JP7241489B2 - 圧電体駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電体を駆動する圧電体駆動装置に関する。
この種の圧電体駆動装置に関して従来、圧電トランスの一次側電極(入力電極)に交流矩形波電圧を印加して駆動を行う先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術は、一対のコンプリメンタリ型プッシュプル回路からなるフルブリッジ回路を備え、各プッシュプル回路のスイッチ素子を交互にオン-オフする動作を繰り返すことで一次側電極間に交流矩形波電圧を印加するものである。
特許第5885544号公報
通常、圧電トランスをはじめとする圧電体は、その共振点に合わせた駆動周波数で最適な機械振動を発生させるものと考えられている。
しかし、これでは圧電体の特性をピンポイントでしか活用できておらず、産業上の利用性に乏しい。
そこで本発明は、圧電体の特性を多様に活用する技術を提供しようとするものである。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。なお、以下の説明における括弧書きはあくまで参考であり、本発明はこれに限定されない。
本発明の圧電体駆動装置は、駆動電圧の電流源となる増幅器と複数の容量素子とを組み合わせた駆動回路(発振駆動回路)で圧電体に駆動電圧を印加する。発振駆動回路は、圧電体の入力電極間インダクタンスと複数の容量素子との関係から定まる発振周波数で圧電体に駆動電圧を印加する。このとき、可変素子が複数の容量素子の一部と他の容量素子との接続関係を変化させることで、圧電体に駆動電圧を印加する際の発振周波数を可変する。
特に本発明では、可変した発振周波数(例えば第1の発振周波数f1と第2の発振周波数f2、あるいは発振周波数が3つより多くてもよい)に応じて圧電体の振動特性を異ならせながら多様に活用することができる。好ましくは、圧電体の入力インピーダンスが誘導性となる周波数域内で上記の発振周波数を可変することができる。
本発明の圧電体駆動装置は、その発振駆動回路に固定回路及び均衡回路を含めることで、より最適に動作することができる。すなわち、圧電体の入力電極に接続された2つの異なる極性のトランジスタ(Q1,Q2)を増幅器としたとき、固定回路は、一方のトランジスタ(Q1)のコレクタ電流を固定する。均衡回路は、他方のトランジスタ(Q2)のベース電流にコレクタ電圧を帰還入力して他方のトランジスタ(Q1)のコレクタ電圧を一方のコレクタ電流に追従して均衡させる。これにより、2つのトランジスタ(Q1,Q2)で構成する増幅器は高水準の利得を維持し、発振駆動回路の好適な発振動作を持続させることができる。
本発明の別の態様では、圧電体に駆動電圧を印加する駆動回路にマルチバイブレータを適用することもできる。この態様では、駆動電圧の電流源となる増幅器と複数の容量素子とを組み合わせた駆動回路(共振駆動回路)で圧電体に駆動電圧を印加する。共振駆動回路は、圧電体の入力電極間インダクタンスと複数の容量素子との関係から定まる共振周波数で圧電体に駆動電圧を印加する。このとき、可変素子が複数の容量素子の一部と他の容量素子との接続関係を変化させることで、共振駆動回路から圧電体に駆動電圧を印加する際の共振周波数を可変する。
したがって、ここでは圧電体の入力インピーダンスが誘導性となる周波数域内で共振周波数を可変することにより、可変した発振周波数(例えば第1の共振周波数f1と第2の共振周波数f2、あるいは共振周波数が3つより多くてもよい)に応じて圧電体の振動特性を異ならせながら多様に活用することができる。
別の態様において適用されるマルチバイブレータは、所定の容量素子の充放電特性に基づく発振周波数を有するが、この発振周波数が共振駆動回路の共振周波数に合わせて設定されている。また、マルチバイブレータには帰還回路を接続しており、この帰還回路は、共振駆動回路内で充放電を行う特定の容量素子の電圧を帰還入力として所定の容量素子の充放電特性を変化させる。
別の態様によれば、共振駆動回路から圧電体に駆動電圧を印加する際の共振周波数が本来の値より低周波側に偏るか、あるいは、高周波側に偏るような現象が生じても、いずれの場合も帰還回路からの働きかけにより容量素子の充放電特性が変化し、偏差を解消させる方向に制御されて本来の共振周波数に安定させることができる。
本発明の圧電体駆動装置によれば、圧電体の特性を多様に活用することができる。
第1実施形態の圧電体駆動装置の構成を概略的に示す回路図である。 第1実施形態の圧電体駆動装置による実用例1を示す図である。 実用例2の圧電体駆動装置204の構成を示す回路図である。 一般的なローゼン型圧電トランスの共振モードを示す図である。 実用例3(第3実施形態)の圧電体駆動装置の構成を示す回路図である。 実用例3の回路でスイッチング素子がONの場合に構成される共振回路の等価回路図である。 シミュレーションで得られたV(t)の波形を示す図である。 回路内の各種定数を適当に選定してシミュレーションした結果を示す図である。 回路内の各種定数を適当に選定してシミュレーションした結果を示す図である。 実用例4(第4実施形態)の圧電体駆動装置の構成を示す回路図である。 圧電体駆動装置を応用した半導体リレー装置の構成を示すブロック図である。 圧電体駆動装置を応用した半導体リレー装置の別の構成例を示す回路図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の圧電体駆動装置104の構成を概略的に示す回路図である。第1実施形態の圧電体駆動装置104は、対象の圧電体102を駆動する構成としてコルピッツ発振器108Aを備えている。
〔圧電体〕
図1中(A)に示されているように、圧電体102は単純な圧電振動子や圧電素子であり、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等を板状あるいは立方体状に成形し、分極処理したものである。圧電体102には一対の入力電極102a,102bが形成されている。入力電極102a,102bは、圧電体102の外面に例えば銀ペースト等を印刷して厚膜形成することができるが、これに限らない。
なお、第1実施形態の圧電体駆動装置104では、図1中(B)及び(C)に示されているように、圧電体102に代えて圧電トランス(PZT1)103,105を駆動対象とすることもできる。図1中(B)の圧電トランス103は、入力電極102a,102b(一次側電極)とともに2つの出力電極(二次側電極)102b,102cを有するタイプであり、また、図1中(C)の圧電トランス105は、1つの出力電極(二次側電極)102eを有するタイプである。このように、圧電体駆動装置104は、駆動する対象を圧電体102や各種の圧電トランス103,105とすることができるが、対象をこれらに限るものではない。
〔発振駆動回路〕
コルピッツ発振器108Aにおいて、2つのトランジスタQ1,Q2は、それぞれのコレクタを電流源とする増幅器を構成する。なお、図1の回路構成において、トランジスタQ1,Q2への直流バイアス回路は図示を省略している。コルピッツ発振器108Aは、トランジスタQ1,Q2の他にコンデンサC1,C2,C3及び圧電体102(PZT1)を加えてコルピッツ発振器を構成する。このうち、コンデンサC1,C2,C3に圧電体102の入力電極102a,102bを加えた部分が共振回路を構成する。
〔可変素子〕
また、コルピッツ発振器108Aは、一部のコンデンサC1と他のコンデンサC2,C3との接続関係を変化させる(切り替える)ことができる。すなわち、コルピッツ発振器108Aにはスイッチング素子SW1が組み込まれており、このスイッチング素子SW1は、入力端子T3からの制御信号(例えばHigh/Lowレベル電圧)の入力に基づいてON/OFF動作する。入力端子T3にHighレベルの制御信号が入力されると、スイッチング素子SW1がONとなり、回路内においてコンデンサC1を他のコンデンサC2,C3と並列に接続する。一方、入力端子T3の制御信号がLowレベルになると、スイッチング素子SW1がOFFとなり、回路内でコンデンサC1を非接続状態とする。
〔スイッチング素子SW1による周波数可変〕
コルピッツ発振器108Aは、圧電体102の入力インピーダンスが誘導性となる周波数域内で発振する。入力端子T3からの制御信号がHighレベルで、スイッチング素子SW1がONのときの発振周波数f1は、圧電体102の入力電極102a,102b間インダクタンスL1とコンデンサC1,C2,C3との関係から定まり、以下の式〔数1〕で表される。
Figure 0007241489000001
一方、スイッチング素子SW1がOFFのときの発振周波数f2は以下の式〔数2〕で表されることになる(L1’:発振周波数f2のときの入力電極102a,102b間インダクタンス)。
Figure 0007241489000002
また、ここでも圧電体102の入力インピーダンスが誘導性となる周波数域内で発振周波数f2が得られることとなる値に予めインダクタンスL1’、コンデンサC2,C3が設定されている。
このように、第1実施形態の圧電体駆動装置104は、制御信号(High/Low)の切り替えに基づき、コルピッツ発振器108Aが圧電体102に駆動電圧を印加する際の発振周波数を複数(f1,f2)に変化させることができる。
〔圧電体の多様な活用性〕
通常、圧電体102の駆動は1つの共振周波数を設定した上で行われることが多いが、第1実施形態の圧電体駆動装置104によれば、圧電体102を複数の発振周波数f1,f2で駆動することにより、各周波数に応じて異なる圧電体102の動作を実現し、その応用性の幅を広げることができる。
例えば、発振周波数f1,f2を圧電体102の入力インピーダンスが誘導性となる周波数域内で可変することにより、以下のような産業上の利用が可能となる。
〔圧電トランス駆動装置〕
図2は、第1実施形態の圧電体駆動装置104による実用例1を示す図である。実用例1は、図2中(A)に示すように、圧電体駆動装置104による駆動の対象を圧電トランス103としたものである。すなわち、実用例1は、コルピッツ発振器108Aで圧電トランス103に駆動電圧を印加し、自身の昇圧比に応じた出力電圧を出力端子T4,T5間に発生させることができる。このとき、圧電トランス103の入力電極102a,102b間インピーダンスが誘導性となる周波数域内で発振周波数を2通り(f1,f2)に切り替えることで、以下の応用が可能となる。
図2中(B)は、圧電トランス103の昇圧特性と入力インピーダンスの位相(角度)との関係を示す図である。図中の実線が昇圧比を示し、破線が位相を示している。通常、位相が90度に近い領域(図中符号Ra)では圧電トランス103の入力インピーダンスが誘導性となり、それ以外では容量性となる。
圧電トランス103は、入力インピーダンスが誘導性となる領域Raでは、高周波側から低周波側に向かって昇圧比が高くなる傾向を示す。したがって、領域Raの周波数域で圧電トランス103を駆動する場合、入力信号(駆動電圧)の周波数を共振点により近い低周波側に設定すると高い昇圧比が得られ、逆に周波数を共振点より遠い高周波側に設定すると低い昇圧特性が得られることが分かる。
実用例1のコルピッツ発振器108Aは、いずれの発振周波数f1,f2についても、圧電トランス103の入力インピーダンスが誘導性の周波数域(領域Ra)にあるものとして各種値が設定されている。インダクタンスL1(L1’)やコンデンサC1,C2,C3の値は、実用例1とする回路構成に合わせて予め実験等により好適に設定すればよい。
したがって、スイッチング素子SW1がONのときは、図2中(B)に示す低周波側の発振周波数f1でコルピッツ発振器108Aが発振し、スイッチング素子SW1がOFFのときは、高周波側の発振周波数f2でコルピッツ発振器108Aが発振する。このような発振周波数f1,f2の切り替えは、入力端子T3に入力する制御信号のレベルに応じて制御することができる。
〔発振周波数f1での発振時〕
したがって、入力端子T3にHighレベルの制御信号が入力されると、スイッチング素子SW1がONとなり、コルピッツ発振器108Aは低周波側の発振周波数f1で発振するため、圧電トランス103の昇圧比が「高」に設定される。
〔発振周波数f2での発振時〕
一方、入力端子T3にLowレベルの制御信号が入力されると、スイッチング素子SW1がOFFとなり、コルピッツ発振器108Aは高周波側の発振周波数f2で発振するため、圧電トランス103の昇圧比は「低」に設定される。
このように、実用例1の圧電体駆動装置104は、コルピッツ発振器108Aが圧電トランス103の誘導性周波数域(領域Ra)で発振する性質を利用し、共振用コンデンサ(C1~C3)の容量を可変する(ここでは一部のコンデンサC1の接続をON/OFFする)ことで、圧電トランス103の出力電圧を可変することができる。
〔実用例2〕
次に、第2実施形態として実用例2を開示する。
図3は、実用例2の圧電体駆動装置204の構成を示す回路図である。図2中(A)に示す実用例1においては増幅器を構成するトランジスタQ1,Q2の直流バイアス回路の構成に言及していないが、実用例2では、好適な直流バイアス回路の構成を開示する。なお、以下では区別のために「コルピッツ発振器108B」とする。
実用例2においてコルピッツ発振器108Bもまた、トランジスタQ1,Q2による電流源を使用する。このとき、静止状態において(直流バイアス条件として)一方のトランジスタQ1の電流源の値と他方のトランジスタQ2の電流源の値が異なると、2つのトランジスタQ1,Q2のコレクタ電圧は電源側又はGND側のいずれか片方に偏ってしまう。
例えば、図3において一方のトランジスタQ1の直流増幅率hFE1と他方のトランジスタQ2の直流増幅率hFE2とを比較したとき、これらの関係がhFE1>hFE2であるときは、トランジスタQ1,Q2のコレクタ電圧は電源側に偏る。このとき、一方のトランジスタQ1のコレクタ-エミッタ間電圧はほぼ0Vとなることから、一方のトランジスタQ1が飽和状態となり、2つのトランジスタQ1,Q2で構成するはずの増幅器はその増幅率が著しく低下してしまう。すると、コルピッツ発振器108Bとしての発振条件を逸脱し、その発振が停止することになる。
上記と逆に、2つのトランジスタQ1,Q2の直流増幅率の関係がhFE1<hFE2である場合、今度は他方のトランジスタQ2が飽和状態となり、先と同様に2つのトランジスタQ1,Q2で構成する増幅器の増幅率が著しく低下して、今度も発振が停止する。
以上の検証から明らかなように、コルピッツ発振器108Bが正常に発振するためには、2つのトランジスタQ1,Q2でそれぞれの直流増幅率の関係がhFE1=hFE2の条件を満たしている必要がある。しかしながら、実際には部品のばらつきや、温度依存性などを考慮すると、2つのトランジスタQ1,Q2で直流増幅率を一致させた回路構成を実現することは非常に困難である。
本発明の発明者等は上記の事情から鋭意検討を重ね、その解決手法を見出すに至った。その解決手法を開示したものが、実用例2の直流バイアス回路の構成である。
図3に示す直流バイアス回路では、2つのトランジスタQ1,Q2の直流増幅率hFE1、hFE2の値が相違していても(実際にはほとんど相違している)、2つのトランジスタQ1,Q2のコレクタ電圧は、電源電圧E1に対して定常的に以下の式で表す電圧に制御することができる。
コレクタ電圧=R3/(R2+R3)×E1
したがって、2つのトランジスタQ1,Q2はいずれも能動状態を維持し、その高い増幅率を維持することができる。
上記のように、2つのトランジスタQ1,Q2で直流増幅率の偏差による偏りを均衡させるため、直流バイアス回路は抵抗R2,R3,R10,R11,R12を配置し、一方のトランジスタQ1のコレクタ電圧を上記の値(R3/(R2+R3)×E1)で固定にする(固定回路)。また、直流バイアス回路は差動増幅器IC1を有しており、差動増幅器IC1から出力する他方のトランジスタQ2のベース電流にコレクタ電圧を帰還入力させることで、トランジスタQ2のコレクタ電圧を上記の値(R3/(R2+R3)×E1)に均衡させる(均衡回路)。
なお、このとき差動増幅器IC1は、その反転入力端子(-)と非反転入力端子(+)のバイアス電流は無視できるほど小さいと考えることができる。また、差動増幅器IC1の出力インピーダンスは、抵抗R6,R8,R9で構成する負荷回路のインピーダンスに対して十分低く、これを電圧源であると考えてよい。また、抵抗R7とコンデンサC6で構成する低域フィルタのカットオフ周波数は、コルピッツ発振器108Bの発振周波数に対して十分に低周波であり、その発振動作には特段影響しない。
ただし、直流動作において減衰量は0dBであると考えられる。また、差動増幅器IC1の反転入力と非反転入力の電圧は同電位であるから、直流動作の条件では、トランジスタQ1,Q2のコレクタ電圧は上記のように大略(R3/(R2+R3)×E1)となる。これにより、2つのトランジスタQ1,Q2を能動状態に維持し、増幅器としての高い利得を維持することでコルピッツ発振器108Bとしての発振条件を満たすことができることになる。
〔実用例3〕
次に、実用例3を開示する。ここまでに開示した実用例1,2のコルピッツ発振器108A,108Bは、実際は圧電トランス103の他の共振周波数(所望とは別の共振周波数)でも発振する可能性がある。その結果、知らないうちに圧電トランス103が正常な(本来想定している)周波数で駆動されないこととなる。この場合、圧電トランス103の出力電圧は期待した出力電圧レベルに達しないため、例えば出力端子T4,T5間に接続した負荷(電子機器等)に定格電圧を供給できないなどの不具合を生じてしまう。
図4は、一般的なローゼン型圧電トランスの共振モードを示す図である。実は上記の不具合は、一般的に圧電トランスの共振周波数には複数のモードが存在することに起因する。一例を挙げると、圧電トランスの共振モードは、図4に示すように圧電トランスの長さLを半波長とするλ/2モード、長さLを1波長とするλモード、長さLを3/2波長とする3λ/2モードといった複数のモードがある。
実用例1,2(図2中(A)、図3)のコルピッツ発振器108A,108Bの場合、使用する圧電トランス103が有する複数のモードのうち、目的とする正常な共振周波数以外の共振周波数で発振する場合がある。その一因として、高周波成分の影響が考えられることから、帰還ループの中にローパスフィルタなどを挿入し、高周波側の複数の共振周波数で発振するのを防止する方法も考えられる。しかし、それでも正常な周波数とそれ以外の周波数との差が小さい場合には、正常な周波数における位相が影響を受けることで、知らず発振動作を阻害することになる。
本発明の発明者等は上記の事情からさらに鋭意検討を重ね、その解決手法を見出すに至った。その解決手法を開示したものが、実用例3の回路の構成である。
図5は、実用例3(第3実施形態)の圧電体駆動装置304の構成を示す回路図である。以下では区別のために「コルピッツ発振器108C」とする。図5に示すコルピッツ発振器108Cは、上記の事情で述べたような誤動作(正常な共振周波数以外での発振)を防止することを目的として構成された回路である。
実用例3の回路は、コルピッツ発振器108Cにマルチバイブレータ150を使用している。ここでは、抵抗R2,R3,R4,R5,コンデンサC6、アンプIC1がマルチバイブレータ150を構成している。なお、アンプIC1は差動増幅器又はコンパレータ(プッシュプル出力型)である。
次に、回路内で抵抗R6,R7,R8,R9及びトランジスタQ5が極性反転回路152を構成する。また、抵抗R10,R11,R12及びトランジスタQ1は、電流源154を構成する。なお、トランジスタQ2及び抵抗R13はここでは増幅回路156である。
その他のコンデンサC1,C2,C3やスイッチング素子SW1は、これまでの実用例1,2と同じ機能を有する。
〔共振駆動回路〕
図6は、実用例3の回路でスイッチング素子SW1がONの場合に構成される共振回路の等価回路図である(以下ではスイッチング素子SW1がONの状態を想定して説明する。)。
すなわち、入力インピーダンスが誘導性となる周波数域で圧電トランス103の入力電極102a,102b間のインダクタンス(L)とコンデンサC1,C2,C3が共振回路を構成するとき、その等価回路は図6で表される。等価回路の電圧源eは、トランジスタQ1,Q2で構成される増幅器出力の電流源を、電圧源に変換した場合の等価電圧源(e)である。
〔帰還回路〕
ここで着目すべきは、実用例3の回路において、コンデンサC3(特定の容量素子)の端子間電圧がアンプIC1の反転入力端子へ帰還入力されている点である。すなわち、コンデンサC3は、上記のように回路内において共振回路の一部を構成しているが、同時にコンデンサC3の端子間電圧は図5における帰還電圧と考えることができる。
図6において、等価電圧源(e)の角周波数がωのときのコンデンサC3の端子間電圧Vb(t)は、トランジスタQ1が遮断状態から能動状態、トランジスタQ2が能動状態から遮断状態となった時刻をt=0として、以下の式(1)で近似することができる。ただし、時刻t=0においてインダクタンスLに流れている初期電流をi(0)とする。また、共振回路のQは高く、共振回路への供給電流と比較して、共振電流が十分大きいと仮定して電圧源eからの供給電流を省略する。
Figure 0007241489000003
ω<ωのとき、φ>0
ω=ωのとき、φ=0
ω>ωのとき、φ<0
とする。
図7は、φ=0の場合のシミュレーションで得られたV(t)の波形を示す図である。
上式(1)に適当な初期電流i(0)、角周波数ω=ω0、コンデンサ容量C1+C2、C3の値を入力してシミュレーションを行うと、図7に示される波形が得られる。このようにVb(t)は、図6の等価電圧源(e)の角周波数ωが圧電トランス103の入力インピーダンスの等価インダクタンスLと外部の容量C1,C2,C3との関係から定まる共振周波数ω0の場合はφ=0となり、共振周波数ω0より低周波で振動する場合は図7の波形より位相が進んでφ>0となり、共振周波数ω0より高周波の場合は図7の波形より位相が遅れてφ<0となる。
図5に示すマルチバイブレータ150の発振周波数は、コンデンサC6の充放電時間で定まる。ただし、コンデンサC6の充放電特性は、主としてアンプIC1の出力電圧から抵抗R4を経由して入り込む電流に依存するが、共振回路のコンデンサC3から抵抗R14を経由して帰還入力してくる電流の影響を受ける。
図8及び図9は、図5に示す回路内の各種定数を適当に選定してシミュレーションした結果を示す図である。図8及び図9に示す各種波形は、共振回路のC3端子間電圧をマルチバイブレータ150に帰還入力させた場合に得られる変化を示す。これら図8、図9中、細い実線で示される波形C3は帰還入力の変化であり、一点鎖線で示される波形C6はマルチバイブレータ150のコンデンサC6の端子間電圧の変化であり、波形C3,C6に重ねて太い実線で示される矩形波IC1(+)は、アンプIC1の非反転入力端子電圧の変化を示している。また、波形C3,C6から離れた位置に太い実線で示される矩形波IC1は、アンプIC1の出力端子の電圧波形を示している。
ここで、波形C3の帰還入力は以下の式〔数4〕で表される。
Figure 0007241489000004
また、波形C6の端子間電圧は以下の式で表される。
Figure 0007241489000005
なお、0≦t≦π/ωとする。
いま仮に、コンデンサC6の充放電波形とコンデンサC3の端子間電圧V(t)+V+Vremの波形が図8に示すタイミングとなった場合を考える。コンデンサC6の電荷は主に、抵抗R4を経由して入り込む充放電電流で蓄積、放電を繰り返す。アンプIC1の非反転入力端子の波形(符号IC1(+))はアンプIC1の出力電圧を分圧した矩形波となり、アンプIC1の出力電圧が反転する閾値の役目を果す。
マルチバイブレータ150の発振周波数は、コンデンサC6の充放電電流が大きいと高周波側に移行し、逆に小さいと低周波側に移行する。図8の波形タイミングは、コンデンサC3の端子間電圧を構成するV(t)の式中、φの値が0である場合を示している。すなわちこれは、抵抗R4を経由する充放電電流と抵抗R14を経由する充放電電流との合計値で定まる角周波数と共振回路の角周波数ωとが一致する場合である。
ここで、時刻t=0から時刻t=π/ωの半周期に抵抗R14を経由してコンデンサC6から流れ出る電流によりコンデンサC6が放電される電荷ΔQの値を算出する。ΔQの値の算出に際し、コンデンサC6の充放電電流のうち抵抗R4を経由してコンデンサC6に流れ込む電流は、抵抗R14を経由する電流に対して十分大きいと近似する。このような近似をするとコンデンサC6の端子間電圧は、時刻t=0から時刻t=π/ωの半周期において、次式〔数6〕で表される。
Figure 0007241489000006
抵抗R14を経由してコンデンサC6から流れ出る電流は、その値(〔数6〕で表す値)からコンデンサC3の端子間電圧(〔数4〕で表す値)を差し引いた電圧値を抵抗R14の値で除すれば得られる。求める半周期に放電される電荷ΔQの値は、その電流値を時刻t=0から時刻t=π/ωの範囲で積分した値となり、以下の式(2)で表される。
Figure 0007241489000007
上式(2)を整理すると、次式(2)-1となる。
Figure 0007241489000008
また、上式(2)-1に次式〔数9〕のVb0を代入すると以下の〔数10〕となる。
Figure 0007241489000009
Figure 0007241489000010
時刻t=0~π/ωにおいては、ΔQは、抵抗R4を経由して得られる分の充電電荷を差し引く方向に働く。上式(2)-1から、φ=0のときは、その第3項は次式〔数11〕となり、ΔQは正方向に最大となる。ここでいう正方向とは、コンデンサC6の充電電荷を差し引く方向であるため、抵抗R4を経由する充電電流のみの場合よりも低周波側に発振周波数をシフトさせることが分かる。
Figure 0007241489000011
また、φがπのときは、上式(2)の第3項は次式〔数12〕となるので、この場合のΔQは最小となる。
Figure 0007241489000012
続いて仮に、マルチバイブレータ150の発振周波数が圧電トランス103の正常な共振周波数より低周波側に偏差を受けると、上式(1)からφが増大する方向に変化するので、ΔQの値は小さくなり、コンデンサC6の充電時間は短い方向に制御され、その結果、発振周波数は共振周波数に近づく方向に制御される。これとは逆に、発振周波数が共振周波数より高周波側に偏差を受けると、今度はφが減少方向に変化するので、ΔQの値は増大し、コンデンサC6の充電時間を長くする方向に制御されることで、結果的に発振周波数を共振周波数に近づける方向に制御される。
図9は、φがπ/2である場合の変化に相当する。
ただし、上式(2)-1の第3項は、ここでは(2Vb0)/(ωR14)cos(φ)で遇関数であることから、φが0~πの範囲内でのみ上記の制御(マルチバイブレータ150の発振周波数を圧電トランス103の共振周波数に近づける制御)が可能である。
このように、図5に示す回路はマルチバイブレータ150の部品ばらつきや、圧電トランス103の共振周波数の偏差を許容し、圧電トランス103の入力インピーダンスが誘導性となる周波数領域での発振(正規の発振周波数)を安定的に維持することができる。
一方、マルチバイブレータ150が正規の発振周波数より高周波側で発振した場合は以下となる。例えば、マルチバイブレータ150が正規の発振周波数の2倍の周波数で発振しようとすると、抵抗R4からの充電電荷が不十分になるため、コンデンサC6の端子電荷が閾値(アンプIC1の非反転入力端子電圧)に達することができなくなり、結果的に2倍の周波数で発振することはない。したがって、倍振動などの異常周波数での発振を確実に防止することができる。
〔実用例4〕
図10は、実用例4(第4実施形態)の圧電体駆動装置404の構成を示す回路図である。実用例4の回路において、マルチバイブレータ150の動作原理(共振周波数の制御)は実用例3と同様である。実用例3との相違は、周波数可変用にコンデンサC1ではなくコンデンサC2を使用し、そのためスイッチング素子SW1の接続が図5とは異なっている点である。
実用例4の発振周波数は、スイッチング素子SW1がONのときの発振周波数f1は以下の式で表される。
Figure 0007241489000013
また、スイッチング素子SW1がOFFのときの発振周波数f2は以下の式で表される。
Figure 0007241489000014
その他の原理やメカニズムは実用例3と同様である。
上述した実用例1~4の圧電体駆動装置104,204,304,404によれば、制御信号をHigh/Lowに切り替えるだけで圧電トランス103の昇圧比を「高」と「低」に切り替えて駆動することができ、出力端子T4,T5間で得られる出力電圧レベルを簡単に可変させることができる。
また、実用例2は、より製品化に適した直流バイアス回路の構成を開示しており、実用例3,4は、実際に使用する圧電トランス103の共振モードでの発振が安定的に維持できる回路の構成を開示している点で極めて有用である。
〔その他の応用例〕
図11は、圧電体駆動装置を応用した半導体リレー装置100の構成を示すブロック図である。半導体リレー装置100は、上記実用例1~4の圧電体駆動装置104,204,304,404のさらなる応用例として開示されるものである。図11では、既に実用例1~4で詳細を示したコルピッツ発振器108A,108B,108Cを総称し、単純なブロック構成要素の周波数可変発振器108として示している。
半導体リレー装置100は、圧電トランス103により絶縁された圧電体駆動装置104(一次側回路)と二次側回路106とを有する。圧電トランス103は、既に説明した圧電体102と同様に、板状に成形した圧電素子を分極処理して一次側(駆動部)と二次側(発電部)とを構成したものである。
〔一次側回路〕
半導体リレー装置100において一次側回路となる圧電体駆動装置104は、上記の実用例1~4で挙げたいずれかのコルピッツ発振器108A,108B,108Cからなる周波数可変発振器108を有する。圧電体駆動装置104は、周波数可変発振器108で圧電トランス103の共振周波数の駆動電圧を生成し、入力電極102a,102bを通じて圧電トランス103に印加する。圧電トランス103は、自身の昇圧比で駆動電圧を昇圧し、出力電極102c,102dから出力する。
〔二次側回路〕
二次側回路106は、整流回路110、半導体接点112及び電圧検出器114を有する。整流回路110は出力電極102c,102dからの出力電圧を直流変換し、半導体接点112に駆動電力として供給する。電圧検出器114は、整流回路110で直流変換された出力電圧を検出し、その検出結果に応じて半導体接点112を開閉(ON/OFF)駆動する。
上記のように圧電トランス103は、入力インピーダンスが誘導性となる周波数域(図2中(B)の領域Ra)では、高周波側から低周波側に向かって昇圧比が高くなる傾向を示し、このとき半導体リレー装置100は、圧電トランス103の昇圧比を「高」又は「低」に可変することができる。
〔周波数可変によるリレー駆動〕
このため応用例の半導体リレー装置100は、周波数可変発振器108で駆動電圧の周波数を図2中(B)の領域Ra内でf1又はf2(「高」又は「低」)に可変し、各周波数f1,f2で得られる昇圧特性の違いを利用して、半導体接点112を開閉駆動することができる。
このとき、周波数可変発振器108には入力端子T1,T2から直流電源を供給し、入力端子T3からはHigh/Lowレベルの制御信号を入力する。そして、入力端子T3からの制御信号がHighレベルの場合は低周波側の共振周波数で発振し、逆に入力端子T3からの制御信号がLowレベルの場合は高周波側の共振周波数で発振する回路として周波数可変発振器108を設定する。
〔制御信号Low=接点OFFのとき〕
例えば、圧電体駆動装置104で入力端子T3にLowレベルの制御信号を入力した場合、周波数可変発振器108は高周波側の周波数f2で発振し、圧電トランス103の昇圧比を低く設定する(「高」又は「低」のうち「低」)。したがって、二次側回路106では圧電トランス103により伝送される出力電圧が低レベルとして電圧検出器114により検出される。
電圧検出器114は出力電圧を低レベルとして検出している間、半導体接点112を開(OFF)とする(接点非駆動)。これにより、半導体リレー装置100の出力端子間T4,T5間抵抗は、開放状態(OFF)となる。
〔制御信号High=接点ONのとき〕
一方、圧電体駆動装置104で入力端子T3の制御信号をHighレベルにした場合は以下となる。この場合、周波数可変発振器108は低周波側の周波数f1で発振し、圧電トランス103の昇圧比を高く設定する(「高」又は「低」のうち「高」)。したがって、二次側回路106では、圧電トランス103で伝送される出力電圧が高レベルとして検出される。
電圧検出器114は出力電圧が高レベルV2であることを検出すると、半導体接点112を開(OFF)から閉(ON)に切り替える(接点駆動)。これにより、半導体リレー装置100の出力端子間T4,T5間抵抗は、ほぼ0Ωとなり短絡状態となる(ON)。
このとき、半導体接点112の応答に要する遅延時間τ1は、例えばソレノイドを用いた機械式リレー等の遅延時間(数ms~十数ms)に比較して圧倒的に短く(例えば1ms未満に)抑えられる。
図11の例では1つの整流回路110で出力電流を整流しているが、整流回路110を半導体接点112用と電圧検出器114用にそれぞれ専用の構成として2つに分けてもよい。
図12は、圧電体駆動装置104を応用した半導体リレー装置220の別の構成例を示す回路図である。ここでは、図11に示すブロック構成要素と同一の構成要素に同じ符号を付している。また、一次側回路(圧電体駆動装置104)には実用例1のコルピッツ発振器108Aを用いるものとしたが、実用例2~4を用いてもよい。
半導体リレー装置220は、二次側回路106内に第1整流回路110a及び第2整流回路110bを有する点が図11の半導体リレー装置100と異なる。それ以外は図11の半導体リレー装置100と同じであるが、ブロック構成要素は適宜、各種の素子(D1,D2,R1,C4,C5,ZD1,Q3,Q4)やブロック要素(SW,DET)等に置き換えている。
例えば、二次側回路106において、ダイオードD1及びコンデンサC4が第1整流回路110aを構成するものである。また、ダイオードD2及びコンデンサC5が第2整流回路110bを構成するものである。なお、抵抗R1及びツェナーダイオードZD1は、電圧安定化回路を構成するものである。
ブロック要素で示したDET回路114は図11の電圧検出器114に該当するものであり、DET回路114は、予め設定された電圧の閾値に対して、コンデンサC5の端子間電圧が「高」であるか又は「低」であるかの検出を行い、「高」又は「低」に応じてスイッチング素子SWをON/OFFに駆動する。
スイッチング素子SWはゲート駆動回路であり、スイッチング素子SWで2つの半導体接点(FET)Q3,Q4を駆動する構成を半導体接点112としている。スイッチング素子SWは、DET回路114からの駆動信号に応じて半導体接点Q3,Q4をON/OFFする。
図12の半導体リレー装置220は、二次側回路106の第1整流回路110aで圧電トランス103の出力を直流電圧に変換し、半導体接点112に供給する点は図11の半導体リレー装置100と同様である。第1整流回路110aとは別に設けた第2整流回路110bは、同じく圧電トランス103の出力を直流電圧に変換するが、整流動作の応答性を第1整流回路110aより高く設定することで、DET回路114による検出動作の応答性を向上する。
例えば、第1整流回路110aや第2整流回路110bをダイオードD1,D2とコンデンサC4,C5で構成する場合、第1整流回路110a内のコンデンサC4の容量に比較して第2整流回路110b内のコンデンサC5の容量を小さく設定する。これにより、第1整流回路110aよりも第2整流回路110bのコンデンサC5の充放電応答性を高め、DET回路114により出力電圧が検出されるまでの応答時間を短縮することで半導体接点112のON/OFFに要する遅延時間を最小限に抑える。また、第1整流回路110a内のコンデンサC4の容量はより大きく確保することで、半導体接点112に供給する駆動電力を大きく確保し、さらに遅延時間の短縮化を図ることができる。
なお、図11の半導体リレー装置100及び図12の半導体リレー装置220のいずれについても、周波数可変発振器108を定常的に動作させているため、二次側回路106に設けた整流回路110、110a,110b内の平滑用コンデンサは、定常的に充電状態を維持している。このため、周波数可変発振器108による発振周波数の切り替え時点において二次側回路106内の平滑用コンデンサが全放電状態から新たに充電を開始する必要はなく、そのため半導体接点112の駆動に要する遅延時間を最小限に抑えることができる。
上記の実用例や応用例では、駆動する対象の圧電体を圧電トランスとしているが、対象は圧電トランス以外(例えば圧電振動子)でもよい。
また、実用例1~4に挙げた回路構成は適宜に変更可能であり、図示の構成である必要はない。実用例1~4や応用例等では、制御信号のHigh/Lowレベル切り替えで発振周波数を切り替えているが、機械的スイッチの操作で発振周波数を切り替えてもよい。また、コルピッツ発振器108A~108C等に配置するコンデンサの数や接続関係、あるいは入力インピーダンスの設定を種々に変更することにより、発振周波数を3通り以上に可変してもよい。その結果、圧電トランス103の昇圧比を「高」「中」「低」の3通り以上に切り替えることとしてもよい。
各実施形態や実用例、応用例等において図示とともに挙げた構造はあくまで好ましい一例であり、基本的な構造に各種の要素を付加し、あるいは一部を置換しても本発明を好適に実施可能であることはいうまでもない。
102 圧電体
104,204,304,404 圧電体駆動装置
108A,108B,108C コルピッツ発振器
Q1,Q2 トランジスタ(増幅器)
SW1 スイッチング素子

Claims (3)

  1. 圧電体に印加する駆動電圧の電流源となる増幅器と、前記圧電体とともに前記増幅器に接続された複数の容量素子とを有し、前記圧電体の入力電極間インダクタンスと前記複数の容量素子との関係から定まる発振周波数で前記圧電体に駆動電圧を印加する発振駆動回路と、
    前記複数の容量素子の一部と他の容量素子との接続関係を変化させることで、前記発振駆動回路から前記圧電体に駆動電圧を印加する際の発振周波数を可変する可変素子と
    を備えた圧電体駆動装置。
  2. 請求項1に記載の圧電体駆動装置において、
    前記発振駆動回路は、
    前記増幅器として前記圧電体の入力電極に接続された2つの極性が異なるトランジスタのうち一方のコレクタ電流を固定する固定回路と、
    他方のトランジスタのベース電流にコレクタ電圧を帰還入力して他方のコレクタ電圧を一方のコレクタ電流に追従して均衡させる均衡回路と
    を有することを特徴とする圧電体駆動装置。
  3. 圧電体に印加する駆動電圧の電流源となる増幅器と、前記圧電体とともに前記増幅器に接続された複数の容量素子とを有し、前記圧電体の入力電極間インダクタンスと前記複数の容量素子との関係から定まる共振周波数で前記圧電体に駆動電圧を印加する共振駆動回路と、
    前記複数の容量素子の一部と他の容量素子との接続関係を変化させることで、前記共振駆動回路から前記圧電体に駆動電圧を印加する際の共振周波数を前記圧電体の入力インピーダンスが誘導性となる周波数域内で可変する可変素子と、
    所定の容量素子の充放電特性に基づく発振周波数が前記共振駆動回路の共振周波数に合わせて設定されたマルチバイブレータと、
    前記共振駆動回路内で充放電を行う特定の容量素子の電圧を帰還入力として前記所定の容量素子の充放電特性を変化させる帰還回路と
    を備えた圧電体駆動装置。
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