JP3695773B2 - 超音波振動子用駆動装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばランジュバン型圧電振動子を駆動し、発生した振動をプローブに伝達して所定の処置作業を行う外科用超音波メスや超音波加工装置等に使用される超音波振動子に係り、特に、その超音波振動子用駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の超音波変換器としての超音波振動子を用いる超音波装置は種々提案されており、これには例えば外科用超音波メスや超音波加工装置等が知られている。このような外科用超音波メスや超音波加工装置に使用される超音波振動子は、その変換効率を高めるため、従来から、その超音波振動子の機械的共振点で駆動することが知られており、その方法として、振動成分を帰還して発振させる自励式発振回路や、電圧制御発振器(VCO)を用いて、振動子の共振点の周波数を検出・追従して発振させる他励式発振回路等の方式が知られている。
【0003】
その中で、超音波振動子に加わる電圧と流れる電流の位相を検出し、その位相差が零となるように制御する、いわゆるフィーズ・ロック・ループ(PLL)方式の共振点追尾回路を用いるものは、共振周波数で確実に駆動できるため、超音波振動子に加わる負荷の変化に追従する方法として優れている。また、発明者はこの技術を応用して確実に共振点に、PLL動作をロックインさせる方式を出願した(特開平2−290281号公報を参照)。これは、共振点での駆動に入る前に、オープンループで周波数をスキャンし、その途中で共振点を検出したら、クローズループに移行し、PLL動作にスムーズに入るというものである。
【0004】
また、超音波振動子を駆動する他の技術として、振動振幅を一定化するために、負荷変動によらずに定電流化する方式も知られている(特開平2−265681号公報)。これは超音波振動子に流れる電流を検出し、フィードバックする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の駆動回路においては、超音波振動子に締結するプローブが多種にわたる場合であっても安定した駆動を行なえるが、次のような問題があることが判明した。
【0006】
すなわち、前記駆動回路では、PLL制御による共振点追尾、及び定電流制御による振幅の一定化を行なっているが、これらの閉ループの過度特性においては、多種のプローブ負荷でも安定して動作するような特性に設計する。この場合、周波数をスキャンして共振点をサーチする際、早く周波数を変化させると、時定数が大きいため、その変化にループの動作が追従できず、結局、発振開始動作が不安定になるという事態が起きる。
【0007】
また、定電流駆動制御において、発振開始時は、電流値は零であるため、発振回路から超音波振動子へ大きな電圧を加えるように働き、その後、フィードバック信号としての電流検出信号が現れて、ある点に収束するという動作をする。このため、これも、発振開始動作時に過大電圧が加わるなどの不安定な動作となるという問題があった。
【0008】
本発明は前記課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、その超音波振動子や駆動回路にストレスを与えず、安定した定振幅振動を与え得る超音波振動子用駆動装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、超音波振動子を発振させる駆動電力を前記超音波振動子に供給するための電力供給手段と、
前記電力供給手段から前記超音波振動子に供給される電流信号と電圧信号を検出する電流電圧検出回路と、
前記電流電圧検出回路に接続され、前記電流信号と前記電圧信号の共振点を検出する共振点検出回路と、
前記電流電圧検出回路に接続され、前記電圧信号と前記電流信号の位相差に応じた出力信号を発生可能な位相比較回路と、
前記位相比較回路で発生された前記出力信号の応答性を切り替えて出力可能となるように、予め設定された所定の時定数と前記時定数を切り替える切換手段を備えたフィルタ回路と、
前記フィルタ回路に接続され、前記フィルタ回路で前記時定数を切り替えて出力される前記出力信号に応じて前記電力供給手段に入力される位相信号を出力する発振回路と、
前記時定数を変更するために前記切換手段を切り替える制御回路と、
を具備することを特徴とする超音波振動子駆動用装置である。
【0010】
【実施例】
(第1の実施例)
図1は本発明の第1の実施例に係る超音波振動子の駆動回路であり、この実施例はランジュバン型振動子を用いた超音波メス装置に適用したものである。
同図中、10は超音波メス用のハンドピースであり、このハンドピース10には、ランジュバン型振動子11が組み込まれている。この振動子11は後述する駆動回路によって駆動される。振動子11には発生した超音波振動を処置部位に伝えるプローブ12が締結されている。
【0011】
前記振動子11を駆動する駆動回路はその超音波振動子を共振点を追尾して駆動させる。また、その発振を開始するステップと、発振開始後所定の状態を維持するステップとで、その駆動回路の追尾特性を切り換える手段を有するように構成されている。すなわち、電圧制御発振器(VCO)14およびパワーアンプ15を有してなり、通常、20KHz〜40KHzの超音波周波数の電力を発生し、これを電圧・電流検知部16を通じてランジュバン型振動子11に印加する。
【0012】
前記電圧・電流検知部16は、ランジュバン型振動子11に加わる電圧の位相信号θvと振動に応じた電流の位相信号θIを検出する。電圧・電流検知部16で検出された電圧位相信号θvは、位相比較回路(PC)17のバリアブル入力端子(V)に供給され、一方、電流位相信号θIは、位相比較回路(PC)17のリファレンス入力端子(R)に供給される。そして、電圧位相信号θvと電流位相信号θIは、位相比較回路(PC)17により、その位相差に応じた電圧信号に変換され、ローパスフィルタ(LPF)18に入力される。このローパスフィルタ18にて直流化された制御電圧が、前記電圧制御発振器(VOC)14にフィードバックされる。これにより、フェーズ・ロック・ループ(PLL)を構成している。
【0013】
ローパスフィルタ18には、発振開始時のステップと開始後の所定の状態でステップで、その時定数を変更するための切り換え手段として、その抵抗素子19に平行に接続したスイッチ20が含まれている。このスイッチ20は後述する制御回路21によって操作される。このスイッチ20には電子スイッチ、例えばアナログスイッチを用いることが望ましい。
【0014】
また、前記各位相信号θv、θIは、共振点検知部22に入力され、その位相差が零になった点を検出する。この検出信号は、制御回路21に入力される。
一方、23は周波数スキャン信号発生回路であり、これは発振開始時に周波数が、例えば40KHzから20KHzに次第に変化する信号θsを発生する。この信号は切換え用スイッチ24を介して前記位相比較回路17のリファレンス入力端子(R)に入力される。切換え用スイッチ24は前記制御回路21によって切り換え操作され、前記電圧・電流検知部16からの電流位相θIと周波数スキャン信号発生回路23からの信号θsのいずれかを位相比較回路17のリファレンス入力端子(R)へ選択的に供給するものである。
【0015】
このように構成された駆動回路によるその駆動のオン/オフ操作は、発振開始スイッチ25によって行われる。この発振開始スイッチ25としては、例えばフットスイッチを用いることができる。
【0016】
このように構成された駆動回路は、制御回路21によって、以下のように制御される。まず、発振開始前、切換え用スイッチ24を周波数スキャン信号発生回路23側に切り換えてあり、周波数スキャン信号θsを位相比較回路17のリファレンス入力端子(R)に入力させる状態とする。また、ローパスフィルタ(LPF)18の時定数を切り換える切り換える手段としてのスイッチ20をオンの状態とする。つまり、発振開始時に適する特性の状態に駆動回路を設定する手段が組み込まれている。
【0017】
超音波メスを発振開始時、すなわち、発振開始スイッチ25をオン操作すると、制御回路21はスキャン信号発生回路23に発振動作を開始する信号を与える結果、スキャン信号発生回路23は、例えば40KHzから20KHzの時間的に変化する周波数の信号θsを発生する。この時、位相比較回路17、ローパスフィルタ18、電圧制御発振器14からなるフェーズ・ロック・ループは、電圧位相信号θvが、そのスキャン信号θsにロックして、同様に、電圧位相信号θvが40KHzから20KHzまで変化することになる。したがって、振動子11に加わる電圧も周波数がスキャンされる。
【0018】
この動作の時のフェーズ・ロック・ループは、スキャンする信号θsの変化に追従しなければならないので、その系はある程度、応答が早くなるようにループ特性を設定するために、前記ローパスフィルタ(LPF)18におけるスイッチ20がオンとなっている。このスキャンの途中で、電圧位相信号θvと電流位相信号θIの位相差が零になる点、すなわち、共振点が存在する。この点を共振点検知回路22で検出したなら、その信号を制御回路21が受けて切換えスイッチ24を周波数スキャン信号発生回路23側から電圧・電流検知部16側へ瞬時に切り換える。こうすると、フェーズ・ロック・ループは電圧位相信号θvと電流位相信号θIによるPLL動作に入る。すなわち、電圧位相信号θvと電流位相信号θIとの位相差が常に零になるように周波数を制御して、共振点追尾動作に入る。この動作に移ったなら、PLLの動作が外乱の影響を受けにくいよう、該系の応答を遅くした方が、その後の追尾動作が安定するので、制御回路21からの信号を受けてスイッチ20は開となり、ローパスフィルタ(LPF)18の時定数を大きくさせる。つまり、発振開始後の所定の状態を維持するに適する特性の状態に駆動回路を設定する手段が組み込まれている。
【0019】
前記のように、フェーズ・ロック・ループ(PLL)の特性を切り換えることで、発振開始時のスキャンによる共振点サーチが確実に行われ、かつ、電圧位相信号θvと電流位相信号θIによによるロックイン後の追尾動作も安定させることができるようになる。この場合、発振開始時のスキャンによって共振点をとらえるステップでの確実性と、その後の共振点追尾動作を行なうステップでの安定性を両立させ得る。
【0020】
なお、ローパスフィルタ(LPF)18におけるスイッチ20を切り換える動作には、共振点検知回路22からの信号を直接使用しても良い。また、ローパスフィルタ(LPF)18の定数の切換え方式や、スイッチ位置等は、図1に示した方法に限定しなくとも良い。さらに、振動子11の共振点を追尾して動作させる方法をPLL制御以外の方法としても応用できる。
【0021】
(第2の実施例)
図2は本発明の第2の実施例に係る超音波振動子の駆動回路であり、この実施例はランジュバン型振動子を用いた超音波メス装置に適用したものである。
同図中、30は超音波メス用のハンドピースであり、このハンドピース30には、ランジュバン型振動子31が組み込まれている。このランジュバン型振動子31は後述するような駆動回路によって駆動される。振動子31には発生した超音波振動を処置部位に伝えるプローブ32が締結されている。
【0022】
そして、このランジュバン型振動子31に駆動信号を供給する駆動回路は、以下のように構成されている。すなわち、この駆動回路は、超音波周波数の信号を発振する発振回路33を備える。この実施例での発振回路33は前記ランジュバン型振動子31の共振周波数に等しい固定周波数の超音波周波数の信号を発振するものとして説明する。
【0023】
なお、この部分は、前述した第1の実施例のようなフェーズ・ロック・ループ(PLL)を構成する系で制御されるものでもよい。また、同図2中、点線で示すように、振動子31に加わる電流を検出し、この検出した信号を発振回路33にフィードバックして、その共振周波数で発振する形としたものでもよいものである。
【0024】
前記発振回路33で発振した信号Xは、乗算器34に供給される。乗算器34は発振回路33からの入力Xを、後述するローパスフィルター回路40からの設定信号Yで変調する。乗算器34の出力は、パワーアンプ35で振動子31を駆動するに十分なエネルギーまで増幅され、その振動子31に供給される。振動子31に供給される駆動電流の絶対値(±)は電流検出回路36で検出される。
【0025】
この駆動回路には、基準電圧発生回路37と差動アンプ38が設けられている。基準電圧発生回路37は、定電流制御によって振動子31の振動振幅を設定するための基準電圧を発生するものである。差動アンプ38はその基準電圧発生回路37で発生した基準電圧と、前記電流検出回路36で検出した電流検出結果を比較し、先の基準電圧との差に応じた出力信号を得るものである。
【0026】
差動アンプ38の出力は、フィルター回路40に供給される。フィルター回路40の中には動作ステップに応じてそのフィルタの時定数を変更するための切り換える手段としてのスイッチ41が設けられている。このスイッチ41は制御回路42によって操作される。
【0027】
また、制御回路42は前記発振回路33を起動するスタート回路43と前記基準電圧発生回路37を制御する。スタート回路43は例えば第1の実施例のようなスキャン信号を発生する回路である。この装置における駆動のオン/オフ操作は発振開始スイッチ44で行われる。この発振開始スイッチ44としては、例えばフットスイッチを用いることができる。
【0028】
そして、この実施例においての駆動回路は、定電流制御回路を構成している。つまり、振動子31に流れる電流値の大きさと、ある基準電圧とを比較し、両者の差がほぼ零になるように、乗算器34で、パワーアンプ35への入力電圧を変化させ、その結果、パワーアンプ35の出力電圧が制御されて電流値が補償される。このように振動子31が流れる電流値が一定になることで、振動子11における超音波振動の振幅が一定化される。つまり、振幅を設定することができる。
【0029】
ここで、前記駆動回路は閉ループを構成しているが、これの特性、例えば、安全性や応答性は、ループフィルタと呼ばれる、ローパスフィルタ回路40によって決定する。
【0030】
発振開始時のステップにおいて、振動子31の振幅は零の状態から、ある設定する値まで大きく変化することになる。この時、定電流制御の閉ループの応答性が遅いと、発振開始後から、一定振幅に落ち着くまで時間がかかってしまうので、この発振開始時のステップでは応答を早くした方がよい。特に、この実施例の構成を第1の実施例に記載のスキャン式PLL追従回路と組合わせた場合の、発振開始時のスキャン中では、この応答が早いことが特に必要である。
【0031】
一方、一旦、設定振幅になった後の発振開始後の状態を維持するステップでは、定電流制御の閉ループは、応答性よりも安定性が重要になる。例えば、振動子31に締結されたプローブ32の先端に、瞬間的に大きな負荷が加わり、インピーダンスが上昇した場合、それに伴って電流値が低下するので、閉ループが印加する電圧を高める方向に制御を働かせ、パワーアンプ35の出力電圧が急激に高くなることになる。
【0032】
しかし、パワーアンプ35の出力電圧が高くなった時点で、プローブ32の負荷が解除されていたなら、振動子31のインピーダンスはすでに元の低い状態に戻っており、その結果、一瞬、大きな電流が振動子31に流れ、振動振幅がプローブ32の許容振幅を越えてしまう可能性もあり得る。そこで、前記の様な瞬間的外乱に、閉ループが応答しないようにするほうが、本駆動装置では望ましい。
【0033】
したがって、発振開始後、一定電流値に落ち着いたなら、前記ローパスフィルター回路40の定数を変更して、応答を遅くする。すなわち、発振開始時、スイッチ41は開いておくことにより、時定数を小さくしておき、発振後、そのスイッチ41を閉じて時定数を大きくし、ループの応答を遅くするようにするのである。
【0034】
以上のように構成することで、一定電流で制御する回路を振動子駆動回路に応用した場合の発振開始時の確実性と、その後の安定性の両立を図ることが可能となる。
【0035】
(第3の実施例)
図3は、本発明の第3の実施例に係る超音波振動子の駆動回路であり、この実施例は前述した第2の実施例の一部を変更した変形例を示すものである。図2と同じ構成の個所には同一の番号を付して説明を簡略し、新たな構成については詳述する。
【0036】
すなわち、前記乗算回路34に入力するY信号の信号元を切り換えるスイッチ手段51を設ける。この信号の1つは前記同様のローパスフィルター回路40の出力であり、他方はある基準電圧を発生する第2の基準電圧発生回路52の出力である。この第2の基準電圧発生回路52は、前述した基準電圧発生回路37とは別に設けられる。切換え用スイッチ手段51は、制御回路42によって制御される。
【0037】
ここで、スイッチ手段51がA接点側にある場合、前述した第2の実施例の場合と同様な回路構成となり、前述したと同様な動作を行う。一方、スイッチ手段51がB接点側にある場合、乗算回路34のY信号の入力は、一定のある電圧値であるから、パワーアンプ35の出力電圧は一定となり、つまり、定電圧制御となる。
【0038】
そこで、ランジュバン型振動子31を駆動させる場合、前記第2の実施例で説明したように、定電流制御を行うことで、振幅が一定化するので、この制御方式を用いる。
【0039】
ところが、発振開始時、定電流回路は、振動子31に流れる電流を検出する電流検出回路36からの信号は零であるため、差動アンプ38の出力は最大値を出力する。したがって、パワーアンプ35の出力電圧を最大にするように働き、振動子31に電圧が印加されてから、電流が流れ出して電流を検出する結果、信号が現れてやっと閉ループが安定することになる。
【0040】
このため、発振開始時、振動子31に一瞬、最大電圧が印加され、突入的な電流が流れてしまい、その結果、プローブ32の許容を超える振幅を発生することも予想される。
【0041】
そこで、発振開始時、スイッチ手段51をB接点側に切り換えておき、ある低い出力電圧がパワーアンプ35から出力される状態を作る。これで、電流検出回路36からの出力は零にはならないので、ある時間経過後、スイッチ手段51をA接点側に切り換えて、定電流制御に移行させる。
【0042】
このようにすることにより、発振開始の、定電流回路の特性による過大電圧や突入電流が防止でき、定電流制御の安定までの時間が短くなる。また、これによって、従来の過大電圧等による発振開始時に発生するノイズ発生がなくなり、他の装置への悪影響を解消できるという効果を奏する。
【0043】
以上は発振開始時について説明したが、発振停止時は、上述した手順の逆のシーケンスで終了させる。
なお、この第3の実施例の特徴的な構成の内容を前述した第1の実施例で説明した構成に組み換えて駆動回路を構成してもかまわない。
【0044】
前述した説明によれば、次のような項目の内容の発明が得られる。
(1) 超音波振動子の共振周波数を追尾する制御、または定電流を制御することにより、超音波振動子を駆動させる駆動回路において、発振開始時に適する特性に駆動回路を設定する第1の手段と、発振開始後の所定の状態を維持するに適する特性に駆動回路を設定する第2の手段と、発振開始時の第1の手段の設定から発振開始後の第2の手段の設定に前記駆動回路を切り換える手段とを具備することを特徴とする超音波振動子用駆動装置。例えば、
PLL制御による振動子駆動回路において、PLLの過渡特性を切り換える手段を設けるものである。
また、定電流制御による振動子駆動回路においては、前記制御ループの過渡特性を切り換える手段を設けるものである。
さらに、振動子駆動回路において、定電流制御回路と、定電圧制御回路を設け、各々を切り換える手段を設けるものである。
そして、前記各切り換え手段は、発振開始時点から駆動に移る時点、または駆動を終了する時点あるいは一定時間経過した時点で切り換え動作する。
【0045】
(2) 超音波振動子を共振点を追尾して駆動させる駆動回路において、発振を開始するステップと、発振開始後所定の状態を維持するステップとで、その駆動回路の特性、例えば追尾特性を切り換える手段を有する超音波振動子用駆動装置。
【0046】
(3) PLL制御を用いて超音波振動子の共振周波数を追尾制御する駆動回路において、PLL制御回路内に含まれるローパスフィルタの時定数を発振開始時のステップと開始後の所定の状態を維持するステップとで切り換える手段を有することを特徴とする超音波振動子用駆動装置。
【0047】
(4) 超音波振動子を一定電流で駆動させる駆動回路において、前記各ステップにて定電流制御の特性、例えば制御ループの過渡特性を切換える手段を有することを特徴とする超音波振動子用駆動装置。
【0048】
(5) 超音波振動子を駆動する回路において、発振開始時のステップでは、定電圧制御とし、発振開始後のステップでは定電流制御に切換える手段を有することを特徴とする超音波振動子用駆動装置。
(6) 前記(2)と(4) の構成の両者を有する駆動回路。
(7) 前記(2)と(4) と(5) の構成を有する駆動回路。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、超音波振動子の駆動回路において、発振を開始するステップでの回路動作の確実性と、発振開始後のステップでの安定性を両立させることができる。また、発振開始時の過渡現象の程度を低減し、超音波振動子へのストレスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る超音波振動子の駆動回路のブロック図。
【図2】本発明の第2の実施例に係る超音波振動子の駆動回路のブロック図。
【図3】本発明の第3の実施例に係る超音波振動子の駆動回路のブロック図。
【符号の説明】
10…ハンドピース、11…ランジュバン型振動子、12…プローブ、14…電圧制御発振器(VCO)、15…パワーアンプ、16…電圧・電流検知部、 17…位相比較回路(PC)、18…ローパスフィルタ(LPF)、20…スイッチ、21…制御回路、22…共振点検知部、23…周波数スキャン信号発生回路、24…切換え用スイッチ、25…発振開始スイッチ、30…ハンドピース、31…ランジュバン型振動子、32…プローブ、33…発振回路、34…乗算器、35…パワーアンプ、36…電流検出回路、37…基準電圧発生回路。38…差動アンプ、40…ローパスフィルター回路、41…スイッチ、42…制御回路、43…スタート回路、44…発振開始スイッチ、51…切換え用スイッチ手段、52…第2の基準電圧発生回路。
Claims (1)
- 超音波振動子を発振させる駆動電力を前記超音波振動子に供給するための電力供給手段と、
前記電力供給手段から前記超音波振動子に供給される電流信号と電圧信号を検出する電流電圧検出回路と、
前記電流電圧検出回路に接続され、前記電流信号と前記電圧信号の共振点を検出する共振点検出回路と、
前記電流電圧検出回路に接続され、前記電圧信号と前記電流信号の位相差に応じた出力信号を発生可能な位相比較回路と、
前記位相比較回路で発生された前記出力信号の応答性を切り替えて出力可能となるように、予め設定された所定の時定数と前記時定数を切り替える切換手段を備えたフィルタ回路と、
前記フィルタ回路に接続され、前記フィルタ回路で前記時定数を切り替えて出力される前記出力信号に応じて前記電力供給手段に入力される位相信号を出力する発振回路と、
前記時定数を変更するために前記切換手段を切り替える制御回路と、
を具備することを特徴とする超音波振動子駆動用装置。
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