JP2000163905A - 磁気ディスク装置、それに用いるスぺーサーリング及びその製造方法 - Google Patents

磁気ディスク装置、それに用いるスぺーサーリング及びその製造方法

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JP2000163905A
JP2000163905A JP10338576A JP33857698A JP2000163905A JP 2000163905 A JP2000163905 A JP 2000163905A JP 10338576 A JP10338576 A JP 10338576A JP 33857698 A JP33857698 A JP 33857698A JP 2000163905 A JP2000163905 A JP 2000163905A
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Noriyuki Takeo
典幸 武尾
Masahiro Watanabe
正博 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】複数枚のディスク1を剛性が高いセラミックス
ぺーサー4を介して積層した磁気ディスク装置における
スぺーサーからの塵埃を減少させ、磁気ディスク装置の
エラーを減少させること。 【解決手段】アルカリ性の液若しくは酸性の液又はそれ
らに界面活性剤を混合した液にセラミックスぺーサーを
浸漬し、乾燥し、さらにタングステン等をコーティング
して、磁気ディスク装置に組み込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピューターの
外部記憶装置等に用いる磁気ディスク装置、それに用い
るスぺーサーリング及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置は、主に情報を記録す
る記録媒体(以下、ディスクと記載する)とそのディス
ク上の情報を読み書きする磁気ヘッド(以下、ヘッドと
記載する)及び信号回路等から構成されている。
【0003】磁気ディスク装置は、回転したディスク上
をヘッドが浮上することにより、ディスク面を効率よく
使用し、大容量化が図られている。このディスクを回転
するための駆動源として、スピンドルモーターが用いら
れる。通常、磁気ディスク装置ではディスクを複数枚使
用しており、それぞれのディスクに適切な間隔を形成
し、かつ、スピンドルモーターの回転を伝えるためにデ
ィスクとディスクとの間にスぺーサーリング(以下、ス
ぺーサーと記載する)を挿入し、それらのクランプを行
なっている。
【0004】スぺーサーは、スピンドルモーターにディ
スクを固定した際、ディスクが変形(反り)しない剛性
をもつことが要求される。従来、スぺーサーはSUS製
のスぺーサー(以下、SUSスぺーサーと記載する)が
使用されていた。これは加工が容易なこと、ディスクが
金属製(アルミニウムにNi−Pメッキを施したもの)
で、それに近い線膨張係数を持つためである。
【0005】しかし、最近の磁気ディスク装置に用いら
れるディスクの基板はガラス製のものが多くなった。こ
のガラス製のディスクを使用した磁気ディスク装置でS
USスぺーサーを用いると、ディスクをスピンドルモー
ターに固定した際に、スぺーサーの剛性が弱く、ディス
クが反り、ディスク・ヘッドのスペースが広がり電気的
特性が低下するようになった。
【0006】これを解決する手段として、特開平7−3
26155号公報、特開平6−162709号及び特開
平7−121962号公報に記載のように、剛性が高く
熱膨張係数が略ガラスに等しいセラミック製のスぺーサ
ー(以下、セラミックスぺーサーと記載する)が提案さ
れている。
【0007】しかしセラミックスぺーサーを使用する
と、ヘッドとディスクが摺動し、ディスクに多くの傷が
発生するという問題が生じた。特に、深い傷の場合、情
報が記録されている磁性膜が欠損してエラーが発生し
た。これはディスクのクランプ時の応力により、セラミ
ックスぺーサーのエッジ部に欠けが発生し、この欠けた
セラミックがディスクとヘッドの間に入り込んだためで
ある。この欠けを防止するために特開平8−31553
3号公報に記載のように、スぺーサーのディスク基板と
の実当接面積率を50〜95%とし、かつ、当接面の平
坦度を3μm以下にすることが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平8−315
533号公報に記載の従来技術は、セラミックの欠けの
減少が認められるが、なお、ディスクの傷がすべてはな
くならないという問題があった。これは、セラミックス
ぺーサーは多孔質であり、その孔の中に微小なセラミッ
クス等の塵埃(以下、孔塵埃と記載する)が多く存在す
るためである。つまり、磁気ディスク装置のスピンドル
モーターが回転すると、セラミックスぺーサーの孔より
孔塵埃が飛び出し、ヘッドとディスクの間に入り込んだ
ことが原因で傷が発生した。
【0009】本発明の第1の目的は、セラミックスぺー
サーからの塵埃の発生を減少させた磁気ディスク用スぺ
ーサーを提供することにある。
【0010】本発明の第2の目的は、そのような磁気デ
ィスク用スぺーサーの製造方法を提供することにある。
【0011】本発明の第3の目的は、ディスクの欠損に
よるエラーを減少させた磁気ディスク装置を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明の磁気ディスク用スぺーサーは、スぺ
ーサーリングの少なくとも外周部の表面を被覆膜で被っ
たセラミックスから構成したものである。
【0013】この被覆膜(以下、単に膜と記載する)
は、けい素、炭素、遷移金属元素又は遷移金属の合金か
らなることが好ましい。遷移金属としては、タングステ
ン、チタン、コバルト、鉄、クロム、ニッケル、ジルコ
ニウム、タンタル、銅、銀、金等が用いられる。膜厚
は、50nmから5μmの範囲であることが好ましい。
50nm未満では均一な膜になりにくく、また、5μm
を越えるとディスクの反りが大きくなる。膜は、少なく
とも外周部、すなわち磁気ディスク装置に組み立てられ
たときにディスクとディスクの間で表面が表われる部分
にあればよいが、製造の容易さ等からは全面に設けた方
がよい。
【0014】また、上記第2の目的を達成するために、
本発明の磁気ディスク用スぺーサーの製造方法は、セラ
ミックスからなるスぺーサーをアルカリ性の液若しくは
酸性の液又はこれらに界面活性剤を加えた液に浸漬し、
乾燥するようにしたものである。
【0015】上記の乾燥の後、少なくとも外周部の表面
を膜、特に、けい素、炭素、遷移金属元素又は遷移金属
の合金からなる膜で被うことが好ましい。遷移金属とし
ては、タングステン、チタン、コバルト、鉄、クロム、
ニッケル、ジルコニウム、タンタル、銅、銀、金等が用
いられる。膜厚は、50nmから5μmの範囲であるこ
とが好ましい。
【0016】また、アルカリ性の液はpHが10〜14
の範囲、酸性の液はpHが0〜4の範囲であることが好
ましい。アルカリ性の液のときも酸性の液のときも、界
面活性剤を加えるときは、その濃度は0.001wt.
%から10wt.%の範囲とすることが好ましい。
【0017】また、上記第3の目的を達成するために、
本発明の磁気ディスク装置は、情報を記録する磁気記録
媒体の複数枚と、磁気記録媒体に情報を記録、再生する
磁気ヘッドと、信号回路とを有し、上記の複数枚の磁気
記録媒体をスぺーサーを介して積層し、このスぺーサー
として、上記の磁気ディスク用スぺーサー又は上記の磁
気ディスク用スぺーサーの製造方法により製造されたス
ぺーサーを用いるようにしたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて詳細に説明する。セラミックスぺーサーとし
て、京セラ社製のフォルステライトを加工したものを用
いた。セラミックスぺーサーの孔の中には孔塵埃が存在
し、また、表面についた塵埃(以下、表面塵埃と記載す
る)も存在する。
【0019】セラミックスぺーサーを洗剤(ライオン社
製、FM−10、以下、FM−10と記載する)で洗浄
後、純水でリンス、乾燥し、磁気ディスク装置に組み込
んだところ、表面塵埃は除去できるが、磁気ディスク装
置のスピンドル回転時に発生した振動により発塵する孔
塵埃の除去は不十分であった。発生する孔塵埃の多数は
スピンドルモータやディスクと接触している面ではな
く、ディスク側に剥き出しになった面から発生してい
る。この孔塵埃が孔から飛び出してディスクの摺動の原
因となる。また、セラミックスぺーサー表面に未洗浄で
膜をコーティングしても、表面塵埃除去や有機汚染除去
が不十分であるので、これらが原因で膜剥がれを起こ
す。このためコーティング前に膜の密着性向上のために
表面塵埃除去及び有機汚染除去を、また膜が剥がれても
ディスクに傷が付かないように孔塵埃除去処理を十分に
行う必要がある。
【0020】洗浄及び洗浄後の発塵量調査は次のように
行なった。洗浄装置の模式的な斜視図を図2に示す。ま
ず、25個のセラミックスぺーサー7をスぺーサー洗浄
治具8に装着した後、超音波発振機10から40kHz
の超音波が発振された洗浄液を含む純水槽9に浸漬し
た。洗浄液の温度は30〜35℃に維持し、洗浄液は循
環ポンプ11でフィルター12を通して循環させた。次
に、セラミックスぺーサーをリンス槽13に入れ、純水
14で20分間リンスした。リンス槽13は純水14の
使い捨てとした。その後、セラミックスぺーサーを超音
波発振槽の中に入った石英槽15(10リットルの純水
入り)入れ、次に、液中微粒子モニタ16(リオン社
製、型式KL−22)でセラミックスぺーサーの入った
純水の液中微粒子数(0.5μm以上)を測定した。
【0021】洗浄液として純水、FM−10(3wt
%)、pH2の塩酸液(以下、酸液と記載する)、pH
13の水酸化ナトリウム(以下、アルカリ液と記載す
る)、酸液に界面活性剤を混合した液(以下、酸液+活
性剤と記載する)、アルカリ液に界面活性剤を混合した
液(以下、アルカリ液+活性剤と記載する)を採用し
た。純水は0.5μm以上の粒子が1個/cc以下であ
り、他の洗浄液の希釈にもこの純水を用いた。塩酸、水
酸化ナトリウム及び界面活性剤(商品名:ツイーン20
(Tween20))は和光純薬工業社製を使用した。
界面活性剤濃度は0.1%である。洗浄装置はプレテッ
ク社製(型名:PC−062N03−16A)を、洗浄
後液中微粒子測定用の超音波装置として井内盛栄堂社製
(型式:US−5)使用した。また、浸漬時間は、5、
10、20又は60分間の4通りとした。比較として、
未処理(以下、未洗浄と記載する)のセラミックスぺー
サーを超音波による洗浄及び純水リンスを行なわずに液
中微粒子数を測定した。
【0022】図3にセラミックスぺーサーの洗浄処理後
の表面塵埃及び孔塵埃の発生数の浸漬時間による差を示
す。横軸は洗浄液の種類、縦軸は液中微粒子数で0.5
μm以上の粒子が1cc当たりに含まれる数を示す。こ
の結果から酸液+活性剤、アルカリ液+活性剤、アルカ
リ液、酸液、FM−10、純水の順で洗浄効果が高い。
また、それぞれの液で処理時間の増加と共に、セラミッ
クスぺーサーの清浄度も増加した。FM−10の60分
間の洗浄に比べ、アルカリ液等は5分間の洗浄でそれ以
上の清浄度を得ることができた。
【0023】この洗浄メカニズムを図4に示して説明す
る。界面活性剤20は、弱い力でセラミック表面と結び
付いた塵埃17の除去には大きな効果を示すが、強い力
でセラミック表面と結び付いた塵埃18の除去には効果
が少ない。そこで、酸又はアルカリ液によりセラミック
ス19の表面をエッチングし、強い力でセラミック表面
に結び付いた塵埃18の除去を可能とした。また、酸液
+活性剤及びアルカリ液+活性剤は、除去された塵埃に
界面活性剤20が吸着し、除去された塵埃のセラミック
表面への再付着を防いでいる。このメカニズムから、酸
液+活性剤、アルカリ液+活性剤は、セラミックスのエ
ッチング効果及び塵埃再付着防止効果があり、界面活性
剤を含まない酸及びアルカリ液より洗浄力が高い。
【0024】次に酸液、及びアルカリ液の濃度と洗浄力
の関係を調べた。図5に洗浄液のpHと洗浄後のセラミ
ックスぺーサーの液中微粒子数との関係を示す。洗浄は
60分間行ない、他の条件は前記と同条件で行なった。
pHの設定は塩酸及び水酸化ナトリウムの濃度で調整を
行なった。この結果から、酸液及び酸液+活性剤は、共
にpH0〜4で洗浄効果が高いことが分かった。アルカ
リ液及びアルカリ+活性剤は、共にpH10〜14で洗
浄効果が高いことが分かった。これは、pHが中性側に
近づくとセラミックスのエッチング効果が減少し、塵埃
除去効果が減少したためである。
【0025】次に酸液、アルカリ液中の活性剤濃度と洗
浄力の関係を調べた。図6に活性剤濃度と洗浄後セラミ
ックスぺーサーの液中微粒子数の関係を示す。酸液のp
Hは2、アルカリ液のpHは13で行なった。この結果
から、酸液、アルカリ液共に0.001〜10wt%の
濃度のとき洗浄効果が高いことが分かった。これは、界
面活性剤の濃度が薄くなると、塵埃に吸着できる界面活
性剤量が少なくなり、塵埃再付着効果が低下したためで
ある。
【0026】以上のことから、セラミックスぺーサーを
アルカリ液、酸液及びそれらに活性剤を含んだもので洗
浄すると、単にFM−10で洗浄したものに比べ、清浄
度の高いセラミックスぺーサーが得られることが分かっ
た。
【0027】さらに次のような洗浄処理を行ない、セラ
ミックスぺーサーの表面塵埃及び孔塵埃が減少したセラ
ミックスぺーサーに膜をコーティングし、孔塵埃等によ
るディスクの傷が減少するか検討を行なった。
【0028】まず、未洗浄のセラミックスペーサーにタ
ングステンをコーティングした。タングステンのコーテ
ィングは、化学的な蒸着法(以下、CVD(化学気相蒸
着)法と記載する)で行なった。このCVD法は表面は
勿論のこと、孔の中まで金属膜が付着し、孔塵埃の脱離
を防ぐには有効な膜である。CVDの装置は、ノベラス
システムズ(Novelous Systems)社
製のConceptTwo−ALTUSを使用した。タ
ングステンの膜厚は5μmとした。タングステンの膜の
厚さの測定ポイントを図7により説明する。図7(a)
はセラミックスぺーサー21の外観図、図7(b)はそ
の断面図である。図に測定評価ポイント23を示す。一
つのスぺーサーで等円周角(36度)で半径方向の断面
10ヶ所を作り、断面の中心の厚さの10ヶ所の平均値
より膜厚を算出した。測定は断面を走査型又は透過型顕
微鏡で行なった。図7(c)はセラミックスぺーサー2
1の表面の模式図である。表面には孔26があり、膜2
4の厚さは図示の部分である。
【0029】セラミックスペーサーからタングステンが
剥がれ場合、剥がれたタングステンやその剥がれた部分
から発生した孔塵埃がディスクの傷の原因となる。この
ために密着性が十分か調査する必要がある。ここで密着
性の評価として、セラミックスペーサー表面にコーティ
ングされたタングステンにテープを貼り、タングステン
がセラミックスペーサーから剥がれるか調査した(以
下、このような試験法を「ピール試験」と記載する)。
この試験は、テクニスコ社製(型式:エレクトロンテー
プ)のテープを使用した。1個当たり5mm2になるよ
うに任意のポイントにテープを張りつけ、剥がれたかど
うか鑑定した。セラミック1,000個を調査したとこ
ろ153個剥がれ、このピール試験から未処理のセラミ
ックスペーサーとの密着性は不十分であることが分かっ
た。このタングステンとセラミックの密着性が不十分で
あった部分を調査すると、有機性分及び表面塵埃がみら
れた。これは、タングステンとセラミックの間に有機物
や脱落しやすい表面塵埃があり、このために密着性が低
下したためである。
【0030】次にセラミックスぺーサーに洗浄処理を行
ない乾燥した後、膜をコーティングしたものの膜の密着
性を調査した。表1に各々の洗浄処理を行ったセラミッ
クスペーサーとCVD法で蒸着したタングステンのピー
ル試験結果を示す。数字は、1,000個調べたときの
剥がれた数である。
【0031】
【表1】
【0032】上記結果より純水及びFM−10の密着性
が悪かった。純水においては、有機物及び表面塵埃の除
去の不十分、FM−10においては、表面塵埃の除去が
不十分であっためである。酸液+活性剤及びアルカリ液
+活性剤は、表面塵埃除去及び有機物の除去効果が優れ
ており、膜密着性は向上した。酸液、アルカリ液も密着
性向上には効果があるが、有機膜を十分に除去できない
場合が見られ、これらに活性剤を加えた2種に比べわず
かに劣った。
【0033】次に、洗浄等前処理を行なった後、セラミ
ックスぺーサーにタングステン膜を蒸着したもの(膜厚
50nm及び5μm)及び洗浄等前処理だけのものを磁
気ディスク装置に組み込んで、ディスク上に発生する傷
評価を行なった。評価に使った磁気ディスク装置の概略
図及びスピンドル、ディスク回りの断面図を図1
(a)、(b)に示す。ディスク1の各面に対応してヘ
ッド2が設けられ、ヘッド2はヘッドアーム3の先端の
サスペンションに支持されている。ディスク1はスピン
ドルモーター5にクランプ6で取り付けられる。ディス
ク1の間にそれぞれセラミックスぺーサー4が置かれ
る。実験条件は、磁気ディスク装置(30台)にディス
ク(3枚)を装着後、100時間連続稼動し、ディスク
を取り外し表面の傷を光学顕微鏡にて観察した(以下、
「ディスク傷評価法」と記載する)。表2にそれぞれの
評価結果を示す。
【0034】
【表2】
【0035】タングステンの膜(膜厚50nm又は5μ
m)を形成することにより、ディスクの傷をかなり減少
することが可能となった。また、膜なし(洗浄のみ)で
も、FM−10による洗浄のみに比べてもディスク傷に
対してかなり効果があることが分かった。
【0036】しかし、セラミックスぺーサーに膜をコー
ティングしたものの厚さによっては、磁気ディスク装置
にスぺーサーを組み込んだ際に、ディスクに反りを発生
する可能性がある。このためタングステンの膜厚による
反りに対する影響を調査した。
【0037】磁気ディスク装置に組み込んだ際のディス
クが反りを計測した。コーティングした膜はタングステ
ンで、膜厚は10μmである。評価装置はフジノン社製
のFX−15を磁気ディスク反り評価用に改造したもの
を使用し、干渉縞のピッチから反りを検討した。コーテ
ィングのないものは装着により、反りが僅かにみとめら
れるが、上記のタングステンをコーティングしたものは
かなりの反りがみとめられる。この反りがヘッド/ディ
スク間スペースを広げる原因となり、磁気ディスク装置
の電気的出力低下の一因となる。
【0038】そこでタングステンの膜厚とディスクの反
りによるヘッド/ディスク間スペース変化による電気的
出力の変化を検討した。結果を図8に示す。このことか
ら、5μm以下の膜厚では、タングステン膜のコーティ
ングをしていないものに比べても、電気的出力に問題が
ないことが分かる。なお、50nm未満では均一な膜と
ならず、コーティングの効果が得られない。以上のこと
からタングステンでセラミックスぺーサーをコーティン
グした場合、50nm〜5μmの範囲の膜厚で優れた特
性を持つことが分かった。
【0039】次に、他の元素をセラミックスぺーサーに
コーティングした場合、同様な優れた特性が得られるか
調査した。元素種として、遷移金属、その合金(チタ
ン、鉄、クロム、ニッケル、ジルコニウム、タンタル、
銅、銀、金)、けい素、炭素を調査した。また、以後、
膜を被覆する前のセラミックスぺーサーの標準の洗浄条
件は、アルカリ液(pH13)+活性剤(0.1w%)
で洗浄時間60分とした。標準的な洗浄を終えた後の膜
のコーティング法は、CVD法は勿論のこと、物理的蒸
着法(以下、PVD(物理気相蒸着)法と記載する)も
選定した。PVD法に用いた装置は、磁気ディスク用製
造設備であるインテバック(Intevac)社製のM
DP250Bをスぺーサー用に改造したものである。
【0040】図9は、セラミックスぺーサーにそれぞれ
の元素をコーティングした際、膜の厚さと反りによる電
気的出力への影響を示す図である。コーティングしない
ものを100として比較したところ、タングステンに比
べても遜色がなく、膜の厚さ50nm〜5μmまで問題
はなかった。
【0041】図10にそれぞれの元素でコーティングし
たセラミックスぺーサーでのディスク傷評価法の結果を
示す。タングステンに比べても遜色がなく、膜の厚さ5
0nm〜5μmまでディスク傷に対して効果があった。
図11にピール試験による膜剥がれの評価結果を示す。
膜厚は5μmとし1,000ポイント評価した。タング
ステンに比べてもほとんど遜色がなく問題はなかった。
【0042】また、以上の膜はすべて1層の膜の例であ
るが、2層以上の膜としてもよい。特にピール試験で効
果が大きかったクロム、銅又は金を下層とし、その上層
として他の遷移金属又はその合金の膜を形成したとき
は、ピール試験による膜剥がれは、クロム、銅又は金の
膜剥がれとほぼ同じ結果となった。なお、この場合、下
層と上層の合計の膜厚が上記の膜厚の範囲になるように
する。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、塵埃の発生を減少させ
た磁気ディスク装置用のセラミックスぺーサーを提供す
ることができた。また、そのような磁気ディスク装置用
のセラミックスぺーサーの製造方法を提供することがで
きた。さらに、セラミックスぺーサーを用いた磁気ディ
スク装置のエラーを減少させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の磁気ディスク装置の概略図
及びスピンドル、ディスク回りの断面図である。
【図2】本発明のセラミックスぺーサーの製造方法に用
いる洗浄装置の一例の模式的な斜視図である。
【図3】洗浄液の種類によるセラミックスぺーサーの清
浄度の差を示す図である。
【図4】洗浄メカニズムを示す図である。
【図5】洗浄液のpHとセラミックスぺーサーの清浄度
の関係を示す図である。
【図6】活性剤濃度とセラミックスぺーサーの清浄度の
関係を示す図である。
【図7】コーティング膜厚の測定ポイントを説明するた
めのセラミックスぺーサーの外観図、断面図及びその表
面の模式図である。
【図8】タングステンの膜厚とディスクの反りの関係を
示す図である。
【図9】被覆膜の材質及び膜厚と反りによる電気的出力
への影響を示す図である。
【図10】被覆膜の材質及び膜厚とディスク傷の関係を
示す図である。
【図11】被覆膜の材質とセラミックスぺーサーの密着
性の関係を示す図である。
【符号の説明】
1…ディスク 2…ヘッド 3…ヘッドアーム 4、21…セラミックスぺーサー 5…スピンドルモーター 6…クランプ 7…スぺーサー 8…スぺーサー洗浄治具 9…純水槽 10…超音波発振機 11…循環ポンプ 12…フィルター 13…リンス槽 14…純水 15…石英槽 16…液中微粒子モニタ 17…弱い力でセラミック表面と結び付いた塵埃 18…強い力でセラミック表面と結び付いた塵埃 19…セラミックス 20…界面活性剤 23…膜厚評価ポイント 24…膜 25…孔

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スぺーサーリングの少なくとも外周部の表
    面が被覆膜で被われたセラミックスからなることを特徴
    とする磁気ディスク用スぺーサーリング。
  2. 【請求項2】上記被覆膜は、けい素、炭素、遷移金属元
    素又は遷移金属の合金からなることを特徴とする請求項
    1記載の磁気ディスク用スぺーサーリング。
  3. 【請求項3】セラミックスからなるスぺーサーリングを
    アルカリ性の液若しくは酸性の液又はこれらに界面活性
    剤を加えた液に浸漬し、乾燥することを特徴とする磁気
    ディスク用スぺーサーリングの製造方法。
  4. 【請求項4】上記乾燥の後、少なくとも外周部の表面を
    被覆膜で被うことを特徴とする請求項3記載の磁気ディ
    スク用スぺーサーリングの製造方法。
  5. 【請求項5】上記被覆膜は、けい素、炭素、遷移金属元
    素又は遷移金属の合金からなることを特徴とする請求項
    4記載の磁気ディスク用スぺーサーリングの製造方法。
  6. 【請求項6】上記アルカリ性の液はpHが10〜14の
    範囲であり、上記酸性の液はpHが0〜4の範囲である
    ことを特徴とする請求項3、4又は5記載の磁気ディス
    ク用スぺーサーリングの製造方法。
  7. 【請求項7】情報を記録する磁気記録媒体の複数枚と、
    該磁気記録媒体に情報を記録、再生する磁気ヘッドと、
    信号回路とを有し、上記複数枚の磁気記録媒体は、スぺ
    ーサーリングを介して積層された磁気ディスク装置にお
    いて、上記スぺーサーリングは、請求項1若しくは2記
    載の磁気ディスク用スぺーサーリング又は請求項3から
    6の何れか一に記載の磁気ディスク用スぺーサーリング
    の製造方法により製造されたスぺーサーリングであるこ
    とを特徴とする磁気ディスク装置。
JP10338576A 1998-11-30 1998-11-30 磁気ディスク装置、それに用いるスぺーサーリング及びその製造方法 Pending JP2000163905A (ja)

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