JP3620459B2 - レーダ装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は車載に適したレーダ装置に関するものである。特に、送信信号として周波数変調を施した連続波を用い、送信信号と受信信号とのビート周波数からターゲットを検出するFM−CWレーダ装置に関するものであると共に、ビート周波数に対してDBF合成処理(ディジタル・ビーム・フォーミング合成処理)を施すことにより所望角度のアンテナビームを形成してターゲットの角度方位の検出を行うDBFレーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
FM−CW信号を送信信号として用い受信信号とのビート周波数からターゲットの距離および相対速度を検出し、同時に、DBF合成処理によりターゲットの角度(方位)を検出するレーダ装置が、例えば、特開平11−133142号公報に開示されている。
【0003】
この従来のレーダ装置は、比較的近距離のターゲットについてその距離、相対速度、および角度を検出することができるため、自動車に搭載して先行車輌の存在確認や挙動を知ることができるという点で優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ビート周波数算出のためのFFT(高速フーリエ変換)処理および所望の角度にアンテナビームを得るためのDBF合成処理に要する演算量は膨大である。そのため、自動車に搭載可能な小型のレーダ装置では、デジタル信号処理部の能力に限界があり、演算に時間がかかりすぎるという問題があった。
【0005】
ターゲットの位置する角度は無視し距離および相対速度のみを検出できるレーダ装置については、ビート周波数のパワースペクトラムのピークから次のタイミングのパワースペクトラムピークを推定して、演算量を軽減する方法が例えば特開平6−207979号に記載されている。しかし、DBF合成処理の演算量を軽減する技術については、未だ適当な解決方法が得られていなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のレーダ装置はこのような課題を解決するためのものであり、周波数変調を施した連続波である送信信号を出力する送信アンテナと、複数の素子アンテナを備える受信アンテナと、素子アンテナ毎に送信信号と受信信号とのビート周波数を取得する受信回路部と、ビート周波数に対してDBF合成処理を施すことにより所望角度のアンテナビームを形成してターゲットの検出を行うデジタル信号処理部とを備えたレーダ装置において、デジタル信号処理部は、既に取得されたターゲット情報の履歴からそのターゲットに関するビート周波数および角度を推定する推定手段を備え、ビート周波数および角度をそれぞれ変数とする直交座標平面において推定手段で推定されたビート周波数および角度により特定される推定ターゲットポイントを含む合成エリア内においてDBF合成処理を実行することを特徴とするものである。
【0007】
このレーダ装置によれば、推定手段によって、過去のターゲット情報履歴から現時点のターゲットの位置を示すビート周波数および角度を推定して推定ターゲットポイントとし、この推定ターゲットポイントを含む合成エリア内においてDBF合成処理を実行するので、全領域においてDBF合成処理を実行する場合に比べて大幅にDBF演算量を軽減させることができる。
【0008】
デジタル信号処理部は、既に取得されたターゲット情報の履歴から合成エリアの大きさを変化させることが望ましい。詳しくは、既に取得されたターゲット情報の履歴から推定ターゲットポイントの確実度を求め、その確実度に応じて前記合成エリアの大きさを変化させることが望ましい。
【0009】
たとえば、過去のターゲット情報について、時間的な変化が小さい場合や変化方向が安定している場合には、その変化の延長線上に求めた推定ターゲットポイントの確実度が高い。推定ターゲットポイントの確実度が高い場合には、合成エリアを小さくしてもそのエリア内に最新のターゲットポイントが入る確率が十分高い。しかも、合成エリアを小さくすれば、DBF合成処理の演算量を減少できる。
【0010】
逆に、例えば過去の角度に関する情報が時間経過とともに左右に振れるような場合は、推定ターゲットポイントの角度に関する確実度が低いので、合成エリアを大きくすることにより、ターゲットポイントが合成エリアから外れる確率を減少させることができる。
【0011】
デジタル信号処理部は、既に取得されたターゲット情報の履歴から合成エリアの形状を変化させてもよい。
【0012】
また、デジタル信号処理部は、ビート周波数に対して角度全域についてDBF合成処理を施すことによりターゲット検出を行う副ターゲット検出手段を備え、推定手段は副ターゲット検出手段で取得したターゲット情報を利用することが望ましい。
【0013】
推定ターゲットポイントを求めるためには、ターゲット情報の履歴が必要であるが、ターゲット検出動作開始当初はターゲット情報の履歴を得ることができない。そこで、動作開始当初は副ターゲット検出手段で予めターゲット情報を取得し、そのターゲット情報に基づいて推定ターゲットポイント求める。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態であるレーダ装置を示す構成図である。このレーダ装置は、連続波(CW)に周波数変調(FM)を掛けた送信信号を用いるFM−CWレーダ装置である。また、ターゲット方向(角度)を検出するためにディジタル・ビーム・フォーミング技術によるアンテナビームの形成および走査を行うDBFレーダ装置でもある。
【0015】
本実施形態の具体的な構成および動作を説明するのに先だって、FM−CWレーダ装置の探知原理を説明する。
【0016】
はじめに、FM−CWレーダの探知原理を図2および図3のグラフを用いて説明する。図2(A)は、送信周波数の変化を実線により示し、距離Rの位置にあって相対速度が零のターゲットから反射された受信周波数の変化を破線により示したグラフであり、縦軸に周波数、横軸に時間をとっている。
【0017】
このグラフから判るように、送信信号には連続波に三角状の周波数変調を掛けた変調信号が用いられている。送信信号の中心周波数すなわち搬送波周波数はf0、周波数偏移幅はΔF、三角波の繰り返し周波数はfmである。
【0018】
図3(A)は、ターゲットの相対速度が零でなく速度V(V≠0)のときの受信信号の変化と送信信号の変化とを示したグラフであり、実線は送信信号周波数を示し、破線は受信信号周波数を示している。なお、送信信号および座標軸の意義は図2(A)と同じである。
【0019】
図2(A)および図3(A)から、このような送信信号を放射しているときの受信信号は、ターゲットの相対速度が零のときには距離に応じた時間遅れT(T=2R/C:Cは光の速度)を受け、目標物の相対速度がVのときには距離に応じた時間遅れTと、相対速度に相当する周波数偏移Dを受けることが判る。なお、図3(A)に示す例は、受信信号周波数が同グラフにおいて上方に偏移しており、ターゲットが接近する場合を示している。
【0020】
この受信信号に対して送信信号の一部をミキシングすれば、ビート信号が得られる。図2(B)および図3(B)は、それぞれターゲットの相対速度が零のときと速度Vのときのビート周波数を示すグラフであり、時間軸(横軸)はそれぞれ図2(A)および図3(A)とタイミングを一致させてある。
【0021】
いま、相対速度が零のときのビート周波数をfr、相対速度に基づくドップラ周波数をfd、周波数が増加する区間(アップ区間)のビート周波数をfb1、周波数が減少する区間(ダウン区間)のビート周波数をfb2とすると、
fb1=fr−fd …(1)
fb2=fr+fd …(2)
が成り立つ。
【0022】
したがって、変調サイクルのアップ区間とダウン区間のビート周波数fb1およびfb2を別々に測定すれば、次式(3)(4)からfrおよびfdを求めることができる。
【0023】
fr=(fb1+fb2)/2 …(3)
fd=(fb2−fb1)/2 …(4)
frおよびfdが求まれば、目標物の距離Rと速度Vを次の(5)(6)式により求めることができる。
【0024】
R=(C/(4・ΔF・fm))・fr …(5)
V=(C/(2・f0))・fd …(6)
ここに、Cは光の速度である。
【0025】
このようにしてターゲットの距離Rおよび速度Vを求めることができる。これがFM−CWレーダ装置の探知原理である。
【0026】
図1に示す本発明の一実施形態であるFM−CWレーダ装置は、送信部1、アレーアンテナ2、切換スイッチ3、受信部4、およびディジタル信号処理部5を備えている。
【0027】
アレーアンテナ2は、複数の素子アンテナch1〜chnを有する受信アンテナである。各素子アンテナch1〜chnで受信した受信信号に対して適当な移相処理を施して合成することにより所望の角度にアンテナビームを形成することができる。そして、所望の角度を順にずらしてゆけばビーム走査が達成される。素子アンテナ別の受信信号移相処理および合成処理は、デジタル演算により行われる。すなわち、ディジタル・ビーム・フォーミング合成処理(DBF合成処理)によりアンテナビームの形成および走査が行われる。ただし、FM−CWレーダ装置である本レーダ装置では、受信信号に対して直接移相処理および合成処理が実行されるのではなく、受信信号に送信信号をミキシングして得られたビート信号(ビート周波数)に対してこれらの処理が行われる。DBF技術については既に公知であり、たとえば、上述した特開平11−133142号に開示されている。
【0028】
このレーダ装置は、付加的な構成要素としてレーン形状取得手段6も備えている。レーン形状取得手段6は、FM−CWレーダ装置に付加的に設けられたものであり、車両に搭載されたときに、その車両が走行しているレーンの形状を取得する。たとえば、車両に搭載された速度センサおよびヨーレイトセンサから得られた速度およびヨーレイトから走行レーンの曲率を求めることができる。走行レーンの曲率が判れば、レーン幅が所定の値であるという仮定の下で、レーン形状を知ることができる。
【0029】
送信部1は、中心周波数がf0(たとえば76GHz)の電圧制御型発振器(VCO)11と、バッファアンプ12と、送信アンテナ13と、RFアンプ14とを備えている。VCO11は、図示省略した変調用の電源から出力される制御電圧によって、f0±ΔF/2の被変調波(送信信号)を出力する。被変調波はバッファアンプ12で増幅され、送信アンテナ13から電磁波として広範囲に放射される。なお、送信信号の一部はRFアンプ14で増幅され受信検波用のローカル信号として出力される。
【0030】
受信用アレーアンテナ2はn個の素子アンテナを備え、受信用アレーアンテナ2の後方には切換スイッチ3が設けられている。切換スイッチ3はn個の入力端子と1個の出力端子とを有し、各入力端子にはn個の素子アンテナが1個づつ接続されている。すなわち、各素子アンテナと切換スイッチ3との間には素子アンテナ毎に独立した第1チャネル〜第nチャネルが形成されている。
【0031】
切換スイッチ3の出力端子はn個の入力端子のいずれか一つと接続されるものであり、切換信号(クロック信号)により、その接続は周期的に切り換えられる。接続切換は、回路上で電気的に行われる。
【0032】
受信部4は、RFアンプ41、ミキサ42、アンプ43、フィルタ44、A/D変換器45および切換信号用発振器46を備えている。切換スイッチ3の出力端子から出力された信号、すなわち、アレーアンテナ2のいずれかの素子アンテナで受信した信号は、RFアンプ41で増幅され、ミキサ42でRFアンプ14からの送信信号の一部とミキシングされる。このミキシングにより受信信号はダウンコンバートされ、送信信号と受信信号との差信号であるビート信号が生成される。
【0033】
チャネル別にパラレルに受信された受信信号は切換スイッチ3によりビート信号周期よりも遙かに短い時間で時分割されてシリアルに変換される。したがって、ミキサ42から出力されるビート信号もチャネル別のビート信号がシリアルになっている。このビート信号は、アンプ43およびローパスフィルタ44を介してA/D変換器45に入力され、発振器46の出力信号すなわち切換スイッチ3での接続切換を行うためのクロック信号のタイミングでディジタル信号に変換される。
【0034】
ディジタル信号処理部5は、A/D変換器45からのディジタルビート信号を入力する。ここでシリアルになっているデジタルビート信号をチャネル別に分離して一時的に記憶する。このようにして得られたチャネル別デジタルビート信号に対して種々の処理を施してターゲット情報すなわちターゲットの距離、相対速度、方向、幅を取得する。
【0035】
距離および相対速度については上述したFM−CWレーダ装置の探知原理により取得する。また、方向については、DBF合成技術によるアンテナビームの形成および走査による方法により取得する。
【0036】
つぎに、ディジタル信号処理部5における処理手順を図4のフローチャートと共に説明する。
【0037】
まず、ステップS1において、A/D変換器45でA/D変換された1変調サイクル(アップ区間およびダウン区間)のチャネル別ビート信号すなわちチャネル別デジタルビート信号を取り込み、一時保存する。
【0038】
ついで、ステップS2で、チャネル別デジタルビート信号に対してFFT処理を施し、チャネル別のビート周波数(ビート周波数スペクトラム)をアップ区間とダウン区間のそれぞれについて取得する。
【0039】
つぎに、ステップS3では、各チャネルについてビート周波数のピーク(FFTピーク)を検出する。このとき、適当なチャネル、たとえば、アレーアンテナ2の中央に位置する素子アンテナのチャネル((1+n)/2番目の素子アンテナチャネル)について、アップ区間およびダウン区間の両方についてピーク検出を行えば、上記(3)〜(6)式からターゲットの距離および相対速度を取得することができる。ただし、DBF合成処理が行われていないので、ターゲットの位置する角度は不明である。
【0040】
つぎに、ステップS4では、既に取得されたターゲット情報の履歴からそのターゲットに関するビート周波数および角度を推定する。そしてさらに、ビート周波数および角度をそれぞれ変数とする直交座標平面上において、推定されたビート周波数および角度により特定される推定ターゲットポイントを含む領域を求める。この領域において後にDBF合成処理を行うことから、この領域を合成エリアと呼ぶ。
【0041】
図5はビート周波数および角度をそれぞれ変数とする直交座標平面であり、アップ区間におけるターゲットポイントの移動履歴、推定ターゲットポイントおよび合成エリアの一例を示す。黒い矢印51は過去のターゲットポイントの移動履歴を示しており、先端が前回処理で得られたターゲットポイントであり、後端が前々回処理で得られたターゲットポイントである。したがって、次のターゲットポイントは、矢印51と同方向に同じ長さだけ移動したポイントにあると推定でき、そのポイントを推定ターゲットポイント52とする。そしてさらに、推定ターゲットポイント52を中心とする5ポイント×5ポイントのエリアを合成エリア53とする。
【0042】
つぎにステップS5では、ステップS4で求めた合成エリアについてDBF合成処理(第1DBF合成処理)を行うと共に、ステップS3で求めたビート周波数ピーク(FFTピーク)についてDBF合成処理(第2DBF合成処理)を行う。いずれのDBF合成処理もアップ区間とダウン区間の両方について行う。このときの合計演算量は、予め設定した角度全域およびビート周波数全域についてDBF合成処理を行ったときの演算量に比べて遙かに少ないことは言うまでもない。第1DBF合成処理過程と後述するステップS6〜ステップS8とにより主ターゲット検出手段が構成され、第2DBF合成処理とステップS6〜ステップS8により副ターゲット検出手段が構成される。
【0043】
ステップS6では、第1DBF合成処理後の2次元ピークおよび第2DBF合成処理後の角度ピークをそれぞれ抽出し、ついで、ステップS7で、アップ区間について抽出されたピークと、ダウン区間について抽出されたピークのペアリングを行う。
【0044】
ペアリングとは、同一のターゲットに基づくと思われるアップ区間のピークとダウン区間のピークとを組み合わせることである。各組み合わせについて、式(3)〜(6)を適用することにより、各組み合わせに対応するターゲットポイントの距離、相対速度、および角度を求めることができる。
【0045】
なお、合成エリア53における黒丸で示したポイントは、周辺であるが故にピークか否かの判断ができない。そのため、合成エリア53におけるピーク候補は、白丸で示したポイントのみとなる。
【0046】
ステップS8ではレーン形状取得手段6で取得されたレーン形状を取り込む。さらに、ステップS9では、ステップS7で得られたターゲットポイント距離、相対速度、および角度と、ステップS8で取り込んだレーン形状とから、ターゲットの識別を行う。ターゲットの種類、たとえば、先行車輌なのか、路側配置物なのか、路上障害物なのか、さらには、先行車輌であるとすれば乗用車なのかトラックのような大型車なのか等の識別処理を行う。
【0047】
このようにして得られたターゲット情報は、文字通りターゲット情報として利用されるだけでなく、つぎの演算サイクル(ステップS1〜ステップS9)において既取得のターゲット情報として利用される。
【0048】
ステップS4では、ビート周波数および角度をそれぞれ変数とする直交座標平面上において、過去のビート周波数および角度から次の時点のビート周波数および角度を推定している。しかし、過去のターゲット情報として、ビート周波数に代えて距離および相対速度を用いても良い。ターゲットの距離および相対速度は、アップ区間のビート周波数とダウン区間のビート周波数に基づいて式(3)〜(6)から求めることができる。
【0049】
図6〜図8は、それぞれ距離、相対速度、角度についての履歴を示したものであり、各図において、横軸は演算サイクルを示している。距離、相対速度、角度の履歴から、次の演算サイクルにおける同一ターゲットの距離、相対速度、角度をそれぞれ予測し、距離および相対速度の予測結果から逆算してアップ区間およびダウン区間のビート周波数を求める。そのアップ区間またはダウン区間のビート周波数と角度とで特定される直交座標平面上のポイントが、それぞれアップ区間またはダウン区間の推定ターゲットポイントとなる。
【0050】
また、ステップS4における合成エリアの決定過程では、ターゲット情報の履歴を考慮して、合成エリアの大きさや形状を変えることが可能である。
【0051】
図9に、ターゲットの移動履歴に関するいくつかの例を示す。また、図10〜図13には、移動履歴に対応する合成エリアの例を示す。
【0052】
図9において、矢印91のように移動履歴として変化が少ない場合には、たとえば、図10に示すような、5ポイント×5ポイント程度の比較的小さい合成エリアで十分である。しかし、矢印92に示すように、たとえば、角度の変化は小さくビート周波数の変化が大きい場合には、図11のように、合成エリアをビート周波数方向に長い長方形にすることが望ましい。逆に、矢印93のように、角度の変化は大きくビート周波数の変化が小さい場合には、図12のように、合成エリアを角度方向に長い長方形にすることが望ましい。さらに、矢印94のように、ビート周波数および角度の変化が一定方向に共に大きい場合は、図13に示すように、変化方向に長い特殊形状としてもよい。
【0053】
また、図示しなかったが、合成エリアの形状は変えずに、大きさのみをターゲット情報の履歴に併せて変化させても良い。ターゲットの移動履歴として変化が少ない場合や移動履歴の変化方向が比較的長期に亘って一定の場合には、推定ターゲットポイントの確実度が高い。このような場合には、合成エリアを小さくしてもターゲットが合成エリアから外れる可能性がほとんどない。逆に、移動履歴の変化が大きい場合や、変化方向が不安定な場合には、推定ターゲットポイントの確実度は低くなる。このような場合には合成エリアを大きくすることにより、ピーク検出漏れを防止することができる。この場合、演算量は合成エリアの拡大と共に増大するが、従来からの全域演算に比べれば演算量は遙かに小さい。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、FM−CWレーダ装置であってDBFレーダ装置でもある本発明のレーダ装置によれば、ターゲットの検出能力を低下させることなく、演算量を大幅に減少させることができる。そのため、車載用レーダ装置のように小型化のために演算手段の演算処理能力に制約がある場合に用いても、高い検出能力を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるレーダ装置の構成を示すブロック図。
【図2】FM−CWレーダ装置の探知原理を説明するためのグラフ。
【図3】FM−CWレーダ装置の探知原理を説明するためのグラフ。
【図4】本実施形態の動作手順を示すフローチャート。
【図5】ビート周波数および角度をそれぞれ変数とする直交座標平面を示す図。
【図6】ターゲットの距離についての履歴を示した図。
【図7】ターゲットの相対速度についての履歴を示した図。
【図8】ターゲットの角度についての履歴を示した図。
【図9】ターゲットの移動履歴に関するいくつかの例を示したビート周波数および角度をそれぞれ変数とする直交座標平面図。
【図10】合成エリアの一例を示す図。
【図11】合成エリアの一例を示す図。
【図12】合成エリアの一例を示す図。
【図13】合成エリアの一例を示す図。
【符号の説明】
1…送信部、2…アレーアンテナ、3…切換スイッチ、4…受信部、5…デジタル信号処理部、6…レーン形状取得手段、11…電圧制御型発振器、13…送信アンテナ、41…RFアンプ、42…ミキサ、45…A/D変換器、46…切換信号発生器、52…推定ターゲットポイント、53…合成エリア。
Claims (6)
- 周波数変調を施した連続波である送信信号を出力する送信アンテナと、複数の素子アンテナを備える受信アンテナと、前記素子アンテナ毎に前記送信信号と受信信号とのビート周波数を取得する受信回路部と、前記ビート周波数に対してDBF合成処理を施すことにより所望角度のアンテナビームを形成してターゲットの検出を行うデジタル信号処理部とを備えたレーダ装置において、
前記デジタル信号処理部は、既に取得されたターゲット情報の履歴からそのターゲットに関するビート周波数および角度を推定する推定手段を備え、ビート周波数および角度をそれぞれ変数とする直交座標平面において前記推定手段で推定されたビート周波数および角度により特定される推定ターゲットポイントを含む合成エリア内において前記DBF合成処理を実行することを特徴とするレーダ装置。 - 前記デジタル信号処理部は、既に取得されたターゲット情報の履歴から前記合成エリアの大きさを変化させることを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
- 前記デジタル信号処理部は、既に取得されたターゲット情報の履歴から推定ターゲットポイントの確実度を求め、その確実度に応じて前記合成エリアの大きさを変化させることを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
- 前記デジタル信号処理部は、既に取得されたターゲット情報の履歴から前記合成エリアの形状を変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーダ装置。
- 前記デジタル信号処理部は、ビート周波数に対して角度全域についてDBF合成処理を施すことによりターゲット検出を行う副ターゲット検出手段を備え、前記推定手段は前記副ターゲット検出手段で取得したターゲット情報を必要に応じて利用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーダ装置。
- 前記副ターゲット検出手段は、ビート周波数ピークを検出した後、そのビート周波数ピークを含むビート周波数範囲に対して角度全域についてDBF合成処理を施すことによりターゲット検出を行うことを特徴とする請求項5に記載のレーダ装置。
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