JP2000170653A - 斜板式コンプレッサの軸受装置 - Google Patents
斜板式コンプレッサの軸受装置Info
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Abstract
摺動自在にピストン4を収容し、駆動軸に傾斜して取り
付けられた斜板2に対して軸受装置を介してピストン4
を係合させ、斜板2の回転によってピストン4をシリン
ダボア内で往復動させるようにした斜板式コンプレッサ
において、簡単な構成で、シュー10の頂部16とピストン
4の球面座4bとの接触を回避し、かつ、斜板10の傾斜角
度が大きくなっても適切な接触部を確保して良好な潤滑
状態が得られるようにする。 【解決手段】 斜板式コンプレッサの斜板2とピストン
4との間に介在する軸受装置を、ピストン4に形成され
た単一凹球面からなる球面座4bと、球面座4bと接する略
半球体からなるシュー10とで構成し、シュー10の外周面
を、裾野部12と、球面座4bの曲率半径Rよりも大きな曲
率半径R2の頂部16と、裾野部12と頂部16との間で球面座
4bと接し、球面座4bの曲率半径Rよりも小さい曲率半径
R3の移行部14とによって形成する。
Description
ン等に用いられる斜板式コンプレッサに関するもので、
より詳しくは、斜板式コンプレッサの斜板とピストンと
の間に介在して斜板の回転運動をピストンの往復運動に
変換するための、略半球状のシューを含む軸受装置に関
する。
板の傾斜角度が固定されたものと、斜板の傾斜角度が変
えられるようになっていて、それによりピストンのスト
ロークが変化する可変容量型とがある。また、ピストン
が一方向に移動したときだけ吐出工程が実行される単動
型と、両頭型ピストンを用いた複動型とがあるが、ピス
トン−シリンダ機構および軸受部に関する限り、いずれ
も基本的構成は同様である。
構成を示すように、斜板(2)を傾斜させて取り付けた
駆動軸(3)が、シリンダブロック(5)内に回転自在
に支承されている。シリンダブロック(5)には駆動軸
(3)に対して平行に、かつ、円周方向等配に複数のシ
リンダボア(6)が形成され、各シリンダボア(6)内
にピストン(4)が摺動自在に収容されている。ピスト
ン(4)は、一端に斜板(2)の外周部を跨ぐようにし
て形成された凹欠部(4a)を有し、この凹欠部(4a)の
軸方向対向面に球面座(4b)が形成されている。シュー
(1)は球面座(4b)に組み込まれて斜板(2)とピス
トン(4)との間に介在する。そして、シュー(1)と
球面座(4b)とにより、斜板(2)の回転運動をピスト
ン(4)の往復運動に変換するための軸受部(A)を構
成している。すなわち、駆動軸(3)と共に斜板(2)
が回転すると、軸受部(A)の作用によって、斜板
(2)の回転運動はピストン(4)の往復運動に変換さ
れる。このとき、シュー(1)は、斜板(2)に対して
は一方向の滑り運動を行ない、球面座(4b)に対しては
所定の角度にわたって揺動滑り運動をする。
凸球面状外周面のうち、球面座(4b)と接する接触部と
裾野部とを互いに異なる曲率で構成したものが知られて
いる(特公平3−51912号公報参照)。図5はピス
トン(4)の球面座(4b)に組み込まれた状態のシュー
(1)を示している。球面座(4b)は単一の曲率半径を
もって形成されており、一方、シュー(1)の外周面
は、球面座(4b)とほぼ同一の曲率半径をもつ頂部の基
準球面(1a)と、球面座(4b)と係合・離脱を繰り返す
裾野部が、基準球面(1a)よりシュー(1)の中心方向
に避退した裾野部球面(1b)とで構成されている。換言
すれば、裾野部球面(1b)の曲率は基準球面(1a)の曲
率と異なるのみならず、各部分の曲率も徐々に変化して
いる。これにより、基準球面(1a)と裾野部球面(1b)
との境界部からなだらかに増加するすきまが、シュー
(1)の揺動により大小様々な形態に変化してくさび作
用を助長し、摺動する基準球面(1a)の接触領域へ効果
的に潤滑油を供給するようになっている。
おいては、斜板の回転運動に伴いシューは所謂みそすり
運動を強いられるため、局部当たりが生じやすく、これ
が偏摩耗等の不具合の原因となる。それゆえ、シューの
正確な当たりを確保するため、シューの製造過程におい
て、当たりの位置を所定の範囲に収めるように管理する
必要がある。しかしながら、ピストンの球面座と接する
シューの外周面を球面座とほぼ同一の曲率半径の球面と
した場合、当たり位置が一定せずにばらつきやすい。し
かも、球面座に対するシューの当たり位置は、シューの
球面の仕上がり如何に左右され、シューの高さ管理、す
なわち、斜板との隙間管理を難しくしている。
で、シューの頂部とピストンの球面座との接触を回避
し、かつ、斜板の傾斜角度が大きくなっても適切な接触
部を確保して良好な潤滑状態が得られるようにすること
にある。
レッサの軸受装置は、駆動軸に平行に配設されたシリン
ダボア内に摺動自在にピストンを収容し、駆動軸に傾斜
して取り付けられた斜板に軸受装置を介してピストンを
係合させ、斜板の回転によってピストンをシリンダボア
内で往復動させるようにした斜板式コンプレッサにおい
て、前記軸受装置を、前記ピストンに形成された単一凹
球面からなる球面座と、球面座と接する略半球体からな
るシューとで構成し、シューの外周面を、裾野部と、球
面座の曲率半径よりも大きな曲率半径の頂部と、裾野部
と頂部との間に位置し、球面座の曲率半径よりも小さい
曲率半径の、球面座と接する移行部とによって形成した
ことを特徴とする。頂部の曲率半径を球面座の曲率半径
よりも大きくすることによって、シューの外周面および
球面座の寸法にばらつきがあっても、頂部が球面座に接
触することはなく、両者間に適度なすきまを保って潤滑
油を保持させることができる。また、裾野部と頂部との
間に位置する移行部は、裾野部と頂部とを繋ぐ部分であ
り、裾野部および頂部は球面座と接触せず、シューは常
にこの移行部にて球面座と接触する。
プレッサの軸受装置において、シューの裾野部の曲率半
径が、球面座の曲率半径よりも僅かに小さいことを特徴
とする。裾野部の曲率半径を球面座の曲率半径よりも僅
かに小さくすることによって、裾野部と球面座との間に
適度なすきまが形成される。したがって、シューに対す
る球面座の角部のエッジ当たりを防止するともに、シュ
ーと球面座との間への潤滑油の引込みを良好に行わせる
ことができる。
プレッサの軸受装置において、シューの裾野部の曲率中
心が、シューの中心線を越え、半径方向に所定量離れた
位置にあることを特徴とする。この場合、シューの外周
面は常に移行部にて球面座と接触することになるため、
球面座に対するシューの当たり点を正確に設定すること
ができる。また、裾野部の曲率半径を球面座の曲率半径
と等しく、または、極く僅かに小さくしただけでも、裾
野部と球面座との間にすきまを形成させることができ
る。
径の約1.5 〜2.0 倍の範囲に設定するのが好ましい(請
求項4)。頂部の曲率半径を球面座の曲率半径よりも大
きくすることによって、シューの頂部とピストンの球面
座との接触を回避し、両者間に適度なすきまを保って潤
滑油を保持させることができるのは上述のとおりである
が、頂部の曲率半径が球面座の曲率半径の2倍を越える
と、頂部と移行部との滑らかな繋ぎが得られず、移行部
と球面座との接触が滑らかさを損なうことになるからで
ある。また、この場合のシューの移行部の曲率半径を例
示するならば、頂部の曲率半径の約1 /3〜2/3とす
ることができる(請求項5)。
(4)の間に組み込まれた状態のシュー(10)を示す。
既述のとおり、シュー(10)と球面座(4b)とで軸受装
置を構成し、斜板(2)の回転に伴い、軸受装置の作用
によって、斜板(2)の回転運動がピストン(4)の往
復運動に変換される。
て成形され、図示するように概ね半球状の外観を呈して
いる。シュー(10)は一方では底面(18)にて斜板
(2)と接し、他方では略球面状の外周面にてピストン
(4)の球面座(4b)と接する。底面(18)は平坦で、
比較的大きな曲率の曲面を経て外周面と滑らかに連なっ
ている。なお、底面(18)は必ずしも中心線(X)に垂
直な平面である必要はなく、たとえば、大きな曲率の凸
球面、あるいは、周辺部に対して中央部がなだらかに盛
り上がった中高形状とすることも可能であるが、加工が
容易という点では平面が有利である。
裾野部(12)、移行部(14)、頂部(16)、といった部
分球面の組合せで構成されている。裾野部(12)は、球
面座(4b)の曲率半径(R)よりも僅かに小さな曲率半
径(R1)の部分球面であって、底面(18)とは滑らかに
連なっている。裾野部(12)の曲率半径(R1)を球面座
(4b)の曲率半径(R)よりも僅かに小さくすることに
よって、裾野部(12)と球面座(4b)との間に適度なす
きまが形成される。したがって、シュー(10)に対する
球面座(4b)の角部のエッジ当たりを防止するともに、
シュー(10)と球面座(4b)との間への潤滑油の引込み
を良好に行わせることができる。
(14)よりも大きな曲率半径(R2)の部分球面である。
頂部(16)の曲率半径(R2)は、球面座(4b)の曲率半
径(R)の約1.5 〜2.0 倍の範囲内に設定する。頂部
(16)の曲率半径(R2)を球面座(4b)の曲率半径
(R)よりも大きくすることによって、シュー(10)の
外周面および球面座(4b)の寸法にばらつきがあって
も、頂部(16)が球面座(4b)に接触することはなく、
両者間に適度なすきまを保って潤滑油を保持させること
ができる。ただし、頂部(16)の曲率半径(R2)を過度
に大きくすると、移行部(14)との繋ぎが角度をもち、
移行部(14)と球面座(4b)との接触が滑らかさを損な
うことになり、さらに移行部(14)の摩耗が進んだ場合
は、その傾向は顕著になる。したがって、移行部(14)
への潤滑が不足して、短寿命の要因となる。また、製造
工程において、過度に頂部Rを大きくすればするほど、
金型による1工程での成形が困難となり、2工程になる
か、あるいは1工程でも金型の寿命低下につながる。こ
の面から頂部(16)の曲率半径(R2)の上限が画定され
る。
6)との間に位置する部分球面であって、両者とそれぞ
れ滑らかに連なっている。言い換えれば、移行部(14)
は裾野部(12)と頂部(16)とを繋ぐ部分であり、その
意味で、移行部(14)の曲率半径(R3)を「繋ぎアー
ル」と呼ぶこととする。この繋ぎアール(R3)は、たと
えば、頂部(16)の曲率半径(R2)の約1 /3〜2/3
に設定する。上述のとおり、裾野部(12)および頂部
(16)は球面座(4b)と接触せず、シュー(10)はこの
移行部(14)にて球面座(4b)と接触する。つまり、球
面座(4b)に対するシュー(10)の当たりは常に移行部
(14)に存する。
(10)の外周面が裾野部(12)と、移行部(14)と、頂
部(16)とで構成されている点は上述の図1の実施の形
態と同じであるが、裾野部(12)の構成が次のように相
違している。すなわち、裾野部(12)は、シュー(10)
の中心線(X)を越え、中心線(X)から半径方向に所
定量だけ離れた位置に曲率中心をもった円弧を母線とす
る曲面で構成されている。言い換えれば、曲率中心
(O1)と曲率中心(O2)は、中心線(X)を越えて互い
に逆方向にオフセット(クロスオフセット)しており、
オフセット量を符号eで表してある。この場合、シュー
(10)の外周面は常に、縦断面で見て、二つの移行部
(14)で球面座(4b)と接触することになる。したがっ
て、球面座(4b)に対するシュー(10)の当たり点を正
確に設定することができる。また、裾野部(12)の曲率
半径(R1)を球面座(4b)の曲率半径(R)と等しく、
または、極く僅かに小さくしただけでも、裾野部(12)
と球面座(4b)との間にすきまを形成させることができ
る。
トさせることにより、裾野部(12)と球面座(4b)の開
口部(4c)とのすきまを所定量確保しようとしたとき、
裾野部(12)の曲率半径(R1)が、オフセット量e分だ
け図1のオフセットなしの場合よりも大きくなり、図1
の場合よりも球面座(4b)の曲率半径(R)に接近す
る。一方、移行部(14)から所定角度離れた点でのすき
まを所定量確保しようとした場合、球面座(4b)の出口
方向へのRの変化が少なくなるので、球面座(4b)の開
口部(4c)でのすきまが小さくなり、裾野部(12)と球
面座(4b)の間で斜板(2)の回転により角度が変化し
たとき、球面座(4b)の中で、シュー(10)の暴れを抑
えることができ、安定した作動が確保できる。このよう
に、クロスオフセットによって、設計自由度が大きくな
る。
求めたシューの高さを基準として行われる。図3に示す
ように、所定の曲率および高さ(h0)に仕上げたマスタ
ーピース(M)を定盤(20)上に置き、その上に所定の
円すい角の円すい形凹部(24)を備えた治具(22)を載
せ、定盤(20)から治具(22)の上面までの距離(マス
ター高さh1)を測定する。次に、定盤(20)上に測定す
るシュー(10)を置き、その上に治具(22)を載せて定
盤(20)から治具(22)の上面までの距離(シュー組み
高さh2)を測定する。そして、求めるシュー(10)の高
さ(H)を次式より算出する。
ることで、所定の当たりと軸受すきまを確保することが
できる。
場合を例示して説明したが、この発明は、両頭型のピス
トンを備えた複動型にも適用でき、また、可変容量型だ
けでなく固定斜板式のコンプレッサにも適用することが
できる。
な構成で、シューの頂部とピストンの球面座との接触を
回避し、かつ、斜板の傾斜角度が大きくなっても適切な
接触部を確保して良好な潤滑状態が得られる。
を球面座の曲率半径よりも大きくすることによって、シ
ューの外周面および球面座の寸法にばらつきがあって
も、頂部が球面座に接触することはなく、両者間に適度
なすきまを保って潤滑油を保持させることができる。
径を球面座の曲率半径よりも僅かに小さくすることによ
って、裾野部と球面座との間に適度なすきまが形成され
る。したがって、シューに対する球面座の角部のエッジ
当たりを防止するともに、シューと球面座との間への潤
滑油の引込みを良好に行わせることができる。
の曲率中心が、シューの中心線を越え、半径方向に所定
量離れた位置にあることにより、シューの外周面は常に
移行部にて球面座と接触することになる。したがって、
球面座に対するシューの当たり点を正確に設定すること
ができる。また、裾野部の曲率半径を球面座の曲率半径
と等しく、または、極く僅かに小さくしただけでも、裾
野部と球面座との間にすきまを形成させることができ
る。
定方法を説明する断面図である。
す縦断面図である。
シューが球面座と同軸の状態、(B)はシューが球面座
に対して傾いた状態を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 駆動軸に平行に配設されたシリンダボア
内に摺動自在にピストンを収容し、駆動軸に傾斜して取
り付けられた斜板に軸受装置を介してピストンを係合さ
せ、斜板の回転によってピストンをシリンダボア内で往
復動させるようにした斜板式コンプレッサにおいて、前
記軸受装置を、前記ピストンに形成された単一凹球面か
らなる球面座と、球面座と接する略半球体からなるシュ
ーとで構成し、シューの外周面を、裾野部と、球面座の
曲率半径よりも大きな曲率半径の頂部と、裾野部と頂部
との間に位置し、球面座の曲率半径よりも小さい曲率半
径の、球面座と接する移行部とによって形成したことを
特徴とする、斜板式コンプレッサの軸受装置。 - 【請求項2】 シューの裾野部の曲率半径が、球面座の
曲率半径よりも僅かに小さいことを特徴とする、請求項
1の斜板式コンプレッサの軸受装置。 - 【請求項3】 シューの裾野部の曲率中心が、シューの
中心線を越え、半径方向に所定量離れた位置にあること
を特徴とする、請求項1の斜板式コンプレッサの軸受装
置。 - 【請求項4】 シューの頂部の曲率半径が、球面座の曲
率半径の約1.5 〜2.0 倍であることを特徴とする請求項
1の斜板式コンプレッサの軸受装置。 - 【請求項5】 シューの移行部の曲率半径が、頂部の曲
率半径の1/3〜2/3であることを特徴とする請求項
4の斜板式コンプレッサの軸受装置。
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