JP2000185268A - ダクト内の汚れを剥離清掃する方法及び該方法に使用するシステム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ダクト内の油脂汚れをほぼ完全に剥離除去する
ことができ、火災を防ぐことができるほか、周囲を汚染
しないで、高能率で短時間に作業ができるダクト内の汚
れを剥離清掃する方法及びシステムを提供する。 【構成】ダクト内を分割して急速冷凍可能な室に形成
し、該急速冷凍可能な室を急速冷凍して、ダクト内部に
付着した油脂汚れ及び／又は塵埃などを冷凍塵埃とし、
該冷凍塵埃を破壊、剥離し、剥離した冷凍塵埃を除去す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、厨房・食品工場・機
械工場等の排気ダクト及び集塵ダクト等のダクト内に付
着、堆積した油脂汚れ・塵埃などを除去する方法及びシ
ステムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、外食産業・ホテル厨房等のように
油を多量に使用する排気ダクト等には、短時間で油脂と
ゴミがダクト内に堆積する。また、機械工場の排気ダク
トは、研削クズと油がダクト内に堆積し、これが火災原
因となる問題があった。この問題は、現在でもなお存在
する。

【０００３】従来排気ダクト内の清掃は、下記（１）〜
（３）の方法により行っているが、これら方法で排気ダ
クト内の清掃を完璧に行うことは不可能で、ほぼ完璧で
実用的な方法は、未だ確立されていない。種々の方法で
試行錯誤的に行っているのが現状である。

【０００４】（１）排気ダクトに、清掃用開口を形成
し、この開口から地ベラ・スクレバ−等により、ダクト
内面の油脂汚れを切削して、堆積した汚れを除去する等
の人力による方法。

【０００５】（２）排気ダクト内に、油脂を溶かすクリ
−ナを噴射し、溶けた油脂汚れを、地ベラ等で除去する
方法。

【０００６】（３）上記（２）の方法で、溶けた油脂汚
れに高圧エア−を噴射して、開口部より外部の容器に落
下させ、回収除去する方法。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかして、長年堆積し
た油脂汚れは、高熱で固くなるので、上記（１）の方法
では、地ベラ・スクレバ−等で簡単に剥離清掃するのは
不可能な問題があった。そればかりか、作業に大変長時
間かかるだけでなく、防火ダンパ−、ダクト分岐ヶ所等
は剥離が完璧にできないため、火災原因が解決されない
問題があった。

【０００８】（２）の方法は、排気ダクトの接続部分
（フランジ接続）の隙間から、溶けた油脂汚れが天井、
部屋等に落下して、不衛生になる等の問題があった。

【０００９】（３）の方法は、（２）の方法より溶けた
汚れが早く回収されるため、接続部分より汚れがもれて
落下する量は少ないが、油脂汚れを完璧に除去できない
問題があった。

【００１０】この発明のうち請求項１に記載の発明は、
ダクト内の油脂汚れをほぼ完全に剥離除去することがで
き、火災を防ぐことができるほか、周囲を汚染しない
で、高能率で短時間に作業ができるダクト内の汚れを剥
離清掃する方法を提供することを目的とする。

【００１１】また、請求項４に記載の発明は、上記方法
に使用するシステムを提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的に沿う本発明の
うち請求項１に記載の発明は、ダクト内を分割して急速
冷凍可能な室に形成し、該急速冷凍可能な室を急速冷凍
して、ダクト内部に付着した油脂汚れ及び／又は塵埃な
どを冷凍塵埃とし、該冷凍塵埃を破壊、剥離し、剥離し
た冷凍塵埃を除去することを特徴とする。

【００１３】また、請求項４に記載の発明は、ダクト内
を分割して急速冷凍可能な室に形成する手段と、該急速
冷凍可能な室を急速冷凍してダクト内部に付着した油脂
汚れ及び／又は塵埃などを冷凍塵埃とする手段と、該冷
凍塵埃を破壊、剥離する手段と、剥離した冷凍塵埃を除
去する手段と、を具備することを特徴とする。

【００１４】要するに本発明は、ダクト内を急速冷凍可
能な室に分割し、この室内の油脂汚れ及び／又は塵埃な
どを急速冷凍して冷凍塵埃とし、これを破壊、剥離して
回収することを要旨とするものである。

【００１５】しかして従来、ダクト内の油脂汚れ及び／
又は塵埃などを急速冷凍して冷凍塵埃とし、これを破
壊、剥離して回収することは全く行われていないし、こ
のような発想も全く知られていない。

【００１６】本発明によれば、冷凍塵埃（氷）としてい
るので、容易に破壊、剥離して吸引回収することが出
来、その結果ダクト内の油脂汚れ及び／又は塵埃など
を、ほぼ完全に回収することができる。

【００１７】また、本発明によれば、ダクト内を急速冷
凍可能な室に分割し、該室を急速冷凍しているので、油
脂汚れ及び／又は塵埃などを、完璧に冷凍塵埃とするこ
とができる。

【００１８】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【００１９】図１は、ダクト内を急速冷凍して油脂汚
れ、塵埃などを冷凍塵埃とする装置１の例を示すもので
あり、冷凍ガス（この実施例では冷凍アンモニア）タン
ク２内の冷凍ガスが、ガスタンクのバルブ４を通って、
冷凍ガスホ−ス３の先端噴射ノズル２８から、分割した
ダクト（急速冷凍可能な室）内に噴射されるようになっ
ている。

【００２０】冷凍ガスタンク２は、タンクを作業現場に
搬送する台車２０上に載置されている。台車の代わりに
タンクに脚車を取り付ける等の他の搬送手段によっても
勿論良い。

【００２１】分割した室内に冷凍ガスを噴射することに
よって、ダクト内の油脂汚れ及び／又は塵埃などは、急
速冷凍して冷凍塵埃となる。この冷凍塵埃は、破壊、剥
離することによって、ほぼ完全に吸引回収除去すること
ができる。

【００２２】図２は、冷凍塵埃を破壊、剥離する装置の
例を示すものであり、エア−コンプレッサ−５の高圧エ
ア−が、エア−ホ−ス１０を通ってエア−モ−タ−６に
達している。エア−モ−タ−６に、エア−スクレバ−
７、エア−ハンマ−８又はエア−ジェッタガネ９を取り
付けて、図８に示すように、ダクト２２内の冷凍塵埃２
３（油脂汚れ等の急速冷凍氷）を破壊、剥離する。

【００２３】エア−スクレバ−７によっては、剥離でき
ない硬い氷は、エア−ハンマ−８によるジエットエア−
で叩いて、破壊、剥離する。

【００２４】エア−スクレバ−７及びエア−ハンマ−８
によっても破壊、剥離できない場合は、先端に多数のピ
アノ線２９を装着したエア−ジェッタガネ９を使用し
て、多数のピアノ線２９で残存する氷を突いたり、叩く
ことによって、ほぼ完全に破壊、剥離することができ
る。

【００２５】図３は、冷凍塵埃を破壊、剥離する装置の
他の例を示すものであり、電源コ−ド１４を接続した減
速機付電機モ−タ−１１に、先端にワイヤブラシ１３を
設けたフレキシブルシャフト１２を接続し、ワイヤブラ
シ１３を回転させることによって、ダクト内の冷凍塵埃
を除去するようになっている。ワイヤブラシ１３は、ピ
アノ線等のワイヤから形成されている。

【００２６】上記装置は、冷凍塵埃が割れるほどは厚く
なく、薄い氷となっている場合に使用すると良い。図3
に示すように、減速機付電機モ−タ−１１を手で持っ
て、ブラシ部１３をダクト内に挿入し、ブラシ部１３を
高速回転させると、ワイヤブラシ１３は自在に飛び跳ね
回転して、薄い氷を剥離する。

【００２７】図２及び図３に示す装置を使用して、冷凍
塵埃を剥離すれば良いが、地ベラ、スクレバ−等を使用
する人力によっても良い。地ベラ等によっても、冷凍塵
埃は剥離できるので、従来より遥かにほぼ完全にダクト
内の塵埃を除去することができる。しかしながら、この
ようにすると人手を要するので、作業能率が上がらない
問題は残る。

【００２８】図４は、耐冷寒材を使用したエア−袋（風
船）１６を膨らませて、図７及び図９に示すように、ダ
クト内を分割・分断して急速冷凍可能な室２２に形成す
る装置の例を示すものである。

【００２９】高圧エア−コンプレッサ５′の高圧エア−
を、エア−ホ−ス１０′を通じてエア−ガン１５に達す
るようにし、エア−ガン１５でエア−袋１６を膨らませ
て、ダクト内に隔壁として装着する。例えば、弾性体の
ような他の手段でダクト内を分割しても勿論良く、分割
し得るならその手段は特に限定されない。また、エア−
袋の形状は、円柱形、角柱形等その形状は、勿論限定さ
れない。

【００３０】図５は、剥離した冷凍塵埃を吸引除去する
サイクロン形式の集塵機を示すものであり、該集塵機１
８に接続された集塵ホ−ス１９を図９に示すように、ダ
クト２２内に挿入しダクト内を負圧にして、破壊剥離さ
れた油脂汚れの氷を吸引回収する。尚、集塵機１８に
は、集塵ホ−ス１９′を介してタ−ボ型送風機２５が連
結されている。

【００３１】送風機２５によって負圧にした集塵ホ−ス
１９から、破壊、剥離した冷凍塵埃（氷）を吸引し、エ
ア−をサイクロンのように回転させ、重い氷はエア−フ
イルタ−ボックス２６に落下させ、エア−は集塵ホ−ス
１９′の他端から排出させる。

【００３２】図６は、上記のように剥離した冷凍塵埃を
吸引したり或いはかき寄せたりして、或る程度集塵機１
８で除去した後、ダクト内に残存する冷凍塵埃を回収す
るのに好適な装置の例を示すものである。この装置は、
集塵機で除去する際に、最初から使用しても良く、或い
は全く使用しなくとも良い。しかしながら、この装置を
併用することによって、剥離した冷凍塵埃を効率的に除
去することができる。

【００３３】図６に示すように、高圧エア−コンプレッ
サ−５′′の高圧エア−を、エア−ホ−ス１０′′を通
じて、逆噴射エア−ノズル１７に送り、ノズルの後方に
形成された多数の開口２３からエア−２４が逆噴射され
て、ノズル１７が前進及び飛び跳ね可能に形成されてい
る。

【００３４】上記のようにして、ノズル１７が飛び跳ね
ることによって、残存する冷凍塵埃を浮遊させ、浮遊し
た冷凍塵埃はエア−２４によって後方に送られ、集塵機
１８によって回収される。

【００３５】次に、上記本発明のシステムを使用して、
ダクト内の塵埃を除去する方法を、図７〜図９に基づい
て説明する。尚、作業に際しては、図8に示すように、
ダクト２２には、清掃用の開口２７を形成する。

【００３６】図７に示すように、エア−袋に図４に示す
装置を使用して、エア−ガン１5から高圧エア−を導入
して、エア−袋１６ａを膨らませ、ダクト内に隔壁を形
成する。

【００３７】図７に示すように、エア−袋１６ａ〜１６
ｄでダクト内に隔壁を形成することによって、対向する
エア−袋間には急速冷凍可能な室２２が形成される。エ
ア−袋１６ａ〜１６ｄは、低温耐性のある耐冷寒材から
形成するのが良い。

【００３８】それから、図７に示すように、急速冷凍可
能な室２２（図７においてはエア−袋１６ｂと１６ｃと
の間）内に、図1に示す冷凍機器の先端噴射ノズル２８
を位置させ、ノズル２８から冷凍ガスを噴射すると、急
速冷凍可能な室２２内に付着、堆積した油脂汚れ・塵埃
などは急速冷凍して、冷凍塵埃２３となる。

【００３９】この冷凍塵埃２３は、図8に示すように、
清掃用の開口２７から作業員が頭を入れて、エア−スク
レバ−７、エア−ハンマ−８又はエア−ジェッタガネ９
を図に示すように手で持って、破壊、剥離すれば良い。

【００４０】ついで、図9に示すように、集塵機の集塵
ホ−ス１９先端をダクト２２内に位置させ、破壊、剥離
した冷凍塵埃２３を、集塵機のホ−ス１９によって吸引
除去する。

【００４１】この際若しくはこの後、図9に示すよう
に、エア−を後方に噴射するエア−の逆噴射力によっ
て、前進及び飛び跳ね可能に形成した逆噴射エア−ノズ
ル１７をダクト２２（図9ではエア−袋１６ａと１６ｂ
の間になっている）内に配設し、該エア−ノズル１７に
よって冷凍塵埃２３を後方に送って、後方に位置する集
塵機の集塵ホ−ス１９から回収するようにすると良い。

【００４２】本発明によれば、ダクト内に付着、堆積し
た油脂汚れ・塵埃などは、急速冷凍して、冷凍塵埃とし
ているので、冷凍塵埃を破壊、剥離する装置を使用すれ
ば、これらを容易に破壊、剥離することができ、剥離し
た氷は吸引によって容易に回収除去することができる。

【００４３】また、従来除去が著しく困難であった防火
ダンパ−、ダクト分岐ヶ所などの油脂汚れ・塵埃など
も、冷凍塵埃として、容易に破壊、剥離回収することが
できるので、ダクト内の油脂汚れ・塵埃などを、ほぼ完
全に回収することができる。

【００４４】また、ダクト内を分割して、急速冷凍可能
な室に形成しているので、油脂汚れ・塵埃などを、容易
に瞬時に冷凍塵埃とすることができる。

【００４５】

【発明の効果】以上述べた如く、本発明（請求項１〜
９）によれば、ダクト内の頑固な汚れ等を簡単に短時間
で冷凍塵埃とし、これを破壊、剥離し、汚れを氷の状態
で回収することができるので、ダクト内の汚れを容易に
ほぼ完全に回収することができる。その結果、ダクト内
の堆積した油が燃えて火災原因となる問題が解消され
る。

【００４６】更に、急速冷凍して冷凍塵埃とするため、
厨房内・工場内を汚染することなく簡単に清掃でき、厨
房内・工場内を衛生的に維持できるほか、極めて汎用性
に富み厨房用、工場用等の殆ど全てのダクトの油脂汚れ
に適用できると共に、従来の工法に比べて、人件費その
他の経費が著しく節約できるなど多大な利点を併有す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に使用する急速冷凍する装置を示す側面
図である。

【図２】急速冷凍した氷を破壊する装置を示す側面図で
ある。

【図３】急速冷凍した氷を破壊する他の装置を示す側面
図である。

【図４】ダクト内を分割するための耐冷エア−袋にエア
−を充填する装置を示す側面図である。

【図５】破壊、剥離された氷を吸引回収するサイクロン
型集塵機の側面図である。

【図６】破壊、剥離された氷を集塵機に回収する逆噴射
エア−ノズルの側面図である。

【図７】ダクト内を分割し、ダクト内の油脂汚れ等を急
速冷凍する実施例を示す側面図である。

【図８】急速冷凍したダクト内の油脂汚れ等の氷を破
壊、剥離する実施例を示す側面図である。

【図９】ダクト内の破壊、剥離した油脂汚れ等の氷を吸
引回収する実施例を示す側面図である。

【符号の説明】

１……………ダクト内を急速冷凍する装置 ５，５′，５′′……エア−コンプレッサ− ６………エア−モ−タ− ７………エア−スクレバ− ８………エア−ハンマ− ９………エア−ジエッタガネ １０，１０′，１０′′……エア−ホ−ス １３………ワイヤ−ブラシ １６，１６ａ，１６ｂ，１６ｃ，１６ｄ………エア−袋 １７………逆噴射エア−ノズル １８………集塵機 １９………集塵ホ−ス ２２………急速冷凍可能な室（ダクト） ２３………冷凍塵埃 ２７………清掃用の開口 ２８………冷凍ガス噴射ノズル

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ダクト内を分割して急速冷凍可能な室に形
   成し、該急速冷凍可能な室を急速冷凍して、ダクト内部
   に付着した油脂汚れ及び／又は塵埃などを冷凍塵埃と
   し、該冷凍塵埃を破壊、剥離し、剥離した冷凍塵埃を除
   去することを特徴とするダクト内の汚れを剥離清掃する
   方法。
2. 【請求項２】前記冷凍塵埃を吸引除去する請求項１に記
   載の方法。
3. 【請求項３】前記したように冷凍塵埃を剥離後、エア−
   を後方に噴射するエア−の逆噴射力により前進及び飛び
   跳ね可能に形成した逆噴射エア−ノズルによって、冷凍
   塵埃を後方に送って、後方の集塵機で吸引回収する請求
   項２に記載の方法。
4. 【請求項４】ダクト内を分割して急速冷凍可能な室に形
   成する手段と、該急速冷凍可能な室を急速冷凍してダク
   ト内部に付着した油脂汚れ及び／又は塵埃などを冷凍塵
   埃とする手段と、該冷凍塵埃を破壊、剥離する手段と、
   剥離した冷凍塵埃を除去する手段と、を具備することを
   特徴とするダクト内の汚れを剥離清掃するシステム。
5. 【請求項５】前記ダクト内を分割して急速冷凍可能な室
   に形成する手段が、ダクト内を隔壁によって分割する手
   段であり、該隔壁はエア−を充填したエア−袋又は弾性
   体によって形成してなる請求項４に記載のシステム。
6. 【請求項６】前記急速冷凍可能な室を急速冷凍してダク
   ト内部に付着した油脂汚れ及び／又は塵埃などを冷凍塵
   埃とする手段が、冷凍ガスを収容したタンクと、該冷凍
   ガスをダクト内に放出する耐冷ホ−スと、を具備してな
   る請求項４又は５に記載のシステム。
7. 【請求項７】前記冷凍塵埃を破壊、剥離する手段が、エ
   ア−スクレバ−、エア−ハンマ−、エア−ジェッタガネ
   及びフレキシブルシャフトに接続したワイヤ−ブラシの
   １種若しくは２種以上である請求項４〜６のいずれかに
   記載のシステム。
8. 【請求項８】前記剥離した冷凍塵埃を除去する手段が、
   集塵機であり、該集塵機のホ−ス先端を、前記急速冷凍
   可能な室に位置させ、該集塵機のホ−スによってダクト
   内を負圧にして、前記剥離した冷凍塵埃を吸引除去する
   請求項４〜７のいずれかに記載のシステム。
9. 【請求項９】前記集塵機は、先端がダクト内に位置する
   集塵機のホ−スと、前記剥離した冷凍塵埃を回収するエ
   ア−フイルタ−ボックスと、ダクト内を負圧にする送風
   機とを具備してなる請求項８に記載のシステム。