JP2000181456A - 鍵盤楽器の鍵盤装置 - Google Patents

鍵盤楽器の鍵盤装置

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JP2000181456A
JP2000181456A JP10360861A JP36086198A JP2000181456A JP 2000181456 A JP2000181456 A JP 2000181456A JP 10360861 A JP10360861 A JP 10360861A JP 36086198 A JP36086198 A JP 36086198A JP 2000181456 A JP2000181456 A JP 2000181456A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異なる鍵数用のシャーシを非常に安価に製作
でき、それにより製造コストを大幅に削減できるととも
に、組立精度を高めることができる鍵盤楽器の鍵盤装置
を提供する。 【解決手段】 シャーシ2と、このシャーシ2上に左右
方向に並び、シャーシ2に回動自在に支持された複数の
鍵3と、シャーシ3に左右方向に延びるように取り付け
られ、シャーシ2を補強する複数のアングル13と、前
後方向に延び、複数のアングル13間に取り付けられた
補強用のリブ26と、を備えている。あるいはまた、シ
ャーシ2と、このシャーシ2上に左右方向に並び、シャ
ーシ2に回動自在に支持された複数の鍵3と、を備え、
シャーシ2は、前後方向の所定の切断線A−A’、B−
B’に沿って切断することによって、複数の鍵3よりも
少ない所定数の鍵3を支持可能に構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子ピアノなどに
用いられる鍵盤楽器の鍵盤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子ピアノの鍵盤装置は一般に、シャー
シと、シャーシ上に取り付けられた多数の回動自在の鍵
およびハンマーなどで構成されている。このシャーシに
は、鍵やハンマーを支持するとともに、それらの回動を
案内するための多数の凹部や孔などが形成されている。
従来のシャーシは、1枚の金属板(例えば鋼板)にプレ
ス金型を用いた打ち抜き加工を施すとともに、曲げ金型
を用いた曲げ加工などを施すことによって、一体に製作
されている。また、このような金属製のシャーシに代え
て合成樹脂製のシャーシを用いたものも知られている。
このような合成樹脂製のシャーシは一般に、射出成形に
よって一体成形されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の鍵盤装置で
は、1台の鍵盤楽器の全体に対して1個のシャーシが用
いられている。一方、鍵盤装置には、通常の88鍵に限
らず、76鍵など、様々な鍵数のものがある。このた
め、従来の鍵盤装置では、例えば88鍵用のシャーシの
金型を、76鍵用のシャーシの成形に転用することは不
可能である。その結果、鍵数の異なる鍵盤装置を製造す
る場合、それぞれの鍵数用のシャーシの金型を別々に製
作しなければならず、金型費が増大するとともに、多数
形成される凹部や孔の位置を整えるための金型調整も個
々に行わなければならず、その調整作業に手間がかかる
ため、シャーシの製作コストが増大してしまう。
【0004】また、シャーシは、鍵の並び方向(左右方
向)にかなり長いため、その長さ方向に沿って大きな撓
みが生じやすいとともに、ハンマーの重さなどによって
鍵の長さ方向(前後方向)に沿っても撓みやすい。この
ため、鍵盤装置の組立精度が低下し、極端な場合には、
鍵やハンマーの円滑な動作を阻害するおそれがある。
【0005】本発明は、このような課題を解決するため
になされたものであり、異なる鍵数用のシャーシを非常
に安価に製作でき、それにより製造コストを大幅に削減
できるとともに、組立精度を高めることができる鍵盤楽
器の鍵盤装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の請求項1による鍵盤楽器の鍵盤装置は、シ
ャーシと、このシャーシ上に左右方向に並び、シャーシ
に回動自在に支持された複数の鍵と、シャーシに左右方
向に延びるように取り付けられ、シャーシを補強する複
数のアングルと、前後方向に延び、複数のアングル間に
取り付けられた補強用のリブと、を備えていることを特
徴としている。
【0007】この鍵盤楽器の鍵盤装置によれば、シャー
シに左右方向に延びる複数のアングルが取り付けられて
いることで、シャーシの剛性、特にその長さ方向(左右
方向)の剛性が高められるので、この方向に沿うシャー
シの撓みを抑制することができる。また、前後方向に延
びるリブが複数のアングル間に取り付けられているの
で、このリブによって、特にシャーシの前後方向の剛性
を補強でき、この方向すなわち鍵の長さ方向に沿うシャ
ーシの撓みを効果的に抑制できる。
【0008】この場合、アングルは、シャーシ全体にわ
たって1本で構成した場合などには非常に長くなるた
め、これを鋼板の曲げ加工などで製作すると、その直線
性を保ちにくく、上下方向の寸法誤差が生じやすいのに
対し、リブは、アングルと比べて短くてよいため、金型
を用いた曲げプレス加工などによって比較的精度良く作
製できる。したがって、アングルの上記寸法誤差をリブ
の補強によって矯正でき、それにより、シャーシの反り
などを防止して、その形状を適正に保つことができる。
以上により、シャーシの寸法および形状を適正に保つこ
とができ、鍵盤装置の組立精度を高めることができる。
【0009】この場合、複数のアングルは、シャーシの
下面に取り付けられる水平な取付部をそれぞれ有し、リ
ブは、複数のアングルの取付部間に取り付けられている
ことが好ましい。
【0010】この構成では、複数のアングルの水平な取
付部がシャーシの下面に取り付けられるとともに、この
取付部間にリブが取り付けられているので、アングルの
上下方向の寸法誤差による悪影響を排除でき、シャーシ
の寸法および形状をより適正に保つことができる。
【0011】これらの場合、シャーシは、リブを介して
鍵盤楽器の楽器本体に固定されていることが好ましい。
【0012】この構成では、シャーシが、アングルより
も精度良く製作可能なリブを介して、楽器本体、例えば
棚板に固定されているので、鍵盤装置の高さ精度を良好
に保つことができる。また、この場合、リブを上記の請
求項2のようにアングルの取付部に取り付ければ、アン
グルの寸法誤差による影響を排除できるので、鍵盤装置
の高さ精度がさらに良好になる。さらに、リブを利用し
てシャーシを楽器本体に取り付けることで、別個の取付
用部品を省略でき、部品点数の削減も図れる。
【0013】また、前記目的を達成するため、本発明の
請求項4による鍵盤楽器の鍵盤装置は、シャーシと、こ
のシャーシ上に左右方向に並び、シャーシに回動自在に
支持された複数の鍵と、を備え、シャーシは、前後方向
の所定の切断線に沿って切断することによって、複数の
鍵よりも少ない所定数の鍵を支持可能に構成されている
ことを特徴としている。
【0014】この鍵盤楽器の鍵盤装置によれば、シャー
シは、その所定の切断線に沿って切断することによっ
て、より少ない所定数の鍵を支持できるので、この切断
により、シャーシをより少ない鍵数用のシャーシとして
転用することができる。その結果、異なる鍵数用のシャ
ーシの金型を共通化できるので、金型費を削減できると
ともに、金型調整の負担も軽減できることにより、シャ
ーシの製作コスト、ひいては鍵盤装置の製造コストを大
幅に削減することができる。
【0015】この場合、シャーシは、複数の鍵のうちの
黒鍵を案内するための立設された複数の黒鍵用ガイドを
有し、所定の切断線は、複数の黒鍵用ガイドの1つの付
近を通るように設定され、シャーシの1つの黒鍵用ガイ
ドの付近には、所定の切断線上に、シャーシの切断を可
能にする切欠が形成されていることが好ましい。
【0016】この構成では、シャーシの切断個所に位置
する黒鍵用ガイドの付近に切欠が形成されていて、シャ
ーシの切断を、黒鍵用ガイドを避け、この切欠を通るよ
うにして行うことができる。このように、シャーシを、
その切断の際に邪魔になる黒鍵用ガイドを通らずに容易
に切断でき、より少ない鍵数用のシャーシを容易に製作
することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の実施形態を詳細に説明する。図1および図2は、本
発明の第1実施形態による電子ピアノの鍵盤装置を示し
ている。この鍵盤装置1は、88鍵用のものであり、両
図に示すように、棚板5(楽器本体)上に支持されたシ
ャーシ2と、シャーシ2の後端部に回動自在に取り付け
られた白鍵3aおよび黒鍵3bから成る88個の鍵3
(両図には白鍵3aおよび黒鍵3bの各1個のみ図示)
と、シャーシ2の中央部に回動自在に取り付けられたハ
ンマー4などを備えている。
【0018】図3は、この鍵盤装置1に用いられる88
鍵用のシャーシ2を示している。このシャーシ2は、同
図では中間部分を省略しているが、A鍵からC鍵までの
計88個の鍵3を支持するものであり、ABSなどの射
出成形品により全体を一体として形成されている。
【0019】図4にも示すように、シャーシ2には、後
端部に鍵3を支持する鍵用軸孔6が、中央部にハンマー
4を支持するハンマー用軸穴7が、さらに、前部および
ハンマー用軸穴7の前後には、回動するハンマー4が通
過する第1〜第3ハンマー通過孔8a〜8cが、第1ハ
ンマー通過孔8aの後ろ側には、回動する鍵3のストッ
パ部10が通過する鍵通過孔9が、それぞれ鍵3ごとに
形成されている。さらに、シャーシ2には、第1ハンマ
ー通過孔8aの前側で各白鍵3aに相当する位置に白鍵
用ガイド11aが、鍵通過孔9の後ろ側で各黒鍵3bに
相当する位置に黒鍵用ガイド11bが、それぞれ立設さ
れている。
【0020】また、この88鍵用のシャーシ2は、これ
を所定の切断線に沿って切断することによって、より少
ない鍵数用のシャーシとして転用することが可能であ
る。図5は、そのようにして形成した76鍵用のシャー
シ2’を、中間部を省略して示している。具体的には、
このシャーシ2’は、シャーシ2を図3の切断線A−
A’およびB−B’に沿って切断することによって形成
されている。この切断により、シャーシ2のうちの低音
部のA鍵からD#鍵までの部分(7鍵分)と、高音部の
G#鍵からC鍵までの部分(5鍵分)が除去されること
で、E鍵からG鍵までの計76個の鍵を支持可能なシャ
ーシ2’が構成される。
【0021】また、図3に示すように、シャーシ2に
は、切断線A−A’上およびB−B’線上に位置する黒
鍵用ガイド11bの前側に隣接して、黒鍵用ガイド11
bよりも若干大きな幅の切欠12があらかじめ形成され
ている。そして、シャーシ2は、黒鍵用ガイド11bを
外側に避け且つ切欠12を通るようにして切断される。
これにより、中間シャーシを、その切断の際に邪魔にな
る黒鍵用ガイド11bを通らずに容易に切断でき、76
鍵用のシャーシ2’を容易に製作することができる。ま
た、この切断によって、シャーシ2’から不要な黒鍵用
ガイド11bが除去される。
【0022】図1および図2に戻り、88鍵用のシャー
シ2について説明を進めると、このシャーシ2の下面に
は、前後4本の補強用のアングル13が取り付けられて
いる。これらのアングル13は、後ろ側から順に、バッ
クアングル13a、スイッチアングル13b、ストッパ
13cならびにフロントアングル13dで構成されてい
る。図6および図7に示すように、各アングル13はい
ずれも、シャーシ2の左右方向の全体に渡る長さの細長
い1本のもので構成され、例えば鋼板の曲げ加工によっ
て形成されている。
【0023】これらのアングル13のうち、バックアン
グル13aは、シャーシ2に取り付けられる上端の水平
な取付部14aと、その後端から下方に延びる鉛直部1
4bと、その後端から後方に延び、棚板5に固定される
棚板固定部14cで構成されている(図6および図7の
各(a)参照)。スイッチアングル13bは、下端の水
平な取付部15aと、その前端から上方に延びる鉛直部
15bで構成され(両図(b)参照)、ストッパアング
ル13cは、上端の水平な取付部16aと、その前端か
ら下方に延びる鉛直部16bで構成されている(両図
(c)参照)。また、フロントアングル13dは、上端
の水平な取付部17aと、その前端から下方に延びる鉛
直部17bと、その下端から後方に延びる棚板固定部1
7cで構成されている(両図(d)参照)。なお、図7
中の符号37は、フロントアングル13dの棚板固定部
17cの上面に取り付けられた、後述するハンマー下限
ストッパ37である。
【0024】図6に示すように、アングル13の各取付
部14a〜17aには、所定位置に複数のシャーシ固定
孔18が形成されている。一方、図3などに示すよう
に、シャーシ2には、鍵用軸孔6のすぐ前側、ハンマー
用軸穴7のすぐ前側、黒鍵用ガイド11bのすぐ後ろ
側、および白鍵用ガイド11aのすぐ後ろ側に、シャー
シ固定孔18に対応するように固定孔19が形成されて
いる。そして、シャーシ2の各固定孔19にそれぞれの
アングル13のシャーシ固定孔18を位置合わせした状
態で、両固定孔19、18に上方から通したねじ20に
よって、各アングル13の取付部14a〜17aがシャ
ーシ2の下面に固定されている。なお、シャーシ2のハ
ンマー用軸穴7付近の固定孔19は、下方に突出するボ
ス21の下方に開放したボス穴として形成されていて、
スイッチアングル13bのみ下方からねじ止めされる。
【0025】また、シャーシ2および各アングル13に
は、両者を互いに位置決めするための位置決め突起22
および位置決め孔24が、それぞれ形成されている。図
3に示すように、位置決め突起22は、例えば1オクタ
ーブごとに且つ固定孔19と同じ位置に、前後方向に並
ぶように計4個、形成されている。一方、位置決め孔2
4は、各アングル13の取付部14a〜17aの位置決
め突起22に対応する位置に、形成されている。そし
て、シャーシ2にアングル13を取り付ける際、位置決
め突起22に位置決め孔24を係合させることによっ
て、シャーシ2に対して各アングル13が位置決めされ
る。
【0026】以上のようにしてシャーシ2に取り付けた
4本のアングル13には、図1に示すように、これらに
またがるようにして、補強用の複数のリブ26(図1に
は1個のみ図示)が、例えば1オクターブごとに取り付
けられている。各リブ26は、図8に示すように、前後
方向に延びるリブ本体27と、リブ本体27に形成され
た4個の水平な取付部28とから成り、例えば、1枚の
鋼板を金型を用いて曲げプレス加工することによって形
成されている。リブ本体27は、アングル13を設けた
個所において取付部14a〜17aの付近まで上方に延
びていて、その各上端に取付部28が設けられ、各取付
部28には取付孔29が形成されている。
【0027】一方、図6に示すように、アングル13の
取付部14a〜17aには、位置決め孔24に隣接して
リブ固定孔30が形成されている。リブ26は、その取
付部28の取付孔29を対応するアングル13の取付部
14a〜17aのリブ固定孔30に位置合わせた状態
で、取付孔29およびリブ固定孔30に下方から通した
ねじ31によって、アングル13の取付部14a〜17
a間に固定されている。
【0028】さらに、図6に示すように、バックアング
ル13aおよびフロントアングル13dの棚板固定部1
4c、17cには、棚板固定孔32がそれぞれ形成され
ていて、シャーシ2は、この棚板固定孔32を介して、
ねじ32aによって上方から棚板5に固定されている
(図1参照)。
【0029】また、図1に示すように、シャーシ2に
は、鍵3およびハンマー4の回動を規制するための複数
のストッパが設けられている。これらのストッパは、ス
トッパアングル13cのすぐ前側の鍵通過孔9と黒鍵用
ガイ11bとの間に位置して、シャーシ2の上面および
下面にそれぞれ設けられた鍵下限ストッパ34および鍵
上限ストッパ35と、フロントアングル13dのすぐ後
ろ側に位置してシャーシ2の下面に設けられたハンマー
上限ストッパ36と、フロントアングル13dの棚板固
定部17cの上面後端部に設けられたハンマー下限スト
ッパ37とによって構成されている。これらのストッパ
34〜37はいずれも、シャーシ2の左右方向の全体に
わたる1本の帯状のものとして形成され、表面にフェル
トを貼り付けた発泡ウレタンなどで構成されている。
【0030】また、シャーシ2のスイッチアングル13
bのすぐ後ろ側には、鍵3の押鍵情報を検出するための
鍵スイッチ38が設けられている。この鍵スイッチ38
は、シャーシ2にねじ止めされたプリント基板39と、
その上面に設けられたスイッチ本体40とを備えてい
る。スイッチ本体40は、シャーシ2の第3ハンマー通
過孔8cに下方から臨んでおり、プリント基板39を介
して、電子ピアノの発音を制御する制御装置(図示せ
ず)に接続されている。
【0031】次に、鍵3およびハンマー4の構成を簡単
に説明する。まず、鍵3(白鍵3aおよび黒鍵3b)
は、例えばASの射出成形品で構成されており、両側壁
と天壁から成る逆U形の断面を有している。鍵3の両側
壁の後端部には、内方に突出する突起41が形成されて
いて、この突起41がシャーシ2の後端部の鍵用軸孔6
に係合することによって、鍵3がシャーシ2に回動自在
に支持されている。鍵3は、その前部のフック状のスト
ッパ部10がシャーシ2の鍵通過孔9を通りながら回動
するとともに、白鍵用ガイド11aまたは黒鍵用ガイド
11bにより、左右方向にぶれないように案内される。
また、鍵3の回動の上限位置は、そのストッパ部10が
鍵上限ストッパ35に当接することによって規制され
(図1の状態)、下限位置は、鍵3の下面が鍵下限スト
ッパ34に当接することによって規制される(図2の状
態)。
【0032】一方、ハンマー4は、例えばABSの射出
成形品で構成され、前後方向に延びるハンマー本体42
と、鋼板などで構成され、ハンマー本体42の前端部の
左右両側に取り付けられた2枚の質量板43(図1に片
側のもののみ図示)とで構成されている。ハンマー本体
42の後端部には、両側方に突出するピン状の突起44
が形成されていて、この突起44がシャーシ2のハンマ
ー用軸穴7に係合することによって、ハンマー4がシャ
ーシ2に回動自在に支持されている。ハンマー本体42
のハンマー用軸穴7よりも後ろ側の部分は、スイッチ押
圧部45になっており、このスイッチ押圧部45は、シ
ャーシ2の第3ハンマー通過孔8cに臨み、鍵スイッチ
38のスイッチ本体40に上方から対向するとともに、
このスイッチ押圧部45に、鍵3の下面に設けたアクチ
ュエータ部46が上方から当接している。また、ハンマ
ー4の中央部はシャーシ2の第2ハンマー通過孔8bを
上下に横切るとともに、質量板43を取り付けた前端部
が、回動時、シャーシ2の第1ハンマー通過孔8cを通
るようになっている。また、ハンマー本体42の前端に
はストッパ部47が前方に突出して形成されている。
【0033】以上の構成により、ハンマー4は、鍵3の
押鍵時、スイッチ押圧部45が鍵3のアクチュエータ部
46で押圧されることによって、図1の時計方向に回動
する。ハンマー4の回動の上限位置は、そのストッパ部
47がハンマー上限ストッパ36に当接することによっ
て規制され(図2の状態)、下限位置は、ストッパ部4
7がハンマー下限ストッパ37に当接することによって
規制される(図1の状態)。また、このハンマー4の回
動に伴い、そのスイッチ押圧部45が鍵スイッチ38の
スイッチ本体40を押下し、オン動作させることによっ
て、鍵3の押鍵情報が検出され、その検出結果に応じ
て、制御装置により電子ピアノの発音が制御される。
【0034】以上の構成の鍵盤装置1は、例えば、シャ
ーシ2に4本のアングル13をそれらの取付部14a〜
17aを介して取り付け、アングル13の取付部14a
〜17a間にリブ26を固定し、次いで、シャーシ2の
ハンマー用軸穴7および鍵用軸孔6に、ハンマー4およ
び鍵3をそれぞれ取り付けることなどにより組み立てら
れ、さらに、鍵3やハンマー4などの調整を終えた後、
棚板5に取り付けられる。
【0035】以上のように、本実施形態の鍵盤装置1に
よれば、シャーシ2に左右方向に延びる複数のアングル
13が取り付けられていることで、シャーシ2の剛性、
特にその長さ方向(左右方向)の剛性が高められるの
で、この方向に沿うシャーシ2の撓みを抑制することが
できる。また、前後方向に延びる複数のリブ26が複数
のアングル13間に取り付けられているので、これらの
リブ26によって、特にシャーシ2の前後方向の剛性を
補強でき、ハンマー4の重さなどによって生じやすい鍵
3の長さ方向に沿うシャーシ2の撓みを効果的に抑制で
きる。
【0036】この場合、アングル13は、シャーシ2全
体にわたって1本で構成した場合には非常に長くなるた
め、これを鋼板の曲げ加工などで製作すると、その直線
性を保ちにくく、上下方向の寸法誤差が生じやすいのに
対し、リブ26は、アングル13と比べて短くてよいた
め、金型を用いた曲げプレス加工などによって比較的精
度良く作製できる。したがって、アングル13の上記寸
法誤差をリブ26の補強によって矯正でき、それによ
り、シャーシ2の反りなどを防止して、その形状を適正
に保つことができる。
【0037】また、複数のアングル13の水平な取付部
14a〜17aがシャーシ2の下面に取り付けられると
ともに、この取付部14a〜17a間にリブ26が取り
付けられているので、アングル13の上下方向の寸法誤
差による悪影響を排除でき、シャーシ2の寸法および形
状をより適正に保つことができる。以上により、シャー
シ2の寸法および形状を適正に保つことができ、鍵盤装
置1の組立精度を高めることができる。
【0038】さらに、バックアングル13aおよびスイ
ッチアングル13bが、シャーシ2の鍵用軸孔6および
ハンマー用軸穴7の付近にそれぞれ配置されていて、シ
ャーシ2のこれらの部分を補強し、鍵用軸孔6およびハ
ンマー用軸穴7の沈下などの変位を抑制するので、鍵3
およびハンマー4の回動ストロークのばらつきや、鍵用
軸孔6およびハンマー用軸穴7でのがたつきなどを生じ
るさせることなく、これらを安定して円滑に回動させる
ことができる。同様に、鍵スイッチ38のスイッチ本体
40がスイッチアングル13bの付近に、鍵下限および
上限ストッパ34、35がストッパアングル13cの付
近に、ハンマー上限および下限ストッパ36、37がフ
ロントアングル13dの付近およびこれに直接、それぞ
れ配置されているので、これら鍵スイッチ38やストッ
パ34〜37の動作を適切に行わせることができる。
【0039】また、鍵盤装置1に用いられる88鍵用の
シャーシ2は、前述したように、例えば切断線A−A’
およびB−B’に沿って切断することによって、76鍵
用のシャーシ2’として転用することが可能である。そ
の結果、88鍵用および76鍵用のシャーシ2、2’の
金型を共通化できるので、金型費を削減できるととも
に、金型調整の負担も軽減できることにより、シャーシ
2、2’の製作コスト、ひいては鍵盤装置の製造コスト
を大幅に削減することができる。
【0040】また、シャーシ2の切断個所に位置する黒
鍵用ガイド11bの付近に切欠12が形成されていて、
シャーシ2の切断を、黒鍵用ガイド11bを避け、この
切欠12を通るようにして行うことができる。このよう
に、シャーシ2を、その切断の際に邪魔になる黒鍵用ガ
イド11bを通らずに容易に切断でき、76鍵用のシャ
ーシ2’を容易に製作することができる。
【0041】図9は、本発明の第2実施形態による鍵盤
装置51を示している。この鍵盤装置51は、前述した
第1実施形態の鍵盤装置1と比較し、棚板5へのシャー
シ2の取付を、アングル13を介さずに、リブを介して
行っている点が異なるものである。すなわち、図1との
比較から明らかなように、第1実施形態のリブ26は、
前端部が三角形状に切り欠かれているのに対し、本実施
形態では、リブ52の下面が前端までまっすぐに延びて
いて、この部分および後端部に形成した棚板固定孔53
を介して、リブ52がねじ54により棚板5に固定され
ている。このため、第1実施形態の前後のアングル13
a、13dの棚板固定部14c、17cは、本実施形態
では省略されている。他の構成は、第1実施形態と同様
である。
【0042】したがって、本実施形態の鍵盤装置51に
よれば、前述した第1実施形態とまったく同様の効果が
得ることができる。さらにこれに加えて、アングル13
よりも精度良く製作可能なリブ52を介して、シャーシ
2が棚板5に固定されているので、鍵盤装置51の高さ
精度をより良好に保つことができる。また、リブ26を
利用してシャーシ2を棚板5に取り付けることで、別個
の取付用部品を省略でき、部品点数の削減を図ることも
できる。
【0043】なお、本発明は、説明した実施形態に限定
されることなく、種々の態様で実施することができる。
例えば、実施形態では、88鍵用のシャーシ2を切断線
A−A’などに沿って切断することで、76鍵用のシャ
ーシ2’を形成しているが、他の切断線に沿って切断す
ることで、より少ない他の鍵数用、例えば61鍵用や4
9鍵用のシャーシなどを形成するようにしてもよい。そ
れにより、金型の共通化をさらに促進でき、シャーシの
製作コストをより一層、削減することができる。
【0044】また、実施形態は、本発明を電子ピアノに
適用した例であるが、本発明は、これに限らず、他の電
子楽器(例えばシンセサイザなど)や、アコースティッ
クタイプの鍵盤楽器に適用することも可能である。その
他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更
することが可能である。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の鍵盤楽器
の鍵盤装置は、異なる鍵数用のシャーシを非常に安価に
製作でき、それにより製造コストを大幅に削減できると
ともに、組立精度を高めることができるなどの効果を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による電子ピアノの鍵盤
装置の離鍵状態における側断面図である。
【図2】図1の鍵盤装置の押鍵状態における側断面図で
ある。
【図3】88鍵用のシャーシの中間部を省略した平面図
である。
【図4】図3のシャーシの側断面図である。
【図5】76鍵用のシャーシの中間部を省略した平面図
である。
【図6】4本のアングルの部分拡大平面図である。
【図7】図6のアングルの側面図である。
【図8】リブの(a)平面図および(b)側面図であ
る。
【図9】本発明の第2実施形態による電子ピアノの鍵盤
装置の側断面図である。
【符号の説明】
1 鍵盤装置 2 88鍵用のシャーシ 2’ 76鍵用のシャーシ 3 鍵 5 棚板(楽器本体) 11b 黒鍵用ガイド 12 切欠 13 アングル 13a バックアングル 13b スイッチアングル 13c ストッパアングル 13d フロントアングル 14a バックアングルの取付部 15a スイッチアングルの取付部 16a ストッパアングルの取付部 17a フロントアングルの取付部 26 リブ 51 鍵盤装置 52 リブ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シャーシと、 このシャーシ上に左右方向に並び、当該シャーシに回動
    自在に支持された複数の鍵と、 前記シャーシに左右方向に延びるように取り付けられ、
    当該シャーシを補強する複数のアングルと、 前後方向に延び、前記複数のアングル間に取り付けられ
    た補強用のリブと、を備えていることを特徴とする鍵盤
    楽器の鍵盤装置。
  2. 【請求項2】 前記複数のアングルは、前記シャーシの
    下面に取り付けられた水平な取付部をそれぞれ有し、前
    記リブは、前記複数のアングルの前記取付部間に取り付
    けられていることを特徴とする、請求項1に記載の鍵盤
    楽器の鍵盤装置。
  3. 【請求項3】 前記シャーシは、前記リブを介して当該
    鍵盤楽器の楽器本体に固定されていることを特徴とす
    る、請求項1または2に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置。
  4. 【請求項4】 シャーシと、 このシャーシ上に左右方向に並び、当該シャーシに回動
    自在に支持された複数の鍵と、を備え、 前記シャーシは、前後方向の所定の切断線に沿って切断
    することによって、前記複数の鍵よりも少ない所定数の
    前記鍵を支持可能に構成されていることを特徴とする鍵
    盤楽器の鍵盤装置。
  5. 【請求項5】 前記シャーシは、前記複数の鍵のうちの
    黒鍵を案内するための立設された複数の黒鍵用ガイドを
    有し、前記所定の切断線は、前記複数の黒鍵用ガイドの
    1つの付近を通るように設定され、前記シャーシの前記
    1つの黒鍵用ガイドの付近には、前記所定の切断線上
    に、前記シャーシの切断を可能にする切欠が形成されて
    いることを特徴とする、請求項4に記載の鍵盤楽器の鍵
    盤装置。
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