JP7337489B2 - リレー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、リレー装置に関する。
一般的にリレーは、入力側の回路を駆動すると、これとは絶縁された出力側の回路で接点がON/OFFし、主電源の入り切りや信号の入り切りを行うことができる電気部品である。リレーは出力側の回路に電力を必要とせず、入力側の回路からの電力供給だけで、絶縁された出力側回路の入り切りができる点で産業上の応用範囲が広い。
リレーの従来技術としては、電磁力を利用して機械接点を駆動する電磁リレーが典型的である。また、入力側のフォトダイオードで駆動電力を光伝送し、これを出力側で受けてフォトトランジスタを駆動するフォトリレーが広く知られているほか、圧電トランスの高出力電圧特性を利用してバイモルフを駆動するバイモルフリレーの先行技術も知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
特開昭61-225728号公報 実公平1-29963号公報
電磁リレーは、コイルに通電して接点を駆動するため、コイルのインダクタンス成分による時定数の影響により、実際に接点がON/OFFするまでには大きな遅延が発生する。また、バイモルフリレーは、入力側電源のON/OFFで発振器を駆動又は停止させて出力側の接点をON/OFFする際、発振器の電源容量や整流回路のコンデンサにより発生する時定数の影響を受けるため、やはり実際に接点がON/OFFするまでの遅延時間が大きい。さらに、電磁リレーやバイモルフリレーはいずれも機械式の接点を用いているため、チャタリングを抑えることが難しく、耐久性にも乏しいという問題がある。
光半導体と半導体接点を用いたリレーのように「接点」の部分が半導体で構成されていれば、機械式接点のようなチャタリングや短寿命といった問題は生じない。しかし、入力側のフォトダイオードから出力側のフォトトランジスタへ伝送できる電力レベルが極小であり、半導体接点を短時間内でON/OFF駆動することができないため、依然として遅延時間が大きいという欠点が残される。
また、光半導体と半導体接点を用いたリレーには、接点容量の確保という点でも問題がある。すなわち、入力側のフォトダイオードから伝送できる電力レベルに制約があるため、出力側で大容量の半導体(FET等)を駆動することは困難であり、あまり大きな接点容量を確保することはできない。半導体接点を用いたリレーで大容量の半導体接点を駆動するためには、別途、絶縁型のDCDCコンバータを用意して十分な電力を供給する必要があり、それだけ回路規模が大型化してしまう。
そこで本発明は、半導体接点の利点を活かしつつ、小規模で接点容量を確保することができ、遅延時間を短縮できる技術を提供しようとするものである。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。なお、以下の説明における括弧書きはあくまで参考であり、本発明はこれに限定されない。
〔第1発明〕
第1に本発明のリレー装置は、同じく圧電トランスを用いている。圧電トランスはバイモルフのような用途ではなく、リレー装置は機械式接点を用いない。リレー装置は、圧電トランスで一次側回路(入力側)と二次側回路(出力側)とを絶縁し、一次側回路が駆動電圧を印加して圧電トランスを駆動し、その出力を用いて二次側回路の半導体接点を駆動する。このとき二次側回路は、一次側回路が圧電トランスに対する駆動電圧の印加状態に応じて半導体接点の開閉(ON/OFF)を行う。
〔第2発明〕
第2に本発明のリレー装置は、圧電トランスを用いている。圧電トランスはバイモルフのような用途ではなく、リレー装置は機械式接点を用いない。リレー装置は、圧電トランスで一次側回路(入力側)と二次側回路(出力側)とを絶縁するとともに、一次側回路で駆動電圧を印加して圧電トランスを駆動し、その出力を用いて二次側回路の半導体接点を駆動する。このとき一次側回路は、周波数を可変して駆動電圧を圧電トランスに印加し、その可変される駆動電圧の周波数に応じて二次側回路が半導体接点の開閉(ON/OFF)を行う。
本発明(第1発明、第2発明)によれば、圧電トランスからの出力(フォトダイオード等に比較して大電力が得られる)がそのまま半導体接点の駆動電力となるため、比較的大容量の半導体接点であっても余裕で駆動することができるうえ、従来は伝送電力が低かったことに起因する遅延時間の問題を直ちに解消することができる。それでいて、半導体接点による利点(チャタリングレス、長寿命)を維持しつつも、絶縁型のDCDCコンバータを別に用意するといったことも必要ないから、回路規模の大型化も免れる。
一次側回路は、圧電トランスの入力インピーダンスが誘導性となる周波数帯で圧電トランスを駆動し、駆動電力の周波数を可変して圧電トランスの昇圧比を「高」又は「低」に切り替える。二次側回路は、一次側回路で駆動電圧の周波数を可変して圧電トランスの昇圧比を「高」又は「低」に切り替えたことにより、圧電トランスの出力電圧が「高」又は「低」に切り替えられることに応じて半導体接点の開閉(ON/OFF)を行う。
好ましくは、出力電圧が「低」の場合は半導体接点を開(OFF)とし、出力電圧が「高」になると半導体接点を閉(ON)にする。これにより、より高い電力レベルで半導体接点を駆動するため、大容量の確保と遅延時間の短縮がともに図られる。
このため本発明は、二次側回路に整流回路及び電圧検出器を含めることができる。整流回路で圧電トランスの出力を直流電圧に変換して半導体接点に駆動電力として供給し、整流回路により直流変換された出力電圧を電圧検出器で検出し、電圧レベルが「低」であることを検出した場合は半導体接点を開(OFF)にし、電圧レベルが「高」であることを検出した場合は半導体接点を閉(ON)にする。なお、出力電圧の高低検出は、ある閾値との比較で行ってもよいし、相対比較してもよい。
本発明のリレー装置によれば、接点容量を確保して遅延時間を短縮することができる。
第1実施形態のリレー装置の構成を概略的に示すブロック図である。 圧電トランスの昇圧特性と入力インピーダンスの位相(角度)との関係を示す図である。 リレー装置の動作例を示したタイミングチャートである。 第2実施形態のリレー装置の構成を示すブロック図である。 第3実施形態のリレー装置の構成を示すブロック図である。 第3実施形態のリレー装置の動作例を示したタイミングチャートである。 実用例1のリレー装置の構成を示す回路図である。 実用例1におけるコルピッツ発振器の発振周波数の設定例を示す図である。 実用例2のリレー装置の構成を示す回路図である。 一般的なローゼン型圧電トランスの共振モードを示す図である。 実用例3のリレー装置の構成を示す回路図である。 実用例3の回路で構成される共振回路の等価回路図である。 シミュレーションで得られたV(t)の波形を示す図である。 回路内の各種定数を適当に選定してシミュレーションした結果を示す図である。 回路内の各種定数を適当に選定してシミュレーションした結果を示す図である。 実用例4のリレー装置の構成を示す回路図である。 リレー装置の変形例を示す回路図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態のリレー装置100の構成を概略的に示すブロック図である。
リレー装置100は、圧電トランス102を利用した構成である。圧電トランス102は一次側回路104と二次側回路106とを絶縁する。
〔圧電トランス〕
圧電トランス102は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電体を板状に成形し、分極処理して一次側(駆動部)と二次側(発電部)とを構成したものである。圧電体の表面には、一次側電極102a,102b及び二次側電極102c,102dが例えば銀ペースト等で厚膜形成されている。
〔一次側回路〕
一次側回路104は、主に周波数可変発振器108を有する。一次側回路104は、周波数可変発振器108で圧電トランス102の共振周波数の駆動電圧を生成し、一次側電極102a,102bを通じて圧電トランス102に印加する。圧電トランス102は、自身の昇圧比で駆動電圧を昇圧し、二次側電極102c,102dから出力する。
〔二次側回路〕
二次側回路106は、整流回路110、半導体接点112及び電圧検出器114を有する。整流回路110は二次側電極102c,102dからの出力電圧を直流変換し、半導体接点112に駆動電力として供給する。電圧検出器114は、整流回路110で直流変換された出力電圧を検出し、その検出結果に応じて半導体接点112を開閉(ON/OFF)駆動する。
〔昇圧特性と入力インピーダンスの位相との関係〕
図2は、第1実施形態で用いる圧電トランス102の昇圧特性と入力インピーダンスの位相(角度)との関係を示す図である。図中の実線が昇圧比を示し、破線が位相を示している。通常、位相が90度に近い領域(図中符号Ra)では圧電トランス102の入力インピーダンスが誘導性となり、それ以外では容量性となる。
圧電トランス102は、入力インピーダンスが誘導性となる領域Raでは、高周波側から低周波側に向かって昇圧比が高くなる傾向を示す。したがって、領域Raの周波数帯で圧電トランス102を駆動する場合、入力信号(駆動電圧)の周波数を共振点により近い低周波側に設定すると高い昇圧比が得られ、逆に周波数を共振点より遠い高周波側に設定すると低い昇圧特性が得られることが分かる。
〔周波数可変によるリレー駆動〕
このため本実施形態は、周波数可変発振器108で駆動電圧の周波数を領域Ra内で高低(「高」又は「低」)に可変し、各周波数で得られる昇圧特性の違いを利用して、半導体接点112を開閉駆動する。
具体的には、周波数可変発振器108には入力端子T1,T2から直流電源を供給し、入力端子T3からはHigh/Lowレベルの制御信号を入力する。そして、入力端子T3からの制御信号がHighレベルの場合は低周波側の共振周波数で発振し、逆に入力端子T3からの制御信号がLowレベルの場合は高周波側の共振周波数で発振する回路として周波数可変発振器108を設定する。
図3は、リレー装置100の動作例を示したタイミングチャートである。以下、順を追って説明する。
〔制御信号Low=接点OFF〕
図3中(A):ある時刻t0において、一次側回路104で入力端子T3にLowレベルの制御信号を入力したとする。
図3中(B):この場合、周波数可変発振器108は高周波側の周波数f2で発振し、圧電トランス102の昇圧比を低く設定する(「高」又は「低」のうち「低」)。
図3中(C):したがって、二次側回路106では圧電トランス102により伝送される出力電圧が低レベルV1として電圧検出器114により検出される。
図3中(D):電圧検出器114は出力電圧を低レベルV1として検出している間、半導体接点112を開(OFF)とする(接点非駆動)。これにより、リレー装置100の出力端子間T4,T5間抵抗は、開放状態(OFF)である。
〔制御信号High=接点ON〕
図3中(A):一方、別の時刻t1において、一次側回路104で入力端子T3の制御信号をHighレベルにした場合は以下となる。
図3中(B):この場合、周波数可変発振器108は低周波側の周波数f1で発振し、圧電トランス102の昇圧比を高く設定する(「高」又は「低」のうち「高」)。
図3中(C):したがって、二次側回路106では、圧電トランス102で伝送される出力電圧が高レベルV2として検出される。
図3中(D)電圧検出器114は出力電圧が高レベルV2であることを検出すると、半導体接点112を開(OFF)から閉(ON)に切り替える(接点駆動)。これにより、リレー装置100の出力端子間T4,T5間抵抗は、ほぼ0Ωとなり短絡状態となる(ON)。
このとき、半導体接点112の応答に要する遅延時間τ1は、機械式リレー等の遅延時間(数ms~十数ms)に比較して圧倒的に短く(例えば1ms未満に)抑えられている。
〔第2実施形態〕
図4は、第2実施形態のリレー装置120の構成を示すブロック図である。第2実施形態のリレー装置120は、二次側回路106内に第1整流回路110a及び第2整流回路110bを有する点が第1実施形態のリレー装置100と異なる。それ以外は第1実施形態のリレー装置100と同じであり、同じ構成については図4中に共通の符号を付し、その重複した説明を省略する。
第2実施形態のリレー装置120は、二次側回路106の第1整流回路110aで圧電トランス102の出力を直流電圧に変換し、半導体接点112に供給する点は第1実施形態のリレー装置100と同様である。第1整流回路110aとは別に設けた第2整流回路110bは、同じく圧電トランス102の出力を直流電圧に変換するが、整流動作の応答性を第1整流回路110aより高く設定することで、電圧検出器114による検出動作の応答性を向上する。
例えば、第1整流回路110aや第2整流回路110bをダイオードとコンデンサで構成する場合、第1整流回路110a内のコンデンサ容量に比較して第2整流回路110b内のコンデンサ容量を小さく設定する。これにより、第1整流回路110aよりも第2整流回路110bのコンデンサの充放電応答性を高め、電圧検出器114により出力電圧が検出されるまでの応答時間を短縮することで半導体接点112のON/OFFに要する遅延時間を最小限に抑える。また、第1整流回路110a内のコンデンサ容量はより大きく確保することで、半導体接点112に供給する駆動電力を大きく確保し、さらに遅延時間の短縮化を図ることができる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態のいずれについても、周波数可変発振器108を定常的に動作させているため、二次側回路106に設けた整流回路110、110a,110b内の平滑用コンデンサは、定常的に充電状態を維持している。このため、周波数可変発振器108による発振周波数の切り替え時点において二次側回路106内の平滑用コンデンサが全放電状態から新たに充電を開始する必要はなく、そのため半導体接点112の駆動に要する遅延時間を最小限に抑えることができる。
〔第3実施形態〕
図5は、第3実施形態のリレー装置130の構成を示すブロック図である。第1,第2実施形態と同様に、第3実施形態のリレー装置130も圧電トランス102を用いているが、他とは異なる構成の一次側回路105及び二次側回路107を有する。
第3実施形態のリレー装置130は、一次側回路105に発振器119及び電源用のコンデンサC1を有しているが、発振器119から圧電トランス102には共振周波数の駆動電圧を印加し、その際、駆動電圧の周波数は可変しない(ただし、可変してもよい)。また、発振器119には入力端子T1,T2を介して図示しない電源を供給するが、電力供給のON/OFFに応じて発振器119の発振(つまり駆動電力の供給)もON/OFFされる。このため第1,第2実施形態のように制御信号の入力端子は設けていない。
二次側回路107は、整流回路110c及び半導体接点112を有する。整流回路110cは、整流用のブリッジ型ダイオードD1及びコンデンサC2で構成されている。整流回路110cは、圧電トランス102からの出力を直流電圧に変換し、半導体接点112に供給する。このとき、半導体接点112の接点駆動(ON/OFF)は、一次側回路105での発振器119のON/OFFに連動することができる。
図6は、第3実施形態のリレー装置130の動作例を示したタイミングチャートである。以下、順を追って説明する。
〔電源OFF=接点OFF〕
図6中(A):ある時刻t0において、入力端子T1,T2間の入力(電源供給)はOFFとなっている。
図6中(B):この場合、発振器119は電源OFFの状態で発振動作を行わないため、圧電トランス102に印加する駆動信号もOFFとなっている。
図6中(C):圧電トランス102が駆動されないため半導体接点112も開(OFF)であり、リレー装置130の出力端子T3,T4間抵抗は、開放状態(OFF)である。
〔電源ON=接点ON〕
図6中(A):一方、別の時刻t1において、入力端子T1,T2間の入力(電源供給)がONになった場合は以下となる。
図6中(B):電源供給の開始(ON)に伴い、発振器119が動作を開始して駆動信号がONになる。なお、駆動信号は電源用のコンデンサC1が充電されるまでの応答時間を経て立ち上がり、圧電トランス102の駆動が開始される。
図6中(C):すると、圧電トランス102から自身の昇圧比で昇圧された電圧が出力され、整流回路110cによる整流を経て半導体接点112がONになる。このとき、半導体接点112の応答に要する遅延時間τ2は、電源用のコンデンサC1や整流(平滑)用コンデンサC2の充電時間の影響を受ける分、第1,第2実施形態に比較して大きくなるが、依然として機械式リレー等の遅延時間(数ms~十数ms)に比較すると圧倒的に短く(例えば1ms未満に)抑えられている。
以上の第1~第3実施形態によれば、従来の問題点である遅延時間の大きさや耐久性の問題、さらには別途DCDCコンバータを設けることによる回路規模の大型化といった各種の欠点をいずれも解消することができる。
また、第1,第2実施形態では、周波数可変発振器108を定常的に駆動していることから、一次側回路104内の電源用のコンデンサに対する充電時間が必要ないことに加え、二次側回路106内において整流用のコンデンサの充電時間も電圧変化が閾値を超えるのに要するだけで済むことから、全体として遅延時間を最小限に抑えることができる。
この点、従来のフォトダイオードとフォトトランジスタの組合せでは、出力側に伝送される電力が小さいため、出力側回路内の放電用抵抗をあまり小さくすることができず、放電用抵抗その他のコンデンサで時定数が大きくなり、特に立下り時間を短縮することが難しいが、第1~第3実施形態のように圧電トランス102を使用すれば、伝送電力の不足はなく、上記の問題点は解消される。
また、圧電トランス102の伝送電力が充分に大きいことから、フォトダイオードとフォトトランジスタの組合せでは駆動できない大容量の半導体も余裕で駆動することができる。したがって、半導体接点112の半導体の大容量化が可能となるうえ、そのために別途DCDCコンバータを設ける必要もなく優位である。
〔各種実用例〕
次に、第2実施形態のリレー装置120を例に挙げて、各種の実用例をさらに説明する。以下では、各種実用例ごとに異なるリレー装置220,320,420,520を開示する。第2実施形態を例に挙げているのは、二次側回路106の構成を第1整流回路110aと第2整流回路110bに分けて構成した場合の実用例を網羅するためであり、以下の開示から第1実施形態のリレー装置100に適用した場合の実用例も合わせて理解される。
〔実用例1〕
図7は、実用例1のリレー装置220の構成を示す回路図である。ここでは、図4に示すブロック構成要素と同一の構成要素に同じ符号を付している。
実用例1のリレー装置220は、一次側回路104にコルピッツ発振器108Aを有している。すなわち、図4の周波数可変発振器108をコルピッツ発振器108Aとして構成したものが実用例1のリレー装置220である。また、入力端子T3からの制御信号(High/Low)は、コルピッツ発振器108A内のスイッチング素子SW1に対するゲート駆動信号として供給されている。
〔一次側回路内コルピッツ発振器〕
コルピッツ発振器108Aにおいて、2つのトランジスタQ1,Q2は、それぞれのコレクタを電流源とする増幅器を構成する。なお、図7の回路構成において、トランジスタQ1,Q2への直流バイアス回路は図示を省略している。コルピッツ発振器108Aは、トランジスタQ1,Q2の他にコンデンサC1,C2,C3及び圧電トランス102(PZT1)の一次側を加えてコルピッツ発振器を構成する。このうち、コンデンサC1,C2,C3に圧電トランス102の一次側電極102a,102bを加えた部分が共振回路を構成する。
〔二次側回路〕
二次側回路106において、ダイオードD1及びコンデンサC4が第1整流回路110aを構成するものである。また、ダイオードD2及びコンデンサC5が第2整流回路110bを構成するものである。なお、抵抗R1及びツェナーダイオードZD1は、電圧安定化回路を構成するものである。
ブロック要素で示したDET回路114は図4の電圧検出器114に該当するものであり、DET回路114は、予め設定された電圧の閾値に対して、コンデンサC5の端子間電圧が「高」であるか又は「低」であるかの検出を行い、「高」又は「低」に応じてスイッチング素子SWをON/OFFに駆動する。
スイッチング素子SWはゲート駆動回路であり、スイッチング素子SWで2つの半導体接点(FET)Q3,Q4を駆動する構成を半導体接点112としている。スイッチング素子SWは、DET回路114からの駆動信号に応じて半導体接点Q3,Q4をON/OFFする。
〔コルピッツ発振器による周波数可変〕
コルピッツ発振器108Aは、圧電トランス102の入力インピーダンスが誘導性となる周波数帯(図2の領域Ra)で発振する。発振周波数は圧電トランス102の一次側電極102a,102b間インダクタンスL1とコンデンサC1,C2,C3との関係から定まり、以下の式〔数1〕で表される。
Figure 0007337489000001
ここで、上記の式は、スイッチング素子SW1がONのときの発振周波数f1を表すものであり、スイッチング素子SW1がOFFのときの発振周波数f2は以下の式〔数2〕で表されることになる(L1’:発振周波数f2のときの一次側電極102a,102b間インダクタンス)。
Figure 0007337489000002
図8は、実用例1におけるコルピッツ発振器108Aの発振周波数の設定例を示す図である。図8中、領域Raは、圧電トランス102の入力インピーダンスが誘導性となる周波数帯(範囲)を示している。
実用例1のコルピッツ発振器108Aは、いずれの発振周波数f1,f2についても、圧電トランス102の入力インピーダンスが誘導性の周波数帯(領域Ra)にあるものとして各種値が設定されている。インダクタンスL1(L1’)やコンデンサC1,C2,C3の値は、実用例1とする回路構成に合わせて予め実験等により好適に設定すればよい。
したがって、スイッチング素子SW1がONのときは、図8に示す低周波側の発振周波数f1でコルピッツ発振器108Aが発振し、スイッチング素子SW1がOFFのときは、高周波側の発振周波数f2でコルピッツ発振器108Aが発振する。このような発振周波数f1,f2の切り替えは、入力端子T3に入力する制御信号のレベルに応じて制御することができる。
〔発振周波数f1での発振時〕
すなわち、入力端子T3にHighレベルの制御信号が入力されると、スイッチング素子SW1がONとなり、コルピッツ発振器108Aは低周波側の発振周波数f1で発振するため、圧電トランス102の昇圧比が「高」に設定される。
〔発振周波数f2での発振時〕
一方、入力端子T3にLowレベルの制御信号が入力されると、スイッチング素子SW1がOFFとなり、コルピッツ発振器108Aは高周波側の発振周波数f2で発振するため、圧電トランス102の昇圧比は「低」に設定される。
上記のような切り替えを一次側回路104で行い、二次側回路106で圧電トランス102の出力電圧を検出する。すなわち、第1整流回路110aのダイオードD1とコンデンサC4、第2整流回路110bのダイオードD2とコンデンサC5は、それぞれ圧電トランス102の出力電圧を整流して直流電圧に変換する。このとき、第2整流回路110bの直流電圧は、圧電トランス102が低周波側の発振周波数f1で駆動されるときは高い直流電圧を出力し、高周波側の発振周波数f2で駆動されるときは低い直流電圧を出力する。
したがって、これらの直流電圧をDET回路114で検出し、その検出電圧が所定の閾値より高いときはスイッチング素子SWを駆動して半導体接点Q3,Q4を導通(ON)する。一方、整流された直流電圧が所定の閾値より低い場合、DET回路114はスイッチング素子SWを駆動して半導体接点Q3,Q4を遮断(OFF)する。
この間、第1整流回路110aのダイオードD1とコンデンサC4で変換される直流電圧は、抵抗R1とツェナーダイオードZD1の安定化回路により電圧を一定に保ちつつ、スイッチング素子SW及び半導体接点Q3,Q4のゲート回路を駆動する電源として作用する。第1整流回路110aからの直流電圧は、発振周波数f1,f2のいずれにおいてもツェナーダイオードZD1の電圧値より高い電圧レベルに設定しておくことで、発振周波数f1,f2のいずれの場合でもスイッチング素子SWへの入力電圧を一定に保持することができる。
このように、実用例1のリレー装置220は、コルピッツ発振器108Aが圧電トランス102の誘導性周波数帯(領域Ra)で発振する性質を利用し、共振用コンデンサ(C1~C3)の容量を可変する(ここでは一部のコンデンサC1の接続をON/OFFする)ことで、圧電トランス102の出力電圧を可変し、絶縁された二次側回路106の半導体接点Q3,Q4を駆動することができる。
〔実用例2〕
次に、実用例2を開示する。
図9は、実用例2のリレー装置320の構成を示す回路図である。ここでも同様に、図4に示すブロック構成要素と同一の構成要素に同じ符号を付している。図7に示す実用例1においては増幅器を構成するトランジスタQ1,Q2の直流バイアス回路の構成に言及していないが、実用例2では、好適な直流バイアス回路の構成を開示する。
実用例2においてコルピッツ発振器108Bもまた、トランジスタQ1,Q2による電流源を使用する。このとき、静止状態において(直流バイアス条件として)一方のトランジスタQ1の電流源の値と他方のトランジスタQ2の電流源の値が異なると、2つのトランジスタQ1,Q2のコレクタ電圧は電源側又はGND側のいずれか片方に偏ってしまう。
例えば、図9において一方のトランジスタQ1の直流増幅率hFE1と他方のトランジスタQ2の直流増幅率hFE2とを比較したとき、これらの関係がhFE1>hFE2であるときは、トランジスタQ1,Q2のコレクタ電圧は電源側に偏る。このとき、一方のトランジスタQ1のコレクタ-エミッタ間電圧はほぼ0Vとなることから、一方のトランジスタQ1が飽和状態となり、2つのトランジスタQ1,Q2で構成するはずの増幅器はその増幅率が著しく低下してしまう。すると、コルピッツ発振器108Bとしての発振条件を逸脱し、その発振が停止することになる。
上記と逆に、2つのトランジスタQ1,Q2の直流増幅率の関係がhFE1<hFE2である場合、今度は他方のトランジスタQ2が飽和状態となり、先と同様に2つのトランジスタQ1,Q2で構成する増幅器の増幅率が著しく低下して、今度も発振が停止する。
以上の検証から明らかなように、コルピッツ発振器108Bが正常に発振するためには、2つのトランジスタQ1,Q2でそれぞれの直流増幅率の関係がhFE1=hFE2の条件を満たしている必要がある。しかしながら、実際には部品のばらつきや、温度依存性などを考慮すると、2つのトランジスタQ1,Q2で直流増幅率を一致させた回路構成を実現することは非常に困難である。
本発明の発明者等は上記の事情から鋭意検討を重ね、その解決手法を見出すに至った。その解決手法を開示したものが、実用例2の直流バイアス回路の構成である。
図9に示す直流バイアス回路では、2つのトランジスタQ1,Q2の直流増幅率hFE1、hFE2の値が相違していても(実際にはほとんど相違している)、2つのトランジスタQ1,Q2のコレクタ電圧は、電源電圧E1に対して定常的に以下の式で表す電圧に制御することができる。
コレクタ電圧=R3/(R2+R3)×E1
したがって、2つのトランジスタQ1,Q2はいずれも能動状態を維持し、その高い増幅率を維持することができる。
上記のように、2つのトランジスタQ1,Q2で直流増幅率の偏差による偏りを均衡させるため、直流バイアス回路は抵抗R2,R3,R10,R11,R12を配置し、一方のトランジスタQ1のコレクタ電圧を上記の値(R3/(R2+R3)×E1)で固定にする(固定回路)。また、直流バイアス回路は差動増幅器IC1を有しており、差動増幅器IC1から出力する他方のトランジスタQ2のベース電流にコレクタ電圧を帰還入力させることで、トランジスタQ2のコレクタ電圧を上記の値(R3/(R2+R3)×E1)に均衡させる(均衡回路)。
なお、このとき差動増幅器IC1は、その反転入力端子(-)と非反転入力端子(+)のバイアス電流は無視できるほど小さいと考えることができる。また、差動増幅器IC1の出力インピーダンスは、抵抗R6,R8,R9で構成する負荷回路のインピーダンスに対して十分低く、これを電圧源であると考えてよい。また、抵抗R7とコンデンサC6で構成する低域フィルタのカットオフ周波数は、コルピッツ発振器108Bの発振周波数に対して十分に低周波であり、その発振動作には特段影響しない。
ただし、直流動作において減衰量は0dBであると考えられる。また、差動増幅器IC1の反転入力と非反転入力の電圧は同電位であるから、直流動作の条件では、トランジスタQ1,Q2のコレクタ電圧は上記のように大略(R3/(R2+R3)×E1)となる。これにより、2つのトランジスタQ1,Q2を能動状態に維持し、増幅器としての高い利得を維持することでコルピッツ発振器108Bとしての発振条件を満たすことができることになる。
〔実用例3〕
次に、実用例3を開示する。ここまでに開示した実用例1,2のコルピッツ発振器108A,108Bは、実際は圧電トランス102の他の共振周波数(所望とは別の共振周波数)でも発振する可能性がある。その結果、知らないうちに圧電トランス102が正常な(本来想定している)周波数で駆動されないこととなる。この場合、圧電トランス102の出力電圧は期待した出力電圧レベルに達しないため、半導体接点112に十分なゲート駆動電圧を印加できなくなって動作不良を生じたり、DET回路114の検出動作が異常になったりするなどの不具合を生じてしまう。
図10は、一般的なローゼン型圧電トランスの共振モードを示す図である。実は上記の不具合は、一般的に圧電トランスの共振周波数には複数のモードが存在することに起因する。一例を挙げると、圧電トランスの共振モードは、図10に示すように圧電トランスの長さLを半波長とするλ/2モード、長さLを1波長とするλモード、長さLを3/2波長とする3λ/2モードといった複数のモードがある。
実用例1,2(図7、図9)のコルピッツ発振器108A,108Bの場合、使用する圧電トランス102が有する複数のモードのうち、目的とする正常な共振周波数以外の共振周波数で発振する場合がある。その一因として、高周波成分の影響が考えられることから、帰還ループの中にローパスフィルタなどを挿入し、高周波側の複数の共振周波数で発振するのを防止する方法も考えられる。しかし、それでも正常な周波数とそれ以外の周波数との差が小さい場合には、正常な周波数における位相が影響を受けることで、知らず発振動作を阻害することになる。
本発明の発明者等は上記の事情からさらに鋭意検討を重ね、その解決手法を見出すに至った。その解決手法を開示したものが、実用例3の回路の構成である。
図11は、実用例3のリレー装置420の構成を示す回路図である。図11に示すコルピッツ発振器108Cは、上記の事情で述べたような誤動作(正常な共振周波数以外での発振)を防止することを目的として構成された回路である。
実用例3の回路は、コルピッツ発振器108Cにマルチバイブレータ150を使用している。ここでは、抵抗R2,R3,R4,R5,コンデンサC6、アンプIC1がマルチバイブレータ150を構成している。なお、アンプIC1は差動増幅器又はコンパレータ(プッシュプル出力型)である。
次に、回路内で抵抗R6,R7,R8,R9及びトランジスタQ5が極性反転回路152を構成する。また、抵抗R10,R11,R12及びトランジスタQ1は、電流源154を構成する。なお、トランジスタQ2及び抵抗R13はここでは増幅回路156である。
その他のコンデンサC1,C2,C3やスイッチング素子SW1は、これまでの実用例1,2と同じ機能を有する。また、二次側回路106の構成に特段の相違はない。
〔共振回路〕
図12は、実用例3の回路でSW1がONの場合に構成される共振回路の等価回路図である(以下ではSW1がONの状態を想定して説明する。)。
すなわち、入力インピーダンスが誘導性となる周波数帯で圧電トランス102の一次側電極102a,102b間のインダクタンス(L)とコンデンサC1,C2,C3が共振回路を構成するとき、その等価回路は図12で表される。等価回路の電圧源eは、トランジスタQ1,Q2で構成される増幅器出力の電流源を、電圧源に変換した場合の等価電圧源(e)である。
〔帰還回路〕
ここで着目すべきは、実用例3の回路において、コンデンサC3(特定の容量素子)の端子間電圧がアンプIC1の反転入力端子へ帰還入力されている点である。すなわち、コンデンサC3は、上記のように回路内において共振回路の一部を構成しているが、同時にコンデンサC3の端子間電圧は図11における帰還電圧と考えることができる。
図12において、等価電圧源(e)の角周波数がωのときのコンデンサC3の端子間電圧Vb(t)は、トランジスタQ1が遮断状態から能動状態、トランジスタQ2が能動状態から遮断状態となった時刻をt=0として、以下の式(1)で近似することができる。ただし、時刻t=0においてインダクタンスLに流れている初期電流をi(0)とする。また、共振回路のQは高く、共振回路への供給電流と比較して、共振電流が十分大きいと仮定して電圧源eからの供給電流を省略する。
Figure 0007337489000003
ω<ωのとき、φ>0
ω=ωのとき、φ=0
ω>ωのとき、φ<0
とする。
図13は、φ=0の場合のシミュレーションで得られたV(t)の波形を示す図である。
上式(1)に適当な初期電流i(0)、角周波数ω=ω0、コンデンサ容量C1+C2、C3の値を入力してシミュレーションを行うと、図13に示される波形が得られる。このようにVb(t)は、図12の等価電圧源(e)の角周波数ωが圧電トランス102の入力インピーダンスの等価インダクタンスLと外部の容量C1,C2,C3との関係から定まる共振周波数ω0の場合はφ=0となり、共振周波数ω0より低周波で振動する場合は図13の波形より位相が進んでφ>0となり、共振周波数ω0より高周波の場合は図13の波形より位相が遅れてφ<0となる。
図11に示すマルチバイブレータ150の発振周波数は、コンデンサC6の充放電時間で定まる。ただし、コンデンサC6の充放電特性は、主としてアンプIC1の出力電圧から抵抗R4を経由して入り込む電流に依存するが、共振回路のコンデンサC3から抵抗R14を経由して帰還入力してくる電流の影響を受ける。
図14及び図15は、図11に示す回路内の各種定数を適当に選定してシミュレーションした結果を示す図である。図14及び図15に示す各種波形は、共振回路のC3端子間電圧をマルチバイブレータ150に帰還入力させた場合に得られる変化を示す。これら図14、図15中、細い実線で示される波形C3は帰還入力の変化であり、一点鎖線で示される波形C6はマルチバイブレータ150のコンデンサC6の端子間電圧の変化であり、波形C3,C6に重ねて太い実線で示される矩形波IC1(+)は、アンプIC1の非反転入力端子電圧の変化を示している。また、波形C3,C6から離れた位置に太い実線で示される矩形波IC1は、アンプIC1の出力端子の電圧波形を示している。
ここで、波形C3の帰還入力は以下の式〔数4〕で表される。
Figure 0007337489000004
また、波形C6の端子間電圧は以下の式で表される。
Figure 0007337489000005
なお、0≦t≦π/ωとする。
いま仮に、コンデンサC6の充放電波形とコンデンサC3の端子間電圧V(t)+V+Vremの波形が図14に示すタイミングとなった場合を考える。コンデンサC6の電荷は主に、抵抗R4を経由して入り込む充放電電流で蓄積、放電を繰り返す。アンプIC1の非反転入力端子の波形(符号IC1(+))はアンプIC1の出力電圧を分圧した矩形波となり、アンプIC1の出力電圧が反転する閾値の役目を果す。
マルチバイブレータ150の発振周波数は、コンデンサC6の充放電電流が大きいと高周波側に移行し、逆に小さいと低周波側に移行する。図14の波形タイミングは、コンデンサC3の端子間電圧を構成するV(t)の式中、φの値が0である場合を示している。すなわちこれは、抵抗R4を経由する充放電電流と抵抗R14を経由する充放電電流との合計値で定まる角周波数と共振回路の角周波数ωとが一致する場合である。
ここで、時刻t=0から時刻t=π/ωの半周期に抵抗R14を経由してコンデンサC6から流れ出る電流によりコンデンサC6が放電される電荷ΔQの値を算出する。ΔQの値の算出に際し、コンデンサC6の充放電電流のうち抵抗R4を経由してコンデンサC6に流れ込む電流は、抵抗R14を経由する電流に対して十分大きいと近似する。このような近似をするとコンデンサC6の端子間電圧は、時刻t=0から時刻t=π/ωの半周期において、次式〔数6〕
Figure 0007337489000006
で表される。
抵抗R14を経由してコンデンサC6から流れ出る電流は、その値(〔数6〕で表す値)からコンデンサC3の端子間電圧(〔数4〕で表す値)を差し引いた電圧値を抵抗R14の値で除すれば得られる。求める半周期に放電される電荷ΔQの値は、その電流値を時刻t=0から時刻t=π/ωの範囲で積分した値となり、以下の式(2)で表される。
Figure 0007337489000007
上式(2)を整理すると、次式(2)-1となる。
Figure 0007337489000008
また、上式(2)-1に次式〔数9〕のVb0を代入すると以下の〔数10〕となる。
Figure 0007337489000009
Figure 0007337489000010
時刻t=0~π/ωにおいては、ΔQは、抵抗R4を経由して得られる分の充電電荷を差し引く方向に働く。上式(2)-1から、φ=0のときは、その第3項は次式〔数11〕となり、ΔQは正方向に最大となる。ここでいう正方向とは、コンデンサC6の充電電荷を差し引く方向であるため、抵抗R4を経由する充電電流のみの場合よりも低周波側に発振周波数をシフトさせることが分かる。
Figure 0007337489000011
また、φがπのときは、上式(2)の第3項は次式〔数12〕となるので、この場合のΔQは最小となる。
Figure 0007337489000012
続いて仮に、マルチバイブレータ150の発振周波数が圧電トランス102の正常な共振周波数より低周波側に偏差を受けると、上式(1)からφが増大する方向に変化するので、ΔQの値は小さくなり、コンデンサC6の充電時間は短い方向に制御され、その結果、発振周波数は共振周波数に近づく方向に制御される。これとは逆に、発振周波数が共振周波数より高周波側に偏差を受けると、今度はφが減少方向に変化するので、ΔQの値は増大し、コンデンサC6の充電時間を長くする方向に制御されることで、結果的に発振周波数を共振周波数に近づける方向に制御される。
図15は、φがπ/2である場合の変化に相当する。
ただし、上式(2)-1の第3項は、ここでは(2Vb0)/(ωR14)cos(φ)で遇関数であることから、φが0~πの範囲内でのみ上記の制御(マルチバイブレータ150の発振周波数を圧電トランス102の共振周波数に近づける制御)が可能である。
このように、図11に示す回路はマルチバイブレータ150の部品ばらつきや、圧電トランス102の共振周波数の偏差を許容し、圧電トランス102の入力インピーダンスが誘導性となる周波数領域での発振(正規の発振周波数)を安定的に維持することができる。
一方、マルチバイブレータ150が正規の発振周波数より高周波側で発振した場合は以下となる。例えば、マルチバイブレータ150が正規の発振周波数の2倍の周波数で発振しようとすると、抵抗R4からの充電電荷が不十分になるため、コンデンサC6の端子電荷が閾値(アンプIC1の非反転入力端子電圧)に達することができなくなり、結果的に2倍の周波数で発振することはない。したがって、倍振動などの異常周波数での発振を確実に防止することができる。
〔実用例4〕
図16は、実用例4のリレー装置520の構成を示す回路図である。実用例4の回路において、マルチバイブレータ150の動作原理(共振周波数の制御)は実用例3と同様である。実用例3との相違は、周波数可変用にコンデンサC1ではなくコンデンサC2を使用し、そのためスイッチング素子SW1の接続が図11とは異なっている点である。
実用例4の発振周波数は、スイッチング素子SW1がONのときの発振周波数f1は以下の式で表される。
Figure 0007337489000013
また、スイッチング素子SW1がOFFのときの発振周波数f2は以下の式で表される。
Figure 0007337489000014
その他の原理やメカニズムは実用例3と同様である。
〔変形例〕
図17は、実用例4のリレー装置520に関する変形例を示す回路図である。
この変形例は、主に第1整流回路110a及び第2整流回路110bの回路構成に関するものであり、ブリッジ型ダイオードD1,D2と整流コンデンサD4,D5の構成をそれぞれ簡素化している。このような第1整流回路110a、第2整流回路110bの回路構成においても、好適に直流変換してリレー装置520を動作させることができる。
なお、ここでは実用例4を例に挙げているが、第1,第2実施形態のリレー装置100,120、実用例1~3のリレー装置220,320,420に適用してもよい。
上述した実用例1~4のリレー装置220,320,420,520によれば、制御信号をHigh/Lowに切り替えるだけで半導体接点112をON/OFF駆動することができる。その際、機械式接点のデメリットをなくすという半導体接点112としての利点を最大に活かしつつ、圧電トランス102を用いた伝送電力で接点容量も確保することができ、さらには遅延時間も極力短縮することができる。
また、実用例2は、より製品化に適した直流バイアス回路の構成を開示しており、実用例3,4は、実際に使用する圧電トランスの共振モードでの発振が安定的に維持できる回路の構成を開示している点で極めて有用である。
各実施形態において図示とともに挙げた構造はあくまで好ましい一例であり、基本的な構造に各種の要素を付加し、あるいは一部を置換しても本発明を好適に実施可能であることはいうまでもない。
100,120,130 リレー装置
102 圧電トランス
104 一次側回路
106 二次側回路
108 周波数可変発振器
108A,108B コルピッツ発振器
110,110a,110b 整流回路
112 半導体接点
114 電圧検出器
119 発振器
150 マルチバイブレータ
220,320,420,520 リレー装置(実用例1~4)

Claims (6)

  1. 圧電トランスと、
    前記圧電トランスの入力インピーダンスが誘導性となる周波数帯で昇圧比を高低に異ならせる複数の周波数可変して前記圧電トランスに駆動電圧を印加する一次側回路と、
    前記圧電トランスの出力を用いて駆動される半導体接点を有し、前記一次側回路により可変される駆動電圧の周波数に応じて前記圧電トランスの昇圧比が高低に異なる結果、前記圧電トランスの出力電圧が高低に異なることに応じて前記半導体接点を開閉する二次側回路と
    を備えたリレー装置。
  2. 請求項に記載のリレー装置において、
    前記二次側回路は、
    前記圧電トランスの出力電圧を直流電圧に変換して前記半導体接点に駆動電力を供給する整流回路と、
    前記整流回路により直流変換された出力電圧の高低を検出することで前記半導体接点の開閉状態を切り替える電圧検出器と
    を含むことを特徴とするリレー装置。
  3. 請求項に記載のリレー装置において、
    前記整流回路は、
    前記圧電トランスの二次側電極に接続されて前記半導体接点に駆動電力を供給する第1整流回路と、
    前記圧電トランスの二次側電極に前記第1整流回路と並列に接続されて前記電圧検出器に検出電圧を供給する第2整流回路と
    から構成されることを特徴とするリレー装置。
  4. 請求項からのいずれかに記載のリレー装置において、
    前記一次側回路は、
    前記圧電トランスに印加する駆動電圧の電流源となる増幅器と、前記圧電トランスとともに前記増幅器に接続された複数の容量素子とを有し、前記圧電トランスの入力インピーダンスが誘導性となる周波数帯で前記圧電トランスの一次側電極間インダクタンスと前記複数の容量素子との関係から定まる発振周波数を有したコルピッツ発振器と、
    前記複数の容量素子の一部と他の容量素子との接続をスイッチングして前記発振周波数を可変するスイッチング素子と
    を有することを特徴とするリレー装置。
  5. 請求項に記載のリレー装置において、
    前記一次側回路は、
    前記増幅器として前記圧電トランスの一次側電極に接続された2つの極性が異なるトランジスタのうち一方のコレクタ電流を固定する固定回路と、
    他方のトランジスタのベース電流にコレクタ電圧を帰還入力して他方のコレクタ電圧を一方のコレクタ電流に追従して均衡させる均衡回路と
    を有することを特徴とするリレー装置。
  6. 請求項からの何れかに記載のリレー装置において、
    前記一次側回路は、
    前記圧電トランスに印加する駆動電圧の電流源となる増幅器と、前記圧電トランスとともに前記増幅器に接続された複数の容量素子とを有し、前記圧電トランスの入力インピーダンスが誘導性となる周波数帯で前記圧電トランスの一次側電極間インダクタンスと複数の容量素子との関係から定まる共振周波数を有した共振回路と、
    前記複数の容量素子の一部と他の容量素子との接続をスイッチングして前記共振回路の共振周波数を可変するスイッチング素子と、
    所定の容量素子の充放電特性に基づく発振周波数が前記共振回路の共振周波数に合わせて設定されたマルチバイブレータと、
    前記共振回路内で充放電を行う特定の容量素子の電圧を帰還入力として前記所定の容量素子の充放電特性を変化させる帰還回路と
    を有することを特徴とするリレー装置。
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