JP2000151024A - 半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
素子を提供することを課題とする。 【解決手段】 GaInP又はAlGaInPからなる
量子井戸活性層を備えた半導体発光素子であり、量子井
戸活性層の構造を決定する井戸幅、井戸数及び格子歪量
が、井戸幅×井戸数として240〜550Å及び井戸幅
×井戸数×格子歪量の絶対値として200〜260Å・
%の関係を有し、半導体発光素子が645〜650nm
の波長を発振することを特徴とする半導体発光素子によ
り上記課題を解決する。
Description
関する。更に詳しくは、本発明は、GaInP又はAl
GalnP系の半導体発光素子に関する。
半導体レーザのような半導体発光素子は、光磁気ディス
ク、光ディスク等の光情報処理システムなどの記録及び
読み出しの光源として使用され始めている。特に、波長
が635nmから650nmの半導体発光素子は、DV
Dを初めとする高密度光磁気ディスクを実現するための
キーデバイスとして期待されている。
して半導体発光素子を使用する場合、情報を高密度化す
るためには短波長化、情報の書き換えを高速に行うため
には高出力化が必要とされる。また、システム本体の高
温における動作を保証するため、半導体発光素子にも高
温で動作しうることが必要とされる。更に、システムに
組み込んで使用するためには、実際の使用温度条件で、
MTTF(平均故障時間)5000時間以上が最低限必
要である。
子の活性層の構造として、100Åの量子井戸幅で井戸
数が3層のもの(第41回応用物理学会関係連合講演会
講演予稿集、1007頁、1997年)、110Åの量
子井戸幅で井戸数が3層のもの(IEEE Laser Conf
erence 1994 Sep. 予稿集、99頁)が報告されてい
る。
光素子を光出力一定(5mW)の信頼性試験にかけた場
合、実用レベルでの上記MTTFの条件を満たす信頼性
は60℃が最高であった。しかし、DVD用ユニット、
特にDVD−ROM用ユニットは、小さい筺体で、しか
もランダムアクセスを繰り返すため、内部のモータの発
熱が多く、外気温が50℃の状態でも、内部は70℃と
高温となることが知られている。従って、半導体発光素
子も70℃以上の高い温度で高い信頼性を持つ必要があ
った。
振波長を長くすることが考えられる。即ち、発振波長を
長くすることにより、活性層のバンドギャップが小さく
なる。そのことは、活性層に隣接するクラッド層と活性
層とのバンドギャップ差を相対的に増やすことになる。
従って、高温状態でも、活性層中のホールのクラッド層
へのオーバーフローを減らすことができ、その結果、高
温下での信頼性を向上さすことができる。
のGaP比を小さくする、2)活性層の井戸幅を大きく
することが考えられる。特に波長を635nmから、例
えば645nmに長くする場合、単純に活性層のGaP
比を小さくしても、価電子体構造においてライトホール
とヘビーホールのクロスオーバー点が近づくため、発光
を発振する閾値が上昇してしまう。また、GalnP系
の半導体発光素子の場合、GaP比を小さくすることに
より格子歪みの限界を越えると結晶が破壊される恐れが
ある。
比、井戸幅、井戸数等その構造を決定するためのパラメ
ータが多いため、ある一定の波長を発振しうる構造を決
定するためには、多くの試作、評価を繰り返すことが必
要であり、膨大な労力、費用及び時間が必要であった。
意検討の結果、量子井戸活性層の構造を決定する井戸
幅、井戸数及び格子歪量が、ある特定の関係を有する場
合、高温で高い信頼性を有する半導体発光素子が得られ
ることを意外にも見い出し本発明に至った。かくして本
発明によれば、GaInP又はAlGaInPからなる
量子井戸活性層を備えた半導体発光素子であり、量子井
戸活性層の構造を決定する井戸幅、井戸数及び格子歪量
が、井戸幅×井戸数として240〜550Å及び井戸幅
×井戸数×格子歪量の絶対値として200〜260Å・
%の関係を有し、半導体発光素子が645〜650nm
の波長を発振することを特徴とする半導体発光素子が提
供される。
井戸幅、井戸数及び格子歪量相互間の特定の関係を見い
出した経緯を説明する。ここでは、波長645nmの半
導体発光素子を設計する場合について説明する。
の量子井戸活性層の井戸幅(横軸)と量子井戸活性層の
格子歪量(縦軸)との関係を示すグラフである。図1よ
り、図中の実線上の井戸幅と格子歪量であれば、波長6
45nmの発光を得ることができる。この実線は、 1)井戸幅を一定にしたときの格子歪量の変化とバンド
ギャップ変化の関係、 2)格子歪量が一定の場合の井戸幅とバンドギャップの
関係、及び 3)ある井戸幅で、ある格子歪量のときの発振波長 により導き出され、具体的には、以下の手法による。
の試作と理論計算を行い、井戸幅、井戸数及び格子歪量
相互間の特定の関係を以下のように定義した。 1)量子井戸活性層に含まれるGaP比を変えた時のバ
ンドギャップの変化率は下記式のようになる。 dEg/d(量子井戸活性層のGaP比)=0.442
(eV)
で表現している。GaP比と格子歪量の関係を以下に示
す。 GaP比=0.51−格子歪量〔%〕×0.135 2)井戸幅を変化させたときのバンドギャップの変化量
は、ある井戸幅の量子井戸の第1準位の量子井戸の底か
らのエネルギー差で表される。その関係を理論計算及び
実験より以下のように定めた。
(井戸幅〔Å〕)(-1.60)[meV] ライトホールの第1準位エネルギー=36148×(井
戸幅〔Å〕)(-1.68)[meV] 3)井戸幅100Å及び格子歪量−0.88%の場合、
実際の発振波長は635nmであった。以上のデータよ
り、図1の波長一定ラインを算出することができた。つ
まり、645nmの波長で発光する半導体発光素子を作
成する場合、量子井戸活性層の構造が、このライン上の
井戸幅及び格子歪量を満たせばよいことが判った。
が好ましい。この理由は、格子歪量の絶対値が大きいほ
どライトホールとヘビーホールとの分離が大きくなり、
引っ張り歪みの場合、ライトホール帯へのホールの集中
が起こりやすくなるためである。図1の実線上では負の
歪みが大きくなる方向、即ち、右下ヘ向かうほど特性が
改善される。
の増大により結晶破壊を招く方向である。その格子歪み
の限界は、量子井戸活性層の井戸幅の合計と格子歪量の
絶対値の積(井戸幅×井戸数×格子歪量の絶対値)によ
って決まり、その値は発明者等の実験により、約260
Å・%であることを見い出している。
こで、井戸層の層数は、1、2及び3の場合について示
した。この点線よりも左上でなければ、格子歪みからく
る結晶破壊が発生する。従って、格子歪みが発生する格
子歪量及び井戸幅よりも左上の実線上で、なるべく格子
歪量の絶対値の大きい値が好ましい。
性層での光閉じ込め係数に影響を与える。井戸幅の合計
の厚さが小さすぎる場合、閾値電流の温度特性が悪化
し、高温での信頼性が低下する。従って、井戸幅の合計
の厚さは240Å以上が必要である。
の波長を発振する半導体発光素子において、量子井戸活
性層の構造を決定する井戸幅、井戸数及び格子歪量が、
井戸幅×井戸数として240〜550Å及び井戸幅×井
戸数×格子歪量の絶対値として200〜260Å・%の
関係を有することが好適であることが判った。
発振する場合、 井戸数3、井戸幅130〜140Å 井戸数2、井戸幅160〜180Å 井戸数1、井戸幅240〜300Å であることが好ましいことが判った。上記と同様にして
640nm及び650nmの場合についても算出した。
その結果を波長645nmの場合と併せて、図3に示
す。
て、波長650nmの場合の好ましい井戸数と井戸幅の
関係を以下に示す。 井戸数3、井戸幅160〜180Å 井戸数2、井戸幅210〜220Å 井戸数1、井戸幅300〜400Å 上記では、井戸数1〜3の場合のみ具体的に記載してい
るが、井戸数4以上の場合でも上記関係を満たせばよ
く、また各井戸層の井戸幅は異なっていてもよい。
好ましい井戸数と井戸幅の関係を以下に示す。 井戸数3、井戸幅90〜100Å 井戸数2、井戸幅110〜120Å 井戸数1、井戸幅190〜210Å 以下では、本発明の半導体発光素子を更に説明する。
AlGaInPからなる井戸層と障壁層とから通常構成
される。次に、量子井戸活性層は、一般的にクラッド層
で挟まれている。更に、クラッド層と量子井戸活性層と
の間には、光ガイド層が設けられていてもよい。また、
一方のクラッド層上には、中間バンドギャップ層及びコ
ンタクト層が設けられていてもよい。更に、他方のクラ
ッド層下に、基板を備えていてもよい。これら各層は、
p型又はn型を付与する不純物が導入されていてもよ
い。
めに、中間バンドギャップ層下のクラッド層は、メサ状
に成形されていてもよい。この場合、メサ状により容易
に成形するために、クラッド層中にエッチングストップ
層を設けてもよい。次いで、半導体発光素子の製造方法
を説明する。但し、下記方法は単なる例示であって、下
記方法以外の公知の方法を利用して半導体発光素子を製
造してもよい。
ガイド層、多重量子井戸活性層、第2光ガイド層、第2
クラッド層、エッチングストップ層、第3クラッド層、
バンドギャップ層及びコンタクト層をこの順で積層す
る。各層の積層方法としては、MBE法、MOCVD法
等が挙げられる。
3 からなるストライプ状のマスク層を積層し、このマス
ク層を介して第3クラッド層、バンドギャップ層及びコ
ンタクト層をエッチングすることにより、各層をメサ状
に成形する。この後、MBE法のような方法で、メサ状
に成形された各層の側壁を半導体層で覆い、マスク層を
除去しつつ表面を平坦化することで、半導体発光素子を
得ることができる。
は、波長が比較的長いため、閾値が低く、高温条件下で
高い信頼性(例えば、70℃、5mWの出力条件下で、
MTTF5000時間以上)を持つ半導体発光素子を得
ることができ、特に半導体レーザ素子に好適に使用する
ことができる。
により詳細に説明する。 実施例1 図4(a)〜(d)を用いて、実施例1の屈折率導波路
型半導体レーザ素子の製造工程を説明する。なお、実施
例1では、波長645nmの光を発振する半導体レーザ
素子を作成した。
上に、MBE法によりn−AlGaInP第1クラッド
層(Y=0.7)12、AlGaInP第1光ガイド層
43、量子井戸活性層41、AlGaInP第2光ガイ
ド層42、p−AlGaInP第2クラッド層(Y=
0.7)14、p−GaInPエッチングストップ層1
5、p−AlGaInP第3クラッド層(Y=0.7)
16、p−GaInP中間バンドギャップ層17とp−
GaAsコンタクト層18を順次積層した。
に対する最適点を上記設計法が割り出した範囲内になる
ように、井戸幅及び格子歪量を表1の値とした。なお、
量子井戸活性層は、井戸数が、1、2及び3個の3種類
形成した。井戸数が3個の場合の多重量子井戸活性層の
構造を図5に示す。図から判るように、多重量子井戸活
性層は、3層のGaInP井戸層45と、2層のAlG
aInP障壁層46とからなる。
−AlGaInP第1クラッド層12はSiを1×10
18cm-3、AlGaInP第1光ガイド層43、量子井
戸活性層41及びAlGaInP第2光ガイド層42は
ノンドープ、p−AlGaInP第2クラッド層14及
びp−AlGaInP第3クラッド層16はBeを1×
1018cm-3、p−GaInP中間バンドギャップ層1
7はBeを1×1018cm-3、p−GaAsコンタクト
層18はBeを1×1018cm-3とした。
aInP第1クラッド層12は1.5μm、AlGaI
nP第1光ガイド層43は0.1μm、AlGaInP
第2光ガイド層42は0.1μm、p−AlGaInP
第2クラッド層14は0.2μm、p−GaInPエッ
チングストップ層15は0.01μm、p−AlGaI
nP第3クラッド層16は1.3μm、p−GaInP
中間バンドギャップ層17は0.01μm、p−GaA
sコンタクト層18は0.1μmとした。量子井戸活性
層41のAlGaInP障壁層の厚さは、GaInP井
戸層が1〜3層のいずれの場合も0.005μmとし
た。
に、マスク層19を形成するためのAl2O3膜を蒸着
し、フォトリソグラフィによりAl2O3膜をストライプ
状パターンに加工することによりマスク層19を形成し
た。この後マスク層19を介して湿式エッチングを行っ
てp−GaAsコンタクト層18、p−GaInP中間
バンドギャップ層17およびp−AlGaInP第3ク
ラッド層16のうちマスク層19の両側に相当する部分
(マスク層19で覆われていない部分)を除去した。こ
れにより、マスク層19の直下にメサ部31を形成する
ことができた。なお、p−AlGaInP第3クラッド
層16を除去するときは、p−GaInPエッチングス
トップ層15との選択エッチングによりエッチングを確
実に停止させた。この後、第2回目のMBE成長を行っ
てメサ部31の両側にn−GaAs単結晶層20と、マ
スク層19上にn−GaAs多結晶層21とを成長させ
た(図4(a)参照)。
次いで、フォトリソグラフィー法により、n−GaAs
多結晶21の頂部が露出するように、フォトレジスト3
2のn−GaAs多結晶層21上に開口23を設けた
(図4(b)参照)。次に、Al2O3よりGaAsを選
択にエッチングしうる硫酸系エッチング液を用いて、G
aAs多結晶層21を除去した。続いて、フォトレジス
ト32をアッシングして除去した(図4(c)参照)。
マスク層19をエッチングすることにより除去した(図
4(d)参照)。この後、p−GaAsコンタクト層1
8の表面と、n−GaAs基板11の裏面及び表面と
に、それぞれ電極(図示せず)を形成することにより半
導体レーザを形成した。
ーザの初期特性の測定と信頼性試験を行った。ここで、
初期特性は、しきい値電流、実際に発振される波長及び
特性温度を測定した。信頼性試験は、70℃及び5mW
の条件下でエージングしてMTTFを測定することによ
り行った。結果を表1に示す。
設計法が割り出した範囲外になるように設定すること以
外は、上記実施例1と同様にして、半導体レーザ素子を
作成した。得られた半導体レーザ素子の初期特性の測定
と信頼性試験を、実施例1と同様にして行った。結果を
表1に示す。
の素子は、成長後のウエハー上に筋状のハッチングが発
生した。この原因は、井戸幅×井戸数×歪み量の絶対値
が293Å・%と大きいため、活性層の結晶が破壊され
たためである。この素子はレーザ発振が得られなかった
ため、しきい値電流、波長、特性温度及び信頼性を測定
することができなかった。
子は、低いしきい値電流、高い特性温度(70℃以上)
及び実用上必要な5000時間以上の信頼性を有してい
る。これに対して、比較例1の井戸数が1個、井戸幅2
30Å及び200Åの素子は、閾値電流は低いものの、
特性温度が低く、信頼性も実用上必要な5000時間に
達していない。また、比較例1の井戸数が3個、井戸幅
100Åの素子は、閾値電流は低く、特性温度が高いも
のの、信頼性が実用上必要な5000時間に達していな
い。
頼性の関係を示す。MTTF5000時間以上の信頼性
を得るためには、井戸幅は240Å以上必要であること
がわかる。
設計法が割り出した範囲内になるように設定すること以
外は、上記実施例1と同様にして、波長650nmの半
導体レーザ素子を作成した。得られた半導体レーザ素子
の初期特性の測定及び信頼性試験を、実施例1と同様に
して行った。結果を表2に示す。
ザ素子は、量子井戸の歪量が少ないため、実施例1の素
子よりはしきい値電流が高いが、実用上十分な5000
時間以上の信頼性を得ることができた。また、信頼性試
験を、60℃及び5mWの条件下でエージングすること
により行った結果を表3に示す。
設計法が割り出した範囲内になるように設定すること以
外は、上記実施例1と同様にして、波長635nmの半
導体レーザ素子を作成した。得られた半導体レーザ素子
の初期特性の測定を、実施例1と同様にして行った。信
頼性試験は、60℃及び5mWの条件下でエージングす
ることにより行った。結果を表4に示す。
半導体発光素子において、閾値の低い、高温条件下で高
い信頼性を持つ素子が得られる。本発明の半導体発光素
子は、DVD−ROM用の半導体レーザ素子に好適に使
用することができる。
び格子歪量の関係を示す図である。
格子歪量及び井戸数の関係を示す図である。
格子歪量及び井戸数の関係を示す図である。
ある。
構造の概略図である。
との関係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 GaInP又はAlGaInPからなる
量子井戸活性層を備えた半導体発光素子であり、量子井
戸活性層の構造を決定する井戸幅、井戸数及び格子歪量
が、井戸幅×井戸数として240〜550Å及び井戸幅
×井戸数×格子歪量の絶対値として200〜260Å・
%の関係を有し、半導体発光素子が645〜650nm
の波長を発振することを特徴とする半導体発光素子。 - 【請求項2】 量子井戸活性層がGaInPからなり、
波長が645nm、井戸数が3及び井戸幅が130〜1
40Åであるか、波長が645nm、井戸数が2及び井
戸幅が160〜180Åであるか、波長が645nm、
井戸数が1及び井戸幅が240〜300Åであるか、波
長が650nm、井戸数が3及び井戸幅が160〜18
0Åであるか、波長が650nm、井戸数が2及び井戸
幅が210〜220Åであるか、又は波長が650n
m、井戸数が1及び井戸幅が300〜400Åである請
求項1の素子。
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---|---|---|---|---|
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WO2012023558A1 (ja) | 2010-08-18 | 2012-02-23 | 昭和電工株式会社 | 発光ダイオード及び発光ダイオードランプ |
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1998
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