JP2000173854A - 耐還元性誘電体組成物の製造方法およびこの耐誘電体組成物を用いた積層セラミックコンデンサ - Google Patents

耐還元性誘電体組成物の製造方法およびこの耐誘電体組成物を用いた積層セラミックコンデンサ

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JP2000173854A
JP2000173854A JP10342721A JP34272198A JP2000173854A JP 2000173854 A JP2000173854 A JP 2000173854A JP 10342721 A JP10342721 A JP 10342721A JP 34272198 A JP34272198 A JP 34272198A JP 2000173854 A JP2000173854 A JP 2000173854A
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mol
reduction
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dielectric composition
producing
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Hiroshi Asano
洋 浅野
Kazuyuki Okano
和之 岡野
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の積層セラミックコンデンサ用耐還元性
誘電体組成物では、工程上制御しえない要因によってコ
ンデンサの特性が変動し,歩留まりの低下等が問題とな
っている。 【解決手段】 チタン酸バリウム粉末と、このチタン酸
バリウム100molに対し、金属イオン換算により表
示して、0.1〜0.3molのMn、1.0〜2.0
molのDy、0.3〜1.0molのMg、0.5〜
1.5molのBa、0.5〜1.5molのCaおよ
び1.0〜2.5molのSiを含む各金属化合物と、
アンモニア水とを含む混合液を調製する工程と、この混
合液から得た粉末を熱処理する工程とを含む方法により
耐還元性誘電体組成物を製造し、この組成物から誘電体
層を形成することにより、積層セラミックコンデンサを
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部電極が卑金属
からなり、JIS規格のB特性およびEIA規格のX7
R特性を満足する積層セラミックコンデンサを製造する
ための耐還元性誘電体組成物の製造方法と、それを用い
た積層セラミックコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】積層セラミックコンデンサは、誘電体層
と内部電極層とが交互に配置された積層構造を有し、こ
の積層構造の上下に全体の寸法調整と内部の気密封止の
ために誘電体層が設けられる。内部電極層と外部との電
気的接続は、それらの終端部分が露出した2つの面に端
子電極を設けることによって行い、これら端子電極表面
にはハンダ付け実装を容易に、かつ支障なく行なえるよ
うにニッケルめっきと錫−鉛系のハンダめっきが層状に
施される。
【0003】近年の積層セラミックコンデンサは、電子
機器の小型化に対応するため、小型で大容量の製品が求
められており、誘電体材料の高性能化とともに誘電体層
の薄層化、高積層化が進められている。また、薄層化お
よび高積層化に伴う課題として、内部電極に使用する金
属の原材料のコストがある。この課題を解決するため
に、従来使用されていたパラジウム等の貴金属に代え
て、コストの安いニッケルあるいはニッケルを主成分と
する合金が使用する方法が知られている。積層セラミッ
クコンデンサに占める卑金属内部電極品の割合は急増し
ている。
【0004】ニッケルは卑金属であるため、貴金属の内
部電極の積層セラミックコンデンサのように酸素雰囲気
中で焼成することはできない。そこで、卑金属の内部電
極を採用した場合は、低酸素分圧雰囲気中においてニッ
ケルが酸化されないように焼成される。コンデンサ用と
して多用されるチタン酸バリウムに代表されるペロブス
カイト酸化物は、1000℃以上の高温においてニッケ
ルの酸化還元平衡酸素分圧以下の雰囲気に曝されると還
元される。ペロブスカイト酸化物が還元されると、絶縁
抵抗値が低下したり、電界を印加した状態での信頼性試
験、いわゆる負荷寿命試験での不良率が増大し、コンデ
ンサ用誘電体としての機能を果たしがたくなる。
【0005】このような課題に対し、ペロブスカイト酸
化物において、AサイトとBサイトに存在するイオンの
化学量論比を変化させたり、あるいは結晶格子中にドナ
ーとなって固溶しうる、例えば遷移金属イオン等を添加
したりすることによって、前述の熱処理を行なっても還
元されにくくなる性質を付加した、ペロブスカイト酸化
物と微量の添加物から構成される多くの耐還元性誘電体
組成物が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
耐還元性誘電体組成物の多くは、主成分であるペロブス
カイト酸化物に対する微量添加物の反応性や反応速度を
考慮して設計されたとは言いがたいものであった。従っ
て、工程上制御しえない要因によって製品の特性,品質
が変動し、歩留まりの低下や信頼性不良を引き起こして
いる。また、このようなバラツキを小さくして安定した
製造を行なうために、特に誘電体粉末を製造する工程の
各段階で評価、管理工程を設置せざるを得ないのである
が、これによって製造コストが高くなるという課題があ
った。
【0007】そこで、本発明は、上記従来の課題を解決
するべく、初期特性および耐久信頼性等の諸性能のバラ
ツキが小さく、製造歩留まりの高い卑金属内部電極積層
セラミックコンデンサと、それに使用する耐還元性誘電
体組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の耐還元性誘電体組成物の製造方法は、チタ
ン酸バリウム粉末と、前記チタン酸バリウム100mo
lに対し、金属イオン換算により表示して、0.1〜
0.3molのMn、1.0〜2.0molのDy、
0.3〜1.0molのMg、0.5〜1.5molの
Ba、0.5〜1.5molのCaおよび1.0〜2.
5molのSiを含む各金属化合物と、アンモニア水と
を含む混合液を調製する工程と、前記混合液から得た粉
末を熱処理する工程とを含むことを特徴とする。
【0009】本発明の製造方法においては、Mn、D
y、Mg、BaおよびCaの金属化合物が、各金属の硝
酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物、酸化物お
よび窒化物から選ばれる少なくとも1つであることが好
ましい。Mn、DyおよびMgの金属化合物は酸化物で
あることがさらに好ましく、BaおよびCaの金属化合
物は硝酸塩またはカルボン酸塩であることがさらに好ま
しい。
【0010】また、本発明の製造方法においては、Si
の金属化合物が、Siのアルコキシドであることが好ま
しい。また、Siのアルコキシドは、有機溶媒に溶かし
た有機溶液として、混合液に供給されることが好まし
い。
【0011】また、本発明の製造方法においては、アン
モニア水の濃度が0.5重量%以下であることが好まし
い。
【0012】また、本発明の製造方法においては、混合
液が、Mn、Dy、Mg、BaおよびCaの金属化合物
のうち、塩として含まれる金属化合物の化学当量以上に
相当するアンモニアを含むアンモニア水が添加されたも
のであることが好ましい。
【0013】また、本発明の製造方法においては、アン
モニア水およびこのアンモニア水を加える溶液のいずれ
か一方を他方に滴下して混合液を調製することが好まし
い。また、本発明の製造方法においては、チタン酸バリ
ウムの平均粒子径が、0.1μm〜0.5μmであるこ
とが好ましい。
【0014】また、本発明の製造方法においては、混合
液から得た粉末を、300〜500℃で熱処理すること
が好ましい。
【0015】上記目的を達成するために、本発明の積層
セラミックコンデンサは、上記方法により得た耐還元性
誘電体組成物から製造された誘電体層を含むことを特徴
とする。
【0016】還元性雰囲気における上記焼成は、135
0℃以下の温度で行うことが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、具体的に
説明する。
【0018】本発明の耐還元性誘電体組成物の製造方法
は、さらに具体的に例示すると、下記(1)から(3)に示
すいずれかの手段によって実施することができる。
【0019】(1)チタン酸バリウム粉末とチタン酸バ
リウム100molに対して金属イオン換算で0.1〜
0.3molのMn、1.0〜2.0molのDy、
0.3〜1.0molのMgを含有する各金属の酸化物
粉末とを、チタン酸バリウム100molに対して金属
イオン換算で0.5〜1.5molのBaおよびCaを
含有するBaおよびCaの硝酸塩もしくはカルボン酸塩
を溶解させた水溶液と、チタン酸バリウム100mol
に対して金属イオン換算で1.0〜2.5molのSi
を含有するSiアルコキシドを溶解させた有機溶液とに
懸濁させ、この懸濁液を攪拌しながら0.5重量%以下
の濃度のアンモニア水を上記BaおよびCaの金属の硝
酸塩もしくはカルボン酸塩の化学当量またはそれ以上に
相当する量のアンモニアを含有する量だけ滴下して混合
液を調製する工程と、この混合液を全量乾燥して固形物
を取り出し解砕する工程と、解砕して得た粉末を大気中
300℃〜500℃で少なくとも2時間の保持時間を設
定した温度プロファイルで熱処理する工程とを順次行
う。
【0020】(2)後に添加するチタン酸バリウム10
0molに対して金属イオン換算で0.5〜1.5mo
lのBaおよびCaを含有するBaおよびCaの硝酸塩
もしくはカルボン酸塩を溶解させた水溶液と、チタン酸
バリウム100molに対して金属イオン換算で1.0
〜2.5molのSiを含有するSiアルコキシドを溶
解させた有機溶液とを攪拌しながら、0.5重量%以下
の濃度のアンモニア水を上記BaおよびCaの硝酸塩も
しくはカルボン酸塩の化学当量またはそれ以上に相当す
る量のアンモニアを含有する量だけ滴下して懸濁液を調
製する工程と、チタン酸バリウム粉末とチタン酸バリウ
ム100molに対して金属イオン換算で0.1〜0.
3molのMn、1.0〜2.0molのDy、0.3
〜1.0molのMgを含有する各金属の酸化物粉末と
を、上記懸濁液に混合して混合液を調製する工程と、こ
の混合液を全量乾燥して固形物を取り出し解砕する工程
と、解砕して得た粉末を大気中300〜500℃で少な
くとも2時間の保持時間を設定した温度プロファイルで
熱処理する工程とを順次行う。
【0021】(3)チタン酸バリウム粉末と、チタン酸
バリウム100molに対して金属イオン換算で0.1
〜0.3molのMn、1.0〜2.0molのDy、
0.3〜1.0molのMgを含有する各金属の酸化物
粉末と、同じく金属イオン換算で0.5〜1.5mol
のBaおよびCaを含有するBaおよびCaの硝酸塩も
しくはカルボン酸塩とを溶解させた水溶液と、チタン酸
バリウム100molに対して金属イオン換算で1.0
〜2.5molのSiのアルコキシドを溶解させた有機
溶液とを、上記BaおよびCaの硝酸塩もしくはカルボ
ン酸塩の化学当量またはそれ以上に相当する量のアンモ
ニアを含有する0.5重量%以下の濃度のアンモニア水
に順次滴下して混合液を調製する工程と、この混合液を
全量乾燥して固形物を取り出し解砕する工程と、解砕し
て得た粉末を大気中300〜500℃で少なくとも2時
間の保持時間を設定した温度プロファイルで熱処理する
工程とを順次行う。
【0022】また、本発明の積層セラミックコンデンサ
は、例えば下記(4)に示す方法により得ることができ
る。
【0023】(4)上記方法により得た耐還元性誘電体組
成物粉末を、樹脂と溶剤とからなるビヒクル中に分散し
てスラリーとし、このスラリーを基体上に塗布して得た
セラミック生シートと、ニッケルあるいはニッケルを主
成分とする合金とから生チップを製造し、該生チップを
脱バインダした後、ニッケルあるいはニッケルを主成分
とする合金が酸化されない還元性雰囲気中、最高温度が
1350℃の温度プロファイルで焼成する。
【0024】以下、本発明に用いる原料についてさらに
説明する。
【0025】チタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が
0.1〜0.5μmで、粒子径分布の幅が小さいものが
好ましい。平均粒子径が0.1μm未満となると異常粒
成長が顕著となるため、B特性あるいはX7R特性の発
現が困難となる。一方、平均粒子径が0.5μmを超え
ると誘電体層の厚さが5μm以下となったときに層の厚
さ方向に充填される粒子数が減少して電子部品としての
信頼性が低下する。反応性を抑制すると、B特性あるい
はX7R特性の発現が容易となるから、結晶化度の高い
粉末を使用することが好ましい。
【0026】このようなチタン酸バリウム粉末を製造す
る工程において混入する不純物としては、バリウム以外
のアルカリ土類金属、鉄、珪素、アルミニウム等が挙げ
られる。しかし、これら不純物は、数1000ppmの
濃度で含有されていても特に支障はない。
【0027】アルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba)、
希土類(Dy)およびMnを含む金属化合物についても
一般的な市販品を用いることができる。これらに含有さ
れる不純物は、主成分の金属と似かよった化学的性質を
有する金属であるため、チタン酸バリウムの場合と同じ
く、数1000ppmの濃度で含有されていても特に支
障はない。また、珪素を含むアルコキシドについても、
同様の理由で一般的な市販品を用いることができる。こ
れらの金属化合物は、水または有機溶剤に可溶であれば
よく、硝酸塩やカルボン酸塩の他、ハロゲン化物、酸化
物、窒化物、炭酸塩等としても構わない。
【0028】このような金属化合物は、溶液中で水和し
たイオンとして存在する。このイオンは、アンモニア水
の滴下によって微細な水酸化物としてチタン酸バリウム
粉末の表面に付着することが好ましい。滴下されるアン
モニア水の濃度は、0.5重量%以下とされる。工程の
設備的、時間的余裕がある場合にはより低濃度とするこ
とが好ましい。アンモニア水の濃度が0.5重量%を超
えて濃厚になると、生成する金属水酸化物が偏って生成
する。金属水酸化物が偏在すると、組成的に不均一な状
態で混合粉末が得られるために好ましくない。
【0029】チタン酸バリウム粉末に対して添加される
各添加物の量は、焼結体の誘電率と誘電損失、誘電率の
温度特性、誘電率の経時変化、高温負荷寿命および焼成
後の緻密さの観点から限定される。
【0030】チタン酸バリウム100molに対し、
0.3molを超える量のMn、2.0molを超える
Dyあるいは1.0molを超えるMgを含有する金属
化合物を添加した場合、他の添加物の量にかかわらず最
高1350℃の焼成プロファイルでは緻密化が不完全と
なる。緻密化が不完全となると、積層コンデンサの気密
性が充分に保てないため信頼性が低下する。
【0031】また、上貴金属化合物の添加量が、それぞ
れ0.1mol、1.0mol、0.3molを下回る
場合、他の添加物の量にかかわらず、誘電率の温度特性
がB特性あるいはX7R特性を満たさなくなる。
【0032】また、Ba、Caの金属化合物が、チタン
酸バリウム100molに対し金属イオン換算で、それ
ぞれ0.5molに満たない場合は高温負荷寿命が短く
なる。一方、これらの金属化合物を1.5molを超え
て添加すると、焼成による緻密化が不完全になるため誘
電率が低下するとともに誘電率の経時変化が増大する。
【0033】珪素のアルコキシドは、焼成工程中に微量
の液相を生成させることによって誘電体の焼結を促進さ
せるために添加される。アルコシキドは、結晶質であっ
ても非晶質ガラス状であってもよい。添加量に関して
は、チタン酸バリウム100molに対して金属イオン
換算で1.0molに満たない場合には焼結促進の効果
が得られず焼成による緻密化が不完全となり、一方、
2.5molを超えて添加すると誘電率が低下する。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0035】(実施例1)チタン酸バリウム粉末(堺化
学工業株式会社製、BT−03:平均粒子径0.3μ
m、BT−05:平均粒子径0.5μm、またはBT−
01:平均粒子径0.1μm)、Mn34(東ソー株式
会社製、ブロウノックス)、Dy23(信越化学株式会
社製、DSU)、MgO(タテホ株式会社、#500
0)、BaCO 3(日本化学工業株式会社製、F−0
3)、CaCO3(日本カルシード株式会社製、3N−
B)およびSiO2(ナカライテクス株式会社製、特
級)を所定量ポットに量り取った。この原料を純水に懸
濁させて、5ロットの懸濁液を準備した。なお、上記各
原料の混合比は、表1のNo.1〜No.5に示したとおりと
した。
【0036】一方、チタン酸バリウム粉末(堺化学工業
株式会社製、BT−03、BT−05、BT−01、日
本化学工業株式会社製、BTG−L、またはBT−01
の粉砕粉:平均粒子径0.09μm)と、上記Mn
34、Dy23、およびMgOを25リットルのステン
レス攪拌槽に投入し、この攪拌槽に、酢酸バリウム(B
a(CH3COO)2・H2O、高純度化学研究所製)お
よび酢酸カルシウム(Ca(CH3COO)2、高純度化
学研究所製)を純水に溶解して調製した水溶液と、オル
ト珪酸テトラエチル((C25O)4Si、ナカライテ
クス株式会社製)のエタノール溶液とを加えた。攪拌用
プロペラにより20〜30分攪拌して粉体を懸濁させ、
その後、さらに攪拌しながら0.25重量%のアンモニ
ア水を活栓付き滴下装置を用いて20〜30ml/分の
速度で滴下して、35ロットの懸濁液(混合液)を準備
した。なお、上記各原料の混合比は、表1のNo.6〜No.
40に示したとおりとした。
【0037】以上計40ロットの懸濁液は、ジルコニア
ボールにより約20時間ボールミル混合した。この懸濁
液をドラムドライヤーを用いて120℃で全量乾燥し、
粉末を調製した。
【0038】さらに乾燥粉末をアルミナ乳鉢で解砕した
後、30メッシュのふるいを通して粗大粒を除去した。
【0039】次に、大気中、常温から400℃まで毎時
200℃で昇温し、400℃で2時間保持した後、毎時
200℃で降温するというプロファイルで熱処理した。
この熱処理により、反応で生成したアンモニウム塩が熱
分解する。ここで、保持温度が300℃未満であると分
解が不十分となり残留アンモニウム塩による焼結時の構
造欠陥が生じやすい。また、保持温度が500℃を超え
ると反応により生じた金属水酸化物が強固に結合し、凝
集体を形成するため成型工程で支障をきたす場合があ
る。
【0040】上記工程により作製した誘電体粉末を、ブ
チラールを主成分とする有機ビヒクルに分散させた誘電
体スラリーを用いて、厚み6μmのグリーンシートを作
製した。また、別途、ニッケルペーストを印刷した内部
電極パターンを形成し、上記グリーンシートに転写する
ことにより誘電体グリーンシートと内部電極とを交互に
100枚積層した積層体を作製した。また、別途、厚さ
50μmのグリーンシートを同様に作製し、このグリー
ンシートを、上記積層体の上下に保護層としてそれぞれ
4枚積層し、この積層体を熱圧着し、個片に寸断して3
216サイズ(3.2mm×1.6mm)の積層コンデ
ンサ生チップを製造した。
【0041】脱バインダは、大気中、毎時15℃で40
0℃まで昇温、400℃で5時間保持した後炉内放冷す
るというプロファイルで行い、焼成は、窒素と水素との
混合ガス雰囲気中で、常温から900℃まで毎時200
℃で昇温し、900℃で1時間保持しながらマスフロー
コントローラを動作させてニッケルの酸化還元平衡酸素
分圧よりも2桁小さくなるように酸素分圧を調整し、そ
の後各温度でこの酸素分圧が保持されるようにマスフロ
ーコントローラを動作させながら1325℃まで毎時2
00℃で昇温、1325℃で2時間保持した後、常温ま
で毎時200℃で降温するというプロファイルで行っ
た。その後、焼成したチップをバレル研磨して面取りを
施し、銅ペーストを内部電極取り出し部分に塗布して焼
付けを行い、この端子電極部分にニッケルめっきとハン
ダめっきを順次施して積層チップコンデンサを製造し
た。
【0042】表1に、これら積層チップコンデンサの評
価結果を示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1において、容量不良とは、500個の
サンプルにおいて、常温での静電容量の測定値(1Vr
ms、1kHzで測定)が本積層チップコンデンサの設
計容量である3.3μFを中心値として±10%の範囲
に入らなかったものの個数を示す。tanδ不良とは、
同様の測定において誘電損失の測定値が2%を超えたも
のの個数を示す。高温寿命不良とは、125℃において
12.6Vの直流電圧を印加し、1000時間を経過し
た時、絶縁抵抗が5×108Ω以下に低下したものの個
数を示す。サンプル数は、いずれの試験においても50
0個とした。
【0045】また、平均加速寿命時間とは、24個のサ
ンプルを用いて、150℃において72Vの直流電圧を
印加した時に、コンデンサが絶縁不良となるまでに要し
た平均時間であり、上記高温寿命不良で定義した絶縁抵
抗値を適用している。
【0046】なお、表1に示したNo.10、No.16、N
o.22、No.28、およびNo.39を除くすべてについて
JIS規格のB特性およびEIA規格のX7R特性を満
足することを確認した。
【0047】表1より、本発明による積層チップコンデ
ンサは、従来の方法で得られたコンデンサと比較して、
初期特性不良が少ないことがわかる。また、平均加速寿
命時間も、従来の方法で作製したコンデンサよりも長く
なることがわかる。一例として図1に平均加速寿命の測
定結果を示す。図1のグラフは、横軸の電圧引加時間に
対し、絶縁不良となった試料の個数をワイブルプロット
したものである。従来の方法で作製した試料(No.1)
は、初期領域に点在する不良の発現が認められるのに対
し、本発明の方法で作製した試料(No.6)では初期領
域の不良が全く認められない。このように、本発明の方
法によれば、特に初期特性のバラツキを大幅に低減させ
ることができる効果を備えていることがわかる。
【0048】なお、上記実施例では、酢酸バリウム等の
酢酸塩を添加物の出発原料として用いたが、水溶性のハ
ロゲン化物、酸化物、窒化物、炭酸塩や有機溶剤に可溶
な有機金属化合物でも同様の効果が得られる。
【0049】(実施例2)酢酸バリウム(Ba(CH3
COO)2・H2O、高純度化学研究所製)および酢酸カ
ルシウム((Ca(CH3COO)2、高純度化学研究所
製)を純水に溶解して調製した水溶液と、オルト珪酸テ
トラエチル((C25O)4Si、ナカライテクス株式
会社製)のエタノール溶液とを攪拌しながら0.25重
量%のアンモニア水を活栓付き滴下装置を用いて20〜
30ml/分の速度で滴下した。この懸濁液とチタン酸
バリウム粉末(堺化学工業株式会社製、BT−03、B
T−05、BT−01、日本化学工業株式会社製、BT
G−L、またはBT−01の粉砕粉:平均粒子径0.0
9μm)と、上記Mn34、Dy23、MgOを25リ
ットルのステンレス攪拌槽に入れ、ジルコニアボールを
媒体に約20時間ボールミル混合した。この方法による
懸濁液を35ロット準備した。なお、上記各原料の混合
比は、表2のNo.41〜No.75に示したとおりとした。
比較のため、表2には、上記No.1〜No.5の結果を併せ
て示す。
【0050】以下、実施例1と同様にして、積層セラミ
ックコンデンサを作製し、評価した。結果を表2に示
す。
【0051】
【表2】
【0052】表2に示したように、本実施例においても
実施例1と同様の効果が得られていることがわかる。
【0053】(実施例3)チタン酸バリウム粉末(堺化
学工業株式会社製、BT−03、BT−05、BT−0
1、日本化学工業株式会社製、BTG−L、またはBT
−01の粉砕粉:平均粒子径0.09μm)を25リッ
トルのステンレス攪拌槽に入れ、硝酸ディスプロシウム
(Dy(NO32・5H2O、高純度化学研究所製)、
硝酸マンガン(Mn(NO32・6H2O、高純度科学
研究所製)、硝酸マグネシウム(Mg(NO32・6H
2O、高純度化学研究所製)、硝酸バリウム(Ba(N
3 2、高純度化学研究所製)および硝酸カルシウム
(Ca(NO32・4H2O、高純度化学研究所製)を
純水に溶解して調製した水溶液と、オルト珪酸テトラエ
チル((C25O)4Si、ナカライテクス株式会社
製)のエタノール溶液を加えた。攪拌用プロペラで20
〜30分攪拌して懸濁させ、その後攪拌しながら0.2
5重量%のアンモニア水を活栓付き滴下装置を用いて2
0〜30ml/分の速度で滴下した。この方法による懸
濁液を35ロット準備した。なお、上記各原料の混合比
は、No.76〜No.110に示したとおりとした。比較の
ため、表3には、上記No.1〜No.5の結果を併せて示
す。
【0054】以下、実施例1と同様にして、積層セラミ
ックコンデンサを作製し、評価した。結果を表3に示
す。
【0055】
【表3】
【0056】表3に示したように、本実施例においても
実施例1と同様の効果が得られていることがわかる。
【0057】なお、上記実施例ではチタン酸バリウム粉
末と各種添加物の金属塩溶液の懸濁液にアンモニア水溶
液の滴下を行っているが、例えば、チタン酸バリウム粉
末とアンモニア水溶液の懸濁液に各種添加物の金属塩溶
液を滴下する方法においても同様の効果を得られること
が確認できた。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、初期特性および耐久信
頼性等の諸性能のバラツキが小さく、初期不良数が著し
く低下し、製造歩留りが高い卑金属内電積層セラミック
コンデンサを低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層セラミックコンデンサの一例
(No.6)と従来の積層セラミックコンデンサ(No.1)
との加速寿命試験の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E001 AB03 AC03 AC09 AD03 AE00 AE02 AE03 AE04 AF00 AF06 AH01 AH05 AH08 AH09 AJ01 AJ02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン酸バリウム粉末と、前記チタン酸
    バリウム100molに対し、金属イオン換算により表
    示して、0.1〜0.3molのMn、1.0〜2.0
    molのDy、0.3〜1.0molのMg、0.5〜
    1.5molのBa、0.5〜1.5molのCaおよ
    び1.0〜2.5molのSiを含む各金属化合物と、
    アンモニア水とを含む混合液を調製する工程と、前記混
    合液から得た粉末を熱処理する工程とを含むことを特徴
    とする耐還元性誘電体組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 Mn、Dy、Mg、BaおよびCaの金
    属化合物が、各金属の硝酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、
    ハロゲン化物、酸化物および窒化物から選ばれる少なく
    とも1つである請求項1に記載の耐還元性誘電体組成物
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 Mn、DyおよびMgの金属化合物が各
    金属の酸化物であり、BaおよびCaの金属化合物が各
    金属の硝酸塩またはカルボン酸塩である請求項2に記載
    の耐還元性誘電体組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 Siの金属化合物が、Siのアルコキシ
    ドである請求項1〜3のいずれかに記載の耐還元性誘電
    体組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 アンモニア水の濃度が0.5重量%以下
    である請求項1〜4のいずれかに記載の耐還元性誘電体
    組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 混合液が、Mn、Dy、Mg、Baおよ
    びCaの金属化合物のうち、塩として含まれる金属化合
    物の化学当量以上に相当するアンモニアを含むアンモニ
    ア水が添加されたものである請求項1〜5のいずれかに
    記載の耐還元性誘電体組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 アンモニア水およびこのアンモニア水を
    加える溶液のいずれか一方を他方に滴下して混合液を調
    製する請求項1〜6のいずれかに記載の耐還元性誘電体
    組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 チタン酸バリウムの平均粒子径が、0.
    1μm〜0.5μmである請求項1〜7のいずれかに記
    載の耐還元性誘電体組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 混合液から得た粉末を、300〜500
    ℃で熱処理する請求項1〜8のいずれかに記載の耐還元
    性誘電体組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の方法
    により得た耐還元性誘電体組成物から製造された誘電体
    層を含むことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  11. 【請求項11】 1350℃以下の温度で焼成して得ら
    れる請求項10に記載の積層セラミックコンデンサ。
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