JP2009257770A - 気水分離器及び沸騰水型原子炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリーアンダーをさらに低減することができる気水分離器を提供する。
【解決手段】気水分離器6は、スタンドパイプ7、ディフューザ8、スワラ9、三段の気水分離部10a〜10cを有する。ディフューザ8はスタンドパイプ7の上端に、スワラ9がディフューザ8内に設置される。内筒11aがディフューザ8の上端に、ピックオフリング13aが内筒11aの上端にそれぞれ取り付けられる。内筒11aとの間に排水通路15aを形成する外筒12aは、ピックオフリング13aに設置される。排水通路15aの下端部に形成された気泡回収室22が区画部材21と外筒12aの間に形成される。外筒12aより下方に位置する環状プレート20が管路22の外面に取り付けられる。排出口18aは環状プレート20と外筒12aの下端の間に形成される。曲がり部25を流れる水から分離された気泡は気泡回収室22に回収される。
【選択図】図1
【解決手段】気水分離器6は、スタンドパイプ7、ディフューザ8、スワラ9、三段の気水分離部10a〜10cを有する。ディフューザ8はスタンドパイプ7の上端に、スワラ9がディフューザ8内に設置される。内筒11aがディフューザ8の上端に、ピックオフリング13aが内筒11aの上端にそれぞれ取り付けられる。内筒11aとの間に排水通路15aを形成する外筒12aは、ピックオフリング13aに設置される。排水通路15aの下端部に形成された気泡回収室22が区画部材21と外筒12aの間に形成される。外筒12aより下方に位置する環状プレート20が管路22の外面に取り付けられる。排出口18aは環状プレート20と外筒12aの下端の間に形成される。曲がり部25を流れる水から分離された気泡は気泡回収室22に回収される。
【選択図】図1
Description
本発明は、気水分離器及び沸騰水型原子炉に関するものである。
一般に、沸騰水型原子炉(以下、BWRという)は、原子炉圧力容器(以下、RPVという)を有し、複数の燃料集合体を装荷した炉心をRPV内に配置している。炉心に供給された冷却水は、炉心内の燃料集合体で発生した熱によって加熱されて沸騰する。この沸騰によって冷却水の一部が蒸気になる。発生した蒸気は、RPVから排出されてタービンに供給され、タービンを回転させる。タービンに連結される発電機が回転して電力を発生させる。気水分離器が、RPV内で炉心の上方に配置されている。炉心で発生した蒸気と水を含む気液二相流が供給される気水分離器は、その気液二相流に含まれる蒸気と水とを分離して、クオリティ(全質量流量に対する蒸気質量流量の割合)の高い蒸気を発生させる機能を有する(例えば、特開2000−155191号公報参照)。
気水分離器で分離された水は、気水分離器の外側に存在する冷却水に戻される。しかしながら、気水分離器で分離された水に気水分離器内を上昇する蒸気の一部が混入し、蒸気を含むその水が気水分離器から外側の冷却水に排出される。分離された水と共に排出された蒸気が、気泡となって周囲の冷却水に混入してRPV内のダウンカマに到達した場合は、炉心に冷却水を供給するインターナルポンプ(または再循環ポンプ)のキャビテーションの発生要因となる。この現象をキャリーアンダーという。
キャリーアンダーを抑制する気水分離器が提案されている(特開平7−270573号公報及び特開2003−329793号公報参照)。特開平7−270573号公報に記載された気水分離器は、水平方向に伸びる環状プレートを内筒の外面に取り付け、この環状プレートを内筒と外筒の間に形成される排水通路の下方に配置している。排水通路を流下してきた蒸気を含む分離された水が環状プレートによって水平方向に放出される。このため、放出された水に含まれる気泡がその水から分離されやすくなる。
特開2003−329793号公報の図13に記載された気水分離器は、内筒と外筒の間に形成される排水通路の出口付近に上下に蛇行するラビリンス構造を設けている。排水通路を流下する水に含まれる気泡をそのラビリンス構造によって分離し、分離した気泡をラビリンス構造内にトラップして管路により冷却水の液面の上方に排出している。
特開平7−270573号公報に記載された気水分離器は、環状プレートの設置によりキャリーアンダーが抑制される。しかしながら、排出された水の主流から分離された気泡が、再度その主流に巻き込まれることが懸念される。特に、RPVの中心軸から離れてRPV内面に近い部分に配置された気水分離器ほど、気水分離器の周囲で下方に向かう冷却水流が形成されており、排出口から排出された気泡が、再度、下方に向かう冷却水の主流に巻き込まれる可能性が増大する。
特開2003−329793号公報の図13に記載された気水分離器は、上下に蛇行するラビリンス構造によって気泡を分離しているが、この気泡の分離は気泡の浮力の作用を利用して行われる。浮力の作用によって水から分離される気泡は、その水に同伴する気泡の一部である。分離されなかった気泡は、水と共に冷却水流の主流に混入される。さらに、その図13に記載された気水分離器は、ラビリンス構造で分離した気泡を管路によって冷却水の液面の上方に排出しているので、気泡と共にその液面上方に排出される水分が増加し、タービンに供給される蒸気の乾燥度が低下する恐れがある。
本発明の目的は、キャリーアンダーをさらに低減することができる気水分離器及び沸騰水型原子炉を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、内筒を取り囲む外筒の下端部に取り付けられた区画部材と外筒の間に下端が開放された気泡回収室を形成し、分離して気泡回収室内に回収した気泡を気水分離器の外部に排出する気泡放出通路を設け、外筒及び区画部材のいずれかの下端との間に排出口を形成する流れ方向変更部材を、気泡回収室の下方に配置し、流れ方向変更部材をスタンドパイプ及び内筒のいずれかに取り付けたことにある。
下端が開放された気泡回収室を設けているので、排水通路から排出口に向かう曲がり部を流れる水に含まれる気泡に浮力及び内側に向う力の両方が作用するので、その気泡を、その水から効率良く分離して、気泡回収室に回収することができる。このため、気泡回収室に回収された気泡はその水に再度巻き込まれる確率は小さいので、気水分離器6におけるキャリーアンダーをさらに低減することができる。
本発明によれば、気水分離器におけるキャリーアンダーをさらに低減することができる。
発明者らは、特開平7−270573号公報及び特開2003−329793号公報に記載されたそれぞれの気水分離器を設置した場合におけるキャリーアンダーについて検討を行った。特に、冷却水の下向きの流れが最も強くなる、RPVの内面に最も近くに配置された気水分離器を対象に、キャリーアンダーを検討した。以下の説明は、RPVの内面に最も近くに配置された気水分離器を対象にしたものである。
特開平7−270573号公報に記載された気水分離器は、分離された水が水平方向に伸びる環状プレートによって水平方向に放出される。このため、分離された水が真下に放出される場合に比べて下降する冷却水流に同伴する気泡の量が減少する。しかしながら、分離された水が排出される、気水分離器の排出口から分離された水と共に気泡が排出されるので、キャリーアンダーの更なる低減が望まれる。
特開平7−270573号公報に記載された気水分離器におけるキャリーアンダーについて具体的に説明する。特開平7−270573号公報に記載された気水分離器の第一段の気水分離部における、分離された水を排出する排出口付近の構造を図4に示す。内筒11aと外筒12aの間に形成される排水通路15aの半径方向での幅、及びその排出口18aの高さは、共に、hである。鉛直の排水通路15aから排出口18aに向う曲がり部25において、分離された水の流線は、曲がり部25の入口とその出口の交差する点Oを中心に円状であるとする。曲がり部25の入口と出口のそれぞれの幅はhである。また、乱流の速度分布を考慮し、曲がり部25内のどこでも、分離された水の流速はvで一定であるとする。曲がり部25の入口及び出口のそれぞれの幅はhである。このような条件の下で、曲がり部25の入口で流路の真ん中にある気泡Aが、曲がり部25の出口に到達したときの水の流れに垂直なr方向の移動量を求めた。気泡Aに作用する力として、上方向に作用する浮力と、水の流れが曲がり部25で曲がることによってr方向で内側に作用する力、気泡Aが水から受ける抵抗力を考慮した。気泡Aは初め水の流れに追従して周方向に速度vで移動し、r方向の速度がゼロであるとする。また、気泡Aの周方向の速度は一定とし、r方向のみの速度変化を考えた。
発明者らは、以上に述べた従来例の簡易モデルを用いて、曲がり部25の入口で流路の真ん中にある気泡Aを対象に、およその実機条件で気泡の直径と気泡の移動量の関係を評価した。この評価結果を図5に示す。気泡Aの移動量は初期曲率半径r0で無次元化している。図5に示す評価結果より、気泡Aの直径が大きいほど気泡Aの移動量が大きくなり、排出される水の主流から分離しやすいことが分かる。流路断面での速度分布を考慮すると、r/r0が0.95程度を超えたとき、気泡Aが主流から分離されると考えられる。したがって、気泡回収室を備えていない特開平7−270573号公報に記載された気水分離器では、分離可能な気泡はおよそ8mm以上の直径の気泡である。8mmよりも小さい直径の気泡は、分離されず、排出口18aから排出される水と共に気水分離器の周囲を流れる冷却水の主流に混入される。
特開2003−329793号公報の図13に記載された気水分離器におけるキャリーアンダーについて説明する。この気水分離器の構造を図6に示す。上下に蛇行するラビリンス構造30が気水分離器に設置される。ラビリンス構造30は、上昇通路32、及び上昇通路32に上端部で接続される下降通路31を有する。上昇通路32の下端部は、内筒11と外筒12の間に形成される排水通路15に接続される。気泡排出管33がラビリンス構造30の上端に接続される。内筒11の内面に沿って上昇した液膜は、分離されて排水通路15内に流入する。このとき、内筒11内を上昇する蒸気の一部も、排水通路11内に流入する。蒸気の気泡を含む分離された水が、排水通路15内を下降し、上昇通路32内に達する。この水は上昇通路32から下降通路31内に導かれ、排水口18aから排出される。排水通路15内を下降する気泡Aの一部である気泡A1は、上昇通路32の上端部で浮力f1の作用により水から分離されてラビリンス構造30内の上端部に形成されたトラップ領域34に溜まる。上昇通路32内を上昇する残りの気泡A2は、上昇通路32の上端部から下降通路31の上端部に向う曲がり部内を曲がって流れる水の流れに起因して生じる内側に向う力f2の作用により、曲がり部の内側に向って移動する。この力f2の作用により内側に移動する気泡A2は、水から分離されず、排出口18aから排出される。このように、特開2003−329793号公報の図13に記載された気水分離器は、上昇通路32の上端部で主に浮力f1の作用で気泡が水から分離される。分離された気泡A1は、トラップ領域34から気泡排出管33を通って冷却水35の液面より上方に排出される。発明者らは、力f2の作用によってその曲がり部の内側に移動する気泡A2がかなり存在するので、特開2003−329793号公報の図13に記載された気水分離器ではキャリーアンダーを抑制できる余地がまだ存在することを見出した。
以上に述べた特開平7−270573号公報及び特開2003−329793号公報に記載されたそれぞれの気水分離器におけるキャリーアンダーの検討結果を踏まえ、発明者らは、キャリーアンダーをさらに低減できる気水分離器の構造を検討した。この結果、発明者らは、浮力f1及び曲がり部で内側に向う力f2を有効に利用することができれば、気水分離器のキャリーアンダーをさらに低減できるとの確信を得た。発明者らは、この技術的思想を実現できる構造を検討し、図7に示す構造を有する気水分離器を考え出した。
この新しい気水分離器の機能の概略を以下に説明する。この気水分離器は、図7に示すように、後述のスタンドパイプ7及び内筒11aのいずれかである管路23とこれを取り囲む外筒12aの間に形成される排水通路15aの下端部に気泡回収室22を形成している。気泡回収室22は、区画部材21を外筒12aの内側に設置することによって、区画部材21と外筒12aの間に形成される。区画部材21の下端は外筒12aの下端よりも上方に位置している。気泡回収室22は外筒12aに形成された開口部19によって気水分離器の外部の領域に連通している。管路22の外面に取り付けられる環状プレート20が外筒12aの下端より下方に配置される。環状プレート20と外筒12aの下端の間に排出口18aが形成される。排水通路15aは、区画部材21と管路23の間に形成される通路24、及び環状プレート20の上方で気泡回収室22の下方に形成される曲がり部25を経て放出口18aに連絡される。気泡回収室22は、下端が開放されて曲がり部25に連絡されている。
通路24及び気泡回収室22のそれぞれの半径方向での幅は0.5hであり、排出口18aの高さも0.5hである。曲がり部25内を流れる水の流線は、図4に示す簡易モデルと同様に、曲がり部25の入口と出口の交差点Oを中心に円状であり、曲がり部25内を流れる水の流速はどこでも一定であるとする。このような条件の下で、曲がり部25の入口で流路の真ん中にある気泡Aが、曲がり部25の出口に到達したときの水の流れに垂直なr方向の移動量を求めた。曲がり部25内を流れるとき、気泡Aには前述した浮力f1及び内側に向う力f2が共に作用する。
発明者らは、上記した図7に示す簡易モデルを用いて、その気泡Aを対象に、およその実機条件で気泡の直径と気泡の移動量の関係を評価した。この評価結果を図8に示す。排水通路15aの出口部が気泡回収室22の形成により絞られており、上記したように、浮力f1及び内側に向う力f2が共に作用するので、r/r0が0.33以上の気泡が曲がり部25内を流れる水から分離されて気泡回収室22内に回収される。浮力f1及び内側に向う力f2が共に作用した気泡Aは、点線の矢印のように、水から分離される。図8に示す評価結果により、図7に示す気水分離器は、直径が約0.6mmの気泡まで分離することが可能である。このように気泡回収室22を形成することによって、分離された水に含まれる直径約0.6mm以上の気泡を分離することができ、排出口18aから排出される水には直径が0.6mmよりも小さい気泡が含まれることになる。したがって、気泡回収室22を備えた気水分離器におけるキャリーアンダーは著しく低減される。なお、気泡回収室22は、後述するように、外筒12aの外側に形成することも可能である。
発明者らは、外筒12aの内側に配置した気泡回収室22の大きさについても検討を行った。発明者らが創生した図7に示す気水分離器において、外筒12aの内径及び外径を図4に示す従来の気水分離器と同じにし、かつ、ある縦断面で曲がり部25の入口の水平方向の幅と曲がり部25の出口の幅(高さ)が同じであると仮定した。発明者らは、この条件の下で、気泡回収室22が外筒12aの内側に形成されていない状態(図4)における管路23と外筒21aの間の、水平方向の幅hに対する管路23と区画部材21の間のその幅の比(以下、絞り比という)と、曲がり部25を流れる水から分離可能な気泡の最小直径Dminとの関係を評価した。この評価結果を図11に示す。絞り比1.0は図4に示す従来の気水分離器に相当し、絞り比0.5は図7に示す気水分離器(発明者らが創生した気水分離器)に相当する。図11により明らかであるように、絞り比が小さいほど気泡の分離効率が向上する。図11における絞り比0.5以下の詳細を図12に示す。図12によれば、絞り比が0.25の気水分離器で直径0.1mm程度の気泡を分離できることが分かる。
特開2003−329793号公報に記載された気水分離器では、排出通路15を下降する水に含まれた気泡が、ラビリンス構造30の上昇通路32から下降通路31の曲がり部において主に浮力f1の作用によって分離される。これに対し、発明者らが創生した気水分離器では、排出通路15aを下降する水に含まれた気泡は、曲がり部25で浮力f1及び内側に向う力f2の両方の力の作用を受けて水から分離される。したがって、発明者らが創生した気水分離器は、特開2003−329793号公報に記載された気水分離器に比べてさらに内側に向う力f2が気泡に作用するので、特開2003−329793号公報に記載された気水分離器よりも気泡の分離効率が増大しキャリーアンダーが低減される。
特開平7−270573号公報に記載された気水分離器でも、排出通路15aから排出口18aに向う曲がり部25で、排出される水に含まれる気泡は浮力f1及び内側に向う力f2の作用を受ける。しかしながら、排出通路15aを流下する水が曲がり部25をそのまま通って勢い良く排出口18aから排出されるので、それらの力の作用によって水から分離される気泡の割合が少なく、多くの気泡は排出口18aから排出される水と共に下降する冷却水の主流に混入される。発明者らが創生した気水分離器は、排水通路18aに気泡回収室22を形成しているので、浮力f1及び内側に向う力f2を特開平7−270573号公報に記載された気水分離器に比べて効果的に気泡に作用させてこの気泡を気泡回収室22に回収することができる。したがって、発明者らが創生した気水分離器は、特開平7−270573号公報に記載された気水分離器よりもキャリーアンダーを低減させることができる。
以上の検討に基づいて成された、本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な実施例である実施例1の、沸騰水型原子力プラント(BWRプラント)に適用された気水分離器を、図1及び図2を用いて説明する。本実施例の気水分離器を説明する前に、この気水分離器が適用されるBWRプラントを説明する。このBWRプラントは、原子炉1として改良型沸騰水型原子炉(以下、ABWRという)を備え、タービン32、復水器33及び給水配管34を有している(図3参照)。
原子炉1は、原子炉圧力容器(RPV)2を備え、このRPV2内に炉心3を配置している。RPV2内に配置された炉心シュラウド4は炉心3を取り囲んでいる。核燃料物質を有する複数の燃料集合体(図示せず)が炉心3に装荷されている。シュラウドヘッド5が炉心3より上方で炉心シュラウド4の上端部に設置され、複数の気水分離器6がシュラウドヘッド5に設置される。蒸気乾燥器23が気水分離器6の上方でRPV2に設置される。気水分離器6及び蒸気乾燥器23はRPV2内に配置される。環状の流路であるダウンカマ29がRPV2と炉心シュラウド4の間に形成される。複数のインターナルポンプ28がRPV2の底部に設置され、インターナルポンプ18のインペラがダウンカマ29内に配置される。主蒸気配管31がRPV2とタービン32を接続する。復水器33が給水配管34によってRPV2に接続され、給水ポンプ35及び給水加熱器36が給水配管34に設置される。
ダウンカマ29内の冷却水(冷却材)はインターナルポンプ28の駆動によって炉心3に供給される。この冷却水は炉心3に配置された燃料集合体内の核燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱され、その冷却水の一部が蒸気になる。この蒸気を含む冷却水は、気液二相流の状態で炉心3から気水分離器6内に導かれる。気水分離器6は、冷却水を除去し、蒸気を排出する。この蒸気は、蒸気乾燥器23によって含まれている液滴がさらに除去されて乾燥度を増し、主蒸気配管31に排出される。蒸気は、主蒸気配管31を通ってタービン32に供給されてタービン32を回転させる。タービンに連結された発電機(図示せず)は、回転して電力を発生する。タービン32から排出された蒸気は、復水器33で凝縮されて水になる。この水は、給水ポンプ35で昇圧され、給水として給水配管34によりRPV2内に供給される。給水は給水加熱器36によって加熱される。気水分離器6で分離された冷却水は、ダウンカマ29内に排出される。この冷却水は、給水配管34によって供給される給水とダウンカマ29内で混合され、インターナルポンプ28内に流入する。
気水分離器6について詳細に説明する。気水分離器6は、図1に示すように、スタンドパイプ7、ディフューザ8、スワラ9、内筒11、外筒12及びピックオフリング13を有する。内筒11、外筒12及びピックオフリング13は気水分離部10を構成し、気水分離器6は三段の気水分離部10を有する。図1では、各段の気水分離部10はa,b,cで区別している。すなわち、気水分離部10aが一段目の気水分離部であり、気水分離部10bが二段目の気水分離部、及び気水分離部10cが三段目の気水分離部である。図1においては、aを付した構成要素が気水分離部10aの構成要素であり、bを付した構成要素が気水分離部10bの構成要素であり、cを付した構成要素が気水分離部10cの構成要素である。
スタンドパイプ7はシュラウドヘッド5に取り付けられる。上方(下流)に向かって内部の横断面積が拡大するディフューザ8は、下端(上流端)がスタンドパイプ7の上端(下流端)に溶接にて接合されている。複数の羽根を有するスワラ9がディフューザ8内に設置される。気水分離部10aがディフューザ8の上端に、気水分離部10bが気水分離部10aの上端に、気水分離部10cが気水分離部10bの上端にそれぞれ設置される。気水分離部10aは、内筒11a、外筒12a及びピックオフリング13aを有する。内筒11aがディフューザ8の上端に取り付けられ、ピックオフリング13aが内筒11aの上端にそれぞれ取り付けられる。ピックオフリング13aは、円板部に円筒部を取り付けた構成を有し、円筒部が円板部から下方(上流)に向かって伸びている。開口17aが円筒部内に形成されている。気水分離器6の圧力損失低減のため、ピックオフリング13aの円筒部の下端部の外面にはテーパー状の面取り加工が施されている。後述のピックオフリング13b、13cも、ピックオフリング13aと同じ構成を有している。内筒11aを取り囲む外筒12aは、ピックオフリング13aに取り付けられてピックオフリング13aから下方に向かって伸びている。環状の排水通路15aが内筒11aと外筒12aの間に形成される。内筒11aの上端部には、内筒11aの内部と排水通路15aを連絡するギャップ14aが形成されている。
排水通路15aの、ディフューザ8より下方で幅が広くなった領域内に環状の区画部材21が配置され、この区画部材21は、外筒12aの内面に取り付けられ(図2参照)、スタンドパイプ7の上端部を取り囲んでいる。下端部が開放された環状の気泡回収室22が、区画部材21と外筒12aの間に形成される。すなわち、気泡回収室22は区画部材21の内面及び外筒12aの内面に囲まれている。外筒12aに形成された気泡放出通路である開口部19によって気水分離器6の外部の領域と連通している。区画部材21の下端は外筒12aの下端よりも上方に位置している。外筒12aの下端より下方に配置される環状プレート(流れ方向変更部材)20が、スタンドパイプ7の外面に取り付けられる。排出口18aは、環状プレート20と外筒12aの下端の間に形成され、スタンドパイプ7を取り囲む連続した開口である。排水通路15aは、区画部材21とスタンドパイプ7の間に形成される通路24、及び環状プレート20の上方で気泡回収室22の下方に形成される曲がり部25を経て放出口18aに連絡される。気泡回収室22は、下端が開放されて曲がり部25に連絡されている。開口部19は排出口18a、及び区画部材21の下端よりも上方に位置している。
気水分離部10bは、内筒11b、外筒12b及びピックオフリング13bを有する。内筒11bの下端がピックオフリング13aに取り付けられ、ピックオフリング13bが内筒11bの上端に取り付けられる。内筒11bを取り囲む外筒12bは、ピックオフリング13bに取り付けられてピックオフリング13bから下方に向かって伸びている。環状の排水通路15bが内筒11bと外筒12bの間に形成される。内筒11bの上端部には、内筒11bの内部と排水通路15bを連絡するギャップ14bが形成されている。外筒12bの下端部には、排水通路15bと連通する排出口18bが形成される。
気水分離部10cは、内筒11c、外筒12c及びピックオフリング13cを有する。内筒11cの下端がピックオフリング13bに取り付けられ、ピックオフリング13cが内筒11cの上端に取り付けられる。内筒11cを取り囲む外筒12cは、ピックオフリング13cに取り付けられてピックオフリング13cから下方に向かって伸びている。環状の排水通路15cが内筒11cと外筒12cの間に形成される。内筒11cの上端部には、内筒11cの内部と排水通路15cを連絡するギャップ14cが形成されている。外筒12cの下端部には、排水通路15cと連通する排出口18cが形成されている。
気水分離器6における気水分離の機能を具体的に説明する。炉心3から上昇した、蒸気及び冷却水を含む気液二相流が、気水分離器6のスタンドパイプ7内に流入し、スタンドパイプ7内を上昇する。蒸気はスタンドパイプ7の横断面の中央部を流れ、冷却水の大部分はスタンドパイプ7の内面に付着して液膜として存在し液膜の状態でスタンドパイプ7の内面に沿って上昇する。
気液二相流はディフューザ8内に流入する。この気液二相流はスワラ9によって旋回力が与えられ、遠心分離作用により密度の大きい水が外側に飛ばされ、密度の小さい蒸気が内筒11aの中心に集まって上昇する。外側に飛ばされた水は内筒11aの内面に付着して液膜を形成する。この液膜は、内筒11aの内面に沿って上昇してピックオフリング13aに当たり、蒸気から分離されてギャップ14aを通って排水通路15aに排出される。分離された水は、排水通路15aを下降して曲がり部25を通って排出口18aより気水分離器6の外側に存在する冷却水35に戻される。
排水通路15aを下降する水の流れが曲がり部25で鉛直方向から水平方向に曲げられるとき、前述したように、浮力f1及び内側に向う力f2がその水に含まれる気泡に作用する。このため、環状リング20の設置によって形成される曲がり部25を流れる水に含まれる気泡は、効率良く水から分離され、気泡回収室22内に回収される(図7参照)。回収された気泡は、気泡回収室22から開口部19を通って排出口18aより上方で冷却水の流れが遅い外筒12aの外面付近に放出される。開口部19から放出された気泡は、外筒12aの外面に沿って冷却水35中を上昇し、冷却水35の液面より上方に達する。
気水分離部10aで水分が除去されて含有する水分の量が少なくなった気液二相流は、旋回しながら、ピックオフリング13aの開口17aを通って気水分離部10bの内筒11b内に流入する。開口17aを通過した気液二相流に含まれた水は、外側に飛ばされ、内筒11bの内面に液膜を形成する。この液膜は、内筒11bの内面に沿って上昇し、ピックオフリング13bに当たって蒸気から分離される。分離された液膜、すなわち、水分はギャップ14bを通って排水通路15bに排出される。この水分は排水通路15bを下降して排出口18bから冷却水35に戻される。
気水分離部10bで水分が除去されて含有する水分の量が少なくなった蒸気は、旋回しながら、ピックオフリング13bの開口17bを通って気水分離部10cの内筒11c内に流入する。開口17bを通過した蒸気に含まれた水は、外側に飛ばされ、内筒11cの内面に液膜を形成する。この液膜は、内筒11cの内面に沿って上昇し、ピックオフリング13cに当たり、蒸気から分離される。分離された液膜である水分は、ギャップ14cを通って排水通路15cに排出される。この水分は排水通路15cを下降して排出口18cから冷却水35に戻される。
気水分離器6で大部分の水分が除去されて少量の液滴を含む蒸気は、ピックオフリング13cの開口17cから排出されて蒸気乾燥器23に流入する。
本実施例は、排水通路15aの鉛直方向に延びる鉛直部から排出口18aに向かう曲がり部25に開口する気泡回収室22を設けているので、排水通路18aを下降する水に含まれている気泡をその水から効率良く分離して、分離した気泡を気泡回収室22に回収することができる。このため、気水分離器6におけるキャリーアンダーをさらに低減することができる。気泡の効率の良い分離は、気泡回収室22の下端部が開口する曲がり部25で浮力f1及び内側に向かう力f2が気泡に作用することによって可能になる。気泡回収室22に一度回収された気泡は、曲がり部25内の水の流れから隔離され、その水に再度巻き込まれることはない。
本実施例は、気泡回収室22を形成する区画部材21の下端が排出口18aの上端よりも上方に位置しているため、曲がり部25内を流れる水から分離された気泡が気泡回収室22内に入りやすくなり、分離された水に含まれる直径約0.6mm以上の気泡を分離することができる。その分、排出口18aから排出される気泡の量が少なくなる。これによっても、気水分離器6におけるキャリーアンダーをさらに低減できる。開口部19が排出口18a、及び区画部材21の下端よりも上方に位置しているので、気泡回収部22内に回収された気泡を、開口部19を通して冷却水の流れが遅い外筒12aの外面付近に放出することができる。このため、開口部19から放出された気泡は、気水分離器6の外側を流れる冷却水の主流に混入される確率が著しく低減される。これによっても、外筒12aの外面に沿って冷却水35中を上昇し、冷却水35の液面より上方に達する。気水分離器6におけるキャリーアンダーがさらに低減される。
気泡回収室22は半径方向で排水通路15aの幅が広くなるディフューザ8よりも下方に配置されているので、隣接する気水分離器6の間隔を広くする必要がない。したがって、RPV2の内径を大きくする必要がない。気泡回収室22は、半径方向における幅が内筒11aと外筒12aの間よりも広いディフューザ8と外筒12aの間に配置してもよい。ただし、気泡回収室22の半径方向における幅はスタンドパイプ7と外筒12aの間にそれを配置した場合に比べて狭くする必要がある。気泡回収室22をディフューザ8と外筒12aの間に配置する場合には、好ましくは、それらの間の上端部よりも下端部側に気泡回収室22を配置するとよい。
本発明の他の実施例である実施例2の、BWRプラントに適用された気水分離器を、図9を用いて説明する。本実施例の気水分離器6Aは、実施例1の気水分離器6において気泡回収室22を外筒12aの外側に形成した構成を有する。気泡回収室22を外筒12aの外側に形成するために、区画部材21が外筒12aの外面に設置される。気泡回収室22は、外筒12aの外面及び区画部材21の内面に囲まれている。環状プレート20がスタンドパイプ7の外面に取り付けられて区画部材21の下端よりも下方に配置され、外筒12aの下端が区画部材21の下端よりも上方に配置される。開口部19は区画部材21の上端部に形成される。気水分離器6Aの他の構成は気水分離器1と同じである。気水分離器6Aも、実施例1と同様に、原子炉1のRPV2内に設置される。スタンドパイプ7と外筒12aの間の半径方向における幅hは外筒12aと区画部材21の間のその幅に等しい。気泡回収室22はディフューザ8よりも下方に配置される。
分離されて排水通路15a内に流入した気泡を含む水は、排水通路15aを下降して曲がり部25を経て排出口18aから気水分離器6Aの外部に放出される。本実施例でも、気泡は、浮力f1及び内側に向かう力f2の作用を受けて水から分離され、気泡回収室22内に達する。気泡回収室22に回収された気泡は、開口部19より気泡回収室22の外に放出され、冷却水の速度が遅い外筒12aの外面に沿って上昇する。
曲がり部の入口で流路の真ん中にある気泡Aが曲がり部の出口まで達したときにおける水の流れに垂直なr方向の移動量を、およその実機条件を用いて気泡の直径との関係で評価した。この結果を図10に示す。r/r0が0.33以上の気泡が、点線の矢印のように、曲がり部25内を流れる水から分離されて気泡回収室22に回収される。気水分離器6Aは、直径が約1mmの気泡まで分離可能である。すなわち、排出口18aから排出される水に含まれる気泡の量が低減される。
このような本実施例も、実施例1で生じる効果を得ることができる。本実施例は、外筒12aの下端が区画部材21の下端よりも上方に位置しているので、分離された気泡が気泡回収室22に入りやすくなっている。したがって、気水分離器6Aにおけるキャリーアンダーをさらに低減することができる。ただし、気泡回収室22が外筒12aの外側に位置しているので、気水分離器6Aの相互間の間隔は気水分離器6のそれよりも広くしなければならない。なお、気泡回収室22の内側の壁となる外筒12aとスタンドパイプ7との間の水平方向における幅hが気水分離器6のスタンドパイプ6と区画部材21のその幅よりも広くなるので、気水分離器6Aでは、排水流路15a内の圧力損失が低減される。
発明者らは、本実施例のように気泡回収室22を外筒12aの外側に配置した場合における気泡回収室の大きさについても、気泡回収室22が外筒12aの内側にある場合と同様な検討を行った。この検討においても、ある縦断面で曲がり部25の入口の水平方向の幅と曲がり部25の出口の幅(高さ)が同じであると仮定した。ここで、絞り比はスタンドパイプ7と区画部材21の間の水平方向の幅2hに対する曲がり部25の入口のその幅の比として定義した。図9に示す本実施例の気水分離器6Aの絞り比は0.5に相当する。この絞り比と曲がり部25で分離可能な気泡の最小直径Dminとの関係の評価結果を図13に示す。図13から、気泡分離室22が外筒12aの外側に配置された場合でも、絞り比が小さくなるほどより小さな直径の気泡が分離可能になることが分かる。絞り比が約0.2の気水分離器で直径0.1mm程度の気泡が分離可能であることが分かる。
気泡回収室22を外筒12aの外側に配置する場合には、環状プレート20及び区画部材21をディフューザ8の上端より上方で冷却水35の液面よりも下方に配置してもよい。
本発明の他の実施例である実施例3の、BWRプラントに適用された気水分離器を、図14を用いて説明する。本実施例の気水分離器6Bは、実施例1の気水分離器6において環状プレート20を、曲面を有する流れ方向変更部材20Aに替えた構成を有する。流れ方向変更部材20Aは下に凸の曲面を形成している。このため、曲がり部25も曲がり部25の入口から出口に向かって円滑に曲がった形状を有する。気水分離器6Bも、気水分離器6と同様に、曲がり部25を流れる水から気泡を分離し、分離した気泡を気泡改修室22内に回収することができる。
本実施例は、実施例1で生じる効果を得ることができる。本実施例は、曲面を有する流れ方向変更部材20Aをスタンドパイプ7の外面に取り付けているので、排水通路15aを下降する水が流れ方向変更部材20Aの曲面に沿って排出口18aに向かって円滑に流れる。このため、排水通路15aの圧力損失が低減される。
本発明の他の実施例である実施例4の、BWRプラントに適用された気水分離器を、図15を用いて説明する。本実施例の気水分離器6Cは、実施例1の気水分離器6において開口部19をディフューザ8よりも上方で外筒12aに形成した構成を有する。開口部19は外筒12aの周方向において4箇所に形成される。区画部材21の上端部に取り付けられる管路部材26が外筒12aの内面に沿って上方に向かって開口部19の位置まで伸びている。管路部材26も外筒12aの周方向において4箇所に配置される。管路部材26は外筒12aの内面にも取り付けられ、気泡回収室22と開口部19を連絡する気泡排出通路27が、管路部材26と外筒12aの間に形成される。気水分離器6Cも、気水分離器6と同様に、曲がり部25を流れる水から気泡を分離し、分離した気泡を気泡回収室22内に回収することができる。
本実施例も実施例1で生じる効果を得ることができる。さらに、本実施例は、開口部19がディフューザ8よりも上方に位置し、外筒12aの外面の位置における開口部19の部分(気泡放出口)が気泡排出通路27によって気泡回収室22に連絡されているので、気泡回収室22内に回収した気泡が、気泡放出口によって水が排出される排出口18aよりもかなり上方に排出される。このため、排出された気泡が、下降する冷却水の主流に混入される確率がさらに低減される。なお、排出された気泡は、外筒12aの外面に沿って冷却水35中を上昇する。
管路部材26を設けずに、気泡放出口が気泡回収室22の上端よりも上方に位置するように、気泡回収室22に連絡される開口部19を上方に向って傾斜するように外筒12Aaに形成してもよい。このような開口部18aの形成によっても実施例4で生じる効果を得ることができる。
本発明の他の実施例である実施例5の、BWRプラントに適用された気水分離器を、図15を用いて説明する。本実施例の気水分離器6Dは、実施例1の気水分離器6において開口部19の位置を気泡回収室22の上端よりも下方に配置した構成を有する。このため、気泡回収室22の上端部に気泡溜め28が形成される。曲がり部25を流れる水から分離された気泡は、気泡回収室22に回収されて気泡溜め28に溜められる。気泡溜め28に溜まった気泡が、開口部19から気水分離器6Dの外に排出される。
本実施例は、実施例1で生じる効果を得ることができる。本実施例は、気泡溜め28を形成しているので、開口部19から直径が大きくなった気泡が排出される。したがって、放出された気泡の浮力が大きいので、気水分離器6Dで下降する冷却水35の主流に巻き込まれ難くなり、冷却水35の液面上方に到達しやすくなる。これは、気水分離器6Dにおけるキャリーアンダーの低減に貢献する。
開口部19を水平方向に形成するのではなく、外筒12aの外面の位置における開口部19の部分(気泡放出口)が外筒12aの内面の位置における開口部19の部分よりも下方に位置するように、開口部19を下向きに傾斜させて形成することも可能である。
本発明の他の実施例であるBWRプラントを、図17〜図19を用いて以下に説明する。実施例1から実施例5は、それぞれの実施例の一種類の気水分離器を備えたBWRプラントである。本実施例のBWRプラントは、二種類の気水分離器を備えている。
本実施例のBWRプラントは、RPV2内に気水分離器6,6Eを設置した原子炉1を有する。気水分離器6Eは、環状プレート20、区画部材21及び気泡回収室22を備えていなく、排出口18aが下向きになっている(図19参照)。本実施例のBWRプラントの他の構成は実施例1のBWRプラントと同じである。気水分離器6,6Eはシュラウドヘッド5に設置される。気水分離器6Eはシュラウドヘッド5の上面の内側領域42に配置され、気水分離器6はシュラウドヘッド5の上面で内側領域42を取り囲む外側領域40に配置される。
原子炉1内の気水分離器配置領域では、内側領域42よりも外側領域40で冷却水の下降流が強くなる。このように、下降流が強い外側領域40に、キャリーアンダーを低減できる気水分離器6を配置することによって、原子炉1におけるキャリーアンダーを少なくすることができる。内側領域42では下降流が弱く、どちらかといえば水平方向でRPV2の内面に向う冷却水の流れが強いので、気水分離器6Eの排出口18aから下向きに排出された水に含まれた気泡は、冷却水35と共に水平方向に流れている間に冷却水の流れから分離され、冷却水35の液面上方に達する。
気水分離器6を外側領域40に、気水分離器6Eを内側領域42に配置した本実施例の原子炉1は、キャリーアンダーを低減することができる。
本発明の他の実施例であるBWRプラントを、図20〜図22を用いて以下に説明する。本実施例のBWRプラントも、実施例6のBWRプラントと同様に、二種類の気水分離器を原子炉1内に設置している。これらの気水分離器は、気水分離器6,6Fである。本実施例のBWRプラントの他の構成は実施例1のBWRプラントと同じである。気水分離器6,6Fはシュラウドヘッド5に設置される。気水分離器6Fは、特開平7−270573号公報の図5に記載された気水分離器と同様に、外筒12aの下端より下方に水平方向に伸びる環状プレート20を配置し、この環状プレート20をスタンドパイプ7の外面に取り付けている(図22参照)。内筒11aと外筒12aの間に形成される環状の排水通路15aに連絡される排出口18aは、外筒12aの下端と環状プレート20の間に形成され、水平方向を向いている。気水分離器6Fはシュラウドヘッド5の上面の内側領域42に配置され、気水分離器6はシュラウドヘッド5の上面で内側領域42を取り囲む外側領域40に配置される。
内側領域42よりも外側領域40で冷却水の下降流が強くなる。このように、下降流が強い外側領域40に、キャリーアンダーを低減できる気水分離器6を配置することによって、原子炉1におけるキャリーアンダーを少なくすることができる。内側領域42では下降流が弱く、どちらかといえば水平方向でRPV2の内面に向う冷却水の流れが強いので、排出口18aから水平方向に排出された気泡は、水平方向に流れている間に冷却水の流れから分離され、冷却水35の液面上方に達する。
気水分離器6を外側領域40に、気水分離器6Fを内側領域42に配置した本実施例の原子炉1は、キャリーアンダーを低減することができる。
1…原子炉、2…原子炉圧力容器、3…炉心、4…炉心シュラウド、6,6A,6B,6C,6D,6E,6F…気水分離器、7…スタンドパイプ、8…ディフューザ、9…スワラ、10,10a,10b,10c…気水分離部、11,11a,11b,11c…内筒、12,12a,12b,12c…外筒、13,13a,13b,13c…ピックオフリング、15a,15b,15c…通水通路、18a,18b,18c…排出口、19…開口部、20…環状プレート(流れ方向変更部材)、20A…流れ方向変更部材、21,21A…区画部材、22…気泡回収室、25…曲がり部、27…気泡排出通路。
Claims (13)
- 気液二相流を導くスタンドパイプと、前記スタンドパイプの下流端に接続され、下流に向かって拡がるディフューザと、前記ディフューザ内に設置されたスワラと、内筒、前記内筒を取り囲み前記内筒との間に排水通路を形成する外筒、及び前記外筒の下流端に取り付けられて開口部が形成されたピックオフリングを有し、前記内筒と前記ピックオフリングの間にギャップを形成している複数の気水分離部とを備え、
前記複数の気水分離部が下流に向かって順次配置され、最も上流に位置する前記気水分離部の前記内筒が前記ディフューザに設置され、
前記外筒の下端部に取り付けられた区画部材と前記外筒の間に下端が開放された気泡回収室を形成し、分離して前記気泡回収室内に回収された気泡を気水分離器の外部に排出する気泡放出通路を設け、前記外筒及び前記区画部材のいずれかの下端との間に排出口を形成する流れ方向変更部材を、前記気泡回収室の下方に配置し、前記流れ方向変更部材を前記スタンドパイプ及び前記内筒のいずれかに取り付けたことを特徴とする気水分離器。 - 前記気泡回収室が前記外筒より内側に配置され、前記排出口が前記外筒の下端と前記流れ方向変更部材の間に形成される請求項1に記載の気水分離器。
- 前記外筒の下端が前記区画部材の下端よりも下方に位置している請求項2に記載の気水分離器。
- 前記気泡回収室が前記ディフューザよりも下方に配置され、前記流れ方向変更部材を前記スタンドパイプに取り付けた請求項2または3に記載の気水分離器。
- 前記気泡回収室が前記外筒より外側に配置され、前記排出口が前記区画部材の下端と前記流れ方向変更部材の間に形成される請求項1に記載の気水分離器。
- 前記区画部材の下端が前記外筒の下端よりも下方に位置している請求項5に記載の気水分離器。
- 前記流れ方向変更部材の上面が下方に向かって凸になる曲面になっている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の気水分離器。
- 前記気泡放出通路の気泡放出口が前記気泡回収室の上端よりも上方に位置している請求項1ないし6のいずれか1項に記載の気水分離器。
- 前記気泡放出通路の気泡放出口が前記排出口よりも上方で前記気泡回収室の上端よりも下方に位置している請求項1ないし6のいずれか1項に記載の気水分離器。
- 原子炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器内に配置された炉心と、前記原子炉圧力容器内で前記炉心の上方に配置され、前記炉心を取り囲む炉心シュラウドに設置されたシュラウドヘッドと、前記シュラウドヘッドに取り付けられ、前記炉心よりも上方に配置された請求項1ないし9のいずれか1項に記載の複数の気水分離器とを備えたことを特徴とする沸騰水型原子炉。
- 原子炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器内に配置された炉心と、前記原子炉圧力容器内で前記炉心の上方に配置され、前記炉心を取り囲む炉心シュラウドに設置されたシュラウドヘッドと、前記シュラウドヘッドに取り付けられる複数の気水分離器のうち、前記シュラウドヘッドの外側領域に配置される複数の前記気水分離器が請求項1ないし9のいずれか1項に記載の気水分離器であることを特徴とする沸騰水型原子炉。
- 前記外側領域に取り囲まれる、前記シュラウドヘッドの内側領域に配置される複数の前記気水分離器が、
前記気泡回収室及び前記流れ方向変更部材を有していなく、前記スタンドパイプと、前記ディフューザと、前記スワラと、前記内筒、前記内筒との間に前記排水通路を形成する前記外筒、及び前記ピックオフリングを有して前記ギャップを形成している複数の前記気水分離部とを備え、最も上流に位置する前記気水分離部の前記内筒が前記ディフューザに設置され、前記排水通路の排出口が下向きになって構成されている、
請求項11に記載の沸騰水型原子炉。 - 前記外側領域に取り囲まれる、前記シュラウドヘッドの内側領域に配置される複数の前記気水分離器が、
前記気泡回収室を有していなく、前記スタンドパイプと、前記ディフューザと、前記スワラと、前記内筒、前記内筒との間に前記排水通路を形成する前記外筒、及び前記ピックオフリングを有して前記ギャップを形成している複数の前記気水分離部と、前記流れ方向変更部材とを備え、最も上流に位置する前記気水分離部の前記内筒が前記ディフューザに設置されて構成されている、
請求項11に記載の沸騰水型原子炉。
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Cited By (2)
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WO2011129063A1 (ja) * | 2010-04-13 | 2011-10-20 | 株式会社 東芝 | 気水分離器およびそれを用いた原子炉システム |
JP2013003085A (ja) * | 2011-06-21 | 2013-01-07 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 気水分離器及びそれを備えた沸騰水型原子炉 |
-
2008
- 2008-04-11 JP JP2008103672A patent/JP2009257770A/ja active Pending
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