JP4318290B2 - 鍵盤楽器の鍵盤装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ピアノなどに用いられる鍵盤楽器の鍵盤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の鍵盤楽器の鍵盤装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この鍵盤装置は、電子ピアノ用であり、図7に示すように、シャーシ81、複数の鍵82および複数のハンマー83(ともに1つのみ図示)などを備えている。シャーシ81は、1オクターブ単位の6個の中間シャーシ81a(図8参照)、最低音部用シャーシおよび最高音部用シャーシ(ともに図示せず)で構成されている。中間シャーシ81aは、互いに同じ寸法および形状を有している。これらの複数のシャーシは、左右方向に並んだ状態で連結され、棚板84上に支持されている。また、各シャーシには、後端部に鍵支点85が、中央部にハンマー支点86が、その前側に第2ハンマー通過孔87が、さらに前端部に第1ハンマー通過孔88が、それぞれ鍵82ごとに形成されている(図8参照)。
【0003】
複数の鍵82は、白鍵82aおよび黒鍵82bで構成されており、それらの後端部がシャーシ81の鍵支点85に回動自在に支持され、シャーシ81の上側に前後方向に延びている。ハンマー83は、前後方向に延びており、その後部が隣り合う2つのハンマー支点86,86にまたがるように取り付けられ、これに回動自在に支持されている。また、ハンマー83は、第2ハンマー通過孔87を通って、シャーシ81の下側を前方に延びており、前端部の左右の側面には、ハンマー83に重さを付与するための質量板89(1つのみ図示)がそれぞれ設けられている。
【0004】
以上の構成により、ハンマー83は、鍵82の押鍵時に、後端部が鍵82で押し下げられることによって、ハンマー支点86を中心として、図7の時計回りに回動する。それに伴い、ハンマー83の前端部が第1ハンマー通過孔88を下方から通過する。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−122654号公報(第5〜7頁、第1図および第3図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の鍵盤装置では、ハンマー83は、その後端部においてハンマー支点86に支持されるとともに、前端部は左右方向にフリーな状態にある。このため、例えば電子ピアノをその左右を上下方向にした縦置き状態で保管した場合、ハンマー83がハンマー支点86から大きく垂れ下がるとともに、ハンマー支点86から遠い位置にある質量板89を含む自重による大きな曲げモーメントが作用することによって、ハンマー83が変形するおそれがある。その結果、電子ピアノを平置き状態にして演奏したとき、ハンマー83が第1ハンマー通過孔88を通過する際に、その側壁90に接触することで、演奏に支障を来すおそれがある。
【0007】
このような不具合を解消するため、例えば図9および図10に示すように、各第1ハンマー通過孔88の左右の側壁90を下方に延ばすことによって、ハンマー83の左右方向の動きを規制することが考えられる。しかし、その場合には、図10に示すように、中間シャーシ81aなどの境界部において、隣り合う第1ハンマー通過孔88,88間の間隔を、他の部分の間隔と同じにするために、互いに隣接する最外側の2つの側壁90a,90aの各々を、他の部分の側壁90よりも薄くせざるを得ず、その分、強度が低下する。また、最外側の各側壁90aが薄いことと、その面積が従来よりも広いことから、演奏時に、ハンマー83の接触などによって、側壁90a,90aが振動しやすく、雑音の発生の原因になるおそれがある。このような不具合を解消するために、中間シャーシ81a,81a同士を接着した場合には、その分、組立工数が増えてしまい、製造コストが増大するとともに、電子ピアノを分解する際、シャーシ81が分解しにくくなる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ハンマーの左右方向の動きを規制しながら、シャーシの境界部の強度を十分に確保できるとともに、雑音の発生を防止することができる鍵盤楽器の鍵盤装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る鍵盤楽器の鍵盤装置は、左右方向に並んだ複数のシャーシと、シャーシに回動自在に支持された複数の鍵と、シャーシに回動自在に支持され、対応する鍵の押鍵に伴って回動する複数のハンマーと、シャーシに設けられ、複数の各々のハンマーに両側から近接して対向し、ハンマーの左右方向の動きを規制するための左右一対の側壁をそれぞれ有する複数のガイド部と、を備え、複数のガイド部のうち、複数のシャーシの境界部におけるガイド部の一対の側壁は、隣り合う2つのシャーシの一方の側端壁および他方の側端壁によって構成されていることを特徴とする。
【0010】
この鍵盤楽器の鍵盤装置によれば、鍵盤楽器を保管などのために縦置き状態にした場合に、ハンマーが、自重により上下方向(平置き状態の左右方向)に垂れ下がろうとしても、これに近接して対向するガイド部の下側の側壁に当たることによって、それ以上の下方への動きが規制される。このように、ハンマーがほとんど垂れ下がることなく側壁に支持されるので、自重によりハンマーに作用する曲げモーメントが低減されることによって、ハンマーの変形を抑制することができる。その結果、鍵盤楽器の演奏を支障なく行うことができる。
【0011】
また、シャーシの境界部におけるガイド部の一対の側壁は、隣り合う2つのシャーシの一方の側端壁および他方の側端壁によって構成されているので、境界部の側壁を薄くすることなく、境界部以外の側壁と同じ厚さを確保することができる。これにより、境界部のガイド部の強度を他のガイド部と同様に十分に確保することができる。また、境界部の側壁が厚くなることによって、側壁が振動しにくくなるので、演奏時にハンマーが接触しても、雑音の発生を防止することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置において、複数のシャーシは、互いに同一の1オクターブ単位の複数のシャーシを含むことを特徴とする。
【0013】
鍵盤楽器では、白鍵と黒鍵が1オクターブごとに同一の配列で繰り返される。したがって、この構成では、シャーシの大部分を互いに同一の1オクターブ単位の複数のシャーシで構成でき、シャーシの金型の共通化によって、金型費を削減することができる。その結果、シャーシの製作コスト、ひいては鍵盤装置の製造コストを大幅に削減することができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置において、ガイド部は、シャーシに一体に成形されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、シャーシにガイド部を取り付ける作業が不要になり、それにより、製造コストを削減することができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置において、シャーシは、合成樹脂の成形品で構成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、所望の形状およびばらつきのない強度特性などを有するシャーシを容易に作製することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら、詳細に説明する。図1および図2は、本発明の一実施形態による電子ピアノの鍵盤装置を示している。この鍵盤装置1は、88鍵用のものであり、シャーシ2と、シャーシ2の後端部に回動自在に取り付けられた、白鍵3aおよび黒鍵3bからなる88個の鍵3(白鍵3aおよび黒鍵3bの各1個のみ図示)と、シャーシ2の中央部に回動自在に取り付けられたハンマー4などを備えている。
【0019】
シャーシ2は、7個の基本シャーシ2a(図3に1個分、図5に2個分図示)と、1個の最高音部用シャーシ2b(図4参照)の、計8個のシャーシにより分割構成され、左右方向に並んだ状態で棚板5上に支持されている。
【0020】
図3(a)に示すように、基本シャーシ2aには、鍵3やハンマー4を支持などするための後述する支点や孔の列が、鍵3ごとに左右方向に並ぶように設けられている。具体的には、左側から順に、A鍵用からG#鍵用までの12列(以下、適宜「A列」「G#列」などという)、すなわち1オクターブ分の列が形成されている。また、図5に示すように、基本シャーシ2aは、互いに同じ寸法および形状を有し、同一の金型で成形された合成樹脂(例えばABS樹脂)の射出成形品で構成されている。図4に示すように、最高音部用シャーシ2bは、基本シャーシ2aの一部で構成されている。具体的には、最高音部用シャーシ2bは、基本シャーシ2aを図3(a)に示すX−X’に沿って切断した左側の部分で構成されており、A鍵からC鍵までの計4個の鍵3などを支持する。
【0021】
以上の計8個のシャーシは、左右方向に延びる4本の連結バー6にねじ7で固定され、連結バー6上に左右方向に並んだ状態で連結されている。各連結バー6は、シャーシ2の左右方向の全体に渡る長さの細い1本のアングル状のものであり、例えば鋼板の曲げ加工によって形成されている。
【0022】
図3に示すように、基本シャーシ2aの各列には、後端部に鍵3を支持する鍵用軸孔8が、中央部にハンマー用軸穴9が、さらに、前部およびハンマー用軸穴9の前後には、回動するハンマー4が通過する第1〜第3ハンマー通過孔10a〜10cが、第1ハンマー通過孔10aの後ろ側には、回動する鍵3の鍵ストッパ部11が通過する鍵通過孔12が形成されている。また、基本シャーシ2aには、第1ハンマー通過孔10aの前側で各白鍵3aに相当する位置に白鍵用ガイド13aが、鍵通過孔12の後ろ側で各黒鍵3bに相当する位置に黒鍵用ガイド13bが、それぞれ立設されている。
【0023】
また、隣り合う2つの第1ハンマー通過孔10a,10aは、側壁14で仕切られている。基本シャーシ2aには、このような側壁14が、A列の左側からG列の右側までのものが互いに同じ厚さおよび間隔で並設されている。その結果、基本シャーシ2aには、A列からG列までの第1ハンマー通過孔10aが互いに所定の間隔で並んだ状態で形成されるとともに、G#列の第1ハンマー通過孔10aの右側(高音側)は開放されている。図3(b)に示すように、各側壁14は、上下方向に延びており、その側面が逆三角形状になっている。また、基本シャーシ2aには、A列の左側の側壁14a(以下「左側端壁14a」という)からG列の右側の側壁14b(以下「右側端壁14b」という)までの側壁14の下端部間を互いに連結するように、ガイド部連結バー15が設けられており、このガイド部連結バー15は棚板5上に載置されている。さらに、各側壁14の左右の側面には、ガイド部連結バー15から側壁14の上端まで連続的に延びる半円形状のガイド突部16が設けられている。そして、各第1ハンマー通過孔10aの両側の側壁14,14およびそれらの各内側面のガイド突部16,16によって、ハンマー4の左右方向の動きを規制するためのガイド部17が構成されている。これらのガイド部連結バー15およびガイド突部16は、基本シャーシ2aに一体に成形されており、第1ハンマー通過孔10aの中央よりもやや前寄りに配置されている。
【0024】
また、図6に示すように、右側端壁14bは、基本シャーシ2aの右端よりも内側に配置されており、第1ハンマー通過孔10aの後壁14cが、第1ハンマー通過孔10aの幅の約2/3の長さ、右方にすなわちG#列に向かって突出しているとともに、第1ハンマー通過孔10aの前壁14dが、第1ハンマー通過孔10aの幅の約半分の長さ、右方に突出している。一方、左側端壁14aは、基本シャーシ2aの左端とほぼ面一に配置されており、後壁14cの左端が、左側端壁14aと面一になっているとともに、前壁14dが、第1ハンマー通過孔10aの幅の約半分の長さ、左方に突出している。
【0025】
以上の構成による結果、図5および図6に示すように、基本シャーシ2a,2aを互いに連結したときには、左側の基本シャーシ2aの右側端壁14bと、右側の基本シャーシ2aの左側端壁14aが、G#列以外の第1ハンマー通過孔10aの両側の側壁14,14間と同じ間隔で対向し、これらの左側端壁および右側端壁14a,14bによって、基本シャーシ2aの境界部におけるG#列の第1ハンマー通過孔10aが形成される。同様にして、基本シャーシ2aと最高音部用シャーシ2bの間にも、G#列の第1ハンマー通過孔10aが形成される。また、左側端壁および右側端壁14a,14bと、それらの各内側面のガイド突部16,16によって、G#鍵用のハンマー4を案内するガイド部17が構成される。
【0026】
また、図1に示すように、シャーシ2には、鍵3およびハンマー4の回動を上下方向において規制するために、白鍵用下限ストッパ21a、黒鍵用下限ストッパ21b、鍵上限ストッパ22、ハンマー下限ストッパ23、およびハンマー上限ストッパ24が設けられている。黒鍵用下限ストッパ21bおよび鍵上限ストッパ22は、鍵通過孔12と黒鍵用ガイド13bの間の同じ位置に、シャーシ2を挟むようにしてシャーシ2の上面および下面にそれぞれ取り付けられている。また、ハンマー下限ストッパ23は、前側の連結バー6の下端部に取り付けられている。さらに、白鍵用下限ストッパ21aおよびハンマー上限ストッパ24は、白鍵用ガイド13aの後ろ側の位置に、シャーシ2を挟むようにしてシャーシ2の上面および下面にそれぞれ取り付けられている。これらのストッパ21〜24はいずれも、シャーシ2の左右方向の全体に渡る1本の帯状の緩衝材で構成されている。
【0027】
さらに、シャーシ2のハンマー用軸穴9の後ろ側には、鍵3の押鍵情報を検出するための鍵スイッチ25が設けられている。この鍵スイッチ25は、シャーシ2にねじ止めされたプリント基板26と、その上面に設けられたスイッチ本体27を備えている。スイッチ本体27は、シャーシ2の第3ハンマー通過孔10cに下方から臨んでおり、プリント基板26を介して、電子ピアノの発音を制御する制御装置(図示せず)に接続されている。
【0028】
鍵3(白鍵3aおよび黒鍵3b)は、例えばAS樹脂の射出成形品で構成されており、両側壁3c(一方のみ図示)と天壁3dからなる逆U字形の断面を有している。鍵3の両側壁3cの後端部には、内方に突出する突起31が形成されていて、この突起31がシャーシ2の後端部の鍵用軸孔8に係合することによって、鍵3がシャーシ2に回動自在に支持されている。また、鍵3には、その両側壁3cの前部から下方に延びるフック状の鍵ストッパ部11が形成されている。
【0029】
一方、ハンマー4は、前後方向に延びるハンマー本体32と、ハンマー本体32の前端部の左右の側面に取り付けられた2枚の質量板33(1枚のみ図示)とで構成されている。ハンマー本体32の後端部には、両側方に突出するピン状の突起34が形成されている。この突起34が、シャーシ2の列間にそれぞれ形成されたハンマー用軸穴9の隣接する2つにまたがるように係合することによって、ハンマー4がシャーシ2に回動自在に支持されている。質量板33は、ハンマー4にアコースティックピアノと同様のタッチ重さを付与するためのものであり、鋼板などの重い材料で構成されている。また、各質量板33の側面の下部には、ガイド突部16に対応する部位に矩形のクッション材38が設けられている。このクッション材38は、ガイド突部16に接触する際に、摺動性を持たせるとともに、雑音の発生を防止する役割を果たすものである。
【0030】
ハンマー本体32のハンマー用軸穴9よりも後ろ側の部分は、スイッチ押圧部35になっており、このスイッチ押圧部35は、シャーシ2の第3ハンマー通過孔10cに臨み、鍵スイッチ25のスイッチ本体27に上方から対向するとともに、このスイッチ押圧部35に、鍵3の下面に設けられたアクチュエータ部36が上方から当接している。また、ハンマー4は、その中央部がシャーシ2の第2ハンマー通過孔10bを上下に横切ってシャーシ2の下側を前方に延びており、その前端にはハンマーストッパ部37が前方に突出して形成されている。
【0031】
以上の構成により、ハンマー4は、鍵3の押鍵時に、スイッチ押圧部35が鍵3のアクチュエータ部36で押圧されることによって、図1の時計方向に回動し、前端部の質量板33が第1ハンマー通過孔10aを下方から通過する。その際、ハンマー4の左右方向の動きは、ガイド部17の側壁14およびガイド突部16によって規制される。
【0032】
また、ハンマー4の回動に伴い、そのスイッチ押圧部35が、鍵スイッチ25のスイッチ本体27を押下し、オン動作させることによって、鍵3の押鍵情報が検出され、その結果に応じて、制御装置により電子ピアノの発音が制御される。
【0033】
以上のように、本実施形態の電子ピアノの鍵盤装置1によれば、シャーシ2の前端部に設けられたガイド部17によって、ハンマー4の左右方向の動きを規制することができる。したがって、例えば電子ピアノを保管などのために縦置きにした場合、ハンマー4の自重による垂れ下がりを、ガイド部17によって防止することができる。このように、ハンマー4がほとんど垂れ下がることなくガイド部17に支持されるので、自重によりハンマー4に作用する曲げモーメントが低減されることによって、ハンマー4の変形を抑制することができる。その結果、電子ピアノの演奏を支障なく行うことができる。また、演奏時に、ハンマー4が左右方向にぶれたとしても、ハンマー4は上下方向に延びる半円形状のガイド突部16にのみ接触するため、より大きな側壁14に接触する場合よりも接触面積が小さく、接触による摩擦も小さいので、鍵3のタッチ感の悪化や雑音の発生を防止することができる。
【0034】
また、基本シャーシ2aと、他の基本シャーシ2aまたは最高音部用シャーシ2bとの境界部におけるG#鍵用のハンマー4のガイド部17が、隣り合う2つのシャーシの一方の左側端壁14aおよび他方の右側端壁14bによって構成されているので、境界部の側壁14を薄くすることなく、境界部以外の側壁14と同じ厚さを確保することができる。これにより、境界部のガイド部17の強度を他のガイド部17と同様に十分に確保することができる。また、境界部の側壁14が厚くなることによって、側壁14が変形しにくく、また振動しにくくなるので、演奏時にハンマー4が接触しても、雑音の発生を防止することができる。その結果、雑音の発生を防止するための境界部の接着工程などが不要になり、組立工数が減少するとともに、シャーシ2の分解を容易に行うことができる。
【0035】
また、基本シャーシ2aは互いに同一の1オクターブ単位で構成されているので、シャーシの金型の共通化によって、金型費を削減することができる。さらに、通常の88鍵用の電子ピアノでは、7個の基本シャーシ2aと1個の最高音部用シャーシ2bでシャーシ2を構成することができるので、従来の最低音部用シャーシが不要になる。また、ガイド部17を構成する側壁14およびガイド突部16がシャーシ2に一体に成形されているので、シャーシ2にガイド部17を取り付ける作業が不要になる。以上により、電子ピアノの製造コストを削減することができる。さらに、基本シャーシ2aがABS樹脂などの合成樹脂の成形品で構成されているため、所望の形状およびばらつきのない強度特性などを有する基本シャーシ2aを容易に作製することができる。
【0036】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、本実施形態では、ガイド部17が基本シャーシ2aなどに一体に成形されているが、別々に作製した後に、ガイド部17を基本シャーシ2aなどに取り付けてもよい。また、実施形態は、本発明を電子ピアノに適用した例であるが、本発明は、これに限らず、シンセサイザなどの他のタイプの電子楽器に適用することも、もちろん可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明の鍵盤楽器の鍵盤装置によれば、ハンマーの左右方向の動きを規制しながら、シャーシの境界部の強度を十分に確保できるとともに、雑音の発生を防止することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による電子ピアノの鍵盤装置の離鍵状態の側断面図である。
【図2】図1の鍵盤装置の押鍵状態の側断面図である。
【図3】基本シャーシの(a)平面図および(b)側面図である。
【図4】最高音部用シャーシの平面図である。
【図5】基本シャーシを左右方向に並べた状態の平面図である。
【図6】シャーシの境界部におけるガイド部の拡大平面図である。
【図7】従来の電子ピアノの鍵盤装置を示す側断面図である。
【図8】従来のシャーシを示す平面図である。
【図9】図7の鍵盤装置の変形例を示す部分拡大側断面図である。
【図10】図9の鍵盤装置のシャーシを左右方向に並べた状態の部分拡大平面図である。
【符号の説明】
1 鍵盤装置
2 シャーシ
2a 基本シャーシ(1オクターブ単位のシャーシ)
3 鍵
4 ハンマー
14 側壁
14a 左側端壁(側端壁)
14b 右側端壁(側端壁)
17 ガイド部

Claims (4)

  1. 左右方向に並んだ複数のシャーシと、
    当該シャーシに回動自在に支持された複数の鍵と、
    前記シャーシに回動自在に支持され、対応する前記鍵の押鍵に伴って回動する複数のハンマーと、
    前記シャーシに設けられ、前記複数の各々のハンマーに両側から近接して対向し、当該ハンマーの左右方向の動きを規制するための左右一対の側壁をそれぞれ有する複数のガイド部と、を備え、
    前記複数のガイド部のうち、前記複数のシャーシの境界部における前記ガイド部の前記一対の側壁は、隣り合う2つの前記シャーシの一方の側端壁および他方の側端壁によって構成されていることを特徴とする鍵盤楽器の鍵盤装置。
  2. 前記複数のシャーシは、互いに同一の1オクターブ単位の複数のシャーシを含むことを特徴とする、請求項1に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置。
  3. 前記ガイド部は、前記シャーシに一体に成形されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置。
  4. 前記シャーシは、合成樹脂の成形品で構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置。
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JP3615061B2 (ja) 電子楽器の鍵盤装置

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