JP2000186231A - 塗料組成物およびこれを用いた安定錆の形成方法 - Google Patents
塗料組成物およびこれを用いた安定錆の形成方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 不安定錆が形成された耐候性鋼材表面、ある
いはこの不安定錆が除去された耐候性鋼材表面に塗装さ
れた際に、安定錆を形成し得る塗料組成物を提供する。 【解決手段】 耐候性鋼材の不安定錆面または不安定錆
を除去した面に塗装される錆安定化作用を有する塗料組
成物である。前記塗料組成物全体に対して1〜60重量
%の硝酸クロムを含有することを特徴とする。
いはこの不安定錆が除去された耐候性鋼材表面に塗装さ
れた際に、安定錆を形成し得る塗料組成物を提供する。 【解決手段】 耐候性鋼材の不安定錆面または不安定錆
を除去した面に塗装される錆安定化作用を有する塗料組
成物である。前記塗料組成物全体に対して1〜60重量
%の硝酸クロムを含有することを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁や鉄塔、建
築、海洋構造物等に使用される耐候性鋼材の防食表面処
理塗装に使用する塗料組成物に係り、特に不安定錆面に
塗装されて安定錆を形成し得る塗料組成物、および耐候
性鋼材表面に安定錆を形成する方法に関する。
築、海洋構造物等に使用される耐候性鋼材の防食表面処
理塗装に使用する塗料組成物に係り、特に不安定錆面に
塗装されて安定錆を形成し得る塗料組成物、および耐候
性鋼材表面に安定錆を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】橋梁や鉄塔、建築、海洋構造物等に使用
される鋼材は、そのままでは腐食により赤錆や黄褐色の
浮き錆、流れ錆を生じ、景観を損なうばかりでなく、腐
食による肉厚減少に起因して構造物としての強度低下を
来すので、何らかの防食対策が必要とされる。これら構
造物の防食対策としては従来塗装工法が一般的であり、
長期耐久性を高めた重防食塗装も知られているものの、
塗装コストが高い上、耐用年数に限りがある。しかも、
定期的な塗り替えが必要であることからメンテナンスコ
ストも高いという問題がある。
される鋼材は、そのままでは腐食により赤錆や黄褐色の
浮き錆、流れ錆を生じ、景観を損なうばかりでなく、腐
食による肉厚減少に起因して構造物としての強度低下を
来すので、何らかの防食対策が必要とされる。これら構
造物の防食対策としては従来塗装工法が一般的であり、
長期耐久性を高めた重防食塗装も知られているものの、
塗装コストが高い上、耐用年数に限りがある。しかも、
定期的な塗り替えが必要であることからメンテナンスコ
ストも高いという問題がある。
【0003】一方、鋼材にP,Cu,Cr,およびNi
等の元素を少量添加することにより、大気中において数
年で腐食に対して保護性のある緻密な錆(安定錆)が形
成され、その後の腐食速度が極めて少ない鋼材として耐
候性鋼が知られている。耐候性鋼は、安定錆形成後は無
塗装で永続的に防食効果が持続する、いわゆるメンテナ
ンスフリー鋼であるので、近年、橋梁や鉄塔等の構造物
に対する採用が増加している。
等の元素を少量添加することにより、大気中において数
年で腐食に対して保護性のある緻密な錆(安定錆)が形
成され、その後の腐食速度が極めて少ない鋼材として耐
候性鋼が知られている。耐候性鋼は、安定錆形成後は無
塗装で永続的に防食効果が持続する、いわゆるメンテナ
ンスフリー鋼であるので、近年、橋梁や鉄塔等の構造物
に対する採用が増加している。
【0004】しかしながら、安定錆の形成しにくい部
位、例えば、橋梁の桁端部やフランジ下面、また、海岸
部の海塩粒子飛来環境や融雪塩散布地域では、不安定な
錆を生じるので外見的に好ましくない。さらに、赤錆や
黄錆等の浮き錆や流れ錆を生じて周囲環境の汚染原因に
なる場合もあり、利用可能な地域が限定されるという問
題がある。
位、例えば、橋梁の桁端部やフランジ下面、また、海岸
部の海塩粒子飛来環境や融雪塩散布地域では、不安定な
錆を生じるので外見的に好ましくない。さらに、赤錆や
黄錆等の浮き錆や流れ錆を生じて周囲環境の汚染原因に
なる場合もあり、利用可能な地域が限定されるという問
題がある。
【0005】これらの問題を解決する方法として、新設
の構造物に対しては、例えば安定錆成分を含有する樹脂
層を下層に形成し、この上層に耐候性、耐腐食性等に優
れた樹脂層を設けた2層被覆による表面処理方法が開示
されている(特公昭56−33991号公報)。
の構造物に対しては、例えば安定錆成分を含有する樹脂
層を下層に形成し、この上層に耐候性、耐腐食性等に優
れた樹脂層を設けた2層被覆による表面処理方法が開示
されている(特公昭56−33991号公報)。
【0006】しかしながら、既設の構造物に対して不安
定錆が形成された部位に関しては、有効な手段がなく、
既存の油性の錆面塗料では、不安定錆が形成された部位
に塗装した後に安定な錆は形成されない。
定錆が形成された部位に関しては、有効な手段がなく、
既存の油性の錆面塗料では、不安定錆が形成された部位
に塗装した後に安定な錆は形成されない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、不安
定錆が形成された耐候性鋼材表面、あるいはこの不安定
錆が除去された耐候性鋼材表面に塗装した際に、安定錆
を形成し得る塗料組成物を提供することを目的とする。
定錆が形成された耐候性鋼材表面、あるいはこの不安定
錆が除去された耐候性鋼材表面に塗装した際に、安定錆
を形成し得る塗料組成物を提供することを目的とする。
【0008】また本発明は、不安定錆が形成された耐候
性鋼材表面、あるいはこの不安定錆が除去された耐候性
鋼材表面に安定錆を形成する方法を提供する。
性鋼材表面、あるいはこの不安定錆が除去された耐候性
鋼材表面に安定錆を形成する方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、耐候性鋼材の不安定錆面または不安定錆
を除去した面に塗装される錆安定化作用を有する塗料組
成物において、前記塗料組成物全体に対して1〜60重
量%の硝酸クロムを含有することを特徴とする塗料組成
物を提供する。
に、本発明は、耐候性鋼材の不安定錆面または不安定錆
を除去した面に塗装される錆安定化作用を有する塗料組
成物において、前記塗料組成物全体に対して1〜60重
量%の硝酸クロムを含有することを特徴とする塗料組成
物を提供する。
【0010】また本発明は、不安定錆が形成された耐候
性鋼材、または前記不安定錆が除去された耐候性鋼材
に、前述の塗料組成物を塗布して乾燥膜厚5〜100μ
mの塗膜を形成し、前記耐候性鋼材表面に安定錆を形成
する方法を提供する。
性鋼材、または前記不安定錆が除去された耐候性鋼材
に、前述の塗料組成物を塗布して乾燥膜厚5〜100μ
mの塗膜を形成し、前記耐候性鋼材表面に安定錆を形成
する方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明者らは、所定量の硝酸クロムを配合
してなる塗料組成物が、不安定錆が形成された鋼材表面
に塗装された際に塗膜中で安定錆を形成することを見出
し、本発明をなすに至ったものである。なお、不安定錆
とは、大気腐食に対して保護作用を有さず、赤錆や黄錆
等の浮き錆が生じるような錆を意味し、一方、安定錆と
は、大気腐食に対して保護作用を有する緻密な錆を意味
する。
してなる塗料組成物が、不安定錆が形成された鋼材表面
に塗装された際に塗膜中で安定錆を形成することを見出
し、本発明をなすに至ったものである。なお、不安定錆
とは、大気腐食に対して保護作用を有さず、赤錆や黄錆
等の浮き錆が生じるような錆を意味し、一方、安定錆と
は、大気腐食に対して保護作用を有する緻密な錆を意味
する。
【0013】本発明の塗料組成物においては、硝酸クロ
ムの含有量を1重量%以上60重量%以下に限定した。
硝酸クロムの含有量が未満の場合には、不安定錆面に塗
装された際に安定錆の形成が促進されず、一方、60重
量%を越えると、錆形成が促進されて、安定錆とならな
いおそれがあり、また塗膜が脆くなり形成されない。な
お、硝酸クロムの含有量は、2重量%以上20重量%以
下であることがより好ましい。
ムの含有量を1重量%以上60重量%以下に限定した。
硝酸クロムの含有量が未満の場合には、不安定錆面に塗
装された際に安定錆の形成が促進されず、一方、60重
量%を越えると、錆形成が促進されて、安定錆とならな
いおそれがあり、また塗膜が脆くなり形成されない。な
お、硝酸クロムの含有量は、2重量%以上20重量%以
下であることがより好ましい。
【0014】こうした前述の硝酸クロムに加えて本発明
の塗料組成物には、有機樹脂成分、添加剤および酸化防
止剤が配合される。
の塗料組成物には、有機樹脂成分、添加剤および酸化防
止剤が配合される。
【0015】有機樹脂成分は、塗膜形成のバインダー、
不安定錆への浸透、固定および環境遮断の機能を有する
ものであり、その種類は特に限定されないが、アクリル
ポリオール+イソシアネート、ポリビニルブチラール、
フッ素ポリオール+イソシアネート、エポキシポリエス
テル、およびエポキシ+アミンなどが好適である。こう
した樹脂成分の配合量は、組成物中10重量%以上20
重量%以下であることが好ましい。10重量%未満の場
合には塗膜形成が不十分となり、一方、20重量%を越
えて配合したところで、さらなる効果が得られない。
不安定錆への浸透、固定および環境遮断の機能を有する
ものであり、その種類は特に限定されないが、アクリル
ポリオール+イソシアネート、ポリビニルブチラール、
フッ素ポリオール+イソシアネート、エポキシポリエス
テル、およびエポキシ+アミンなどが好適である。こう
した樹脂成分の配合量は、組成物中10重量%以上20
重量%以下であることが好ましい。10重量%未満の場
合には塗膜形成が不十分となり、一方、20重量%を越
えて配合したところで、さらなる効果が得られない。
【0016】添加剤としては、水酸化鉄、硫酸銅、硫酸
ニッケル、防錆顔料としてのクロム酸鉛や酸化鉄、およ
び体質顔料としてのシリカなどが配合される。これらの
うち、水酸化鉄、硫酸銅および硫酸ニッケルは、安定錆
形成の補助的な効果を付与し、クロム酸鉛は不安定な錆
の抑制効果を有する。また、酸化鉄は、色調の調整およ
び不安定錆の抑制の作用を有し、シリカは水分の透過を
調整する作用を有する。
ニッケル、防錆顔料としてのクロム酸鉛や酸化鉄、およ
び体質顔料としてのシリカなどが配合される。これらの
うち、水酸化鉄、硫酸銅および硫酸ニッケルは、安定錆
形成の補助的な効果を付与し、クロム酸鉛は不安定な錆
の抑制効果を有する。また、酸化鉄は、色調の調整およ
び不安定錆の抑制の作用を有し、シリカは水分の透過を
調整する作用を有する。
【0017】上述したような添加剤の合計配合量は、組
成物中3重量%以上8重量%以下であることが好まし
い。
成物中3重量%以上8重量%以下であることが好まし
い。
【0018】さらに、樹脂の急激な劣化を防止すること
を目的として、本発明の塗料組成物には組成物中2重量
%程度の酸化防止剤が配合され得る。
を目的として、本発明の塗料組成物には組成物中2重量
%程度の酸化防止剤が配合され得る。
【0019】本発明の塗料組成物は、上述したような成
分を溶剤に溶解することによって調製することができ
る。溶剤としては、塗装性や相溶性の点から芳香族炭化
水素、アルコール類、エステル類が好ましく、その配合
量は、組成物中20〜78重量%程度である。
分を溶剤に溶解することによって調製することができ
る。溶剤としては、塗装性や相溶性の点から芳香族炭化
水素、アルコール類、エステル類が好ましく、その配合
量は、組成物中20〜78重量%程度である。
【0020】1ないし60重量%の硝酸クロムを含有す
る本発明の塗料組成物は、不安定錆が形成された鋼材表
面、または不安定錆が除去された鋼材表面にハケ塗りな
どによって塗布して塗膜を形成する。この際の膜厚は、
乾燥膜厚で5μm以上100μm以下である。5μm未
満の場合には塩素イオンの透過防止効果や流錆防止効果
が劣り、一方100μmを越えると、下地鋼材に対する
保護効果過剰となって、水と酸素との透過が抑制され安
定錆形成に時間がかかる。なお、膜厚は、10μm以上
30μm以下であることがより好ましい。
る本発明の塗料組成物は、不安定錆が形成された鋼材表
面、または不安定錆が除去された鋼材表面にハケ塗りな
どによって塗布して塗膜を形成する。この際の膜厚は、
乾燥膜厚で5μm以上100μm以下である。5μm未
満の場合には塩素イオンの透過防止効果や流錆防止効果
が劣り、一方100μmを越えると、下地鋼材に対する
保護効果過剰となって、水と酸素との透過が抑制され安
定錆形成に時間がかかる。なお、膜厚は、10μm以上
30μm以下であることがより好ましい。
【0021】本発明の方法における安定錆の形成メカニ
ズムは、次のように説明される。
ズムは、次のように説明される。
【0022】不安定錆が形成された鋼材表面に本発明の
塗料組成物を塗布して塗膜を形成すると、まず、塗膜中
の樹脂成分が不安定錆部の中に浸透して、緻密でない不
安定錆を固定化する。樹脂成分は鋼面に対して環境から
遮断する作用を有し、緻密な錆の形成に有害となる塩素
イオンの透過を防止するとともに、安定錆の形成に必要
な水や酸素を適量鋼面に透過させる。
塗料組成物を塗布して塗膜を形成すると、まず、塗膜中
の樹脂成分が不安定錆部の中に浸透して、緻密でない不
安定錆を固定化する。樹脂成分は鋼面に対して環境から
遮断する作用を有し、緻密な錆の形成に有害となる塩素
イオンの透過を防止するとともに、安定錆の形成に必要
な水や酸素を適量鋼面に透過させる。
【0023】さらに本発明の塗料組成物中には硝酸クロ
ムが含有されているので、この硝酸クロムが、適度な水
の透過とともに硫酸イオンとなって不安定錆の下の鋼面
に到達すると鉄の腐食を適度に促進する。その一方でク
ロムは、不安定錆や形成される錆の結晶内に取り込まれ
て錆を緻密にする。
ムが含有されているので、この硝酸クロムが、適度な水
の透過とともに硫酸イオンとなって不安定錆の下の鋼面
に到達すると鉄の腐食を適度に促進する。その一方でク
ロムは、不安定錆や形成される錆の結晶内に取り込まれ
て錆を緻密にする。
【0024】これらの作用によって、本発明の塗料組成
物を塗布してなる塗膜の下には緻密な安定錆が形成さ
れ、この塗膜は、時間の経過にしたがって風化、消失し
て、塗膜の下に形成された安定錆が現れる。
物を塗布してなる塗膜の下には緻密な安定錆が形成さ
れ、この塗膜は、時間の経過にしたがって風化、消失し
て、塗膜の下に形成された安定錆が現れる。
【0025】なお、本発明の塗料組成物は、新設鋼構造
物に対しても安定錆を形成する作用を有する。
物に対しても安定錆を形成する作用を有する。
【0026】
【実施例】以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0027】まず、下記表1に示す処方で、本発明の塗
料組成物1〜11を調製した。各組成物の色調は、安定
錆と同一色調であった。
料組成物1〜11を調製した。各組成物の色調は、安定
錆と同一色調であった。
【0028】
【表1】
【0029】*1)水酸化鉄、硫酸銅、硫酸ニッケル、
クロム酸鉛、酸化鉄、シリカ *2)芳香族炭化水素/アルコール/エステル 一方、供試鋼材としては、不安定錆の形成された耐候性
鋼(150mm×70mm×6mm)を用意し、この錆
面の浮き錆を除去した面(錆面)、錆面にワイヤーブラ
シ掛けを施すことにより鋼面を露出した面(低研掃
面)、および錆面にブラスト処理を施すことにより鋼面
を完全に露出した面(ブラスト面)の3種類の下地処理
面を形成した。
クロム酸鉛、酸化鉄、シリカ *2)芳香族炭化水素/アルコール/エステル 一方、供試鋼材としては、不安定錆の形成された耐候性
鋼(150mm×70mm×6mm)を用意し、この錆
面の浮き錆を除去した面(錆面)、錆面にワイヤーブラ
シ掛けを施すことにより鋼面を露出した面(低研掃
面)、および錆面にブラスト処理を施すことにより鋼面
を完全に露出した面(ブラスト面)の3種類の下地処理
面を形成した。
【0030】各塗料組成物を、下記表2および3に示す
ような膜厚でそれぞれの供試鋼材の下地処理面にハケ塗
りで塗装して、実施例1〜39の試験片を作製した。
ような膜厚でそれぞれの供試鋼材の下地処理面にハケ塗
りで塗装して、実施例1〜39の試験片を作製した。
【0031】また、比較例1〜3として、硝酸クロムが
含有されていない市販の油性錆止塗料を上述したような
3種類の下地処理面に塗布した。
含有されていない市販の油性錆止塗料を上述したような
3種類の下地処理面に塗布した。
【0032】上述したように得られた実施例1〜39お
よび比較例1〜3の試験片を、三重県津市の暴露試験場
にて1年間暴露した。この暴露場は、海岸から約200
mのところであり、海岸より海塩粒子が飛来するので不
安定錆が生じる環境にある。
よび比較例1〜3の試験片を、三重県津市の暴露試験場
にて1年間暴露した。この暴露場は、海岸から約200
mのところであり、海岸より海塩粒子が飛来するので不
安定錆が生じる環境にある。
【0033】1年間暴露した後、テープ剥離テストによ
り浮き錆量を測定した。テープ剥離テストは、50mm
×50mmのテープを使用し、試験片の同一箇所で3回
繰り返して剥離した浮き錆の合計量とした。
り浮き錆量を測定した。テープ剥離テストは、50mm
×50mmのテープを使用し、試験片の同一箇所で3回
繰り返して剥離した浮き錆の合計量とした。
【0034】また、フェロキシルテストを行って発色点
数により錆層の欠陥数をカウントし、安定錆の形成につ
いて評価した。
数により錆層の欠陥数をカウントし、安定錆の形成につ
いて評価した。
【0035】浮き錆評価およびフェロキシルテストの結
果を、各実施例および比較例の条件とともに下記表2お
よび表3にまとめる。
果を、各実施例および比較例の条件とともに下記表2お
よび表3にまとめる。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】表2および3に示されるように、所定量の
硝酸クロムを含有する本発明の塗料組成物を塗装した試
験片(実施例1〜39)は、海岸付近の海塩粒子の飛来
する激しい腐食環境での暴露にもかかわらず、いずれも
浮き錆量は0.03g未満であり、フェロキシルテスト
においても、ほとんどの場合欠陥数は150個/dm 2
未満である。したがって、不安定錆が形成された耐候性
鋼面または不安定錆が除去された耐候性鋼面に安定錆が
形成されていることがわかる。
硝酸クロムを含有する本発明の塗料組成物を塗装した試
験片(実施例1〜39)は、海岸付近の海塩粒子の飛来
する激しい腐食環境での暴露にもかかわらず、いずれも
浮き錆量は0.03g未満であり、フェロキシルテスト
においても、ほとんどの場合欠陥数は150個/dm 2
未満である。したがって、不安定錆が形成された耐候性
鋼面または不安定錆が除去された耐候性鋼面に安定錆が
形成されていることがわかる。
【0039】これに対して、市販の錆止塗料を塗装した
比較例1〜3では、浮き錆量は0.03g以上と多く、
フェロキシルテスト評価における欠陥数も200個/d
m2以上と安定錆が形成されていない。
比較例1〜3では、浮き錆量は0.03g以上と多く、
フェロキシルテスト評価における欠陥数も200個/d
m2以上と安定錆が形成されていない。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、不
安定錆が形成された耐候性鋼材表面、あるいはこの不安
定錆が除去された耐候性鋼材表面に塗装された際に、安
定錆を形成し得る塗料組成物が提供される。また本発明
によれば、不安定錆が形成された耐候性鋼材表面、ある
いはこの不安定錆が除去された耐候性鋼材表面に安定錆
を形成する方法が提供される。本発明により、不安定錆
が形成された既存の構造物に対しても安定錆を形成する
ことが可能となり、その工業的価値は大なるものがあ
る。
安定錆が形成された耐候性鋼材表面、あるいはこの不安
定錆が除去された耐候性鋼材表面に塗装された際に、安
定錆を形成し得る塗料組成物が提供される。また本発明
によれば、不安定錆が形成された耐候性鋼材表面、ある
いはこの不安定錆が除去された耐候性鋼材表面に安定錆
を形成する方法が提供される。本発明により、不安定錆
が形成された既存の構造物に対しても安定錆を形成する
ことが可能となり、その工業的価値は大なるものがあ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 CA33 DB02 DC05 EB56 EC01 4J038 CE071 DB001 DD001 DG191 DG261 EA011 HA336 PC02 4K026 AA02 BA01 BA08 BB01 BB08 CA02 CA32 DA15 EA01 EB08
Claims (2)
- 【請求項1】 耐候性鋼材の不安定錆面または不安定錆
を除去した面に塗装される錆安定化作用を有する塗料組
成物において、前記塗料組成物全体に対して1〜60重
量%の硝酸クロムを含有することを特徴とする塗料組成
物。 - 【請求項2】 不安定錆が形成された耐候性鋼材、また
は前記不安定錆が除去された耐候性鋼材に、請求項1に
記載の塗料組成物を塗布して乾燥膜厚5〜100μmの
塗膜を形成し、前記耐候性鋼材表面に安定錆を形成する
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36367698A JP2000186231A (ja) | 1998-12-22 | 1998-12-22 | 塗料組成物およびこれを用いた安定錆の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36367698A JP2000186231A (ja) | 1998-12-22 | 1998-12-22 | 塗料組成物およびこれを用いた安定錆の形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000186231A true JP2000186231A (ja) | 2000-07-04 |
Family
ID=18479911
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36367698A Pending JP2000186231A (ja) | 1998-12-22 | 1998-12-22 | 塗料組成物およびこれを用いた安定錆の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000186231A (ja) |
-
1998
- 1998-12-22 JP JP36367698A patent/JP2000186231A/ja active Pending
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