JP2000152674A - 超音波振動子の駆動装置 - Google Patents

超音波振動子の駆動装置

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JP2000152674A JP10346094A JP34609498A JP2000152674A JP 2000152674 A JP2000152674 A JP 2000152674A JP 10346094 A JP10346094 A JP 10346094A JP 34609498 A JP34609498 A JP 34609498A JP 2000152674 A JP2000152674 A JP 2000152674A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波振動子を常にその共振周波数にて確実
に駆動し、多様化する外科手術用超音波処置装置や多機
種化する超音波溶着等にも容易に対応できる超音波振動
子の駆動装置を提供する。 【解決手段】 補正用コンデンサ10aの電圧信号V2
を増幅器20により増幅率Aで増幅する。増幅率Aを増
幅率調整回路22により制動コンデンサ(Cd)の静電
容量に応じて調整する。増幅率Aで増幅された信号と超
音波振動子1の電圧信号V1を用いて位相合成用演算器
21およびハイパスフィルタ26bにより共振回路位相
信号Vf2を算出する。電圧信号V1の駆動周波数成分
に対応する印加電圧位相信号Vf1と共振回路位相信号
Vf2とを用いてPLL制御回路30により駆動周波数
foを調整して、超音波振動子1を共振周波数で駆動す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波振動子の駆
動装置に関するものである。更に詳細には、外科手術用
超音波処置装置や超音波溶着機等に用いられるランジュ
バン型超音波振動子のような圧電型超音波振動子の駆動
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にランジュバン型超音波振動子は、
圧電素子と電極板を交互に重ね合わせた積層体を金属ブ
ロックで挟み込み、それら全体をボルトで締め付けるこ
とにより構成されている。このような超音波振動子は、
その構造等から物理的に定まる共振周波数を有してお
り、この共振周波数付近で駆動されるとき、超音波振動
子の電気的等価回路は機械的振動特性を表すコイルおよ
びコンデンサと、機械的負荷を表す抵抗とから成る直列
共振回路に、圧電素子と電極板により生じる制動コンデ
ンサが並列に接続された回路となる。この等価回路の直
列共振回路に流れる電流だけが超音波振動子の振動に寄
与する。したがって直列共振回路に流れる電流をできる
だけ大きくすることによって、超音波振動子は最も高率
よく振動せしめられる。換言すると、超音波振動子を最
も効率よく振動させるためには、超音波振動子の直列共
振回路のインピーダンスが最小になる周波数すなわち共
振周波数で超音波振動子が駆動されればよい。ところ
が、共振周波数を決定するコイルおよびコンデンサは超
音波振動子の先端に加わる負荷条件や温度等の環境条件
や経時変化によって微妙に変化し、超音波振動子の共振
周波数は変動してしまう。
【0003】一方超音波振動子が共振するとき、その等
価回路の直列共振回路が抵抗のみになり、このため直列
共振回路に流れる電流と超音波振動子に印加される電圧
とが同位相になる。このことを利用して、超音波振動子
の駆動周波数を調整すれば、超音波振動子がその共振周
波数の変動に追従して駆動可能である。
【0004】以上のようなランジュバン型超音波振動子
をその共振周波数の変動に追従して効率よく駆動するた
めの駆動装置として、特開平8−117687号公報に
開示された装置が知られている。この超音波振動子の駆
動装置では、超音波振動子をその変動する共振周波数で
駆動するために、超音波振動子の等価回路の直列共振回
路に流れる電流の位相成分が所定の方法で検出されてい
る。詳述すると、超音波振動子に対して補正用コンデン
サが並列に接続され、この補正用コンデンサに流れる電
流と、超音波振動子に流れる電流とが検出される。この
検出された補正用コンデンサに流れる電流は増幅器によ
り所定の増幅率で増幅される。この増幅器の増幅率は、
超音波振動子の制動コンデンサに流れる電流と、補正用
コンデンサに流れる電流を増幅したものとが等しくなる
ように予め定められている。このように増幅率を定め、
その増幅率で増幅された補正用コンデンサに流れる電流
と、超音波振動子に流れる電流とを位相合成することに
より、超音波振動子の直列共振回路に流れる電流の位相
成分が算出されている。そして算出された直列共振回路
に流れる電流の位相成分と、超音波振動子に印加される
電圧の位相成分とが同位相になるように超音波振動子の
駆動周波数がフェイズロックループ(PLL)制御で調
整される。これにより超音波振動子はその共振周波数の
変動に追従して駆動されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような超音波振動
子の駆動装置では、補正用コンデンサに流れる電流を増
幅したものと、超音波振動子の制動コンデンサに流れる
電流とが等しくなるように増幅器の増幅率が予め定めら
れている。しかしながら、超音波振動子が長時間駆動さ
れるとき、あるいは超音波振動子が低温雰囲気中に長時
間放置されるとき、超音波振動子それ自体の温度変化に
よって、制動コンデンサの静電容量が変化してしまう。
これにより超音波振動子の駆動中に、超音波振動子の制
動コンデンサに流れる電流が変化するため、予め定めら
れた増幅率で補正用コンデンサに流れる電流を増幅して
も、この増幅された電流と、超音波振動子の制動コンデ
ンサに流れる電流とは等しくならない。したがって増幅
された補正用コンデンサに流れる電流と超音波振動子に
流れる電流とを位相合成しても、その結果として超音波
振動子の直列共振回路に流れる電流の位相成分を適正に
算出することは不可能であった。このように算出された
超音波振動子の直列共振回路に流れる電流が適正ではな
いため、PLL制御が正しく行なわれず、超音波振動子
を常にその共振周波数で駆動することは不可能であっ
た。
【0006】本発明は上述の課題に着目してなされたも
のであり、その目的とするところは、超音波振動子を常
にその共振周波数にて確実に駆動し、多様化する外科手
術用超音波処置装置や多機種化する超音波溶着等にも容
易に対応できる超音波振動子の駆動装置を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る超音波振動
子の駆動装置は、超音波振動子をその共振周波数にて駆
動する超音波振動子の駆動装置において、超音波振動子
を駆動するための駆動周波数の信号に、駆動周波数とは
異なり、実質的に超音波振動子の静電容量を測定するた
めの容量測定周波数の信号を重畳させて出力する重畳信
号発振源と、超音波振動子に発生する第1の電気信号を
検出する第1信号検出手段と、超音波振動子に直列また
は並列に接続された補正用素子に発生する第2の電気信
号を検出する第2信号検出手段と、第1および第2の電
気信号のうち、少なくとも一方の信号を増幅するための
増幅手段と、第1および第2の電気信号の容量測定周波
数成分を抽出した信号に基づいて、増幅手段の増幅率を
調整するための増幅率調整手段と、増幅手段により増幅
率で増幅された信号を用いて、超音波振動子の直列共振
回路に流れる電流の駆動周波数成分に対応する共振回路
位相信号を算出する位相信号演算手段と、共振回路位相
信号と、重畳信号発振源の出力信号または超音波振動子
に印加される電圧信号から抽出された駆動周波数成分と
を用いて、重畳信号発振源の駆動周波数を制御する周波
数制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】好ましくは、増幅手段は第1および第2の
電気信号の双方を増幅する。また好ましくは、位相信号
演算手段は増幅手段により増幅された信号と、第1また
は第2の電気信号の何れか一方の信号とを位相合成する
ことにより共振回路位相信号を算出する。あるいは好ま
しくは、位相信号演算手段は増幅手段により増幅された
第1の電気信号と増幅手段により増幅された第2の電気
信号とを位相合成することにより共振回路位相信号を算
出する。
【0009】好ましくは、第1の電気信号は超音波振動
子に印加される電圧信号であり、第2の電気信号は補正
用素子に印加される電圧信号である。あるいは好ましく
は、第2の電気信号は補正用素子に流れる電流であり、
第1の電気信号は超音波振動子に流れる電流である。こ
れらの場合、増幅率調整手段は第1の電気信号の容量測
定周波数成分と第2の電気信号の容量測定周波数成分と
の比を算出して、この比に基づいて増幅率を調整するこ
とが望ましい。例えば補正用素子はコンデンサまたはコ
イルである。
【0010】本発明に係る第2の超音波振動子の駆動装
置は、超音波振動子をその共振周波数にて駆動する超音
波振動子の駆動装置において、超音波振動子を駆動する
ための駆動周波数の信号に、駆動周波数とは異なり、実
質的に超音波振動子の静電容量を測定するための容量測
定周波数の信号を重畳させて出力する重畳信号発振源
と、超音波振動子に直列に接続された補正用素子に発生
する第2の電気信号を検出する第2信号検出手段と、補
正用素子と超音波振動子に対してブリッジ状に接続され
た2個の補正用素子のうち、何れか一方に発生する第3
の電気信号を検出する第3信号検出手段と、第2および
第3の電気信号のうち、少なくとも一方の信号を増幅す
るための増幅手段と、超音波振動子に印加される電圧信
号と第2および第3の電気信号のうち、何れか2つの信
号の容量測定周波数成分を抽出した信号に基づいて、増
幅手段の増幅率を調整するための増幅率調整手段と、増
幅手段により増幅率で増幅された信号を用いて、超音波
振動子の直列共振回路に流れる電流の駆動周波数成分に
対応する共振回路位相信号を算出する位相信号演算手段
と、共振回路位相信号と、重畳信号発振源の出力信号ま
たは超音波振動子に印加される電圧信号から抽出された
駆動周波数成分とを用いて、重畳信号発振源の駆動周波
数を制御する周波数制御手段とを備えたことを特徴とし
ている。
【0011】好ましくは、増幅手段は第2および第3の
電気信号の双方を増幅する。また好ましくは、位相信号
演算手段は増幅手段により増幅された信号と、第2また
は第3の電気信号の何れか一方の信号とを位相合成する
ことにより共振回路位相信号を算出する。あるいは好ま
しくは、位相信号演算手段は増幅手段により増幅された
第2の電気信号と、増幅手段により増幅された第3の電
気信号とを位相合成することにより共振回路位相信号を
算出する。
【0012】好ましくは、第2の電気信号は補正用素子
に印加される電圧信号であり、第3の電気信号は2個の
補正用素子の何れか一方に印加される電圧信号である。
これらの場合、増幅率調整手段は第2の電気信号の容量
測定周波数成分と第3の電気信号の容量測定周波数成分
との比を算出して、この比に基づいて増幅率を調整する
ことが望ましい。例えば、補正用素子はコンデンサであ
る。
【0013】好ましくは、重畳信号発振源の出力信号の
駆動周波数成分を超音波振動子に印加される電圧信号の
駆動周波数成分とほぼ同位相とするために重畳信号発振
源の出力信号の位相を補正する位相補正手段が設けら
れ、周波数制御手段により重畳信号発振源の出力信号の
駆動周波数成分を抽出した信号と共振回路位相信号とを
用いて重畳信号発振源の駆動周波数が制御される。さら
に好ましくは、超音波振動子と補正用素子との合成静電
容量に共振可能なコイルが超音波振動子に直列に接続さ
れる。そして周波数制御手段は共振回路位相信号と、重
畳信号発振源の出力信号または超音波振動子に印加され
る電圧信号から抽出された駆動周波数成分とが所定の位
相差になるように、フェーズロックループ制御を行なっ
て、重畳信号発振源の駆動周波数を調整することが望ま
しい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態
である超音波振動子の駆動装置を示す回路図である。第
1の実施形態である超音波振動子の駆動装置は、超音波
振動子1をできるだけ効率よく駆動するための装置であ
る。超音波振動子1をその共振周波数付近で駆動してい
るとき、その超音波振動子1の等価回路は図1中に示す
ように、コイル(L)およびコンデンサ(C)と抵抗
(R)とを直列に接続した直列共振回路と、この直列共
振回路に対して並列に接続される制動コンデンサ(C
d)とから成る。
【0015】超音波振動子1を効率よく駆動するために
は、超音波振動子1はその共振周波数で駆動されなけれ
ばならない。そこで超音波振動子1の負荷条件や温度等
の環境条件や経時変化によって変動する超音波振動子1
の共振周波数に追従するように、超音波振動子1を駆動
するための駆動信号の周波数(駆動周波数)foが制御
される。
【0016】一方超音波振動子1が共振周波数で駆動さ
れるとき、図2に示すように超音波振動子1の直列共振
回路が抵抗(R)のみになり、直列共振回路に流れる電
流iZと超音波振動子1に印加される電圧信号V1とが
同位相になる。このことを利用して、超音波振動子1の
駆動周波数foが制御される。すなわち、直列共振回路
に流れる電流iZと超音波振動子1に印加される電圧信
号V1とが同位相になるようにフェイズロックループ
(PLL)制御を行なうことにより、超音波振動子1の
駆動周波数foが超音波振動子1の共振周波数に追従せ
しめられる。
【0017】第1の実施形態である超音波振動子の駆動
装置の電気的構成を詳述する。この駆動装置には、発振
源として、相互に異なる2つの周波数の信号を重畳して
出力する重畳信号発振源29が設けられる。この重畳信
号発振源29には、相対的に高周波の信号を出力する発
振源31と、相対的に低周波の信号を出力する発振源2
8とが設けられ、発振源28からの出力信号が加算器2
7により発振源31からの出力信号に重畳される。発振
源31は超音波振動子1を駆動するための信号を出力し
ており、この信号の周波数は超音波振動子1の駆動周波
数fo、例えば20〜40kHz である。発振源28は
実質的に超音波振動子1の静電容量すなわち制動コンデ
ンサ(Cd)の静電容量を測定するための信号を出力し
ており、この信号の周波数は、静電容量測定用の容量測
定周波数fc、例えば1kHz である。
【0018】駆動周波数foの信号に容量測定周波数f
cの信号を重畳させた出力信号が重畳信号発振源29か
ら出力される。この出力信号は電力増幅回路32により
増幅され、この増幅された信号が超音波振動子1に直列
に接続された補正用コンデンサ10aと超音波振動子1
との両端に印加される。
【0019】超音波振動子1の両端には第1の電圧検出
器33aが接続され、補正用コンデンサ10aの両端に
は第2の電圧検出器33bが接続される。これらの第1
および第2の電圧検出器33a、33bにより、それぞ
れ超音波振動子1に印加される電圧信号V1、補正用コ
ンデンサ10aに印加される電圧信号V2が検出され
る。
【0020】補正用コンデンサ10aに印加される電圧
信号V2は増幅器20により増幅率Aで増幅される。こ
の増幅器(電圧制御増幅器)20は増幅率Aを電圧制御
により調整可能であり、その増幅率Aは超音波振動子1
の制動コンデンサ(Cd)の静電容量の変動に応じて増
幅率調整回路22により調整されている。この増幅率A
で増幅された電圧信号V2と超音波振動子1に印加され
る電圧信号V1とは、減算器である位相合成用演算器2
1に入力され、そこで位相合成される。この位相合成さ
れた信号からハイパスフィルタ26bにより駆動周波数
foの信号成分(以下駆動周波数成分という)が抽出さ
れる。この抽出された駆動周波数成分すなわち共振回路
位相信号Vf2は超音波振動子1の等価回路の直列共振
回路に流れる電流iZの駆動周波数成分に対応してお
り、例えば電流iZの駆動周波数成分に対して所定の位
相差(例えば90°進相)を有している。この共振回路
位相信号Vf2がPLL制御回路30に帰還される。
【0021】一方第1の電圧検出器33aにより検出さ
れた電圧信号V1はハイパスフィルタ26aを介して駆
動周波数成分を抽出される。抽出された駆動周波数成分
すなわち印加電圧位相信号Vf1は、超音波振動子1に
印加される電圧信号V1の駆動周波数成分と同位相であ
り、PLL制御回路30に帰還される。このPLL制御
回路30では、電圧信号V1の駆動周波数成分と超音波
振動子1の直列共振回路に流れる電流iZの駆動周波数
成分とが同位相となるように、すなわち印加電圧位相信
号Vf1と共振回路位相信号Vf2とが所定の位相差
(例えば90°)を有するようにPLL制御が行なわ
れ、発振源31の駆動周波数foが制御される。この制
御により発振源31から出力される信号の駆動周波数f
oは超音波振動子1の共振周波数に追従し、超音波振動
子1はその共振周波数で駆動される。なおハイパスフィ
ルタ26a、26bはPLL制御回路30へ帰還される
信号が駆動周波数成分となるように設けられればよく、
これらのハイパスフィルタ26a、26bを位相合成演
算器21の入力側に設け、位相合成用演算器21に入力
される前の電圧信号V1、V2から駆動周波数成分を抽
出する構成としてもよい。
【0022】ところで、超音波振動子1の制動コンデン
サ(Cd)の静電容量は、長時間の駆動等による超音波
振動子1自体の温度変化等によって変動する。この制動
コンデンサ(Cd)の静電容量の変動にともない、共振
回路位相信号Vf2の位相が超音波振動子1の直列共振
回路に流れる電流iZの駆動周波数成分の位相に対応し
なくなる。そこで第1の実施形態の超音波振動子の駆動
装置では、制動コンデンサ(Cd)の静電容量が変化し
ても、超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZ
の駆動周波数成分の位相に対して共振回路位相信号Vf
2の位相が所定の位相差(例えば90°進相)を有する
ように、すなわち共振回路位相信号Vf2が超音波振動
子1の直列共振回路に流れる電流iZの駆動周波数成分
に対応するように、増幅器20の増幅率Aが増幅率調整
回路22により調整される。
【0023】増幅率調整回路22には、超音波振動子1
に印加された電圧信号V1および補正用コンデンサ10
aに印加された電圧信号V2がローパスフィルタ25
a、25bを介して入力される。すなわちローパスフィ
ルタ25a、25bにより抽出された電圧信号V1、V
2の容量測定周波数fcの信号成分(以下容量測定周波
数成分という)が増幅率調整回路22に入力される。こ
の増幅率調整回路22はA/D変換回路22aとCPU
22bとD/A変換回路22cとにより構成される。増
幅率調整回路22に入力された電圧信号V1、V2の容
量測定周波数成分はA/D変換回路22aに取込まれ、
そこでデジタル信号に変換される。それらのデジタル信
号がCPU22bにおいて相互に比較され、この比較に
基づいて増幅率Aの値が算出される。算出された増幅率
Aの値に対応するデジタル信号がCPU22cから出力
され、D/A変換回路22cにおいてアナログ信号に変
換され、このアナログ信号に応じて増幅器20の増幅率
Aが調整される。
【0024】以上のような増幅率Aの調整によって共振
回路位相信号Vf2が超音波振動子1の直列共振回路に
流れる電流iZの駆動周波数成分に対応せしめられ、P
LL制御回路30において、共振回路位相信号Vf2と
印加電圧位相信号Vf1とが所定の位相差を有するよう
に発振源31の駆動周波数foが制御される。これによ
り駆動周波数foは超音波振動子1の共振周波数に追従
せしめられる。
【0025】ここで、印加電圧位相信号Vf1および共
振回路位相信号Vf2が、それぞれ超音波振動子1に印
加される電圧信号V1の駆動周波数成分および超音波振
動子1の直列共振回路に流れる電流iZの駆動周波数成
分に対応することを説明する。
【0026】図1に示すように印加電圧位相信号Vf1
は超音波振動子1に印加される電圧信号V1の駆動周波
数成分そのものであり、印加電圧位相信号Vf1と電圧
信号V1の駆動周波数成分とが同位相であることは明ら
かである。すなわち印加電圧位相信号Vf1は(1)式
で表される。 Vf1=V1 =V・Z/(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ωO ・Cc)) ・・・(1) ただし、Cdは制動コンデンサ(Cd)の静電容量であ
り、Ccは補正用コンデンサ10aの静電容量である。
超音波振動子1の直列共振回路の合成インピーダンスを
Zとし、抵抗(R)の抵抗値をR、コイル(L)のイン
ダクタンスをL、コンデンサ(C)の静電容量をCとし
たとき、駆動周波数foにおける合成インピーダンスZ
は、Z=R+j・ωO ・L+1/(j・ωO ・C)であ
る。ここで、ωO =2πfoである。また超音波振動子
1と補正用コンデンサ10aの両端に印加される電圧信
号の駆動周波数成分をVとしている。
【0027】補正用コンデンサ10aに印加される電圧
信号V2の駆動周波数成分は(2)式で表される。 V2=V・(Z・Cd/Cc+1/(j・ωO ・Cc)) /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ωO ・Cc)) ・・・(2)
【0028】共振回路位相信号Vf2は、超音波振動子
1に印加される電圧信号V1の駆動周波数成分と補正用
コンデンサ10aに印加される電圧信号V2の駆動周波
数成分を増幅率Aで増幅した信号との差であり、(3)
式により算出される。 Vf2=V1−A・V2 =V・(Z−A・(Z・Cd/Cc+1/(j・ωO ・Cc))) /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ωO ・Cc)) ・・・(3) ここで、Aは増幅器20の増幅率であり、A=Cc/C
dに設定することにより、共振回路位相信号Vf2は
(4)式で表される。 Vf2=j・V・Z/(Z・(1+Cd/Cc) +1/(j・ωO ・Cc))/Z/(ωO ・Cd) =j・V1/Z/(ωO ・Cd) =j・iZ/(ωO ・Cd) ∽j・iZ ・・・(4) ただし、iZは超音波振動子1の直列共振回路に流れる
電流の駆動周波数成分であり、iZ=V1/Zである。
(4)式から明らかなように、共振回路位相信号Vf2
は超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZの駆
動周波数成分に比例し、電流iZの駆動周波数成分の位
相より90°位相の進んだ信号である。
【0029】以上のように、印加電圧位相信号Vf1は
超音波振動子1に印加される電圧信号V1の駆動周波数
成分と同位相であり、共振回路位相信号Vf2の位相は
増幅率Aが適切な値(例えばCc/Cd)に設定されて
いるとき、超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流
iZの駆動周波数成分の位相より90°だけ進んでい
る。したがってPLL制御回路30におけるPLL制御
では、超音波振動子1に印加される電圧信号V1の駆動
周波数成分と超音波振動子1の直列共振回路に流れる電
流iZの駆動周波数成分とを同位相にするためには、共
振回路位相信号Vf2の位相が印加電圧位相信号Vf1
の位相に対して90°進むように発振源31の駆動周波
数fo が制御されればよい。もちろん、印加電圧位相信
号Vf1または共振回路位相信号Vf2のいずれか一方
を90°進相または90°遅相させ、それらの信号が同
位相になるよう制御してもよい。
【0030】上述のPLL制御回路30の制御を正しく
行なうためには、共振回路位相信号Vf2を超音波振動
子1の直列共振回路に流れる電流iZの駆動周波数成分
に対応させる必要がある。このため増幅器20の増幅率
Aは常に適切な値に設定されなければならない。例え
ば、超音波振動子1を長時間駆動した結果、超音波振動
子1の制動コンデンサ(Cd)がn倍の静電容量n・C
dになったとする。この場合、A=Cc/Cd’=Cc
/(n・Cd)に調整すれば、(3)〜(4)式と同様
な関係が成立し、共振回路位相信号Vf2の位相は超音
波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZの駆動周波
数成分の位相より90°だけ進む。したがって制動コン
デンサ(Cd)の静電容量が大きく変化しても、増幅率
Aが適切な値に設定されれば、共振回路位相信号Vf2
が超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZの駆
動周波数成分に対応せしめられる。これにより適正な共
振回路位相信号Vf2がPLL制御回路30に帰還さ
れ、PLL制御により超音波振動子1がその共振周波数
で駆動される。
【0031】また制動コンデンサ(Cd)の静電容量が
異なる超音波振動子1を駆動する場合でも、増幅器20
の増幅率Aを調整することにより、上述の制動コンデン
サ(Cd)の静電容量が変動したときと同様に、超音波
振動子1がその共振周波数で駆動可能である。
【0032】以上から明らかなように、第1の実施形態
では、共振回路位相信号Vf2を超音波振動子1の直列
共振回路に流れる電流iZの駆動周波数成分に対応させ
るために増幅器20の増幅率Aが調整される。また増幅
率Aの値は補正用コンデンサ10aの静電容量Ccと超
音波振動子1の制動コンデンサ(Cd)の静電容量との
比から算出可能であり、超音波振動子1の制動コンデン
サ(Cd)の静電容量変化に応じて変更される。
【0033】補正用コンデンサ10aの静電容量Ccは
ほぼ一定である。これに対し超音波振動子1の制動コン
デンサ(Cd)の静電容量は超音波振動子1の長時間駆
動等によるそれ自体の温度変化等によって変動する。し
たがって増幅率Aの値を算出するためには、この変動し
た制動コンデンサ(Cd)の静電容量を測定する必要が
ある。一方超音波振動子1が共振周波数とは異なる周波
数で駆動されるとき、超音波振動子1の直列共振回路の
インピーダンスZが非常に大きくなり、超音波振動子1
の等価回路は図3に示すように制動コンデンサ(Cd)
のみとなる。このことを利用して、超音波振動子1の駆
動中に、制動コンデンサ(Cd)の静電容量が測定可能
である。すなわち超音波振動子1を共振周波数とは異な
る周波数、例えば相対的に低周波である容量測定周波数
fc(例えば1kHz )で駆動した状態で、超音波振動
子1に印加される電圧信号を検出し、その電圧信号から
制動コンデンサ(Cd)の静電容量を算出することが可
能である。
【0034】第1の実施形態では、超音波振動子1の制
動コンデンサ(Cd)の静電容量を測定するために、超
音波振動子1には駆動周波数foの信号に容量測定周波
数fcの信号を重畳した信号が印加される。したがって
電圧検出器33aで検出される電圧信号V1は超音波振
動子1を駆動周波数foで駆動したときの電圧信号と容
量測定周波数fcで駆動したときの電圧信号とを重畳し
たものである。この電圧信号V1から容量測定周波数成
分がローパスフィルタ25aにより抽出され、その容量
測定周波数成分は制動コンデンサ(Cd)の静電容量の
算出、すなわち増幅率Aの調整のために増幅率調整回路
22に入力される。
【0035】また電圧検出器33bで検出される電圧信
号V2も駆動周波数foの電圧信号と容量測定周波数f
cの電圧信号とを重畳したものである。この電圧信号V
2から容量測定周波数成分がローパスフィルタ25bに
より抽出され、その容量測定周波数成分は増幅率Aの調
整のために増幅率調整回路22に入力される。
【0036】増幅率調整回路22において、増幅率Aの
値として電圧信号V2の容量測定周波数成分に対する電
圧信号V1の容量測定周波数成分の比が算出される。こ
の電圧信号V1の容量測定周波数成分は超音波振動子1
の制動コンデンサ(Cd)に印加される電圧信号であ
り、また電圧信号V2の容量測定周波数成分は補正用コ
ンデンサ10aに印加される電圧信号である。したがっ
て増幅率調整回路22では、電圧信号V1、V2の容量
測定周波数成分を用いて、増幅率Aの値が、A=|V1
|/|V2|=|V・Cc/(Cd+Cc)|/|V・
Cd/(Cd+Cc)|=Cc/Cdにより算出され
る。すなわち増幅率Aの値として、制動コンデンサ(C
d)の静電容量Cdに対する補正用コンデンサ10aの
静電容量Ccの比(Cc/Cd)が算出されている。
【0037】以上のように超音波振動子1の駆動中に、
増幅率調整回路22により超音波振動子1の制動コンデ
ンサ(Cd)の変化に応じて増幅率Aの値が算出され、
その算出された値に増幅器20の増幅率Aが調整され
る。したがってPLL制御回路30に帰還される共振回
路位相信号Vf2は、常に超音波振動子1の直列共振回
路に流れる電流iZの駆動周波数成分に対応しており、
PLL制御が正しく行なわれる。このため超音波振動子
1は常にその共振周波数にて駆動される。なお容量測定
周波数fcで超音波振動子1が駆動されるとき、その等
価回路は図3に示すように制動コンデンサ(Cd)のみ
になるため、超音波振動子1の直列共振回路に流れる電
流iZには容量測定周波数成分はなく、この電流iZは
駆動周波数成分のみである。
【0038】以上の第1の実施形態である超音波振動子
の駆動装置によれば、駆動周波数foの信号に容量測定
周波数fcの信号を重畳させた重畳信号を超音波振動子
1に印加することにより、超音波振動子1の駆動中に、
超音波振動子1の制動コンデンサ(Cd)の静電容量が
測定され、その制動コンデンサ(Cd)の静電容量に応
じて増幅率調整回路22によって増幅器20の増幅率A
が調整される。したがって超音波振動子1の長時間の駆
動等によりそれ自体の温度変化が生じ、制動コンデンサ
(Cd)の値が変化しても、増幅率Aの調整により適正
な共振回路位相信号Vf2がPLL制御回路30へ帰還
され、PLL制御回路30でPLL制御が正しく行なわ
れ、超音波振動子1は常にその共振周波数で駆動され
る。すなわち超音波振動子1は効率よく駆動される。ま
た制動コンデンサ(Cd)の異なる超音波振動子を駆動
する際にも、その共振周波数で駆動することが可能であ
る。
【0039】さらに、増幅率調整回路22により算出さ
れる増幅率Aは、制動コンデンサ(Cd)と補正用コン
デンサ10aの静電容量Ccの比(Cc/Cd)である
ので、たとえ温度変化や経時変化により補正用コンデン
サ10aの静電容量が変化しても、その変化は増幅率A
の値に反映される。したがって増幅率Aは適切な値に設
定され、超音波振動子1はその共振周波数で駆動され
る。
【0040】図4は第2の実施形態である超音波振動子
の駆動装置である。第2の実施形態の電気的構成が第1
の実施形態の電気的構成と異なる点は、3個の補正用コ
ンデンサ10a、10b、10cが用いられる点であ
り、その他の点は同様である。以下電気的構成の異なる
点およびその点に付随して第1の実施形態と異なる点に
ついてのみ説明する。第2の実施形態では、3個の補正
用コンデンサ10a、10b、10cと超音波振動子1
とはブリッジ状に接続される。すなわち超音波振動子1
に対して直列に補正用コンデンサ10aが接続され、こ
れらの両端に直列に接続された2個の補正用コンデンサ
10b、10cが並列に接続される。補正用コンデンサ
10bは超音波振動子1の制動コンデンサ(Cd)のm
(任意の正数:例えば1)倍の静電容量m・Cdを有
し、補正用コンデンサ10cは補正用コンデンサ10a
のm倍の静電容量m・Ccを有する。そして補正用コン
デンサ10a、10cに印加される電圧信号V2、V3
がそれぞれ電圧検出器33b、33cによって検出され
る。
【0041】検出された電圧信号V2は適切な増幅率A
で増幅され、その増幅された信号と、電圧信号V3とが
位相合成用演算器21により位相合成される。その位相
合成された信号がハイパスフィルタ26bを介して駆動
周波数成分を抽出され、この駆動周波数成分が共振回路
位相信号Vf2としてPLL制御回路30に帰還され
る。
【0042】印加電圧位相信号Vf1は第1の実施形態
と同様に超音波振動子1に印加される電圧信号V1の駆
動周波数成分と同位相の信号であり、(1)式で示され
る。共振回路位相信号Vf2は、超音波振動子1の直列
共振回路に流れる電流iZの駆動周波数成分に対応して
いる。ここで共振回路位相信号Vf2が電流iZの駆動
周波数成分に対応することを説明する。
【0043】補正用コンデンサ10aに印加される電圧
信号V2の駆動周波数成分と、補正用コンデンサ10c
に印加される電圧信号V3の駆動周波数成分とはそれぞ
れ(5)、(6)式で表される。 V2=V・(Z・Cd/Cc+1/(j・ωO ・Cc)) /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ωO ・Cc)) ・・・(5) V3=V・Cd/(Cd+Cc) ・・・(6)
【0044】共振回路位相信号Vf2は、補正用コンデ
ンサ10cに印加される電圧信号V3の駆動周波数成分
と補正用コンデンサ10aに印加される電圧信号V2の
駆動周波数成分を増幅率Aで増幅した信号との差であ
る。すなわち、共振回路位相信号Vf2は(7)式で表
される。 Vf2=V3−A・V2 =V・Cd/(Cd+Cc) −A・V・(Z・Cd/Cc+1/(j・ωO ・Cc)) /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ωO ・Cc)) ・・・(7) ここで、増幅率AをA=1に設定することにより、共振
回路位相信号Vf2は(8)式となる。 Vf2=j・V/(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ωO ・Cc)) /(ωO ・(Cd+Cc)) =j・V・Z /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ωO ・Cc)) /Z/(ωO ・(Cd+Cc)) =j・V1/Z/(ωO ・(Cd+Cc)) =j・iZ/(ωO ・(Cd+Cc)) ∽j・iZ ・・・(8) (8)式から共振回路位相信号Vf2は超音波振動子1
の直列共振回路に流れる電流iZの駆動周波数成分に比
例し、電流iZの駆動周波数成分の位相より90°位相
の進んだ信号である。
【0045】以上のように、印加電圧位相信号Vf1は
超音波振動子1に印加される電圧信号V1の駆動周波数
成分と同位相の信号であり、共振回路位相信号Vf2の
位相は超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZ
の駆動周波数成分の位相に対応する。したがって超音波
振動子1に印加される電圧信号V1と超音波振動子1の
直列共振回路に流れる電流iZの駆動周波数成分とを同
位相にするためには、第1の実施形態と同様に、共振回
路位相信号Vf2の位相が印加電圧位相信号Vf1の位
相に対して常に90°進むように、PLL制御回路30
により発振源31の駆動周波数foが制御されればよ
い。もちろん、印加電圧位相信号Vf1または共振回路
位相信号Vf2のいずれか一方を90°進相又は90°
遅相させ、それらの信号が同位相になるよう制御しても
よい。
【0046】第2の実施形態においても、増幅器20の
増幅率Aを適切な値に設定すれば、超音波振動子1をそ
の共振周波数で駆動可能である。(8)式においてはA
=1と設定したが、超音波振動子1の制動コンデンサ
(Cd)の静電容量が変化した場合、増幅率Aを最適な
値に調整する必要がある。換言すると、超音波振動子1
の制動コンデンサ(Cd)の静電容量が変動しても、増
幅器20の増幅率Aを調整することにより共振回路位相
信号Vf2が超音波振動子1の直列共振回路に流れる電
流iZの駆動周波数成分に対応せしめられる。例えば、
超音波振動子1を長時間駆動した結果、制動コンデンサ
(Cd)がn倍の静電容量すなわちn・Cdになったと
する。この場合、増幅率AをA=(n・Cd+Cc)/
(n・(Cd+Cc))に調整すれば、(7)〜(8)
式と同様な関係が成立する。なお詳細な計算式は複雑で
あるのでここでは省略する。また第2の実施形態では、
制動コンデンサ(Cd)の静電容量が異なる超音波振動
子1を駆動する場合でも、増幅器20の増幅率Aを調整
することにより共振回路位相信号Vf2が常に超音波振
動子1の直列共振回路に流れる電流iZの駆動周波数成
分に対応せしめられる。これにより適正な共振回路位相
信号Vf2がPLL制御回路30に帰還され、PLL制
御によって超音波振動子1がその共振周波数で駆動され
る。
【0047】適正な共振回路位相信号Vf2を得るため
の増幅率Aの調整は、第1の実施形態と同様に増幅率調
整回路22により行なわれる。すなわち、増幅率調整回
路22には、補正用コンデンサ10a、10cにそれぞ
れ印加される電圧信号V2、V3の容量測定周波数成分
が入力され、増幅率Aの値として電圧信号V2の容量測
定周波数成分に対する電圧信号V3の容量測定周波数成
分の比が算出される。したがって、増幅率調整回路22
では、電圧信号V2、V3の容量測定周波数成分を用い
て、増幅率Aの値が、A=|V3|/|V2|=|V・
Cd/(Cd+Cc)|/|V・n・Cd/(n・Cd
+Cc)|=(n・Cd+Cc)/(n・(Cd+C
c))により算出される。ただし、超音波振動子1の制
動コンデンサ(Cd)の静電容量は温度変化等により、
n・Cdに変化しているとする。以上のように増幅率A
を算出すると、補正用コンデンサ10a、10b、10
cの静電容量が経時変化や温度変化によって変動したと
しても、その変動を反映した増幅率Aの適切な値が得ら
れる。
【0048】以上の第2の実施形態でも、第1の実施形
態と同様に、駆動周波数foの信号に容量測定周波数f
cの信号を重畳させた重畳信号を超音波振動子1に印加
することにより、超音波振動子1の駆動中に、その制動
コンデンサ(Cd)の静電容量に応じて増幅率調整回路
22によって増幅器20の増幅率Aが調整される。した
がって増幅率Aの調整により適正な共振回路位相信号V
f2がPLL制御回路30へ帰還され、PLL制御回路
30でPLL制御が正しく行なわれ、超音波振動子1は
常にその共振周波数で効率よく駆動される。
【0049】図5には第3の実施形態である超音波振動
子の駆動装置の回路図を示す。第3の実施形態が第1の
実施形態と異なる点は、補正用コンデンサ10aが超音
波振動子1に対して並列に接続される点であり、この点
に付随して変更される点以外は第1の実施形態と同様で
ある。以下異なる点についてのみ説明する。
【0050】第3の実施形態では、補正用コンデンサ1
0aが超音波振動子1に対して並列に接続され、電圧検
出器33aが超音波振動子1に並列に設けられ、この電
圧検出器33aにより超音波振動子1に印加される電圧
信号V1が検出され、この電圧信号V1の駆動周波数成
分がハイパスフィルタ26aにより抽出され、PLL制
御回路30に帰還される。また電流検出器34aが超音
波振動子1に直列に接続され、電流検出器34bが補正
用コンデンサ10aに直列に接続される。これらの電流
検出器34a、34bによりそれぞれ超音波振動子1に
流れる電流i1と、補正用コンデンサ10aに流れる電
流i2とが検出され、それらの電流i1、i2が所定の
変換係数で電圧信号に変換される。そして電流i2に対
応する電圧信号が増幅率Aで増幅され、この増幅された
信号と、電流i1に対応する電圧信号とが減算器である
位相合成用演算器21により位相合成され、その位相合
成された信号はハイパスフィルタ26bにより駆動周波
数成分を抽出される。この抽出された駆動周波数成分が
共振回路位相信号Vf2としてPLL制御回路30に帰
還される。
【0051】また電流i1、i2のそれぞれに対応する
電圧信号はローパスフィルタ25a、25bにより容量
測定周波数成分を抽出され、これらの容量測定周波数成
分が増幅率調整回路22に入力され、そこで増幅率Aの
適切な値が算出され、算出された値に増幅器20の増幅
率Aが調整される。
【0052】第3の実施形態でも、第1の実施形態と同
様に、PLL制御回路30に帰還される印加電圧位相信
号Vf1は、超音波振動子1に印加される電圧信号V1
の駆動周波数成分と同位相の信号である。また第3の実
施形態では、PLL制御回路30に帰還される共振回路
位相信号Vf2は超音波振動子1の直列共振回路に流れ
る電流iZの駆動周波数成分に対応しており、例えば電
流iZの駆動周波数成分と同位相の信号である。以下印
加電圧位相信号Vf1および共振回路位相信号Vf2が
それぞれ電圧信号V1および電流iZの駆動周波数成分
と同位相の信号であることを説明する。
【0053】印加電圧位相信号Vf1は超音波振動子1
に印加される電圧信号V1の駆動周波数成分そのもので
ある。したがって印加電圧位相信号Vf1は(9)式で
示される。 Vf1=V1 ・・・(9)
【0054】共振回路位相信号Vf2は、位相合成用演
算器21の出力信号からハイパスフィルタ26bにより
抽出された駆動周波数成分であって、補正用コンデンサ
10aに流れる電流i2に対応する電圧信号の駆動周波
数成分を増幅率Aで増幅した信号を、超音波振動子1に
流れる電流i1に対応する電圧信号の駆動周波数成分か
ら減算した信号である。ここで電流i1、i2は電流検
出器34a、34bによりそれぞれ検出され、そこで変
換係数kで電圧信号に変換されるとする。この場合電流
検出器34a、34bからの出力信号は、それぞれk・
i1、k・i2となる。したがって共振回路位相信号V
f2は(10)式により示される。 Vf2=k・i1−A・k・i2 =k・(iZ+iCd)−A・k・iCc =k・iZ+k・(iCd−A・iCc) ・・・(10) ただし、iCd、iCcはそれぞれ制動コンデンサ(C
d)、補正用コンデンサ10aに流れる電流の駆動周波
数成分である。ここでiCd=A・iCcの関係が成立
するように増幅率AをA=iCd/iCc=Cd/Cc
に定めると、共振回路位相信号Vf2は(11)式で示
される。 Vf2=k・iZ ∽iZ ・・・(11) (11)式から明らかなように、共振回路位相信号Vf
2は超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZの
駆動周波数成分に比例しており、電流iZの駆動周波数
成分と同位相である。
【0055】第3の実施形態でも、第1の実施形態と同
様に、増幅器20の増幅率Aを適切な値に設定すること
により共振回路位相信号Vf2を超音波振動子1の直列
共振回路に流れる電流iZの駆動周波数成分に対応させ
ることが可能である。
【0056】例えば、超音波振動子1を長時間駆動して
それ自体の温度が上昇した結果、制動コンデンサ(C
d)がn倍の静電容量Cd’=n・Cdになったとす
る。この場合、増幅率AをA=Cd’/Cc=n・Cd
/Ccに調整すれば、(10)〜(11)式と同様な関
係が成立する。したがって、増幅率Aを調整することに
より共振回路位相信号Vf2を超音波振動子1の直列共
振回路に流れる電流iZの駆動周波数成分に対応させる
ことができる。すなわち超音波振動子1の制動コンデン
サ(Cd)が変動しても、第1の実施形態と同様に、増
幅率Aを調整することにより適正な共振回路位相信号V
f2がPLL制御回路30に帰還され、そこで共振回路
位相信号Vf2と印加電圧位相信号Vf1とが同位相と
なるように発振源31の駆動周波数foが調整されれ
ば、超音波振動子1がその共振周波数で駆動される。ま
た制動コンデンサ(Cd)の静電容量が異なる超音波振
動子1を駆動する際も、増幅器20の増幅率Aを調整す
れば、PLL制御回路30で同様に制御することにより
超音波振動子1をその共振周波数で駆動可能である。
【0057】なお増幅率調整回路22には、超音波振動
子1および補正用コンデンサ10aに流れる電流i1、
i2に対応する電圧信号の容量測定周波数成分が入力さ
れる。この電流i1に対応する電圧信号の容量測定周波
数成分は、図3に示すように超音波振動子1の等価回路
が制動コンデンサ(Cd)のみであるときの信号であ
り、制動コンデンサ(Cd)の静電容量に対応してい
る。したがって増幅率調整回路22のCPU22bにお
いて、電流i1、i2に対応する電圧信号の容量測定周
波数成分を用いて増幅率Aの値としてA=|k・i1|
/|k・i2|=|j・k・ωc ・Cd・V1|/|j
・k・ωc ・Cc・V1|=Cd/Ccが算出される。
この算出された値に増幅器20の増幅率Aが設定され
る。ただし、ω c =2πfcである。
【0058】以上の第3の実施形態においても、第1の
実施形態と同様に、超音波振動子1の駆動中に、超音波
振動子1の制動コンデンサ(Cd)の静電容量変化に応
じて、すなわち超音波振動子1および補正用コンデンサ
10aに流れる電流i1、i2の容量測定周波数成分に
基づいて増幅率調整回路22により増幅率Aが算出さ
れ、増幅器20の増幅率Aが調整される。この増幅率A
の調整により適正な共振回路位相信号Vf2がPLL制
御回路30に帰還され、正しいPLL制御が行なわれ、
超音波振動子1は常にその共振周波数で効率よく駆動さ
れる。また制動コンデンサ(Cd)の静電容量の異なる
超音波振動子1を駆動する際にも、増幅率Aを調整する
ことにより正しいPLL制御が行なわれ、超音波振動子
1をその共振周波数で駆動することができる。
【0059】図6を参照して第4の実施形態の超音波振
動子の駆動装置について説明する。第4の実施形態が第
3の実施形態と異なる点は、第3の実施形態の補正用コ
ンデンサ10aの代わりに、補正用コイル11が超音波
振動子1に対して並列に設けられる点であり、この点に
付随して変更される点以外は第3の実施形態と同様であ
る。以下異なる点についてのみ説明する。
【0060】補正用コイル11が超音波振動子1に対し
て並列に接続され、このコイル11のインダクタンスは
Ldである。この補正用コイル11に流れる電流i2が
そのコイル11に直列に接続された電流検出器34bに
より検出され、そこで電流i2が所定の変換係数で電圧
信号に変換される。そして電流i2に対応する電圧信号
が増幅器20により増幅され、この増幅された信号と、
電流i1に対応する電圧信号とが加算器である位相合成
用演算器21により位相合成され、その位相合成された
信号の駆動周波数成分が共振回路位相信号Vf2として
PLL制御回路30に帰還される。また超音波振動子1
および補正用コイル11に流れる電流i1、i2に対応
する電圧信号がそれぞれローパスフィルタ25a、25
bにより容量測定周波数成分を抽出され、これらの容量
測定周波数成分が増幅率調整回路22に入力され、そこ
で増幅率Aの値が算出される。
【0061】第4の実施形態では、共振回路位相信号V
f2は(12)式により示される。 Vf2=k・i1+A・k・i2 =k・(iZ+iCd)+A・k・iLd =k・iZ+k・(iCd+A・iLd) ・・・(12) ただし、kは電流検出器34a、34bにおける変換係
数であり、iLdは補正用コイル11に流れる電流の駆
動周波数成分である。ここでiCd+A・iLd=0の
関係式が成り立つように増幅率Aを設定すると、共振回
路位相信号Vf2は(11)式で示される。
【0062】なお補正用コイル11は超音波振動子1の
共振周波数において超音波振動子1の制動コンデンサ
(Cd)と並列共振するインダクタンスLdを有してお
り、Ld=1/((ωr 2 ・Cd)である。ただし共
振周波数をfrとすると、ωr=2πfrである。した
がってiCd+A・iLd=0の関係式が成立する増幅
率AはA=1であり、この値はj・ωr ・Cd・V1+
A・V1/(j・ωr ・Ld)=0に、Ld=1/
((ωr 2 ・Cd)を代入することにより求められ
る。
【0063】以上のように第4の実施形態においても、
第3の実施形態と同様に、超音波振動子1の制動コンデ
ンサ(Cd)の静電容量が変化したとしても、増幅器2
0の増幅率Aを適切な値に設定することにより、共振回
路位相信号Vf2が超音波振動子1の直列共振回路に流
れる電流iZの駆動周波数成分と同位相の信号となる。
【0064】例えば制動コンデンサ(Cd)の静電容量
がn倍の静電容量n・Cdになったとする。この場合、
増幅率AをA=nに調整すれば、(12)および(1
1)式と同様な関係が成立する。したがって増幅率Aを
調整することにより共振回路位相信号Vf2が超音波振
動子1の直列共振回路に流れる電流iZの駆動周波数成
分に対応せしめられ、共振回路位相信号Vf2と印加電
圧位相信号Vf1とが同位相となるように、PLL制御
回路30の制御により発振源31の駆動周波数foが調
整されれば、超音波振動子1がその共振周波数で駆動さ
れる。
【0065】第4の実施形態でも、第3の実施形態と同
様に、増幅率調整回路22において超音波振動子1およ
び補正用コイル11に流れる電流i1、i2に対応する
電圧信号の容量測定周波数成分から増幅率Aが算出され
る。増幅率調整回路22に入力される電流i1に対応す
る電圧信号の容量測定周波数成分は、図3に示すように
超音波振動子1の等価回路が制動コンデンサ(Cd)の
みであるときの信号であり、制動コンデンサ(Cd)の
静電容量に対応している。したがって増幅率調整回路2
2のCPU22bにおいて、電流i1、i2に対応する
電圧信号の容量測定周波数成分を用いて増幅率Aの値と
してA=(ωr /ωc 2 ・|k・i1|/|k・i2
|=(ωr /ωc 2 ・|j・k・ωc ・n・Cd・V
1|/|k・V1/(j・ωc ・Ld)|=n・
(ωr 2 ・Cd・Ld=nが算出される(ここで(ω
r 2 ・Cd・Ld=1を利用している)。この算出さ
れた値に増幅率調整回路22により増幅器20の増幅率
Aが定められる。ただし、制動コンデンサ(Cd)と補
正用コイル11とが並列共振するように、補正用コイル
11のインダクタンスLdは設定されており、上式のω
r はその並列共振時の角周波数であり、既知の値であ
る。またωc は容量測定周波数fcにおける角周波数で
あり、既知の値である。
【0066】以上の第4の実施形態においても、第3の
実施形態と同様に、超音波振動子1の駆動中に、増幅器
20の増幅率Aが超音波振動子1の制動コンデンサ(C
d)の静電容量変化に応じて調整されることにより共振
回路位相信号Vf2を超音波振動子1の直列共振回路に
流れる電流iZの駆動周波数成分に対応させることがで
き、正しいPLL制御が行なわれ、その結果超音波振動
子1を常にその共振周波数で効率よく駆動することが可
能になる。また制動コンデンサ分(Cd)の異なる超音
波振動子1を駆動する際にも、超音波振動子1をその共
振周波数で駆動することが可能である。
【0067】図7を参照して第5の実施形態である超音
波振動子の駆動装置について説明する。第5の実施形態
が第1の実施形態と異なる点は、位相補正回路35が設
けられ、重畳信号発振源29の両端に電圧検出器33d
が接続され、電圧検出器33dにより検出された重畳信
号発振源29の出力信号V4がハイパスフィルタ26c
を介して駆動周波数成分を抽出され、印加電圧位相信号
Vf1としてPLL制御回路30に帰還される点であ
る。以下異なる点についてのみ説明する。位相補正回路
35では、印加電圧位相信号Vf1を超音波振動子1に
印加される電圧信号V1の駆動周波数成分に対応させる
ように、位相補正量を適切に定めることにより重畳信号
発振源29の出力信号V4の駆動周波数成分が位相補正
される。これにより超音波振動子1に印加される電圧信
号V1の駆動周波数成分に対応した印加電圧位相信号V
f1がPLL制御回路30に帰還される。なお位相補正
回路35により、重畳信号発振源29の出力信号V4の
容量測定周波数成分の位相も変化するが、電圧信号V1
および電圧信号V2の容量測定周波数成分の位相が共に
変化するため、出力信号V4の容量測定周波数成分の位
相変化は増幅率調整回路22による増幅率Aの算出には
悪影響を及ぼさない。
【0068】通常、超音波振動子1には、数十〜数百ボ
ルトの大きな電圧信号が印加される。この電圧信号をP
LL制御回路30に帰還するためには、電圧信号の大き
さを低減する必要がある。また超音波振動子1に印加さ
れる電圧信号は、超音波振動子1の駆動状態によってそ
の電圧値が変化し、この電圧値の変化に応じて、PLL
制御回路30に帰還される信号の大きさを調整する必要
がある。図7に示す第5の実施形態である超音波振動子
の駆動装置によれば、重畳信号発振源29の出力信号V
4は超音波振動子1の駆動状態に関係無く一定の大きさ
(電圧値)であり、上述のようなPLL制御回路30へ
帰還される信号の大きさを調整する必要がなく、PLL
制御回路30に適正な印加電圧位相信号Vf1が帰還さ
れ、正しいPLL制御が行なわれる。これにより超音波
振動子1がその共振周波数で効率よく駆動される。
【0069】なお第5の実施形態に適用された位相補正
回路35と電圧検出器33dとは第2の実施形態から第
4の実施形態にも同様に適用可能であり、それぞれの実
施形態で上述したように重畳信号発振源29の出力信号
V4がPLL制御回路30に帰還され、帰還される信号
の大きさを調整することなく、適正なPLL制御が行な
われる。また図8に示すように、位相補正回路35を発
振源31と加算器27の間に設け、発振源31の出力信
号V4を直接検出して、PLL制御回路30へ印加電圧
位相信号Vf1として帰還する構成としてもよい。
【0070】図9を参照して第6の実施形態について説
明する。第6の実施形態が第1の実施形態と異なる点
は、超音波振動子1に対して直列にコイル36が接続さ
れた点である。コイル36は超音波振動子1の共振周波
数において超音波振動子1および補正用コンデンサ10
aの合成静電容量と直列共振するインダクタンスLsを
有している。すなわち超音波振動子1および補正用コン
デンサ10aの合成静電容量をCsとすると、合成静電
容量CsはCs=Cd・Cc/(Cd+Cc)であるの
で、コイル36のインダクタンスLsはLs=(Cd+
Cc)/((ωr2 ・Cd・Cc)となる。このよう
なコイル36を接続することにより、超音波振動子1に
印加される電圧信号V1の駆動周波数成分が、超音波振
動子1に作用する機械的負荷(R)に比例する。換言す
ると、コイル36の接続により機械的負荷追従機構が実
現される。
【0071】この場合、電力増幅回路32の出力電圧V
sの駆動周波数成分が一定であっても、超音波振動子1
に印加される電圧信号V1の駆動周波数成分は、超音波
振動子1に作用する機械的負荷(R)に比例する。この
ことは、超音波振動子1に印加される電圧信号V1の駆
動周波数成分が(13)式に示されることから説明可能
である。 V1=Vs・(R/(1+j・ωr ・Cd・R)) /(j・ωr ・Ls+1/(j・ωr ・Cc) +R/(1+j・ωr ・Cd・R)) =Vs・R /(j・ωr ・Ls+1/(j・ωr ・Cc) +R・((Cd+Cc)/Cc−(ωr 2 ・Ls・Cd) =−j・ωr ・Cd・Vs・R ・・・(13) ただしVsは電力増幅回路32の出力電圧の駆動周波数
成分であり、Lsはコイル36のインダクタンスであ
る。ここで、超音波振動子1はその共振周波数で駆動さ
れており、超音波振動子1の直列共振回路の合成インピ
ーダンスZはZ=Rとなることを利用している。(1
3)式において、角速度ωr は超音波振動子1の共振周
波数で決まるためほぼ一定であり、制動コンデンサ(C
d)の静電容量は温度依存性を有するが極端には変動せ
ず、電力増幅回路32の出力電圧Vsの駆動周波数成分
は一定であるので、超音波振動子1に印加される電圧信
号V1の駆動周波数成分は機械的負荷(R)にほぼ比例
することが分かる。一般に電力増幅回路32の電圧増幅
率は一定であるので、電力増幅回路32への入力電圧を
変更しない限り出力電圧Vsの駆動周波数成分は一定で
ある。
【0072】以上の第6の実施形態では、超音波振動子
1にコイル36が直列に接続される。これにより電力増
幅回路32の出力電圧Vsの駆動周波数成分が一定で
も、超音波振動子1に印加される電圧信号V1の駆動周
波数成分が超音波振動子1に作用する機械的負荷(R)
に比例するようになり、機械的負荷追従機構が構成され
る。また、機械的負荷(R)に応じて変動する超音波振
動子1に流れる電流を検出して超音波振動子1に印加さ
れる電圧信号を増減させる方法と比較すると、第6の実
施形態では回路構成が非常に簡略化できる。なお第6の
実施形態に適用されたコイル36は第2の実施形態、第
3の実施形態および第5の実施形態にも同様に適用可能
である。
【0073】図10、図11に示す第7の実施形態は、
超音波振動子1をフローティングで駆動したい場合に有
効であり、図10に示す超音波振動子の駆動装置には、
絶縁トランス37a、37b、37cが設けられ、図1
1に示す超音波振動子の駆動装置には、絶縁トランス3
7aが設けられる。これらの絶縁トランス37a、37
b、37cにより超音波振動子1をフローティングで駆
動させる構成は第2の実施形態から第6の実施形態にお
いても同様に適用可能である。
【0074】なおこれまでに記載した(1)〜(13)
式において、V、V1、V2、V3、Vs、i1、i
2、iZ、iCd、iCc、iLdはそれぞれ電圧信号
V、V1、V2、V3、Vsの駆動周波数成分、電流i
1、i2、iZ、iCd、iCc、iLdの駆動周波数
成分である。またZは駆動周波数foにおける超音波振
動子1の直列共振回路の合成インピーダンスである。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、超音波振動子を常にそ
の共振周波数にて確実に駆動し、多様化する外科手術用
超音波処置装置や多機種化する超音波溶着等にも容易に
対応できる超音波振動子の駆動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である超音波振動子の
駆動装置を示す回路図である。
【図2】超音波振動子の共振時の等価回路を示す図であ
る。
【図3】超音波振動子の共振周波数とは異なる周波数に
おける等価回路を示す図である。
【図4】第2の実施形態である超音波振動子の駆動装置
を示す回路図である。
【図5】第3の実施形態である超音波振動子の駆動装置
を示す回路図である。
【図6】第4の実施形態である超音波振動子の駆動装置
を示す回路図である。
【図7】第5の実施形態である超音波振動子の駆動装置
の一例を示す回路図である。
【図8】第5の実施形態である超音波振動子の駆動装置
の一例を示す回路図である。
【図9】第6の実施形態である超音波振動子の駆動装置
を示す回路図である。
【図10】第7の実施形態である超音波振動子の駆動装
置の一例を示す回路図である。
【図11】第7の実施形態である超音波振動子の駆動装
置の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 超音波振動子 29 重畳信号発振源 V1 電圧信号(第1の電気信号) V2 電圧信号(第2の電気信号) V3 電圧信号(第3の電気信号) fo 駆動周波数 fc 容量測定周波数 20 増幅器(増幅手段) 21 位相合成用演算器 22 増幅率調整回路(増幅率調整手段) 30 PLL制御回路(周波数制御手段) 35 位相補正回路(位相補正手段) 33a 電圧検出器(第1信号検出手段) 33b 電圧検出器(第2信号検出手段) Vf2 共振回路位相信号 10a 補正用コンデンサ(補正用素子) 33c 電圧検出器(第3信号検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C060 EE06 JJ17 JJ25 5D019 AA12 BB16 FF04 FF06 5D107 AA02 AA03 AA15 BB07 CC04 CD02 CD04 5H680 DD01 DD14 DD23 DD53 DD83 DD95 EE24 FF04 FF25 FF26 FF27 FF30

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波振動子をその共振周波数にて駆動
    する超音波振動子の駆動装置において、 前記超音波振動子を駆動するための駆動周波数の信号
    に、前記駆動周波数とは異なり、実質的に前記超音波振
    動子の静電容量を測定するための容量測定周波数の信号
    を重畳させて出力する重畳信号発振源と、 前記超音波振動子に発生する第1の電気信号を検出する
    第1信号検出手段と、 前記超音波振動子に直列または並列に接続された補正用
    素子に発生する第2の電気信号を検出する第2信号検出
    手段と、 前記第1および前記第2の電気信号のうち、少なくとも
    一方の信号を増幅するための増幅手段と、 前記第1および前記第2の電気信号の前記容量測定周波
    数成分を抽出した信号に基づいて、前記増幅手段の増幅
    率を調整するための増幅率調整手段と、 前記増幅手段により前記増幅率で増幅された信号を用い
    て、前記超音波振動子の直列共振回路に流れる電流の前
    記駆動周波数成分に対応する共振回路位相信号を算出す
    る位相信号演算手段と、 前記共振回路位相信号と、前記重畳信号発振源の出力信
    号または前記超音波振動子に印加される電圧信号から抽
    出された前記駆動周波数成分とを用いて、前記重畳信号
    発振源の前記駆動周波数を制御する周波数制御手段とを
    備えたことを特徴とする超音波振動子の駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記増幅手段が、前記第1および前記第
    2の電気信号の双方を増幅することを特徴とする請求項
    1に記載の超音波振動子の駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記位相信号演算手段が、前記増幅手段
    により増幅された信号と、前記第1または前記第2の電
    気信号の何れか一方の信号とを位相合成することにより
    前記共振回路位相信号を算出することを特徴とする請求
    項1に記載の超音波振動子の駆動装置。
  4. 【請求項4】 前記位相信号演算手段が、前記増幅手段
    により増幅された前記第1の電気信号と、前記増幅手段
    により増幅された前記第2の電気信号とを位相合成する
    ことにより前記共振回路位相信号を算出することを特徴
    とする請求項2に記載の超音波振動子の駆動装置。
  5. 【請求項5】 前記第1の電気信号が前記超音波振動子
    に印加される電圧信号であり、前記第2の電気信号が前
    記補正用素子に印加される電圧信号であることを特徴と
    する請求項1から請求項4の何れか1項に記載の超音波
    振動子の駆動装置。
  6. 【請求項6】 前記第2の電気信号が前記補正用素子に
    流れる電流であり、前記第1の電気信号が前記超音波振
    動子に流れる電流であることを特徴とする請求項1から
    請求項4に記載の何れか1項に記載の超音波振動子の駆
    動装置。
  7. 【請求項7】 前記増幅率調整手段が前記第1の電気信
    号の前記容量測定周波数成分と前記第2の電気信号の前
    記容量測定周波数成分との比を算出して、この比に基づ
    いて前記増幅率を調整することを特徴とする請求項1か
    ら請求項6の何れか1項に記載の超音波振動子の駆動装
    置。
  8. 【請求項8】 前記補正用素子がコンデンサまたはコイ
    ルであることを特徴とする請求項1から請求項7の何れ
    か1項に記載の超音波振動子の駆動装置。
  9. 【請求項9】 超音波振動子をその共振周波数にて駆動
    する超音波振動子の駆動装置において、 前記超音波振動子を駆動するための駆動周波数の信号
    に、前記駆動周波数とは異なり、実質的に前記超音波振
    動子の静電容量を測定するための容量測定周波数の信号
    を重畳させて出力する重畳信号発振源と、 前記超音波振動子に直列に接続された補正用素子に発生
    する第2の電気信号を検出する第2信号検出手段と、 前記補正用素子と前記超音波振動子に対してブリッジ状
    に接続された2個の補正用素子のうち、何れか一方に発
    生する第3の電気信号を検出する第3信号検出手段と、 前記第2および前記第3の電気信号のうち、少なくとも
    一方の信号を増幅するための増幅手段と、 前記超音波振動子に印加される電圧信号と前記第2およ
    び前記第3の電気信号のうち、何れか2つの信号の前記
    容量測定周波数成分を抽出した信号に基づいて、前記増
    幅手段の増幅率を調整するための増幅率調整手段と、 前記増幅手段により前記増幅率で増幅された信号を用い
    て、前記超音波振動子の直列共振回路に流れる電流の前
    記駆動周波数成分に対応する共振回路位相信号を算出す
    る位相信号演算手段と、 前記共振回路位相信号と、前記重畳信号発振源の出力信
    号または前記超音波振動子に印加される電圧信号から抽
    出された前記駆動周波数成分とを用いて、前記重畳信号
    発振源の前記駆動周波数を制御する周波数制御手段とを
    備えたことを特徴とする超音波振動子の駆動装置。
  10. 【請求項10】 前記増幅手段が、前記第2および前記
    第3の電気信号の双方を増幅することを特徴とする請求
    項9に記載の超音波振動子の駆動装置。
  11. 【請求項11】 前記位相信号演算手段が、前記増幅手
    段により増幅された信号と、前記第2または前記第3の
    電気信号の何れか一方の信号とを位相合成することによ
    り前記共振回路位相信号を算出することを特徴とする請
    求項9に記載の超音波振動子の駆動装置。
  12. 【請求項12】 前記位相信号演算手段が、前記増幅手
    段により増幅された前記第2の電気信号と、前記増幅手
    段により増幅された前記第3の電気信号とを位相合成す
    ることにより前記共振回路位相信号を算出することを特
    徴とする請求項10に記載の超音波振動子の駆動装置。
  13. 【請求項13】 前記第2の電気信号が前記補正用素子
    に印加される電圧信号であり、前記第3の電気信号が前
    記2個の補正用素子の何れか一方に印加される電圧信号
    であることを特徴とする請求項9から請求項12の何れ
    か1項に記載の超音波振動子の駆動装置。
  14. 【請求項14】 前記増幅率調整手段が前記第2の電気
    信号の前記容量測定周波数成分と前記第3の電気信号の
    前記容量測定周波数との比を算出して、この比に基づい
    て前記増幅率を調整することを特徴とする請求項9から
    請求項13の何れか1項に記載の超音波振動子の駆動装
    置。
  15. 【請求項15】 前記補正用素子がコンデンサであるこ
    とを特徴とする請求項9から請求項14の何れか1項に
    記載の超音波振動子の駆動装置。
  16. 【請求項16】 前記重畳信号発振源の出力信号の前記
    駆動周波数成分を前記超音波振動子に印加される電圧信
    号の駆動周波数成分とほぼ同位相とするために前記重畳
    信号発振源の出力信号の位相を補正する位相補正手段が
    設けられ、前記周波数制御手段により前記重畳信号発振
    源の出力信号の前記駆動周波数成分を抽出した信号と前
    記共振回路位相信号とを用いて前記重畳信号発振源の前
    記駆動周波数が制御されることを特徴とする請求項1か
    ら請求項15の何れか1項に記載の超音波振動子の駆動
    装置。
  17. 【請求項17】 前記超音波振動子と前記補正用素子と
    の合成静電容量に共振可能なコイルが前記超音波振動子
    に直列に接続されることを特徴とする請求項1から請求
    項16の何れか1項に記載の超音波振動子の駆動装置。
  18. 【請求項18】 前記周波数制御手段が、前記共振回路
    位相信号と、前記重畳信号発振源の出力信号または前記
    超音波振動子に印加される電圧信号から抽出された前記
    駆動周波数成分とが所定の位相差になるように、フェー
    ズロックループ制御を行なって、前記重畳信号発振源の
    前記駆動周波数を調整することを特徴とする請求項1か
    ら請求項17の何れか1項に記載の超音波振動子の駆動
    装置。
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