JP2000169117A - セレンの選択的還元回収方法 - Google Patents

セレンの選択的還元回収方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焙焼や蒸留を行わずに、不純物を含む水溶液
を還元して、安全に且つ低コストで高品位のセレン単体
を回収する。 【解決手段】 銅電解アノードスライムを塩素浸出して
得られるセレンを亜セレン酸の形態で含有する水溶液
を、塩化物イオンの共存下に50℃以下の温度で還元
し、品位が99.9%以上のセレン単体を赤色セレンと
して回収する。赤色セレンは、セレン化合物を含有しな
い50℃以上の温水処理、更に空気中での加熱処理によ
り、結晶化を促進させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅製錬工程などで
発生するセレン含有物の水溶液から、高品位のセレン単
体を回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セレンは銅鉱石中に含まれ、その多くが
銅精錬の電解アノードスライムから回収されている。か
かるセレンの回収方法としては、非常に多くの方法が提
案されているが、原理的には以下の方法が代表的なもの
である。
【0003】即ち、第1の方法は酸化焙焼法であり、例
えば日本鉱業会誌97、1122(1981)Au
g.、第648頁及び第753頁、資源素材学会誌10
5(1989)No.5、第398頁に記載されてい
る。この方法は、アノードスライムを酸化焙焼し、揮発
した二酸化セレンを水又は水酸化ナトリウム水溶液に溶
解し、水中で生成した亜セレン酸又は亜セレン酸イオン
を二酸化硫黄を用いて還元する方法である。
【0004】また、“Hydrometallurug
y”(1994)、Chapaman&Hall、p6
9には、硫酸焙焼法が記載されている。この方法は、ア
ノードスライムを硫酸と共に焙焼し、揮発した二酸化セ
レンと生成した二酸化硫黄とを水に溶解して、溶解と同
時に酸化還元反応によりセレンを生成析出させる方法で
ある。
【0005】更に、“JOM”(1990)、Au
g.、p45に記載されているアルカリ浸出法では、ア
ノードスライムを炭酸ナトリウムと焙焼した後、水で浸
出するか、あるいは水酸化ナトリウム浸出溶液で酸化す
る方法により、セレン酸ナトリウムの水溶液又は亜セレ
ン酸ナトリウムとセレン酸ナトリウムの水溶液とし、こ
の水溶液を二酸化硫黄で還元する。
【0006】以上の方法はいずれも原液の調整に焙焼工
程を含むものであるが、焙焼工程を含まない方法として
は、“Proceedings of COPPER
95−COBRE”、95 Internationa
l ConferenceVol. III に記載される蒸
留法がある。この方法は、アノードスライムの塩素浸出
液を二酸化硫黄で還元して、セレン及びテルルを主成分
とする混合物を析出させ、これを蒸留することにより、
セレンを回収する方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
酸化焙焼法では、二酸化セレンの溶解により生成した亜
セレン酸の水溶液を二酸化硫黄により還元すると、セレ
ン化物を形成しやすい不純物元素が共沈し、高品位のセ
レン単体を得ることが困難であった。そのため、還元前
に二酸化セレンを再揮発させるか、又は還元前の水溶液
をイオン交換樹脂で処理するなどの、再精製工程が必要
であった。
【0008】また、硫酸焙焼法では、発生した二酸化セ
レンと二酸化硫黄を水で吸収させると同時にセレンが析
出する反応機構であるため、2種の発生ガスと共に水に
混入した焙焼残渣や揮発物等の粉塵が共沈し、最高でも
99%程度の品位のセレンしか回収することができなか
った。
【0009】アルカリ浸出法では、常に難還元性の6価
セレンを含むセレン酸イオンが生成するため、セレンの
還元時には、反応促進のため塩化物イオン、鉄(II)イオ
ン等を添加する必要があり、特に鉄イオンを大量に使用
するため、この廃液処理に多くの費用を要するうえ、還
元されずに残った6価セレンが排水中に混入する恐れが
あった。また、アルカリ浸出法では、アルカリと塩を形
成するあらゆる不純物が同時に浸出するため、還元に先
立って、沈澱法による分離精製操作を繰返し行う必要が
あった。
【0010】しかも、これらの酸化焙焼法、硫酸焙焼
法、及びアルカリ浸出法は、いずれも原液の調整に焙焼
工程を含むので、焙焼時に二酸化セレンの煙霧又は粉塵
が発生し、その取り扱い時にも二酸化セレンが漏洩しや
すいため、作業環境が悪化し、作業中にも被毒する危険
性があった。また、焙焼時に装置内が高度に腐食性の環
境になるため、特殊な耐食性の焙焼炉が必要となり、初
期投資及びメンテナンス費用が大きくなるという欠点が
あった。
【0011】また、蒸留法では、セレンとテルルが共沸
混合物を形成するため、多段の精留段を持つ精留塔が必
要になり、また常圧では沸点が高いことから、真空中で
操業する必要があるので、設備投資が大きくなるという
欠点があった。また、原料中にしばしば揮発性の不純物
元素又は化合物が混入する場合があり、これらも揮発し
て、製品セレン中に混入するという問題点もあった。
【0012】本発明は、このような従来の事情を鑑み、
セレンと共に多くの不純物を含む原液から、精製工程を
経ることなく、還元により高品位のセレン単体を回収す
ることができるセレンの選択的還元回収方法を提供する
ことを目的とする。更には、本発明は、焙焼工程や蒸留
工程を用いることなく、銅電解アノードスライムから調
整した原液を用いて、安全に且つ低コストでセレンを回
収できるセレンの選択的還元回収方法を提供することを
目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供するセレンの選択還元方法は、セレン
を亜セレン酸の形態で含有する水溶液を塩化物イオンの
共存下に50℃以下の温度で還元することにより、該水
溶液中のセレンをセレン単体として選択的に析出させる
ことを特徴とする。
【0014】また、本発明のセレンの選択的還元回収方
法では、セレンを亜セレン酸の形態で含有する水溶液
を、銅製錬の電解アノードスライム又はそのセレン濃縮
物を塩素で浸出することにより調整することを特徴とす
る。
【0015】本発明のセレンの選択的還元回収方法にお
いては、上記のごとくセレン単体を回収し、セレン化合
物を含有しない50℃以上の温水中で保持することによ
り、セレンの結晶化を促進させること、更には温水中か
らセレン単体を回収して、該温水の温度以上の温度に加
熱することにより、更にセレンの結晶化を促進させるこ
とができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明では、セレンを亜セレン酸
の形態で含有する水溶液中に塩化物イオンを共存させる
ことによって、亜セレン酸が還元される際に、多くの不
純物元素がクロロ錯体を形成して共沈しにくくなるた
め、セレンを選択的に析出させることができる。また、
50℃以下で還元することによりセレンが赤色セレンの
形態で析出し、50℃を越える高温で金属セレン又は無
定形セレンとして析出した場合に比べて、共存する不純
物の共沈を少なくすることができる。その結果、原液の
水溶液が多くの不純物を含んでいても、99.9%以上
の高品位のセレン単体を分離回収することができる。
【0017】上記の本発明において、原液として使用す
るセレンを亜セレン酸として含有する水溶液は、従来の
焙焼法のような乾式法によっても得られるが、安全性及
び経済性に劣るので、銅製錬の電解アノードスライム又
はそのセレン濃縮物を塩素で浸出する湿式法により調整
することが好ましい。この塩素浸出により得られる水溶
液は、自動的に亜セレン酸と塩化物とを含むことになる
ので、そのまま本発明の原液として使用することができ
る。
【0018】また、還元により分離回収されたセレン単
体は非金属状態の赤色セレンであるが、後述するよう
に、この赤色セレンは水中で加熱することにより、高品
位を保ったまま結晶化を促進させることができる。この
ように温水中の加熱により結晶化させた後、水から取り
出して加熱することにより、更に結晶化を進行させて、
灰黒色の金属セレンとすることが可能である。
【0019】以下に、本発明について更に詳しく説明す
る。まず、セレンを含有する原料としては、先に述べた
銅電解アノードスライムのほか、これを溶解及び還元な
どして得られたセレン濃縮物が一般的である。これらの
原料は、セレンをセレン化物やセレン単体として含有す
るため、塩素で酸化することによって、自動的に塩化物
と亜セレン酸の混合物が得られる。
【0020】セレン単体を塩素浸出した場合の反応を下
記化学式1に、及びセレン化物を塩素浸出した場合の反
応を化学式2に示した。尚、化学式2において、Mは2
価の陽イオンを示す:
【化1】 Se+2Cl2+3H2O → H2SeO3+4HCl
【化2】MSe+3Cl2+3H2O → MCl2+H2
eO3+4HCl
【0021】上記の各反応では、塩素の代わりに最終的
に塩素を生成する化合物の混合物、即ち、塩酸と酸化
剤、塩化物と酸化剤又は塩酸以外の酸の組み合わせも使
用することが可能である。また、原料中のセレンが既に
4価の化合物、例えば亜セレン酸塩として存在している
場合は、酸化が不要であるから、塩酸あるいは塩化物と
塩酸以外の酸により溶解することができる。更に、原料
中のセレンが亜セレン酸である場合には、塩化物のみを
添加するだけで、原液とすることができる。尚、塩素又
は塩化物の代わりに、臭化物、沃化物などのハロゲン化
物も原理的には使用可能であるが、実用的には塩素又は
塩化物に限定される。
【0022】銅電解アノードスライムを塩素浸出する際
に、含まれている元素組成及び化学種はほぼ判明してい
る場合には、最終的に得られる水溶液中の塩化物濃度が
3〜9モル/lの範囲になるように原料のアノードスラ
イムの初期懸濁濃度を制御すれば、より確実に4価のセ
レン、特に亜セレン酸のみを得ることができる。尚、水
溶液にセレン酸塩が若干混入しても最終的には還元可能
であるが、その割合が多いほど反応速度は遅くなり、工
業的実施において不利になる。
【0023】上記のごとく調整された亜セレン酸及び塩
化物を含有する水溶液は、次に還元剤によりセレンを単
体へ還元する。還元剤としては、セレンを金属まで還元
できる化合物であれば、原理的にはどのような化合物も
使用可能である。しかし、局部的に電位が大きく低下し
て不純物の共沈を招く恐れが少なく、価格が安価である
という点を配慮すると、二酸化硫黄が最も適している。
【0024】目標還元電位は、共存不純物の種類により
大きく異なるが、テルルやロジウムなどの白金族のよう
な還元されやすい元素が共存する場合を考慮すると、4
00mV以上に管理することによって、セレンのみをほ
ぼ完全に還元し、且つ共存不純物元素の混入を防止する
ことが可能である。
【0025】水溶液中の塩化物は上記のごとく不純物元
素の共沈防止に必要であるが、その塩化物濃度は共存不
純物元素の種類、その濃度及び不純物元素とセレンとの
比により大きく変動するため、一律に限定することはで
きない。一般的には、水溶液中の塩化物濃度を、共存す
る不純物元素が塩化物を形成する濃度以上とすることに
より、共沈防止の効果が認められる。例えば、共存不純
物が銅イオンの場合、銅の2倍モル以上の塩化物イオン
の存在によって、銅の共沈が抑制される。
【0026】還元時の温度を50℃以下に維持すること
で、セレン単体を不純物の共沈が少ない形態である赤色
セレンとして析出させる。しかしながら、市場に流通す
る一般的なセレンの形態は結晶化が進行した灰黒色の金
属セレンであるため、回収した赤色セレンは結晶化させ
ることが望ましい。ところが、赤色セレンを単純に母液
中で加熱したり、あるいは乾燥により加熱すると、途中
でゴム状の無定形セレンに変化して、塊状になってしま
うという問題点があった。
【0027】この赤色セレンを結晶化する方法の一つと
して、“Proceedingsof the Int
ernational Symposium on P
rocessing of Rare Metals”
(1990)、pp.231に記載されているように、
アンモニア水溶液中で加熱して金属化処理する方法が知
られている。しかし、この方法では、アルカリ性の液中
でセレンを処理するため一部のセレンが溶出する欠点が
あるうえ、加熱時のアンモニアの損失により処理コスト
が増大する恐れがあった。
【0028】そこで、本発明においては、析出した赤色
セレンを水溶液から分離回収し、セレン化合物を含まな
い水中で50℃以上に加熱することにより、結晶化を促
進させる。セレン化合物を含む水中で加熱すると、還元
時の母液中でそのまま加熱した場合と同様に、セレン化
合物がゴム状の無定形セレンとして析出し、これがバイ
ンダーの働きをしてセレンが塊状に変化してしまうから
である。
【0029】更に、より一層結晶化した金属セレンにす
る必要がある場合は、上記の温水で加熱処理したセレン
を取り出し、その温水の加熱処理温度以上の温度で更に
加熱乾燥する。この乾燥温度が高いほど、金属セレンの
結晶化が進行する。例えば、140℃以上で加熱するこ
とにより、初めから金属セレンとして液中で直接還元採
取した場合よりも結晶化が進行した金属セレンを得るこ
とができる。
【0030】
【実施例】実施例1 銅電解アノードスライムから得られたセレン濃縮物を水
中に懸濁し、塩素浸出することにより、下記表1に示す
組成の水溶液を得た。尚、表中のT-Clはトータル塩
素を、及びf-HClはフリーの塩酸を意味する。
【0031】
【表1】 《原液の組成(濃度はg/l、T-Cl及びf-HClはmol
/l)》Cu Se Te Rh T-Cl f-HCl 1.7 31 0.007 0.04 6.9 6.4
【0032】上記の水溶液に還元剤として二酸化硫黄を
吹き込み、25℃にて還元を実施した。還元途中で随時
サンプリングを行い、沈澱と液を分析した。銀塩化銀電
極に対する還元電位と液品位との関係を下記表2に、及
び還元電位と沈澱のセレン品位との関係を表3に示し
た。
【0033】
【表2】 《還元電位(mV)と母液の元素濃度(g/l)の関係》電 位 Cu Se Te Rh 608 1.7 0.23 0.005 0.043 539 1.7 0.064 0.005 0.042 356 1.7 0.052 <0.005 0.041
【0034】
【表3】 《還元電位(mV)とセレン品位(%)の関係》電 位 Cu Se Te Rh 608 <0.02 >99.94 <0.02 <0.02 539 <0.02 >99.94 <0.02 <0.02 356 0.1 99.85 0.03 0.02
【0035】以上の結果から、水溶液中に塩化物イオン
を存在させて、50℃以下の温度で還元することによ
り、ロジウムその他の不純物元素の共沈が抑制され、高
品位のセレン単体が析出分離することが分かる。しか
し、還元電位が400mVを下回ると、不純物元素の混
入量が増えることが確認された。
【0036】比較例1 塩化物を含有しない水溶液からのセレンの還元を行うた
め、セレンを含有する原料を硫酸で浸出し、下記表4に
示す組成の水溶液を得た。
【0037】
【表4】 《原液の組成(濃度はg/l、f-H2SO4はmol/l)》Cu Se Te f-H2SO4 30 8.70 2.70 110
【0038】この水溶液を、40℃又は80℃において
二酸化硫黄で還元し、途中で随時サンプリングを行って
液の分析を行い、液中の約99%のセレンが単体に還元
された時点で還元を終了して、固液分離した。回収した
セレン単体の品位を、還元温度及びセレン還元率と共に
下記表5に示した。
【0039】
【表5】 《還元条件とセレン単体の品位(%)》温度(℃) 還元率(%) Se Te Cu 40 98.9 99.8 0.1 0.03 80 99.0 99.0 0.68 0.32
【0040】この結果から分かるように、硫酸塩しか含
まない水溶液であっても、還元温度を低く維持すること
により、不純物の析出を抑制することは可能である。し
かしながら、このように塩化物を全く含まない系では、
99.9%以上の高品位のセレン単体を還元回収するこ
とは困難であった。
【0041】比較例2 実施例1と同様に、銅電解アノードスライムから得られ
たセレン濃縮物を水中に懸濁し、塩素浸出することによ
り、下記表6に示す組成の水溶液を得た。
【0042】
【表6】 《原液の組成(濃度はg/l、T-Cl及びf-HClはmol
/l)》Cu Se Te Rh T-Cl f-HCl 68.7 51.6 0.022 0.031 6.8 5.2
【0043】この水溶液を90℃に昇温した後、二酸化
硫黄を吹き込んで還元し、還元電位を552mVまで低
下させた。この還元により分離した沈澱物を回収し、分
析を行って得られた沈澱物への各元素の沈澱率を表7
に、及び沈澱物中に得られたセレン単体の品位を表8に
示した。
【0044】
【表7】 《各元素の沈澱率(%)》Cu Se Te Rh 0.01 99.9 <30 61
【0045】
【表8】 《セレン単体の品位(%)》Cu Se Te Rh 0.007 >99.92 <0.01 0.064
【0046】上記の結果から分かるように、塩化物の共
存下では、銅の還元は著しく抑制され、99.9%以上
のセレン単体を得ることが可能であるが、この比較例で
は温度が90℃と高温であるため、ロジウムの沈澱は十
分抑制できなかった。
【0047】実施例2 銅電解アノードスライムから得られたセレン濃縮物を水
中に懸濁し、塩素で浸出して、下記表9に示す組成の水
溶液200mlを得た。尚、この水溶液中の塩化物濃度
は、6.2モル/lであった。
【0048】
【表9】 《原液の組成(濃度はg/l)》 Cu Se Pt Pd Rh Ir Ru Te Fe 4.97 119 <0.005 <0.001 0.014 0.003 0.010 0.012 <0.001
【0049】この水溶液を、20℃にて還元電位が49
3mVとなるまで還元し、析出した沈澱物を常温で真空
乾燥して、24gの赤色セレンを回収した。この赤色セ
レンの品位(ppm)と発光分光定量分析の結果を下記表
10に示した。尚、残った母液中のセレンは0.009
g/lであり、還元率は99.99%であった。
【0050】
【表10−1】 《セレン単体の品位(ppm)及び発光分光定性分析結果》 Cu Pt Pd Rh Ir Ru Te Fe Se品位: <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 <10 発光分析: + ± ± − − − − ±
【表10−2】 Pb Ag As Sb Bi Mg Si Se品位: <10 <10 20 <10 <10 29 <10 <10 発光分析: − ± − − − 不可 + ± (注)発光分析の欄において、+は存在が認められることを、±は存在が弱く認 められることを、及び−は存在が認められないことを表す。
【0051】上記の結果から、本発明方法によれば、
銅、ロジウム、テルルをはじめ多くの不純物が水溶液中
に共存していても、セレンのみ選択的に還元して、高品
位のセレン単体を赤色セレンとして回収できることが分
かった。
【0052】実施例3 上記実施例2において回収した赤色セレンを、温水中及
び空気中で加熱することにより、結晶化を促進させた。
即ち、赤色セレンを脱イオン水中に懸濁し、83℃まで
3時間かけて徐々に加熱昇温した。その後、このセレン
を濾過して水分を分離し、更に140℃で12時間加熱
保持し、引き続いて170℃で12時間加熱保持した。
【0053】還元後の赤色セレン、温水中での加熱処理
後のセレン、空気中にて140℃及び170℃での加熱
処理後のセレンについて、それぞれX線回析分析を行
い、2θ=41.2°における半価幅(結晶性の尺度)
を求めた結果を下記表11に示した。比較のため、従来
法により精製した純亜セレン酸水溶液を、80℃で二酸
化硫黄を用いて還元して得られた、従来品の金属セレン
の半価幅も示した。
【0054】
【表11】 《結晶化処理条件と半価幅(2θ=41.2°)》結晶化処理条件 半価幅 還元後(無処理) 0.660 温水中83℃ 0.480 空気中140℃ 0.390 空気中170℃ 0.390 従来品金属セレン 0.540
【0055】表11の結果より、温水処理のみであって
も、既に従来法の亜セレン酸の高温還元によって得られ
た金属セレンとほぼ同等まで結晶化が進行していること
が分かる。尚、前記実施例2において塩素浸出により得
た水溶液を、そのまま50℃を越える高温で還元したと
ころ、析出物がゴム状に融着して塊状になった。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、セレンと共に多くの不
純物を含む原液から、精製工程を経ることなく、還元に
より選択的にセレンを析出させることができ、高品位の
セレン単体を回収することができる。従って、本発明で
は、焙焼工程や蒸留工程を用いる必要がなく、銅製錬の
電解アノードスライムから塩素浸出などの湿式処理によ
り調整した原液を用いて、安全に且つ低コストで99.
9以上の高品位のセレン単体を回収することが可能であ
る。
【0057】また、本発明により得られるセレンは赤色
セレンであるが、これを温水中、更には空気中で加熱す
ることによって、セレンの品位を低下させることなく、
結晶化を促進させることができ、市場に流通する一般的
な形態である灰黒色の金属セレンとすることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セレンを亜セレン酸の形態で含有する水
    溶液を、塩化物イオンの共存下に50℃以下の温度で還
    元することにより、該水溶液中のセレンをセレン単体と
    して選択的に析出させることを特徴とするセレンの選択
    的還元回収方法。
  2. 【請求項2】 還元剤として二酸化硫黄を使用すること
    を特徴とする、請求項1に記載のセレンの選択的還元回
    収方法。
  3. 【請求項3】 還元時の電位が銀塩化銀電極に対して4
    00mV以上であることを特徴とする、請求項1又は2
    に記載のセレンの選択的還元回収方法。
  4. 【請求項4】 前記セレンを亜セレン酸の形態で含有す
    る水溶液は、銅製錬の電解アノードスライム又はそのセ
    レン濃縮物を塩素で浸出することにより調整することを
    特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のセレンの
    選択的還元回収方法。
  5. 【請求項5】 前記セレン単体を回収し、セレン化合物
    を含有しない50℃以上の温水中で保持することによ
    り、セレンの結晶化を促進させることを特徴とする、請
    求項1〜4のいずれかに記載のセレンの選択的還元回収
    方法。
  6. 【請求項6】 前記温水中からセレン単体を回収し、該
    温水の温度以上の温度に加熱することにより、更にセレ
    ンの結晶化を促進させることを特徴とする、請求項5に
    記載のセレンの選択的還元回収方法。
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