    項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】前記極性基含有樹脂[III]が、ポリカー
    ボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレン
    オキサイド、ポリスチレンからなる群から選ばれた樹脂
    であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載の熱可
    塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
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