JP2000140760A - 超音波振動子の駆動装置 - Google Patents

超音波振動子の駆動装置

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JP2000140760A
JP2000140760A JP10334660A JP33466098A JP2000140760A JP 2000140760 A JP2000140760 A JP 2000140760A JP 10334660 A JP10334660 A JP 10334660A JP 33466098 A JP33466098 A JP 33466098A JP 2000140760 A JP2000140760 A JP 2000140760A
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ultrasonic transducer
resonance circuit
ultrasonic vibrator
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Hitoshi Aoki
仁 青木
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波振動子を常にその共振周波数にて確実
に駆動し、多様化する外科手術用超音波処置装置や超音
波溶着等にも容易に対応できる超音波振動子の駆動装置
を提供する。 【解決手段】 超音波振動子1の電圧信号V1と補正用
コンデンサ10aの電圧信号V2を増幅器20により増
幅したものとから位相合成用演算器21により共振回路
位相信号Vf2を算出する。増幅器20の増幅率Aを発
振周波数foに基づいて増幅率調整回路22により調整
する。電圧信号V1に相当する印加電圧位相信号Vf1
と共振回路位相信号Vf2とを用いてPLL制御回路3
0により発振周波数foを調整する。これにより超音波
振動子1が常に共振周波数で確実に駆動される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波振動子の駆
動装置に関するものである。更に詳細には、外科手術用
超音波処置装置や超音波溶着機等に用いられるランジュ
バン型超音波振動子のような圧電型超音波振動子の駆動
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にランジュバン型超音波振動子は、
圧電素子と電極板を交互に重ね合わせた積層体を金属ブ
ロックで挟み込み、それら全体をボルトで締め付けるこ
とにより構成されている。このような超音波振動子は、
その構造等から物理的に定まる共振周波数を有してお
り、この共振周波数付近で駆動されるとき、超音波振動
子の電気的等価回路は機械的振動特性を表すコイルおよ
びコンデンサと、機械的負荷を表す抵抗とから成る直列
共振回路に、圧電素子と電極板により生じる制動コンデ
ンサが並列に接続された回路となる。この等価回路の直
列共振回路に流れる電流だけが超音波振動子の振動に寄
与する。したがって直列共振回路に流れる電流をできる
だけ大きくすることによって、超音波振動子は最も効率
よく振動せしめられる。換言すると、超音波振動子を最
も効率よく振動させるためには、超音波振動子の直列共
振回路のインピーダンスが最小になる周波数すなわち共
振周波数で超音波振動子が駆動されればよい。ところ
が、共振周波数を決定するコイルおよびコンデンサは超
音波振動子の先端に加わる負荷条件や温度等の環境条件
や経時変化によって微妙に変化し、超音波振動子の共振
周波数は変動してしまう。
【0003】一方超音波振動子が共振するとき、その等
価回路の直列共振回路が抵抗のみになり、このため直列
共振回路に流れる電流と超音波振動子に印加される電圧
とが同位相になる。このことを利用して、超音波振動子
の駆動周波数を調整すれば、超音波振動子がその共振周
波数の変動に追従して駆動可能である。
【0004】以上のようなランジュバン型超音波振動子
をその共振周波数の変動に追従して効率よく駆動するた
めの駆動装置として、特開平8−117687号公報に
開示された装置が知られている。この超音波振動子の駆
動装置では、超音波振動子をその変動する共振周波数で
駆動するために、超音波振動子の等価回路の直列共振回
路に流れる電流の位相成分が所定の方法で検出されてい
る。詳述すると、超音波振動子に対して補正用コンデン
サが並列に接続され、この補正用コンデンサに流れる電
流と、超音波振動子に流れる電流とが検出される。この
検出された補正用コンデンサに流れる電流は増幅器によ
り所定の増幅率で増幅される。この増幅器の増幅率は、
超音波振動子の制動コンデンサに流れる電流と、補正用
コンデンサに流れる電流を増幅したものとが等しくなる
ように予め定められている。このように増幅率を定め、
その増幅率で増幅された補正用コンデンサに流れる電流
と、超音波振動子に流れる電流とを位相合成することに
より、超音波振動子の直列共振回路に流れる電流の位相
成分が算出されている。そして算出された直列共振回路
に流れる電流の位相成分と、超音波振動子に印加される
電圧の位相成分とが同位相になるように超音波振動子の
駆動周波数がフェイズロックループ(PLL)制御で調
整される。これにより超音波振動子はその共振周波数の
変動に追従して駆動される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような超音波振動
子の駆動装置では、補正用コンデンサに流れる電流を増
幅したものと、超音波振動子の制動コンデンサに流れる
電流とが等しくなるように増幅器の増幅率が予め定めら
れている。しかしながら、超音波振動子が長時間駆動さ
れるとき、あるいは超音波振動子が低温雰囲気中に長時
間放置されるとき、超音波振動子それ自体の温度変化に
よって、制動コンデンサの静電容量が変化してしまう。
これにより超音波振動子の駆動中に、超音波振動子の制
動コンデンサに流れる電流が変化するため、予め定めら
れた増幅率で補正用コンデンサに流れる電流を増幅して
も、この増幅された電流と、超音波振動子の制動コンデ
ンサに流れる電流とは等しくならない。したがって増幅
された補正用コンデンサに流れる電流と超音波振動子に
流れる電流とを位相合成しても、その結果として超音波
振動子の直列共振回路に流れる電流の位相成分を適正に
算出することは不可能であった。このように算出された
超音波振動子の直列共振回路に流れる電流が適正ではな
いため、PLL制御が正しく行なわれず、超音波振動子
を常にその共振周波数で駆動することが不可能であっ
た。
【0006】本発明は上述の課題に着目してなされたも
のであり、その目的とするところは、超音波振動子を常
にその共振周波数にて確実に駆動し、多様化する外科手
術用超音波処置装置や超音波溶着等にも容易に対応でき
る超音波振動子の駆動装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る超音波振動
子の駆動装置は、超音波振動子をその共振周波数にて駆
動する超音波振動子の駆動装置において、超音波振動子
を駆動するための信号を出力する発振源と、超音波振動
子に発生する第1の電気信号を検出する振動子信号検出
手段と、超音波振動子に直列または並列に接続された補
正用素子に発生する第2の電気信号を検出する補正用素
子信号検出手段と、振動子信号検出手段により検出され
た第1の電気信号と、補正用素子信号検出手段により検
出された第2の電気信号との少なくとも一方を用いて、
超音波振動子の直列共振回路に流れる電流に対応する共
振回路位相信号を算出する位相信号演算手段と、共振回
路位相信号と、発振源の出力信号または超音波振動子に
印加される電圧信号とを用いて、超音波振動子をその共
振周波数で駆動するために発振源の出力信号の発振周波
数を制御する周波数制御手段とを備えたことを特徴とし
ている。
【0008】好ましくは、第1および第2の電気信号の
少なくとも一方を増幅する増幅手段が設けられ、位相信
号演算手段は増幅手段により第1または第2の電気信号
の少なくとも一方が増幅された状態で、これらの第1お
よび第2の電気信号を位相合成することにより共振回路
位相信号を算出する。あるいは好ましくは、補正用素子
は超音波振動子に直列に接続され、さらに2個の補正用
素子が設けられ、この2個の補正用素子と補正用素子お
よび超音波振動子とはブリッジ状に接続され、2個の補
正用素子の何れか一方に発生する第3の電気信号を検出
する並列素子信号検出手段と、第2および第3の電気信
号の少なくとも一方を増幅する増幅手段とが設けられ、
位相信号演算手段は増幅手段により第2および第3の電
気信号の少なくとも一方が増幅された状態で、これらの
第2および第3の電気信号を位相合成することにより共
振回路位相信号を算出する。
【0009】好ましくは、補正用素子は超音波振動子に
直列に接続され、第1の電気信号は超音波振動子に印加
される電圧信号であり、第2の電気信号は補正用素子に
印加された電圧信号である。あるいは好ましくは、第2
の電気信号は補正用素子に印加される電圧信号であり、
第3の電気信号は2個の補正用素子の何れか一方に印加
される電圧信号である。あるいは、補正用素子は超音波
振動子に並列に接続され、第2の電気信号は補正用素子
に流れる電流であり、第1の電気信号は超音波振動子に
流れる電流であることが好ましい。
【0010】好ましくは、増幅手段の増幅率を調整する
増幅率調整手段が設けられる。さらに好ましくは、増幅
率調整手段は共振回路位相信号の位相と超音波振動子の
直列共振回路に流れる電流の位相とが所定の位相差を有
するように、増幅率を調整する。あるいは好ましくは、
増幅率調整手段は発振周波数に応じて増幅率を調整す
る。あるいは、増幅率調整手段は発振周波数と超音波振
動子の共振周波数とを略一致させるように増幅率を調整
することが好ましい。
【0011】好ましくは、共振回路位相信号の位相を補
正する位相補正手段と、位相補正手段により補正される
位相補正量を調整する位相補正量調整手段とが設けら
れ、位相補正手段は位相信号演算手段により算出された
共振回路位相信号の位相を、位相補正量調整手段により
調整された位相補正量だけ補正する。この場合好ましく
は、位相補正量調整手段は超音波振動子の直列共振回路
に流れる電流に対する共振回路位相信号の位相ずれを補
正するように位相補正量を調整する。あるいは、位相補
正量調整手段は発振周波数に応じて位相補正量を調整す
ることが好ましい。あるいはまた、位相補正量調整手段
は発振周波数と超音波振動子の共振周波数とを略一致さ
せるように位相補正量を調整することが望ましい。例え
ば、補正用素子はコンデンサまたはコイルである。
【0012】好ましくは、発振源の出力信号を超音波振
動子に印加される電圧信号とほぼ同位相とするために発
振源の出力信号の位相を補正する位相補正手段が設けら
れ、周波数制御手段により発振源の出力信号と共振回路
位相信号とを用いて発振周波数は制御される。さらに好
ましくは、超音波振動子と補正用素子との合成静電容量
と共振可能なコイルが超音波振動子に直列に接続され
る。
【0013】好ましくは、周波数制御手段は共振回路位
相信号と、発振源の出力信号または超音波振動子に印加
される電圧信号とが所定の位相差になるように、フェー
ズロックループ制御を行なって、発振周波数を調整す
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態
である超音波振動子の駆動装置を示す回路図である。第
1の実施形態である超音波振動子の駆動装置は、超音波
振動子1をできるだけ効率よく駆動するための装置であ
る。超音波振動子1をその共振周波数付近で駆動してい
るとき、その超音波振動子1の等価回路は図1中に示す
ように、コイル(L)およびコンデンサ(C)と抵抗
(R)とを直列に接続した直列共振回路と、この直列共
振回路に対して並列に接続される制動コンデンサ(C
d)とから成る。
【0015】超音波振動子1を効率よく駆動するために
は、超音波振動子1はその共振周波数で駆動されなけれ
ばならない。そこで超音波振動子1の負荷条件や温度等
の環境条件や経時変化によって変動する超音波振動子1
の共振周波数に追従するように、超音波振動子1を駆動
するための駆動信号の周波数(駆動周波数)が制御され
る。
【0016】一方超音波振動子1が共振周波数で駆動さ
れるとき、図2に示すように超音波振動子1の直列共振
回路が抵抗(R)のみになり、直列共振回路に流れる電
流iZと超音波振動子1に印加される電圧信号V1とが
同位相になる。このことを利用して、超音波振動子1の
駆動周波数が制御される。この駆動周波数の制御では、
超音波振動子1に印加される電圧信号V1と同位相の信
号(以下印加電圧位相信号という)Vf1が検出され、
超音波振動子1の等価回路の直列共振回路に流れる電流
iZに対応する信号(以下共振回路位相信号という)V
f2が算出される。そしてこれらの印加電圧位相信号V
f1と共振回路位相信号Vf2とが所定の位相差(例え
ば90°)を有するようにフェイズロックループ(PL
L)制御により超音波振動子1の駆動周波数が制御され
る。
【0017】第1の実施形態である超音波振動子の駆動
装置の電気的構成を詳述する。この駆動装置には、発振
源31が設けられる。発振源31により発振周波数fo
で出力された電圧信号は電力増幅回路32により増幅さ
れ、電圧信号Vとなる。この電圧信号Vは、超音波振動
子1とそれに直列に接続されている補正用コンデンサ1
0aとの両端に印加される。
【0018】超音波振動子1の両端には、第1の電圧検
出器33aが接続され、補正用コンデンサ10aの両端
には、第2の電圧検出器33bが接続される。これらの
第1および第2の電圧検出器33a、33bにより、そ
れぞれ超音波振動子1に印加される電圧信号V1、補正
用コンデンサ10aに印加される電圧信号V2が検出さ
れる。
【0019】補正用コンデンサ10aに印加される電圧
信号V2は増幅器20により増幅率Aで増幅される。増
幅器20は電圧制御増幅器(VCA)であり、その増幅
率Aは発振源31の発振周波数fo に基づいて増幅率調
整回路22により調整される。増幅率Aで増幅された補
正用コンデンサ10aに印加される電圧信号V2と超音
波振動子1に印加される電圧信号V1とは、減算器であ
る位相合成用演算器21に入力され、そこで位相合成さ
れた算出結果として共振回路位相信号Vf2が出力され
る。この共振回路位相信号Vf2は、超音波振動子1の
等価回路の直列共振回路に流れる電流iZに対応してお
り、電流iZに対して所定の位相差(例えば90°進
相)を有する。この信号Vf2がPLL制御回路30に
帰還される。
【0020】一方第1の電圧検出器33aにより検出さ
れた電圧信号V1と同位相である信号すなわち印加電圧
位相信号Vf1もPLL制御回路30に帰還される。こ
の印加電圧位相信号Vf1と共振回路位相信号Vf2と
が所定の位相差(例えば90°)を有するようにPLL
制御回路30によって発振源31の発振周波数foが制
御される。この制御により発振源31から出力される電
圧信号の発振周波数foは超音波振動子1の共振周波数
に追従する。したがって超音波振動子1はその共振周波
数で駆動される。
【0021】ここで、印加電圧位相信号Vf1の位相お
よび共振回路位相信号Vf2の位相が、それぞれ超音波
振動子1に印加される電圧信号V1の位相および超音波
振動子1の直列共振回路に流れる電流iZの位相に対応
することを説明する。
【0022】図1に示すように印加電圧位相信号Vf1
は超音波振動子1に印加される電圧信号V1そのもので
あることは明らかである。すなわち印加電圧位相信号V
f1は(1)式で表される。 Vf1=V1 =V・Z/(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) ・・・(1) ただし、Cdは制動コンデンサ(Cd)の静電容量であ
り、Ccは補正用コンデンサ10aの静電容量である。
超音波振動子1の直列共振回路の合成インピーダンスを
Zとし、抵抗(R)の抵抗値をR、コイル(L)のイン
ダクタンスをL、コンデンサ(C)の静電容量をCとし
たとき、Z=R+j・ω0 ・L+1/(j・ω0 ・C)
であり、超音波振動子1と補正用コンデンサ10aの両
端に印加される電圧をVとしている。またω0 =2πf
oである。
【0023】補正用コンデンサ10aに印加される電圧
信号V2は(2)式で表される。 V2=V・(Z・Cd/Cc+1/(j・ω0 ・Cc)) /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) ・・・(2)
【0024】共振回路位相信号Vf2は、超音波振動子
1に印加される電圧信号V1と補正用コンデンサ10a
に印加される電圧信号V2を増幅率Aで増幅した信号と
の差であり、(3)式により算出される。 Vf2=V1−A・V2 =V・(Z−A・(Z・Cd/Cc+1/(j・ω0 ・Cc))) /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) ・・・(3) ここで、Aは増幅器20の増幅率であり、A=Cc/C
dに設定することにより、共振回路位相信号Vf2は
(4)式で表される。 Vf2=j・V・Z /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc))/Z /(ω0 ・Cd) =j・V1/Z/(ω0 ・Cd) =j・iZ/(ω0 ・Cd) ∽j・iZ ・・・(4) ただし、iZは超音波振動子1の直列共振回路に流れる
電流であり、iZ=V1/Zである。(4)式から明ら
かなように、共振回路位相信号Vf2は超音波振動子1
の直列共振回路に流れる電流iZに比例し、電流iZの
位相より90°位相の進んだ信号である。
【0025】以上のように、印加電圧位相信号Vf1の
位相は超音波振動子1に印加される電圧信号V1の位相
と同位相であり、共振回路位相信号Vf2の位相は超音
波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZの位相より
90°進んでいる。したがって超音波振動子1に印加さ
れる電圧信号V1と超音波振動子1の直列共振回路に流
れる電流iZとを同位相にするには、印加電圧位相信号
Vf1と共振回路位相信号Vf2との位相差が常に90
°になるようにPLL制御回路30により発振源31の
発振周波数foが制御されればよい。もちろん、印加電
圧位相信号Vf1または共振回路位相信号Vf2のいず
れか一方を90°進相または90°遅相させ、それらの
信号が同位相になるよう制御してもよい。
【0026】上述のPLL制御回路30の制御を正しく
行なうためには、位相合成用演算器21の出力信号であ
る共振回路位相信号Vf2を常に超音波振動子1の直列
共振回路に流れる電流iZに対応させる必要がある。こ
のため増幅器20の増幅率Aは適切な値に設定されなけ
ればならない。例えば、超音波振動子1を長時間駆動し
た結果、超音波振動子1の制動コンデンサ(Cd)がn
倍の静電容量、つまりCd’=n・Cd(n≠1)にな
ったとする。この場合、A=Cc/Cd’=Cc/(n
・Cd)に調整すれば、(3)〜(4)式と同様な関係
が成立し、共振回路位相信号Vf2の位相は超音波振動
子1の直列共振回路に流れる電流iZの位相より90°
進むことになる。したがって制動コンデンサ(Cd)の
静電容量が大きく変化し、その結果、制動コンデンサ
(Cd)に流れる電流iCdが変動して、位相合成用演
算器21から出力された共振回路位相信号Vf2の位相
が超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZの位
相に対応しなくなっても、増幅率Aが適切な値に調整さ
れれば、再び共振回路位相信号Vf2を超音波振動子1
の直列共振回路に流れる電流iZに対応させることが可
能になる。これによりPLL制御回路30には、適正な
共振回路位相信号Vf2が帰還されるので、適正なPL
L制御を行なうことができ、この制御により超音波振動
子1がその共振周波数で駆動される。また第1の実施形
態である超音波振動子の駆動装置で制動コンデンサ(C
d)が異なる超音波振動子1を駆動する場合でも、増幅
器20の増幅率Aを適切な値に設定することにより、上
述の制動コンデンサ(Cd)の静電容量が変動したとき
と同様に、超音波振動子1をその共振周波数で駆動する
ことが可能になる。
【0027】以上から明らかなように第1の実施形態で
ある超音波振動子の駆動装置では、超音波振動子1を常
にその共振周波数で駆動するために、増幅器20の増幅
率Aが調整される。以下増幅率Aの調整方法について説
明する。
【0028】増幅器20の増幅率Aが適切な値に設定さ
れているときと、そうでないときとでは、PLL制御回
路30の制御により発振源31から出力される電圧信号
の発振周波数foが大きく変化する。したがって増幅率
Aの調整は発振源31から出力された電圧信号の発振周
波数foに基づいて増幅率調整回路22により行なわれ
る。
【0029】増幅器20の増幅率Aが適切な値に設定さ
れているとき、超音波振動子1はその共振周波数で駆動
可能である。これに対し、増幅器20の増幅率Aが適切
な値に設定されていないとき、超音波振動子1はその共
振周波数とは異なる周波数で駆動される。
【0030】ここで増幅器20の増幅率Aが適切な値に
設定されていないときの、PLL制御回路30による発
振源31の発振周波数foの制御動作について説明す
る。
【0031】超音波振動子1を駆動している間に、超音
波振動子1の制動コンデンサ(Cd)の静電容量がn倍
の静電容量すなわちn・Cd(n≠1)になったとす
る。このとき、増幅器20の増幅率Aが変更されず、C
c/Cdに設定されたままであるとすると、PLL制御
回路30に帰還される共振回路位相信号Vf2は(5)
式により示される。 Vf2=V1−A・V2 =V・(Z−A・(Z・n・Cd/Cc +1/(j・ω0 ・Cc))) /(Z・(1+n・Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) =V・((1−n)・Z−1/(j・ω0 ・Cd))) /(Z・(1+n・Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) =(1−n)・V1+j・iZ/(ω0 ・Cd) ・・・(5) (5)式から明らかなように、制動コンデンサ(Cd)
の静電容量がn倍の静電容量n・Cd(n≠1)に変化
しても、増幅器20の増幅率AがA=Cc/(n・C
d)の値に変更されずに、A=Cc/Cdの値に設定さ
れたままであるため、共振回路位相信号Vf2の位相が
超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZの位相
に対応せず、PLL制御回路30への正しい帰還が行な
われない。換言すると、n≠1であるため、(5)式に
示す(1−n)・V1の信号成分によって共振回路位相
信号Vf2に誤差、すなわち超音波振動子1の直列共振
回路に流れる電流iZの位相に対して90°進相以外の
位相ずれが生じている。
【0032】図3〜図5を参照して増幅率Aが適切な値
に設定されていないときに生じる共振回路位相信号Vf
2の位相ずれについて詳述する。図3〜図5は、増幅器
20の増幅率AをA=Cc/Cdに設定したときの印加
電圧位相信号Vf1と共振回路位相信号Vf2との関係
を示したベクトル図である。
【0033】図3は、制動コンデンサ(Cd)の静電容
量が1倍の静電容量n・Cd(n=1)であるとき、す
なわち増幅器20の増幅率Aが適切な値に設定されてい
るときのベクトル図である。このとき、(5)式に示す
(1−n)・V1の信号成分がないので、共振回路位相
信号Vf2は超音波振動子1の直列共振回路に流れる電
流iZに対応しており、PLL制御により発振周波数f
oが制御されると、超音波振動子1の直列共振回路に流
れる電流iZと超音波振動子1に印加される電圧信号V
1とが同位相になる。すなわち超音波振動子1の直列共
振回路のコイル(L)およびコンデンサ(C)がなく、
直列共振回路のインピーダンスZがZ=Rである。した
がって超音波振動子1は共振しており、発振源31の発
振周波数foは超音波振動子1の共振周波数frと一致
している。
【0034】図4は、制動コンデンサ(Cd)の静電容
量がn倍の静電容量n・Cd(n>1)となったとき、
すなわち増幅率Aが適切な値に設定されていないときの
ベクトル図である。例えば超音波振動子1の長時間駆動
により、制動コンデンサ(Cd)がn倍の静電容量n・
Cd(n>1)に変化した直後、まだ、発振源31の発
振周波数foは超音波振動子1の共振周波数frとほぼ
一致した状態にある。この状態のベクトル図を図4
(a)に示す。このとき、(5)式に示す(1−n)・
V1の信号成分は、n>1であるため、超音波振動子1
に印加される電圧信号V1に対して180°の位相差を
生じる。すなわち(1−n)・V1の信号成分は印加電
圧位相信号Vf1に対して反対方向のものである。ま
た、発振周波数foが共振周波数frとほぼ一致してお
り、超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZが
超音波振動子1に印加される電圧信号V1と同位相であ
るため、(5)式に示すj・iZ/(ωO ・Cd)の信
号成分は印加電圧位相信号Vf1に対して90°位相が
進んだものである。これらの(1−n)・V1の信号成
分とj・iZ/(ωO ・Cd)の信号成分との合成信号
が共振回路位相信号Vf2であるので、この共振回路位
相信号Vf2の位相は印加電圧位相信号Vf1の位相に
対して90°以上進むことになる。そのため、PLL制
御回路30では、共振回路位相信号Vf2の位相が印加
電圧位相信号Vf1の位相より90°進むように、発振
源31の発振周波数foが調整され始める。
【0035】PLL制御により発振周波数foが調整さ
れたときのベクトル図を図4(b)に示す。共振回路位
相信号Vf2を構成する信号成分のうち、(1−n)・
V1の信号成分は変更不可能である。一方j・iZ/
(ω0 ・Cd)の信号成分は、発振周波数foすなわち
超音波振動子1の駆動周波数を変更することにより、印
加電圧位相信号Vf1との位相差を変更可能である。し
たがって図4(b)に示すように制動コンデンサ(C
d)の静電容量がn倍の静電容量n・Cd(n>1)に
なった場合、PLL制御回路30では、共振回路位相信
号Vf2の位相を印加電圧位相信号Vf1の位相より9
0°進むように、換言すると、j・iZ/(ωO ・C
d)の信号成分と印加電圧位相信号Vf1との位相差が
90°以下になるように、発振源31の発振周波数fo
が制御される。すなわち発振周波数foが共振周波数f
rより高くなるように変更される。
【0036】以上のように(1−n)・V1の信号成分
によって共振回路位相信号Vf2の位相ずれが生じてい
るとき、増幅器20の増幅率Aは適切な値に設定されて
おらず、したがって発振周波数foが大きく変更され
る。
【0037】図5は、制動コンデンサ(Cd)の静電容
量がn倍の静電容量n・Cd(n<1)となったとき、
すなわち増幅率Aが適切な値に設定されていないときの
ベクトル図である。例えば超音波振動子1が低温雰囲気
中に長時間放置され、制動コンデンサ(Cd)の静電容
量がn倍の静電容量n・Cd(n<1)になったとき、
超音波振動子1の駆動開始時すなわちPLL制御開始時
には、発振周波数foは共振周波数frとほぼ一致した
状態である。その時のベクトル図を図5(a)に示す。
(5)式に示す(1−n)・V1の信号成分は、n<1
であるため、印加電圧位相信号Vf1と同位相のもので
ある。また、発振周波数foが共振周波数frとほぼ一
致しており、超音波振動子1の直列共振回路に流れる電
流iZが超音波振動子1に印加される電圧信号V1と同
位相であるため、j・iZ/(ω O ・Cd)の信号成分
は印加電圧位相信号Vf1に対して90°位相が進んだ
ものである。これらの(1−n)・V1の信号成分とj
・iZ/(ωO ・Cd)の信号成分との合成信号が共振
回路位相信号Vf2であるので、共振回路位相信号Vf
2と印加電圧位相信号Vf1との位相差は90°以下と
なる。そのため、PLL制御回路30では、共振回路位
相信号Vf2の位相が印加電圧位相信号Vf1の位相よ
り90°進むように、発振源31の発振周波数foが調
整され始める。
【0038】PLL制御により発振周波数foが調整さ
れたときのベクトル図を図5(b)に示す。共振回路位
相信号Vf2を構成する信号成分のうち、(1−n)・
V1の信号成分は変更不可能である。一方j・iZ/
(ω0 ・Cd)の信号成分は発振周波数foすなわち超
音波振動子1の駆動周波数を変更することにより、印加
電圧位相信号Vf1との位相差を変更可能である。した
がって、図5(b)に示すように制動コンデンサ(C
d)の静電容量がn倍の静電容量n・Cd(n<1)に
なった場合、PLL制御回路30では、共振回路位相信
号Vf2の位相が印加電圧位相信号Vf1の位相より9
0°進むように、すなわちj・iZ/(ωO・Cd)の
信号成分と印加電圧位相信号Vf1との位相差が90°
以上になるように、PLL制御回路30により発振源3
1の発振周波数foが制御される。すなわち発振周波数
foが共振周波数frより低くなるように変更される。
【0039】以上のように制動コンデンサ(Cd)がn
倍の静電容量n・Cd(n≠1)になり、(1−n)・
V1の信号成分によって共振回路位相信号Vf2に位相
ずれが生じているとき、すなわち増幅器20の増幅率A
が適切な値に設定されていないとき、発振周波数foは
PLL制御により大きく変更される。
【0040】実際には制動コンデンサ(Cd)の静電容
量の変化が僅かである場合、共振回路位相信号Vf2の
誤差(位相ずれ)が小さいため、超音波振動子1はその
共振周波数frで駆動される。つまり、僅かな制動コン
デンサ(Cd)の静電容量変化はPLL制御回路30に
吸収され、発振周波数foが自動的に超音波振動子1の
共振周波数frに追従する。しかしながら、その限度を
超えて制動コンデンサ(Cd)の静電容量が大きく変化
した場合、上述のように増幅率Aが適切な値ではなくな
り、発振周波数foは調整され、共振周波数frとは大
きく異なった周波数に落ち着く。
【0041】ここで、増幅率Aの設定状態に対するPL
L制御回路30による発振周波数foの制御状態を説明
する。一般にPLL制御回路30では、図6(a)に示
すように制御可能な周波数範囲すなわち最低周波数fm
inから最高周波数fmaxまでの範囲が定められてお
り、この範囲を超えて発振周波数foが制御されること
はない。図6(b)には制動コンデンサ(Cd)の静電
容量が1倍の静電容量n・Cd(n=1)である場合の
PLL制御回路30の制御状態を示す。この場合、増幅
器20の増幅率Aが適切な値Cc/Cdに設定されてい
る。したがってPLL制御により発振周波数foが共振
周波数frと一致するように制御され、その結果発振周
波数foは共振周波数frと一致する。
【0042】図6(c)には制動コンデンサ(Cd)の
静電容量がn倍の静電容量n・Cd(n>1)に変化し
たとき、すなわち増幅率Aが適切な値Cc/(n・C
d)(n>1)ではなく、その値よりも大きな値Cc/
Cdに設定されているときのPLL制御回路30の制御
状態を示す。この場合、増幅器20の増幅率Aが適切な
値Cc/(n・Cd)に設定されていないため、図4で
説明したように、PLL制御により発振周波数foは共
振周波数frより高くなる。実際には、PLL制御によ
り発振周波数foは共振周波数frより少し高い周波数
になるのではなく、PLL制御回路30のほぼ最高周波
数fmaxに変更される。これに対し、制動コンデンサ
(Cd)の静電容量がn倍の静電容量n・Cd(n<
1)に変化したとき、すなわち増幅率Aが適切な値Cc
/(n・Cd)(n<1)ではなく、その値より小さい
値Cc/Cdに設定されているとき、図5で説明したよ
うに、PLL制御により発振周波数foは共振周波数f
rより低くなる。実際には、図6(d)に示すように発
振周波数foはPLL制御回路30のほぼ最低周波数f
minに変更される。
【0043】以上のように増幅率Aが適切な値に設定さ
れていないとき、発振周波数foが大きく変動する。し
たがってこの発振周波数foの変化を監視することによ
り増幅率Aが適切な値か否かが判定可能であり、また発
振周波数foの変化傾向に基づいて、増幅率Aの値を大
きくすべきか、あるいは小さくすべきかが検知可能であ
る。したがって増幅率調整回路22では、発振源31の
発振周波数foに基づいて増幅率Aが調整される。さら
に付け加えると、発振周波数foが超音波振動子の共振
周波数frに一致するように増幅率Aが調整される。
【0044】通常、超音波振動子1の共振周波数frは
所定の範囲(fr−Δfrからfr+Δfr)(例えば
Δfr=0.5kHz)内を変動する。発振周波数fo
が共振周波数範囲(fr−Δfr<fo<fr+Δfr
(fo≒fr))内にあるとき、増幅率Aは適切な値に
設定されており、発振周波数foは共振周波数frに一
致している。このため増幅率Aの調整は行なわれない。
発振周波数foが共振周波数範囲の最大値(fr+Δf
r)より高いとき(fo>fr+Δfr)、例えば発振
周波数foがPLL制御回路30のほぼ最高周波数fm
axであるとき、増幅率Aは適切な値より大きな値に設
定されている。したがって増幅率Aを小さくするように
増幅率Aの調整が行なわれる。すなわち増幅率AはA=
A−ΔA(例えばΔA=0.05)に設定される。これ
に対し、発振周波数foが共振周波数範囲の最小値(f
r−Δfr)より低いとき(fo<fr−Δfr)、例
えば発振周波数foがPLL制御回路30のほぼ最低周
波数fminであるとき、増幅率Aは適切な値より小さ
な値に設定されている。したがって増幅率Aを大きくす
るように増幅率Aの調整が行なわれる。すなわち増幅率
AはA=A+ΔAに設定される。
【0045】共振周波数範囲(fr−Δfrからfr+
Δfr)は、上述のように、共振周波数frが変動する
可能性のある範囲であり、超音波振動子1が共振周波数
frで駆動されているか否かの判定基準となる。したが
って、例えば外科手術用超音波処置装置において生体組
織が接触すること等により、超音波振動子1の先端に負
荷がかかることで生じる共振周波数frの変化や、超音
波振動子1の製造ばらつきによる共振周波数frのばら
つきや、増幅率Aが適切な値に設定されていない場合に
発振周波数foがPLL制御回路30のほぼ最低周波数
fminまたは最高周波数fmaxに変更されること等
を考慮して、共振周波数範囲(fr−Δfrからfr+
Δfr)を定めることが好ましい。
【0046】また増幅率Aの変更量ΔAは超音波振動子
の駆動装置全体の性能に応じて定めるとよい。なお変更
量ΔAは常に一定である必要はなく、発振周波数foと
共振周波数frとの差に応じて変更量ΔAが変化する構
成としてもよい。
【0047】以上のように発振周波数foに基づいて増
幅率Aを調整する増幅率調整回路22の電気的構成につ
いて図7を参照して説明する。この増幅率調整回路22
には、発振源31からの発振周波数foの信号が取込ま
れる。この発振周波数foは周波数/電圧(f/V)変
換回路22aによりアナログ電圧信号に変換され、その
電圧信号はアナログ/デジタル(A/D)変換回路22
bにおいてデジタル信号に変換される。このデジタル電
圧信号に基づいてCPU22cでは増幅器20の増幅率
Aが変更される。この増幅率Aの値に対応するデジタル
電圧信号がCPU22cから出力され、デジタル/アナ
ログ(D/A)変換回路22dに入力され、そこでアナ
ログ電圧信号に変換される。このアナログ電圧信号に応
じて電圧制御増幅器20の増幅率Aが変更される。
【0048】図8を参照して増幅率Aを調整する増幅率
調整ルーチンについて説明する。この増幅率調整ルーチ
ンは増幅率調整回路22内のCPU22cにより実行さ
れる。
【0049】ステップ100において、超音波振動子1
の駆動スイッチがオンに切替えられたか否かが判定され
る。超音波振動子1の駆動スイッチがオフに切替えられ
ていると判定されたとき、この増幅率調整ルーチンは終
了する。一方超音波振動子1の駆動スイッチがオンに切
替えられたと判定されたとき、すなわち超音波振動子1
が駆動されたとき、ステップ110において、発振源3
1の発振周波数foが検出される。
【0050】ステップ120からステップ130におい
て、検出された発振周波数foと超音波振動子1の共振
周波数frとが比較される。この比較により発振周波数
foが共振周波数範囲(fr−Δfrからfr+Δf
r)内にあると判定されたとき、増幅器20の増幅率A
は適切な値に設定されており、増幅率Aを変更する必要
はないので、ステップ100の処理が再び実行される。
【0051】これに対してステップ120からステップ
130において、発振周波数foが共振周波数範囲(f
r−Δfrからfr+Δfr)内にはないと判定された
とき(fo<fr−Δfr、fr+Δfr<fo)、増
幅器20の増幅率Aが適切な値に設定されていないの
で、ステップ140またはステップ150において、増
幅率AがA=A−ΔA、またはA=A+ΔAに変更さ
れ、ステップ100の処理が実行される。
【0052】以上のように超音波振動子1が駆動されて
いる間、ステップ100からステップ150の処理が繰
り返され、増幅率Aが最適な値に定められる。なお駆動
開始時に、発振周波数foが共振周波数frと異なって
いても、ステップ100からステップ150の処理を繰
り返すことによって増幅器20の増幅率Aが適切な値に
定められる。また、増幅率Aが一旦適切な値に設定され
ると、その後は増幅率Aの最適な値が変化しても、即時
その変化した最適な値に増幅率Aが定められる。これに
より超音波振動子1を常に共振周波数frで駆動するこ
とが可能である。
【0053】以上のような第1の実施形態である超音波
振動子の駆動装置によれば、超音波振動子1の長時間の
駆動等によりそれ自体の温度変化が生じ、制動コンデン
サ(Cd)の値が変化しても、超音波振動子1の駆動中
に、発振周波数foに基づいて増幅率調整回路22によ
り自動的に増幅器20の増幅率Aが変更され、PLL制
御回路30へ適切な帰還信号すなわち共振回路位相信号
Vf2が帰還される。換言すると、増幅率Aを調整する
ことにより共振回路位相信号Vf2を常に超音波振動子
1の直列共振回路に流れる電流iZに対応させることが
可能となり、この共振回路位相信号Vf2を用いたPL
L制御回路30でのPLL制御が正しく行なわれ、超音
波振動子1は常にその共振周波数frで駆動される。す
なわち超音波振動子1は常に効率よく駆動される。また
制動コンデンサ(Cd)の異なる超音波振動子を駆動す
る際にも、その共振周波数frで駆動することが可能で
ある。
【0054】第1の実施形態では、超音波振動子1の直
列共振回路に流れる電流iZを検出するために、補正用
コンデンサ10aに印加される電圧信号V2のみが増幅
器20により増幅されるが、超音波振動子1に印加され
る電圧信号V1も増幅して、電圧信号V1の増幅率に増
幅率Aを乗じた増幅率で電圧信号V2を増幅する構成と
してもよい。
【0055】なお超音波振動子1やその先端に接続する
ホーンの損傷等により、超音波振動子1の共振周波数f
rが大きく変動するとき、増幅器20の増幅率Aを変更
しても、共振周波数frで超音波振動子1を駆動するこ
とが不可能になる。このような場合に、図9に示す増幅
率調整および駆動停止ルーチンによって増幅率Aを調整
して、異常時には強制的に超音波振動子1の駆動を停止
するとよい。
【0056】図9に示す増幅率調整および駆動停止ルー
チンは第1の実施形態の図8に示す増幅率調整ルーチン
の変形例であり、図8に示す増幅率調整ルーチンにステ
ップ145およびステップ155からステップ180の
処理を追加したものであり、これらの追加処理によって
異常時に超音波振動子1の駆動が停止せしめられる。以
下図8に示す増幅率調整ルーチンと異なる点についての
み説明する。
【0057】この増幅率調整および駆動停止ルーチンが
実行される場合、増幅率Aの設定可能範囲の最大値Am
axおよび最小値Aminが予め定められる。また超音
波振動子の駆動装置には、超音波振動子1を共振周波数
frで駆動できないことを表示するための表示装置が設
けられ、さらに超音波振動子1の駆動を停止することを
警告するためのアラーム等が設けられる。
【0058】ステップ145またはステップ155にお
いて、変更した増幅率Aが設定可能範囲の最小値Ami
nより小さいと判定されたとき、または増幅率Aが設定
可能範囲の最大値Amaxより大きいと判定されたと
き、ステップ160からステップ180の処理が実行さ
れる。すなわち増幅率Aがその設定可能範囲を超えて変
更されるとき、超音波振動子1の駆動が強制的に停止せ
しめられる。
【0059】以上の第1の実施形態の変形例でも、制動
コンデンサ(Cd)の静電容量が変化しても、超音波振
動子1の駆動中に、発振周波数foに基づいて増幅率A
を調整することにより共振回路位相信号Vf2を常に超
音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZに対応さ
せることが可能となり、この共振回路位相信号Vf2を
用いたPLL制御回路30でのPLL制御が正しく行な
われ、超音波振動子1は常にその共振周波数frで駆動
される。また制動コンデンサ(Cd)の異なる超音波振
動子1を駆動する際にも、その共振周波数frで駆動す
ることが可能である。さらに強制停止機構を設けること
によって、超音波振動子1へ異常な高電圧が印加された
り、または超音波振動子1およびホーンの損傷が拡大す
るのが防止され、さらに使用者の安全も確保される。
【0060】図10は第2の実施形態である超音波振動
子の駆動装置である。第2の実施形態では、3個の補正
用コンデンサ10a、10b、10cが用いられ、この
3個の補正用コンデンサ10a、10b、10cと超音
波振動子1とがブリッジ状に接続される。すなわち超音
波振動子1に対して直列に補正用コンデンサ10aが接
続され、これらの両端に直列に接続された2個の補正用
コンデンサ10b、10cが並列に接続される。補正用
コンデンサ10bは超音波振動子1の制動コンデンサ
(Cd)のm(任意の正数:例えば1)倍の静電容量m
・Cdを有し、補正用コンデンサ10cは補正用コンデ
ンサ10aのm倍の静電容量m・Ccを有する。そして
補正用コンデンサ10a、10cに印加される電圧信号
V2、V3がそれぞれ電圧検出器33b、33cによっ
て検出される。
【0061】検出された電圧信号V2は適切な増幅率A
で増幅され、その増幅された信号と、電圧信号V3とが
位相合成用演算器21により位相合成され、その出力信
号として共振回路位相信号Vf2がPLL制御回路30
に帰還される。この共振回路位相信号Vf2の位相が、
第1の実施形態と同様に、超音波振動子1に印加される
電圧信号V1と同位相である印加電圧位相信号Vf1の
位相に対して常に90°進相となるようにPLL制御さ
れる。なお第1の実施形態と同様の電気的構成について
は説明を省略する。
【0062】印加電圧位相信号Vf1は第1の実施形態
と同様に超音波振動子1に印加される電圧信号V1と同
位相の信号であり、(1)式で示される。共振回路位相
信号Vf2の位相は、超音波振動子1の直列共振回路に
流れる電流iZの位相に対応している。ここで共振回路
位相信号Vf2が電流iZの位相に対応することを説明
する。
【0063】補正用コンデンサ10aに印加される電圧
信号V2と、補正用コンデンサ10cに印加される電圧
信号V3とはそれぞれ(6)、(7)式で表される。 V2=V・(Z・Cd/Cc+1/(j・ω0 ・Cc)) /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) ・・・(6) V3=V・Cd/(Cd+Cc) ・・・(7) ここで、Cdは制動コンデンサ(Cd)の静電容量であ
り、Ccは補正用コンデンサ10aの静電容量である。
Zは超音波振動子1の直列共振回路のインピーダンスで
ある。
【0064】共振回路位相信号Vf2は、補正用コンデ
ンサ10cに印加される電圧信号V3と補正用コンデン
サ10aに印加される電圧信号V2を増幅率Aで増幅し
た信号との差である。すなわち、共振回路位相信号Vf
2は(8)式で表される。 Vf2=V3−A・V2 =V・Cd/(Cd+Cc) −A・V・(Z・Cd/Cc+1/(j・ω0 ・Cc)) /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) ・・・(8) ここで、Aは増幅器20の増幅率であり、A=1に設定
することにより、共振回路位相信号Vf2は(9)式と
なる。 Vf2=j・V/(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) /(ω0 ・(Cd+Cc)) =j・V・Z/(Z・(1+Cd/Cc)+ 1/(j・ω0 ・Cc))/Z/(ω0 ・(Cd+Cc)) =j・V1/Z/(ω0 ・(Cd+Cc)) =j・iZ/(ω0 ・(Cd+Cc)) ∽j・iZ ・・・(9) ただし、iZは超音波振動子1の直列共振回路に流れる
電流であり、iZ=V1/Zで表される。したがって
(9)式から共振回路位相信号Vf2は超音波振動子1
の直列共振回路に流れる電流iZに比例し、電流iZの
位相より90°位相の進んだ信号である。
【0065】以上のように、印加電圧位相信号Vf1は
超音波振動子1に印加される電圧信号V1と同位相の信
号であり、共振回路位相信号Vf2の位相は超音波振動
子1の直列共振回路に流れる電流iZの位相に対応す
る。したがって超音波振動子1に印加される電圧信号V
1と超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZと
を同位相にするためには、共振回路位相信号Vf2の位
相が印加電圧位相信号Vf1の位相に対して常に90°
進むように、PLL制御回路30により発振源31の発
振周波数foが制御されればよい。もちろん、印加電圧
位相信号Vf1または共振回路位相信号Vf2のいずれ
か一方を90°進相または90°遅相させ、それらの信
号が同位相になるよう制御してもよい。
【0066】第2の実施形態において、(9)式におい
てはA=1と設定したが、超音波振動子1の制動コンデ
ンサ(Cd)の静電容量が変化した場合、増幅率Aを最
適な値に調整する必要がある。例えば、超音波振動子1
を長時間駆動した結果、制動コンデンサ(Cd)がn倍
の静電容量n・Cdになったとする。この場合、A=
(n・Cd+Cc)/(n・(Cd+Cc))に調整す
れば、(8)〜(9)式と同様な関係が成立する。ここ
では詳細な計算式は複雑であるので省略する。したがっ
て第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様
に、増幅器20の増幅率Aを適切な値に設定すれば、超
音波振動子1をその共振周波数で駆動可能である。また
制動コンデンサ(Cd)の静電容量が異なる超音波振動
子1を駆動する場合でも、増幅器20の増幅率Aを調整
することにより超音波振動子1を常にその共振周波数で
駆動可能である。なお第2の実施形態の増幅率Aの調整
方法は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略す
る。
【0067】図11には第3の実施形態である超音波振
動子の駆動装置の回路図を示す。ここでは第3の実施形
態の電気的構成が第1の実施形態の電気的構成と異なる
点についてのみ述べる。第3の実施形態では、補正用コ
ンデンサ10aが超音波振動子1に対して並列に接続さ
れ、電圧検出器33aが超音波振動子1に並列に設けら
れ、この電圧検出器33aにより超音波振動子1に印加
される電圧信号V1が検出される。また電流検出器34
aが超音波振動子1に直列に接続され、電流検出器34
bが補正用コンデンサ10aに直列に接続される。これ
らの電流検出器34a、34bによりそれぞれ超音波振
動子1に流れる電流i1と、補正用コンデンサ10aに
流れる電流i2とが検出され、それらの電流i1、i2
が所定の変換係数で電圧信号に変換される。そして電流
i2に対応する電圧信号が増幅率Aで増幅され、この増
幅された信号と、電流i1に対応する電圧信号とが減算
器である位相合成用演算器21により位相合成され、そ
の算出結果として共振回路位相信号Vf2がPLL制御
回路30に帰還される。
【0068】第3の実施形態でも、第1の実施形態と同
様に、超音波振動子1に印加される電圧信号V1と超音
波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZとが同位相
になるように、PLL制御回路30によりPLL制御が
行なわれ、超音波振動子1がその共振周波数で駆動され
る。第3の実施形態では、PLL制御回路30に帰還さ
れる印加電圧位相信号Vf1は、超音波振動子1に印加
される電圧信号V1と同位相の信号である。またPLL
制御回路30に帰還される共振回路位相信号Vf2は超
音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZと同位相
の信号である。以下印加電圧位相信号Vf1および共振
回路位相信号Vf2がそれぞれ電圧信号V1および電流
iZと同位相の信号であることを説明する。
【0069】印加電圧位相信号Vf1は超音波振動子1
に印加される電圧信号V1そのものである。したがって
印加電圧位相信号Vf1は(10)式で示される。 Vf1=V1 ・・・(10)
【0070】共振回路位相信号Vf2は、位相合成用演
算器21の出力される信号であって、補正用コンデンサ
10aに流れる電流i2に対応する電圧信号を増幅率A
で増幅した信号を、超音波振動子1に流れる電流i1に
対応する電圧信号から減算した信号である。ここで電流
i1、i2は電流検出器34a、34bによりそれぞれ
検出され、そこで変換係数kで電圧信号に変換されると
する。この場合電流検出器34a、34bからの出力信
号は、それぞれk・i1、k・i2となる。したがって
共振回路位相信号Vf2は(11)式により示される。 Vf2=k・i1−A・k・i2 =k・(iZ+iCd)−A・k・iCc =k・iZ+k・(iCd−A・iCc) ・・・(11) ただし、Aは増幅器20の増幅率である。ここでiCd
=A・iCcの関係が成立するように増幅率Aを定める
と、増幅率AはA=iCd/iCcすなわちA=Cd/
Ccとなり、共振回路位相信号Vf2は(12)式で示
される。 Vf2=k・iZ ∽iZ ・・・(12) (12)式から明らかなように、共振回路位相信号Vf
2は超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZに
比例しており、電流iZと同位相である。
【0071】超音波振動子1に印加される電圧信号V1
と超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZとが
同位相になるように、すなわち印加電圧位相信号Vf1
と共振回路位相信号Vf2とが所定の位相差(この場合
0°)となるように、PLL制御回路30により発振源
31の発振周波数foが制御される。
【0072】第3の実施形態でも、第1の実施形態と同
様に、増幅器20の増幅率Aを適切な値に設定すること
により、超音波振動子1をその共振周波数にて駆動可能
である。すなわち超音波振動子1の制動コンデンサ(C
d)の静電容量が変化しても、増幅器20の増幅率Aを
調整すれば、PLL制御回路30で同様な制御を行なう
ことにより、超音波振動子1をその共振周波数にて駆動
することが可能である。
【0073】例えば、超音波振動子1を長時間駆動して
それ自体の温度が上昇した結果、制動コンデンサ(C
d)がn倍の静電容量Cd’=n・Cdになったとす
る。この場合、増幅率AをCd’/Cc=n・Cd/C
cに調整すれば、(11)〜(12)式と同様な関係が
成立する。したがって、共振回路位相信号Vf2と印加
電圧位相信号Vf1とが同位相となるように、PLL制
御回路30の制御により発振源31の発振周波数foが
調整されれば、超音波振動子1がその共振周波数frで
駆動可能である。見方を変えれば、第3の実施形態の超
音波振動子の駆動装置を用いて、制動コンデンサ(C
d)の静電容量が異なる超音波振動子1を駆動する際
も、増幅器20の増幅率Aを調整すれば、PLL制御回
路30で同様に制御することにより超音波振動子1をそ
の共振周波数で駆動可能である。
【0074】これまでの説明から明らかなように、増幅
器20の増幅率Aが適切な値に設定されているとき、超
音波振動子1はその共振周波数frで駆動可能であり、
これに対し、増幅器20の増幅率Aが適切な値に設定さ
れていないとき、超音波振動子1はその共振周波数とは
異なる周波数で駆動される。ここで増幅器20の増幅率
Aが適切な値に設定されていないときのPLL制御回路
30による発振源31の発振周波数foの制御について
説明する。
【0075】超音波振動子1を長時間駆動している間
に、それ自体の温度変化等により超音波振動子1の制動
コンデンサ(Cd)の静電容量がn倍の静電容量n・C
d(n≠1)になったとする。このとき、増幅器20の
増幅率Aが変更されず、Cd/Ccに設定されたままで
あるとすると、PLL制御回路30に帰還される共振回
路位相信号Vf2は(13)式により示される。 Vf2=k・iZ+k・(iCd−A・iCc) =k・iZ+k・(j・ω0 ・n・Cd・V1 −Cd/Cc・j・ω0 ・Cc・V1) =k・iZ+j・(n−1)・k・ω0 ・Cd・V1 ・・・(13) (13)式から明らかなように、制動コンデンサ(C
d)の静電容量がn倍の静電容量n・Cd(n≠1)に
変化しても、増幅器20の増幅率Aがn・Cd/Ccの
値に変更されずに、Cd/Ccの値に設定されたままで
あるため、共振回路位相信号Vf2が超音波振動子1の
直列共振回路に流れる電流iZと同位相ではなくなり、
PLL制御回路30への正しい帰還が行なわれない。換
言すると、n≠1であるため、(13)式のj・(n−
1)・k・ω0 ・Cd・V1の信号成分によって共振回
路位相信号Vf2に誤差、すなわち超音波振動子1の直
列共振回路に流れる電流iZの位相に対して位相ずれが
生じている。
【0076】図12〜図14を参照して増幅率Aが適切
な値に設定されていないときに生じる共振回路位相信号
Vf2の位相ずれについて詳述する。図12〜図14
は、増幅器20の増幅率AをCd/Ccの値に設定した
ときの印加電圧位相信号Vf1と共振回路位相信号Vf
2との関係を示したベクトル図である。PLL制御回路
30により、印加電圧位相信号Vf1と共振回路位相信
号Vf2との位相差が常に0°になるようにPLL制御
が行なわれる。
【0077】図12は、制動コンデンサ(Cd)の静電
容量が1倍の静電容量n・Cd(n=1)であるとき、
すなわち増幅器20の増幅率Aが適切な値に設定されて
いるときのベクトル図である。このとき、(13)式に
示すj・(n−1)・k・ω 0 ・Cd・V1の信号成分
がないので、共振回路位相信号Vf2は超音波振動子1
の直列共振回路に流れる電流iZに対応しており、PL
L制御により発振周波数foが制御されると、超音波振
動子1の直列共振回路に流れる電流iZと超音波振動子
1に印加される電圧信号V1とが同位相になる。すなわ
ち超音波振動子1の直列共振回路のコイル(L)および
コンデンサ(C)がなく、直列共振回路のインピーダン
スZがZ=Rである。したがって超音波振動子1は共振
しており、発振源31の発振周波数foは超音波振動子
1の共振周波数frと一致している。
【0078】図13は、制動コンデンサ(Cd)の静電
容量がn倍の静電容量n・Cd(n>1)になったと
き、すなわち増幅率Aが適切な値に設定されていないと
きのベクトル図である。例えば超音波振動子1の長時間
駆動により、制動コンデンサ(Cd)がn倍の静電容量
n・Cd(n>1)に変化した直後、まだ、発振源31
の発振周波数foは超音波振動子1の共振周波数frと
ほぼ一致した状態にある。この状態のベクトル図を図1
3(a)に示す。(13)式に示すj・(n−1)・k
・ω0 ・Cd・V1の信号成分は、n>1であるため、
超音波振動子1に印加される電圧信号V1すなわち印加
電圧位相信号Vf1に対して90°位相の進んだもので
ある。また発振周波数foは共振周波数frとほぼ一致
しており、超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流
iZが超音波振動子1に印加される電圧信号V1と同位
相であるため、(13)式に示すk・iZの信号成分は
印加電圧位相信号Vf1と同位相である。これらのj・
(n−1)・k・ωO ・Cd・V1の信号成分とk・i
Zの信号成分との合成信号が共振回路位相信号Vf2で
あるので、共振回路位相信号Vf2の位相は印加電圧位
相信号Vf1の位相に対して位相角θ1(0〜90°)
だけ進んでいる。そのため、PLL制御回路30では、
共振回路位相信号Vf2が印加電圧位相信号Vf1と同
位相になるように、発振源31の発振周波数foが調整
され始める。
【0079】PLL制御により発振周波数foが調整さ
れたときのベクトル図を図13(b)に示す。共振回路
位相信号Vf2を構成する信号成分のうち、j・(n−
1)・k・ω0 ・Cd・V1の信号成分のベクトル方向
は不変であり、その大きさの変化も少ない。一方k・i
Zの信号成分は、発振周波数foすなわち超音波振動子
1の駆動周波数を変更することにより、印加電圧位相信
号Vf1との位相差を変更可能である。図13(b)に
示すように制動コンデンサ(Cd)の静電容量がn倍の
静電容量n・Cd(n>1)になった場合、PLL制御
回路30では、共振回路位相信号Vf2が印加電圧位相
信号Vf1と同位相の信号になるように、換言すると、
k・iZの信号成分の位相が印加電圧位相信号Vf1の
位相より位相角θ1’(0〜90°)だけ遅れるよう
に、発振源31の発振周波数foが制御される。すなわ
ち発振周波数foは共振周波数frよりも高くなるよう
に変更される。
【0080】図14は、制動コンデンサ(Cd)の静電
容量がn倍の静電容量n・Cd(n<1)になったと
き、すなわち増幅器Aが適切な値に設定されていないと
きのベクトル図である。例えば超音波振動子1が低温雰
囲気中に長時間放置され、制動コンデンサ(Cd)の静
電容量がn倍の静電容量n・Cd(n<1)になったと
き、超音波振動子1の駆動開始時すなわちPLL制御開
始時には、発振周波数foは共振周波数frとほぼ一致
した状態である。その時のベクトル図を図14(a)に
示す。(13)式に示すj・(n−1)・k・ω0 ・C
d・V1の信号成分は、n<1であるため、超音波振動
子1に印加される電圧信号V1に対して90°位相の遅
れたものである。また発振周波数foが共振周波数fr
とほぼ一致しており、超音波振動子1の直列共振回路に
流れる電流iZが超音波振動子1に印加される電圧信号
V1と同位相であるため、(13)式に示すk・iZの
信号成分は電圧信号V1と同位相である。これらのj・
(n−1)・k・ωO ・Cd・V1の信号成分とk・i
Zの信号成分との合成信号が共振回路位相信号Vf2で
あり、共振回路位相信号Vf2の位相はVf1に対して
位相角θ2(0〜90°)だけ遅れている。そのため、
PLL制御回路30では、共振回路位相信号Vf2が印
加電圧位相信号Vf1と同位相の信号となるように、発
振源31の発振周波数foが調整され始める。
【0081】PLL制御により発振周波数foが調整さ
れたときのベクトル図を図14(b)に示す。共振回路
位相信号Vf2を構成する信号成分のうち、j・(n−
1)・k・ωO ・Cd・V1の信号成分のベクトル方向
は不変であり、その大きさの変化も少ない。一方k・i
Zの信号成分は発振周波数foすなわち超音波振動子1
の駆動周波数を変更することにより印加電圧位相信号V
f1との位相差を変更可能である。したがって、図14
(b)に示すように、制動コンデンサ(Cd)の静電容
量がn倍の静電容量n・Cd(n<1)になった場合、
PLL制御回路30では、共振回路位相信号Vf2が印
加電圧位相信号Vf1と同位相の信号になるように、換
言すると、k・iZの信号成分の位相が印加電圧位相信
号Vf1よりも位相角θ2’(0〜90°)だけ進むよ
うに、発振源31の発振周波数foが制御される。すな
わち発振周波数foは共振周波数frよりも低くなるよ
うに変更される。
【0082】以上のように制動コンデンサ(Cd)の静
電容量がn倍の静電容量n・Cd(n≠1)になり、j
・(n−1)・k・ω0 ・Cd・V1の信号成分によっ
て共振回路位相信号Vf2の位相ずれが生じていると
き、すなわち増幅器20の増幅率Aが適切な値に設定さ
れていないとき、発振周波数foはPLL制御により大
きく変更される。
【0083】第3の実施形態も第1の実施形態と同様
に、図6に示すように制動コンデンサ(Cd)の静電容
量がn倍の静電容量n・Cd(n>1)に変化したと
き、発振周波数foはPLL制御回路30の制御可能な
周波数範囲のほぼ最高周波数fmaxに変更される。こ
のとき増幅率Aは適切な値n・Cd/Cc(n>1)よ
り小さな値Cd/Ccに設定されている。また制動コン
デンサ(Cd)の静電容量がn倍の静電容量n・Cd
(n<1)に変化したとき、発振周波数foはPLL制
御回路30の制御可能な周波数範囲のほぼ最低周波数f
minに変更される。このとき増幅率Aは適切な値n・
Cd/Cc(n<1)より大きな値Cd/Ccに設定さ
れている。
【0084】以上のようなPLL制御回路30の制御動
作における増幅率Aの調整方法について図15、図16
を参照して説明する。図15、図16は第1の実施形態
の図8に示す増幅率調整ルーチン、図9に示す増幅率調
整および駆動停止ルーチンのステップ140、ステップ
150をそれぞれステップ142、ステップ152に、
またステップ145、ステップ155をそれぞれステッ
プ147、ステップ157に変更したものであり、その
他の点は第1の実施形態と同様である。以下異なる点に
ついてのみ説明する。図15、図16に示すそれぞれル
ーチンを実行する際、第1の実施形態と同様に、増幅率
Aを調整する必要のない共振周波数範囲(fr−Δfr
からfr+Δfr)と、増幅率Aの変更量ΔAとが予め
定められる。
【0085】ステップ120からステップ130におい
て、発振周波数foが共振周波数範囲(fr−Δfrか
らfr+Δfr)にはないと判定されたとき(すなわち
fo<fr−Δfr、fr+Δfr<foであると
き)、増幅器20の増幅率Aが適切な値に設定されてい
ないので、ステップ142またはステップ152におい
て、増幅率AがA=A+ΔA、またはA=A−ΔAに変
更される。
【0086】図16に示すステップ147またはステッ
プ157において、変更された増幅率Aが設定可能範囲
の最大値Amaxより大きいと判定されたとき、または
変更された増幅率Aが設定可能範囲の最小値Aminよ
り小さいと判定されたとき、すなわち増幅率Aがその設
定可能範囲を超えて変更されるとき、超音波振動子1の
駆動が強制的に停止せしめられる。
【0087】以上の第3の実施形態においても、第1の
実施形態と同様に、超音波振動子1の駆動中に、発振周
波数foに基づいて増幅率調整回路22により自動的に
増幅器20の増幅率Aが変更され、この変更によりPL
L制御回路30でのPLL制御が適正に行なわれ、超音
波振動子1は常にその共振周波数frで効率よく駆動さ
れる。また制動コンデンサ(Cd)の異なる超音波振動
子1を駆動する際にも、その共振周波数frで駆動する
ことが可能である。
【0088】図17〜図19を参照して第4の実施形態
の超音波振動子の駆動装置について説明する。第4の実
施形態が第3の実施形態と異なる点は、第3の実施形態
の補正用コンデンサ10aの代わりに、補正用コイル1
1が超音波振動子1に対して並列に設けられる点であ
り、この点に付随して変更される点以外は第3の実施形
態と同様である。以下異なる点についてのみ説明する。
【0089】補正用コイル11が超音波振動子1に対し
て並列に接続され、この補正用コイル11のインダクタ
ンスはLdである。補正用コイル11に流れる電流i2
がこの補正用コイル11に直列に接続された電流検出器
34bにより検出され、そこで電流i2が所定の変換係
数で電圧信号に変換される。そして電流i2に対応する
電圧信号が増幅率Aで増幅され、この増幅された信号
と、電流i1に対応する電圧信号とが位相合成用演算器
21により位相合成され、その結果共振回路位相信号V
f2がPLL制御回路30に帰還される。なお補正用コ
イル11に流れる電流i2は、第3の実施形態における
補正用コンデンサ10aに流れる電流i2と180°の
位相差を有するので、位相合成用演算器21は加算器と
なる。
【0090】第4の実施形態では、共振回路位相信号V
f2は(14)式により示される。(14)式は第3の
実施形態の(13)式のiCcをiLdに置き換えたも
のである。 Vf2=k・i1+A・k・i2 =k・(iZ+iCd)+A・k・iLd =k・iZ+k・(iCd+A・iLd) ・・・(14) ただし、kは電流検出器34a、34bにおける変換係
数であり、Aは増幅器20の増幅率である。またiZ、
iCd、iLdはそれぞれ超音波振動子1の直列共振回
路に流れる電流、制動コンデンサ(Cd)に流れる電
流、補正用コイル11に流れる電流である。ここでiC
d+A・iLd=0の関係式が成り立つように増幅率A
を設定すると、共振回路位相信号Vf2は(12)式で
示される。
【0091】なお補正用コイル11は超音波振動子1の
共振周波数において超音波振動子1の制動コンデンサ
(Cd)と並列共振するインダクタンスLdを有してお
り、Ld=1/((ωr 2 ・Cd)である。したがっ
てiCd=A・iLdの関係式が成立する増幅率AはA
=1であり、この値はj・ωr ・Cd・V1+A・V1
/(j・ωr ・Ld)=0に、Ld=1/((ωr 2
・Cd)を代入することにより求められる。ここで超音
波振動子1の共振周波数をfrとしたとき、ωr=2π
frである。
【0092】以上のように第4の実施形態においても、
第3の実施形態と同様に、超音波振動子1の制動コンデ
ンサ(Cd)の静電容量が変化したとしても、超音波振
動子1の駆動中に、増幅器20の増幅率Aを適切な値に
設定することにより、共振回路位相信号Vf2が超音波
振動子1の直列共振回路に流れる電流iZと同位相の信
号となる。すなわちPLL制御回路30へ帰還される共
振回路位相信号Vf2は常に適正な信号となる。したが
ってPLL制御回路30のPLL制御が正しく行なわ
れ、発振源31の発振周波数foは超音波振動子1の共
振周波数に追従し、超音波振動子1はその共振周波数で
駆動可能となる。
【0093】例えば制動コンデンサ(Cd)の静電容量
がn倍の静電容量n・Cdになったとする。この場合、
増幅率AをA=nに調整すれば、(14)および(1
2)式と同様な関係が成立する。したがって共振回路位
相信号Vf2と印加電圧位相信号Vf1とが同位相とな
るように、PLL制御回路30の制御により発振源31
の発振周波数foが調整されれば、超音波振動子1がそ
の共振周波数で駆動される。
【0094】これまでの説明から明らかなように、増幅
器20の増幅率Aが適切な値に設定されているとき、超
音波振動子1はその共振周波数で駆動可能であり、これ
に対し増幅率Aが適切な値に設定されていないとき、超
音波振動子1はその共振周波数とは異なる周波数で駆動
されてしまう。ここで増幅器20の増幅率Aが適切な値
に設定されていないときのPLL制御回路30の制御動
作について説明する。
【0095】超音波振動子1を長時間駆動している間
に、それ自体の温度変化等により超音波振動子1の制動
コンデンサ(Cd)の静電容量がn倍の静電容量n・C
d(n≠1)になったとする。このとき、増幅器20の
増幅率Aが変更されず、増幅率AがA=1に設定された
ままであるとすると、PLL制御回路30に帰還される
共振回路位相信号Vf2は(15)式により示される。 Vf2=k・iZ+k・(iCd+A・iLd) =k・iZ +k・(j・ωr ・n・Cd・V1 −1・j・V1/(ωr ・Ld)) =k・iZ+j・(n−1)・k・ωr ・Cd・V1 ・・・(15) (15)式から明らかなように、制動コンデンサ(C
d)の静電容量がn倍の静電容量n・Cd(n≠1)に
変化しても、増幅器20の増幅率AがA=nに変更され
ずに、A=1に定められているため、共振回路位相信号
Vf2が超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流i
Zと同位相ではなくなり、PLL制御回路30への正し
い帰還が行なわれない。換言すると、n≠1であるた
め、j・(n−1)・k・ωr ・Cd・V1の信号成分
によって共振回路位相信号Vf2に誤差、すなわち超音
波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZ対して位相
ずれが生じている。
【0096】(15)式は発振周波数foが共振周波数
frと一致している場合の共振回路位相信号Vf2であ
る。共振周波数frと異なる発振周波数foで超音波振
動子1を駆動している場合の共振回路位相信号Vf2は
(16)式により示される。この場合の共振回路位相信
号Vf2も、超音波振動子1の直列共振回路に流れる電
流iZの位相に対する位相ずれを有し、PLL制御回路
30への正しい帰還が行なわれない。 Vf2=k・iZ+k・(iCd+A・iLd) =k・iZ +k・(j・ωo ・n・Cd・V1 −1・j・V1/(ωo ・Ld)) =k・iZ+j・(n・ωo −(ωr 2 /ωo )・k・Cd・V1 ・・・(16) ただし、ωo =2πfoである。この場合、j・(n・
ωo −(ωr 2 /ω o )・k・Cd・V1の信号成分
によって共振回路位相信号Vf2に位相ずれが生じてい
る。
【0097】図18、図19を参照して共振回路位相信
号Vf2の位相ずれについて詳述する。図18、図19
は増幅器20の増幅率AをA=1に設定したときの印加
電圧位相信号Vf1と共振回路位相信号Vf2との関係
を示したベクトル図である。第4の実施形態で行なわれ
るPLL制御では、第3の実施形態で行なわれるPLL
制御と同様に、印加電圧位相信号Vf1と共振回路位相
信号Vf2との位相差が常に0°になるようにPLL制
御が行なわれる。
【0098】超音波振動子1の制動コンデンサ(Cd)
の静電容量が1倍の静電容量n・Cd(n=1)である
とき、第3の実施形態と同様に、印加電圧位相信号Vf
1と共振回路位相信号Vf2との関係は、図12に示す
ベクトル図となる。
【0099】図18は制動コンデンサ(Cd)の静電容
量がn倍の静電容量n・Cd(n>1)になったとき、
すなわち増幅率Aが適切な値に設定されていないときの
ベクトル図である。例えば超音波振動子1の長時間駆動
により、制動コンデンサ(Cd)がn倍の静電容量n・
Cd(n>1)に変化した直後、まだ、発振源31の発
振周波数foは超音波振動子1の共振周波数frとほぼ
一致した状態にある。この状態のベクトル図を図18
(a)に示す。(15)式に示すj・(n−1)・k・
ωr ・Cd・V1の信号成分は、n>1であるため、超
音波振動子1に印加される電圧信号V1に対して90°
位相の進んだものである。また、発振周波数foが共振
周波数frとほぼ一致しており、超音波振動子1の直列
共振回路に流れる電流iZが超音波振動子1に印加され
る電圧信号V1と同位相であるため、(15)式に示す
k・iZの信号成分は、印加電圧位相信号Vf1と同位
相のものである。これらのj・(n−1)・k・ωr
Cd・V1の信号成分とk・iZの信号成分との合成信
号が共振回路位相信号Vf2であるので、共振回路位相
信号Vf2の位相は印加電圧位相信号Vf1の位相に対
して位相角θ1(0〜90°)だけ進むことになる。そ
のため、PLL制御回路30では、共振回路位相信号V
f2が印加電圧位相信号Vf1と同位相になるように、
発振源31の発振周波数foが調整され始める。
【0100】PLL制御により発振周波数foが調整さ
れたときのベクトル図を図18(b)に示す。共振回路
位相信号Vf2を構成する信号成分のうち、j・(n−
1)・k・ωr ・Cd・V1の信号成分は(16)式に
示すようにj・(n・ωo −(ωr 2 /ωo )・k・
Cd・V1に変化する。しかしながらこの信号成分の変
化では、ベクトル方向は不変であり、ベクトルの大きさ
の変化も少ない。一方、k・iZの信号成分は発振周波
数foを変更することにより、印加電圧位相信号Vf1
との位相差を変更可能である。したがって図18(b)
に示すように制動コンデンサ(Cd)の静電容量がn倍
の静電容量n・Cd(n>1)になった場合、PLL制
御回路30では、第3の実施形態と同様に、k・iZの
信号成分の位相が印加電圧位相信号Vf1より位相角θ
1’(0〜90°)だけ遅れるように、発振源31の発
振周波数foが制御される。すなわち発振周波数foは
共振周波数frよりも高くなるように変更される。
【0101】図19は制動コンデンサ(Cd)の静電容
量がn倍の静電容量n・Cd(n<1)になったとき、
すなわち増幅率Aが適切な値に設定されていないときの
ベクトル図である。超音波振動子1が低温雰囲気中に長
時間放置され、制動コンデンサ(Cd)の静電容量がn
倍の静電容量n・Cd(n<1)となったとき、超音波
振動子1の駆動開始時すなわちPLL制御開始時には、
発振周波数foは共振周波数frとほぼ一致した状態で
ある。その時のベクトル図を図19(a)に示す。(1
5)式に示すj・(n−1)・k・ωr ・Cd・V1の
信号成分は、n<1であるため、超音波振動子1に印加
される電圧信号V1に対して90°位相の遅れたもので
ある。超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流iZ
が超音波振動子1に印加される電圧信号V1と同位相で
あるため、(15)式に示すk・iZの信号成分は電圧
信号V1と同位相である。これらのj・(n−1)・k
・ωr ・Cd・V1の信号成分とk・iZの信号成分と
の合成信号が共振回路位相信号Vf2であり、共振回路
位相信号Vf2の位相は印加電圧位相信号Vf1に対し
て位相角θ2(0〜90°)だけ遅れている。そのた
め、PLL制御回路30では、共振回路位相信号Vf2
が印加電圧位相信号Vf1と同位相の信号となるよう
に、発振源31の発振周波数foが調整され始める。
【0102】PLL制御により発振周波数foが調整さ
れたときのベクトル図を図19(b)に示す。共振回路
位相信号Vf2を構成する信号成分のうち、j・(n−
1)・k・ωr ・Cd・V1の信号成分は(16)式に
示すj・(n・ωo −(ωr2 /ωo )・k・Cd・
V1に変化する。しかしながら、この信号成分の変化で
は、ベクトル方向は不変であり、ベクトルの大きさの変
化も少ない。一方、k・iZの信号成分は発振周波数f
oを変更することにより印加電圧位相信号Vf1との位
相差を変更可能である。この場合、第3の実施形態と同
様に、k・iZの信号成分の位相を印加電圧位相信号V
f1より位相角θ2’(0〜90°)だけ進むように、
すなわち発振源31の発振周波数foが共振周波数fr
より低くなるように、PLL制御が行なわれる。
【0103】以上のように制動コンデンサ(Cd)の静
電容量がn倍の静電容量n・Cd(n≠1)に変化し、
共振回路位相信号Vf2に誤差が生じているとき、すな
わち増幅器20の増幅率Aが適切な値に設定されていな
いとき、発振周波数foがPLL制御により大きく変更
される。
【0104】以上第4の実施形態が第3の実施形態と異
なる点についてのみ説明した。この第4の実施形態にお
いても、第3の実施形態と同様に、超音波振動子1の駆
動中に、増幅器20の増幅率Aが発振周波数foに基づ
いて自動的に調整されることにより、超音波振動子1を
常にその共振周波数で効率よく駆動することが可能とな
る。また制動コンデンサ(Cd)の異なる超音波振動子
を駆動する際にも、超音波振動子1をその共振周波数で
駆動することが可能である。
【0105】図20を参照して第5の実施形態について
説明する。第5の実施形態である超音波振動子1の駆動
装置では、PLL制御回路30に帰還される共振回路位
相信号Vf2の位相ずれを補正する位相補正器60と、
位相補正器60の位相補正量を調整するための位相補正
量調整回路61とが設けられる。また補正用コンデンサ
10aと補正用コンデンサ10cとの間には、電圧検出
器33cが設けられる。電圧検出器33cにより検出さ
れる電圧信号V3は補正用コンデンサ10aに印加され
る電圧信号と補正用コンデンサ10cに印加される電圧
信号との差であり、図10に示す位相合成用演算器21
の出力信号に対応する。すなわち電圧信号V3は共振回
路位相信号Vf2であり、この共振回路位相信号Vf2
が位相補正器60に入力され、そこで位相補正を施さ
れ、その結果適正な共振回路位相信号Vf2がPLL制
御回路30に帰還される。以上の点が第2の実施形態と
異なる点であり、その他の点は同様である。以下異なる
点についてのみ説明する。
【0106】印加電圧位相信号Vf1は、第2の実施形
態と同様に、(1)式により示される。補正用コンデン
サ10aに印加される電圧信号Vaおよび補正用コンデ
ンサ10cに印加される電圧信号Vcはそれぞれ(1
7)、(18)式で表される。 Va=V・(Z・Cd/Cc+1/(j・ω0 ・Cc)) /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) ・・・(17) Vc=V・Cd/(Cd+Cc) ・・・(18) ただし、Zは超音波振動子1の直列共振回路の合成イン
ピーダンスであり、Cd、Ccはそれぞれ制動コンデン
サ(Cd)の静電容量、補正用コンデンサ10aの静電
容量である。またVは超音波振動子1と補正用コンデン
サ10aの両端に印加される電圧であり、ω0 =2πf
oである。
【0107】共振回路位相信号Vf2は、補正用コンデ
ンサ10cに印加される電圧信号Vcと補正用コンデン
サ10aに印加される電圧信号Vaとの差である。すな
わち共振回路位相信号Vf2は(19)式により示され
る。 Vf2=Vc−Va =V・Cd/(Cd+Cc) −V・(Z・Cd/Cc+1/(j・ω0 ・Cc)) /(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) =j・V/(Z・(1+Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) /(ω0 ・(Cd+Cc)) =j・V・Z/(Z・(1+Cd/Cc) +1/(j・ω0 ・Cc))/Z/(ω0 ・(Cd+Cc)) =j・V1/Z/(ω0 ・(Cd+Cc)) =j・iZ/(ω0 ・(Cd+Cc)) ∽j・iZ ・・・(19) ただし、iZは超音波振動子1の直列共振回路に流れる
電流であり、iZ=V1/Zである。(19)式から明
らかなように、共振回路位相信号Vf2は超音波振動子
1の直列共振回路に流れる電流iZに比例し、その位相
は電流iZに対して90°進んでいる。
【0108】以上から明らかなように、第5の実施形態
でも、第2の実施形態と同様に、共振回路位相信号Vf
2の位相が印加電圧位相信号Vf1の位相に対して90
°進むようにPLL制御が行なわれる。さらに第5の実
施形態では、共振回路位相信号Vf2の位相が超音波振
動子1の直列共振回路に流れる電流iZに対して90°
進相以外の状態であるとき、すなわち共振回路位相信号
Vf2に位相ずれが生じているとき、超音波振動子1の
駆動周波数すなわち発振源31の発振周波数foに基づ
いて位相補正量調整回路61により位相補正量が調整さ
れ、その調整された位相補正量だけ位相補正器60によ
り共振回路位相信号Vf2の位相が補正される。したが
って超音波振動子1の制動コンデンサ(Cd)の静電容
量が変化して、その結果共振回路位相信号Vf2の位相
ずれが生じても、その位相ずれが位相補正器60により
補正されるため、常にPLL制御回路30への正しい帰
還が行なわれる。
【0109】以下共振回路位相信号Vf2の位相ずれに
ついて詳述する。超音波振動子1を長時間駆動している
間に、超音波振動子1の制動コンデンサ(Cd)の静電
容量が変化して、n倍の静電容量n・Cd(n≠1)に
なったとする。この場合、共振回路位相信号Vf2は
(20)式により示される。 Vf2=Vc−Va =V・Cd/(Cd+Cc) −V・(Z・n・Cd/Cc+1/(j・ω0 ・Cc)) /(Z・(1+n・Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) =V・(1−n)・Z・Cd /(Z・(1+n・Cd/Cc)+1/(j・ω0 ・Cc)) /(Cd+Cc) +j・V/(Z・(1+n・Cd/Cc) +1/(j・ω0 ・Cc))/(ω0 ・(Cd+Cc)) =(1−n)・V1・Cd/(Cd+Cc) +j・iZ/(ω0 ・(Cd+Cc)) ・・・(20) ここで、Vc、Vaは補正用コンデンサ10c、10a
にそれぞれ印加される電圧である。(20)式から明ら
かなように、制動コンデンサ(Cd)の静電容量がn倍
の静電容量n・Cd(n≠1)に変化すると、共振回路
位相信号Vf2は超音波振動子1の直列共振回路に流れ
る電流iZに対応しなくなる。すなわち共振回路位相信
号Vf2の位相は超音波振動子1の直列共振回路に流れ
る電流iZに対して90°進相ではなくなる。したがっ
てPLL制御回路30への正しい帰還が行なわれない。
換言すると、n≠1であるため、(1−n)・V1・C
d/(Cd+Cc)が共振回路位相信号Vf2に位相ず
れを与えている。
【0110】図21〜図23を参照する。図21〜図2
3は、印加電圧位相信号Vf1と共振回路位相信号Vf
2との関係を示すベクトル図である。第5の実施形態の
PLL制御回路30でも、第1の実施形態のPLL制御
回路30と同様に、超音波振動子1に印加される電圧信
号V1と超音波振動子1の直列共振回路に流れる電流i
Zとが同位相になるように、すなわち印加電圧位相信号
Vf1と共振回路位相信号Vf2との位相差が常に90
°になるようにPLL制御が行なわれる。
【0111】図21は制動コンデンサ(Cd)の静電容
量が1倍の静電容量n・Cd(n=1)である場合のベ
クトル図である。このとき、第1の実施形態と同様に、
(20)式に示す(1−n)・V1・Cd/(Cd+C
c)の信号成分がないので、共振回路位相信号Vf2の
位相ずれは生じていない。PLL制御により発振周波数
foが制御されると、超音波振動子1の直列共振回路に
流れる電流iZと超音波振動子1に印加される電圧信号
V1とが同位相になる。すなわち超音波振動子1は共振
しており、発振源31の発振周波数foは超音波振動子
1の共振周波数frと一致している。
【0112】図22は制動コンデンサ(Cd)の静電容
量がn倍の静電容量n・Cd(n>1)となった場合の
ベクトル図である。図22(a)は第1の実施形態の図
4(a)と同様に、制動コンデンサ(Cd)の静電容量
がn倍の静電容量n・Cd(n>1)に変化した直後、
まだ発振周波数foが共振周波数frとほぼ一致してい
る状態のベクトル図である。この場合、(1−n)・V
1・Cd/(Cd+Cc)の信号成分は、印加電圧位相
信号Vf1に対して180°の位相差を有するものであ
り、j・iZ/(ωO ・(Cd+Cc))の信号成分
は、印加電圧位相信号Vf1に対して90°位相の進ん
だものである。これらの(1−n)・V1・Cd/(C
d+Cc)の信号成分とj・iZ/(ωO ・(Cd+C
c))の信号成分との合成信号が共振回路位相信号Vf
2であるので、共振回路位相信号Vf2の位相は印加電
圧位相信号Vf1の位相に対して90°以上進むことに
なる。そのため、PLL制御回路30では、共振回路位
相信号Vf2の位相が印加電圧位相信号Vf1の位相よ
り90°進むように、発振源31の発振周波数foが調
整され始める。
【0113】PLL制御により発振周波数foが調整さ
れたときのベクトル図を図22(b)に示す。この場
合、第1の実施形態と同様に、共振回路位相信号Vf2
を構成する信号成分のうち、j・iZ/(ω0 ・(Cd
+Cc))の信号成分は発振周波数foすなわち超音波
振動子1の駆動周波数を変更することにより、印加電圧
位相信号Vf1との位相差を変更可能である。この場
合、PLL制御回路30では、共振回路位相信号Vf2
の位相を印加電圧位相信号Vf1の位相より90°進む
ように、換言すると、j・iZ/(ωO ・(Cd+C
c))の信号成分と印加電圧位相信号Vf1との位相差
が90°以下になるように、発振源31の発振周波数f
oが制御される。すなわち発振周波数foが共振周波数
frより高くなるように変更される。
【0114】図23は、制動コンデンサ(Cd)の静電
容量がn倍の静電容量n・Cd(n<1)になった場合
のベクトル図である。図23(a)は、第1の実施形態
の図5(a)と同様に、PLL制御開始時に発振周波数
foが共振周波数frとほぼ一致している状態のベクト
ル図である。この場合、(1−n)・V1・Cd/(C
d+Cc)の信号成分は、印加電圧位相信号Vf1と同
位相であり、j・iZ/(ωO ・(Cd+Cc))の信
号成分は印加電圧位相信号Vf1に対して90°位相の
進んだものである。これらの(1−n)・V1・Cd/
(Cd+Cc)の信号成分とj・iZ/(ωO ・(Cd
+Cc))の信号成分との合成信号が共振回路位相信号
Vf2であるので、共振回路位相信号Vf2と印加電圧
位相信号Vf1との位相差は90°以下となる。そのた
め、PLL制御回路30では、共振回路位相信号Vf2
の位相が印加電圧位相信号Vf1の位相より90°進む
ように、発振源31の発振周波数foが調整され始め
る。
【0115】PLL制御により発振周波数foが調整さ
れたときのベクトル図を図23(b)に示す。この場合
も第1の実施形態と同様に、共振回路位相信号Vf2を
構成する信号成分のうち、j・iZ/(ωO ・(Cd+
Cc))の信号成分は発振周波数foすなわち超音波振
動子1の駆動周波数を変更することにより印加電圧位相
信号Vf1との位相差を変更可能である。この場合、P
LL制御回路30では、共振回路位相信号Vf2の位相
が印加電圧位相信号Vf1より90°進むように、換言
すると、j・iZ/(ωO ・(Cd+Cc))の信号成
分と印加電圧位相信号Vf1との位相差が90°以上に
なるように、発振源31の発振周波数foが制御され
る。すなわち発振周波数foは共振周波数frより低く
なるように変更される。
【0116】第5の実施形態では、PLL制御回路30
のPLL制御による発振周波数foの調整は第1の実施
形態で図6に示したように行なわれるので説明を省略す
る。既に述べたように、超音波振動子1の制動コンデン
サ(Cd)の静電容量が超音波振動子1自体の温度変化
等によって変化すると、共振回路位相信号Vf2に位相
ずれが生じる。したがって、共振回路位相信号Vf2の
位相ずれを検出し、補正する必要がある。
【0117】上述のように、制動コンデンサ(Cd)の
静電容量が変化すると、共振回路位相信号Vf2の位相
ずれが生じ、PLL制御回路30の制御により発振源3
1の発振周波数foが変更される。このことを利用し
て、共振回路位相信号Vf2の位相ずれを検出すること
ができる。
【0118】共振回路位相信号Vf2の位相ずれのため
に、PLL制御回路30の制御により発振周波数foが
変更されるとき、実際には、発振周波数foは、少しだ
け高い周波数または少しだけ低い周波数に変更されるの
ではなく、制御可能なほぼ最高周波数fmaxまたは最
低周波数fminに変更される。
【0119】制動コンデンサ(Cd)の静電容量がn倍
の静電容量n・Cd(n>1)であるとき、PLL制御
により発振周波数foがほぼ最高周波数fmaxに変更
される。換言すると、発振周波数foがほぼ最高周波数
fmaxであるときは、共振回路位相信号Vf2の位相
が印加電圧位相信号Vf1より90°以上進んでおり、
すなわち共振回路位相信号Vf2に位相角θ1(図22
(a)参照)だけ進相方向に位相ずれが生じている。こ
れに対し制動コンデンサ(Cd)の静電容量n・Cd
(n<1)であるとき、発振周波数foがほぼ最低周波
数fminに変更される。換言すると、発振周波数fo
がほぼ最低周波数fminであるときは、共振回路位相
信号Vf2と印加電圧位相信号Vf1との位相差が90
°以下であり、共振回路位相信号Vf2に位相角θ2
(図23(a)参照)だけ遅相方向に位相ずれが生じて
いる。
【0120】検出された共振回路位相信号Vf2の位相
ずれを補正するように、位相補正器60の位相補正量が
調整される。この位相補正量の調整について詳述する。
位相補正量をθとすると、符号+は位相を進ませること
を意味し、符号−は位相を遅らせることを意味する。発
振周波数foが共振周波数範囲(fr−Δfr<fo<
fr+Δfr:fo≒fr)内であるとき、位相補正量
θは適切な値に設定されている。したがって位相補正量
θの調整は行なわれない。発振周波数foが共振周波数
範囲の最大値fr+Δfrより高いとき(fo>fr+
Δfr)、例えば発振周波数foが最高周波数fmax
であるとき、共振回路位相信号Vf2に進相方向の位相
ずれが生じているため、共振回路位相信号Vf2の位相
を遅らせる必要があり、位相補正量θが小さくなるよう
に調整される。すなわち位相補正量θがθ−Δθ(例え
ばΔθ=1°)に設定される。これに対し、発振周波数
foが共振周波数範囲の最小値fr−Δfrより低いと
き(fo<fr−Δfr)、例えば発振周波数foが最
低周波数fminであるとき、共振回路位相信号Vf2
に遅相方向の位相ずれが生じているため、共振回路位相
信号Vf2の位相を進ませる必要があり、位相補正量θ
が大きくなるように調整される。すなわち位相補正量θ
がθ+Δθに設定される。
【0121】なお共振周波数範囲(fr−Δfrからf
r+Δfr)は第1の実施形態と同様に定めるとよい。
位相補正量θの変更量Δθは、超音波振動子の駆動装置
全体に基づいて設定されればよい。また変更量Δθは常
に一定である必要はなく、発振周波数foと共振周波数
frの差に応じて変更量Δθを変化させてもよい。
【0122】図24を参照して位相補正量θの調整を行
なう位相補正量調整ルーチンについて説明する。この位
相補正量調整ルーチンが第1の実施形態の図8に示す増
幅率調整ルーチンと異なるステップはステップ200、
ステップ210であり、その他のステップは同様であ
る。以下ステップ200、ステップ210の処理につい
て説明する。この位相補正量調整ルーチンは位相補正量
調整回路61に設けられる後述するCPUにおいて実行
される。
【0123】ステップ120からステップ130におい
て、発振周波数foが共振周波数範囲内にはないと判定
されたとき(fo<fr−Δfr、またはfr+Δfr
<fo)、位相補正器60の位相補正量θが適切な値に
設定されていないので、ステップ200またはステップ
210において、位相補正量θがθ=θ−Δθまたはθ
=θ+Δθに変更され、ステップ100の処理が再び実
行される。
【0124】超音波振動子1が駆動されている間、上述
のような位相補正量θの調整が行なわれ、位相補正量θ
は最適な値に設定される。
【0125】これまでに述べたような位相補正量の調整
を行なうための位相補正量調整回路61と位相補正器6
0のブロック図を図25に示す。発振源31からの発振
周波数foの信号が位相補正量調整回路61に取り込ま
れる。位相補正量調整回路61は周波数/電圧(f/
V)変換回路61a、A/D変換回路61b、CPU6
1cおよびD/A変換回路61dにより構成される。取
込まれた発振周波数foはf/V変換回路61aにより
アナログ電圧信号に変換され、その電圧信号がA/D変
換回路61bによりデジタル電圧信号に変換され、その
デジタル電圧信号がCPU61cに発振周波数foの値
として入力される。CPU61cでは、発振周波数fo
の値に基づいて位相補正量調整ルーチンに示すように位
相補正量θが調整される。この調整された位相補正量θ
に対応するデジタル電圧信号がCPU61cから出力さ
れ、D/A変換回路61dによりアナログ電圧信号に変
換される。このアナログ電圧信号に応じて位相補正器6
0の電圧制御増幅回路60cでは、その増幅率Aが変更
される。
【0126】位相補正器60は、45度進相回路60
a、90度遅相回路60b、電圧制御増幅回路60cお
よび加算回路60dにより構成される。位相補正器60
への入力信号および出力信号をそれぞれVf2inおよびV
f2out とする。位相補正器60に入力された入力信号V
f2inは、45度進相回路60aおよび90度遅相回路6
0bにより位相を変更されて、その結果2つの信号すな
わちX方向信号VxとY方向信号Vyに変換される。Y
方向信号Vyは電圧制御増幅回路60cにより増幅率A
で増幅され、その増幅された信号と、X方向信号Vxと
が加算回路60dにより加算され、その加算された信号
が出力信号Vf2out として位相補正器60から出力さ
れ、PLL制御回路30に帰還される。すなわち適正な
共振回路位相信号Vf2がPLL制御回路30に帰還さ
れる。
【0127】位相補正器60の入力信号Vf2inおよび出
力信号Vf2out とXおよびY方向信号Vx、Vyのベク
トル図を図26に示す。電圧制御増幅回路60cの増幅
率をAとすると、増幅率Aが1/√2であるとき、図2
6(b)に示すように入力信号Vf2inと出力信号Vf2ou
t とは同位相になる。図26(a)に示すように増幅率
Aが1/√2より大きいとき、出力信号Vf2out の位相
は入力信号Vf2inの位相より遅れ、図26(c)に示す
ように増幅率Aが1/√2より小さいとき、出力信号V
f2out の位相は入力信号Vf2inの位相より進む。したが
って、位相補正量θの変更は、電圧制御増幅回路60c
の増幅率Aを変更することにより行われる。電圧制御増
幅回路60cでは位相補正量調整回路61のD/A変換
回路61dから出力されたアナログ電圧信号に応じて増
幅率Aが変更される。
【0128】なお図24に示す位相補正量調整ルーチン
では、超音波振動子1を駆動している間に、位相補正量
θを調整する処理が繰りかえされるので、超音波振動子
1の駆動開始時に、発振周波数foが共振周波数frと
異なっていても(fo≠fr)、位相補正器60の位相
補正量θは適切な値に設定される。また、一旦適切な値
に設定されれば、その後は位相補正量θの適切な値が変
化しても即時その値に設定される。このため超音波振動
子1を常に共振周波数frで駆動することが可能であ
る。
【0129】以上のような第5の実施形態においても、
超音波振動子1の長時間の駆動等によるそれ自体の温度
変化のために制動コンデンサ(Cd)の静電容量が変化
しても、発振周波数foに基づいて位相補正量調整回路
61により位相補正器60の位相補正量θが自動的に変
更されるため、PLL制御回路30に帰還される共振回
路位相信号Vf2の位相ずれが補正され、PLL制御回
路30でのPLL制御が適正に行なわれる。これにより
超音波振動子1は常にその共振周波数frで駆動され
る。したがって超音波振動子1を常に効率よく駆動する
ことが可能である。
【0130】第5の実施形態で行なわれる位相補正量調
整ルーチンの変形例として図27に示す位相補正量調整
および駆動停止ルーチンについて説明する。超音波振動
子1やその先端に接続するホーンの損傷等により、超音
波振動子1の共振周波数frが大きく変動するとき、位
相補正器60の位相補正量θを変更しても、共振周波数
frで超音波振動子1を駆動することは不可能になる。
このような場合に、図27に示す位相補正量調整および
駆動停止ルーチンによって位相補正量θを調整して、異
常時には強制的に超音波振動子1の駆動を停止するとよ
い。なお位相補正量調整および駆動停止ルーチンを実行
する際、位相補正量θの設定可能範囲の最大値θmax
および最小値θminが予め設定される。位相補正量θ
がその設定可能範囲を超えたとき(θ<θmin、θ>
θmax)には超音波振動子1の駆動が強制的に停止さ
れ、第1の実施形態の変形例と同様に、超音波振動子1
を共振周波数frで駆動できない旨の表示が行われ、ア
ラーム等で異常が発生したことが報知される。これによ
って、超音波振動子1へ異常な高電圧の印加や、超音波
振動子1およびホーンの損傷の拡大が防止可能であり、
かつ使用者の安全も確保することができる。
【0131】第5の実施形態では、電圧検出器33cに
より検出される電圧信号V3は補正用コンデンサ10a
に印加される電圧信号と補正用コンデンサ10cに印加
される電圧信号とを減算したものであり、共振回路位相
信号Vf2である。すなわち電圧検出器33cは図10
に示す第2の実施形態の位相合成用演算器21および電
圧検出器33b、33cの構成を簡略化したものであ
り、この位相合成用演算器21および電圧検出器33
b、33cと同様に機能する。したがって第5の実施形
態では、電圧検出器33cの代わりに、位相合成用演算
器21および電圧検出器33b、33cを設ける構成と
してもよい。
【0132】第5の実施形態である超音波振動子の駆動
装置に設けられる位相補正器60および位相補正量調整
回路61を、図28〜図30に示すように第1の実施形
態、第3の実施形態、第4の実施形態の駆動装置に適用
することも可能である。この場合、制動コンデンサ(C
d)の変化により生じる共振回路位相信号Vf2の位相
ずれは、位相補正器60および位相補正量調整回路61
で補正されるため、増幅器20の増幅率Aを変更する必
要がない。このため増幅率調整回路22を取除き、増幅
率Aを所定の値(例えばA=Cc/CdまたはA=Cd
/Cc)に固定する構成にすればよい。なお図30で
は、電流検出器34aにより検出される電流i1は、超
音波振動子1に流れる電流と補正用コイル11に流れる
電流とを加算したものであり、共振回路位相信号Vf2
である。すなわち電流検出器34aは図17に示す電流
検出器34a、34bおよび加算器である位相合成用演
算器21の構成を簡略化したものであり、この電流検出
器34a、34bおよび位相合成用演算器21と同様に
機能する。したがって電流検出器34aの代わりに、電
流検出器34a、34bおよび位相合成用演算器21を
用いる構成としてもよい。
【0133】図31を参照して第6の実施形態である超
音波振動子の駆動装置について説明する。第6の実施形
態が第1の実施形態と異なる点は、位相補正回路35が
設けられ、発振源31の両端に電圧検出器33dが接続
され、電圧検出器33dにより検出された発振源31の
出力信号V4が印加電圧位相信号Vf1としてPLL制
御回路30に帰還される点である。印加電圧位相信号V
f1は超音波振動子1に印加される電圧信号V1に対応
しなければならない。一方位相補正回路35の位相補正
量を適切に定めることにより、発振源31の出力信号V
4を超音波振動子1に印加される電圧信号V1と同位相
にすることが可能である。したがって、第6の実施形態
でも、第1の実施形態と同様に、超音波振動子1がその
共振周波数で駆動可能である。
【0134】通常、超音波振動子1には、数十〜数百ボ
ルトの大きな電圧信号V1が印加される。この電圧信号
V1をPLL制御回路30に帰還可能にするためには、
電圧信号V1の大きさを低減する必要がある。また超音
波振動子1に印加される電圧信号V1は、超音波振動子
1の駆動状態によってその電圧値が変化し、この電圧値
の変化に応じて、PLL制御回路30に帰還される信号
の大きさを調整する必要がある。図31に示す第6の実
施形態である超音波振動子の駆動装置では、発振源31
の出力信号V4は超音波振動子1の駆動状態に関係無く
一定の大きさ(電圧値)であり、上述のようなPLL制
御回路30へ帰還される信号の大きさを調整することな
く、適正なPLL制御が行なわれ、超音波振動子1がそ
の共振周波数で効率よく駆動可能である。
【0135】なお第6の実施形態に適用された位相補正
回路35と電圧検出器33dとは第2の実施形態から第
5の実施形態にも同様に適用可能であり、それぞれの装
置で上述したように発振源31の出力信号V4がPLL
制御回路30に帰還され、帰還される信号の大きさを調
整することなく、適正なPLL制御が行なわれる。
【0136】図32を参照して第7の実施形態について
説明する。第7の実施形態が第1の実施形態と異なる点
は、超音波振動子1に対して直列にコイル36が接続さ
れた点である。コイル36は超音波振動子1の共振周波
数frにおいて超音波振動子1および補正用コンデンサ
10aの合成静電容量と直列共振するインダクタンスL
sを有している。すなわち超音波振動子1および補正用
コンデンサ10aの合成静電容量をCsとすると、合成
静電容量CsはCs=Cd・Cc/(Cd+Cc)であ
るので、コイル36のインダクタンスLsはLs=(C
d+Cc)/((ωr 2 ・Cd・Cc)となる。ただ
し、ωr =2πfrである。このようなコイル36を接
続することにより、超音波振動子1に印加される電圧信
号V1が、超音波振動子1にかかる機械的負荷Rに比例
する。換言すると、コイル36の接続により機械的負荷
追従機構が実現される。
【0137】この場合、電力増幅回路32の出力電圧V
sが一定であっても、超音波振動子1に印加される電圧
信号V1は、超音波振動子1にかかる機械的負荷Rに比
例する。このことは、超音波振動子1に印加される電圧
信号V1が(21)式に示されることから説明される。 V1=Vs・(R/(1+j・ωr ・Cd・R)) /(j・ωr ・Ls+1/(j・ωr ・Cc) +R/(1+j・ωr ・Cd・R)) =Vs・R /(j・ωr ・Ls+1/(j・ωr ・Cc) +R・((Cd+Cc)/Cc−(ωr 2 ・Ls・Cd) =−j・ωr ・Cd・Vs・R ・・・(21) ここで、超音波振動子1はその共振周波数frで駆動さ
れており、超音波振動子1の直列共振回路の合成インピ
ーダンスZはZ=Rとなることを利用している。(2
1)式において、角速度ωr は超音波振動子1の共振周
波数frで決まるためほぼ一定であり、制動コンデンサ
の静電容量Cdは温度依存性があるが極端には変動せ
ず、電力増幅回路32の出力電圧Vsは一定であるの
で、超音波振動子1に印加される電圧信号V1は機械的
負荷Rにほぼ比例する。
【0138】一般の電力増幅回路32の電圧増幅率は一
定であるので、電力増幅回路32への入力電圧を変更し
ない限り出力電圧Vsは一定である。第7の実施形態で
は、超音波振動子1にコイル36を直列に接続するだけ
で、電力増幅回路32の出力電圧Vsが一定でも、超音
波振動子1に印加される電圧信号V1が超音波振動子1
に加わる機械的負荷Rに比例するため、自動的に機械的
負荷追従機構が実現できる。また、機械的負荷Rに応じ
て変動する超音波振動子1に流れる電流を検出して超音
波振動子1に印加される電圧信号V1を増減させる方法
と比較して、回路構成を非常に簡略化することができ
る。なお第7の実施形態に適用されたコイル36は第2
の実施形態、第3の実施形態、第5の実施形態および第
6の実施形態にも同様に適用可能である。
【0139】図33、図34に示す第8の実施形態は、
超音波振動子1をフローティングで駆動したい場合に有
効であり、第1の実施形態と異なる点は、図33におい
ては、絶縁トランス37a、37b、37cが設けら
れ、図34においては、絶縁トランス37aが設けられ
る点である。この絶縁トランス37a、37b、37c
により超音波振動子1をフローティングで駆動させる構
成は第2の実施形態から第7の実施形態においても同様
に適用可能である。
【0140】
【発明の効果】本発明によれば、超音波振動子を常にそ
の共振周波数にて確実に駆動し、多様化する外科手術用
超音波処置装置や超音波溶着等にも容易に対応できる超
音波振動子の駆動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である超音波振動子の
駆動装置を示す回路図である。
【図2】超音波振動子の共振時の等価回路を示す図であ
る。
【図3】増幅器の増幅率が適切な値に設定されている場
合の共振回路位相信号と印加電圧位相信号との関係を示
すベクトル図である。
【図4】増幅器の増幅率が適切な値に設定されていない
場合(n>1)の共振回路位相信号と印加電圧位相信号
との関係を示すベクトル図である。
【図5】増幅器の増幅率が適切な値に設定されていない
場合(n<1)の共振回路位相信号と印加電圧位相信号
との関係を示すベクトル図である。
【図6】PLL制御の動作を示す図である。
【図7】増幅率調整回路を示すブロック図である。
【図8】増幅率を調整する増幅率調整ルーチンのフロー
チャートである。
【図9】増幅率の調整と異常時の駆動停止を行なう増幅
率調整および駆動停止ルーチンのフローチャートであ
る。
【図10】第2の実施形態である超音波振動子の駆動装
置を示す回路図である。
【図11】第3の実施形態である超音波振動子の駆動装
置を示す回路図である。
【図12】第3の実施形態で増幅器の増幅率が適切な値
に設定されている場合の共振回路位相信号と印加電圧位
相信号との関係を示すベクトル図である。
【図13】第3の実施形態で増幅器の増幅率が適切な値
に設定されていない場合(n>1)の共振回路位相信号
と印加電圧位相信号との関係を示すベクトル図である。
【図14】第3の実施形態で増幅器の増幅率が適切な値
に設定されていない場合(n<1)の共振回路位相信号
と印加電圧位相信号との関係を示すベクトル図である。
【図15】第3の実施形態で増幅率を調整する増幅率調
整ルーチンのフローチャートである。
【図16】第3の実施形態で増幅率の調整と異常時の駆
動停止を行なう増幅率調整および駆動停止ルーチンのフ
ローチャートである。
【図17】第4の実施形態である超音波振動子の駆動装
置を示す回路図である。
【図18】第4の実施形態で増幅器の増幅率が適切な値
に設定されていない場合(n>1)の共振回路位相信号
と印加電圧位相信号との関係を示すベクトル図である。
【図19】第4の実施形態で増幅器の増幅率が適切な値
に設定されていない場合(n<1)の共振回路位相信号
と印加電圧位相信号との関係を示すベクトル図である。
【図20】第5の実施形態である超音波振動子の駆動装
置を示す回路図である。
【図21】第5の実施形態で共振回路位相信号に位相ず
れが生じていない場合の共振回路位相信号と印加電圧位
相信号との関係を示すベクトル図である。
【図22】第5の実施形態で共振回路位相信号に位相ず
れが生じている(n>1)場合の共振回路位相信号と印
加電圧位相信号との関係を示すベクトル図である。
【図23】第5の実施形態で共振回路位相信号に位相ず
れが生じている(n<1)場合の共振回路位相信号と印
加電圧位相信号との関係を示すベクトル図である。
【図24】第5の実施形態で位相補正量を調整する位相
補正量調整ルーチンのフローチャートである。
【図25】第5の実施形態の位相補正量調整回路と位相
補正器を示すブロック図である。
【図26】位相補正器の入出力信号の関係を示すベクト
ル図である。
【図27】第5の実施形態で位相補正量の調整および異
常時の駆動停止を行なう位相補正量調整および駆動停止
ルーチンのフローチャートである。
【図28】第1の実施形態である超音波振動子の駆動装
置に位相補正量調整回路と位相補正器を適用した回路図
である。
【図29】第3の実施形態である超音波振動子の駆動装
置に位相補正量調整回路と位相補正器を適用した回路図
である。
【図30】第4の実施形態である超音波振動子の駆動装
置に位相補正量調整回路と位相補正器を適用した回路図
である。
【図31】第6の実施形態である超音波振動子の駆動装
置を示す回路図である。
【図32】第7の実施形態である超音波振動子の駆動装
置を示す回路図である。
【図33】第8の実施形態である超音波振動子の駆動装
置の一例を示す回路図である。
【図34】第8の実施形態である超音波振動子の駆動装
置の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 超音波振動子 θ 位相補正量 A 増幅率 31 発振源 fo 発振周波数 fr 共振周波数 V1 電圧信号(第1の電気信号) V2 電圧信号(第2の電気信号) V3 電圧信号(第3の電気信号) 21 位相合成用演算器(位相信号演算手段) 30 PLL制御回路(周波数制御手段) 60 位相補正器(位相補正手段) 61 位相補正量調整回路(位相補正量調整手段) 20 増幅器(増幅手段) 22 増幅率調整回路(増幅率調整手段) 33a 電圧検出器(振動子信号検出手段) 33b 電圧検出器(補正用素子信号検出手段) 33c 電圧検出器(並列素子信号検出手段) Vf2 共振回路位相信号 10a 補正用コンデンサ(補正用素子)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平10−253094 (32)優先日 平成10年9月7日(1998.9.7) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平10−253110 (32)優先日 平成10年9月7日(1998.9.7) (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波振動子をその共振周波数にて駆動
    する超音波振動子の駆動装置において、 前記超音波振動子を駆動するための信号を出力する発振
    源と、 前記超音波振動子に発生する第1の電気信号を検出する
    振動子信号検出手段と、 前記超音波振動子に直列または並列に接続された補正用
    素子に発生する第2の電気信号を検出する補正用素子信
    号検出手段と、 前記振動子信号検出手段により検出された前記第1の電
    気信号と、前記補正用素子信号検出手段により検出され
    た前記第2の電気信号との少なくとも一方を用いて、前
    記超音波振動子の直列共振回路に流れる電流に対応する
    共振回路位相信号を算出する位相信号演算手段と、 前記共振回路位相信号と、前記発振源の出力信号または
    前記超音波振動子に印加される電圧信号とを用いて、前
    記超音波振動子をその共振周波数で駆動するために前記
    発振源の出力信号の発振周波数を制御する周波数制御手
    段とを備えたことを特徴とする超音波振動子の駆動装
    置。
  2. 【請求項2】 前記第1および第2の電気信号の少なく
    とも一方を増幅する増幅手段が設けられ、前記位相信号
    演算手段が、前記増幅手段により前記第1または第2の
    電気信号の少なくとも一方が増幅された状態で、これら
    の第1および第2の電気信号を位相合成することにより
    前記共振回路位相信号を算出することを特徴とする請求
    項1に記載の超音波振動子の駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記補正用素子が前記超音波振動子に直
    列に接続され、さらに2個の補正用素子が設けられ、こ
    の2個の補正用素子と前記補正用素子および前記超音波
    振動子とはブリッジ状に接続され、前記2個の補正用素
    子の何れか一方に発生する第3の電気信号を検出する並
    列素子信号検出手段と、前記第2および第3の電気信号
    の少なくとも一方を増幅する増幅手段とが設けられ、前
    記位相信号演算手段が、前記増幅手段により前記第2お
    よび第3の電気信号の少なくとも一方が増幅された状態
    で、これらの第2および第3の電気信号を位相合成する
    ことにより前記共振回路位相信号を算出することを特徴
    とする請求項1に記載の超音波振動子の駆動装置。
  4. 【請求項4】 前記補正用素子が前記超音波振動子に直
    列に接続され、前記第1の電気信号が前記超音波振動子
    に印加される電圧信号であり、前記第2の電気信号が前
    記補正用素子に印加される電圧信号であることを特徴と
    する請求項1または請求項2に記載の超音波振動子の駆
    動装置。
  5. 【請求項5】 前記第2の電気信号が前記補正用素子に
    印加された電圧信号であり、前記第3の電気信号が前記
    2個の補正用素子の何れか一方に印加される電圧信号で
    あることを特徴とする請求項3に記載の超音波振動子の
    駆動装置。
  6. 【請求項6】 前記補正用素子が前記超音波振動子に並
    列に接続され、前記第2の電気信号が前記補正用素子に
    流れる電流であり、前記第1の電気信号が前記超音波振
    動子に流れる電流であることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の超音波振動子の駆動装置。
  7. 【請求項7】 前記増幅手段の増幅率を調整する増幅率
    調整手段が設けられることを特徴とする請求項2から請
    求項6の何れか1項に記載の超音波振動子の駆動装置。
  8. 【請求項8】 前記増幅率調整手段が、前記共振回路位
    相信号の位相と前記超音波振動子の直列共振回路に流れ
    る電流の位相とが所定の位相差を有するように、前記増
    幅率を調整することを特徴とする請求項7に記載の超音
    波振動子の駆動装置。
  9. 【請求項9】 前記増幅率調整手段が前記発振周波数に
    応じて前記増幅率を調整することを特徴とする請求項7
    に記載の超音波振動子の駆動装置。
  10. 【請求項10】 前記増幅率調整手段が前記発振周波数
    と前記超音波振動子の共振周波数とを略一致させるよう
    に前記増幅率を調整することを特徴とする請求項7に記
    載の超音波振動子の駆動装置。
  11. 【請求項11】 前記共振回路位相信号の位相を補正す
    る位相補正手段と、前記位相補正手段により補正される
    位相補正量を調整する位相補正量調整手段とが設けら
    れ、前記位相補正手段が、前記位相信号演算手段により
    算出された前記共振回路位相信号の位相を、前記位相補
    正量調整手段により調整された位相補正量だけ補正する
    ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に
    記載の超音波振動子の駆動装置。
  12. 【請求項12】 前記位相補正量調整手段が、前記超音
    波振動子の直列共振回路に流れる電流に対する前記共振
    回路位相信号の位相ずれを補正するように前記位相補正
    量を調整することを特徴とする請求項11に記載の超音
    波振動子の駆動装置。
  13. 【請求項13】 前記位相補正量調整手段が、前記発振
    周波数に応じて前記位相補正量を調整することを特徴と
    する請求項11に記載の超音波振動子の駆動装置。
  14. 【請求項14】 前記位相補正量調整手段が、前記発振
    周波数と前記超音波振動子の共振周波数とを略一致させ
    るように前記位相補正量を調整することを特徴とする請
    求項11に記載の超音波振動子の駆動装置。
  15. 【請求項15】 前記補正用素子がコンデンサまたはコ
    イルであることを特徴とする請求項1から請求項14の
    何れか1項に記載の超音波振動子の駆動装置。
  16. 【請求項16】 前記発振源の出力信号を前記超音波振
    動子に印加される電圧信号とほぼ同位相とするために前
    記発振源の出力信号の位相を補正する位相補正手段が設
    けられ、前記周波数制御手段により前記発振源の出力信
    号と前記共振回路位相信号とを用いて前記発振周波数が
    制御されることを特徴とする請求項1から請求項15の
    何れか1項に記載の超音波振動子の駆動装置。
  17. 【請求項17】 前記超音波振動子と前記補正用素子と
    の合成静電容量と共振可能なコイルが前記超音波振動子
    に直列に接続されることをことを特徴とする請求項1か
    ら請求項16の何れか1項に記載の超音波振動子の駆動
    装置。
  18. 【請求項18】 前記周波数制御手段が、前記共振回路
    位相信号と、前記発振源の出力信号または前記超音波振
    動子に印加される電圧信号とが所定の位相差になるよう
    に、フェーズロックループ制御を行なって、前記発振周
    波数を調整することを特徴とする請求項1から請求項1
    7の何れか1項に記載の超音波振動子の駆動装置。
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