JP2000152763A - フレーバー組成物および着香食品の製造方法 - Google Patents

フレーバー組成物および着香食品の製造方法

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JP2000152763A JP10327031A JP32703198A JP2000152763A JP 2000152763 A JP2000152763 A JP 2000152763A JP 10327031 A JP10327031 A JP 10327031A JP 32703198 A JP32703198 A JP 32703198A JP 2000152763 A JP2000152763 A JP 2000152763A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明飲料にも用いることが出来、食品の風味を
損なうことがなく、泡立ち等の問題のない、水性化され
たフレーバー組成物およびびそれを用いる着香食品の製
造方法を提供する。 【解決手段】香料油および溶媒と炭素数8〜16の脂肪
酸を主たる構成脂肪酸とし且つモノエステル含量(Y)
が次式の条件を満たすショ糖脂肪酸エステルとを含有し
て成るフレーバー組成物、および、当該組成物を水に希
釈する着香食品の製造方法。 【数1】Y(重量%)≧2.5X+50(Xは、構成脂
肪酸の炭素数を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フレーバー組成物
および着香食品の製造方法に関し、詳しくは、水を主成
分とする食品の着香に適したフレーバー組成物およびそ
れを用いる着香食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】食品工業において、香料(フレーバー)
や天然色素は、食品に高付加価値を与える添加物とし
て、近年まで堅実に需要を伸ばしてきている。香料は、
添加する食品に応じ、水性または油性のものを用いる
が、水性食品に油性の香料を添加する場合には、これを
水性化して用いるのが一般的である。
【0003】水溶性香料(エッセンス)は、含水エタノ
ールで柑橘油や香料ベースを抽出または溶解したもので
あり、含水エタノールに溶解しない香気成分が除去され
て力価も低く、一般には軽い香りを与える香料として用
いられる。
【0004】天然ガム質などで香料ベースを乳化した香
料は、力強い香りを与えることが出来るが、乳化香料で
あるため、濁度(クラウディー)を有する酸性飲料な
ど、適用する食品が限られる。
【0005】水性化された透明な香料組成物としては、
サポニン類とショ糖硬化牛脂モノエステルを用いた可溶
化プレーバー製剤が特開昭61−247352号公報に
開示されているが、サポニンは、苦味が強く食品の風味
が損なわれたり、また、泡立ちが大きいという問題があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、透明
飲料にも用いることが出来、食品の風味を損なうことが
なく、泡立ち等の問題の少ない、水性化されたフレーバ
ー組成物およびそれを用いる着香食品の製造方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、構成脂肪酸
の炭素数とモノエステル含量が特定の範囲にあるショ糖
脂肪酸エステルを用いることにより、上記の目的を達成
できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の第1の要旨は、香料油
および溶媒と炭素数8〜16の脂肪酸を主たる構成脂肪
酸とし且つモノエステル含量(Y)が次式の条件を満た
すショ糖脂肪酸エステルとを含有して成ることを特徴と
するフレーバー組成物に存する。
【0009】
【数2】Y(重量%)≧2.5X+50(Xは、構成脂
肪酸の炭素数を示す。)
【0010】そして、本発明の第2の要旨は、上記の組
成物を水に希釈することを特徴とする着香食品の製造方
法に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】先ず、本発明に係るフレーバー組
成物について説明する。本発明に用いる香料油は、油溶
性の香気成分を含有する物質である。その例としては、
動物性または植物性の天然原料から、不揮発性溶剤抽出
法、揮発性溶剤抽出法、超臨界抽出法などにより得られ
る抽出物、水蒸気蒸留や圧搾法などにより得られる精油
や回収フレーバー等の天然香料油、化学的手法で合成さ
れた合成香料油、それらの香料油を配合したり油脂や溶
媒に溶解した香料ベース等が挙げられる。
【0012】天然香料の製品例としては、一般に、アブ
ソリュート、エキストラクト、オレオレジン等の抽出
物、コールドプレス等の精油、チンキと呼ばれるアルコ
ール抽出液などが挙げられる。
【0013】溶媒としては親水性溶媒が好ましい。親水
性溶媒としては、水及び水に易溶な有機溶媒が挙げられ
る。水に易溶な有機溶媒としては、エタノール、グリセ
リン又はプロピレングリコールが挙げられる。これらの
溶媒は、一般に安全な溶媒として食品に用いられてお
り、本発明においても好適である。
【0014】ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸
は、炭素数8〜16の脂肪酸を主たる構成脂肪酸とする
飽和または不飽和の脂肪酸である。すなわち、構成脂肪
酸のうち、構成脂肪酸全体に占める炭素数8〜16の脂
肪酸の総和の割合は、50%以上であり、好ましくは7
0%である。また、ショ糖脂肪酸エステル中に占めるモ
ノエステルの重量%(Y)は、構成脂肪酸の炭素数(加
重平均値;X)に対し、Y≧2.5X+70を満たす範
囲である。
【0015】構成脂肪酸の鎖長が短すぎる場合は、工業
的に製造が困難になると共に、界面活性能が弱まり充分
な分散性を得られなくなる。また、鎖長が長すぎる場合
は、水やエタノール等の親水性溶媒に対する溶解性が劣
るようになり、結果として安定な分散性が得られなくな
る。また、モノエステルの比率が上記の値に満たない場
合は、同様に溶解性が低下する。
【0016】ショ糖脂肪酸エステルに対する香料油の重
量比率は、特に限定されないが、通常0.02〜50、
好ましくは0.05〜30の範囲である。配合比率が小
さ過ぎる場合は不経済であり、大き過ぎる場合は十分な
分散性が得られなくなる虞がある。
【0017】ショ糖脂肪酸エステルと香料油の合計重量
に対する溶媒の割合は、特に限定されないが、好ましく
は1〜1000の範囲である。溶媒が少な過ぎる場合
は、流動性に問題があったり、食品への添加量が少なく
なり過ぎるため、添加量の誤差が製品のフレに対する影
響が大きくなる。一方、溶媒が多過ぎる場合は、香料の
力価が小さくなり、添加量を増やす等の対処が必要とな
る。
【0018】本発明に係るフレーバー組成物は、香料油
および溶媒とショ糖脂肪酸エステルとを含有するが、必
要に応じ、ショ糖、グルコース、エリスリトール等の糖
または糖アルコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリ
グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル
等の食品用乳化剤を添加することが出来る。
【0019】本発明のフレーバー組成物は、上記各成分
を所定量配合することにより得られるが、ショ糖脂肪酸
エステルを溶媒に加温溶解した溶液を調製し、これと香
料油とを混合して調製するのが一般的である。得られる
組成物は、透明または不透明で、均一安定な溶液または
分散液であり、濁っている場合でも、通常、水に希釈す
ることにより透明な溶液となる。また、香料油が水不溶
成分を多く含む場合、例えば、エタノールに溶解した後
に水と混合すると水不溶成分が沈殿する。従って、斯か
る水不溶成分を除去することにより、水に希釈した分散
液を調製する際や飲料などの食品に添加した際に沈殿物
が発生する虞を低減することが出来る。組成物を調製し
た際に、不溶分が存在する場合は、遠心分離や濾過など
の処理により除去することが好ましい。
【0020】次に、本発明に係る着香食品の製造方法に
ついて説明する。本発明の製造方法は、上記の組成物を
水に希釈することより成る。水に希釈する方法や希釈倍
率は、特に限定されない。通常は1/100〜1/10
000に希釈する。
【0021】本発明によって着香される食品は、特に限
定されないが、例えば、炭酸飲料などの酸性飲料、コー
ヒークリーム、ホイップクリーム、アイスクリーム等の
O/W系の食品、ムースやゼリー等のデザート等、水を
主成分とする食品が挙げられる。
【0022】水に希釈された後の状態は、特に限定され
ないが、通常、香料油が可溶化され、目視で濁りを観察
できない様な微細乳化状態である。しかしながら、目視
で濁りを観察できる様な乳化状態であっても、その状態
を安定して採り得ることが本発明の組成物を用いる方法
の特徴である。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
【0024】実施例1 レモンコールドプレスドピールオイル((株)昭和農芸
製:エタノールに任意の濃度で溶解し、水には不溶)を
エタノールに適当量溶解し、これに水または表1に示す
ショ糖脂肪酸エステルの1重量%水溶液(水に加温溶解
し室温まで冷却して調製した水溶液)を滴下し、オイル
分離を生じる点を調べた。そして、オイル分離を生じた
際のエタノール濃度とレモンオイル濃度の関係をプロッ
トした図を作成し、この図から、エタノール濃度50重
量%及び60重量%に対応するレモンオイル濃度を読み
取った。結果を表2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】実施例2 表1に示すショ糖脂肪酸エステル又はサンプル5として
ショ糖ステアリン酸エステル(構成脂肪酸の純度80
%;モノエステルの比率95%)を水に加温溶解し室温
まで冷却して2重量%水溶液を調製し、この水溶液また
はショ糖脂肪酸エステルを含まない水(ブランク)に同
重量のエタノールを混合し、更に実施例1で用いたレモ
ンオイルを表3に示す量加え、スターラーで攪拌してフ
レーバー組成物を調製し、調製後の状態を目視観察し
た。次いで、得られた組成物を水または表3に示す飲料
で1000倍に希釈し、目視観察と650nmにおける
光透過率を1cm石英セルを用いて吸光度計で測定し
た。また、希釈液を室温で保存3週間後の状態を観察し
たが、何れも調整時と同じであった。以上の結果を表3
に示す。
【0028】
【表3】
【0029】表3に示す例で用いた飲料は下記の通りで
ある。 (1)ニアウオーター:日本たばこ産業製「桃の天然
水」(光透過率99.9%) (2)加糖ストレート紅茶:キリンビバレッジ製「午後
の紅茶・ストレート」(光透過率93.5%)
【0030】
【発明の効果】本発明により、水を主成分とする食品の
着香に適した、香料油の配合量を高めることが可能な、
安定性に優れたフレーバー組成物が提供される。
フロントページの続き Fターム(参考) 4B035 LC01 LE03 LG12 LG18 LK02 LK12 4B047 LB09 LG07 LG08 LG12 4H059 AA04 BA12 BA13 BA33 BB13 BB22 BB44 BB45 BC10 BC23 CA51 DA09 EA35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 香料油および溶媒と炭素数8〜16の脂
    肪酸を主たる構成脂肪酸とし且つモノエステル含量
    (Y)が次式の条件を満たすショ糖脂肪酸エステルとを
    含有して成ることを特徴とするフレーバー組成物。 【数1】Y(重量%)≧2.5X+50(Xは、構成脂
    肪酸の炭素数を示す。)
  2. 【請求項2】 溶媒が親水性溶媒である請求項1に記載
    の組成物。
  3. 【請求項3】 ショ糖脂肪酸エステルに対する香料油の
    重量比率が0.02〜50である請求項1又は2に記載
    の組成物。
  4. 【請求項4】 ショ糖脂肪酸エステルと香料油の合計重
    量に対する溶媒の割合が1〜1000である請求項1〜
    3の何れかに記載の組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の組成物を
    水に希釈することを特徴とする着香食品の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008109900A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Asahi Breweries Ltd 精油の分散安定化方法および飲料の製造方法
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EP2596705A1 (en) * 2011-11-28 2013-05-29 Mauricio Leonardo Poulsen Stable clear flavor compositions
JP5544674B1 (ja) * 2013-11-19 2014-07-09 ケミ・コム・ジャパン株式会社 乳化剤を使用したエッセンス香料及びその製造方法

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