JP2004245647A - 近距離レーダ装置および近距離レーダ装置を搭載した車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】近距離でも高精度な距離測定をすることができる近距離レーダ装置を提供する。
【解決手段】近距離レーダ装置1Aは、目標Tに対し送信信号を送信し目標Tからの反射波信号を受信する送受信部2Aと、所定のスイッチ周波数fswにより目標Tに対する送受信を逆相で切り替える送受信スイッチ10,13と、を備え、目標Tに対する送受信を時分割で行う。また、受信信号の検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントNを検出するヌルポイント検出部24と、検出したヌルポイントNに基づいて、目標Tまでの距離R0を検出する距離検出部25を備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】近距離レーダ装置1Aは、目標Tに対し送信信号を送信し目標Tからの反射波信号を受信する送受信部2Aと、所定のスイッチ周波数fswにより目標Tに対する送受信を逆相で切り替える送受信スイッチ10,13と、を備え、目標Tに対する送受信を時分割で行う。また、受信信号の検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントNを検出するヌルポイント検出部24と、検出したヌルポイントNに基づいて、目標Tまでの距離R0を検出する距離検出部25を備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、目標との距離、特に近距離を測定するレーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車載レーダ装置は、目標となる先行車との距離を測定・検出して追突の危険性を判別し、運転者に警報するものである。このような車載レーダ装置は、車両に搭載するため小型化が要求されている。
【0003】
そこで、上述した小型化あるいは低廉化の要求を満たすため、従来から、機器構成が簡単なFM−CWレーダ方式の車載レーダ装置が提供されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1のレーダ装置は、周波数変調信号を送信し、目標物体で反射された信号を受信して送信信号と混合して得たビート信号から上記目標物体の距離及び相対速度を得るレーダ装置において、単一のアンテナを使用し、送受信を時分割で行うレーダ装置である。
【0005】
すなわち、特許文献1のレーダ装置は、図9に示すように、電圧制御発振器(VCO)50には周波数が数KHzの三角波のベースバンド信号(MOD)が印加され、電圧制御発振器50で周波数変調が行われる。この被周波数変調信号は周波数f0 が数10[GHz]であり、送信側スイッチ(SW)51に供給されると共に、その一部が分岐されて受信ミキサ52に供給される。送信側スイッチ51はスイッチ駆動信号源(LO)53の出力する駆動信号により開閉制御される。なお駆動信号は周波数fswが数10[MHz]で50%デューティの矩形波である。そして、送信側スイッチ51のON時に周波数変調信号がアンテナ共用手段54を通してアンテナ55に供給されて送信される。また、スイッチ駆動信号源53の出力する駆動信号はインバータ56で反転されて受信側スイッチ57に供給されている。これにより、送信側スイッチ51OFF時に受信側スイッチ57がONされ、この受信側スイッチ57のON時にアンテナ55で受信した受信信号がアンテナ共用手段54、受信側スイッチ57を通して受信ミキサ52に供給され、IF信号とされて出力される。これにより、単一のアンテナを送信及び受信で共用するため、レーダ装置の小型化及び低廉化を実現している。
【0006】
また、FM−CWレーダ方式の他、パルス方式や2周波CW方式がある。パルス方式のレーダ装置は、パルス変調した送信波を、目標に反射させ、エコーとして受信するレーダ装置である。そして、送信パルスに対するエコーの遅延時間により、目標までの距離が求められる。また、2周波CW方式のレーダ装置では、非常に近接した連続波(CW)の2波をほぼ同時に送信し、目標から反射されるエコーのドプラ成分の位相差から距離を、またドプラ周波数から速度を検出する装置である。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−243738号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなレーダ装置は、小型化の要求のほか、更なる事故防止及び安全確保のため、近距離測定の高精度化、すなわち距離分解能(二つの距離方向の目標を分離する能力)の高精度化が要求されている。
【0009】
この近距離の距離分解能が要求される場合は、FM−CW方式のレーダ装置では機器構成が比較的簡単であるが、システムの距離分解能ΔRを高めるためには下記式(1)のように周波数偏移幅ΔFを高める必要がある。
【0010】
ΔR=C/(2×ΔF)・・・・・・・・・式(1)
但し、Cは光速でC≒3×108[m/s]である。
【0011】
式(1)によれば、ΔF=100[MHz]ではΔR=1.5[m]となる。
【0012】
しかしながら、上述したFM−CW方式のレーダ装置は、図10に示すように、送受信スイッチにより、スイッチ周波数で目標に対する送受信を逆相で切り替えている。このため、送受信用アンテナが共用でき小型化が可能となるが、一方で、近距離の距離分解能を高めるために周波数偏移幅ΔFを広げると、周波数変調の直線性の確保が困難となる。また、現行の76GHz帯レーダバンドは電波法の規定から1[GHz]以下に制限される。したがって、上述したFM−CW方式のレーダ装置では、周波数偏移幅ΔFの拡大に限界があり、近距離の距離分解能の性能を向上させることができなかった。
【0013】
また、パルス方式のレーダ装置では、近距離ではパルス幅τが狭くなり、送受信機及びアンテナが広帯域となる欠点がある。たとえば、最小探知距離Rmin(パルス幅τの間に電波が往復する距離)は、下記の式(2)で与えられる。
【0014】
Rmin=C・(τ/2)・・・・・・・・・式(2)
【0015】
また、送信波の帯域幅をBとすると、パルス幅τと帯域幅Bの関係は、略、B=2/τであるから、Rmin=1[m]とすると、帯域幅BはB=300[MHz]となり、通常のレーダ送受信機やアンテナでは近距離測定をすることが困難であった。また、広帯域なレーダ送受信機や広帯域なアンテナを用いると近距離測定も可能であるが、これらを用いると安価なレーダ装置を提供することができなかった。
【0016】
更に、パルス方式のレーダ装置は、時分割方式によりアンテナを共用することも可能であるが、近距離においては、狭いパルス幅,高速な立上り及び立下り特性が必要であり、通常の送信変調系及び受信系では困難であった。また、送信変調系及び受信系を高性能化すると、それだけ高価なものとなり、安価なレーダ装置を提供することができなかった。
【0017】
また、2周波CW方式のレーダ装置は、FM−CW方式とほぼ同じ構成で簡単であり、VCOに要求される性能が緩和される利点がある。しかしながら、目標とレーダの相対速度がない場合、ドップラ信号がなく距離が測定できない欠点がある。特に、自動車の渋滞時のように、Stop−And−Go(ストップアンドゴウ)とよばれる低速で短間隔の車間距離の制御には不利であった。
【0018】
更に、レーダ伝搬損失が距離の4乗に反比例するため、上述した従来のレーダ装置では、極近距離の目標に対し距離測定を行なうと、受信レベルが高くなり、受信回路の飽和が生じる問題があった。
【0019】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、小型で簡単な構成かつ極近距離においても、高精度な距離測定をすることができる近距離レーダ装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる近距離レーダ装置は、目標に対し送信信号を送信し前記目標からの反射波信号を受信する送受信手段と、所定のスイッチ周波数により前記目標に対する送受信を時分割で行うことにより逆相で切り替える送受信スイッチと、前記反射波信号の検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントを検出するヌルポイント検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、ヌルポイントを検出することにより、小型で簡単な構成かつ極近距離であっても、目標までの距離を高精度で検知することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる近距離レーダ装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の近距離レーダ装置1の実施の形態1の構成を示すブロック図である。本図は、FM−CW方式の近距離レーダ装置1Aを示している。
【0024】
このFM−CW方式の近距離レーダ装置1Aは、送受信部2A(送信部3Aと受信部4A)と、スイッチ制御部5Aと、信号処理部6Aと、で構成されている。
【0025】
送信部3Aは、三角波発生回路7と、高周波の電圧可変発振器(VCO)8と、送信スイッチ10と、送信アンテナ11と、で構成される。三角波発生回路7は、信号処理部6Aからのクロック信号に同期した三角波を出力する。電圧可変発振器8は、三角波発生回路7から出力された三角波を周波数変調して、周波数変調信号を出力する。また、電圧可変発振器8は、受信部4Aの第一ミキサ14に接続されており、この周波数変調信号の一部を第一ミキサ14に出力する。送信スイッチ10は、スイッチ制御部5Aにより開閉制御される。送信アンテナ11は、目標Tに向けて、周波数変調された三角波(周波数変調信号)を送信波として送信する。
【0026】
受信部4Aは、受信アンテナ12と、受信スイッチ13と、第一ミキサ14と、バンドパスフィルタ15と、第二ミキサ16と、で構成される。受信アンテナ12は、目標Tからの反射波を受信する。受信スイッチ13は、スイッチ制御部5Aにより開閉制御される。第一ミキサ14は、送信部3Aからの周波数変調信号と反射波信号とを混合して中間周波数信号を出力する。バンドパスフィルタ15は、第一ミキサ14からの中間周波数信号を所定の帯域で通過させる。第二ミキサ16は、バンドパスフィルタ15を通過した中間周波数信号と、スイッチ駆動信号源(LO)17の局部発振信号と、を混合することで、検波信号としてのビート信号を出力する。
【0027】
スイッチ制御部5Aは、スイッチ駆動信号源(LO)17と、インバータ18と、を備えている。スイッチ駆動信号源(LO)17は、送信スイッチ10に接続される。また、送信スイッチ10への接続ラインから分岐し、インバータ18を介して受信スイッチ13に接続されている。これにより、送信スイッチ10と受信スイッチ13とは互いに逆相で開閉駆動される。
【0028】
また、信号処理部6Aは、クロック発振器20と、A/D変換器21と、高速フーリエ変換器22と、メモリ23と、ヌルポイント検出部24と、距離検出部25と、で構成されている。クロック発振器20は、送信部3Aの三角波発生回路7とスイッチ制御部5Aのスイッチ駆動信号源(LO)17に対し、基準となるクロック信号を入力する。また、A/D変換器21は、検波したビート信号をデジタル変換する。高速フーリエ変換器22は、デジタル化されたビート信号を高速フーリエ変換することで、ビート信号波形を目標Tの距離に相当する周波数成分に分解し、メモリ23に記憶する。ヌルポイント検出部24は、ビート信号の周波数成分における検波レベルと、スイッチ駆動信号源(LO)17からの局部発振信号と、に基づいて、検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントN(図2参照)を検出する。距離検出部25は、所定の演算式により、検出されたヌルポイントNに基づいて目標Tまでの距離R0を検出する。
【0029】
次に、ヌルポイント検出部24におけるヌルポイントNの検出処理について説明する。図2に示すように、局部発振信号により検波レベルを周波数掃引する。これにより、検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントNを検出することができる。この掃引スイッチ周波数fswがヌルポイントNのスイッチ周波数fsw0となる。
【0030】
これは、ヌルポイントNにおいて、等価的に急峻なバンドパスフィルタを挿入したことになる。なお、図2では、局部発振信号を三角波状に掃引したが、図3に示すように、鋸波状に掃引することとしても良い。
【0031】
また、図2に示すように、連続して検出されたスイッチ周波数fsw0の検出された時間の差を抽出することにより、目標Tとの相対速度を算出することができる。なお、局部発振信号が鋸波状で周波数掃引された場合は、図3に示すように、検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントNと、そのヌルポイントNのスイッチ周波数fswを検出する。
【0032】
次に、距離検出部25について説明する。距離検出部25は、ヌルポイント検出部24で検出されたヌルポイントNのスイッチ周波数fsw0に基づいて、目標Tまでの距離R0を検出する。以下、距離R0の検出について説明する。
【0033】
図10において、送信部3Aと受信部4Aによる送受信時に、目標反射遅延時間τと、送信スイッチ10及び受信スイッチ13による送受信スイッチ周期Tswと、が略一致、すなわち受信区間が略なくなると、受信部4Aは不感状態(null)になる。このため、局部発振信号をスイッチ周波数fsw(fsw=1/Tsw)で掃引することにより、ある距離R0にある目標Tからの反射波信号を選択的に排除することができる。送信信号と反射波信号を0−πの位相差でスイッチすると、スイッチ周波数fsw[Hz]と距離R[m]の関係により、送信スイッチ10及び受信スイッチ13が無い場合の連続波受信電力と、送信スイッチ10及び受信スイッチ13がある場合の連続波受信電力と、の受信電力比SWは、下記式(3)で表すことができる。
【0034】
SW=(1/2)×(2/π)×sin(kπ)・・・・・・・・・式(3)
なお、kは任意の整数である。
【0035】
一方、目標Tまでの距離R[m],光速C[m/s]とすると、近距離レーダ装置1の目標反射遅延時間τ[s]は、下記式(4)で表すことができる。
【0036】
τ=2・R/C・・・・・・・・・式(4)
【0037】
また、目標反射遅延時間τが送受信スイッチ周期Tswを越える場合、何周期分の遅れかを示す式τ/Tswの整数部分をnとする。この場合における式(4)のkは、以下に示す条件(1)においては、下記式(5)で表すことができる。
【0038】
n×Tsw≦τ<((2n+1)/2)×Tsw・・・・・・・・・条件(1)
【0039】
k=(τ−(n・Tsw))/Tsw・・・・・・・・・式(5)
【0040】
一方、以下に示す条件(2)においては、式(3)のkは、下記式(6)で表すことができる。
【0041】
((2n+1)/2)×Tsw≦τ<(n+1)×Tsw・・・・・・・・・条件(2)
【0042】
k=((n+Tsw)−τ)/Tsw・・・・・・・・・式(6)
【0043】
ここで、近距離の受信感度が不感状態(null)となる距離R0とスイッチ周波数fsw0は、式(5)及び式(6)のk,nがk=1,n=1のときである。したがって、不感状態(null)での目標反射遅延時間τ0は、下記式(7)で表すことができる。
【0044】
同様に、不感状態(null)でのスイッチ周波数fsw0は、下記式(8)で表すことができる。
【0045】
τ0=Tsw・・・・・・・・・式(7)
【0046】
fsw0=C/(2×R0)・・・・・・・・・式(8)
【0047】
この式(8)により、近距離の目標Tまでの距離R0は、下記式(9)で表すことができる。
【0048】
R0=C/(2×fsw0)・・・・・・・・・式(9)
【0049】
この式(9)により、近距離の目標Tまでの距離R0を算出することができる。なお、目標距離R0=1[m]では、fsw0 =150[MHz]で受信感度が最低となる。
【0050】
なお、図4に、近距離における目標Tの受信電力Prと距離Rとの関係を示す。このグラフの縦軸は、所謂レーダ方程式により算出される受信電力Prを示している。ここで、スイッチ周波数fswはfsw=56[MHz]、目標Tの反射断面積σはσ=10[dBsm]、送信電力Ptは0[dBm]、アンテナ利得GはG=30.9[dB]である。このグラフによれば、約8.03[m]の距離で、受信電力の落ち込みが大きくなり、この距離が不感状態での近距離の目標Tまでの距離となる。またこの場合、10[dB]のレベル差が検出できれば、10[cm]以内の誤差で距離が測定できることになる。
【0051】
このように、FM−CWレーダ方式の近距離レーダ装置1Aは、従来技術で示した通りビート周波数のみでは、近距離の目標Tに対して十分な距離分解能が得られないが、高速フーリエ変換による目標距離に対応するビート周波数は大よそでよい。このため、検波レベル(ビート周波数)の低下のみ注目することにより、距離測定はスイッチ周波数fswで測定することができる。本実施の形態では、大まかな範囲のビート周波数を単に振幅の変化により検出して、スイッチ周波数fswと対応させる。これにより、検波レベルの最小値となるヌルポイントNのスイッチ周波数fsw0から距離R0を求めることができる。
【0052】
(実施の形態2)
次に実施の形態2の近距離レーダ装置について説明する。図5は、本発明の近距離レーダ装置の実施の形態2の構成図である。
【0053】
この近距離レーダ装置1は、AM方式の近距離レーダ装置1Bであり、送受信部2B(送信部3Bと受信部4B)とスイッチ制御部5Bと信号処理部6Bとで構成されている。
【0054】
送信部3Bは、RF発振器26と、低周波発振器27と、AM変調器28と、第一増幅器30と、送信スイッチ10と、送信アンテナ11と、で構成されており、RF発振器26と、低周波発振器27と、AM変調器28と、第一増幅器30と、を設けた点が実施の形態1と異なる点である。RF発振器26は、搬送波となるRF信号を発振する。低周波発振器27は、低周波の変調信号を出力する。AM変調器28は、変調信号によりRF信号を振幅変調する。第一増幅器30は、変調されたRF信号を増幅する。送信アンテナ11は、送信スイッチ10がONの時に、増幅されたRF信号を送信波として目標Tに向け輻射する。
【0055】
一方、受信部4Bは、受信アンテナ12と、受信スイッチ13と、第二増幅器31と、振幅検波器32と、バンドパスフィルタ33と、第三増幅器34と、で構成されており、第二増幅器31と、振幅検波器32と、バンドパスフィルタ33と、第三増幅器34と、を設けた点が実施の形態1と異なる点である。受信アンテナ12は、目標Tからの反射波を受信する。そして、受信スイッチ13がONの時に、受信した反射波を第二増幅器31に出力する。振幅検波器32は、第二増幅器31で増幅された反射波の包絡線検波を行い、直流分の他、変調成分の信号を出力する。バンドパスフィルタ33は、振幅検波器32により検波された検波出力から、変調成分信号を選択的に通過させる。第三増幅器34は、変調成分信号を増幅して信号処理部6Bに出力する。
【0056】
スイッチ制御部5Bは、スイッチ駆動信号源(LO)17と、インバータ18と、を備えている。スイッチ駆動信号源(LO)17は、送信スイッチ10に接続される。また、送信スイッチ10への接続ラインから分岐し、インバータ18を介して受信スイッチ13に接続されている。これにより、送信スイッチ10と受信スイッチ13とは互いに逆相で開閉駆動される。
【0057】
また、信号処理部6Bは、クロック発振器20と、同調制御部35と、AD変換器21と、高速フーリエ変換器22と、メモリ23と、ヌルポイント検出部24と、距離検出部25と、で構成されており、同調制御部35を設けた点が実施の形態1と異なる点である。
【0058】
同調制御部35は、送信部3Bの低周波発振器27から発振される変調周波数と、受信部4Bのバンドパスフィルタ33の通過中心周波数と、を同調させる制御を行う。
【0059】
また、本実施の形態では、A/D変換器21で変調成分信号をデジタル変換した後、時間管理された掃引スイッチ周波数毎にその振幅をメモリ23に記憶する。
【0060】
そして、図6に示すように、ヌルポイント検出部24は、メモリ一区間内の一定の時間分割毎に、掃引波形が階段状(図では鋸波状)に変化するスイッチ周波数と、検波レベルとなるメモリ23に記憶された変調成分信号の振幅と、により、その振幅の最小値となるヌルポイントNを検出する。そして、検出したヌルポイントNからスイッチ周波数fsw0 を検出する処理を行う。
【0061】
本実施の形態は、送信波となるRF信号は、FM変調でなく振幅変調により、受信部4B側で、反射波信号から変調成分信号のみをバンドパスフィルタ33で抽出する構成である。したがって、FM−CW方式の近距離レーダ装置1Aよりも構成が簡単であり、安価な装置を提供することができる。
【0062】
また、本実施の形態のAM方式の近距離レーダ装置1Bは、同調制御部35において、低周波発振器27から発振される変調周波数とバンドパスフィルタ33の通過中心周波数とを一致させる制御を行い、時間ごとに可変させている。これにより、自局レーダの変調周波数のみ選択し、またヌルポイントNを検出するため、他のレーダ装置からの干渉を緩和することができる。
【0063】
なお、本実施の形態の距離検出部25は、実施の形態1と同様である。また、信号処理部6Bは、振幅検波器32の直流レベルをスイッチ周波数と対応させることにより、ヌルポイントNとなるスイッチ周波数fsw0 と対応させているため、送信波が無変調の場合でも目標の距離R0を検出することができる。ただし、図5のバンドパスフィルタ33は、低域通過フィルタ(LPF)とし、直流検波レベルが信号処理部6BのA/D変換器21に入力される。また、この低域通過フィルタ(LPF)の制御は不要となる。
【0064】
(実施の形態3)
次に実施の形態3の近距離レーダ装置について説明する。距離測定範囲に比例して掃引周波数幅が決まるため、距離測定範囲が広いほどスイッチ駆動信号原(LO)の製作が難しくなる。特に近距離になるほどスイッチ周波数が高くなり回路製作が困難となる。たとえば、測定距離が1[m]から10[m]までとすると、スイッチ周波数は、式(9)から15[MHz]から150[MHz]となる。近距離測定限界を0.5[m]とすると、スイッチ周波数の最大は300[MHz]となる。したがって、本実施の形態では、実施の形態1又は2の近距離レーダ装置1の送信部3及び受信部4に、遅延手段36を挿入した構成としたものである。
【0065】
図7に示すように、遅延部36は、送信側遅延部37と受信側遅延部38とで構成される。送信側遅延部37及び受信側遅延部38はともに、送信アンテナ11と送信スイッチ10との間に接続されている。同様に、受信アンテナ12と受信スイッチ13との間にも接続されている。また、送信側遅延部37と受信側遅延部38は、一対のRFスイッチ39,40と、このRFスイッチ39,40の間に複数の遅延伝送路41,42,43(図では各3本)が並列接続されている。一対のRFスイッチ39,40は、信号処理部6B内の遅延制御部44により開閉制御されている。
【0066】
また、この遅延伝送路41,42,43は、例えば、同軸線,導波管,トリプレート線路,マイクロストリップ線路などを用いることができる。この複数の遅延伝送路41,42,43の長さは異なっており、掃引周波数幅が一定であれば検知距離範囲が決まるが、遅延伝送路41,42,43を追加する分、短距離測定限界が短くなる。遅延伝送路41,42,43は空間の往復距離に相当する距離と等価な長さに設定する。したがって、遅延制御部44では、送受信アンテナ11,12と目標T間の距離を検知する場合、複数の遅延線路を切り替えたときのヌルポイントとなるスイッチ周波数から求められる距離から遅延伝送路41,42,43相当の距離を差し引くような信号処理をおこなう。また、遅延制御部44は、所定の周期で第一遅延伝送路41,第二遅延伝送路42,第三遅延伝送路43の順に切替制御している。
【0067】
本実施の形態によれば、レーダ検知距離が極近距離まで検出する場合に有効である。すなわち、レーダの受信電力Prは、送信電力,目標Tの反射断面積,送受信アンテナ利得から、検知距離Rの4乗に反比例(Pr∝K/R4)することが知られている。たとえば、送信電力1[mW],目標Tの反射断面積10[dBsm],送受信アンテナ利得20[dB],検知距離範囲0.3[m]から10[m]までとすると、受信電力は−10.1[dBm]から−71[dBm]となり、受信機のダイナミックレンジが約61[dB]必要となる。特に最短距離では大きな受信電力が受信機に入力されるので、過大入力に耐えられる受信回路が必要となる。遅延伝送路41,42,43の損失は、マイクロストリップ線路などにより小型に製作すると大きくなるが、受信感度内であれば、遅延伝送路41,42,43の距離に見合う損失が増えても問題はなく、近距離測定により受信レベルが高くなる場合にも、遅延伝送路41,42,43の損失分低くなり、受信部の飽和による影響を緩和できる。
【0068】
このため、遅延伝送路41,42,43をRFスイッチ39,40で切り替えることにより、掃引スイッチ周波数範囲を維持することができ、測定距離範囲を広げることができる。また、受信部4を飽和させないための自動増幅器や送信制御器などを別途設ける必要も無く、遅延伝送路41,42,43とRFスイッチ39,40を追加するだけで近距離性能の向上を図ることができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、送信部3と受信部4にそれぞれ遅延部37,38を設けた例について説明したが、図8に示すように、単一の送受信アンテナ46を用いる場合は、アンテナ共用手段47と送受信アンテナ46との間に、単一の遅延部45を設ける構成としても良い。アンテナ共用手段47としてはサーキュレータや90度ハイブリッド回路や分岐回路を用いることができる。これにより、装置の小型化を図ることができる。
【0070】
(付記1)目標に対し送信信号を送信し前記目標からの反射波信号を受信する送受信手段と、
所定のスイッチ周波数により前記目標に対する送受信を時分割で行うことにより逆相で切り替える送受信スイッチと、
前記反射波信号の検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントを検出するヌルポイント検出手段と、
を備えたことを特徴とする近距離レーダ装置。
【0071】
(付記2)前記ヌルポイント検出手段は、前記スイッチ周波数に基づいて、前記反射波信号を周波数掃引することにより前記ヌルポイントを検出することを特徴とする付記1に記載の近距離レーダ装置。
【0072】
(付記3)更に、前記検出したヌルポイントに基づいて、前記目標までの距離を検出する距離検出手段を備えたことを特徴とする付記1または2に記載の近距離レーダ装置。
【0073】
(付記4)前記距離検出手段は、前記検出したヌルポイントに対応するスイッチ周波数に基づいて、前記目標までの距離を演算することを特徴とする付記3に記載の近距離レーダ装置。
【0074】
(付記5)更に、前記反射波信号のうち所定の周波数成分を通過させる帯域通過手段と、
前記帯域通過手段を通過した前記反射波信号の通過周波数を、前記送信信号を変調する変調周波数に同調制御する同調制御手段と、
を備えたことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の近距離レーダ装置。
【0075】
(付記6)更に、前記送信信号と前記反射波信号とを遅延させる遅延手段と、
前記遅延手段を制御する遅延制御手段と、
を備えたことを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の近距離レーダ装置。
【0076】
(付記7)前記遅延手段は、信号遅延時間が異なる複数の遅延伝送路と、前記複数の遅延伝送路のいずれかに切り替える切替スイッチと、を備え、
前記遅延制御手段は、前記切替スイッチを切替制御することを特徴とする付記6に記載の近距離レーダ装置。
【0077】
(付記8)目標に対し送信信号を送信し前記目標からの反射波信号を受信する送受信手段と、
所定のスイッチ周波数により前記目標に対する送受信を時分割で行うことにより逆相で切り替える送受信スイッチと、
前記反射波信号の検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントを検出するヌルポイント検出手段と、
を備えたことを特徴とする近距離レーダ装置を搭載した車両。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、レーダ装置が簡単な構成であっても、近距離の目標に対して高精度に距離を測定することができるという効果を奏する。また、簡単な装置構成を採用することにより、安価な近距離レーダ装置を提供することができるという効果を奏する。更に、他レーダからの干渉においても高精度な近距離測定をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態1を示す構成図である。
【図2】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態1において、三角波によりヌルポイントの検出を示す波形図である。
【図3】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態1において、鋸波によりヌルポイントの検出を示す波形図である。
【図4】近距離における目標Tと受信電力Prと距離Rとの関係を示すグラフである。
【図5】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態2を示す構成図である。
【図6】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態2において、鋸波によりヌルポイントの検出を示す波形図である。
【図7】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態3を示す構成図である。
【図8】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態3の変形例を示す構成図である。
【図9】従来の時分割方式のレーダ装置を示す構成図である。
【図10】時分割方式のレーダ装置における動作原理を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 近距離レーダ装置
1A FM−CW方式の近距離レーダ装置
1B AM方式の近距離レーダ装置
2A,2B 送受信手段(送受信部)
10 送信スイッチ
13 受信スイッチ
24 ヌルポイント検出手段(ヌルポイント検出部)
25 距離検出手段(距離検出部)
33 帯域通過部(バンドパスフィルタ)
35 同調制御手段(同調制御部)
36,45 遅延手段(遅延部)
39,40 RFスイッチ
41,42,43 遅延伝送路
44 遅延制御手段(遅延制御部)
T 目標
N ヌルポイント
【発明の属する技術分野】
この発明は、目標との距離、特に近距離を測定するレーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車載レーダ装置は、目標となる先行車との距離を測定・検出して追突の危険性を判別し、運転者に警報するものである。このような車載レーダ装置は、車両に搭載するため小型化が要求されている。
【0003】
そこで、上述した小型化あるいは低廉化の要求を満たすため、従来から、機器構成が簡単なFM−CWレーダ方式の車載レーダ装置が提供されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1のレーダ装置は、周波数変調信号を送信し、目標物体で反射された信号を受信して送信信号と混合して得たビート信号から上記目標物体の距離及び相対速度を得るレーダ装置において、単一のアンテナを使用し、送受信を時分割で行うレーダ装置である。
【0005】
すなわち、特許文献1のレーダ装置は、図9に示すように、電圧制御発振器(VCO)50には周波数が数KHzの三角波のベースバンド信号(MOD)が印加され、電圧制御発振器50で周波数変調が行われる。この被周波数変調信号は周波数f0 が数10[GHz]であり、送信側スイッチ(SW)51に供給されると共に、その一部が分岐されて受信ミキサ52に供給される。送信側スイッチ51はスイッチ駆動信号源(LO)53の出力する駆動信号により開閉制御される。なお駆動信号は周波数fswが数10[MHz]で50%デューティの矩形波である。そして、送信側スイッチ51のON時に周波数変調信号がアンテナ共用手段54を通してアンテナ55に供給されて送信される。また、スイッチ駆動信号源53の出力する駆動信号はインバータ56で反転されて受信側スイッチ57に供給されている。これにより、送信側スイッチ51OFF時に受信側スイッチ57がONされ、この受信側スイッチ57のON時にアンテナ55で受信した受信信号がアンテナ共用手段54、受信側スイッチ57を通して受信ミキサ52に供給され、IF信号とされて出力される。これにより、単一のアンテナを送信及び受信で共用するため、レーダ装置の小型化及び低廉化を実現している。
【0006】
また、FM−CWレーダ方式の他、パルス方式や2周波CW方式がある。パルス方式のレーダ装置は、パルス変調した送信波を、目標に反射させ、エコーとして受信するレーダ装置である。そして、送信パルスに対するエコーの遅延時間により、目標までの距離が求められる。また、2周波CW方式のレーダ装置では、非常に近接した連続波(CW)の2波をほぼ同時に送信し、目標から反射されるエコーのドプラ成分の位相差から距離を、またドプラ周波数から速度を検出する装置である。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−243738号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなレーダ装置は、小型化の要求のほか、更なる事故防止及び安全確保のため、近距離測定の高精度化、すなわち距離分解能(二つの距離方向の目標を分離する能力)の高精度化が要求されている。
【0009】
この近距離の距離分解能が要求される場合は、FM−CW方式のレーダ装置では機器構成が比較的簡単であるが、システムの距離分解能ΔRを高めるためには下記式(1)のように周波数偏移幅ΔFを高める必要がある。
【0010】
ΔR=C/(2×ΔF)・・・・・・・・・式(1)
但し、Cは光速でC≒3×108[m/s]である。
【0011】
式(1)によれば、ΔF=100[MHz]ではΔR=1.5[m]となる。
【0012】
しかしながら、上述したFM−CW方式のレーダ装置は、図10に示すように、送受信スイッチにより、スイッチ周波数で目標に対する送受信を逆相で切り替えている。このため、送受信用アンテナが共用でき小型化が可能となるが、一方で、近距離の距離分解能を高めるために周波数偏移幅ΔFを広げると、周波数変調の直線性の確保が困難となる。また、現行の76GHz帯レーダバンドは電波法の規定から1[GHz]以下に制限される。したがって、上述したFM−CW方式のレーダ装置では、周波数偏移幅ΔFの拡大に限界があり、近距離の距離分解能の性能を向上させることができなかった。
【0013】
また、パルス方式のレーダ装置では、近距離ではパルス幅τが狭くなり、送受信機及びアンテナが広帯域となる欠点がある。たとえば、最小探知距離Rmin(パルス幅τの間に電波が往復する距離)は、下記の式(2)で与えられる。
【0014】
Rmin=C・(τ/2)・・・・・・・・・式(2)
【0015】
また、送信波の帯域幅をBとすると、パルス幅τと帯域幅Bの関係は、略、B=2/τであるから、Rmin=1[m]とすると、帯域幅BはB=300[MHz]となり、通常のレーダ送受信機やアンテナでは近距離測定をすることが困難であった。また、広帯域なレーダ送受信機や広帯域なアンテナを用いると近距離測定も可能であるが、これらを用いると安価なレーダ装置を提供することができなかった。
【0016】
更に、パルス方式のレーダ装置は、時分割方式によりアンテナを共用することも可能であるが、近距離においては、狭いパルス幅,高速な立上り及び立下り特性が必要であり、通常の送信変調系及び受信系では困難であった。また、送信変調系及び受信系を高性能化すると、それだけ高価なものとなり、安価なレーダ装置を提供することができなかった。
【0017】
また、2周波CW方式のレーダ装置は、FM−CW方式とほぼ同じ構成で簡単であり、VCOに要求される性能が緩和される利点がある。しかしながら、目標とレーダの相対速度がない場合、ドップラ信号がなく距離が測定できない欠点がある。特に、自動車の渋滞時のように、Stop−And−Go(ストップアンドゴウ)とよばれる低速で短間隔の車間距離の制御には不利であった。
【0018】
更に、レーダ伝搬損失が距離の4乗に反比例するため、上述した従来のレーダ装置では、極近距離の目標に対し距離測定を行なうと、受信レベルが高くなり、受信回路の飽和が生じる問題があった。
【0019】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、小型で簡単な構成かつ極近距離においても、高精度な距離測定をすることができる近距離レーダ装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる近距離レーダ装置は、目標に対し送信信号を送信し前記目標からの反射波信号を受信する送受信手段と、所定のスイッチ周波数により前記目標に対する送受信を時分割で行うことにより逆相で切り替える送受信スイッチと、前記反射波信号の検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントを検出するヌルポイント検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、ヌルポイントを検出することにより、小型で簡単な構成かつ極近距離であっても、目標までの距離を高精度で検知することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる近距離レーダ装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の近距離レーダ装置1の実施の形態1の構成を示すブロック図である。本図は、FM−CW方式の近距離レーダ装置1Aを示している。
【0024】
このFM−CW方式の近距離レーダ装置1Aは、送受信部2A(送信部3Aと受信部4A)と、スイッチ制御部5Aと、信号処理部6Aと、で構成されている。
【0025】
送信部3Aは、三角波発生回路7と、高周波の電圧可変発振器(VCO)8と、送信スイッチ10と、送信アンテナ11と、で構成される。三角波発生回路7は、信号処理部6Aからのクロック信号に同期した三角波を出力する。電圧可変発振器8は、三角波発生回路7から出力された三角波を周波数変調して、周波数変調信号を出力する。また、電圧可変発振器8は、受信部4Aの第一ミキサ14に接続されており、この周波数変調信号の一部を第一ミキサ14に出力する。送信スイッチ10は、スイッチ制御部5Aにより開閉制御される。送信アンテナ11は、目標Tに向けて、周波数変調された三角波(周波数変調信号)を送信波として送信する。
【0026】
受信部4Aは、受信アンテナ12と、受信スイッチ13と、第一ミキサ14と、バンドパスフィルタ15と、第二ミキサ16と、で構成される。受信アンテナ12は、目標Tからの反射波を受信する。受信スイッチ13は、スイッチ制御部5Aにより開閉制御される。第一ミキサ14は、送信部3Aからの周波数変調信号と反射波信号とを混合して中間周波数信号を出力する。バンドパスフィルタ15は、第一ミキサ14からの中間周波数信号を所定の帯域で通過させる。第二ミキサ16は、バンドパスフィルタ15を通過した中間周波数信号と、スイッチ駆動信号源(LO)17の局部発振信号と、を混合することで、検波信号としてのビート信号を出力する。
【0027】
スイッチ制御部5Aは、スイッチ駆動信号源(LO)17と、インバータ18と、を備えている。スイッチ駆動信号源(LO)17は、送信スイッチ10に接続される。また、送信スイッチ10への接続ラインから分岐し、インバータ18を介して受信スイッチ13に接続されている。これにより、送信スイッチ10と受信スイッチ13とは互いに逆相で開閉駆動される。
【0028】
また、信号処理部6Aは、クロック発振器20と、A/D変換器21と、高速フーリエ変換器22と、メモリ23と、ヌルポイント検出部24と、距離検出部25と、で構成されている。クロック発振器20は、送信部3Aの三角波発生回路7とスイッチ制御部5Aのスイッチ駆動信号源(LO)17に対し、基準となるクロック信号を入力する。また、A/D変換器21は、検波したビート信号をデジタル変換する。高速フーリエ変換器22は、デジタル化されたビート信号を高速フーリエ変換することで、ビート信号波形を目標Tの距離に相当する周波数成分に分解し、メモリ23に記憶する。ヌルポイント検出部24は、ビート信号の周波数成分における検波レベルと、スイッチ駆動信号源(LO)17からの局部発振信号と、に基づいて、検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントN(図2参照)を検出する。距離検出部25は、所定の演算式により、検出されたヌルポイントNに基づいて目標Tまでの距離R0を検出する。
【0029】
次に、ヌルポイント検出部24におけるヌルポイントNの検出処理について説明する。図2に示すように、局部発振信号により検波レベルを周波数掃引する。これにより、検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントNを検出することができる。この掃引スイッチ周波数fswがヌルポイントNのスイッチ周波数fsw0となる。
【0030】
これは、ヌルポイントNにおいて、等価的に急峻なバンドパスフィルタを挿入したことになる。なお、図2では、局部発振信号を三角波状に掃引したが、図3に示すように、鋸波状に掃引することとしても良い。
【0031】
また、図2に示すように、連続して検出されたスイッチ周波数fsw0の検出された時間の差を抽出することにより、目標Tとの相対速度を算出することができる。なお、局部発振信号が鋸波状で周波数掃引された場合は、図3に示すように、検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントNと、そのヌルポイントNのスイッチ周波数fswを検出する。
【0032】
次に、距離検出部25について説明する。距離検出部25は、ヌルポイント検出部24で検出されたヌルポイントNのスイッチ周波数fsw0に基づいて、目標Tまでの距離R0を検出する。以下、距離R0の検出について説明する。
【0033】
図10において、送信部3Aと受信部4Aによる送受信時に、目標反射遅延時間τと、送信スイッチ10及び受信スイッチ13による送受信スイッチ周期Tswと、が略一致、すなわち受信区間が略なくなると、受信部4Aは不感状態(null)になる。このため、局部発振信号をスイッチ周波数fsw(fsw=1/Tsw)で掃引することにより、ある距離R0にある目標Tからの反射波信号を選択的に排除することができる。送信信号と反射波信号を0−πの位相差でスイッチすると、スイッチ周波数fsw[Hz]と距離R[m]の関係により、送信スイッチ10及び受信スイッチ13が無い場合の連続波受信電力と、送信スイッチ10及び受信スイッチ13がある場合の連続波受信電力と、の受信電力比SWは、下記式(3)で表すことができる。
【0034】
SW=(1/2)×(2/π)×sin(kπ)・・・・・・・・・式(3)
なお、kは任意の整数である。
【0035】
一方、目標Tまでの距離R[m],光速C[m/s]とすると、近距離レーダ装置1の目標反射遅延時間τ[s]は、下記式(4)で表すことができる。
【0036】
τ=2・R/C・・・・・・・・・式(4)
【0037】
また、目標反射遅延時間τが送受信スイッチ周期Tswを越える場合、何周期分の遅れかを示す式τ/Tswの整数部分をnとする。この場合における式(4)のkは、以下に示す条件(1)においては、下記式(5)で表すことができる。
【0038】
n×Tsw≦τ<((2n+1)/2)×Tsw・・・・・・・・・条件(1)
【0039】
k=(τ−(n・Tsw))/Tsw・・・・・・・・・式(5)
【0040】
一方、以下に示す条件(2)においては、式(3)のkは、下記式(6)で表すことができる。
【0041】
((2n+1)/2)×Tsw≦τ<(n+1)×Tsw・・・・・・・・・条件(2)
【0042】
k=((n+Tsw)−τ)/Tsw・・・・・・・・・式(6)
【0043】
ここで、近距離の受信感度が不感状態(null)となる距離R0とスイッチ周波数fsw0は、式(5)及び式(6)のk,nがk=1,n=1のときである。したがって、不感状態(null)での目標反射遅延時間τ0は、下記式(7)で表すことができる。
【0044】
同様に、不感状態(null)でのスイッチ周波数fsw0は、下記式(8)で表すことができる。
【0045】
τ0=Tsw・・・・・・・・・式(7)
【0046】
fsw0=C/(2×R0)・・・・・・・・・式(8)
【0047】
この式(8)により、近距離の目標Tまでの距離R0は、下記式(9)で表すことができる。
【0048】
R0=C/(2×fsw0)・・・・・・・・・式(9)
【0049】
この式(9)により、近距離の目標Tまでの距離R0を算出することができる。なお、目標距離R0=1[m]では、fsw0 =150[MHz]で受信感度が最低となる。
【0050】
なお、図4に、近距離における目標Tの受信電力Prと距離Rとの関係を示す。このグラフの縦軸は、所謂レーダ方程式により算出される受信電力Prを示している。ここで、スイッチ周波数fswはfsw=56[MHz]、目標Tの反射断面積σはσ=10[dBsm]、送信電力Ptは0[dBm]、アンテナ利得GはG=30.9[dB]である。このグラフによれば、約8.03[m]の距離で、受信電力の落ち込みが大きくなり、この距離が不感状態での近距離の目標Tまでの距離となる。またこの場合、10[dB]のレベル差が検出できれば、10[cm]以内の誤差で距離が測定できることになる。
【0051】
このように、FM−CWレーダ方式の近距離レーダ装置1Aは、従来技術で示した通りビート周波数のみでは、近距離の目標Tに対して十分な距離分解能が得られないが、高速フーリエ変換による目標距離に対応するビート周波数は大よそでよい。このため、検波レベル(ビート周波数)の低下のみ注目することにより、距離測定はスイッチ周波数fswで測定することができる。本実施の形態では、大まかな範囲のビート周波数を単に振幅の変化により検出して、スイッチ周波数fswと対応させる。これにより、検波レベルの最小値となるヌルポイントNのスイッチ周波数fsw0から距離R0を求めることができる。
【0052】
(実施の形態2)
次に実施の形態2の近距離レーダ装置について説明する。図5は、本発明の近距離レーダ装置の実施の形態2の構成図である。
【0053】
この近距離レーダ装置1は、AM方式の近距離レーダ装置1Bであり、送受信部2B(送信部3Bと受信部4B)とスイッチ制御部5Bと信号処理部6Bとで構成されている。
【0054】
送信部3Bは、RF発振器26と、低周波発振器27と、AM変調器28と、第一増幅器30と、送信スイッチ10と、送信アンテナ11と、で構成されており、RF発振器26と、低周波発振器27と、AM変調器28と、第一増幅器30と、を設けた点が実施の形態1と異なる点である。RF発振器26は、搬送波となるRF信号を発振する。低周波発振器27は、低周波の変調信号を出力する。AM変調器28は、変調信号によりRF信号を振幅変調する。第一増幅器30は、変調されたRF信号を増幅する。送信アンテナ11は、送信スイッチ10がONの時に、増幅されたRF信号を送信波として目標Tに向け輻射する。
【0055】
一方、受信部4Bは、受信アンテナ12と、受信スイッチ13と、第二増幅器31と、振幅検波器32と、バンドパスフィルタ33と、第三増幅器34と、で構成されており、第二増幅器31と、振幅検波器32と、バンドパスフィルタ33と、第三増幅器34と、を設けた点が実施の形態1と異なる点である。受信アンテナ12は、目標Tからの反射波を受信する。そして、受信スイッチ13がONの時に、受信した反射波を第二増幅器31に出力する。振幅検波器32は、第二増幅器31で増幅された反射波の包絡線検波を行い、直流分の他、変調成分の信号を出力する。バンドパスフィルタ33は、振幅検波器32により検波された検波出力から、変調成分信号を選択的に通過させる。第三増幅器34は、変調成分信号を増幅して信号処理部6Bに出力する。
【0056】
スイッチ制御部5Bは、スイッチ駆動信号源(LO)17と、インバータ18と、を備えている。スイッチ駆動信号源(LO)17は、送信スイッチ10に接続される。また、送信スイッチ10への接続ラインから分岐し、インバータ18を介して受信スイッチ13に接続されている。これにより、送信スイッチ10と受信スイッチ13とは互いに逆相で開閉駆動される。
【0057】
また、信号処理部6Bは、クロック発振器20と、同調制御部35と、AD変換器21と、高速フーリエ変換器22と、メモリ23と、ヌルポイント検出部24と、距離検出部25と、で構成されており、同調制御部35を設けた点が実施の形態1と異なる点である。
【0058】
同調制御部35は、送信部3Bの低周波発振器27から発振される変調周波数と、受信部4Bのバンドパスフィルタ33の通過中心周波数と、を同調させる制御を行う。
【0059】
また、本実施の形態では、A/D変換器21で変調成分信号をデジタル変換した後、時間管理された掃引スイッチ周波数毎にその振幅をメモリ23に記憶する。
【0060】
そして、図6に示すように、ヌルポイント検出部24は、メモリ一区間内の一定の時間分割毎に、掃引波形が階段状(図では鋸波状)に変化するスイッチ周波数と、検波レベルとなるメモリ23に記憶された変調成分信号の振幅と、により、その振幅の最小値となるヌルポイントNを検出する。そして、検出したヌルポイントNからスイッチ周波数fsw0 を検出する処理を行う。
【0061】
本実施の形態は、送信波となるRF信号は、FM変調でなく振幅変調により、受信部4B側で、反射波信号から変調成分信号のみをバンドパスフィルタ33で抽出する構成である。したがって、FM−CW方式の近距離レーダ装置1Aよりも構成が簡単であり、安価な装置を提供することができる。
【0062】
また、本実施の形態のAM方式の近距離レーダ装置1Bは、同調制御部35において、低周波発振器27から発振される変調周波数とバンドパスフィルタ33の通過中心周波数とを一致させる制御を行い、時間ごとに可変させている。これにより、自局レーダの変調周波数のみ選択し、またヌルポイントNを検出するため、他のレーダ装置からの干渉を緩和することができる。
【0063】
なお、本実施の形態の距離検出部25は、実施の形態1と同様である。また、信号処理部6Bは、振幅検波器32の直流レベルをスイッチ周波数と対応させることにより、ヌルポイントNとなるスイッチ周波数fsw0 と対応させているため、送信波が無変調の場合でも目標の距離R0を検出することができる。ただし、図5のバンドパスフィルタ33は、低域通過フィルタ(LPF)とし、直流検波レベルが信号処理部6BのA/D変換器21に入力される。また、この低域通過フィルタ(LPF)の制御は不要となる。
【0064】
(実施の形態3)
次に実施の形態3の近距離レーダ装置について説明する。距離測定範囲に比例して掃引周波数幅が決まるため、距離測定範囲が広いほどスイッチ駆動信号原(LO)の製作が難しくなる。特に近距離になるほどスイッチ周波数が高くなり回路製作が困難となる。たとえば、測定距離が1[m]から10[m]までとすると、スイッチ周波数は、式(9)から15[MHz]から150[MHz]となる。近距離測定限界を0.5[m]とすると、スイッチ周波数の最大は300[MHz]となる。したがって、本実施の形態では、実施の形態1又は2の近距離レーダ装置1の送信部3及び受信部4に、遅延手段36を挿入した構成としたものである。
【0065】
図7に示すように、遅延部36は、送信側遅延部37と受信側遅延部38とで構成される。送信側遅延部37及び受信側遅延部38はともに、送信アンテナ11と送信スイッチ10との間に接続されている。同様に、受信アンテナ12と受信スイッチ13との間にも接続されている。また、送信側遅延部37と受信側遅延部38は、一対のRFスイッチ39,40と、このRFスイッチ39,40の間に複数の遅延伝送路41,42,43(図では各3本)が並列接続されている。一対のRFスイッチ39,40は、信号処理部6B内の遅延制御部44により開閉制御されている。
【0066】
また、この遅延伝送路41,42,43は、例えば、同軸線,導波管,トリプレート線路,マイクロストリップ線路などを用いることができる。この複数の遅延伝送路41,42,43の長さは異なっており、掃引周波数幅が一定であれば検知距離範囲が決まるが、遅延伝送路41,42,43を追加する分、短距離測定限界が短くなる。遅延伝送路41,42,43は空間の往復距離に相当する距離と等価な長さに設定する。したがって、遅延制御部44では、送受信アンテナ11,12と目標T間の距離を検知する場合、複数の遅延線路を切り替えたときのヌルポイントとなるスイッチ周波数から求められる距離から遅延伝送路41,42,43相当の距離を差し引くような信号処理をおこなう。また、遅延制御部44は、所定の周期で第一遅延伝送路41,第二遅延伝送路42,第三遅延伝送路43の順に切替制御している。
【0067】
本実施の形態によれば、レーダ検知距離が極近距離まで検出する場合に有効である。すなわち、レーダの受信電力Prは、送信電力,目標Tの反射断面積,送受信アンテナ利得から、検知距離Rの4乗に反比例(Pr∝K/R4)することが知られている。たとえば、送信電力1[mW],目標Tの反射断面積10[dBsm],送受信アンテナ利得20[dB],検知距離範囲0.3[m]から10[m]までとすると、受信電力は−10.1[dBm]から−71[dBm]となり、受信機のダイナミックレンジが約61[dB]必要となる。特に最短距離では大きな受信電力が受信機に入力されるので、過大入力に耐えられる受信回路が必要となる。遅延伝送路41,42,43の損失は、マイクロストリップ線路などにより小型に製作すると大きくなるが、受信感度内であれば、遅延伝送路41,42,43の距離に見合う損失が増えても問題はなく、近距離測定により受信レベルが高くなる場合にも、遅延伝送路41,42,43の損失分低くなり、受信部の飽和による影響を緩和できる。
【0068】
このため、遅延伝送路41,42,43をRFスイッチ39,40で切り替えることにより、掃引スイッチ周波数範囲を維持することができ、測定距離範囲を広げることができる。また、受信部4を飽和させないための自動増幅器や送信制御器などを別途設ける必要も無く、遅延伝送路41,42,43とRFスイッチ39,40を追加するだけで近距離性能の向上を図ることができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、送信部3と受信部4にそれぞれ遅延部37,38を設けた例について説明したが、図8に示すように、単一の送受信アンテナ46を用いる場合は、アンテナ共用手段47と送受信アンテナ46との間に、単一の遅延部45を設ける構成としても良い。アンテナ共用手段47としてはサーキュレータや90度ハイブリッド回路や分岐回路を用いることができる。これにより、装置の小型化を図ることができる。
【0070】
(付記1)目標に対し送信信号を送信し前記目標からの反射波信号を受信する送受信手段と、
所定のスイッチ周波数により前記目標に対する送受信を時分割で行うことにより逆相で切り替える送受信スイッチと、
前記反射波信号の検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントを検出するヌルポイント検出手段と、
を備えたことを特徴とする近距離レーダ装置。
【0071】
(付記2)前記ヌルポイント検出手段は、前記スイッチ周波数に基づいて、前記反射波信号を周波数掃引することにより前記ヌルポイントを検出することを特徴とする付記1に記載の近距離レーダ装置。
【0072】
(付記3)更に、前記検出したヌルポイントに基づいて、前記目標までの距離を検出する距離検出手段を備えたことを特徴とする付記1または2に記載の近距離レーダ装置。
【0073】
(付記4)前記距離検出手段は、前記検出したヌルポイントに対応するスイッチ周波数に基づいて、前記目標までの距離を演算することを特徴とする付記3に記載の近距離レーダ装置。
【0074】
(付記5)更に、前記反射波信号のうち所定の周波数成分を通過させる帯域通過手段と、
前記帯域通過手段を通過した前記反射波信号の通過周波数を、前記送信信号を変調する変調周波数に同調制御する同調制御手段と、
を備えたことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の近距離レーダ装置。
【0075】
(付記6)更に、前記送信信号と前記反射波信号とを遅延させる遅延手段と、
前記遅延手段を制御する遅延制御手段と、
を備えたことを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の近距離レーダ装置。
【0076】
(付記7)前記遅延手段は、信号遅延時間が異なる複数の遅延伝送路と、前記複数の遅延伝送路のいずれかに切り替える切替スイッチと、を備え、
前記遅延制御手段は、前記切替スイッチを切替制御することを特徴とする付記6に記載の近距離レーダ装置。
【0077】
(付記8)目標に対し送信信号を送信し前記目標からの反射波信号を受信する送受信手段と、
所定のスイッチ周波数により前記目標に対する送受信を時分割で行うことにより逆相で切り替える送受信スイッチと、
前記反射波信号の検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントを検出するヌルポイント検出手段と、
を備えたことを特徴とする近距離レーダ装置を搭載した車両。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、レーダ装置が簡単な構成であっても、近距離の目標に対して高精度に距離を測定することができるという効果を奏する。また、簡単な装置構成を採用することにより、安価な近距離レーダ装置を提供することができるという効果を奏する。更に、他レーダからの干渉においても高精度な近距離測定をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態1を示す構成図である。
【図2】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態1において、三角波によりヌルポイントの検出を示す波形図である。
【図3】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態1において、鋸波によりヌルポイントの検出を示す波形図である。
【図4】近距離における目標Tと受信電力Prと距離Rとの関係を示すグラフである。
【図5】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態2を示す構成図である。
【図6】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態2において、鋸波によりヌルポイントの検出を示す波形図である。
【図7】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態3を示す構成図である。
【図8】本発明の近距離レーダ装置の実施の形態3の変形例を示す構成図である。
【図9】従来の時分割方式のレーダ装置を示す構成図である。
【図10】時分割方式のレーダ装置における動作原理を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 近距離レーダ装置
1A FM−CW方式の近距離レーダ装置
1B AM方式の近距離レーダ装置
2A,2B 送受信手段(送受信部)
10 送信スイッチ
13 受信スイッチ
24 ヌルポイント検出手段(ヌルポイント検出部)
25 距離検出手段(距離検出部)
33 帯域通過部(バンドパスフィルタ)
35 同調制御手段(同調制御部)
36,45 遅延手段(遅延部)
39,40 RFスイッチ
41,42,43 遅延伝送路
44 遅延制御手段(遅延制御部)
T 目標
N ヌルポイント
Claims (5)
- 目標に対し送信信号を送信し前記目標からの反射波信号を受信する送受信手段と、
所定のスイッチ周波数により前記目標に対する送受信を時分割で行うことにより逆相で切り替える送受信スイッチと、
前記反射波信号の検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントを検出するヌルポイント検出手段と、
を備えたことを特徴とする近距離レーダ装置。 - 前記検出したヌルポイントに基づいて、前記目標までの距離を検出する距離検出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の近距離レーダ装置。
- 前記距離検出手段は、前記検出したヌルポイントに対応するスイッチ周波数に基づいて、前記目標までの距離を演算することを特徴とする請求項2に記載の近距離レーダ装置。
- 前記反射波信号のうち所定の周波数成分を通過させる帯域通過手段と、
前記帯域通過手段を通過した前記反射波信号の通過周波数を、前記送信信号を変調する変調周波数に同調制御する同調制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の近距離レーダ装置。 - 目標に対し送信信号を送信し前記目標からの反射波信号を受信する送受信手段と、
所定のスイッチ周波数により前記目標に対する送受信を時分割で行うことにより逆相で切り替える送受信スイッチと、
前記反射波信号の検波レベルが最低レベルとなるヌルポイントを検出するヌルポイント検出手段と、
を備えたことを特徴とする近距離レーダ装置を搭載した車両。
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- 2003-02-12 JP JP2003033953A patent/JP2004245647A/ja not_active Withdrawn
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