JP2000179180A - 集合住宅 - Google Patents

集合住宅

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JP2000179180A
JP2000179180A JP10358486A JP35848698A JP2000179180A JP 2000179180 A JP2000179180 A JP 2000179180A JP 10358486 A JP10358486 A JP 10358486A JP 35848698 A JP35848698 A JP 35848698A JP 2000179180 A JP2000179180 A JP 2000179180A
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JP
Japan
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earthquake
seismic
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resistant
apartment house
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JP10358486A
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English (en)
Inventor
Kyoji Noguchi
恭司 野口
Yasunari Fujiwara
泰成 藤原
Satoshi Araki
聡 荒木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Construction Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Construction Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 採光および通風に優れた平面形状が略C形状
で、耐震性能にも優れた集合住宅を提供する。 【解決手段】 内部に上下方向へ吹抜き空間3が形成さ
れた環状平面形の複数階からなる建物本体部2に、環状
平面形の一部を上下方向へ切り欠いて解放空間部4を形
成し、この解放空間部4を介して吹抜き空間3と建物本
体部2の外部空間とを連通させた集合住宅において、建
物本体部2にラーメン体構造体25と、フラットスラブ
構造体26からなる本体部耐震構造体を形成し、解放空
間部4にブレース5を配設し、本体部耐震構造体とブレ
ース5とを一体的に連結することによって筒状耐震構造
体を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内部に上下方向
へ吹抜き空間が形成された環状平面形の建物本体部に、
環状平面形の一部を上下方向へ切り欠いて解放空間部を
形成し、この解放空間部を介して吹抜き空間と建物本体
部の外部空間を連通させた集合住宅に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】上記したような集合住宅として、内部に
上下方向へ吹抜き空間が形成された環状平面形の建物本
体部に、環状平面形の一部を上下方向へ切り欠いて解放
空間部(開口部)を形成し、この解放空間部(開口部)
を挟む対向間に梁を架設し、解放空間部(開口部)を介
して吹抜き空間と建物本体部の外部空間を連通させた構
造のものが、例えば特開平6−129124号公報に記
載されている。このような構造にすることにより、採光
および通風の向上を図ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、環状平
面形の一部を切り欠いた筒状耐震構造体は、各階におい
て重心(G)と剛心(S)とが大幅にずれているので、
重心と剛心との距離(偏心距離)に地震力を乗じた大き
な捻り曲げモーメントが加わるため、水平面で捻れ、大
きく振られることになる。ここで、剛心とは、耐震構造
体を立体的に考えたとき、ある階の水平力に対する回転
中心であり、水平剛性によって決まる。
【0004】そして、この横振れ現象は上方階に行く程
顕著に現れ、耐震構造体を構成する柱、梁に損傷が生じ
易くなる。また、耐震構造体は、設計上で想定した地震
力以上の外力が加わったとき、挙動が不安定になる。さ
らに、地震時の各階の層間変形が大きくなるため、居室
での家具の転倒、照明器具の落下、サッシガラスの損傷
等の不測の事態が起こることもある。また、解放空間部
(開口部)近傍に設けられている避難階段へ居住者が避
難する上での防災上の問題点もある。
【0005】したがって、内部に吹抜き空間を有し、こ
の吹抜き空間と建物本体部の外部空間とを解放空間部
(開口部)で連通させた平面形状が略C形状で、採光お
よび通風に優れた特徴を活かしつつ、優れた耐震性能を
備えた集合住宅を高層化することは難しかった。
【0006】この発明は、上記したような不都合を解消
するためになされたもので、採光および通風に優れた平
面形状が略C形状で、耐震性能にも優れた集合住宅を提
供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、内部に上下
方向へ吹抜き空間が形成された環状平面形の複数階から
なる建物本体部に、環状平面形の一部を上下方向へ切り
欠いて解放空間部を形成し、この解放空間部を介して吹
抜き空間と建物本体部の外部空間とを連通させた集合住
宅において、建物本体部に複数の柱、梁からなる本体部
耐震構造体を形成し、解放空間部に外部耐震構造体を配
設したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図に
基づいて説明する。図1はこの発明の第1実施形態であ
る集合住宅の概略構成を示す平面図、図2はこの発明の
第1実施形態である集合住宅の外観説明図である。な
お、この第1実施形態は、地下2階、地上33階で、縦
(図1の上下方向)および横(図1の左右方向)ともに
5スパンである。ここで、スパンとは対向配置される2
本の柱間の単位のことで、1スパンとはそれが1単位、
つまり柱が2本の場合のことである。また、スパン長さ
とは柱間の直線距離、スパン数とはスパンの数をそれぞ
れ意味する。
【0009】図1において、1は集合住宅を示し、内部
に上下方向へ吹抜き空間3が形成された環状平面形の複
数階からなる建物本体部2に、環状平面形の一部を上下
方向へ切り欠いて解放空間部4を形成し、この解放空間
部4を介して吹抜き空間3と建物本体部2の外部空間と
を連通させている。そして、解放空間部4に外部耐震構
造体としてのブレース(筋違)5が配設されている。
【0010】上記した建物本体部2には、環状に連なる
居室21A,21B,21Cと、各居室21A,21
B,21Cの内側、すなわち吹抜き空間3に面して吹抜
き空間3を囲み、各居室21A,21B,21Cに通ず
る共用廊下22と、各居室21A,21B,21Cの外
側に面して各居室21A,21B,21Cに通ずるバル
コニー23と、共用廊下22の両端に位置する昇降設備
〔階段、エレベータ(図示が省略されている。)〕24
が設けられている。なお、居室21Cの一部は、エレベ
ータを設置するために利用される場合がある。
【0011】なお、建物本体部2は、ラーメン構造体2
5と、フラットスラブ構造体26とからなる本体部耐震
構造体で構成されている。上記したラーメン構造体25
は、複数の柱25aと、この柱25aに架設された梁2
5bとで構成され、建物平面上の二方向(図1の上下方
向および左右方向)に所要のスパン長を於いて、格子状
に配設されている。また、フラットスラブ構造体26
は、独立柱26aと、柱頭部支板26bと、床スラブ2
6cとで構成されている。
【0012】上記したラーメン構造体25は地震力のす
べてを負担し、フラットスラブ構造体26は内部の床な
どの長期鉛直荷重を支持するが、地震力を負担しない。
ここで、本体部耐震構造体の構造種別は、鉄筋コンクリ
ート造(以下、RC造という。)、鉄骨鉄筋コンクリー
ト造(以下、SRC造という。)、鉄骨コンクリート造
(以下、SC造という。)、鉄骨造が一般的であるが、
この発明はこれらの構造種別に限定されるものではな
く、それぞれの機能を発揮できるものであれば他のもの
であってもよい。RC造、SRC造、SC造では、コン
クリート現場打ちでも、プレキャストコンクリート部材
にしてもよい。
【0013】このように建物本体部2を構成することに
より、内部は床スラブ26cを独立柱26aで支持する
フラットスラブ構造体26であるので、梁形が室内に露
出していないフラットな形状になっている。そして、建
物本体部2の地震力はラーメン構造体25で処理するの
で、独立柱26aの設置数を極力少なくすることができ
る。さらに、隣接する住戸間を仕切る戸境壁を必ずしも
耐震壁とする必要もなく、広い室内空間を形成すること
ができる。
【0014】したがって、建物本体部2は、台所、浴
室、洗面所等の水場関係室の配置を含めて、内装材、間
仕切り壁、戸境壁、外壁等の間取り、住戸配置を、本体
部構造体と別個に独立して自由に変更することができる
ので、建築計画上に融通性を持たせることができる。す
なわち、本体部構造体の長い耐久期間内で、居住者のラ
イフスタイルの変化に合わせて、内部空間の間取り、内
装材を適宜自由に変更し、居住性の優れた室内空間を提
供することができる。
【0015】図2において、ブレース5は、解放空間部
4の両端部の柱に囲まれた上下方向の平面内に軸部材を
斜めに配置した構造で、たすき掛け状(X形ブレース)
に配置されている。そして、ブレース5は、本体部耐震
構造体と3層(階)毎に接合する3層1節とされてい
る。このブレース5の構造種別は鉄骨造(S造)が多
く、ブレース5の断面形状は鋼管、箱形鋼管、H形鋼、
十字状組立材、またはその他の形状であってもよい。
【0016】このブレース5は、地震時に本体部耐震構
造体の解放空間部4の相対向する柱同士が連鎖的に略同
一の水平変形、鉛直変形をすることができるように、本
体部耐震構造体の解放空間部4端縁間を縫合するように
一体的に接続する。特に、ブレース5は本体部耐震構造
体の解放空間部4端縁の相対向する柱間の鉛直方向の変
形差(ズレ)を少なくする上下方向のせん断補強部材
(コッター)として機能するので、本体部耐震構造体の
相対向する柱間が一体化した構造体となる。
【0017】したがって、ブレース5を必ずしも解放空
間部4の全階に亘って立設する必要はない。しかし、ブ
レース5が配設されている階では、外部耐震構造体は水
平力も負担する。なお、ブレース構造は、たすき掛け状
の他、K形ブレース(逆V字状)、市松状ブレース等の
公知の他の形状であってもよい。そして、ブレース材と
の端部接合は何層毎でもよく、1層毎でもよい。
【0018】また、立面的配置は複数階に立設すること
が多いが、必ずしも解放空間部4の全階に亘って立設す
る必要はない。さらに、ブレース構造は鉄骨造(S造)
が多いが、アンボンドブレースであってもよい。このア
ンボンドブレースとは、鉄骨造の軸部材をプレキャスト
コンクリート体で被覆し、鉄骨造の軸部材とプレキャス
トコンクリート体同士のコンクリート付着力を無くした
ものであり、圧縮材として使用する場合の座屈性能を向
上させたものである。さらに、ブレース構造は、RC
造、SRC造、SC造のプレキャストコンクリート製に
してもよい。
【0019】また、図1に一点鎖線で示すように、本体
部耐震構造体(柱25a、梁26b)と外部耐震構造体
(ブレース5)とは、一体的に連結されている。そし
て、本体部耐震構造体の梁軸線と、外部耐震構造体の水
平軸線とが、水平面で環状構造軸線Xを形成している。
この環状構造軸線Xは、矩形または略矩形で、建物本体
部2の外側に位置する本体部耐震構造体を通過するのが
望ましく、最外側に位置する本体部耐震構造体を通過す
るのが最も望ましい。すなわち、環状構造軸線Xが形成
する矩形または略矩形は、大きい方が望ましい。
【0020】なお、筒状耐震構造体は、本体部耐震構造
体と外部耐震構造体とが一体的に連結されて構成され
る。この筒状耐震構造体全体の水平剛性、水平耐力、並
びに捻れ剛性、捻れ耐力は、本体部耐震構造体と外部耐
震構造体とを構成する全ての構造体の総和として評価さ
れる。しかし、環状構造軸線X上に配設された耐震構造
体は、重心(G)と剛心(S)との距離(偏心距離)を
小さくすることに顕著な作用をなし、捻れ剛性および捻
れ耐力を大幅に高める。
【0021】したがって、筒状耐震構造体全体の耐震性
能は、環状構造軸線Xが形成する矩形または略矩形の辺
長に比例して大きくなる。さらに、耐震性能は外部耐震
構造体を複数個配設して、環状構造軸線Xを複数形成す
る程増大する。もちろん、環状構造軸線X上にない本体
部耐震構造体も耐震性能に寄与するが、その働きは環状
構造軸線X上よりも劣る。
【0022】図1に示すように、本体部震構造体の両端
部の柱25aに、解放空間部4の外部耐震構造体(ブレ
ース5)が接続されているので、環状構造軸線Xの本体
部耐震構造体に発生している水平力、軸力等は外部耐震
構造体を介して対向する本体部耐震構造体に円滑に伝達
される。また、外部耐震構造体が本体部耐震構造体の両
端部の柱25aに直接接続されずにスパン中間部の梁に
接続されている場合は、この接合部近傍の床スラブに地
震時に大きなせん断力が発生することになり、この床ス
ラブ近傍に、昇降設備等に供される床開口部を設けるこ
とができないことがある。
【0023】したがって、建物本体部2は解放空間部4
を有する環状平面形でありながら、筒状耐震構造体は解
放空間部4を縫合された不完全閉鎖断面形の筒状体とな
るので、筒状耐震構造体は、建物本体部2が解放空間部
4を有する環状平面形と、解放空間部4がない完全な環
状平面形の平面形状との中間的な耐震構造体の性質を有
する。このことにより、本体部耐震構造体と水平剛性と
のバランスを考慮して、外部耐震構造体の構成、配置を
調整することによって建物本体部2の重心(G)と剛心
(S)とを極力近づけ、耐震構造体全体の耐震性能を高
めるよう建築計画、構造計画することが望ましい。
【0024】図3は重心と剛心とのずれによる捻り曲げ
モーメントの説明図である。図3において、Gは建物本
体部2のある階における重心、Sは建物本体部2のある
階における剛心を示す。
【0025】上述したように、筒状耐震構造体は、不完
全な閉鎖断面形の筒状で、重心Gと剛心Sとが完全に一
致していないが、重心Gと剛心Sとの距離が従来例に比
較すると、極めて小さくなる。したがって、図3に示す
ように、地震時に、重心Gに矢印で示す水平方向の地震
力が作用すると、筒状耐震構造体に発生する、重心Gと
剛心Sとの距離に地震力を乗じた捻り曲げモーメントM
は時計方向に発生するものの、従来例に比較して格段に
減少するので、筒状耐震構造体は、水平面で捻れ、大き
く振られることがなくなる。
【0026】この横振れ現象は上方階でも少なくなり、
安定した地震時の挙動を示すことになるので、本体部耐
震構造体を構成する柱25a、梁25bに損傷が生じこ
とが少なく、本体部耐震構造体は設計上で想定した地震
力以上の外力が加わった場合でも、靭性に富んだ、優れ
た耐震性能を発揮する。また、本体部耐震構造体の解放
空間部4端縁の相対向する柱間において、外部耐震構造
体が上下方向のせん断補強部材(コッター)として機能
するので、相対向する柱間の鉛直方向の変形差(ズレ)
が少なくなるとともに、水平方向の変形の位相差がなく
なる。
【0027】したがって、地震時に本体部耐震構造体の
解放空間部4端縁同士が別個に、局部的不規則に振動す
ることがなくなり、居住者に不安感を与えることがな
い。さらに、地震時の各階の層間変形は少なくなるた
め、居室での家具の転倒、照明器具の落下、サッシガラ
スの損傷等不測の事態が起こることが少なく、また、居
住者が解放空間部4近傍に設けられている階段等の昇降
設備へ避難する上で防災上安全である。
【0028】図4はこの発明の第2実施形態である集合
住宅の概略構成を示す平面図、図5は図4に示した環状
構造軸線上に配設される補強耐震部材の一例を示す説明
図であり、図1〜図3と同一または相当部分に同一符号
を付し、その説明を省略する。図4または図5におい
て、27は補強耐震部材としての制振壁を示し、略矩形
の薄い鉄製の板状体であって、靭性に富む極低降伏点鋼
によって形成されている。
【0029】一般用鋼材の伸び性能は破断時で20%で
あるが、靭性鋼材である極低降伏点鋼の伸び性能は破断
時で40%以上である。しかも、靭性鋼材の降伏点強度
は一般用鋼材よりも小さい値を示す、すなわち、靭性鋼
材は低い強度で降伏するが、降伏後破断まで靭性に富ん
だ性能を発揮する。そして、板状体の制振壁27は、鉛
直方向、水平方向とも、所要間隔で補強リブを付設した
パネル状に構成され、靭性の有る耐震壁として機能す
る。この制振壁27は、1スパン空間内に挿入され、左
右の柱25aと、上下階の梁25bとに接続固定され
る。
【0030】このパネル状の制振壁27は、柱25a、
梁25bで構成される純ラーメン骨組に比較すると、水
平剛性、水平耐力が大幅に大きい。したがって、純ラー
メン骨組に制振壁27が組み込まれた本体部耐震構造体
は、地震時には、最初は制振壁27が地震力を負担し、
極低降伏点鋼を使用しているために早期に降伏すること
によって地震エネルギーを吸収する。すなわち、純ラー
メン骨組に加わる地震力は軽減し、柱25a、梁25b
の損傷が少なくなり、また、本体部耐震構造体の全体的
耐震性能が向上し、建物本体部2は地震時のみならず暴
風時にも各階の揺れが少なくなる。
【0031】なお、制振壁27は、本体部耐震構造体内
であって、本体部耐震構造体の梁軸線と、外部耐震構造
体の水平軸線とが水平面で形成する環状構造軸線Xに配
置するのが望ましい。この制振壁27は、筒状耐震構造
体の捻れ耐震性能を強化するのに効果的であり、特に、
ラーメン構造体と外部耐震構造体との接続部の近傍であ
って、前記ラーメン構造体の梁軸線(図4に示す直線状
の梁軸線X1 ,X2 )上に配設することにより、捻れ耐
震性能を飛躍的に向上させることができる。
【0032】しかし、制振壁27は、環状構造軸線Xの
梁軸線X1 ,X2 以外であっても構わない。また、制振
壁27の上下方向の配置は、連層的に配置しても、分散
的に配置してもよい。さらに、制振壁27は下階から上
階まですべての階に配置してもよく、一部の階に配置し
てもよい。なお、建物が高層になると、建物全体の曲げ
による水平変形が大きくなるので、下階から途中階まで
制振壁27を配置して、上階では制振壁を配置しないこ
とが多い。
【0033】上記したように制振壁27を用いた本体部
耐震構造体は、柱25a、梁25bから構成される純ラ
ーメン骨組よりも高い水平剛性、水平耐力を有する。し
たがって、集合住宅の高層化が可能になる。なお、上記
したことは、制振壁27の代わりに、RC造、SRC
造、鉄骨造の耐震壁、または、ブレース構造を補強耐震
部材として使用した場合にも適用される。そして、ブレ
ース構造は、鉄骨造、アンボンドブレース、RC造、S
RC造、SC造のプレキャストコンクリート製でもよ
い。さらに、耐震中間柱を用いた場合にも水平面上、上
下方向の配置の考え方は当てはまる。
【0034】図6はこの発明の第3実施形態である集合
住宅の概略構成を示す平面図、図7はこの発明の第3実
施形態である集合住宅の外観説明図であり、図1〜図5
と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省
略する。図6または図7において、28は耐震中間柱を
示し、環状構造軸線Xの梁軸線X1 ,X2 上に配設され
ている。そして、3層1節でたすき掛けされたブレース
5は不連続で、解放空間部4端縁に接続されている間に
梁が水平に配設されている。
【0035】このように耐震中間柱28を配設すること
により、梁軸線X1 ,X2 のラーメン構造のスパンが短
くなり、上記した効果を得ることができる。また、ブレ
ース5の解放空間部4端縁に接続されている間に梁を水
平に配設したので、水平剛性、水平耐力が高くなる。
【0036】図8はこの発明の第4実施形態である集合
住宅の概略構成を示す平面図であり、図1〜図7と同一
または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略す
る。図8において、5Aは外部耐震構造体としてのブレ
ースを示す。この第4実施形態においては、第1〜第3
実施形態における環状構造軸線Xと同様な環状構造軸線
Yが、本体部耐震構造体の梁軸線と、外部耐震構造体の
水平軸線とによって形成されている。そして、環状構造
軸線Xと環状構造軸線Yとは、本体部耐震構造体の一部
で重複している。
【0037】この第4実施形態のように、同一平面に2
つの環状構造軸線X,Yを形成するように本体部耐震構
造体と、外部耐震構造体(ブレース5,5A)とを配設
することにより、水平剛性、水平耐力をさらに高くする
ことができる。なお、この実施形態において、環状構造
軸線Y上に補強耐震部材を配設する場合は、環状構造軸
線Y上にであればどこでもよいが、第2実施形態または
第3実施形態のように、梁軸線Y1 ,Y2 上に配設する
のが望ましい。
【0038】図9はこの発明の第5実施形態である集合
住宅の概略構成を示す平面図、図10はこの発明の第5
実施形態である集合住宅の外観説明図であり、図1〜図
8と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を
省略する。
【0039】この第5実施形態の集合住宅1の建物本体
部2は、本体部耐震構造体がラーメン構造体で構成され
ている。そして、外部耐震構造体として制振壁5Bが2
層に1個ずつ配設されており、外部耐震構造体としてブ
レース構造を用いた場合に比べると、薄い鉄製の板状体
である制振壁5Bは、水平剛性は小さくなるが、水平耐
力、靭性に優れている。しかし、制振壁5Bはパネル状
であるので、解放空間部4を遮蔽しないように、制振壁
5Bに開口を設けたり、何層置きかに配置する等の工夫
が必要である。この制振壁5Bの代わりに、RC造、S
RC造、鉄骨造の耐震壁してもよい。
【0040】図11はこの発明の第6実施形態である集
合住宅の概略構成を示す平面図であり、図1〜図10と
同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略
する。この第5実施形態は、建物本体部2の平面形状が
略コの字状で、外部耐震構造体が2構面配設されてい
る。このように構成することによっても、同様な効果を
得ることができる。
【0041】上記した各実施形態では、建物本体部2の
平面形状について一例を示したが、吹抜き空間3と、解
放空間部4とを有する環状平面形であれば、どのような
形状、例えば円形状、楕円形状等であってもよい。ま
た、建物本体部2の階数も各実施形態に限定されるので
はなく、低層、高層から超高層に亘る広い範囲の階数に
適用できる。さらに、同一の筒状耐震構造体内に、本体
部耐震構造体の補強耐震部材として耐震壁、制振壁、ブ
レース構造、耐震中間柱を混用してもよく、また、外部
耐震構造体にブレース構造、耐震壁、制振壁を混用して
もよい。
【0042】また、外部耐震構造体に、粘性体を使用し
たもの、オイルダンパーを使用してもよい。さらに、図
示を省略したが、外部耐震構造体をラーメン骨組として
もよく、ラーメン骨組にすると、水平剛性、水平耐力は
前記したブレース構造より小さいが、ラーメン骨組特有
の靱性を発揮する。
【0043】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、建物
本体部が吹抜き空間および解放空間部を有する環状平面
形に形成された中空筒状体で、耐震性能に優れた高層集
合住宅を提供することができ、低層から超高層に亘る広
い範囲に適用できる。そして、環状平面形の筒状耐震構
造体を形成するので、解放空間部のない中空状建築物の
耐震構造体に比肩し得る耐震性能を有する。したがっ
て、地震時に建物全体が捻れことが少なく、建物本体部
の解放空間部が局部的に別個に振られることがない。
【0044】また、本体部耐震構造体との水平剛性との
バランスを考慮して、外部耐震構造体の構成、配置を調
整することによって建物本体部の重心と剛心とを極力近
づけることにより、耐震構造体全体の耐震性能を高めら
れる。さらに、地震時に本体部耐震構造体の解放空間部
端縁が大きく水平方向に振られたり、相対向する解放空
間部端縁同士が鉛直方向に大きな相対的変形を起こさな
くなる。そして、外部耐震構造体の部材が降伏すること
によって建物に入力した地震動エネルギーを吸収するの
で、本体部耐震構造体に加わる地震力を軽減する制震的
作用を発揮する。
【0045】また、本体部耐震構造体が外部耐震構造体
と一体的に接続されているので、本体部耐震構造体に要
求される耐震性能が緩和される。そして、本体部耐震構
造体はラーメン構造体とフラットスラブ構造体とを混用
した構造体にすることができ、また、ラーメン構造体の
みの場合でも、柱、梁の設置数、設置箇所、部材断面を
少なくすることができる。さらに、本体部耐震構造体の
梁軸線と、外部耐震構造体の水平軸線とで形成する環状
構造軸線上に補強耐震部材を配置したので、全体の耐震
構造体の捻れ耐震性能を飛躍的に強化することができ
る。そして、環状構造軸線上の任意の位置に補強耐震部
材を配置することができるので、住戸配置計画上の融通
性が向上する。
【0046】また、建物本体部は内部に吹抜き空間を上
下方向に有し、解放空間部を有する中空筒状体の形状に
特有な建築計画上の効果を発揮する。そして、解放空間
部を介して吹抜き空間と建物本体部の外部空間とが連通
しているので、吹抜き空間が密閉されず、採光、通風の
向上が図れ、煙突状に密閉された吹抜き空間にありがち
な下階から上階に向かって吹き上げる気流が生じること
がないため、吹抜き空間に面して外部廊下を周設して
も、明るく防災上有効な共用廊下を提供できる。さら
に、南側に面した環状平面形の外周部の長さが多く確保
することができるので、採光、通風に優れた居住性のよ
い住戸を数多く配置することができ、狭い敷地であって
も、容積率の高い高層集合住宅が建てられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態である集合住宅の概略
構成を示す平面図である。
【図2】この発明の第1実施形態である集合住宅の外観
説明図である。
【図3】重心と剛心とのずれによる捻り曲げモーメント
の説明図である。
【図4】この発明の第2実施形態である集合住宅の概略
構成を示す平面図である。
【図5】図4に示した環状構造軸線上に配設される補強
耐震部材の一例を示す説明図である。
【図6】この発明の第3実施形態である集合住宅の概略
構成を示す平面図である。
【図7】この発明の第3実施形態である集合住宅の外観
説明図である。
【図8】この発明の第4実施形態である集合住宅の概略
構成を示す平面図である。
【図9】この発明の第5実施形態である集合住宅の概略
構成を示す平面図である。
【図10】この発明の第5実施形態である集合住宅の外
観説明図である。
【図11】この発明の第6実施形態である集合住宅の概
略構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1 集合住宅 2 建物本体部 3 吹抜き空間 4 解放空間部 5,5A 外部耐震構造体(ブレース) 5B 外部耐震構造体(制振壁) 21A〜21C 居室 22 共用廊下 23 バルコニー 24 昇降設備 25 ラーメン構造体 25a 柱 25b 梁 26 フラットスラブ構造体 26a 独立柱 26b 柱頭部支板 26c 床スラブ 27 制振壁 28 制震中間柱 X,Y 環状構造軸線 X1 ,X2 梁軸線 Y1 ,Y2 梁軸線

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に上下方向へ吹抜き空間が形成され
    た環状平面形の複数階からなる建物本体部に、前記環状
    平面形の一部を上下方向へ切り欠いて解放空間部を形成
    し、この解放空間部を介して前記吹抜き空間と前記建物
    本体部の外部空間とを連通させた集合住宅において、 前記建物本体部に複数の柱、梁からなる本体部耐震構造
    体を形成し、 前記解放空間部に外部耐震構造体を配設した、 ことを特徴とする集合住宅。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の集合住宅において、 前記本体部耐震構造体と前記外部耐震構造体とを一体的
    に連結することによって筒状耐震構造体を形成した、 ことを特徴とする集合住宅。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の集合住宅において、 前記本体部耐震構造体の梁軸線と、前記外部耐震構造体
    の水平軸線とが、水平面で環状構造軸線を形成してい
    る、 ことを特徴とする集合住宅。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれか1項に
    記載の集合住宅において、 前記本体部耐震構造体は、複数の柱、梁からなる複数の
    ラーメン構造体と、フラットスラブ構造体とで構成され
    ている、 ことを特徴とする集合住宅。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれか1項に
    記載の集合住宅において、 前記外部耐震構造体は、ブレース構造である、 ことを特徴とする集合住宅。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項4のいずれか1項に
    記載の集合住宅において、 前記外部耐震構造体は、耐震壁、制振壁の少なくとも1
    つである、 ことを特徴とする集合住宅。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載の集合住宅において、 前記環状構造軸線上に、筒状耐震構造体の捻れ耐震性能
    を強化するように補強耐震部材を配設した、ことを特徴
    とする集合住宅。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の集合住宅において、 前記補強耐震部材は、耐震壁、制振壁、ブレース構造、
    耐震中間柱の少なくとも1つである、ことを特徴とする
    集合住宅。
  9. 【請求項9】 請求項1から請求項8のいずれか1項に
    記載の集合住宅において、 前記外部耐震構造体は、地震時に前記本体部耐震構造体
    の端縁の相対向する柱が略同一の水平変形、鉛直変形を
    することができるように上下方向へ配置され、前記本体
    部耐震構造体と接続されている、 ことを特徴とする集合住宅。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項9のいずれか1項
    に記載の集合住宅において、 前記筒状耐震構造体の水平面上の剛心が、重心に近接す
    るように前記外部耐震構造体を配置した、 ことを特徴とする集合住宅。
  11. 【請求項11】 請求項3に記載の集合住宅において、 前記本体部耐震構造体は複数の柱、梁からなる複数のラ
    ーメン構造体と、フラットスラブ構造体とで構成され、 前記外部耐震構造体はブレース構造であり、 前記環状構造軸線上に制振壁が配設されている、 ことを特徴とする集合住宅。
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