JP2000209986A - 魚釣用スピニングリ―ル - Google Patents

魚釣用スピニングリ―ル

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JP2000209986A
JP2000209986A JP11010699A JP1069999A JP2000209986A JP 2000209986 A JP2000209986 A JP 2000209986A JP 11010699 A JP11010699 A JP 11010699A JP 1069999 A JP1069999 A JP 1069999A JP 2000209986 A JP2000209986 A JP 2000209986A
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spool
spinning reel
fishing
front flange
layer
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Wataru Tsutsumi
わたる 堤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】糸切れ防止及び仕掛けの飛距離アップを図ると
共に、表面強度のばらつきを無くした且つ耐久性に優れ
た軽量で低価格なスプールを有する魚釣用スピニングリ
ールを提供する。 【解決手段】スプール6は、樹脂で形成されたスプール
基部材22と、このスプール基部材の表面(スプールの
胴部6aからスカート部6bに亘る全表面)に形成され
た金属層24とを備えて構成されており、スプールの前
端側には、超硬質コーティング処理が表面に施された硬
質材製の前鍔26が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糸切れ防止及び仕
掛けの飛距離アップを図ると共に、表面強度のばらつき
を無くした且つ耐久性に優れた軽量で低価格なスプール
を有する魚釣用スピニングリールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の魚釣用スピニングリールにおい
て、スプールを樹脂で形成する場合、このスプールの外
表面には、釣糸繰出時の糸による損傷及び落下等による
損傷などを防止するために、以下のような処理が施され
ている。
【0003】第1の処理方法として、例えば実開昭63
−42070号公報には、樹脂製スプールの外表面に金
属層やセラミック層を容射する方法が開示されている。
【0004】第2の処理方法として、例えば実公昭52
−34301号公報には、樹脂製スプールの外表面にお
いて、その前鍔部から釣糸巻回胴部に亘って金属製カバ
ーを埋設する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
処理方法では、容射層(即ち、金属層やセラミック層)
を薄くするのには限界があるため、この容射層の厚さに
応じた重量がスプールに加わり、その結果、スプール全
体の重量が増加してしまう。また、このような容射層
は、均一の膜厚に形成することが困難であるため、スプ
ールの表面強度がばらついてしまう。
【0006】一方、第2の処理方法では、前鍔部から釣
糸巻回胴部に亘る領域以外のスプールの外表面(具体的
には、スカート部の外表面)において、樹脂が剥き出し
の状態になるため、傷が付き易くなっている。また、前
鍔に埋設された金属製カバーの表面には、何等の表面処
理が施されていないため、傷が付き易なっており、傷が
付いた場合には、釣糸繰出時の引っ掛かりとなり、その
結果、糸が切れたり、仕掛けの飛距離が低下してしま
う。
【0007】本発明は、このような問題を解決するため
に成されており、その目的は、糸切れ防止及び仕掛けの
飛距離アップを図ると共に、表面強度のばらつきを無く
した且つ耐久性に優れた軽量で低価格なスプールを有す
る魚釣用スピニングリールを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は、釣糸を巻回可能なスプールを有す
る魚釣用スピニングリールにおいて、スプールは、樹脂
で形成されたスプール基部材と、このスプール基部材の
表面にコーティングされた金属層とを備えて構成されて
おり、このスプールの前端側には、超硬質コーティング
処理が表面に施された硬質材製の前鍔が設けられてい
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態に係
る魚釣用スピニングリールについて、図1及び図2を参
照して説明する。
【0010】図1及び図2に示すように、魚釣用スピニ
ングリールのリール本体2内には、ハンドル4の回転操
作によって回転可能な駆動歯車(図示しない)が設けら
れており、この駆動歯車には、ピニオン(図示しない)
が噛合している。
【0011】ピニオン内には、スプール軸5が軸方向に
挿通されており、このスプール軸5の先端には、釣糸
(図示しない)が巻回されるスプール6が回転可能に取
り付けられている。
【0012】また、ピニオンの先端には、このピニオン
と一体的に回転するロータ8が取り付けられており、こ
のロータ8には、一対のベール取付アーム10が設けら
れている。これらベール取付アーム10には、夫々、揺
動アーム12を介してベール14が釣糸放出状態と釣糸
巻回状態に回動可能に支持されている。なお、一方の揺
動アーム12とベール14の端部との間には、釣糸案内
機構(ラインローラ)16が支持されている。
【0013】また、上記の駆動歯車には、オシレーティ
ング機構(図示しない)が係合しており、この駆動歯車
を回転することによって、上述したスプール軸を前後動
させるように構成されている。
【0014】この構成において、ハンドル4を回転操作
すると、その回転運動は、駆動歯車を介してピニオンに
伝達され、このピニオンを回転させる。同時に、ハンド
ル4の回転運動は、オシレーティング機構を介してスプ
ール軸5に伝達され、このスプール軸5を前後動させ
る。このとき、ロータ8が回転しつつスプール6が前後
動することによって、釣糸は、釣糸案内機構16を介し
てスプール6に片寄ること無く均等に巻回される。
【0015】また、本実施の形態の魚釣用スピニングリ
ールには、その一例として、スプール6内に、フロント
ドラグ方式のドラグ機構18が内蔵されており、スプー
ル6の前端に設けられたドラグ調整つまみ20を回転操
作してドラグ機構18を制御することによって、釣糸繰
出時のドラグ力を所望の値に調整することができるよう
になっている。なお、本実施の形態では、フロントドラ
グ方式のドラグ機構18を開示したが、これに限定され
ることは無く、例えば、リアドラグ方式やロータドラグ
方式のドラグ機構を有する魚釣用スピニングリールにつ
いても、本発明の技術的思想を適用することが可能であ
る。
【0016】このような魚釣用スピニングリールにおい
て、リール本体2に取り付けられたスプール6は、樹脂
で形成されたスプール基部材22と、このスプール基部
材22の表面(スプール6の胴部6aからスカート部6
bに亘る全表面)に形成された金属層24とを備えて構
成されている。
【0017】この場合、スプール基部材22としては、
例えば、ポリアミド(PA)樹脂、補強繊維を所望量混
入したガラス繊維強化ポリアミド樹脂、ABS(アクリ
ロニトル−ブタジエン−スチレン)樹脂、補強繊維を所
望量混入したガラス繊維強化ABS樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂等の合成樹脂材料を適用することが可能であ
る。
【0018】また、金属層24には、例えば、クロム、
アルミ、金、ニッケルなどの金属材料を用いることが好
ましく、このような金属材料をスプール基部材22の表
面にコーティング処理(例えば、メッキ処理、蒸着処理
(物理蒸着処理、化学蒸着処理)、塗装処理など)する
ことによって、スプール基部材22の表面に所望の厚さ
(例えば、1〜200μm、好ましくは、5〜50μ
m)の金属層24をばらつくこと無く均一に且つ薄く形
成することができる。
【0019】また、スプール6の前端側には、超硬質コ
ーティング処理が表面に施された硬質材製の前鍔26が
設けられている。前鍔26は、リング状を成しており、
このリング状の前鍔26をスプール6の前端にセットし
た後、リング状のナット28をスプール6の前端に固定
(例えば、接着、ネジ止め)することによって、スプー
ル6の前端とナット28との間に前鍔26を挟持して固
定させることができるようになっている。
【0020】本実施の形態において、前鍔26は、スプ
ール6とは別体で形成されており、例えば、金属、セラ
ミック、ガラス等の材料から成る前鍔母材(図示しな
い)と、この前鍔母材の表面に形成された超硬質コーテ
ィング処理層(図示しない)とを備えて構成されてい
る。この場合、超硬質コーティング処理層は、前鍔母材
よりも硬質な材料、例えば、セラミック、金属、ガラス
等の超硬質材料を用いることが好ましく、このような超
硬質材料を前鍔母材の表面に超硬質コーティング処理す
ることによって、前鍔母材の表面に所望の厚さ(例え
ば、0.1〜200μm、好ましくは、1〜50μm)
の超硬質コーティング処理層をばらつくこと無く均一に
且つ薄く形成することができる。なお、超硬質コーティ
ング処理法としては、例えば、メッキ処理法、蒸着処理
法(物理蒸着処理法、化学蒸着処理法)、塗装処理法な
どを適用することが可能である。
【0021】また、このような前鍔26をスプール6の
前端とナット28との間に挟持して固定させた状態にお
いて、前鍔26の外縁26aとスプール6の胴部(釣糸
が巻回される部分)6aとによって規定されるスプール
溝の深さ寸法D(図2(b)参照)は、1〜90mm、
好ましくは、3〜50mmに設定することが好ましい。
このような深さ寸法Dに設定することによって、スプー
ル6に対する前鍔26の取付強度を向上させることが可
能となり、この結果、例えば釣糸繰出時において、釣糸
が前鍔26に圧接した際の圧力に対する前鍔26の剛性
を充分に高めることができる。
【0022】このような構成によれば、スプール6を構
成する金属層24及び前鍔26を構成する超硬質コーテ
ィング処理層を共にばらつくこと無く均一に且つ薄く形
成することができるため、スプール6及び前鍔26の表
面強度のばらつきを無くすることが可能となると共に軽
量化させることが可能となる。
【0023】また、スプール6には、その胴部6aから
スカート部6bに亘る全表面に、金属層24がコーティ
ング処理されているため、この金属層24によってスプ
ール6に対する保護が図られ、その結果、傷等が付き難
いスプール6を実現することができる。
【0024】また、前鍔26には、その表面に超硬質コ
ーティング処理層が形成されているため、この超硬質コ
ーティング処理層によって前鍔26に対する保護が図ら
れ、傷等が付き難い前鍔26を実現することが可能とな
り、その結果、釣糸繰出時における釣糸の引っ掛かりが
解消され、糸切れや仕掛けの飛距離の低下等の不具合を
解消することができる。
【0025】更に、前鍔26は、リング状を成して形成
されており、その成形プロセスが簡単であるため、成形
コストが安価となり、その結果、低価格なスプール6を
提供することができる。
【0026】なお、本発明は、上述した実施の形態に限
定されることは無く、以下のように種々変更することが
可能である。
【0027】第1の変形例として、例えば図3(a),
(b)に示すように、ナット28(図1及び図2参照)
の代わりにビス30で前鍔26をスプール6に固定させ
ても良い。このようにビス30を用いることによって、
更に低価格なスプール6を構成することが可能となる。
【0028】また、例えば図3(a),(b)に示すよ
うに、前鍔26の表面(即ち、前鍔26の超硬質コーテ
ィング処理層の表面)に、所望の厚さの表面処理層32
をコーティング処理しても良い。
【0029】表面処理層32のコーティング処理法とし
ては、例えば湿式コーティング処理法や乾式コーティン
グ処理法のいずれか一方又は相互に組み合わせて適宜選
択的に適用することが可能である。そして、湿式コーテ
ィング処理法を実現するために、例えば、電解メッキ処
理法、無電解メッキ処理法等のいずれか1つの方法又は
任意に組み合わせて適宜選択的に適用することが可能で
あり、また、乾式コーティング処理法を実現するため
に、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)等の
いずれか1つの方法又は任意に組み合わせて適宜選択的
に適用することが可能である。
【0030】なお、湿式コーティング処理法としては、
例えば、ニッケルメッキ処理法、クロムメッキ処理法
(ベロアクロムを用いたメッキ処理、硬質クロムを用い
たメッキ処理)、複合メッキ処理法(ニッケル−リンを
用いたメッキ処理、ニッケル−ホウ素を用いたメッキ処
理、ニッケル−ポリテトラフルオロエチレンを用いたメ
ッキ処理)、銅メッキ処理法等が挙げられる。
【0031】また、乾式コーティング処理法としては、
例えば、チタンメッキ処理法(純チタンを用いたメッキ
処理、窒化チタンを用いたメッキ処理、炭化チタンを用
いたメッキ処理)、クロムメッキ処理法、ニッケルメッ
キ処理法、アルミニウムメッキ処理法等が挙げられる。
【0032】そして、この乾式コーティング処理法によ
れば、湿式コーティング処理法に比べて、薄くて軽い皮
膜層(表面処理層32)を形成できるだけでなく、外観
美の向上、耐摩耗性や耐食性の向上、耐候性や洗浄性の
向上等を実現することができる。
【0033】また、物理蒸着法(PVD)としては、真
空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法
等が挙げられ、化学蒸着法(CVD)としては、プラズ
マCVD法、有機金属CVD法等が挙げられる。
【0034】最後に、電解メッキ処理法は、電気分解に
よる電着を利用して、陰極物体(本実施の形態では、前
鍔26)の表面を金属の薄膜層(表面処理層32)で被
覆する方法であって、表面硬化や表面装飾に優れた方法
である。
【0035】一方、無電解メッキ処理法は、電気エネル
ギーを用いること無く、金属相互の化学的作用又は還元
作用を利用することによって、物体(本実施の形態で
は、前鍔26)の表面に金属皮膜層(表面処理層32)
を形成する方法である。その特徴としては、密着性や光
沢性に優れ、均一で且つ平滑な薄い皮膜層を形成するこ
とができる。
【0036】そして、前鍔26の材質に対応して、上述
したような各種の表面処理方法を適宜選択的に又は任意
に組み合わせることによって、前鍔26の表面に所望の
厚さの皮膜層即ち表面処理層32を形成することができ
る。
【0037】この場合において、表面処理層32を形成
するために用いることが可能な材料としては、例えば、
Fe、Co、Ni、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、A
u、Cr、Zn、Sn等が挙げられる。また、表面処理
層32の膜厚は、1〜200μm、好ましくは、5〜5
0μmの範囲に設定することが好ましい。
【0038】このような表面処理層32を前鍔26の表
面にコーティング処理することによって、前鍔26に対
する糸傷等の保護を更に高めることができる。
【0039】なお、その他の構成及び効果は、上述した
実施の形態と同様であるため、同一符号を付して、その
説明を省略する。
【0040】また、上述した実施の形態及び第1の変形
例では、スプール基部材22の表面にのみ金属層24を
形成しているが、これに限定されることは無く、第2の
変形例として、例えば図4(a),(b)に示すよう
に、スプール基部材22の表裏面全体に亘って金属層2
4を形成しても良い。
【0041】また、上述した実施の形態及び第1の変形
例では、前鍔26をスプール6とは別体で形成したが、
これに限定されることは無く、例えば図4(a)、
(b)に示すように、前鍔26をスプール6と一体的に
形成しても良い。この場合、前鍔26は、スプール基部
材22の前端に一体的に加工される。そして、この前鍔
26を含めてスプール基部材22の表裏面全体に亘って
金属層24を形成する。
【0042】この場合、釣糸繰出時の釣糸と前鍔26と
の摩擦抵抗を小さくして、釣糸表面の損傷や糸切れ等を
防止するために、前鍔26の表面には、曲げ加工(カー
リング)によって所定強度の補強材34を取り付けるこ
とが好ましい。
【0043】カーリングとは、通常、曲げ加工によって
低強度の本体に高強度の部材を巻き付ける技術であり、
本変形例では、低強度の前鍔26に高強度の補強材34
を巻き付けることによって、スプール6の前端側に設け
られた前鍔26の表面(本変形例では、前鍔26に形成
された金属層24の表面)を滑らかで且つ一定の強度に
仕上げている。
【0044】本変形例に適用した補強材34は、2つの
硬質層の間に1つの軟質層を介在させた三層構造を成し
ており、具体的には、前鍔26に形成された金属層24
側から順に、硬質材料で形成された補強母材36と、軟
質材料で形成された軟質層38と、硬質材料で形成され
た表面処理層40とを一体的に重ね合わせてリング状に
加工されている。
【0045】補強母材36は、硬質の金属材料(例え
ば、ステンレス、真鍮など)で形成されており、その厚
さは、0.05〜3mm、好ましくは、0.2〜1mm
に設定することが好ましい。
【0046】軟質層38は、補強母材36よりも軟質の
軟質金属(例えば、銅、ニッケル、亜鉛など)を補強母
材36表面上にメッキ処理したり、或いは、補強母材3
6よりも軟質の軟質樹脂(例えば、ウレタン、エポキシ
など)を補強母材36表面上に塗装処理することによっ
て形成されている。この場合、軟質層38は、1〜20
0μm、好ましくは、5〜50μmの厚さに形成するこ
とが好ましい。
【0047】表面処理層40は、補強母材36よりも硬
質の超硬質材料(例えば、セラミック、ハードクロム、
チタンニッケルなど)を軟質層38表面上にコーティン
グすることによって形成されており、その厚さは、0.
1〜200μm、好ましくは、1〜50μmに設定する
ことが好ましい。
【0048】ここで、上述したようなリング状の補強材
34を前鍔26にカーリングする方法について説明す
る。
【0049】まず、図5に示すような形状を成した補強
材34を用意し、この補強材34を前鍔26の表面(具
体的には、前鍔26に予め形成された当付面26b)に
当て付ける。
【0050】続いて、前鍔26の当付面26bに当て付
けられている補強材34の端部34aを例えばカーリン
グローラ(図示しない)によって矢印S方向に屈曲させ
ながら前鍔26の当付面26bに巻き付ける。
【0051】この結果、図4に示すように、前鍔26に
補強材34がリング状に取り付けられたスプール6が完
成する。
【0052】本変形例によれば、2つの硬質層(補強母
材36、表面処理層40)の間に1つの軟質層38を介
在させた補強材34を用いたことによって、この補強材
34を前鍔26にカーリングさせた際の応力によって補
強母材36にクラック(表面荒れ)が発生しても、軟質
層38が若干延伸してクラック(表面荒れ)を吸収する
ため、このクラック(表面荒れ)が表面処理層40に到
達することは無い。
【0053】これに対して、例えば、軟質層38を介在
させないで補強材34を構成し、この補強材34を前鍔
26にカーリングさせた場合には、補強母材36に発生
したクラック(表面荒れ)が表面処理層40に直接到達
するため、表面処理層40の表面が梨地肌となりざらつ
いた状態となる。このため、このような軟質層38を介
在させていない補強材34が取り付けられた前鍔26と
釣糸との摩擦抵抗が大きくなり、釣糸表面が損傷した
り、糸切れを生じさせてしまう。
【0054】しかしながら、本変形例によれば、補強母
材36に発生したクラック(表面荒れ)は軟質層38で
吸収されるため、補強材34の表面は、カーリング後で
も滑らかな状態に維持される。この結果、補強材34が
取り付けられた前鍔26と釣糸との摩擦抵抗を小さくす
ることができ、釣糸表面の損傷や糸切れ等を防止するこ
とが可能となる。
【0055】なお、その他の構成及び効果は、上述した
実施の形態と同様であるため、同一符号を付して、その
説明を省略する。
【0056】また、第3の変形例として、例えば図6に
示すように、スプール6の後端(具体的には、スカート
部6bの後端)に金属リング42を取り付けても良い。
【0057】金属リング24としては、例えば、アル
ミ、SUS、Ti、Bs、Fe、Mgなどの金属材料を
用いることが可能である。
【0058】このようにスプール6の後端に金属リング
24を取り付けることによって、スプール6の後端の剛
性を更に高めることができる。
【0059】なお、本変形例に用いた図6では、図4の
構成と同一構成を有するスプール6の後端に金属リング
24を取り付けた例を示したが、これに限定されること
は無く、例えば図2及び図3の構成と同一の構成を有す
るスプール6の後端に金属リング24を取り付けても良
い。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、糸切れ防止及び仕掛け
の飛距離アップを図ると共に、表面強度のばらつきを無
くした且つ耐久性に優れた軽量で低価格なスプールを有
する魚釣用スピニングリールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る魚釣用スピニング
リールの構成を示す図。
【図2】(a)は、スプールの構成を示す断面図、
(b)は、前鍔の近傍部分の構成を示す断面図。
【図3】本発明の第1の変形例に係る魚釣用スピニング
リールの構成を示す図であり、(a)は、スプールの構
成を示す断面図、(b)は、前鍔の近傍部分の構成を示
す断面図。
【図4】本発明の第2の変形例に係る魚釣用スピニング
リールの構成を示す図であり、(a)は、スプールの構
成を示す断面図、(b)は、前鍔の近傍部分の構成を示
す断面図。
【図5】前鍔に補強材をカーリングしている状態を示す
図。
【図6】本発明の第3の変形例に係る魚釣用スピニング
リールの構成を示す断面図。
【符号の説明】
6 スプール 6a 胴部 6b スカート部 22 スプール基部材 24 金属層 26 前鍔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 釣糸を巻回可能なスプールを有する魚釣
    用スピニングリールにおいて、 スプールは、樹脂で形成されたスプール基部材と、この
    スプール基部材の表面にコーティングされた金属層とを
    備えて構成されており、 このスプールの前端側には、超硬質コーティング処理が
    表面に施された硬質材製の前鍔が設けられていることを
    特徴とする魚釣用スピニングリール。
  2. 【請求項2】 前記金属層は、所定の金属材料をスプー
    ル基部材の表面にコーティング処理することによって形
    成されることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピ
    ニングリール。
  3. 【請求項3】 前記前鍔は、所定の材料から成る前鍔母
    材と、この前鍔母材の表面に形成された超硬質コーティ
    ング処理層とを備えて構成されていることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の魚釣用スピニングリール。
  4. 【請求項4】 前記超硬質コーティング処理層は、前鍔
    母材よりも硬質な材料を前鍔母材の表面に超硬質コーテ
    ィング処理することによって形成されることを特徴とす
    る請求項3に記載の魚釣用スピニングリール。
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