JP2000153118A - 気水分離システム - Google Patents

気水分離システム

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JP2000153118A
JP2000153118A JP10332232A JP33223298A JP2000153118A JP 2000153118 A JP2000153118 A JP 2000153118A JP 10332232 A JP10332232 A JP 10332232A JP 33223298 A JP33223298 A JP 33223298A JP 2000153118 A JP2000153118 A JP 2000153118A
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Michio Murase
道雄 村瀬
Shunji Nakao
俊次 中尾
Naoyuki Ishida
直行 石田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、圧力損失が低い気水分離器又
は出口湿分が低い蒸気乾燥器又はそれら両者とで構成さ
れる気水分離システムを提供することにある。 【解決手段】気水分離器120は、スワラー123を第
1段内筒126内に設置し、第2段内筒130の直径を
第1段ピックオフリング127の直径と等しくし、第3
段に衝突板137を設けた構成を有し、蒸気乾燥器はフ
ードの背面に留め板とドレンガイドを設けた構成とす
る。これら気水分離器120と蒸気乾燥器は、原子炉圧
力容器内に設置されて、これら気水分離器120で気水
分離した蒸気を蒸気乾燥器が受け入れて乾燥蒸気にする
気水分離システムが構築される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉で発生した
蒸気を冷却水から分離する気水分離器と、その分離され
た蒸気に含まれる液滴を除去する蒸気乾燥器と、それら
両者によって構成される気水分離システムとに関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電プラントでは、蒸気タービン
の健全性を維持するため、原子炉の加熱で発生した蒸気
を冷却水から分離する気水分離器と分離された蒸気に含
まれる液滴を除去する蒸気乾燥器とで構成される気水分
離システムが使用されており、蒸気に含まれる液滴量を
一定値以下にして蒸気タービンに供給する。
【0003】一例として、改良型沸騰水型原子炉の構成
を図4に示す。原子炉圧力容器1内のシュラウド3内に
炉心2が設置される。炉心2で発生した蒸気は冷却水と
混合状態で上部プレナム8を経由してシュラウドヘッド
4に多数設置された気水分離器20に流入して液滴を含
む蒸気と冷却水に分離される。分離された冷却水は、給
水管10からの給水と混合してダウンカマ5を通り、イ
ンターナルポンプ6で駆動され、下部プレナム7を経由
して炉心に再循環される。
【0004】一方、液滴を含む蒸気は、蒸気乾燥器50
で液滴を除去した後、主蒸気管9を経由して蒸気タービ
ンに供給される。蒸気タービンと発電機を駆動した蒸気
は、復水器で凝縮され、給水加熱器で加熱された後、給
水管10から原子炉圧力容器1に供給される。
【0005】気水分離器20の構造を図5に、蒸気乾燥
器50の構造を図6,図7に示す。蒸気と冷却水との混
合流体は、上部プレナム8からシュラウドヘッド4に接
続したスタンドパイプ21に流入し、ディフューザ22
内に設置されハブ24と複数の旋回羽根25で構成され
るスワラー23で遠心力を付与され、第1段内筒26内
で液滴を含む蒸気と液膜に分離される。
【0006】分離された液膜の大部分は、第1段ピック
オフリング27、第1段環状板28及び第1段外筒29
で除去・排水される。第1段ピックオフリング27を通
過した液膜は、第2段内筒30に流入し、第2段ピック
オフリング31、第2段環状板32及び第2段外筒33
で除去・排水され、第2段排水口34から排出され、第
1段外筒29の外壁に沿って流下する。
【0007】液滴を含む蒸気は、第2段ピックオフリン
グ31を通過するが、遠心力により液滴を第3段内筒3
5に付着させ、第3段ピックオフリング36,第3段環
状板37及び第3段外筒38で除去・排水され、第3段
排水口39から排出され、第2段外筒34の外壁に沿っ
て流下する。
【0008】このようにして、気水分離器20に流入し
た冷却水の約99%以上が分離・排水される。1%弱の
冷却水は、液滴として蒸気(矢印A)に含まれて蒸気乾
燥器50に流入する。従来技術による気水分離器20の
気水分離性能は極めて高いが、圧力損失、特にスワラー
23の圧力損失が大きい。
【0009】液滴を含む蒸気は、フード51内側の入口
流路52,入口多孔板53を経由して波板54に流入す
る。運動量が大きい液滴は、波板54に衝突し、液膜を
形成してスリット55からポケット56に流入し、重力
によってポケット56内を流下し、ドレン樋59に集め
られ、ドレン管60を経由して、図4の蒸気乾燥器スカ
ート11と原子炉圧力容器1との間に排水される。
【0010】波板54で液滴を除去された蒸気は、出口
多孔板57、フード51外側の出口流路58を経由して
図4の主蒸気管9を経由して蒸気タービンに供給され
る。このようにして、蒸気乾燥器50に流入した液滴の
約99%が除去される。
【0011】つまり、気水分離器20に流入した冷却水
は、気水分離器20で約百分の1に、蒸気乾燥器50で
約1万分の1まで低減される。主蒸気管9での湿分(蒸
気に含まれる液滴の質量流量の割合)の制限値0.1%
以下に対し、約0.01%と極めて良好な気水分離性能
が実現されている。
【0012】原子炉の炉心2で発生した蒸気を蒸気ター
ビンに供給する沸騰水型原子炉においては、冷却水(液
滴)に含まれる放射性物質を低減し、蒸気タービン系統
の放射線レベルを低減するためにも、良好な気水分離性
能の維持は極めて重要である。現在の蒸気乾燥器50の
液滴除去性能は極めて高いが、入口での液滴量に制限が
あり、気水分離器20からの液滴量が大幅に増大すると
対応できなくなる。
【0013】一方、電気料金の低減が強く求められてお
り、燃料費が安く建設費が高い原子力発電プラントにお
いては建設単価(建設費÷発電量)の大幅な低減が求め
られている。建設単価を低減する最も有効な手段は、炉
心2の熱出力と発電量を増加することである。
【0014】この場合、炉心2を冷却するために冷却水
流量を増加する必要があり、熱出力増加により炉心2で
の蒸気発生量も増加する。従って、炉心2,上部プレナ
ム8,気水分離器20,ダウンカマ5,インターナルポ
ンプ6,下部プレナム7の冷却水再循環経路の圧力損失
が増加するため、再循環経路の全圧力損失の約20%を
占める気水分離器20の圧力損失の低減が必要になる。
【0015】炉心2の圧力損失が最も大きいが、炉心の
圧力損失を低減すると冷却性能が低下するため、気水分
離器20の圧力損失を低減して炉心2の圧力損失を増加
し、冷却性能を向上して熱出力と発電量を増加する方が
経済的に有利になる。
【0016】また、蒸気発生量と蒸気流量が増加する
と、蒸気乾燥器50の湿分除去性能が低下し、出口湿分
が増加するため、蒸気乾燥器50の性能向上が必要にな
る。
【0017】従って、本発明の目的には、気水分離器の
圧力損失を低減し、蒸気乾燥器の性能を向上することに
より、炉心の熱出力と発電量を増大することができる気
水分離システムを提供することが含まれている。
【0018】気水分離器の圧力損失を低減する公知技術
として、実開平8−1361 号公報に記載のものがある。こ
の公知技術は、スタンドパイプと第1段内筒との間にデ
ィフューザがなく、流速が低い第1段内筒にスワラーを
設置することにより圧力損失を低減するものである。
【0019】一方、気水分離器の気水分離性能を向上す
る公知技術として、特開平6−273571号公報に記載のも
のがある。この公知技術は、第2段内筒を第1段ピック
オフリングより小さくして第2段内筒での遠心力を増加
することにより気水分離性能を向上するものである。
【0020】また、蒸気乾燥器の液滴捕獲性能を向上す
る公知技術として、特開平8−338605号公報や特開平9−
79502号公報に記載のものがある。これらの公知技術
は、波板を1段もしくは2段にして波板を小型化し、多
くの波板を設置することにより入口面積を拡大して蒸気
流速を減速し、出口湿分が急増するブレクスルー条件を
改善するとともに、波板の角度をきつくして液滴捕獲性
能を向上するものである。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
知技術には以下の課題が存在する。
【0022】すなわち、実開平8−1361 号の技術におい
ては、加圧水型原子炉の蒸気発生器を対象としており、
対象とする2次系冷却水には放射性物質を含まないため
気水分離性能には配慮されていない。一般に、圧力損失
を低減すると気水分離性能が低下する相反事象となる。
【0023】また、特開平6−273571 号の技術において
は、圧力損失の低減は考慮されていない。
【0024】一方、特開平8−338605 号や特開平9−795
02号の技術においては、波板に付着した液膜をポケット
に導くスリットの形状、及び出口流路での液滴捕獲機能
については考慮されていない。
【0025】本発明の第1の目的は、圧力損失が低い気
水分離器を提供することにある。
【0026】本発明の第2の目的は、低い圧力損失を維
持しつつ気水分離性能を向上(出口蒸気に含まれる液滴
量を低減)した気水分離器を提供することにある。
【0027】本発明の第3の目的は、気水分離器から流
入する蒸気に含まれる液滴流量が増加しても出口湿分
(蒸気に含まれる液滴の質量流量の割合)を低減できる
蒸気乾燥器を提供することにある。
【0028】本発明の第4の目的は、圧力損失が低い気
水分離器と液滴除去能力が高い蒸気乾燥器を組合わせる
ことにより、圧力損失が低くて気水分離性能が高く出口
湿分が低い気水分離システムを提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】第1の目的を達成するた
めの第1手段は、ハブと複数の旋回羽根で構成されるス
ワラーにより気液混合流に遠心力を与え、円筒状の第1
段内筒内に遠心力で分離された液体で液膜を形成させ、
第1段内筒の上方に配置した第1段環状板と第1段内筒
の外部を取り囲むように配置し上端を第1段環状板に接
続した第1段外筒により第1段内筒内に形成した液膜を
排水する気水分離器において、第1段内筒の下端に上端
が大きく下端が小さいディフューザを接続し、ディフュ
ーザの下端に第1段内筒より流路面積が小さい円筒状の
スタンドパイプを接続し、スワラーを第1段内筒に配置
し、第1段環状板に円筒状の第2段内筒を上方に長く下
方に短く接続することにより第2段内筒の下端で第1段
ピックオフリングを形成し、第2段内筒の上方に第2段
ピックオフリングを有する第2段環状板を配置し、第2
段内筒の外部を取り囲むように第1段外筒より小さい第
2段外筒を配置して上端を第2段環状板に接続し、第2
段外筒の下端に第2段排水口を設ける。
【0030】第2の目的を達成するための第2手段は、
ハブと複数の旋回羽根で構成されるスワラーにより気液
混合流に遠心力を与え、円筒状の第1段内筒内に遠心力
で分離された液体で液膜を形成させ、第1段内筒の上方
に配置した第1段環状板と第1段内筒の外部を取り囲む
ように配置し上端を第1段環状板に接続した第1段外筒
により第1段内筒内に形成した液膜を排水する気水分離
器において、複数段の気液分離と排水の手段を有し、短
い内筒と上端に衝突板を有し側面に下端まで開放した排
気口を有する外筒とで最終段を構成する。
【0031】第1の目的と第2の目的を達成するための
第3手段は、第1手段において、第2段環状板に円筒状
の第3段内筒を上下に短く接続することにより第3段内
筒の下端で第2段ピックオフリングを形成し第3段内筒
の上部で液留めを形成し、第3段内筒の上方に衝突板を
配置し、第3段内筒の外部を取り囲むように第3段外筒
を配置して上端を衝突板に接続し、第3段外筒に下端ま
で開放した第3段排気口を設ける。
【0032】第2の目的を達成するための第4手段は、
第2手段もしくは第3手段において、複数の気水分離器
を格子状に配置し、隣接する気水分離器の最終段の外筒
もしくは第3段外筒の側壁に対面するように最終段の排
気口もしくは第3段排気口を配置する。
【0033】第3の目的を達成するための第5手段は、
複数段の波板と複数のポケットとで構成される蒸気乾燥
器において、波板の山谷の中間に複数のスリットを設
け、スリットをポケットの開口とし、スリットの上流端
を形成する波板部材をポケット側に曲げ、最終段のポケ
ットを形成する部材をポケット側に曲げる。
【0034】第3の目的を達成するための第6手段は、
複数段の波板と複数のポケットとで構成される蒸気乾燥
器において、複数の蒸気乾燥器を並列に配置し、蒸気乾
燥器の間に傾斜したフードを設けることにより上流で広
く下流で狭くなる入口流路と上流で狭く下流で広くなる
出口流路を形成し、蒸気乾燥器と出口流路の下方に排水
樋を設け、出口流路と排水樋の間にフード側を開口した
仕切板を設ける。
【0035】第3の目的を達成するための第7手段は、
第6手段において、フードの出口流路側の上端に下方に
湾曲する留め板を設け、断面がT字形の複数のドレンガ
イドもしくは多孔板のドレンガイドをフードの出口流路
側に留め板から下端まで設ける。
【0036】第3の目的を達成するための第8手段は、
第5手段から第7手段までのいずれかの手段において、
波板の段数を2段とする。
【0037】第4の目的を達成するための第9手段は、
複数の気水分離器と複数の蒸気乾燥器とで構成される気
水分離システムにおいて、気水分離器は第1手段から第
4手段までのいずれかの手段による気水分離器とし、蒸
気乾燥器は第5手段から第8手段までのいずれかの手段
による蒸気乾燥器とする。
【0038】第1手段によれば、圧力損失が流速の二乗
に比例することから、圧力損失の大部分を占めるスワラ
ーを流速が低い第1段内筒に設置することにより、圧力
損失を55〜60%低減することができる。この場合、
気水分離性能が大幅に低下するが、遠心力が半径に逆比
例することから、第2段内筒の直径を第1段ピックオフ
リング直径に等しくすることにより、従来技術での直径
の増大による遠心力の低下を防止して気水分離性能の低
下を抑制することができる。
【0039】第2手段によれば、気水分離器の最終段で
は蒸気中に液滴が含まれた状態であり、液滴を含む蒸気
を板に衝突させて液滴を除去することが最も効率的であ
ることから、最終段の上端に衝突板を設けて液滴を衝突
分離することにより蒸気中の液滴量を大幅に減少するこ
とができ、分離した液滴を液膜として重力により、短い
内筒の外側と下端まで開放した排気口を経由して気水分
離器の外部に排水することができる。この発明は、あら
ゆる気水分離器に適用することができ、気水分離性能を
向上することができる。
【0040】第3手段によれば、第1手段と第2手段を
組合わせることにより、圧力損失が低く、かつ、気水分
離性能が良い気水分離器を実現することができる。
【0041】第4手段によれば、第2手段乃至第3手段
において、複数の気水分離器を格子状に配置し、最終段
の排気口が隣接する気水分離器の最終段の外筒に対面す
るように配置して、最終段の排気口から流出する蒸気中
の液滴を対面する水分離器の最終段の外筒に衝突分離す
ることにより、気液分離性能を一層、向上することがで
きる。
【0042】第5手段によれば、波板の山谷の中間に設
けたスリットの上流端を形成する波板部材をポケット側
に曲げることにより、波板に衝突させて捕獲した液滴に
より形成される液膜がスリットを乗り越えて下流に流れ
るのを防止し、確実にポケットに導くことができる。ま
た、最終段のポケットを形成する部材をポケット側に曲
げることにより、圧力損失を低減しつつ波板から流出す
る冷却水流量を低減することができる。以上により、蒸
気乾燥器での液滴捕獲性能を向上し、出口湿分を低減す
ることができる。
【0043】第6手段によれば、蒸気乾燥器の波板の下
方だけでなく出口流路の下方にも排水樋を設けることに
より捕獲した液体の排水性能を向上することができ、ま
た、出口流路と排水樋の間にフード側を開口した仕切板
を設けることにより排水樋からの液滴の再飛散を防止し
て出口湿分を低減することができる。
【0044】第7手段によれば、第6手段において、フ
ードの出口流路側の上端に留め板を設け、留め板から下
端までドレンガイドを設けることにより、波板から流出
してフードに衝突・捕獲された液滴が蒸気の流れにより
上昇して上端から再飛散することを防止し、上端の留め
板とドレンガイドを経由して排水樋に回収し、出口湿分
を大幅に低減することができる。
【0045】第8手段によれば、第5手段乃至第7手段
において、波板の段数を従来の4段から2段に削減して
波板の幅を1/2に小型化し、蒸気乾燥器の総数と入口
面積を拡大して蒸気流速を低減し、出口湿分が急増する
限界流量を増大することができる。これにより、炉心の
熱出力と蒸気発生量が増加しても低い出口湿分を維持す
ることができる。また、気水分離器の圧力損失の低減に
より気水分離性能が低下し、蒸気乾燥器の入口湿分が増
加しても低い出口湿分を維持することができ、気水分離
器の圧力損失の低減を促進することができる。
【0046】第9手段によれば、第1手段乃至第4手段
による気水分離器を使用することにより圧力損失を55
〜60%低減しつつ気水分離性能の低下を抑制すること
ができ、第5手段乃至第8手段による蒸気乾燥器を組合
わせることにより気水分離器の気水分離性能が低下する
場合においても低い出口湿分を維持することができ、圧
力損失が低く、かつ気水分離性能に優れ出口湿分が低い
気水分離システムを実現することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明による気水分離器,
蒸気乾燥器及び気水分離の第1実施例を図1,図2,図
3、及び図8乃至図17を用いて説明する。図1,図
2,図3は気水分離器と蒸気乾燥器とで構成される気水
分離システムの第1実施例の縦断面図、図8,図9はス
ワラーの詳細図、図10,図11は別のスワラーの詳細
図、図12,図13は気水分離器の上部と配置を示す部
分断面図、図14は蒸気乾燥器の波板の詳細、図15は
波板による液滴捕獲の説明図、図16はフードの背面で
の液滴捕獲の説明図、図17は気水分離性能の比較図で
ある。
【0048】図1は、本発明による気水分離器120の
構造を、図2,図3は蒸気乾燥器150の構造を示して
いる。
【0049】蒸気と冷却水との混合流体は、上部プレナ
ム8からシュラウドヘッド4に接続したスタンドパイプ
121に流入し、ディフューザ122による流路面積の
拡大により混合流体の流速が減速された後、第1段内筒
126内に設置されハブ124と複数の旋回羽根125で
構成されるスワラー123で遠心力を付与され、第1段
内筒126内で液滴を含む蒸気と液膜に分離される。
【0050】分離された液膜の約50%以上は、第1段
ピックオフリング127と第1段環状板128で分離さ
れ、重力により第1段内筒126と第1段外筒129の
間を流下し排水される。
【0051】第1段ピックオフリング127を通過した
液膜は、第2段内筒130に流入し、第2段ピックオフ
リング131と第2段環状板132で分離され、重力に
より第2段内筒130と第2段外筒133の間を流下し
て第2段排水口134から排出され、第1段外筒129
の外面に沿って流下する。
【0052】この時、排水とともに第2段排水口134
から流出した蒸気は気水分離器120の外部を上昇する。
蒸気に含まれる液滴は、第2段ピックオフリング131
を通過するが、衝突板137で衝突・分離され、重力に
よって第3段外筒138の内壁を流下して第3段排気口
139から排水され、第2段外筒133の外面に沿って
流下する。
【0053】この時、第3段内筒135により、衝突分
離されて流下する冷却水が第3段内筒135内に流入し
たり蒸気と再混合するのを防止する。液滴の大部分を衝
突板137で除去された蒸気は、第3段排気口139か
ら流出し、蒸気乾燥器150に注入する。
【0054】スワラー123の詳細を図8,図9に示
す。スワラー123は、ハブ124と複数の旋回羽根1
25で構成され、第1段内筒126内に設置されてい
る。
【0055】図8,図9に示す旋回羽根は8枚であるの
が、1例であり、8枚の必然性はない。約4枚から8枚
程度にすればよい。
【0056】ハブ124は上部ほど大きくなっている
が、図10,図11に示すようにしてもよい。スワラー
223は、図8,図9と同様に、ハブ224と複数の旋
回羽根225で構成され、第1段内筒126内に設置さ
れている。図8,図9と異なる点は、ハブ224の大き
さが一定であること、及び旋回羽根125の角度θが小
さいことである。図8,図9の場合と同様に、旋回羽根
の枚数は、1例であり、8枚である必然性はない。
【0057】気水分離器120の配置と上部構造を図1
2,図13に示す。各気水分離器は三角格子状に配置さ
れ、第3段排気口139は隣接する気水分離器の第3段
外筒138の外壁に対面するように配置されている。
【0058】このように配置することにより、第3段排
気口139から流出する蒸気に含まれる液滴が対面する
気水分離器の第3段外筒138の外壁で衝突分離され
る。
【0059】各気水分離器を正方格子状に配置し、第3
段排気口139の数を2つにして、第3段排気口139
が隣接する気水分離器の第3段外筒138の外壁に対面
するように配置してもよい。
【0060】本実施例の特徴は、スワラー123が第1
段内筒126内に設置されていること、第2段内筒13
0と第1段ピックオフリング127の直径が等しいこ
と、第2段外筒130の直径が第1段外筒129の直径
より小さいこと、衝突板137を有し第3段が衝突分離
であること、及び第3段排気口139が隣接する気水分
離器の第3段外筒138の外壁に対面するように配置さ
れていることである。
【0061】以下に、従来技術(図5)と対比して、本実
施例の特徴と機能について説明する。従来技術による圧
力損失の大部分は、スタンドパイプ21での加速損失Δ
Paとスワラー23の圧力損失ΔPsであり、それぞれ
全圧力損失の約35%及び約50%を占める。加速損失
ΔPaは次式で表せる。
【0062】 ΔPa=0.5ρ[1−(D2/D1)4]V22=0.45ρV22 …(式1) ρは流体の密度、D1は気水分離器1体当たりの上部プ
レナム8の相当直径、D2はスタンドパイプ21の直
径、V2はスタンドパイプ21内の流速である。式1か
ら明らかなように、スタンドパイプ21の直径D2を大
きくして流速V2を小さくすれば加速損失ΔPaを小さ
くできるが、この場合、スタンドパイプ21外部の冷却
水量が減少して事故時の安全性が低下する、外部の流動
抵抗が増加して蒸気乾燥器スカート11内部の水位勾配
が大きくなるなどの弊害が生じる。
【0063】ディフューザ22によりゆるやかに流路面
積を拡大して流速を低下すれば、損失無しに加速損失を
回復できるが、従来技術ではディフューザ22内にスワ
ラー23を設置しているためスワラーでの損失によりほ
とんど回復しない。
【0064】そこで、本実施例においては、ディフュー
ザ122で加速損失を回復させた後の第1段内筒126
の下部にスワラー123を設置する。この場合、加速損
失は以下のように減少する。
【0065】 ΔPa=0.5ρ[1−(D3/D1)4](D2/D3)4V22=0.12ρV22 …(式2) D3は第1段内筒126の直径である。(式1)と(式
2)との差より、本実施例では、加速損失の低減により
全圧力損失の25%を低減できる。
【0066】 (0.45−0.12)/0.45×35%=25% …(式3) 35%は全圧力損失に対する寄与率である。スワラー2
3の圧力損失ΔPsも加速損失と同様にして求めること
ができ、本実施例による圧力損失の低減は従来技術によ
る圧力損失との差として次式で近似できる。
【0067】 [1−(D2/D3)4−α]×50%=[0.7−α]×50% =30〜35% (α≒0〜0.1) …(式4) 50%は全圧力損失に対するスワラー23圧力損失の寄
与率であり、αは本実施例におけるハブ124(図8,
図9)及び224(図10,図11)による加速損失で
ある。
【0068】図8,図9のハブ124ではα≒0.1 、
図10,図11のハブ224ではα≒0である。従っ
て、加速損失の低減25%を含めて全圧力損失の55〜
60%を低減することができる。つまり、本実施例によ
れば、圧力損失を従来技術の40〜45%に低減するこ
とができる。しかし、この場合の最大の課題は気水分離
性能の低下である。従来技術で圧力損失が高い要因は全
て気水分離性能の向上に寄与している。以下に、気水分
離性能について説明する。
【0069】気水分離の基となる遠心力Fθは次式に従
う。
【0070】 Fθ∝ρVθ 2/(D/2)=ρ(V tanθ)2/(D/2) …(式5) Vθは円周方向流速、Vは軸方向流速、θは旋回羽根2
5の角度、(D/2)は半径である。上式から明らかな
ように、遠心力を増加して気水分離性能を向上するに
は、流路面積を小さくして軸方向流速Vを大きくし、旋
回羽根の角度θを大きくし、半径(D/2)を小さくす
ればよい。
【0071】図5の従来技術では、スワラー23をディ
フューザ22に設置することにより、スワラー23先端
部での軸方向流速Vを大きくし、半径(D/2)を小さ
くするとともに、上部になるほどハブ24を大きくして
軸方向流速Vの低下を防止するとともに旋回羽根25の
角度θがハブ24側においても大きくなるようにしてい
る(図10,図11に示すようにハブ224を小さくす
るとハブ側で旋回羽根225の角度θを大きくできない
のは明らかである)。
【0072】従って、従来技術は気水分離性能の向上の
観点からは極めて合理的になっている。
【0073】一方、図1の本実施例では、スワラー12
3出口の状態を除いて従来技術より悪くなっており、図
10,図11においてはハブ224が小さいためスワラ
ー223出口の状態も悪くなっている。
【0074】この結果、スワラー123及び223によ
る気水分離が悪くなり、第1段内筒126内に形成され
る液膜が厚くなり、蒸気に含まれる液滴量が多くなる。
【0075】従来技術では流入した冷却水の約90%を
第1段で分離・排水できるのに対し本実施例では50〜
60%しか分離・排水できず、第1段内筒126内に形
成された液膜が第2段に流出する。
【0076】第1段での分離・排水量を増加するため
に、第1段ピックオフリング127を小さくすることが
考えられるが、図5の従来技術の形状で第1段ピックオ
フリング27を小さくすると、流体が持つ遠心力を排出
するとともに第2段内筒30で流路が拡大され(半径
(D/2)が大きくなる)、式5から明らかなように遠
心力が低下するため第2段での分離性能が低下し、気液
分離性能の向上にあまり寄与しないことを実験により確
認している。
【0077】そこで、本実施例においては、第2段内筒
130の直径を第1段ピックオフリング127の直径と
等しくして構造を単純化するとともに遠心力の低下を防
止し、第2段での液膜の分離・排水性能を向上してい
る。この有効性は実験により確認している。
【0078】図5の従来技術では、スワラー23で流体
に与える遠心力が大きいため、第3段内筒35でも円周
方高流速(遠心力)が残っており、蒸気中の液滴を第3
段内筒35の内壁に付着させて分離・排水することがで
きる。
【0079】一方、本実施例では、スワラー123及び
223で流体に与える遠心力が小さいため、第3段内筒
135では円周方高流速(遠心力)が小さくなってお
り、蒸気中の液滴を第3段内筒135の内壁に付着させ
て分離・排水することは困難であり、また、蒸気に含ま
れる液滴量も従来技術より多くなっている。
【0080】そこで、本実施例においては、蒸気に含ま
れる液滴を衝突板137に衝突させて分離・排水する。
【0081】しかし、蒸気に含まれたまま第3段内筒1
35,第3段排気口139を経由して流出する液滴もあ
る。このような液滴は、図12,図13に示すように、
対面する気水分離器の第3段外筒138の外壁に衝突さ
せて分離する。
【0082】以上、説明したように、本実施例において
は、気液分離された液膜の一部を第1段で分離・排水
し、残りの液膜を第2段で効率よく分離・排水し、蒸気
に含まれる液滴の一部を第3段の衝突板で除去し、残り
の液滴を対面する気水分離器の外壁に衝突させて除去す
る4つの分離機構を有する。
【0083】これにより、圧力損失を低減して遠心力が
減少したスワラーの気水分離性能の低下を補償する。し
かしながら、気水分離器による気液分離性能は図17に
示すように従来技術よりは低下する。
【0084】図17の横軸は蒸気流量の相対値であり、
炉心での蒸気発生量と対応する。縦軸は湿分の相対値で
あり、気水分離器の出口蒸気に含まれる液滴流量に対応
し、蒸気乾燥器の入口湿分に等しい。
【0085】蒸気乾燥器の出口湿分は、蒸気流量が増加
するかもしくは入口湿分が増加すると、急激に増加して
制限値0.1% を超える。これをブレークスルーと呼
び、気水分離システムの使用制限条件にしている。
【0086】従来技術では、破線で示すように、低蒸気
流量を除き気水分離器の性能がよいため、高蒸気流量に
対して大きな余裕がある。
【0087】一方、本発明では、気水分離器の圧力損失
を大幅に低減しているため気水分離性能が悪く気水分離
器の出口湿分(蒸気乾燥器の入口湿分)が多くなる。本
発明の気水分離器(1)(図8,図9のスワラー12
3)では従来技術の蒸気乾燥器の制限を満足するが、本
発明の気水分離器(2)(図10,図11のスワラー2
23)では従来技術の蒸気乾燥器の制限を中蒸気流量で
満足しない他、高蒸気流量に対する余裕が少なくなる。
従って、蒸気乾燥器の性能を向上する必要がある。
【0088】以下、蒸気乾燥器の性能向上について説明
する。
【0089】図1の気水分離器120からの液滴を含む
蒸気(矢印A)は、図2に示すように、蒸気乾燥器15
0のフード151内側の入口流路152、入口多孔板1
53を経由して波板154に流入する。波板154で蒸
気中の液滴を除去した後、出口多孔板157,フード1
51外側の出口流路158を経由し、図4の主蒸気管9
から蒸気タービンに供給される。
【0090】波板154の詳細を図14に示す。波板1
54に流入する蒸気に含まれる液滴は、運動量が大きい
ため波板154に衝突し、液膜を形成してスリット15
5からポケット156に流入し、重力によってポケット
156内を流下し、図2に示すドレン樋159に集めら
れ、ドレン管160を経由して、図4の蒸気乾燥器スカ
ート11と原子炉圧力容器1との間に排水される。
【0091】本実施例の特徴は、図7の従来技術による
波板54が4段であるのに対し、図14に示すように2
段であること、スリット155の上流端を形成する波板
部材161をポケット156側に曲げていること、最終
段のポケットを形成する部材162をポケット側に曲げ
ていること、図2,図3に示すように波板154の下方
だけでなく出口流路158の下方にもドレン樋159を
形成し、出口流路158とドレン樋159の間を仕切板1
70で区分していること、フード151の上端に留め板
171を設け、フード151の背面に留め板171から
仕切板170までT字形のドレンガイド172を設けて
いることである。
【0092】以下に、このような特徴を有する本実施例
の機能について説明する。
【0093】まず、波板の段数Nの効果について説明す
る。蒸気乾燥器の列数をM、入口面積をAとすると、従
来技術の4段と本実施例の2段とで以下のようになる。
【0094】 A2/A4=M2/M4=W4/W2=1.6 …(式6) Wは出入口の多孔板を含む波板の幅であるが、波板以外
の部分があるため2段に半減しても幅は1/2にはなら
ない。
【0095】式6は、波板の段数を半減することによ
り、蒸気乾燥器の列数Mと入口面積Aを1.6倍に増加
できる、つまり蒸気乾燥器での蒸気流速を1/1.6に
減速できることを示す。波板を3段にすると入口面積A
の増大効果が小さくなり、1段にすると、後述するよう
に波板を通過する冷却水流量が大幅に増加する。
【0096】蒸気乾燥器の出口湿分は蒸気流速に依存す
ることから、蒸気流量を約1.6 倍に増加できることに
なるが、いくつかの課題がある。単純に波板の段数を半
減すると、波板を通過する冷却水流量が増加した。
【0097】これは、図15に示すように、波板54に
付着して形成された液膜の一部がポケット56に流入せ
ず、スリット55を乗り越えて下流に流出することによ
る。本発明のように、スリット155の上流端を形成す
る波板部材161をポケット156側に曲げ、最終段の
ポケットを形成する部材162をポケット側に曲げるこ
とにより、波板154から流出する冷却水流量を大幅に
低減することができたが、従来技術による4段より増加
した。
【0098】しかし、波板154を流出した冷却水は、
出口流路158の下方に拡大したドレン樋159(図
2)で回収し、仕切板170によりドレン樋159にド
レンした冷却水から出口流路158に液滴が再飛散する
のを防止することができる。
【0099】蒸気流速が大きくなると、図16に示すよ
うに、波板54から液滴が流出するようになる。
【0100】流出する液滴の大部分はフード51の背面
に衝突して付着するが、蒸気流速が大きいため落下せ
ず、フード51の上端から液滴となって飛散する。これ
が蒸気乾燥器の出口湿分を増加する要因となっている。
【0101】この液滴の飛散は、フード151の上端に
留め板171を設けることにより防止することができ、
留め板171から仕切板170までT字形のドレンガイ
ド172を設けて蒸気流速が低い部分を作ることによ
り、留め板171で回収した冷却水をドレンガイド17
2に沿って流下させ、ドレン樋159に集めることがで
きる。
【0102】ドレンガイド172はT字形である必然性
はなく、フード151の背面に一定の距離をおいて多孔
板を設けたものでもよい。
【0103】蒸気流速の低い部分を設け、留め板171
で回収した冷却水をドレン樋159まで流下させること
ができればよい。
【0104】以上、説明したように、波板154を2山
にすることにより通過する液滴流量が増加しても効率よ
く捕獲・回収することにより蒸気乾燥器150の出口湿
分を低減することができる。
【0105】従って、図17に示すように、蒸気乾燥器
の制限流量を大幅に増加することができ、気水分離器
(2)を用いても出口湿分を制限値0.1%以下にして
要求性能を満足する気水分離システムを提供することが
できる。
【0106】次に、図18乃至図25を用いて本発明に
よる気水分離器の第2実施例を説明する。図18は気水
分離器の第2実施例の縦断面図とスワラー部の詳細図、
図21,図22は気水分離器の上部と配置を示す部分断
面図、図23,図24,図25は図21,図22の実施
例の変形例を示す部分断面図である。
【0107】第1実施例と第2実施例の主な相違は、第
1実施例においてはスワラーを第1段内筒の下部に設け
ているのに対して、第2実施例においてはスワラーをデ
ィフューザの内部に設けていること、及び気水分離器の
上部に振動防止板を設けていることである。
【0108】本実施例の特徴は、図5の従来技術と同様
に、ハブ224と複数の旋回羽根225で構成されるス
ワラー223をディフューザ122内に設けていること
である。
【0109】図5の従来技術との相違は、ハブ224の
先端を鋭角にするとともにハブ224の先端がスタンドパ
イプ121とディフューザ122の境界より上方に位置
していること、旋回羽根225の出口角度θを小さくし
ていること、及びハブ224の上端を丸くしていること
である。
【0110】これらにより、圧力損失を約30%低減す
ることができる。
【0111】スワラー223による遠心力は従来技術よ
り低下するが、第2段と第3段の構成を図1の実施例と
同様にすることにより、図17に示した従来技術と同等
の気水分離性能を得ることができ、従来技術による蒸気
乾燥器と組合せて使用しても、高蒸気流量に対し大きな
余裕を得ることができる。
【0112】気水分離器220の上端には、図21,図
22に示すように、振動防止板240を設けている。第3
段排気口139から流出する蒸気に含まれる液滴は振動
防止板240に衝突させて除去するため、第3段排気口
139の配置上の制約がなくなる。この振動防止板24
0は図12,図13に示した第1実施例にも適用するこ
とができる。
【0113】図23,図24,図25に示すように、第
3段排気口139の周囲の内側にドレンガイド241を
設けてもよい。この場合、ドレンガイド241により、
衝突板137や第3段外筒138の内面に衝突して分離
された液滴が第3段排気口139の周囲から再飛散する
ことを防止することができる。このドレンガイド241
は図12,図13に示した第1実施例にも適用すること
ができる。
【0114】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、圧力損失が流
速の二乗に比例することから、圧力損失の大部分を占め
るスワラーを流速が低い第1段内筒に設置することによ
り、気水分離器の圧力損失を低減することができる。こ
の場合、気水分離性能が大幅に低下するが、遠心力が半
径に逆比例することから、第2段内筒の直径を第1段ピ
ックオフリング直径に等しくすることにより遠心力の低
下を防止して気水分離性能の低下を抑制することができ
る。
【0115】請求項2の発明によれば、気水分離器の最
終段では蒸気中に液滴が含まれた状態であることから、
最終段の上端に衝突板を設けて液滴を衝突分離すること
により蒸気中の液滴量を大幅に減少することができる。
この発明は、あらゆる気水分離器に適用して気水分離性
能を向上することができる。
【0116】請求項3の発明によれば、請求項1の発明
と請求項2の発明を組合わせることにより、圧力損失が
低く、かつ、気水分離性能が良い気水分離器を実現する
ことができる。
【0117】請求項4の発明によれば、請求項2又は請
求項3の発明による効果に加えて、複数の気水分離器を
格子状に配置し、最終段の排気口が隣接する気水分離器
の最終段の外筒に対面するように配置して、最終段の排
気口から流出する蒸気中の液滴を対面する水分離器の最
終段の外筒に衝突分離することにより、気液分離性能を
一層、向上することができる。
【0118】請求項5の発明によれば、波板の山谷の中
間に設けたスリットの上流端を形成する波板部材をポケ
ット側に曲げるとともに、最終段のポケットを形成する
部材をポケット側に曲げることにより、波板に衝突させ
て捕獲した液滴により形成される液膜がスリットを乗り
越えて下流に流れるのを防止し、確実にポケットに導く
ことができ、蒸気乾燥器の出口湿分を低減することがで
きる。
【0119】請求項6の発明によれば、蒸気乾燥器の波
板の下方だけでなく出口流路の下方にも排水樋を設ける
ことにより捕獲した液体の排水性能を向上することがで
き、また、出口流路と排水樋の間にフード側を開口した
仕切板を設けることにより排水樋からの液滴の再飛散を
防止して出口湿分を低減することができる。
【0120】請求項7の発明によれば、請求項6の発明
による効果に加えて、フードの出口流路側の上端に留め
板を設け、留め板から下端までドレンガイドを設けるこ
とにより、波板から流出してフードの背面に衝突・捕獲
された液滴が蒸気の流れにより上昇して上端から再飛散
することを防止し、上端の留め板とドレンガイドを経由
して排水樋に回収することができ、出口湿分を大幅に低
減することができる。請求項8の発明によれば、請求項
5から請求項7までのいずれか一項の発明による効果に
加えて、波板の段数を従来の4段から2段に削減して波
板の幅を1/2に小型化し、蒸気乾燥器の総数と入口面
積を拡大して蒸気流速を低減し、出口湿分が急増する限
界流量を増大することができる。
【0121】請求項9の発明によれば、請求項1から請
求項4までのいずれかの発明による気水分離器を使用す
ることにより圧力損失を低減しつつ気水分離性能の低下
を抑制することができ、請求項5から請求項8までのい
ずれかの発明による蒸気乾燥器を前記気水分離器からの
蒸気を受け入れるように組合わせることにより気水分離
器の気水分離性能が低下する場合においても低い出口湿
分を維持することができ、圧力損失が低く、かつ気水分
離性能に優れ出口湿分が低い気水分離システムを実現す
ることができる。これにより、炉心の熱出力と蒸気発生
量が増加しても低い出口湿分を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による気水分離システムに
おける気水分離器の縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施例による気水分離システムに
おける蒸気乾燥器の縦断面図である。
【図3】図2のB−B矢視断面図である。
【図4】改良型沸騰水型原子炉の縦断面図。
【図5】従来例による気水分離システムにおける気水分
離器の縦断面図である。
【図6】従来例による気水分離システムにおける蒸気乾
燥器の縦断面図である。
【図7】図6のB−B矢視断面図である。
【図8】図1のスワラー部の一部断面表示による詳細上
面図である。
【図9】図8のスワラー部の一部断面表示による立面図
である。
【図10】別の例によるスワラー部の一部断面表示によ
る上面図である。
【図11】図10のスワラー部の一部断面表示による立
面図である。
【図12】図1の気水分離器を原子炉圧力容器内に採用
した際の上部から見た気水分離器の平面配置を、図13
のC−C断面で示した図である。
【図13】気水分離器上部のB−B断面図である。
【図14】図3の蒸気乾燥器の波板部分の詳細図であ
る。
【図15】従来技術と本発明の図14の実施例との波板
による液滴捕獲の比較説明図である。
【図16】図3の蒸気乾燥器のフードの背面での液滴捕
獲と、従来技術の蒸気乾燥器のフードの背面での液滴捕
獲との比較説明図である。
【図17】従来技術と本発明とにおける気水分離システ
ムの気水分離性能の比較図である。
【図18】本発明の第2実施例による気水分離器の縦断
面図である。
【図19】図18のスワラー部の一部断面表示による立
面図である上平面図である。
【図20】図19のスワラー部の一部断面表示による立
面図である。
【図21】図18の気水分離器を原子炉圧力容器内に採
用した際の上部から見た気水分離器の平面配置を、図2
2のC−C断面で示した図である。
【図22】図21の気水分離器上部のB−B断面図であ
る。
【図23】図21の変形例を図24のC−C断面で示し
た断面図。
【図24】図23の気水分離器上部のB−B断面図であ
る。
【図25】図24のドレンガイド部の斜視図である。
【符号の説明】
120,220…気水分離器、121…スタンドパイ
プ、122…ディフューザ、123,223…スワラ
ー、124,224…ハブ、125,225…旋回羽
根、126…第1段内筒、127…第1段ピックオフリ
ング、128…第1段環状板、129…第1段外筒、1
30…第2段内筒、131…第2段ピックオフリング、
132…第2段環状板、133…第2段外筒、134…
第2段排水口、135…第3段内筒、137…衝突板、
138…第3段外筒、139…第3段排気口、240…
振動防止板、241…ドレンガイド、150…蒸気乾燥
器、151…フード、152…入口流路、153…入口多
孔板、154…波板、155…スリット、156…ポケ
ット、157…出口多孔板、158…出口流路、159
…ドレン樋、160…ドレン管、161…波板部材、1
62…ポケット部材、170…仕切板、171…留め板、
172…ドレンガイド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 直行 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 Fターム(参考) 4D031 AB02 AB08 AC02 BA01 BA10 DA02 EA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハブと複数の旋回羽根で構成されるスワラ
    ーにより気液混合流に遠心力を与え、円筒状の第1段内
    筒内に遠心力で分離された液体で液膜を形成させ、前記
    第1段内筒の上方に配置した第1段環状板と前記第1段
    内筒の外部を取り囲むように配置し上端を前記第1段環
    状板に接続した第1段外筒により前記第1段内筒内に形
    成した液膜を排水する気水分離器において、前記第1段
    内筒の下端に上端が大きく下端が小さいディフューザを
    接続し、前記ディフューザの下端に前記第1段内筒より
    流路面積が小さい円筒状のスタンドパイプを接続し、前
    記スワラーを前記第1段内筒に配置し、前記第1段環状
    板に円筒状の第2段内筒を上方に長く下方に短く接続す
    ることにより第2段内筒の下端で第1段ピックオフリン
    グを形成し、前記第2段内筒の上方に第2段ピックオフ
    リングを有する第2段環状板を配置し、前記第2段内筒
    の外部を取り囲むように前記第1段外筒より小さい第2
    段外筒を配置して上端を前記第2段環状板に接続し、前
    記第2段外筒の下端に第2段排水口を設けたことを特徴
    とする気水分離器。
  2. 【請求項2】ハブと複数の旋回羽根で構成されるスワラ
    ーにより気液混合流に遠心力を与え、円筒状の第1段内
    筒内に遠心力で分離された液体で液膜を形成させ、前記
    第1段内筒の上方に配置した第1段環状板と前記第1段
    内筒の外部を取り囲むように配置し上端を前記第1段環
    状板に接続した第1段外筒により前記第1段内筒内に形
    成した液膜を排水する気水分離器において、複数段の気
    液分離と排水の手段を有し、短い内筒と上端に衝突板を
    有し側面に下端まで開放した排気口を有する外筒とで最
    終段を構成したことを特徴とする気水分離器。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記第2段環状板に円
    筒状の第3段内筒を上下に短く接続することにより第3
    段内筒の下端で前記第2段ピックオフリングを形成し前
    記第3段内筒の上部で液留めを形成し、前記第3段内筒
    の上方に衝突板を配置し、前記第3段内筒の外部を取り
    囲むように第3段外筒を配置して上端を前記衝突板に接
    続し、前記第3段外筒に下端まで開放した第3段排気口
    を設けたことを特徴とする気水分離器。
  4. 【請求項4】請求項2または請求項3において、複数の
    気水分離器を格子状に配置し、隣接する気水分離器の前
    記最終段の外筒もしくは前記第3段外筒の側壁に対面す
    るように前記最終段の排気口もしくは前記第3段排気口
    を配置したことを特徴とする気水分離器。
  5. 【請求項5】複数段の波板と複数のポケットとで構成さ
    れる蒸気乾燥器において、前記波板の山谷の中間に複数
    のスリットを設け、前記スリットを前記ポケットの開口
    とし、前記スリットの上流端を形成する波板部材をポケ
    ット側に曲げ、最終段のポケットを形成する部材を前記
    ポケット側に曲げたことを特徴とする蒸気乾燥器。
  6. 【請求項6】複数段の波板と複数のポケットとで構成さ
    れる蒸気乾燥器において、複数の前記蒸気乾燥器を並列
    に配置し、前記蒸気乾燥器の間に傾斜したフードを設け
    ることにより上流で広く下流で狭くなる入口流路と上流
    で狭く下流で広くなる出口流路を形成し、前記蒸気乾燥
    器と前記出口流路の下方に排水樋を設け、前記出口流路
    と前記排水樋の間に前記フード側を開口した仕切板を設
    けたことを特徴とする蒸気乾燥器。
  7. 【請求項7】請求項6において、前記フードの前記出口
    流路側の上端に下方に湾曲する留め板を設け、断面がT
    字形の複数のドレンガイドもしくは多孔板のドレンガイ
    ドを前記フードの前記出口流路側に前記留め板から下端
    まで設けたことを特徴とする蒸気乾燥器。
  8. 【請求項8】請求項5から請求項7までのいずれか一項
    において、前記波板の段数を2段としたことを特徴とす
    る蒸気乾燥器。
  9. 【請求項9】複数の気水分離器と複数の蒸気乾燥器とで
    構成される気水分離システムにおいて、前記気水分離器
    は請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の気
    水分離器であり、前記蒸気乾燥器は請求項5から請求項
    8までのいずれか一項に記載の蒸気乾燥器であることを
    特徴とする気水分離システム。
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