JP7369540B2 - 圧電振動子の駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、共振周波数近傍での駆動に適した圧電振動子の駆動装置に関する。
この種の駆動装置に関する先行技術として、例えば圧電振動子を共振周波数で駆動する超音波発振器が知られている(例えば、特許文献1)。この先行技術は、圧電振動子にかかる負荷の条件等によって共振周波数が変動すると、圧電振動子の電圧と電流との間に位相差が生じることに着目し、共振時における電圧波形と電流波形の位相差θを常に一定にする方向で発振周波数を制御しようとするものである。
実開昭59-180774号公報(実願昭58-76363のマイクロフィルム)
上述した先行技術は、位相差θを求める際、電圧波形や電流波形の振幅が0となる点(0クロスポイント)を検出する必要があるため、検出時の電圧が常に0V近辺となる。この検出時の電圧は、理想的には0Vであり、実際にも極端に低い電圧となることから、検出動作そのものが常にノイズに対する耐性が弱く、誤動作による検出誤差も発生しやすいという問題がある。仮に、ノイズの影響等により、実際には0クロスポイントでないところで位相差を検出してしまうと、誤動作によって駆動信号が共振周波数から乖離してしまうことになる。
また、VCO(電圧制御発振器)の初期周波数の偏差は、位相制御の制御範囲の制約から±1%クラスの高精度が要求されるため、製造管理を極めて厳格にしなければならない。さらに、制御回路を駆動する電流源が必要であったり、電流測定のためのカレントトランスが必要である等、回路全体が複雑化し、高コストになるという問題もある。
そこで本発明は、圧電振動子の駆動に適した新たな技術を提供するものである。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。なお、以下の説明における括弧書きはあくまで参考であり、本発明はこれに限定されない。
本発明は、圧電振動子の駆動装置を提供する。本発明の駆動装置は、駆動時の圧電振動子と一体になって共振する回路網を用いる。この共振状態にある回路網に現れる電気的特性を利用(観測や検出による結果を利用してもよい)し、駆動信号を圧電振動子の共振周波数の近傍で発生させる。
圧電振動子の共振周波数は、負荷の条件等による変動を見越したものであり、その変動分は回路網にも一体となって現れる。したがって、圧電振動子の共振周波数の変動を回路網に現れる電気的特性から導出し、これを用いて駆動信号の発振周波数を可変させていけば、好適に圧電振動子を共振周波数の近傍で駆動し続けることができる。
発振器による駆動信号の発振周期(発振周波数)は、電荷蓄積回路の充放電時間に基づいて決定することができる。このとき、発振器には電荷蓄積回路の電荷を充放電する充放電回路を含むことができるが、これとは別に電荷蓄積回路に対して回路網から充放電電流を帰還させる帰還回路を含める。帰還回路は、回路網で生じた電圧波形を充放電電流として帰還させることで、充放電回路からの充放電だけに基づく電荷蓄積回路の充放電時間を可変し、駆動信号の発振周期を可変にする。これにより、共振周波数の変動分を常に反映させて圧電振動子を好適に駆動し続けることができる。
本発明の駆動装置は、デジタル処理の手法を用いた構成とすることもできる。すなわち、回路網に現れる電気的特性として、波形の一部(例えば容量端子間電圧)の位相及び電圧の少なくとも一方をアナログ信号で検出し、これをデジタル処理して生成した圧電振動子の共振周波数又はその近傍で発振する駆動信号を出力する。これにより、圧電振動子の実際の状態を正確に観測しつつ、より高精度に制御した周波数で圧電振動子を駆動することができる。また、デジタル処理の特徴を活かして、前記の波形の一部から負荷への印加電力なども演算できるので、過負荷や出力不足に対応することも可能である。
本発明によれば、圧電振動子の駆動に適した新たな技術を提供することができる。
一実施形態の駆動装置の構成を概略的に示すブロック図である。 駆動装置により行われる駆動信号の発振周波数の制御に関するメカニズムを解説した図である。 発振器内での一連の動作を示したタイミングチャートである。 共振回路を入力信号で駆動する状態を等価回路で示した図である。 圧電振動子の入力インピーダンスの周波数特性を示す図である。 圧電振動子の入力インピーダンスが誘導性となる周波数領域で入力信号を印加した場合の等価回路図である。 圧電振動子の入力インピーダンスが容量性となる周波数領域で入力信号を印加した場合の等価回路図である。 入力信号Vibの発振周波数fbに対する端子間電圧Vcaの大きさと位相θVcaの関係を示した図である。 端子間電圧Vcaの波形と入力信号Vibの波形の時間関係を半周期内で表した図である。 駆動装置の完成型における制御メカニズムを示す図である。 圧電振動子の等価回路を示す図である。 共振周波数における圧電振動子の等価回路を示す図である。 図12の等価回路を直列回路に変換した場合の等価回路図である。 変形例1の回路網に入力信号Vibを印加した場合の等価回路を示す図である。 変形例2の回路網を用いた駆動装置(ここでは符号省略)の等価回路図である。 駆動装置の具体的な回路構成例1を示す図である。 第2実施形態として回路構成例2を適用した駆動装置を示す図である。 第3実施形態として回路構成例3を適用した駆動装置を示す図である。 第4実施形態の駆動装置の構成を示すブロック図である。 第4実施形態の駆動装置の具体的な回路構成例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態の駆動装置100の構成を概略的に示すブロック図である。
駆動装置100は、圧電振動子PZTを駆動対象とするものであり、例えばBLT(ボルト締めランジュバン型)振動子、圧電トランス等の駆動に好適する。超音波センサ、超音波洗浄機、超音波カッター等にも圧電振動子が利用されるが、このような用途の圧電振動子は、負荷や周囲温度等の影響で共振周波数が変動する。本実施形態の駆動装置100は、このような共振周波数の変動に追従して駆動信号の発振周波数を可変するものである。
駆動装置100は、大きく分けて発振器120及び回路網150から構成されている。ここでは先ず、詳細な回路構成について説明する前に、個々の機能ないし役割について概略的に説明する。
〔回路網〕
回路網150は、駆動対象となる圧電振動子PZTに接続されることで、その駆動時に圧電振動子PZTと一体となって共振する。すなわち、圧電振動子PZTに対する駆動信号の印加時において、回路網150は圧電振動子PZTを構成要素に含めた共振回路190を構成し、一体となって共振状態を発生させることができる。なお、回路網150の具体的な回路構成についてはさらに後述する。
〔発振器〕
発振器120は、充放電回路130、電荷蓄積回路140及び増幅器160を含んでいる。このうち充放電回路130は、電荷蓄積回路140の電荷を充電-放電するものであるが、このときの電荷蓄積回路140の充電時間及び放電時間に基づき、充放電回路130から増幅器160を介して駆動信号(Voa)が出力される。すなわち、発振器120は、圧電振動子PZTと一体の回路網150に対して駆動信号(Voa)を出力するものであるが、その際の発振周波数は、電荷蓄積回路140の充電時間と放電時間の和を周期とする周波数により決定される。
〔帰還(充放電)回路〕
回路網150からは、電荷蓄積回路140に対して帰還信号が与えられる。この帰還信号は、回路網150が圧電振動子PZTと一体となって共振しているときの電圧波形を電流に変換したものである。この帰還信号である電流は、電荷蓄積回路140に対する充放電電流として働くことになる。このため回路網150は、これらが一体となり、先の充放電回路130とは別の充放電回路(帰還回路)をも構成する。
〔発振周波数の可変〕
上記のように、回路網150から帰還させた電流は、電荷蓄積回路140の充放電電流となり、充放電回路130からの充放電電流だけに基づく電荷蓄積回路140の充電時間及び放電時間を可変にする。このことは、発振器120による駆動信号の発振周波数が回路網150からの帰還動作(充放電電流の帰還)によって可変されていることを意味する。
このとき、圧電振動子PZTの共振周波数の変動は、これと一体となって共振する回路網150の電気的特性の変動となって現れる。したがって、回路網150からの帰還信号には、圧電振動子PZTの共振周波数の変動分が顕著に表れていることになる。
例えば、現状で印加されている駆動信号(Vib)により共振状態にあった回路網150及び圧電振動子PZTの共振周波数が上昇方向に変動したとすると、帰還信号は電荷蓄積回路140の充放電時間を短縮させる(充放電電流を追加する)方向に作用し、発振器120から出力される駆動信号(Voa)の周波数を上昇させる。
一方、現状で印加されている駆動信号(Vib)により共振状態にあった回路網150及び圧電振動子PZTの共振周波数が下降方向に変動したとすると、帰還信号は電荷蓄積回路140の充放電時間を延長させる(充放電電流を減少させる)方向に作用し、発振器120から出力される駆動信号(Voa)の周波数を下降させる。
この結果、本実施形態の駆動装置100は、先行技術(特許文献1)等で用いていた位相差検出回路や積分器、カレントトランス等を使用することなく、かつ発振器120の初期周波数(制御を働かせない周波数)の精度も緩和し、圧電振動子PZTをその共振周波数又は近傍の周波数で駆動することができる。
〔制御メカニズム〕
図2は、駆動装置100により行われる駆動信号の発振周波数の制御に関するメカニズムを解説した図である。制御のメカニズムは、電荷蓄積回路140を中心として考えると理解しやすい。すなわち、電荷蓄積回路140は、〔経路A〕の充放電回路180及び〔経路B〕の充放電回路170の2系統で充放電が行われる。なお、2系統に分かれた一方の充放電回路180が出力信号Voaを出力し、他方の充放電回路170に対して入力信号Vibが入力されることとなっており、これら信号Voa-Vib間が図2では点線で結ばれているが、制御メカニズムの説明に際し、これらは当面の間切り離して考えるものとする。説明の最後では、信号Voa-Vibの関係が明らかとなる。
〔経路A〕
図1のブロック図に示した充放電回路130及び増幅器160は、〔経路A〕充放電回路180に該当する。この充放電回路180は、〔経路A〕の充電電流Ica及び放電電流Idaを生成する。
〔経路B〕
また、図1のブロック図に示した共振回路190(回路網150と圧電振動子PZTが一体となった状態のもの)は、〔経路B〕充放電回路170に該当する。この充放電回路170は、〔経路B〕の充電電流Icb及び放電電流Idbを生成する。〔経路B〕充放電回路170は、内部に構成する共振回路190の電圧波形の一部分を利用して、充放電電流Icb,Idbを生成することができる。
なお、2つの経路A,Bの充電電流Ica,Icbは、電荷蓄積回路140の充電期間の電流の平均値とし、同様に放電電流Ida,Idbは、電荷蓄積回路140の放電期間における平均値電流とする。
〔信号Q〕
電荷蓄積回路140は、蓄積電荷の状態を信号Qとして出力し、これを〔経路A〕充放電回路180に送信する。また、信号Qは、同時に発振器120の出力OSC-OUTとなる。このような信号Qは、例えばH/Lのデジタル信号であり、電荷蓄積回路140は、その蓄積電荷量が増加方向に向かうときはHigh信号を出力し、電荷蓄積回路140が一定の電荷量QHに達すると、信号QをLow信号に切り替える。逆に、電荷蓄積回路140は、蓄積電荷量が減少方向に向かうときはLow信号を出力し、一定の電荷量QLに減少すると、信号QをHigh信号に切り替える。
〔信号QのH/Lによる動作〕
〔経路A〕充放電回路180は、信号QがHigh状態のときは〔経路A〕の電流を充電極性(充電電流Ica)とし、信号QがLow状態のときは〔経路A〕の電流を放電極性(放電電流Ida)とする。したがって、電荷蓄積回路140は、電荷が増加方向の間はこの状態を維持し、電荷が一定値QHに達すると電荷の減少方向に状態を切り替え、その後は減少状態を維持する。電荷蓄積回路140が減少状態を維持した結果、電荷が一定値QLまで減少すると、電荷蓄積回路140は電荷増加状態に切り替わる。このように、〔経路A〕充放電回路180及び電荷蓄積回路140は、信号QのH/Lに応じてこのような一連の動作を繰り返す。
〔経路Aの一連動作〕
図3は、〔経路A〕の一連動作を示したタイミングチャートである。なお、ここでは〔経路B〕の電流について図示を省略している。
〔時刻t1〕
例えば、ある時刻t1に初期動作を開始した場合を考える。
図3中(B):電荷蓄積回路140は、初期の蓄積電荷が一定値QLの低い状態である。
図3中(C):このため電荷蓄積回路140は、信号QをHigh状態で出力する。
図3中(A):その結果、〔経路A〕充放電回路180は電流を充電極性(充電電流Ica)とする。
〔時刻t1~t2〕
図3中(A):〔経路A〕は充電極性(充電電流Ica)となっている。
図3中(B)(C):電荷蓄積回路140は、信号QをHigh状態で出力し、充電状態を維持したまま蓄積電荷が上昇する。
〔時刻t2〕
図3中(B):電荷蓄積回路140の蓄積電荷が一定値QHに到達(上昇)する。
図3中(C):このため電荷蓄積回路140は、信号QをLow状態に切り替える。
図3中(A):その結果、〔経路A〕充放電回路180は電流を放電極性(放電電流Ida)にする。
〔時刻t2~t3〕
図3中(A):〔経路A〕は放電極性(放電電流Ida)となっている。
図3中(B)(C):電荷蓄積回路140は、信号QをLow状態で出力し、放電状態を維持したまま蓄積電荷が低下する。
〔時刻t3〕
図3中(B):電荷蓄積回路140の蓄積電荷が一定値QLにまで到達(低下)する。
図3中(C):このため電荷蓄積回路140は、信号QをHigh状態に切り替える。
図3中(A):その結果、〔経路A〕充放電回路180は電流を充電極性(放電電流Ica)にする。
以下、時刻t4以降も時刻t1~t3と同様の動作が繰り返される。
〔出力信号Voaの周波数〕
ここで、図3に示した一連の動作から明らかなように、信号QがHigh-Lowに切り替わる周期は、電荷蓄積回路140の充放電時間(充電時間と放電時間の和)で決まることが分かる。〔経路A〕充放電回路180は、信号QのH/Lに応じて充放電電流の極性を変化させると同時に、信号Qの周期(周波数)を有した一定振幅の交流波形で出力信号Voaを出力する。なお、振幅の大きさは駆動対象の圧電振動子PZTの特性に応じて設定することができる。
〔入力信号Vibによる制御〕
出力信号Voaの行く先に着目すると、図2中の破線で結ばれた入力信号Vibは、〔経路B〕充放電回路170に対して印加される交流信号になる。この入力信号Vibは、〔経路B〕充放電回路170の内部に含まれる圧電振動子PZTと一体の共振回路190に印加され、その共振回路190において一定の電圧波形を現出させることになる。そして、〔経路B〕充放電回路170は、共振回路190で現れる電圧波形の一部分を利用して充放電電流Icb,Idbを発生させる。したがって、入力信号Vibは、〔経路B〕の充放電電流Icb,Idbを制御していることになる。
〔発振器による発振周波数〕
ここで、図2に示す出力OSC-OUTは、最終的な発振器120からの出力、つまり駆動信号に相当する。この出力の周期は、上記のように電荷蓄積回路140の充放電時間tc,tdで決まるものであるが、実際に電荷蓄積回路140の電荷は、〔経路A〕だけでなく〔経路B〕を加えた2つの経路を通じて充放電する。このため、実際の電荷蓄積回路140の充電時間tcは、〔経路A〕からの平均充電電流Icaと〔経路B〕からの平均充電電流Icbの合計値で決定され、同様に放電時間tdは、経路Aへの平均放電電流Idaと経路Bへの平均放電電流Idbの合計値で決定される。このき、充放電に伴う電荷量はQH-QLであるから、図2の出力OSC-OUTの発振周期Tosc及び発振周波数foscは、以下の〔数1〕,〔数2〕の式で表される。
Figure 0007369540000001
Figure 0007369540000002
図2の出力信号Voaと入力信号Vibの間は、制御メカニズムの説明の上では、上記のようにひとまず切り離して考えるものとした。しかし、発振器120として完成させたときの最終形態は、出力信号Voaと入力信号Vibの間を接続した状態にある。
そこで、以下の条件を仮定して、式を簡略化するものとする。この条件は、駆動装置100による制御メカニズムを説明する上での便宜上のものである。また、実用上の条件にも近いといえるが、ここで仮定した条件が本実施形態の本質に影響するものではない。
〔仮定条件〕
(i) 〔経路A〕の各電流は、一定値の定電流源からのものとする。
すなわち、Ica=Ida=Iaとする。
ここで、充電方向をプラス(+)、放電方向をマイナス(-)とする。
(ii) 〔経路B〕の各電流は、電流源としての入力信号Vibの関数とする。
すなわち、Ib(Vib)は、出力信号Vibの電圧値や周波数により変化する。
よって、Icb=Idb=Ib(Vib)とする。
充電方向をプラス(+)、放電方向をマイナス(-)とする。
上記の仮定条件(i)(ii)により、発振周波数foscの式は以下の〔数3〕,〔数4〕になる。
Figure 0007369540000003
Figure 0007369540000004
〔等価モデルによる検討〕
図4は、共振回路190を入力信号Vibで駆動する状態を等価回路で示した図である。この等価回路は、〔経路B〕充放電回路170内部において圧電振動子PZTと一体となった共振回路190と入力信号Vibが共振回路190を駆動したときの状態を示している。
圧電振動子PZTの等価回路は、インダクタンスL1、コンデンサC1、抵抗R1、容量C01で表される。また、圧電振動子PZTの等価回路に直列に接続したコンデンサCaは、図1に示す回路網150に相当するものであり、これらが一体となって共振回路190を構成していることを意味する。
〔経路B〕充放電回路170は、等価回路におけるコンデンサCaの端子間電圧Vcaの平均値に比例させた値に充放電電流Ib(Vib)を制御する。したがって、上記の仮定(ii)のように電流Ib(Vib)は入力信号Vibの関数となり、次式〔数5〕で表される。
Figure 0007369540000005
上式のkbは、比例定数である。また、積分記号(積分項)は、端子間電圧Vcaの半周期あたりの平均値を示すものである。
〔インピーダンス周波数特性〕
ここで図5は、圧電振動子PZTの入力インピーダンスの周波数特性を示す図である。通常、圧電振動子PZTの入力インピーダンスは、位相が+90度に近くなる領域(共振周波数fr~反共振周波数frrの領域)で誘導性となり、それ以外では容量性となる。共振周波数fr~反共振周波数frrの領域内では、インピーダンスの絶対値が周波数の増加に伴って増加する。
〔インピーダンスが誘導性領域の等価回路〕
図6は、圧電振動子PZTの入力インピーダンスが誘導性となる周波数領域で入力信号Vibを印加した場合の等価回路図である。すなわち、圧電振動子PZTのインピーダンス周波数特性(図5)に鑑みると、圧電振動子PZTの入力インピーダンスが誘導性となる周波数領域に入力信号Vibの周波数fbがあるとした場合、等価回路はインダクタンスLa、抵抗Ra、コンデンサCaを直列接続したものとなる。
〔インピーダンスが容量性領域の等価回路〕
また、図7は、圧電振動子PZTの入力インピーダンスが容量性となる周波数領域で入力信号Vibを印加した場合の等価回路図である。すなわち、圧電振動子PZTのインピーダンス周波数特性(図5)に鑑みると、圧電振動子PZTの入力インピーダンスが容量性となる周波数領域に入力信号Vibの周波数fbがあるとした場合、等価回路はコンデンサCx、抵抗Rx、コンデンサCaを直列接続したものとなる。
以下では、圧電振動子PZTのインピーダンスが誘導性となる周波数領域に入力信号Vibの周波数fbがある場合と、容量性となる周波数領域に入力信号Vibの周波数fbがある場合とに分けて説明する。ただし、図4のコンデンサCaは、インダクタンスLaとの共振周波数が圧電振動子PZTの共振周波数frの近傍となる容量(F)を選定するものとする。したがって、ここでは次式〔数6〕が成り立つ。
Figure 0007369540000006
〔誘導性周波数領域〕
最初に、圧電振動子PZTのインピーダンスが誘導性となる周波数領域に入力信号Vibの発振周波数fbがある場合について説明する。
図6の等価回路から、入力信号Vibの電圧を1として、コンデンサCaの端子間電圧Vcaを求めると、次式〔数7〕で表される。
Figure 0007369540000007
ただし、発振周波数fbは、圧電振動子PZTのインピーダンスが誘導性となる領域に限定するものとする。
上式〔数7〕の複素数の絶対値と角度は、以下の式〔数8〕となる。
Figure 0007369540000008
上記の式〔数8〕から、発振周波数fbがインダクタンスLaとコンデンサCaの共振周波数に近いときは、端子間電圧Vcaの絶対値と位相角は次式〔数9〕となる。
Figure 0007369540000009
上式から、発振周波数fbがインダクタンスLaとコンデンサCaの共振周波数に近づくと、端子間電圧Vcaの波形は入力信号Vibの波形に対して90度の遅れ位相となることが分かる。
〔容量性周波数領域〕
次に、圧電振動子PZTのインピーダンスが容量性となる周波数領域に入力信号Vibの発振周波数fbがある場合を説明する。
この場合、図7の等価回路から、入力信号Vibの値を1として、コンデンサCaの端子間電圧Vcaの値は次式〔数10〕となる。
Figure 0007369540000010
また、絶対値|Vca|と角度θVcaは、次式〔数11〕で表される。
Figure 0007369540000011
通常、コンデンサCxの値は比較的大きな容量となり、Cx>>Caの関係を満たすCaの値を選定することができる。このため、|Vca|を表す上式〔数11〕において下式〔数12〕の関係が成り立つ。
Figure 0007369540000012
つまり実用上では、
|Vca|≒1
θVca≒-0度
と考えることができる。
以上のことから、入力信号Vibの周波数fbに対する端子間電圧Vcaの大きさと位相θVcaの関係をプロットすると図8になる。すなわち、図8は、入力信号Vibの発振周波数fbに対する端子間電圧Vcaの大きさと位相θVcaの関係を示した図である。
また、図8の関係を半周期(入力信号Vibが正となる半周期)の時間軸の波形として確認すると、端子間電圧Vcaの波形と入力信号Vibの波形の時間関係は、図9になる。すなわち、図9は、端子間電圧Vcaの波形と入力信号Vibの波形の時間関係を半周期内で表した図である。ここでは、発振周波数fbと共振周波数frとの関係を3通りに場合分けして示している。
〔fb<frの場合〕
図9中(A):発振周波数fbが共振周波数frより低周波の場合である。この場合、位相が大略0となるので、端子間電圧Vcaの波形は入力信号Vibの波形とほぼ同相となる。
〔fb≒frの場合〕
図9中(B):発振周波数fbが共振周波数frの近傍にある場合、入力信号Vibの波形に対して端子間電圧Vcaの波形の位相が-90度となる。
〔frr>fb>frの場合〕
図9中(C):発振周波数fbが共振周波数frより高周波、かつ反共振周波数frrより低周波の場合、入力信号Vibの波形に対して端子間電圧Vcaの波形の位相が-90度よりさらにマイナス側にシフトする。
ここで、〔経路A〕充放電回路180による電荷蓄積回路140の充放電タイミングと〔経路B〕充放電回路170に対する入力信号Vibタイミングが同じであると仮定する(端子間電圧Voaの波形と入力信号Vibの波形は同位相とする)。すなわち、図9に示す入力信号Vibの波形が正となる時間帯には、〔経路A〕に充電方向の電流が流れており、反対に、入力信号Vibの波形が負となる時間帯には、〔経路A〕に放電方向の電流が流れているものとする。
電流Ib(Vib)の値は、端子間電圧Vcaの波形の半周期の平均値であるので、図2の出力信号Voaの周波数faは、入力信号Vibの周波数fbに応じて下の〔表1〕(A)~(C)で示す場合に分かれることになる。なお、下の〔表1〕にある「周波数fac」は、〔経路B〕の充放電電流が0の場合、つまり、〔経路B〕からの充放電電流がない状態での〔経路A〕充放電回路180の出力信号Voaの発振周波数faである。
Figure 0007369540000013
すなわち、表1中(B)のように、発振周波数fbが共振周波数frに等しいかその近傍にある(fb≒fr)場合、〔経路B〕の充放電電流Ib≒0であるので、出力信号Voaの周波数fa=facとなる。この場合、回路網150からの帰還入力は特になされず、周波数faが現状の共振周波数fr又はその近傍で維持されることになる。
一方、表1中(A)のように、発振周波数fbが共振周波数frより低周波である(fb<fr)場合、〔経路B〕の電流Ib>0となって充電方向になり、〔経路A〕の電流に対して増加方向に電荷蓄積回路140を充電する。このため出力信号Voaの周波数faは、上記(B)のfacよりも高周波に移行することになり、共振周波数frに近づく方向に制御されることになる。
また、表1中(C)のように、発振周波数fbが共振周波数frより高周波、かつ、反共振周波数frrより低周波である(frr>fb>fr)場合、〔経路B〕の電流Ib<0となって放電方向になり、〔経路A〕の充電電流を差し引く方向に流れるので、この場合の出力信号Voaの周波数faは、上記(B)のfacより低周波に移行することになり、やはり共振周波数frに近づく方向に制御されることになる。
以上のように本実施形態では、実際に駆動信号(入力信号Vib)の印加により圧電振動子PZTを駆動しつつ、圧電振動子PZTと一体になって共振状態にある回路網150で発生する端子間電圧Vcaの半周期あたりの平均値を〔経路B〕の充放電電流Ibとして電荷蓄積回路140に帰還させることで、これを利用して出力信号Voaの発振周波数faを共振周波数frに近づける制御が行われる。
〔設計指針〕
このとき、周波数facの値は、純粋に〔経路A〕の充放電電流Ia及び電荷蓄積回路140の充放電に伴う電荷量Qt(=QH-QL)の値だけで決定されることは上記の式で示した通りである。このため周波数facの値は、駆動装置100の設計時において任意に選定可能であるが、通常、設計者は、周波数fac=frの関係を満たす部品定数や回路構成を検討するべきである。なぜならば、駆動装置100は本来、圧電振動子PZTをその共振周波数frで駆動することが目的であるから、当初から共振周波数frを外れた周波数facの値を選定する意味がない。
ただし、実用上は部品のばらつきや温度変化などで共振回路の特性に偏差が生じ、周波数fac=fr±Δfとなって誤差が発生することも否めない(Δf:誤差)。そこで本実施形態では、この誤差Δfの分を圧縮するため、図2に示す制御メカニズムの図において点線の個所を接続し、完成型としての駆動装置100を構成しているのである。このようなメカニズムについての説明を以下に表す。
〔完成型メカニズム〕
図10は、駆動装置100の完成型における制御メカニズムを示す図である。図10中(A)~(C)において、縦軸は全て周波数faであり、横軸は全て周波数fbである。
また、図10中(A)~(C)にそれぞれ示す太い実線は、図2のメカニズムにおいて点線個所を切り離した状態での周波数fbと周波数faの関係をプロットしたものである。この関係は、入力信号Vibの周波数fbに対する絶対値|Vca|及び位相θVacの特性(図8)から、周波数fb=frで変曲点を示す。
図10中(A)~(C)の縦軸-横軸交点から斜めに延びる破線は、周波数fa=fbの関係を示す直線である。完成型でみた駆動装置100では、出力信号Voaと入力信号Vibが一致(図2中の破線が接続)されて周波数fa=fbの関係が成り立つことから、発振器120から出力される駆動信号の発振周波数foscは、fa=fb線上に一致する。
〔制御動作例〕
以下、具体的な制御の動作例を場合分けして説明する。
〔周波数fac=frの場合〕
図10中(B):この動作例は、発振周波数facが共振周波数frに等しい場合を示している。つまり、発振器120内部だけで決まる発振周波数facが共振周波数frに一致する。ここでは、図2中の破線を切り離して考えたときの入力信号Vib波形と端子間電圧Vca波形の関係は、図9中(B)に相当し、周波数fb=frが成り立っているため、端子間電圧Vcaの平均値は0である。したがって、〔経路B〕の電流Ib=0となり、周波数fa=fbの関係が成立する。〔経路B〕の充放電電流Ibが0であるということは、実際に共振状態にある共振回路190からの充放電がない状態であり、周波数fosc=frのままで発振する制御が行われる。
〔周波数fac=fr-Δfの場合〕
図10中(A):この動作例は、発振周波数facが誤差(-Δf)を持った場合を示している。つまり、発振器120内部だけで決まる発振周波数facが共振周波数frより低周波である。この場合、図2中の破線を切り離して考えたときの周波数faと周波数fbの関係は、太い実線で示すように周波数fb=frで変曲点を示し、そのとき〔経路B〕の充放電電流Ib=0となるので、切り離した場合の周波数fa=facである。なお、周波数facと共振周波数frの交点は、破線(fa=fb)の下側に位置する。この状態から、図2中の破線を接続して完成型にすると、周波数fa=fbの条件と太い実線の関係という条件の両方を満足する発振周波数に移行する制御が行われる。そのような条件を満たす周波数は、図中の太い実線と破線の交点に位置しており、縦軸上の周波数foscで示される。この周波数foscは、共振周波数frに対しての偏差(縦軸上のfr-fosc間)が当初の周波数fac(-Δfの誤差)よりも極めて少なくなっており、共振周波数frの近傍で発振することが分かる。
〔周波数fac=fr+Δfの場合〕
図10中(C):この動作例は、発振周波数facが誤差+Δfの誤差を持った場合を示している。つまり、発振器120内部だけで決まる発振周波数facが共振周波数frより高周波(ただし反共振周波数frrより低周波)である。この場合、図2中の破線を切り離して考えたときの周波数faと周波数fbの関係は、太い実線で示すように周波数fb=frで変曲点を示し、この点が発振周波数facに対応する。fac>frの関係にあるので、周波数facと共振周波数frの交点は、破線(fa=fb)の上側に位置する。この状態から同様に完成型にすると、制御によって太い実線と破線(fa=fb)の交わる点の縦軸上で周波数foscに移行する。ここでも同様に、周波数foscの共振周波数frに対する偏差は、当初の周波数fac(+Δfの誤差)より少なく、やはり共振周波数frの近傍で発振することが分かる。
このように、本実施形態の駆動装置100は、図1に示す回路網150からの帰還信号(又は図2に示す〔経路B〕の帰還信号)によって圧電振動子PZTの共振周波数の近傍、もしくは共振周波数で圧電振動子PZTを駆動することができる。その際、初期設計状態での発振周波数facを選定する発振器120に要求される精度は、〔経路A〕の充放電電流Iaに対する〔経路B〕の充放電電流Ibの割合を調整することで、実用上で充分に許容し得る偏差に調整することができる。
〔回路網の変形〕
図1に示す回路網150は、容量Caを最小構成とするものであるが、いくつかの変形が可能である。以下にその変形例を示す。
〔変形例1〕
図11は、圧電振動子の等価回路を示す図である。この等価回路の特性から、回路網150にインダクタンスLoと容量Csを組み合わせて構成することもできる。この場合、インダクタンスLoの部品精度を比較的高く設定することで、圧電振動子PZTを共振周波数で駆動することができる。圧電振動子PZTの共振周波数frは、次式〔数13〕で表される。
Figure 0007369540000014
図12は、共振周波数frにおける圧電振動子PZTの等価回路を示す図である。この等価回路は、共振周波数frと図11に示す圧電振動子PZTの等価回路から得られる。
図12中の等価インピーダンスZaは、次式〔数14〕で表される。
Figure 0007369540000015
次に図13は、図12の等価回路を直列回路に変換した場合の等価回路図である。図13中の等価容量Cs、等価抵抗Rsは、次式〔数15〕でそれぞれ表される。
Figure 0007369540000016
図14は、変形例1の回路網150に入力信号Vibを印加した場合の等価回路を示す図である。図14に示す等価回路において、等価インダクタンスLoと等価容量Caは、図13に示す等価回路とLo及びCaを含む回路網の共振周波数が圧電振動子PZTの共振周波数frに等しくなる値に選定するものとする。その選定の条件は、次式〔数16〕で表される。
Figure 0007369540000017
このようにして定数を選定し、図14の等価容量Caの端子間電圧Vcaを図4に示す等価回路の端子間電圧Vcaとして回路を構成する。この場合でも、容量Caだけで構成した回路網150を用いた場合と同様のメカニズムにより、駆動装置100(発振器120)の発振周波数foscは共振周波数frの近傍に収束し、圧電振動子PZTを好適に駆動することができる。
なお、ここではインダクタLoの部品精度を比較的高く設定しておく必要があるが、圧電振動子PZTの共振点で駆動することができるという利点があるとともに、圧電振動子PZTに対して直列にインダクタLoが挿入されるので、圧電振動子PZTの等価回路における容量C01を過渡的に充放電するサージ電流を低減することができるという利点も有する。
〔変形例2〕
図15は、変形例2の回路網350を用いた駆動装置(ここでは符号省略)の等価回路図である。この変形例2は、絶縁トランスT1を加えた構成の回路網350とすることで、圧電振動子の片側をGNDに接地して駆動することが可能となる。
圧電振動子には、例えばBLTのように片端をGNDに接地して使用する場合があることから、そのような場合、変形例2の回路構成とした回路網350を採用することが好ましい。ただし、このとき容量Caの端子間電圧がこれまでとは逆極性となるので、極性反転器U1を介して正極性にした端子間電圧を帰還信号に利用する。したがって、極性反転器U1からの出力が端子間電圧Vcaに相当する。
変形例2の回路網350で得られる端子間電圧Vcaを図4に示す等価回路の端子間電圧Vcaとして回路を構成すれば、圧電振動子(BLT)の片側をGNDに接地して使用しても、駆動装置として実現することができる。
〔回路構成例1〕
図16は、駆動装置100の具体的な回路構成例1を示す図である。
回路構成例1の駆動装置100は、P1端子-P2端子間に電源Vccを印加することで、P4端子-P3端子間に接続した圧電振動子PZTを駆動することができる。
ここでは、差動増幅器IC1とその周辺回路(抵抗R1~R4等)で充放電回路130を構成している。また、電荷蓄積回路140としてコンデンサC2を適用している。増幅器160は、トランジスタQ2,Q3及びその周辺回路(抵抗R11~R14等)で構成することができる。回路網150は、コンデンサC3,C4で構成することができる。
回路構成例1において、抵抗R3を流れる電流が図2に示した〔経路A〕の電流に相当する。また、抵抗R7を流れる電流が帰還信号であり、図2に示した〔経路B〕の電流に相当している。コンデンサC4の端子間電圧は、図7に示した端子間電圧Vcaに相当する。トランジスタQ2,Q3のコレクタ電流は、図2に示した出力信号Voa及び入力信号Vibに相当する。コレクタ電流がP4端子-P3端子間から圧電振動子PZTに印加されて駆動信号となる。その他のトランジスタQ1、周辺回路(抵抗R5,R6,R8~R10等)は回路内での信号処理に用いるものである。
〔回路構成例2〕
図17は、第2実施形態として回路構成例2を適用した駆動装置200を示す図である。
第2実施形態となる駆動装置200は、先の変形例1で示したように、インダクタンスを追加して回路網250を構成したものである。その他の構成は回路構成例1と同様である。したがって、ここではインダクタンスL1、コンデンサC3,C4が回路網250を構成している。この回路構成例2の回路構成例1に対する利点は以下である。
すなわち、回路構成例1では、圧電振動子PZTのインピーダンスが誘導性領域となる発振周波数で駆動することになるが、回路構成例2では、共振周波数近傍の容量性領域においても圧電振動子PZTを駆動することが可能である。また、図11に示した等価回路において、圧電振動子PZTの等価容量C01に対するサージ電流が大きい場合、これにインダクタンスL1を直列に挿入することで、サージ電流を低減することが可能であるとの利点もある。
〔回路構成例3〕
図18は、第3実施形態として回路構成例3を適用した駆動装置300を示す図である。
第3実施形態となる駆動装置300は、先の変形例2で示したように、圧電振動子PZTの片側(片端)をGNDに接地している点が回路構成例1,2と異なっている。上記のようにBLT等を駆動対象の圧電振動子PZTとした場合、電極対のいずれか一方(片側)をGNDに接地して使用しなければならない場合がある。
図1に示した構成では、圧電振動子PZTを片側(片端)で接地することはできないが、図18に示す第3実施形態では、絶縁トランスT1を設けた回路網350(反転増幅器IC2を含めてもよい)とすることで、BLT等の圧電振動子PZTの片側接地を可能としている。なお、コンデンサC5は直流カット用の容量素子である。その他の構成は回路構成例1,2と同様である。
〔デジタル処理〕
ここまでの実施形態では、回路構成例1~3に示したようにアナログ回路での構成であったが、デジタル処理を用いた手法も実現可能である。以下に、デジタル処理を用いた第4実施形態について説明する。
〔第4実施形態〕
図19は、第4実施形態の駆動装置400の構成を示すブロック図である。
第4実施形態の駆動装置400は、例えば第3実施形態で挙げた回路網450を用いるが、発振器420にはデジタル式の発振回路420aを備えている。また発振器420は、検出器420bを備えており、回路網450からの信号Aが検出器420bに入力される。
検出器420bに入力される信号Aは、回路網450内のコンデンサCaから得られる端子間電圧波形の位相信号、電圧信号、位相、電圧等の情報を含むアナログ信号である。検出器420bは、信号Aからデジタル情報(位相信号、電圧信号、位相、電圧等)を得る。
発振回路420aは、信号Aから得たデジタル情報を利用して、圧電振動子PZTの共振周波数近傍で発振する。発振回路420aの出力は、増幅器460で増幅して回路網450及び圧電振動子PZTに印加される。
このように、第4実施形態の駆動装置400によれば、マイコン等で共振波形を演算することにより、実際の圧電振動子PZTの状態(負荷状態、無負荷状態)の把握や、共振周波数への制御を正確に行うことができる。また、デジタル処理の特徴を活かし、信号Aの波形の一部から負荷への印加電力なども演算することができる。このため、過負荷や出力不足に対応させて発振回路420aの出力を制御することも可能である。
また、検出器420bや発振回路420aをマイコンチップ(制御回路)としてモジュール化し、既存の駆動装置に割り込ませて使用することもできる。
図20は、第4実施形態の駆動装置400の具体的な回路構成例を示す図である。
この回路構成において、コンデンサC3~C5及び絶縁トランスT1は、上記の回路網450を構成している。また、CPU等の演算素子でマイコンチップIC2を構成し、これに検出器420b(検出回路)及び発振回路420aを含む発振器420としての機能を持たせている。
モジュールIC1や周辺回路のコンデンサC1,C2は、安定化電源回路を構成し、ここからマイコンチップIC2に定電圧を供給する。
差動増幅器IC3は、共振状態にある回路網450の波形の一部であるコンデンサC5の端子間電圧をマイコンチップIC2に送信する。
マイコンチップIC2は、差動増幅器IC3からのアナログ信号を内部でデジタル処理し、圧電振動子PZTの共振周波数又はその近傍の周波数で駆動信号を生成し、抵抗R1を経由してトランジスタQ1~Q3で構成する増幅器460(パワーアンプ)に送信する。そして増幅器460から駆動信号を出力し、圧電振動子PZTを駆動する。
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、種種に変形して実施可能である。
駆動装置100,200,300,400は、各図に示す構成だけでなく、同様の機能を発揮できる構成に変形して実施することができる。
各実施形態では、回路網150,250,350,450に配置したコンデンサに現れる端子間電圧Vcaを電気的特性として利用しているが、電圧Vca波形の他に位相θcaを利用してもよいし、電圧Vca波形と位相θcaの両方を利用してもよいし、電流を利用してもよい。いずれにしても、利用する電気的特性の内容に応じて発振器120の発振周波数が可変される回路構成とすることで、駆動信号の発振周波数を共振周波数に近づける制御メカニズムを実現することができる。
また、実施形態において圧電振動子PZTの形状や大きさ、インピーダンス周波数特性、共振特性は一例として挙げたものであり、異なる形状や大きさ、特性のものを採用してもよい。なお、圧電振動子PZT1は、複数の圧電体層を積層した積層体で構成されていてもよく、内層に電極が配置されている態様であってもよい。
各実施形態において図示とともに挙げた構造はあくまで好ましい一例であり、基本的な構造に各種の要素を付加し、あるいは一部を置換しても本発明を好適に実施可能であることはいうまでもない。
100,200,300,400 駆動装置
130 充放電回路
140 電荷蓄積回路
150,250,350,450 回路網
160 増幅器
190 共振回路

Claims (6)

  1. 駆動対象の圧電振動子に対する駆動信号の印加時に前記圧電振動子と一体となって共振状態を発生させる回路網と、
    前記圧電振動子に印加される駆動信号の電気的特性を利用することなく、共振状態の前記回路網に現れる電気的特性を利用して前記圧電振動子の共振周波数の近傍で前記駆動信号発生を可能とする発振器と
    を備えた圧電振動子の駆動装置。
  2. 請求項1に記載の圧電振動子の駆動装置において、
    前記発振器は、
    前記駆動信号の発振周期を充放電時間に基づいて決定する電荷蓄積回路と、
    前記電荷蓄積回路の電荷を充放電する充放電回路と、
    前記回路網で生じた電圧波形を前記電荷蓄積回路に対する充放電電流として帰還させることで前記電荷蓄積回路の充放電時間を可変させる帰還回路と
    を含むことを特徴とする圧電振動子の駆動装置。
  3. 請求項1に記載の圧電振動子の駆動装置において、
    前記発振器は、
    電気的特性として前記回路網に現れる波形の一部の位相及び電圧の少なくとも一方を検出する検出回路と、
    前記検出回路の検出結果に基づいて、前記発振器が発生させる前記駆動信号の発振周波数を前記圧電振動子の共振周波数の近傍に制御する制御回路と
    を含むことを特徴とする圧電振動子の駆動装置。
  4. 請求項1から3に記載の圧電振動子の駆動装置において、
    前記回路網は、
    前記駆動信号の印加時に充放電を行うことで前記圧電振動子と一体に共振状態を発生させる容量素子を含み、
    前記発振器は、
    前記容量素子の充放電に伴う電圧波形を利用して前記駆動信号の発振周波数を変化させることを特徴とする圧電振動子の駆動装置。
  5. 請求項4に記載の圧電振動子の駆動装置において、
    前記回路網は、
    前記駆動信号の印加時に充放電を行うことで前記圧電振動子と一体に共振状態を発生させるインダクタンス
    をさらに含むことを特徴とする圧電振動子の駆動装置。
  6. 請求項4に記載の圧電振動子の駆動装置において、
    前記回路網は、
    前記圧電振動子が有する電極対の一方を接地させた回路構成を有する
    ことを特徴とする圧電振動子の駆動装置。
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