JP2000180540A - 車載用レーダ装置 - Google Patents

車載用レーダ装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポイントデータのグルーピングを正確に行うこ
とができる車載用レーダ装置を提供すること。 【解決手段】車両に搭載され、レーダビームを走査する
ことにより走査範囲に存在する1または2以上のターゲ
ットを検出する車載用レーダ装置において、レーダビー
ム走査によって予備的にターゲットデータを得る手段
と、予備的ターゲットデータを所定の条件に従ってグル
ーピングしてグループデータを得るグルーピング手段
と、グループデータおよびグルーピングされなかった残
りの予備的ターゲットデータをそれぞれ各ターゲットに
対応する検出データとし、この各検出データからそれぞ
れ対応する各ターゲットの認識を行うターゲット認識手
段とを備え、グルーピング手段は、所定の条件を複数用
意しており、グルーピングしようとする予備的ターゲッ
トデータの位置情報に応じて一の条件を選択し、選択さ
れた条件に基づいてグルーピングを実行する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両に搭載され、レ
ーダビームを走査することにより走査範囲にある対象物
(ターゲット)を検出する車載用レーダ装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】この種の車載用レーダ装置に関する技術
として、特開平9−145883号公報に掲載されたも
のがある。この従来技術においては、距離の近接するデ
ータ同士を単一の対象物に属するものであると判断して
グルーピングしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、単純に距離の
略等しいデータ同士をグルーピングした場合、実際の走
行状態に対する相対位置関係を反映した結果とならず、
正確に周辺物体を識別できない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の車載用レーダ装
置はこのような課題を解決するためになされたものであ
り、車両に搭載され、レーダビームを走査することによ
り走査範囲に存在する1または2以上のターゲットを検
出する車載用レーダ装置において、レーダビーム走査に
よって予備的にターゲットデータを得る手段と、予備的
ターゲットデータを所定の条件に従ってグルーピングし
てグループデータを得るグルーピング手段と、グループ
データおよびグルーピングされなかった残りの予備的タ
ーゲットデータをそれぞれ各ターゲットに対応する検出
データとし、この各検出データからそれぞれ対応する各
ターゲットの認識を行うターゲット認識手段とを備え、
グルーピング手段は、所定の条件を複数用意しており、
グルーピングしようとする予備的ターゲットデータの位
置情報に応じて一の条件を選択し、選択された条件に基
づいてグルーピングを実行するものである。
【0005】車載用レーダ装置の主たるターゲットとし
て走行中の先行車両が挙げられ、一の先行車両に対応し
て得られるターゲットデータが複数となることがある。
このように、ターゲットに対して1対1に対応しないこ
とがあるという意味で、ここでのターゲットデータを予
備的ターゲットデータと呼ぶことにする。
【0006】このような複数の予備的ターゲットデータ
を一つにまとめることをグルーピングというが、一の先
行車両に対する複数の予備的ターゲットデータは、その
先行車両の位置に応じて分布の仕方が異なる。
【0007】本発明の車載用レーダ装置によれば、予備
的ターゲットデータのグルーピング条件を予備的ターゲ
ットデータの位置情報に応じて最適なものを選択できる
ので、グルーピングした結果であるグループデータと実
際のターゲットとの対応が正確になる。
【0008】正面方向あるいは自車線範囲にある先行車
両について予備的ターゲットデータが複数得られた場
合、各データはいずれも車両後端を捕らえたものである
確率が非常に高いので、距離および相対速度がそれぞれ
ほぼ等しいことを必要条件とすれば、同一ターゲットに
基づく予備的ターゲットデータをグルーピングできる。
【0009】一方、斜め前方あるいは自車線範囲外にあ
る先行車両について予備的ターゲットデータが複数得ら
れた場合、車両後端を捕らえたデータと、車両側面を捕
らえたデータとが混在している。斜め前方にある車両の
後端と側面とでは距離が異なる一方、方位角度はわずか
にずれているだけなので、方位角度と相対速度がそれぞ
れほぼ等しいことを必要条件とすれば、同一ターゲット
に基づく予備的ターゲットデータをグルーピングでき
る。なお、自車線範囲は固定範囲と仮定してもよいし、
自車線範囲取得手段により取得してもよい。
【0010】また、グループデータに基づくターゲット
幅が所定値以上であり、少なくとも一部が自車線取得手
段により得られた自車線の幅を逸脱するときには、自車
線の内外で当該グループデータを分割して新たな2つの
グループデータを生成することが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態である
車載用レーダ装置の構成を示す図である。この車載用レ
ーダ装置は、連続波(CW)に周波数変調(FM)を掛
けた送信信号を用いるFM−CWレーダ装置であると共
に、レーダビームをデジタル信号処理により形成し走査
するDBF(ディジタル・ビーム・フォーミング)レー
ダ装置でもある。
【0012】受信用アレーアンテナ1は各受信チャネル
に対応する8個の素子アンテナを備えている。各素子ア
ンテナはアイソレータ群12を構成する個々のアイソレ
ータを介してそれぞれに対応するミキサ11−0〜11
−7に接続されている。
【0013】ミキサ11−0〜11−7は、各素子アン
テナに到達した受信信号に送信信号の一部をミキシング
して、ビート信号を得るものである。ミキサ11−0〜
11−7にローカル信号として与えられる送信信号成分
は、電圧制御型発振器(VCO)14から分岐回路15
およびアイソレータ群13を介して与えられる。
【0014】発振器14は、中心周波数がf0(たとえ
ば60GHz)のバラクタ制御型ガン発振器であり、変
調用の直流電源22から出力される制御電圧によって、
f0±(1/2)ΔFまでの被変調波を出力する。ここ
でのFM変調は、周波数増加区間(アップ区間)と周波
数減少区間(ダウン区間)とが交互に連続する三角波変
調であり、アップ区間では周波数がf0−(1/2)Δ
Fからf0+(1/2)ΔFまでリニアに増加し、ダウ
ン区間ではアップ区間と同じ時間内に周波数がf0+
(1/2)ΔFからf0−(1/2)ΔFまでリニアに
減少する。
【0015】このFM被変調波は、分岐回路15を介し
て送信アンテナ21に与えられ送信信号として放射され
ると共に、上述したように、ローカル信号として8チャ
ネルに分岐され、各ミキサ11−0〜11−7において
8チャネルの受信信号とそれぞれミキシングされてチャ
ネル別ビート信号を生成する。なお、直流電源22は変
調用信号源23の制御により周期的に三角波状に出力電
圧値を変化させる。
【0016】ミキサ群11、アイソレータ群12、1
3、発振器14、分岐回路15で構成される高周波回路
10の後段には、低雑音増幅器24、高速A/D変換器
25、信号処理部26、複素FFT演算部27が設けら
れている。
【0017】低雑音増幅器(アンプ)24は、ミキサ1
1−0〜11−7から出力された8チャネルのビート信
号をパラレルに増幅するものである。また、アンプ24
は、アンチエリアシングのためにカットオフ周波数77
kHzのローパスフィルタを内蔵している。
【0018】高速A/D変換器25は、8チャネルの各
ビート信号をパラレルに且つ同時にA/D変換する回路
であり、200kHzでサンプリングを行う。このサン
プリング周波数で、FM変調における三角波のアップ区
間とダウン区間において、それぞれ128ポイントのサ
ンプリングを行う。
【0019】信号処理部26は、高速A/D変換器25
からチャネル別ディジタルビート信号を取得し、図2に
示すフローチャートにしたがって種々の信号処理を施し
てターゲット(目標物)の認識処理を行う。
【0020】複素FFT演算部27は、信号処理部26
における一連の処理の中の複素FFT演算を代行して実
行する演算部であり、信号処理部26からチャネル別デ
ィジタルビート信号を受け取り、これに対して複素FF
T演算を実施してその結果を信号処理部26に戻す。
【0021】つぎに、本装置の動作手順を図2に示すフ
ローチャートとともに説明する。
【0022】まず、ステップS10で、チャネル別ディ
ジタルビート信号を取り込む。このチャネル別ディジタ
ルビート信号は、チャネル別にアップ区間とダウン区間
においてそれぞれ128ポイントのサンプリングが行わ
れることにより得られるので、トータルで128(ポイ
ント)×2(区間)×8(チャネル)=2048ポイン
ト分のデータを取り込むことになる。そして、これらの
データに基づいて、チャネル別にFFT(高速フーリエ
変換処理)を実行し、ビート周波数情報を得る。ここで
得られたビート周波数情報はすべて信号処理部26内の
記憶部に格納される。なお、このチャネル別ビート周波
数情報は、後のDBF処理の際に必要な位相情報を含
む。
【0023】ステップS11では、これから実行する各
種の処理がアップ区間データに対するものかダウン区間
データに対するものかを判断する。この判断で肯定され
た場合、すなわち以後の処理がアップ区間データに対す
るものである場合にはステップS12に移行し、ステッ
プS10で記憶されたアップ区間のデジタルビート周波
数情報を読み込み、後のDBF処理に備える。ステップ
S11で否定された場合は、ステップS13に進み、ス
テップS10で記憶されたダウン区間のデジタルビート
周波数情報を読み込み、後のDBF処理に備える。
【0024】ステップS14では、ビート周波数情報に
対してチャネル別にデジタル信号処理による位相回転を
施し、−10度から+10度までを41方向に0.5度
刻みで分割した一つの走査角方向にビームを形成する。
ステップS15では、ステップS14で形成したビーム
の方位(走査角θ)についてビート周波数を変数とする
レベルピークを抽出する。
【0025】ステップS16では、ステップS14のD
BF処理およびステップS15のレベルピーク抽出処理
を全方位に対して、すなわち、−10度から+10度ま
での41方位に対して終了したか否かを判断し、全方位
に対してレベルピーク抽出が完了したときに、ステップ
S17に移行する。ステップS17では、上述したレベ
ルピーク抽出がアップ区間とダウン区間の両区間につい
て終了したか否かを判断し、終了したと判断したときに
ステップS18に移行する。
【0026】ステップS18では、アップ区間のレベル
ピークとダウン区間のレベルピークとを走査角θが同一
のもの同士でペアリングし、ペアリングされたレベルピ
ークのビート周波数から距離および相対速度を演算す
る。
【0027】図3および図4はそれぞれアップ区間およ
びダウン区間のレベルピークの一例をグラフ表示したも
のである。図3に示すように、アップ区間においては、
走査角θ1の方向にビート周波数f1のレベルピークP
1が得られ、走査角θ2の方向にビート周波数f2のレ
ベルピークP2が得られている。また、図4に示すよう
に、ダウン区間においては、走査角θ1の方向にビート
周波数f3のレベルピークP3が得られ、走査角θ2の
方向にビート周波数f4のレベルピークP4が得られて
いる。この例によれば、P1とP3をペアリングし、P
2とP4をペアリングすることになる。
【0028】ペアリングされた2つのレベルピークは、
以下に説明するFM−CWレーダ装置の基本原理に従っ
てそのビート周波数から距離および相対速度が求められ
る。
【0029】送信信号の中心周波数をf0、周波数変調
幅をΔF、FM変調周波数をfmとし、さらに、ターゲ
ットの相対速度が零のときのビート周波数(狭義のビー
ト周波数)をfr、相対速度に基づくドップラ周波数を
fd、アップ区間のビート周波数をfb1、ダウン区間
のビート周波数をfb2とすると、 fb1=fr−fd …(1) fb2=fr+fd …(2) が成り立つ。
【0030】したがって、変調サイクルのアップ区間と
ダウン区間のビート周波数fb1およびfb2を別々に
測定すれば、次式(3)、(4)からfrおよびfdを
求めることができる。
【0031】 fr=(fb1+fb2)/2 …(3) fd=(fb2−fb1)/2 …(4) frおよびfdが求まれば、ターゲットの距離Rと相対
速度Vを次の(5)(6)式により求めることができ
る。
【0032】 R=(C/(4・ΔF・fm))・fr …(5) V=(C/(2・f0))・fd …(6) ここに、Cは光の速度である。
【0033】P1とP3のペアについては、ビート周波
数f1およびf3を(3)式および(4)式のfb1お
よびfb2にそれぞれ代入することにより、距離と相対
速度を求めることができる。このときの走査角、距離、
相対速度をこのペアにおけるポイントデータを呼ぶこと
にする。同様に、P2とP4のペアについてはビート周
波数f2およびf4を(3)式および(4)式のfb1
およびfb2にそれぞれ代入することにより、距離と相
対速度を求めることができ、このペアについてのポイン
トデータが得られる。
【0034】このようにして、ステップS18では、ア
ップ区間とダウン区間のレベルピークを可能な限りペア
リングして、各ペアに対応するポイントデータを得る。
【0035】つぎに、ステップS19に移行し、得られ
たポイントデータに対して第1のグルーピングを行う。
一つのターゲットに対応するポイントデータは必ずしも
一つではなく、走査分解能が高いほど一つのターゲット
に対するポイントデータの数が増加する。そこで、位置
が連続しており、相対速度がほぼ等しいポイントデータ
同士をグルーピングして、各ポイントデータの位置およ
び相対速度の平均値を求める。この平均値は、ターゲッ
トの位置および相対速度を一応示しているといえるの
で、ターゲットデータということができる。また、グル
ーピングされた複数のポイントデータとターゲットデー
タとを併せてグループデータと呼ぶことにする。
【0036】ただし、後に条件を変えて第2のグルーピ
ングを行うので、上述した第1のグルーピングを予備的
グルーピング、その結果であるターゲットデータおよび
これを含むグループデータをそれぞれ予備的ターゲット
データおよび予備的グループデータと呼ぶことにする。
また、ここで言う位置というのは平面上の位置のことで
あり、距離と走査角とにより特定される。
【0037】ここで、ターゲットとポイントデータの関
係および予備的グルーピングの意義を具体例で説明す
る。図5はターゲットの一つである先行車両とビーム走
査により得られたポイントデータとの位置関係を示す図
である。同図において、本実施形態の車載用レーダ装置
は車両51に搭載されており、車両51の前方には車両
52、53が存在している。ポイントデータPD1〜P
D4は車両53での送信信号の反射に基づいて得られた
ものであり、ポイントデータPD5〜PD8は車両52
での送信信号の反射に基づいて得られたものである。
【0038】ポイントデータPD1〜PD4は位置が連
続しているので、ステップS19の処理によって一つに
グルーピングされ、ポイントデータPD1〜PD4の位
置および相対速度についての平均値が求められ、予備的
グループデータPGD1を得る。この予備的グルーピン
グでは、車両53に基づくポイントデータPD1〜PD
4がすべて一つにグルーピングされたので、予備的グル
ープデータPGD1に含まれる予備的ターゲットデータ
は車両53の代表的な位置および相対速度を正確に示す
ものとなる。
【0039】一方、車両52に基づくポイントデータP
D5〜PD8については、ポイントデータPD5および
PD6の位置が連続しているのでグルーピングされて予
備的グループデータPGD2が求められ、ポイントデー
タPD7およびPD8の位置が連続しているのでグルー
ピングされて予備的グループデータPGD3が求められ
る。このように、車両52に対しては、2つの予備的グ
ループデータが対応しており、もしこの時点で、予備的
グループデータとターゲットとのが1対1に対応してい
るものとみなすと、車両52の位置にあたかも2つの物
体が存在しているかのような誤った検出が行われてしま
う。しかし、この車載用レーダ装置では、ここでは未だ
ターゲットの認識を行わない。
【0040】同様に、その他のポイントデータPD9〜
PD13に対しても予備的グルーピング処理を実行し、
予備的グループデータPGD4、PGD5を得る。
【0041】続いて、ステップS20に移行し、第2の
グルーピング処理を行う。第2のグルーピング処理は、
予備的グループデータを更にグルーピングするものであ
り、その位置に応じて、異なるグルーピング条件を適用
することに特徴がある。なお、ここでは、第1のグルー
ピング処理においてグルーピングされなかったポイント
データも予備的グループデータの一つとして扱う。
【0042】図6は第2のグルーピング処理ルーチンを
示すフローチャートである。まず、ステップS31で予
備的グループデータの一つを選択し、ステップS32で
その予備的グループデータの位置が正面方向か否かを判
断する。正面方向であればステップS33に移行して、
距離と相対速度がいずれもほぼ等しい他の予備的グルー
プデータがあるか否かを判断する。これを肯定するとき
には、ステップS35に移行し、その条件を満たす予備
的グループデータをすべてグルーピングする第2のグル
ーピング処理を行う。正面方向という限られた領域内で
は、距離と相対速度が等しい場合は、一の車両に基づく
データである可能性が非常に高いからである。図5を参
照すると、予備的グループデータPGD4とPGD5と
をグルーピングして新たなグループ56を得る。なお、
ここでは、位置および相対速度についての代表値をまだ
特定しない。
【0043】ステップS32において、対象となってい
る予備的グループデータの位置が正面方向でない場合に
は、ステップS34に進む。ステップS34では、相対
速度がほぼ等しく、方位角度(走査角)が所定範囲内に
あり、距離の近い方が外側にあるという条件を満たす他
の予備的グループデータがあるか否かを判断する。肯定
する場合は、ステップS35に移行して、この条件を満
たす予備的グループデータをグルーピングして新たなグ
ループデータを得る。
【0044】所定範囲の前方を走査範囲とする本実施形
態のレーダ装置では、正面方向以外は、斜め前方という
ことになる。このような位置にあるターゲット(車両)
の場合、車両後端での反射と車両側面での反射があるた
め、同一車両からの反射であっても距離が等しくならな
い。そこで、ステップS34にあるような条件、すなわ
ち、相対速度がほぼ等しく、方位角度(走査角)が所定
範囲内にあり、距離の近い方が外側にあるという条件で
予備的グループデータのグルーピングを行えば、実状に
あったグルーピングができる。図5を参照すると、予備
的グループデータPGD2とPGD3とをグルーピング
して新たなグループ55を作ることができる。グループ
55は車両52と正確に対応している。
【0045】ステップS35のグルーピングが終了する
か、あるいはステップS33およびステップS34にお
いてそれぞれ否定された場合には、ステップS36に移
行して、ここでのグルーピング処理がすべて予備的グル
ープデータに対して適用されたか否かを判断し、否定の
場合にはステップS31に戻ることにより、すべての予
備的グループデータに対して第2のグルーピング処理を
行う。
【0046】このようにして第2のグルーピング処理が
終わると、ステップS21に移行してステップS20で
得られた今回のグループデータを前回のグループデータ
と比較する。グループデータを構成する予備的ターゲッ
トデータとほぼ同じ内容の予備的ターゲットデータが前
回のグループデータ中に存在しなかった場合は、それを
除いた予備的ターゲットデータを用いて位置と相対速度
の平均値を求め、それを今回のグループデータの代表値
とする。このような前回データとの比較を行うことによ
り、時間経過に対して安定した検知を行うことができ
る。
【0047】つづいて、ステップS22に移行する。ス
テップS22では、ステップS21で得られたグループ
データのグループ幅等に基づいてターゲットとするか否
かの選択を行う。図7は、このステップS22の詳しい
処理ルーチンを示すフローチャートであり、図8は、こ
の処理対象となる種々のグループデータの例を示す図で
ある。
【0048】まず、ステップS41において、グループ
データのグループ幅を計算により求める。ここでのグル
ープ幅というのは走行方向に垂直な方向、すなわち車線
幅方向の長さのことであり、グループ内の左端のポイン
トデータから右端のポイントデータまでの車線幅方向の
間隔である。図8には、4つのグループデータ81〜8
4が描かれており、それぞれのグループ幅が符号W1〜
W4により表示されている。グループ幅は、左端のポイ
ントデータおよび右端のポイントデータのそれぞれの位
置から幾何学的に算出することができる。
【0049】つぎに、ステップS42に移行し、各グル
ープについてそのグループ幅全体が自車線内に収まって
いるか否かを判断する。図8では、グループデータ81
および83が自車線幅W5内に入っており、グループデ
ータ82および84についてはその一部が自車線幅W5
からはずれている。
【0050】グループ幅全体が自車線幅内に入っている
場合にはステップS47に移行して、そのグループデー
タが検出対象ターゲットを示すものとして認定する。こ
れにより、全体が自車線内に存在する物体については、
その物体の幅の大小にかかわらず検出対象となる。
【0051】一方、グループ幅の一部または全部が自車
線幅W5の外に逸脱している場合にはステップS42か
らステップS43に移行し、そのグループ幅が予め定め
た一般的な車両の車幅以上か否かを判断する。もし、そ
のグループ幅が1車両分の車幅より小さければ、ステッ
プS45に移行して検出対象外ターゲットする。これに
より、少なくとも一部が自車線外に出ているターゲット
については、1車両分の車幅より小さいものを検出対象
外とする。たとえば、図8においてグループデータ82
はそのグループ幅W2が1車幅より小さいので、ステッ
プS45で検出対象外とされる。
【0052】ステップS43において、1車両分の車幅
以上であると判断された場合は、ステップS44に移行
し、2車両分の車幅よりも小さいか否かが判断される。
ここで肯定されればステップS47に移行し、そのグル
ープデータは検出対象ターゲットに関するものと認定さ
れる。図8において、グループデータ81は、そのグル
ープ幅W1が1車幅以上であり2車幅より小さいので、
ステップS47において検出対象ターゲットを示すもの
と認定される。
【0053】ステップS44において否定された場合、
すなわち、グループ幅が2車幅以上であると判断された
場合はステップS46に移行し、グループデータを自車
線の内外で分割する。図8において、グループデータ8
4がこのケースに相当し、グループ幅W4が2車幅以上
であるため、自車線の右側境界線85を境にして左右に
分割し、新たなグループデータ86と87とする。自車
線内のグループデータ86についてはステップS47で
検出対象とし、自車線外のグループデータ87について
は、この処理ルーチンについて未処理のグループデータ
として扱うこととする。したがって、グループデータ8
7についてはいずれステップS41以下の処理が実行さ
れる。
【0054】以上のようにしてステップS22の処理が
終了するとステップS23に移行し、得られたグループ
データに基づいて、ターゲットの認識処理を行う。ここ
では、ターゲットの時系列的な動き等も含めて、ターゲ
ットの種別や将来の動きを予測する。
【0055】本実施形態では、自車線形状を直線走行を
仮定して固定的なものとして予め定めている。しかし、
車体速度、舵角、ヨーレイト等から演算により、あるい
は、車線マーカー検出手段の検出結果等により、直線道
路の自車線形状だけでなく、旋回走行時の自車線形状、
すなわち、カーブする道路の自車線形状を取得できる場
合は、その取得結果を用いて、グループデータとの比較
等を行うことが望ましい。
【0056】本実施形態の車載用レーダ装置はDBFレ
ーダ装置であるが、本発明の車載用レーダ装置はこれに
代えて機械走査式のレーダ装置でも構わない。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車載用レ
ーダ装置によれば、検出された複数のポイントデータを
検出すべきターゲットに対応させるためのグルーピング
処理において、グルーピング条件をポイントデータが示
す位置に応じて異ならせるので、一層正確なグルーピン
グができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車載用レーダ装置の
構成を示すブロック図。
【図2】その基本動作を示すフローチャート。
【図3】レベルピークのペアリングを説明するためのグ
ラフであって、アップ区間のビート周波数と走査角との
関係を示すグラフ。
【図4】レベルピークのペアリングを説明するためのグ
ラフであって、ダウン区間のビート周波数と走査角との
関係を示すグラフ。
【図5】ポイントデータのグルーピング処理を説明する
ための図。
【図6】第2のグルーピング処理を示すフローチャー
ト。
【図7】グループ幅等に基づくグループデータの選択処
理を示すフローチャート。
【図8】グループデータの選択処理を説明するための
図。
【符号の説明】
1…アレーアンテナ、10…高周波回路、11…ミキサ
群、14…電圧制御発振器、15…分岐回路、22…制
御用直流電源、24…低雑音アンプ、25…高速A/D
変換器、26…信号処理部、27…複素FFT演算部。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載され、レーダビームを走査す
    ることにより走査範囲に存在する1または2以上のター
    ゲットを検出する車載用レーダ装置において、 前記レーダビーム走査によって予備的にターゲットデー
    タを得る手段と、 前記予備的ターゲットデータを所定の条件に従ってグル
    ーピングしてグループデータを得るグルーピング手段
    と、 前記グループデータおよびグルーピングされなかった残
    りの予備的ターゲットデータをそれぞれ前記各ターゲッ
    トに対応する検出データとし、この各検出データからそ
    れぞれ対応する各ターゲットの認識を行うターゲット認
    識手段とを備え、 前記グルーピング手段は、前記所定の条件を複数用意し
    ており、グルーピングしようとする予備的ターゲットデ
    ータの位置情報に応じて一の条件を選択し、選択された
    条件に基づいてグルーピングを実行することを特徴とす
    る車載用レーダ装置。
  2. 【請求項2】 前記グルーピング手段は、正面方向にあ
    る予備的ターゲットデータに対しては距離および相対速
    度がほぼ等しいことを必要条件として他の予備的ターゲ
    ットデータとのグルーピングを行い、斜め前方にある予
    備的ターゲットデータに対しては方位角度および相対速
    度がほぼ等しいことを必要条件として他の予備的ターゲ
    ットデータとのグルーピングを行うことを特徴とする請
    求項1に記載の車載用レーダ装置。
  3. 【請求項3】 車両前方の自車線形状を取得する自車線
    形状取得手段を備え、前記自車線取得手段により得られ
    た自車線範囲にある予備的ターゲットデータに対しては
    距離および相対速度がほぼ等しいことを必要条件として
    他の予備的ターゲットデータとのグルーピングを行い、
    前記自車線範囲外にある予備的ターゲットデータに対し
    ては方位角度および相対速度がほぼ等しいことを必要条
    件として他の予備的ターゲットデータとのグルーピング
    を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載用レーダ
    装置。
  4. 【請求項4】 前記グループデータに基づくターゲット
    幅が所定値以上であり、少なくとも一部が前記自車線取
    得手段により得られた自車線の幅を逸脱するときには、
    前記自車線の内外で当該グループデータを分割して新た
    な2つのグループデータを生成することを特徴とする請
    求項3に記載の車載用レーダ装置。
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