JP2000194138A - レリ―フ印刷版体を形成するためのトップ層を有する光重合可能の印刷版体 - Google Patents

レリ―フ印刷版体を形成するためのトップ層を有する光重合可能の印刷版体

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JP2000194138A JP11376685A JP37668599A JP2000194138A JP 2000194138 A JP2000194138 A JP 2000194138A JP 11376685 A JP11376685 A JP 11376685A JP 37668599 A JP37668599 A JP 37668599A JP 2000194138 A JP2000194138 A JP 2000194138A
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トーマス、ツヴェッツ
Stefan Dr Wegener
シュテファン、ヴェーゲナー
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷版体表面の特性を、それぞれの特定の用
途に対応するように、装置を複雑化する必要なく、簡単
でありかつよく制御された態様で、変性され得るように
すること。 【解決手段】 40から95質量%のビニル芳香族ブロ
ック及びジエンブロックを有する、架橋性エラストマー
ブロック共重合体と、5から50質量%の、ビニル芳香
族ブロック及びアルキレンブロックを有する、非架橋性
エラストマーブロック共重合体とを包含するトップ層、
又はこのトップ層を備えた光重合性印刷版体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、寸法的に安定な担
体層、光重合可能性、この上に施されたトップ層及び保
護シートを包含し、上記トップ層が相互に非相溶性なエ
ラストマーブロック共重合体を含有する光重合可能の印
刷版体に関する。本発明は、又このような光重合性印刷
版体の製造方法、レリーフ印刷版体、ことにフレキソ印
刷版体、更にはレリーフ表面にインキセルを有する印刷
版体それ自体に関する。
【0002】
【従来の技術】光重合性印刷版体は、基本的には公知で
あり、これはポリマー結合剤、光重合可能の化合物、光
重合開始剤ないし開始剤組成物、及び場合により更に他
の慣用の組成分を含有する光重合性層を特徴とする、フ
レキソ印刷版体の製造には、例えばDE−A22150
90号公報に記載されているように、一般的に、例え
ば、スチレン/イソプレン/スチレンブロック又はスチ
レン/ブタジエン/スチレンブロックのようなブロック
共重合体から成るエラストマー結合剤を使用するのが好
ましい。このようなエラストマーを含有する印刷版体
は、軟質で弾性があり、従ってことにフレキソ印刷版体
に使用するのが好ましい。
【0003】印刷特性は、ことに印刷版体表面により決
定的影響を受ける。粗面性(表面粗さ)、摩耗性、表面
張力、表面粘性、溶媒耐性などのパラメータは、インキ
ののり、印象的特徴に重大な影響を及ぼす。複数層、こ
とに2層から印刷版体を構成することは公知である。2
層構造の印刷版体は、光重合可能層と、その上方の比較
的薄いトップ層を有し、印刷版体のフレキソ特性、例え
ば硬質性又は柔軟性に影響を与えることなく、印刷版体
の表面特性を変更し得る利点がある。従って、表面特性
と層特性は、好ましい印刷結果をもたらし得るように、
相互に無関係に変性され得る。
【0004】EP−A84851号公報は、トップ層を
有する光重合性印刷版体の製造方法を開示している。最
初に、いわゆるカバーエレメントと称される層が、注型
ないし押出成形によりカバーフィルムにトップ層を施し
て形成される。次いで、加熱され、押し出された光重合
組成物がカレンダーのニップに押し込まれ、担体と、上
記カバーエレメントの間に光重合可能層を形成する。ト
ップ層は、エラストマー結合剤と、任意の非エラストマ
ー性第二結合剤、ことにメチルメタクリラート/アクリ
ロニトリル/ブタジエン/スチレン四元共重合体とを含
有する。
【0005】EP−A456336号公報は、結合剤と
して、二種類のエラストマー重合体、すなわち架橋ブロ
ック共重合体と、例えばアクリロニトリル/ブタジエン
共重合体、アクリロニトリル/イソプレン共重合体、カ
ルボキシル化アクリロニトリル、又はポリアクリラート
のようなエラストマーを含有するトップ層を設けた光重
合性印刷版体材料を開示している。
【0006】DE−A4022978号公報は、(ポリ
スチレン/ポリブタジエン)4Siブロック共重合体
と、選択的にメチルメタクリラート/アクリロニトリル
/ブタジエン/スチレン四元共重合体とを含有する非接
着性トップ層を設けた光重合可能の印刷版体を開示して
いる。このように構成されたトップ層は、画像マスクが
露出の間に版体表面に過度に膠着するのを回避する目的
を果たす。
【0007】アクリロニトリル含有重合体は、光重合性
印刷版体の露出により、架橋され、小径ビーズの形態で
トップ層中に合併され、従って重合、現像された印刷版
体表面には小径ビーズが密集分散する。
【0008】上述印刷版体は、露出に次いで、テトラク
ロロエチレン、又はこれとn−ブタノールとの混合溶媒
のような塩素化溶媒で現像される。しかしながら、環境
保持の観点からすれば、例えばEP−A470071号
公報に記載されているように、高沸点炭化水素溶媒を基
礎とする、非塩素系現像液を使用するのが今や一般的で
ある。しかしながら、アクリロニトリル、メタクリラー
トを含有する重合体は、このような溶媒にはほとんど不
溶性であって、その結果ポリマースラッジが現像液ない
し洗除剤中に混入し、洗浄の手間が増大する。
【0009】経済的な印刷版体製造の観点からすれば、
印刷版体表面の特性は、それぞれの特定の用途に対応す
るように、装置を複雑化する必要なく、簡単でありかつ
よく制御された態様で、変性され得るようになされるべ
きである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この技術分野
における課題、ないし本発明の目的は、トップ層を有
し、非塩素系洗除剤を使用することなく容易に現像され
得る、光重合性印刷版体を提供することである。本発明
の更に他の目的は、個別的に、かつ簡単にそれぞれの印
刷用途になじみ、しかも膠着することなく、かつインキ
のノリがよい版体表面を有する印刷版体を提供すること
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】しかるに、これらの目的
は、寸法的に安定な担体層、光重合可能層、この上に施
されたエラストマートップ層及び保護シートを包含する
光重合性の印刷版体により達成されることが本発明者ら
により見出された。
【0012】この本発明による印刷版体において、エラ
ストマートップ層は、40−95質量%の、ビニル芳香
族ブロック及びジエンブロックを有する架橋性エラスト
マーブロック共重合体Aと、5−50質量%の、ビニル
芳香族ブロック及びアルキレンブロックを有する非架橋
性エラストマーブロック共重合体Bとを含有し、これら
のブロック共重合体A,Bが相互に非相溶性であること
を特徴とする。
【0013】本発明は、又上述した光重合性印刷版体か
ら製造され得る、レリーフ印刷版体表面にインキセルが
設けられているレリーフ印刷版体を提供する。上記のイ
ンキセルは、一般的に15μm未満、ことに10μm未
満の直径及び深さを有する。
【0014】又表面に上述インキセルを有する本発明の
レリーフ印刷版体は、膠着し難い表面及び優れたインキ
のノリを示す。このような表面特性、ことにその粗さな
いし表面粗性は、極めて簡単かつ良好にそれぞれの印刷
目的に適合する。
【0015】
【実施例】以下において、添付の図面(図面代用写真)
を参照しつつ、本発明の好ましい実施例を説明する。
【0016】本発明による重合可能印刷版体において、
光重合性層は、接着層を介して、あるいはこれを介する
ことなく、寸法安定層上に施される。この寸法的に安定
な層は、具体的には、板体、フィルム、円錐台ないし円
筒体スリーブにより構成される。その材料としては、ス
チール、アルミニウム、銅、ニッケルのような金属、あ
るいはポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブ
チレンテレフタラート、ポリアミド、ポリカルボナート
のような重合体、更にはグラスファイバー織成体又は不
織布、グラスファイバーと重合体の複合材料が使用され
る。ことに適当な寸法安定性担体は、例えばポリエチレ
ン、ポリエステル、ことにポリエチレンテレフタラート
製のフィルムである。このような担体フィルムは、50
から500μm、ことに75から400μm、例えば1
25μm程度の厚さを有する。このような層担体は、柔
軟で弾性的は下敷層を持っていてもよい。
【0017】接着層としては、ことにDE−A3045
516号公報に記載されているような、0.5から50
μm、ことに2から30μmの厚さを有する、ポリイソ
シアナート架橋ポリエーテル又はポリエステルを基礎と
するポリウレタン接着剤層を使用するのが好ましい。
【0018】光重合可能層は、ネガチブ作用する、すな
わち露光により硬化する光重合性混合物から成る。これ
は既製重合体による光架橋、低分子量の光重合性化合物
の光重合又はこれら両方法で行われ得る。この光重合性
層は、本質的に、現像液で洗除され得るポリマー結合
剤、エチレン性不飽和のフリーラジカル重合性化合物、
光重合開始剤又はその組成物及び選択的なその他の添加
剤及び助剤を含有する。このような組成の組成物は、例
えばDE−A2456439号、EP−A84851号
公報から原則的に公知である。
【0019】使用される結合剤は、ことにスチレン、ア
クリロニトリルはアクリル酸エステル単位の硬質重合体
ブロックと、例えばブタジエン又はイソプレンのような
ジエン重合体の弾性ブロックとを有するブロック共重合
体のようなエラストマーであるのが好ましい。適当な例
としては、例えばDE−A2215090号公報に記載
されているようなスチレン/イソプレン/スチレン又は
スチレン/ブタジエン/スチレンブロックを有する三元
ブロックエラストマー共重合体である。この三元ブロッ
ク共重合体は、単一のエラストマーとして、あるいはス
チレン/イソプレン及びスチレン/ブタジエン二元ブロ
ック共重合体との混合物として使用され得る。ことにD
E−特願P19846529.7号明細書に記載されて
いるように、末端スチレンブロックと、スチレンとブタ
ジエンとのランダム重合から成るエラストマー中間ブロ
ックとを有する三元ブロック共重合体を使用するのが好
ましい。
【0020】更に、重合可能混合物は、重合性化合物な
いし単量体を慣用的に含有する。この単量体は結合剤と
相容性であって、少なくとも1個の重合可能エチレン性
二重結合を含有する。適当な単量体は、一般的に、大気
圧下で100℃より高い沸点、3000g/モルまで、
ことに2000g/モルまでの分子量を有する。ことに
有利であることが見出された単量体は、アクリル酸もし
くはメタクリル酸、スチレンもしくは置換スチレンのエ
ステル又はアミド、フマル酸もしくはマレイン酸のエス
テル、及びアリル化合物である。適当な単量体は、EP
−A326977号公報の5頁に掲記されている。
【0021】光重合用の適当な開始剤としては、ベンゾ
インもしくはその誘導体、例えばα−メチルベンゾイン
又はベンゾインエーテル、ベンジル誘導体、例えばベン
ジルケタール、アシルアリールホスフィンオキシド、ア
クリルアリールホスフィン酸エステル、多環式キノン、
ベンゾフェノンが挙げられる。
【0022】光重合性混合物は、一般的に、各組成分合
計量に対して、45から95質量%の結合剤を含有して
いる。この割合は、ことに70から95質量であるのが
好ましい。又重合可能単量体の割合は、4.9から45
質量%、ことに4.9から30質量%であり、光開始剤
のそれは、0.1から5質量%である。
【0023】光重合可能混合物は、更に可塑剤を含有し
ていてもよい。適当な可塑剤としては、変性及び非変性
の天然油及び樹脂、及び酸、例えばアルカン酸、アリー
ルカルボン酸、ホスホン酸のアルキル、アルケニル、ア
リールアルキル、アリールアルケニルエステル、合成オ
リゴマーないし樹脂、例えばオリゴスチレン、オリゴマ
ースチレン/ブタジエン共重合体、オリゴマーα−メチ
ルスチレン/p−メチルスチレン共重合体、液状オリゴ
ブタジエン、液状オリゴマーアクリロニトリル/ブタジ
エン共重合体、更にはポリテルペン、ポリアクリラー
ト、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、エチ
レン/プロピレン/ジエンゴム又はα−メチルオリゴ
(エチレンオキシド)が使用される。ことに適当な可塑
剤は、例えばパラフィン鉱油、ジカルボン酸エステル、
例えばジオクチルアジパート、ジオクチルテレフタラー
ト、ナフテン系可塑剤又は500から5000g/モル
の分子量を有するポリブタジエンである。異なる可塑剤
の混合物も使用できる。可塑剤の使用量は、所望の印刷
版体の所望の硬さに応じて、当業者により適宜選択され
得るが、一般的には、光重合性混合物全組成分の合計量
に対して、40質量%以下である。
【0024】光重合性混合物は、更に慣用の助剤、こと
に熱開始重合禁止剤、染料、顔料、フォトクロミック添
加剤、酸化防止剤、対オゾン化剤又は押出助剤を含有す
る。その量割合は、光重合性混合物の全組成分合計量に
対して20質量%未満であり、かつ可塑剤及び助剤の合
計量は、50質量%を超えないように選定される。熱開
始重合禁止剤としては、ヒドロキノン、p−メトキシフ
ェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾ
ール、β−ナフトール、フェノチアジン、ピリジン、ニ
トロベンゼン、m−ジニトロベンゼン又はクロラニル、
チアジン染料、例えばチオニンブルーG(C.I.52
025)、メチレンブルーB(C.I.52015)、
トルイジンブルー(C.I.52040)、あるいはN
−ニトロサミンが使用される。
【0025】染料又は顔料は、2質量%までの量割合で
添加して、露出特性を制御し、露出結果を直接的に調整
し、又は審美的(装飾的)目的を達成する。このような
添加剤の選定及び使用量の前提条件は、禁止剤と同様
に、この混合物の光重合に影響を及ぼさないことであ
る。ことに適当であるのは、例えばDE−A42023
32号に記載されているようなアゾ染料である。
【0026】対酸化剤、すなわち酸化防止剤としては、
立体障害モノフェノール、例えば2,6−tert−ブ
チル−p−クレゾール、アルキル化チオビスフェノー
ル、アルキリデンビスフェノール、ヒドロキシベンジ
ル、例えば1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)−ベンゼン、トリアジン、ジラウリルチオジプ
ロピオナート、又はトリス(ノニルフェニル)ホスファ
イトのような亜燐酸塩である。
【0027】使用され得る押出助剤は、例えばα−メチ
ルスチレン/ビニルトルエン共重合体である。
【0028】対オゾン剤の例としては、慣用の対オゾン
保護ワックス、炭素原子数8から40の、分子中に30
から73質量%の塩素を含有するクロロアルカンが挙げ
られる。
【0029】光重合性レリーフ形成層の厚さは、まず本
発明による光重合性印刷版体の使用目的に応じて決定さ
れる。例えば厚さは、一般的に0.05から7mm、好
ましくは0.1から7mm、ことに0.7から6.5m
mになされるが、具体的には所望の目的に応じて熟練し
た技術者により適宜決定され得る。
【0030】本発明による光重合性印刷版体の場合、エ
ラストマートップ層は、それ自体光重合性であるか、あ
るいは光重合可能層との接触により光重合性になされる
かのいずれかである。
【0031】エラストマートップ層は、トップ層の全組
成分の合計量に対して、40から95質量%の、ビニル
芳香族ブロックとジエンブロックを含有する架橋可能エ
ラストマーブロック共重合体Aを含有する。このブロッ
ク共重合体Aは、二元ブロック、三元ブロック又は更に
多元のブロック共重合体又はラジアルブロック共重合体
であってもよい。末端ビニル芳香族ブロックと、中間に
ジエンブロックを有する三元ブロック共重合体が好まし
い。このビニル芳香族ブロックは、例えば、スチレン、
α−メチルスチレン、アルキル置換スチレン、例えば4
−メチルスチレンから構成され得る。又、ジエンブロッ
クは、共役脂肪族ジオレフィン、例えばブタジエン、ア
ルキル置換ブタジエン、ハロ置換ブタジエン又はこれら
の混合物から構成される。ことにブタジエン又はイソプ
レンから構成されるのが好ましい。好ましくはないが、
ジエンブロックは部分的にハロゲン化されていてもよ
い。しかしながら、ブロック共重合体Aを架橋可能と
し、ブロック共重合体Bに対して非相溶性ならしめるた
めに充分な二重結合が存在していなければならない。エ
ラストマーブロック共重合体Aは、ポリスチレンブロッ
クと、ポリブタジエンブロック又はポリオソプレンブロ
ックを含有する三元ブロック共重合体であるのが好まし
い。異なるブロック共重合体Aの混合物を使用すること
もできる。
【0032】エラストマートップ層は、又ビニル芳香族
ブロックとアルキレンブロックとを含有し、架橋可能の
ブロック共重合体Aと、非適当的な架橋し得ないエラス
トマーブロック共重合体Bを、5から50質量%を含有
する。ここで非適当的と称するのは、両ブロック共重合
体が相互に均質に混合されることができず、ブロック共
重合体Bが、本質的にブロック共重合体Bから成る別個
の帯域ないし群島の形態で、本質的にブロック共重合体
Aから成る連続相中に分散されることを意味する。上記
帯域ないし群島の直径は一般的に15μmを超えず、好
ましくは5から10μmである。この群島ないし帯域の
形態は、上記層を例えばOsO4で適当なコントラスト
処理した後の電子顕微鏡写真では液滴ないしビーズのよ
うに見える(図4の電子顕微鏡写真参照)。ブロック共
重合体Bは、上述したように非架橋的であって、換言す
れば、中間ブロック中に、たとえ存在するにしてもほと
んど重合可能の二重結合を持っていない。
【0033】ブロック共重合体Bは、二元ブロック、三
元ブロック又は更に多元のブロック共重合体又はラジア
ルブロック共重合体である。ビニル芳香族ブロックは、
前述した構成を有する。アルキレン単位を有するブロッ
クは、オレフィン、例えばエテン、プロペン、1−ブテ
ン、1−ヘキセン、これに類するモノオレフィンを重合
させることにより、あるいはジエン重合体、例えばポリ
ブタジエンのすでに形成されているブロックを水素添加
することにより形成され得る。この水素添加により、重
合体中のブタジエン単位が、1,2もしくは1,4付加
で形成されているか否かに応じて、エチレン単位又は
1,2−ブチレン単位が形成される。この水素添加は、
米国特許3431323号特許明細書に記載されている
ような慣用の態様で行われる。アルキレンブロックは、
ポリエチレン/プロピレンブロック又はポリエチレン/
ブチレンブロックであるのが好ましい。このような生成
物は公知であって、商業的に入手可能である。異なるブ
ロック共重合体Bの混合物を使用することもできる。
【0034】トップ層中の2個のブロック共重合体、A
及びBの量割合は、印刷版体製品の所望の特性に応じ
て、上述限度内において適宜選定され得る。一般的にA
/B量割合は50:50より大きい。このA/B量割合
は、60:40から90:10の間、ことに70:30
から85:15の間にあるのが好ましい。
【0035】尚、エラストマー結合剤は、光重合性層の
現像剤中において溶解可能であるか、少なくとも膨潤可
能のものを選択するのが好ましい。
【0036】本発明によるトップ層は、更に重合可能の
エチレン性不飽和単量体及び光開始剤ないし光開始剤組
成物を含有していてもよい。なお光重合可能層に使用さ
れる化合物も使用され得る。更に他の添加剤、助剤、例
えば熱安定剤、顔料、染料も使用し得る。
【0037】本発明トップ層は、マイグレーション安定
性の染料、顔料又はこれらの調剤を含有するのが好まし
い。適当な顔料の例としては、フタロシアニン銅(例え
ばSicodop(登録商標)Blue)又はペリレン
顔料(例えばPaliogenrot(登録商標))が
挙げられる。顔料は、一般的に、適当な分散助剤及び/
又は結合剤との混合物として、あらかじめ分散された顔
料調剤として使用される。
【0038】本発明のトップ層としてことに好ましいの
は、マイグレーション安定性の重合体染料であって、そ
の発色団が重合体連鎖の構成員か、あるいはその末端基
であり、あるいは側鎖基として重合体連鎖にグラフトさ
れている重合体染料である。重合体染料は、洗除液、な
いし現像剤に可溶性であるのが好ましい。ことに適当な
重合体染料は、式Chr−(X)nで表され、Chrが
有機発色団を、Xが分岐もしくは非分岐ポリオキシアル
キレン鎖を意味する場合の染料である。発色団は、アン
カー基を介して重合体に共有結合される。適当なアンカ
ー基の例は、−H<、−O−、−S−、−SO2−、−
CO2−、−(CO)N<又は−(CO)NH−のよう
な原子又は基である。ポリオキシアルキレン連鎖は、少
量の更に他の適合的単量体を持っていてもよい、もしく
は持っていなくてもよいエチレンオキシ、又はブチレン
オキシ単位の単独重合体もしくは共重合体を含有するの
が好ましい。nは発色団1個当たりのポリマー連鎖の個
数であって1から6である。好ましい有機発色団は、ア
ゾ化合物である。この種の重合体染料は基本的に知られ
ており、その製造方法は、米国特許3157633号、
同4167510号明細書に記載されており、又、例え
ばReactint(登録商標)(Milliken
社)の商標で商業的に入手可能である。
【0039】添加される染料、顔料又はこれらの調剤の
量は、特定の用途及び所望の特性により規制される。し
かしながら、これを含む助剤及び添加剤の全合計量は、
トップ層組成分合計量に対して、5質量%、ことに3質
量%を超えないのが好ましい。
【0040】トップ層の厚さは、重合性層のそれに比べ
て薄く、5から200μm、ことに20から150μm
の範囲であるのが好ましい。
【0041】本発明による記録材料、すなわち光重合可
能の印刷版体は、光重合性層の現像剤中に可溶性である
か、あるいは膨潤性の透明接着層を共通的い包含し、保
護層よりも強力にトップ層に接着する。この接着層は、
高い引っ張り強さを有するフィルムを形成する重合体及
びこの重合体中に存在する接着剤により形成される。こ
の高い引っ張り強さを示すフィルムを形成する重合体の
適当な例としては、ポリアミド、完全に、もしくは部分
的に加水分解された、ポリビニルアセタート又はポリエ
チレンオキシドビニルアセタートのグラフト共重合体、
コポリアミド、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリラー
ト、30から99%の加水分解度を有する、ポリビニル
アルコールのアルカンカルボン酸エステル、高い環化度
を有する環化ゴム、エチレン/プロピレン共重合体、ビ
ニルクロリドの単独重合体及び共重合体、エチレン/ビ
ニルアセタート共重合体である。接着剤を含有する適当
な接着層は、例えばDE−A2823300号、DE−
B2123702号各公報から公知である。接着層は、
一般的に、0.2から25μmの厚さを有し、下層に損
傷を与えることなく、保護層から容易に剥離され得る。
【0042】本発明の特定の実施態様において、感赤外
線層が、接着層上に、好ましくはこの接着層とトップ層
の間に設けられる。この感赤外線層は、赤外線融除性、
すなわち赤外線レーザ、ことにNd/YAGレーザ照射
により部分的に除去され、画像形成し得る層である。こ
の種の感赤外線層は公知であり、例えばEP−A767
407号公報に記載されている。
【0043】感赤外線層は、現像液に可溶性もしくは可
分散性であって、750から20000nmの波長範囲
において高い吸収性を示し、エラストマー特性を有する
フィルム形成結合剤中において2.5より大きい光学密
度を有する、少なくとも一種類の微細粉物質を含有す
る。現像剤は、水、水/アルコール又は有機溶媒を基礎
とする。感赤外線層を形成する適当な結合剤は、水及び
/又はアルコールに対して可溶性もしくは分散性であ
り、あるいは有機溶媒又は混合溶媒に対して可溶性もし
くは可分散性の付加重合体、ことに共重合体である。
【0044】水又は水/アルコールに可溶性もしくは可
分散性であり、かつエラストマー特性を有する結合剤の
例としては、1000から50000の分子量を有する
ポリエチレングリコールにビニルアセタートをグラフト
させ、次いで加水分解により80から100%の加水分
解度を示すに至るポリビニルアルコール/ポリエチレン
グリコール共重合体(例えばヘキスト社のMowiol
(登録商標)GE5−97)が挙げられる。
【0045】又、有機溶媒又はその混合溶媒に対して可
溶性又は可分散性であり、エラストマー特性を有する結
合剤の例としては、熱可塑性ポリアミド樹脂エラストマ
ーが挙げられる。これは商業的に入手可能(例えばヘン
ケル社のMacromelt(登録商標))である。こ
れら市販の結合剤についての詳細は、各社の商品説明書
を参照されたい。
【0046】感赤外線層を構成するフィルム形成結合剤
中の微細粉物質の例としては、種々の粒度のカーボンブ
ラック、ことにFarbruss FX2000、Sp
ezialschwarz5又はPrintex(登録
商標)U(デグッサ社)が挙げられ、これらの平均一次
粒度は、13から30nmである。
【0047】光重合性版体は、最上方層の上に設けら
れ、例えばPETから成る保護シートにより損傷から保
護される。
【0048】本発明による印刷版体は、まず保護シー
ト、接着層、及び場合により赤外線融除層、及びトップ
層をこの順序に包含する積層体を形成し、これを寸法安
定層担体上の光重合性層上方に重ねることにより形成さ
れ得る。換言すれば、これらの両層間には他の層は存在
しない。限定的にではないが、上記の積層は、EP−A
84851号公報から公知のように、加熱され、押出成
形された光重合性組成物をカレンダーニップ中に導入
し、これを寸法安定性担体と積層体との間においてカレ
ンダー処理するのが好ましい。
【0049】積層体は、保護シート上に接着層を、次い
で場合によりIR融除をコーティングして構成され得
る。接着層は、高い引っ張り強さを有する重合体を適当
な溶媒中に溶解させ、これを注下し、溶媒を蒸散除去す
ることにより形成されるのが好ましい。IR融除層を形
成するには、高い赤外線吸収能力を有する物質を均質に
分散状態で含有する結合剤溶液を使用するのが好まし
い。この溶液は、接着層上に直接的に接着層上に均質に
施し、乾燥するか、あるいはシート上に注下し、乾燥
し、次いでシート除去後、この層を上記接着層上に積層
する。
【0050】トップ層は、ブロック共重合体、ブロック
共重合体B及び選択的に助剤、染料、顔料又はこれらの
調剤を、溶媒又は混合溶媒中に溶解させた溶液を注下、
乾燥することにより形成される。この溶解は、適当な撹
拌機ないし分散装置を使用して撹拌し、場合により更に
加熱することにより容易になされる。この溶液を、接着
層で被覆された保護シート上に、あるいは場合により形
成されているIR融除層上に、薄膜として注下し、溶媒
を蒸散させる。この溶媒蒸散の過程において、相互に非
相溶性なブロック共重合体A及びBは、分離し、上述し
たように、ブロック共重合体Aの連続相中におけるブロ
ック共重合体のいわば列島が形成される。
【0051】相互に非相溶性である両ブロック共重合体
用の溶媒としては、脂肪族炭化水素、シクロヘキサンの
ような脂環式炭化水素、トルエン、エチルベンゼン、キ
シレンのような芳香族炭化水素、メチレンクロリド、ク
ロロホルムのような塩素化炭化水素が適当である。又、
これらの混合溶媒も適当である。これらの混合溶媒は、
更にメチルエチルケトンのようなケトン、又は高級アル
コールも含有し得る。このような混合溶媒の組成によ
り、ブロック共重合体Bにより形成される島の寸法を制
御することができる。ことに適当な混合溶媒は、トルエ
ンとキシレンの組み合わせである。
【0052】ブロック共重合体Aの連続層中における、
ブロック共重合体の島の寸法は、又乾燥の速度によって
も影響を受ける。層の乾燥が充分に迅速に行われる場合
には、15μm未満、ことに5から10μmの小さな島
が形成されるが、乾燥速度が緩慢な場合には、ブロック
共重合体の群島は相互に凝集する。
【0053】本発明による感光重合性印刷版体の利点
は、レリーフ印刷版体、ことにフレキソ印刷版体を形成
するために使用される場合に充分明白である。光重合性
印刷版体の構造に応じて、二種類の適当な製法がある。
感赤外線性層を持たない場合には、原画マスクを介して
化学線に露出され、レリーフ印刷版体のパターンが形成
される。これに対して、光重合性印刷版体が、感赤外線
性層を具備する場合には、原画マスクを版体上に載置す
ることなく、赤外線レーザーを使用して印刷版体上にマ
スクを形成し、次いでこのマスクを介して化学線に露出
される。
【0054】本発明による光重合性印刷版体から、これ
に載置されたマスクを介して露出を行う場合には、以下
の処理が行われる。
【0055】(a) 本発明記録材料の任意の選択的予
備処理、(b) 保護シートの剥離、除去、(c) 画
像マスク、すなわちネガチブ原画の載置、(d) 23
0から450nm、ことに350nmから450nmの
波長範囲を有する化学線に対する光重合性層の画像形成
露出、(e) 適当な現像剤による画像形成露出層上の
非露出部分の洗除(現像)(トップ層の他に、任意の選
択により積層された接着層も含めた非露出部分の洗
除)、(f) 乾燥、(g) レリーフ層を含めたレリ
ーフ印刷版体の任意選択的な後処理。
【0056】レリーフ層の厚さは、このレリーフ印刷版
体の使用目的に応じて、0.1から7mm、ことに0.
7から6.5mmの範囲である。
【0057】予備処理の慣用の一方法は、本発明による
記録材料の裏側からの化学線による全面露出である。こ
こで裏側と称するのは、次いで形成されるべきレリーフ
層と反対側の面を意味する。
【0058】化学線の適当な照射線源(光源)は、市販
の紫外線蛍光灯、中、高、低圧水銀灯、超化学線蛍光
灯、パルスキセノン灯、沃化金属ドーピング灯、炭素ア
ーク灯などである。
【0059】適当な現像剤の例としては、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイ
ン、リモネンその他のテルペン、トルエン、ヘキセン、
エチルベンゼン、イソプロピルベンゼンのような脂肪
族、芳香族炭化水素、これらの混合溶媒、アセトン、メ
チルエチルケトンのようなケトン類、ジ−n−ブチルエ
ーテルのようなエーテル類、エチルアセタートのような
エステル類、メチレンクロリド、クロロホルム、トリク
ロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロテトラフ
ルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンのような
ハロゲン化脂肪族炭化水素、これらの二種類又はそれ以
上の混合溶媒、これらと他の溶媒との混合溶媒、さらに
は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−
ブタノールのようなアルコール類、更には固相、液相、
気相の有機もしくは無機化合物、例えば表面活性剤の少
量を含有する上記の溶媒ないし混合溶媒が挙げられる。
【0060】レリーフ画像もしくは印刷版体の慣用の後
処理は、150から450nmの波長範囲を有する化学
線への全面露出、ハロゲン含有、ことに臭素含有溶液に
よる処理である。
【0061】感赤外線層を有する光重合性印刷版体の場
合には、これからレリーフ印刷版体を製造するには、慣
用的に以下の処理が行われる。
【0062】(a) 保護シートの剥離、除去、(b)
赤外線レーザーを使用する、感赤外線層の画像記録、
(c) 本発明による記録材料の任意選択的な予備処
理、(d) 230から450nm、ことに350から
450nmの波長を有する光学線に対する記録材料の光
重合性層の画像形成露出、(e) 適当な現像剤によ
る、画像形成露出層の非露出部分の洗除(現像)(感赤
外線性の残渣、トップ層非露出部分、任意選択的に積層
された接着層も洗除される)、(f) 乾燥、(g)
レリーフ層を包含する、あるいはこれから成るレリーフ
印刷版体の任意選択的な後処理。
【0063】感赤外線層の赤外線レーザーによる画像形
成(画像記録)は、感光性印刷版体が装着されているド
ラム上において正確に行われる。この場合、感赤外線層
のエラストマー的特性は、非エラストマー性層の場合の
ようにドラム上に展張、装着された印刷版体を損傷させ
ることがない点で明らかに有利である。
【0064】又、水可溶性又はアルコール可溶性の感赤
外線層の残渣を水を主体とする、又水/アルコールを主
体とする現像剤でまず除去し、次いで有機溶媒で、画像
形成露出された層を現像することもできる。この場合の
利点は、有機現像剤が、強い着色作用を有する固体分、
例えばカーボンブラックで汚染されないことである。
【0065】本発明による光重合性印刷版体が、適当な
処理に附される場合、レリーフ印刷版体表面に微少凹陥
部ないしインキセルを有する印刷版体が得られる。化学
線照射の影響下に、光重合はまず光重合性層中において
開始される。トップ層自体が光開始剤を含有している場
合には、その直下に在る光重合性層においてまず光重合
が開始される。トップ層は、光開始剤を含有しないこと
が好ましい。この場合、トップ層の光重合は、トップ層
の直下に在る光重合性層中に生起するフリーラジカルに
より開始される。従って、これら両層は、又化学結合に
より相互結合する。しかしながら、ビニル芳香族ブロッ
クと、アルキレンブロックを有するブロック共重合体
は、二重結合を含有せず、架橋されない。レリーフ面上
に在るブロック共重合体B部分は、露出された版体が洗
除されるのと同時に洗除され、従って、レリーフ印刷版
体表面のインキセルはこの部分においてのみ残存する。
すなわち、共重合体Bのこの部分は、架橋され、従っ
て、不溶性のブロック共重合体Aにより完全に包囲さ
れ、完全に硬化されたトップ層中に残存する。
【0066】一般的にレリーフ印刷版体は、5から10
μmの直径と、最大限10μm未満の深さを有する。ト
ップ層を持たない印刷版体と比べて、本発明による印刷
版体平面は、極めて有効に非粘着性化、非膠着性化され
る。インキセルの直径は、溶媒の適当な選定により調節
され得る。メチルエチルケトンのような溶媒中におい
て、ブロック共重合体は著しく膨潤せしめられ、膨潤作
用の強くない溶媒の場合と比べてブロック共重合体Bの
大径の島が、従って、大径のインキセルがもたらされ
る。印刷版体表面の単位面積におけるインキセルの個数
は、両ブロック共重合体A,Bの量割合により極めて簡
単に調節され得る。インキセルの個数が増大するに応じ
て、印刷版体の粗面性は増大する。従って、印刷版体の
典型的なフレキソ特性に影響を及ぼすことなく、簡単な
態様で、望ましい印刷結果をもたらすに必要な印刷版体
の粗面性を設定することが可能である。架橋し得ないブ
ロック共重合体のトップ層中における量割合が、50質
量%を超えるような印刷版体は使用されるべきではな
い。量割合が比較的高いレベルに達すると、トップ層は
剥離の傾向が強くなる。逆に5質量%未満のブロック共
重合体Bを有するトップ層は印刷版体表面を非粘着性化
することができない。フレキソ印刷版体のブロック共重
合体A,Bの割合A/Bは、好ましい粗面性をもたらす
ためには、一般的に60:40から90:10、ことに
70:30から85:15の範囲に在るのが望ましい。
【0067】本発明による印刷版体の特別の利点は、優
れたインキ受容性及びインキ釈放性に在る。表面粘着性
が低いために紙の微少屑が版体表面に付着し難いからで
ある。
【0068】光重合後において、印刷版体は、炭化水素
を主体とする現像液により、現像され得るが、現像液に
対して不溶性の組成分の故に、洗除剤中にスラッジが堆
積することはない。
【0069】以下の実施例は、本発明の技術的範囲をこ
れらに限定することなく、本発明を具体的に説明するた
めのものである。
【0070】印刷版体の表面粘着性は、エリクソンのペ
ンデュラムを使用して、ペンデュラム粘着性を測定し
た。すなわちペンデュラム本体は半円形筒体から成り、
これは被験体表面上において揺動し得るように構成され
ている。このペンデュラムの揺動回数を光バリヤで計測
する。比較のためガラス板上の揺動回数を測定する。
【0071】実施例1 (トップ層の形成)鋸歯刻設盤体を備えた撹拌容器中に
おいて、以下の組成の溶液を調整した。
【0072】 材料 量 Kraton(登録商標)D1161 22.175% (架橋ブロック共重合体) Kraton(登録商標)G1652 5.54% (非架橋性、水素添加ブロック共重合体) Kerobit(登録商標)TBK 0.20% Silcodop(登録商標)ブルー 0.085% トルエン 36.0% キシレン 36.0% Kraton(登録商標)D1161=SIS三元ブロ
ックエラストマー(シェルケミカルズユーラップ社) Kraton(登録商標)G1652=SEBS三元ブ
ロックエラストマー(米国シェルケミカル社) Kerobit(登録商標)TBK=1,5−ジ−te
rt−ブチル−p−クレゾール(熱安定剤、独国ラシッ
ヒ社) Sicodop(登録商標)ブルー(独国BASF社、
ジオクチルフタラート中の銅フタロシアニン顔料)
【0073】まず、この溶媒を、撹拌容器中に導入し、
顔料調剤(Sicodop(登録商標)ブルー)と、安
定剤とを添加し、次いでKraton(登録商標)G1
652を、最後にKraton(登録商標)D1161
を添加した。この混合物を、鋸歯刻設盤体を備えた撹拌
装置により、室温で30分間処理した。生成溶液は、2
3℃において2980mPasの粘度を示した。
【0074】上述溶液を、Macromelt(登録商
標)6900(米国ミネアポリスのHenkel社製ポ
リアミド、層厚さ5μm)で被覆されたポリエステルフ
ィルム(PET)(Mylar(登録商標)A、デュポ
ン、ルクセンブルク社製、厚さ125μm)上に室温で
注下して層を形成し、乾燥圏を走過させ、巻き取られ
た。この注下形成送がポリエステル層に粘着しないよう
にするため、シリコーン処理した36μm厚さのPET
フィルムを、巻き取り処理前に、剥離層として、積層さ
れた。
【0075】これにより、(1)125μmのPETシ
ート、(2)ポリアミド層、(3)エラストマートップ
層及び(4)シリコーン処理PETフィルムから成る積
層体が得られた。乾燥されたエラストマートップ層の厚
さは70μmであった。
【0076】(光重合可能混合物の調製)以下の組成、
すなわち74.97部のスチレン/イソプレン/スチレ
ン三元ブロックエラストマー5部のα−メチルスチレン
/ビニルトルエン共重合体(Piccotex(登録商
標)100、米国ウィルミントンのハーキリーズ社)5
部のヘキサンジオールジメタクリラート、5部のヘキサ
ンジオールジアクリラート、7部のパラフィンオイル
(ホワイトオイルS5000)、1部の微結晶パラフィ
ンワックス、1部のベンジルジメチルケタール、1部の
Kerobit(登録商標)TBK、0.03部のスダ
ンオレンジliq.183を有する感光性混合物を、二
軸押出機(ZSK53)により押出処理し(30kg/
hのスループット、押出の間の混合物温度130℃)、
スロットダイを経て排出した。ダイから排出された溶融
体を2ロールカレンダー(両ロール共80℃に加熱)の
ニップに導入した。
【0077】このカレンダーの上方ロールを接着剤でコ
ーティングされたポリエチレンテレフタラートシート
(Mylar登録商標)が走過し、下方ロールをトップ
層でコーティングされたポリエステルフィルムが走過
し、積層された剥離フィルムが自動巻き取り装置により
剥離除去される。剥離フィルムの除去とカレンダーの間
において、トップ層表面はコロナ放電処理(カルワール
社製コロナ放電装置を使用)に附された。積層帯の幅は
50cm、走過速度は60cm/分、カレンダーニップ
幅は3000μmとした。生成サンドイッチ積層帯は吸
引ベルトで搬送され、冷却され、最終処理に附される。
形成された光重合性印刷版体のすべてを含めた厚さは3
010μmになされた。
【0078】(印刷版体の製造)1週間の貯蔵後、この
未処理版体から以下の工程を経て印刷版体を調製した。
【0079】(a) 裏面全面の紫外線露出(FIII
露出装置、BASF社)、(b) 保護シートの除去、
(c) nyloflex(登録商標)FARIIテス
トフィルム(BASF社)の載置、(d) 真空フィル
ムにおける主露出(FIII露出装置、3分毎に3−3
0分間)、(e) 版体の洗除(連続流動式VFII
I、BASF社、流過速度150mm/分、炭化水素を
主体とする現像液、nylosolv.BASF社、3
0℃、レリーフ深さ1000μm)、(f) 65℃に
おいて2時間乾燥、(g) 後露出(UVA、FIII
露出装置、15分)、(h) UVC光線による後処理
(FIII後処理装置、BASF社、15分間)
【0080】試料版体の評価はポジチブ版体試料(20
0μmの自立ドット、55μmグリッド及び色調値2%
の網目スクリーン地60L/cm)が版体上に正確に形
成される露出時間をも含めた。すべてのポジチブ画素が
正確に形成された時間を下方露出限度(lower e
xposure limit)LELと称する。いわ
ば、正確な画像の最低露出時間である。
【0081】評価は、又ネガチブ画素、400μmネガ
チブドット及び2000μm条溝をも含めた。深さがネ
ガチブドットにおいて70μm未満、条溝において50
0μm未満であるならば、適当なインキの転移は保証さ
れない。これら両ネガチブ画素の少なくとも一方が、上
記限度未満の場合の露出時間を、上方露出時間(upp
er exposure limit)UELと称す
る。いわば、機能的版体のための最高露出時間である。
この差、UEL−LELが、露出許容度(exposu
re latitude)ELとして知られている範
囲、適当な機能を果たすためのポジチブ範囲である。
【0082】上述実施例により作成された版体の露出時
間は以下の通りであった。
【0083】 200μmポジチブドット 15分 55μmグリッド 18分 2%網目スクリーン地 15分 400μmネガチブドット 27分 2000μm条溝 24分 LEL 18分 UEL 24分 EL 6分
【0084】尚、印刷版体のペンデュラム粘着性は、対
照としてガラス板に対するエリクセンのペンデュラム装
置を使用して測定した。
【0085】
【表1】
【0086】トップ層を持たない印刷版体と比較して、
表面粘着性の著しい低減が認められた。網目(スクリー
ン)部分における印刷品質は、トップ層を持たない従来
の印刷版体と比べて、はるかに良好であった。すなわ
ち、本発明の上記実施態様は、極めて鮮明な再生画像、
低いトーナルゲイン(tonal gain)(色調値
の増大)、軟調のインキ転移を示した。これらの結果は
後掲の表1に示される。
【0087】実施例2 本実施例においては、トップ層の着色に、銅フタロシア
ニン顔料に代えてペリレン顔料(Paliogenro
t(登録商標))を使用した他は、上記実施例1の処理
をそのまま反覆した。
【0088】尚、トップ層形成のため、顔料調剤はゴム
トルエン溶液を使用した。すなわち、13部のPali
ogenrot(登録商標)EC7265、12.1部
のKraton(登録商標)D1161及び74.9部
のトルエンを混合し、これにガラスビーズ(直径3−4
mm)を添加し(分散液1kg当たり210ml)、ロ
ーラベッド上で4時間分散処理し、冷却後、1mm網目
の篩上に注下して、この分散媒体を濾別(回収率90
%)した。トップ層着色のための極めて安定で、よく分
散された顔料分散液が得られた。
【0089】これを使用して、実施例1と同様にして下
記組成のトップ層を調製した。
【0090】 材料 量割合 Kraton(登録商標)D1161 21.66% Kraton(登録商標)G1652 5.54% Kerobit(登録商標)TBK 0.20% Paliogenrot(登録商標)分散液 0.60% (固体分13%) トルエン 36.0% キシレン 36.0%
【0091】このトップ層を実施例1と同様に処理して
光重合性印刷版体材料を作成し、露出その他の処理を施
し、印刷可能の版体を作成した。実施例1と同様に露出
許容度及び粘着性を測定した。結果を後掲の表1に示
す。
【0092】実施例3−5(ポリマー染料による着色) 銅フタロシアニン顔料の代わりに、異なる光安定性のポ
リマーアゾ染料(Reactint(登録商標)、Mi
liken)を使用した他は、実施例1の処理を反覆し
た。その結果を後掲の表1に示す。
【0093】実施例6 第二の非架橋結合剤として高分子量結合剤(Krato
n(登録商標)G1652)を使用する他は、実施例1
と同じ処理を反覆した。その結果を後掲の表1に示す。
【0094】実施例7−10、対比例1−3(表面粗
さ、粗面性) SISゴム(Kraton(登録商標)D1161)対
SEBSゴム(Kraton(登録商標)G1652)
の量割合を変えた他は、実施例1の処理を反覆した。そ
れぞれに得られた印刷版体の粘着性及び粗面性を測定
し、その結果を後掲の表1に示す。
【0095】印刷結果と膠着性に関して、この割合は8
0:20であるのが好ましいことが判明した。SISゴ
ムを使用すると表面の粘着性も次第に増大する。SEB
Sの割合が極めて高くなる(>50%)と、トップ層は
光重合性ポリマー面に対して適当に接着せず、剥離する
場合が生ずる。その結果を後掲の表2に示す。
【0096】対比例4−9 第二結合剤として、種々の非水素添加SISゴム、SB
Sゴムを使用する他は、実施例1における処理を反覆し
た。これら結合剤のいずれもが、非粘着性表面をもたら
すことはできなかった。
【0097】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0098】上記実施例、対比例から、結合剤Bとして
飽和アルキレンブロックを有するブロック共重合体を使
用する印刷版体のみが、表面粘着性を示さず、ポジチブ
露出許容度を有することが示されている。最良の結果は
実施例1で使用されたSEBS結合剤Kraton(登
録商標)G1652によりもたらされる。ジエンブロッ
クを有するブロック共重合体Aのアルキレンブロックを
有するブロック共重合体Bに対する量割合を変更するこ
とにより、印刷版体表面粗さを簡単に調整することがで
きる。
【0099】トップ層は、顔料によっても、染料によっ
ても着色され得るが、共重合体染料の使用がことに有利
であって、短い露出時間と、良好な露出許容度とを兼備
する印刷版体をもたらし得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】トップ層を持たないフレキソ印刷版体表面の図
面代用顕微鏡写真
【図2】従来技術によるトップ層を有するフレキソ印刷
版体表面の図面代用顕微鏡写真
【図3】本発明によるトップ層を有するフレキソ印刷版
体表面の図面代用顕微鏡写真
【図4】本発明による、光重合性フレキソ印刷版体トッ
プ層の断面図(図面代用顕微鏡写真)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シュテファン、ヴェーゲナー ドイツ、55124、マインツ、アルフレート −ノーベル−シュトラーセ、29

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 寸法的に安定な担体層、光重合可能層、
    この上に施されたエラストマートップ層及び保護シート
    を包含する光重合性の印刷版体であって、このエラスト
    マートップ層が、 40−95質量%の、ビニル芳香族ブロック及びジエン
    ブロックを有する架橋性エラストマーブロック共重合体
    Aと、 5−50質量%の、ビニル芳香族ブロック及びアルキレ
    ンブロックを有する非架橋性エラストマーブロック共重
    合体Bとを含有し、これらのブロック共重合体A,Bが
    相互に非相溶性であることを特徴とする光重合性印刷版
    体。
  2. 【請求項2】 更に、上記トップ層上に、750から2
    0000nmの波長範囲に高い吸収性を、化学線帯域に
    おいて少なくとも2.5の光学密度を有する赤外線融除
    層を有することを特徴とする、請求項(1)の光重合性
    印刷版体。
  3. 【請求項3】 上記エラストマーブロック共重合体A
    が、ポリスチレンブロックと、ポリブタジエンブロック
    又はポリイソプレンブロックとから構成されていること
    を特徴とする、請求項(1)又は(2)の光重合性印刷
    版体。
  4. 【請求項4】 上記エラストマーブロック共重合体B
    が、ポリスチレンブロックと、ポリエチレン/ブチレン
    ブロック又はポリエチレン/プロピレンブロックとから
    構成されていることを特徴とする、請求項(1)から
    (3)のいずれかの光重合性印刷版体。
  5. 【請求項5】 上記エラストマートップ層が、マイグレ
    ーション安定性染料又はマイグレーション安定性顔料を
    含有することを特徴とする、請求項(1)から(4)の
    いずれかの光重合性印刷版体。
  6. 【請求項6】 以下の諸工程、すなわち、 上記エラストマーブロック共重合体A及びB、場合によ
    り更に他の組成分を有機溶媒に溶解させる工程、 この溶液を、接着層及び場合により赤外線融除層を施し
    た保護シート上に注下する工程、 混合溶媒を蒸散させて、両エラストマーブロック共重合
    体を分離する工程、及びこのようにして形成された層集
    積体を、上記寸法安定担体層上の光重合性層上に施す工
    程を遂行することを特徴とする、請求項(1)から
    (5)のいずれかの光重合性印刷版体を製造する方法。
  7. 【請求項7】 上記有機溶媒が、トルエン及びキシレン
    を含有する混合溶媒であることを特徴とする、請求項
    (6)の光重合性印刷版体の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記請求項(1)又は(3)から(5)
    のいずれかの光重合性印刷版体を、保護シート除去後、
    フィルムマスクで被覆し、この被覆版体を化学線に画像
    形成露出し、この露出に次いで、現像剤で非露出帯域を
    洗除することにより版体を現像することを特徴とする、
    レリーフ印刷版体を製造する方法。
  9. 【請求項9】 保護シート除去後、上記請求項(2)か
    ら(5)のいずれかの光重合性印刷版体の感赤外線層
    を、赤外線レーザーを使用して画像形成処理に附し、こ
    れにより光重合性層上にマスクを形成し、次いでこの版
    体を化学線に画像形成露出し、この露出に次いで、現像
    剤で非露出帯域を洗除することにより、版体を現像する
    ことを特徴とする、レリーフ印刷版体を製造する方法。
  10. 【請求項10】 インキセルがレリーフ表面に設けられ
    ていることを特徴とする、請求項(8)又は(9)によ
    り製造されたレリーフ印刷版体。
  11. 【請求項11】 上記インキセルが10μm以下の直径
    及び10μm以下の深さを有することを特徴とする、請
    求項(10)のレリーフ印刷版体。
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