JP3670485B2 - 鍵盤楽器の鍵盤装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ピアノなどに用いられる鍵盤楽器の鍵盤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の鍵盤楽器の鍵盤装置として、例えば特開昭63−128397号公報に記載されたものが知られている。この鍵盤装置では、1個の金属製のシャーシ(フレーム)上に多数の鍵が左右方向に並んで取り付けられている。このシャーシには、多数の溝や孔などが形成されており、各鍵は、これらの溝および孔に係合した状態で、シャーシに回動自在に取り付けられている。また、シャーシは、1枚の金属板(例えば、鋼板)にプレス金型を用いた打ち抜き加工を施すとともに、曲げ金型を用いた曲げ加工などを施すことによって、一体に製作されている。
【0003】
一方、金属製のシャーシに代えて合成樹脂製のシャーシを用いた鍵盤装置がある。このような合成樹脂製のシャーシは、金型を備えた射出成形機によって射出成形されている。また、鍵盤装置のシャーシは、鍵の並び方向の長さが長いため、この方向に沿って特にたわみやすい。このようなたわみを抑制するために、シャーシに補強部材を別個に取り付けたり、リブなどを一体成形したりすることによって、シャーシの剛性を向上させたものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の鍵盤装置によれば、1個のシャーシ上にすべての鍵が取り付けられているため、シャーシは、これらの鍵全体の幅(左右方向の長さ)以上の大きなサイズになっている。このため、シャーシの加工時に使用される、プレス金型、曲げ金型および射出成形用の金型や、プレス機および射出成形機を含めた製造設備が大型になり、製造コストの増大を招いている。これに加えて、シャーシの試作段階において、シャーシに形成される孔や鍵ガイドの位置などが金型の製造誤差などによってずれてしまうことがあり、これらの位置を揃えるための金型調整が必要になる場合がある。この場合、上記金型が大型であることにより、溝や孔の位置ずれを調整すべき範囲が広くなることによって、金型の調整作業に手間暇がかかり、結果として製造コストをさらに増大させるという問題がある。
【0005】
また、鍵盤装置には、通常の88鍵に限らず、様々な鍵数のものがある。しかしながら、例えば88鍵用のシャーシを加工するための金型を製作してしまうと、これを76鍵用のシャーシの加工に転用できない。このため、鍵数の異なる多数種のシャーシを製作する場合に、多数種の金型を別々に製作しなければならず、製造コストがより一層、増大してしまう。これに加えて、シャーシに補強部材を別個に取り付ける場合には、部品点数が増加することによって、製造コストがさらに増大し、また、リブなどを一体成形する場合には、金型の形状が複雑になることによって、製造コストがさらに増大してしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、シャーシの製造コストの大幅な削減によって、製造コストを大幅に削減することができるとともに、シャーシの剛性の補強によりたわみを抑制することができる鍵盤楽器の鍵盤装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の鍵盤楽器の鍵盤装置は、射出成形により形成された合成樹脂製の複数のシャーシと、左右方向に延び、複数のシャーシを左右方向に並んだ状態で互いに連結する連結部材と、複数のシャーシに回動自在に設けられ、左右方向に並べられた複数の鍵と、を備え、連結部材は、複数のシャーシのたわみを抑制するための少なくとも鉛直方向に延びる部分を有することを特徴とする。
【0008】
この鍵盤楽器の鍵盤装置によれば、1つの鍵盤装置用のシャーシが複数に分割構成されていて、それらを別々に射出成形により合成樹脂製のものとして製造できるので、1つの鍵盤装置に対して1個のシャーシを製造する従来の場合と比べて、シャーシ1個当りのサイズを小型化できる。これによって、シャーシ製造に用いる、金型やプレス機などを含めた製造設備を小型化できるとともに、試作段階の金型調整も容易になるので、シャーシの製造コストを大幅に削減でき、したがって、鍵盤装置の製造コストを大幅に削減することができる。
【0009】
また、複数のシャーシを連結部材によって互いに連結できるので、例えば、楽器本体に取り付ける前に、一体に組み立てたシャーシに鍵を取り付けることが可能になるなど、鍵盤装置の組立の自由度が高められる。そして、そのように、楽器本体への取付前に、楽器本体外で鍵盤装置を組み立てることによって、その組立作業およびそれらに取り付けられた鍵相互間の位置合わせ作業などを容易に行うことができ、楽器本体にシャーシや鍵などを順次、組み込んだ場合に生じやすい鍵の表面の損傷などを回避することができる。さらに、複数のシャーシを連結する連結部材が、少なくとも鉛直方向に延びる部分を有することによって複数のシャーシの剛性が補強されるので、複数のシャーシの左右方向に沿うたわみを抑制することができる。このように、連結部材を、シャーシの補強部材として兼用できるので、シャーシの剛性を補強するために、別個に補強部材を取り付けたり、リブを一体に形成したりする必要がなくなる。その結果、部品点数の減少や金型の形状の単純化を図ることができ、製造コストを削減することができる。
【0010】
上記において、複数の鍵の押鍵情報を検出するために、複数のシャーシに取り付けられたプリント回路基板をさらに備え、プリント回路基板は、連結部材とともに複数のシャーシに取り付けられていることが好ましい。
【0011】
この鍵盤楽器の鍵盤装置によれば、プリント回路基板は、連結部材とともに複数のシャーシに取り付けられているので、押鍵動作などに伴いプリント回路基板に作用する荷重に対して、連結部材とプリント回路基板が協働して変形する。言い換えれば、プリント回路基板の剛性が連結部材によって補強される。これによって、左右方向に沿うたわみや変形によるプリント回路基板の断線や短絡などを原因とするトラブル、例えば、誤作動などを防止でき、耐久性を向上させることができる。
【0012】
また、上記において、複数のシャーシに設けられた回動支点に回動自在に支持され、複数の鍵に連動して回動する複数のハンマーをさらに備え、連結部材は、複数のハンマーの回動支点の付近に配置されていることが好ましい。
【0013】
この鍵盤楽器の鍵盤装置によれば、押鍵動作などに伴い複数のハンマーの回動支点の付近に作用する荷重に対して、連結部材と複数のシャーシの回動支点の付近とが協働して変形する。言い換えれば、複数のシャーシの回動支点の付近の剛性が連結部材によって補強されるので、回動支点の付近の左右方向に沿うたわみや変形を抑制できる。これによって、押鍵動作のときに、鍵毎のハンマーの回動ストロークのばらつきや、ハンマーのがたつきなどの発生を防止することができ、押鍵動作を安定した状態でかつスムーズに行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る鍵盤楽器の鍵盤装置について説明する。図1〜図3は、本発明を適用した電子ピアノの鍵盤装置を示している。同図に示すように、鍵盤装置1では、多数の鍵3が複数のシャーシ2の上面に回動自在に取り付けられており、これら複数のシャーシ2は、前・中央・後3つの連結部材4,41,4によって互いに連結された状態で棚板5に取り付けられている。また、シャーシ2の上面には、多数の鍵3にそれぞれ対応して多数のハンマー8が回動自在に設けられており、各ハンマー8は、対応する鍵3と連動して回動する。
【0015】
複数のシャーシ2は、棚板5上に左右方向に並べられており、中央の7個(図1および図2には2個のみ示す)のシャーシ2と、図示しない最低音部用および最高音部用のシャーシ2の、計9個のシャーシ2で構成されている。このうち、7個のシャーシ2は、互いに同じ寸法および形状を備えた1種類のシャーシ2で構成されており、各シャーシ2には、1オクターブ分の鍵3、すなわち7個の白鍵30および5個の黒鍵31で構成された12個の鍵3が取り付けられている。また、最低音部用および最高音部用のシャーシ2には、最低音部の3個の鍵3および最高音の1個の鍵3がそれぞれ取り付けられている。このように、鍵盤装置1は、全部で88個の鍵3を備えている(図1には24個のみ示す)。
【0016】
中央の7個のシャーシ2はそれぞれ、同じ金型で製作された、例えばABS樹脂製の射出成形品で構成され、矩形の平面形状を有している。図3に示すように、シャーシ2の下面には、棚板5へ取り付けるための6つのボス2aが下方に同じ長さで突出するように形成されており(2つのみ図示)、各ボス2aには、補強用の3つのリブ2bが一体に形成されている(2つのみ図示)。これら6つのボス2aは、シャーシ2の前後端部に設けられた前後2つのボス2a,2aを1列として、3列のボス2aがシャーシ2の左右端部および中央部にそれぞれ配置されている。
【0017】
また、シャーシ2の下面には、前側のボス2aのすぐ前方に、前連結部材4を取り付けるための左・中央・右3つの前連結ボス2c,2c,2c(1個のみ図示)が下方に突出して形成されており、これらの前連結ボス2c,2c,2cは、シャーシ2の左右端部および中央部にそれぞれ設けられている。これと同様に、後側のボス2aのすぐ後方に、後連結部材4を取り付けるための左・中央・右3つの後連結ボス2c,2c,2c(1個のみ図示)が下方に突出して形成されており、これらの後連結ボス2c,2c,2cは、シャーシ2の左右端部および中央部にそれぞれ設けられている。
【0018】
一方、最低音部用および最高音部用のシャーシ2はそれぞれ、シャーシ2用の射出成形機の金型に入子型を用いることによって、V字形の溝付きのシャーシ2を射出成形し、この溝付きシャーシ2を溝に沿って切断することにより、製作されている。
【0019】
以上9個のシャーシ2は、前後の連結部材4,4および中央の連結部材41によって互いに連結されている。前連結部材4は、シャーシ2の左右方向の全体に渡る長さを備えた細長いアングル状のものであり、例えば、アルミ合金の押出成形品で構成されている。前連結部材4は、図3に示すように、水平な取付部4aと、その後端から上方に延びる鉛直部4bとにより、断面L字状に形成されている。このように上方に延びる鉛直部4bを備えていることによって、前連結部材4は、高い剛性を有し、上方からの荷重に対して左右方向に沿ってたわみにくくなっている。なお、以下、「左右方向に沿うたわみ」を単に「たわみ」という。取付部4aは、各シャーシ2の3つの前連結ボス2c,2c,2cに、下方からねじ6,6,6で固定されている。前連結部材4は、以上のように構成されており、後連結部材4も、その前後を逆に後連結ボス2c,2c,2cにねじ止めされている点を除いて、前連結部材4と同様に構成されている。
【0020】
一方、中央の連結部材41は、図3に示すように、水平な上取付部41aと、その後端から下方に延びる鉛直部41bと、この鉛直部41bの下端から後方に延びる下取付部41cとを備えている。このように上方に延びる鉛直部41bを備えていることによって、中央の連結部材41も、前後の連結部材4と同様に、高い剛性を有し、上方からの荷重に対してたわみにくくなっている。上取付部41aは、後述する鍵スイッチ7とともに、各シャーシ2の下面に下方からねじ6,6,6で固定され、また、下取付部41cは、棚板5にねじ止めされている。
【0021】
また、白鍵30および黒鍵31はそれぞれ、例えばABS樹脂製の射出成形品で構成されており、以下、白鍵30を例にとり、その構成を説明する。白鍵30は、下面が開放した断面逆U字状のものであり、その後端部がシャーシ2の上面に設けられた回動支点10に回動自在に支持されている。白鍵30の前部には、フック状のストッパ部30cが形成されており、ストッパ部30cは、シャーシ2の孔2dを通って下方に突出している。一方、シャーシ2の下面には、ゴム製の上限ストッパ2fが取り付けられている。以上の構成により、白鍵30は、ストッパ部30cが上限ストッパ2fに当接することによって、上方への回動を規制され、常時は、斜め後ろ下がりの離鍵位置(図3に示す位置)に位置している。
【0022】
さらに、シャーシ2の上面の前部には、白鍵30の回動を案内する鍵ガイド2gが立設されている。この鍵ガイド2gによって、白鍵30は、その回動時に、左右方向にぶれないように案内される。白鍵30は、以上のように構成されており、説明は省略するが、黒鍵31も白鍵30とほぼ同様に構成されている。
【0023】
シャーシ2の中央部には、鍵3の押鍵状態を検出するための鍵スイッチ7が設けられている。この鍵スイッチ7は、左右方向に延びるプリント回路基板(以下、「基板」という)7aと、その上面に設けられたスイッチ本体7bとを備えている。基板7aは、上述したように、中央の連結部材41の上取付部41aとともにシャーシ2にねじ止めされている。また、スイッチ本体7bは、シャーシ2に形成した孔2hを介して上方に突出しているとともに、基板7aを介して電子ピアノの発音を制御する制御装置(図示せず)に接続されている。
【0024】
一方、鍵3の下方には、ハンマー8が設けられており、ハンマー8は、その中央部よりも前側の部分で、シャーシ2の回動支点9に回動自在に支持されている。また、ハンマー8は、その前端部の鍵当接部8aが鍵3の頂壁の裏面に当接しているとともに、回動支点9よりも後ろ側の部分がシャーシ2の開口2iを通って、シャーシ2の下側に延びている。
【0025】
さらに、ハンマー8の鍵当接部8aの下側には、アクチュエータ部8bが形成されており、このアクチュエータ部8bは、鍵スイッチ7のスイッチ本体7bの上面に常時、当接している。また、ハンマー8の下限位置を規制するための下限ストッパ5aが棚板5の上面に、上限位置を規制するための上限ストッパ2jがシャーシ2の下面にそれぞれ設けられている。以上の構成により、鍵3が押鍵されると、ハンマー8は、その鍵当接部8aが鍵3で押されることによって、同図の反時計回りに回動する。このときに、アクチュエータ部8bが鍵スイッチ7のスイッチ本体7bを押下することによって、鍵3の押鍵情報が検出される。
【0026】
以上の構成の鍵盤装置1は、例えば、シャーシ2を基板7aとともに前・中央・後の連結部材4,41,4で連結し、その次に、ハンマー8や鍵3などを組み付け、さらに鍵3相互間などの位置関係の調整を終えた後、棚板5に取り付けられる。この取付けは、各シャーシ2に形成した前記6つのボス2aおよび連結部材41の下取付部41cを、これらに対応して棚板5に形成された図示しない孔を介して、ねじ止めすることによって行われる(図示せず)。なお、この棚板5は、アルミ合金の押出成形品などで構成されている。
【0027】
以上のように構成された本実施形態の鍵盤装置1によれば、鍵3を取り付けるためのシャーシ2が、1オクターブ分用の7個のシャーシ2と、最低音部用および最高音部用の2個のシャーシ2とに分割構成されているので、シャーシの製造に用いる、射出成形用の金型や射出成形機を含めた製造設備を小型化できる。また、金型の小型化によって試作段階の金型調整も容易になる。これに加えて、鍵盤楽器における鍵3の配置は、通常、1オクターブ毎に同一に繰り返されるので、シャーシ2に1オクターブ分の鍵3を取り付ける構成としたことによって、7個のシャーシ2の寸法や形状などを同一にでき、シャーシ2を製造するための金型を共通化できる。さらに、シャーシ2を製造するための金型に入子型を用いることによって、最高音部および最低音部用のシャーシ2をそれぞれ製作でき、1つの金型で鍵盤装置1のすべてのシャーシ2を製作できる。したがって、シャーシ2の製造コストを大幅に削減でき、鍵盤装置1の製造コストを大幅に削減することができる。
【0028】
また、鍵数の異なる鍵盤装置間で、鍵3の寸法や形状などを同一にして、シャーシ2を標準化すれば、シャーシ2を鍵盤装置1だけでなく鍵数の異なる他の鍵盤装置にも適用することができ、鍵盤装置の製造コストをより大幅に削減することができる。
【0029】
さらに、9個のシャーシ2が前・中央・後3つの連結部材4,41,4によって一体に連結されるので、例えば、楽器本体に取り付ける前に、一体に組み立てたシャーシ2に鍵3を取り付けることが可能になるなど、鍵盤装置1の組立の自由度が高められる。そして、そのように、楽器本体への取付前に、例えば楽器本体外で鍵盤装置1を組み立てることによって、その組立作業およびシャーシ2に取り付けられた鍵3相互間の位置合わせ作業などを容易に行うことができ、楽器本体にシャーシ2や鍵3などを順次、組み込んだ場合に生じやすい鍵3の表面の損傷などを回避できる。
【0030】
これに加えて、9個のシャーシ2を連結する前後の連結部材4,4が上下方向に延びる鉛直部4b,4bを備えていることによって、シャーシ2の前後端部の剛性を高めることができるので、シャーシ2のたわみを抑制することができる。また、中央の連結部材41は、その上取付部41aおよび下取付部41cがそれぞれ、シャーシ2および棚板5に固定され、かつ鉛直部41bが上下方向に延びる剛性の高い断面形状を有しているので、上方からシャーシ2に作用する荷重を中央の連結部材41を介して棚板5で支持することができる。これによって、シャーシ2の中央部がほとんどたわまないようにすることができる。このように、連結部材4,41,4に補強部材の役目を兼用させることができるので、シャーシ2の剛性を向上させるために、別個に補強部材を取り付けたり、リブなどを一体成形したりする必要がなくなる。その結果、部品点数の増加や金型の形状の複雑化を招くことがなくなるので、製造コストを削減することができる。
【0031】
また、連結部材41が基板7aとともにシャーシ2に固定されているので、押鍵動作などにより基板7aに作用する荷重を連結部材41を介して棚板5で支えることができる。これにより、基板7aがほとんどたわまないようにすることができることによって、たわみによる基板7aの断線や短絡などを原因とする誤作動などのトラブルを防止でき、耐久性を向上させることができる。さらに、連結部材41が、ハンマー8の回動支点9の付近に配置されているので、押鍵動作などによってシャーシ2の回動支点9およびその付近に上方から作用する荷重を連結部材41を介して棚板5で支えることができる。したがって、シャーシ2の回動支点9およびその付近のたわみや変形を防止できることによって、押鍵動作のときに、鍵3毎のハンマー8の回動ストロークのばらつきや、ハンマー8のがたつきなどの発生を防止することができ、押鍵動作を安定した状態でかつスムーズに行うことができる。
【0032】
なお、上記実施形態においては、本発明の鍵盤装置1を電子ピアノに適用したものについて説明したが、本発明の鍵盤装置1はこれに限らず、他の電子楽器(例えばシンセサイザなど)や、アコースティックタイプの鍵盤楽器に適用してもよい。これに加えて、本発明の鍵盤装置1をハンマーを備えた電子ピアノに適用したものについて説明したが、本発明の鍵盤装置1はこれに限らず、ハンマーを備えていないものに適用してもよい。また、シャーシ2をABS樹脂製としたが、シャーシ2の材質はこれに限らず、他の合成樹脂(例えばポリスチレンやポリアセタールなど)およびセラミックなどでもよい。また、鋼板にプレス金型を用いた打ち抜き加工を施したり、曲げ金型を用いた曲げ加工などを施したりすることによって、シャーシ2を製造してもよい。このようにすれば、シャーシ2の製造に用いる、金型やプレス機などを含めた製造設備を小型化でき、前述したように、鍵盤装置の製造コストを大幅に削減できる。
【0033】
さらに、上記実施形態においては、9個のシャーシ2を3つの連結部材4,41,4によって連結したが、これに限らず、1つまたは2つの連結部材や、4つ以上の連結部材で連結するようにしてもよい。また、連結部材として、L字断面形状や、L字の上端から水平部分が前方に延びる断面形状のものを用いた例について説明したが、これに限らず、H型鋼など各種型鋼と同様の断面形状のものを用いてもよく、上下方向に延びる部分を有する、たわみにくい形状のものであればよい。さらに、鍵3をABS樹脂製としたが、鍵3の材質はこれに限らず、鋼などの金属、他の合成樹脂(例えばポリスチレンやポリアセタールなど)および木質材などでもよい。また、連結部材4をアルミ合金で構成したが、これに限らず、鋼などの他の金属で構成してもよい。さらに、最低音部用および最高音部用のシャーシ2を製作するために、シャーシ2用の射出成形機の金型に入子型を用いることによって、V字形の溝付きのシャーシを射出成形するようにしたが、シャーシ2用の射出成形機の金型の形状を変更することによって、シャーシ2自体をV字形の溝付きのシャーシとして射出成形し、鍵盤装置1に用いるようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明の鍵盤楽器の鍵盤装置によれば、シャーシの製造コストの大幅な削減によって、製造コストを大幅に削減することができるとともに、シャーシ剛性の補強により左右方向のたわみを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子ピアノの鍵盤装置の一部を示す平面図である。
【図2】図1の鍵盤装置の一部を省略した底面図である。
【図3】図1の鍵盤装置の側断面図である。
【符号の説明】
1 鍵盤装置
2 シャーシ
3 鍵
4 連結部材
4b 鉛直部(上下方向に延びる部分)
7a プリント回路基板
8 ハンマー
9 回動支点
41 連結部材
41b 鉛直部(上下方向に延びる部分)

Claims (3)

  1. 射出成形により形成された合成樹脂製の複数のシャーシと、
    左右方向に延び、前記複数のシャーシを左右方向に並んだ状態で互いに連結する連結部材と、
    前記複数のシャーシに回動自在に設けられ、左右方向に並べられた複数の鍵と、を備え、
    前記連結部材は、前記複数のシャーシのたわみを抑制するための少なくとも鉛直方向に延びる部分を有することを特徴とする鍵盤楽器の鍵盤装置。
  2. 前記複数の鍵の押鍵情報を検出するために、前記複数のシャーシに取り付けられたプリント回路基板をさらに備え、
    当該プリント回路基板は、前記連結部材とともに前記複数のシャーシに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置。
  3. 前記複数のシャーシに設けられた回動支点に回動自在に支持され、前記複数の鍵に連動して回動する複数のハンマーをさらに備え、
    前記連結部材は、前記複数のハンマーの回動支点の付近に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鍵盤楽器の鍵盤装置。
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