JP2000149957A - アルカリ二次電池用ペースト式正極、アルカリ二次電池およびアルカリ二次電池の製造方法 - Google Patents

アルカリ二次電池用ペースト式正極、アルカリ二次電池およびアルカリ二次電池の製造方法

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JP2000149957A
JP2000149957A JP10321980A JP32198098A JP2000149957A JP 2000149957 A JP2000149957 A JP 2000149957A JP 10321980 A JP10321980 A JP 10321980A JP 32198098 A JP32198098 A JP 32198098A JP 2000149957 A JP2000149957 A JP 2000149957A
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yttrium
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hydroxide
cobalt
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JP10321980A
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English (en)
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Naomi Bando
直美 坂東
Kunihiko Miyamoto
邦彦 宮本
Tetsuya Yamane
哲哉 山根
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Toshiba Battery Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水酸化コバルトの配合量を抑制しつつ、集電
体への充填量の向上、利用率の向上を図ることが可能な
ペースト式正極を提供する。 【解決手段】 水酸化ニッケルを活物質、イットリウム
を含有する水酸化コバルトを主成分とする粒子を添加剤
とし、かつ結着材を含むペーストを集電体に塗布もしく
は充填したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ二次電池
用ペースト式正極、アルカリ二次電池およびアルカリ二
次電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯用パソコンのような小型コードレス
機器の普及に伴い、高容量の二次電池の要求が高まって
いる。
【0003】高容量タイプのアルカリ二次電池の正極と
しては、従来より主に水酸化ニッケル粒子に導電剤、結
着材および水を添加、混合してペーストを調製し、この
ペーストをスポンジ状金属多孔体、金属繊維マットのよ
うな三次元基板構造の集電体に充填することにより製造
されるペースト式正極が用いられている。このようなペ
ースト式正極において、活物質である水酸化ニッケルと
集電体との間で良好な電気的接続を図ることが利用率向
上の観点から必要である。
【0004】ところで、前記ペースト中に添加される導
電剤としては従来よりコバルトまたはコバルト化合物が
知られている。コバルトは、このコバルトを含む正極が
アルカリ電解液に接触すると錯イオンとして溶解し、活
物質である水酸化ニッケルの粒子間にマトリックス状に
広がって、電池の初回充電の際に高次酸化物状態まで酸
化される。このコバルト高次酸化物は、水酸化ニッケル
活物質よりも高い電子導電性を有するため、活物質の集
電体に対する集電効率が向上され、結果として活物質の
利用率が向上される。このような高次酸化物は活物質と
多くの量で密接に存在していることが利用率の向上に寄
与する。
【0005】しかしながら、正極を含めた二次電池全体
で考えると、コバルトもしくはコバルト化合物を正極
(ペースト)中に多く配合すると、相対的に活物質の容
量が減少する。このため、正極の容量減少を招く。した
がって、コバルトもしくはコバルト化合物は必要最小量
の配合でその効果を有効に発揮することが望まれる。
【0006】このようなことから、特開昭58−175
262号公報にはコバルト塩とアルカリ水溶液とから生
成される酸化コバルトまたは水酸化コバルトを湿潤状態
で水酸化ニッケル添加した正極が開示されている。しか
しながら、前記方法で生成された水酸化コバルトは粒子
が小さいために比表面積が大きくなる。また、乾燥する
と凝集するため、水酸化ニッケルと混合する際、分散性
が低下するばかりか、嵩高になる。その結果、調製され
たペーストの集電体に対する充填性が低下する。
【0007】また、特開昭62−66570号公報には
水酸化ニッケルの活物質に20m2/g以下の粉末状の
水酸化コバルトを保持させた正極が開示されている。し
かしながら、比表面積の小さい水酸化コバルトは概して
粒径が大きくなるため、アルカリ電解液に対する安定性
が高くなって前述したコバルトの高次酸化物を活物質間
に生成することが困難になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来のコ
バルト化合物をペースト式正極に添加する形態では、充
填性の低下による容量減少やアルカリ電解液との反応性
の低下による有効な利用率の寄与が困難になる。
【0009】本発明は、水酸化コバルトの配合量を抑制
しつつ、集電体への充填量の向上、利用率の向上を図る
ことが可能なペースト式正極およびこの正極を備えたア
ルカリ二次電池を提供しようとするものである。
【0010】また、本発明はより一層の高密度充填が可
能で、高い利用率を有するアルカリ二次電池の製造方法
を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるアルカリ
二次電池用ペースト式正極は、水酸化ニッケルを活物
質、イットリウムを含有する水酸化コバルトを主成分と
する粒子を添加剤とし、かつ結着材を含むペーストを集
電体に塗布もしくは充填したことを特徴とするものであ
る。
【0012】本発明に係わるアルカリ二次電池は、水酸
化ニッケルを活物質、イットリウムを含有する水酸化コ
バルトを主成分とする粒子を添加剤とし、かつ結着材を
含むペーストを集電体に塗布もしくは充填したペースト
式正極を備えたことを特徴とするものである。
【0013】本発明に係わるアルカリ二次電池の製造方
法は、水酸化ニッケルを活物質、イットリウムを含有す
る水酸化コバルトを主成分とする粒子を添加剤とし、か
つ結着材を含むペーストを集電体に塗布もしくは充填し
たペースト式正極を備え、組み立て後の初回充電を40
〜100℃の範囲で行なうことを特徴とするものであ
る。
【0014】本発明に係わる別のアルカリ二次電池用ペ
ースト式正極は、イットリウムおよび水酸化コバルトを
含有し、少なくとも前記イットリウムが表面に存在する
水酸化ニッケルを主成分とする粒子を活物質とし、かつ
結着材を含むペーストを集電体に塗布もしくは充填した
ことを特徴とするものである。
【0015】本発明に係わる別のアルカリ二次電池は、
イットリウムおよび水酸化コバルトを含有し、少なくと
も前記イットリウムが表面に存在する水酸化ニッケルを
主成分とする粒子を活物質とし、かつ結着材を含むペー
ストを集電体に塗布もしくは充填したペースト式正極を
備えたことを特徴とするものである。
【0016】本発明に係わる別のアルカリ二次電池の製
造方法は、イットリウムおよび水酸化コバルトを含有
し、少なくとも前記イットリウムが表面に存在する水酸
化ニッケルを主成分とする粒子を活物質とし、かつ結着
材を含むペーストを集電体に塗布もしくは充填したペー
スト式正極を備え、組み立て後の初回充電を40〜10
0℃の範囲で行なうことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる2つのアル
カリ二次電池用ペースト式正極を詳細に説明する。
【0018】(I)ペースト式正極 このペースト式正極は、水酸化ニッケルを活物質、イッ
トリウムを含有する水酸化コバルトを主成分とする粒子
を添加剤とし、かつ結着材を含むペーストを集電体に塗
布もしくは充填した構造を有する。
【0019】前記水酸化ニッケルは、粉末X線回折(C
u−Kα、2θ)の(100)面におけるピークの半価
幅が0.8deg 以上であることが好ましい。より好まし
いピークの半価幅は0.9〜1.1deg である。
【0020】前記イットリウムを含有する水酸化コバル
トを主成分とする粒子とは、イットリウムを含有する水
酸化コバルト粒子、またはイットリウムの他にニッケル
のような他の元素を含有する水酸化コバルト粒子を意味
する。前者のイットリウムを含有する水酸化コバルト粒
子は、例えば硫酸コバルトおよび硫酸イットリウムを希
硫酸に溶解させ、得られた酸性溶液をアルカリ溶液に滴
下してコバルトおよびイットリウムを水酸化物として共
沈させることにより作製される。
【0021】前記イットリウムを含有する水酸化コバル
トを主成分とする粒子において、イットリウムは水酸化
イットリウムまたは酸化イットリウムの形態で存在し、
その含有量はイットリウム換算で0.1モル%以上にす
ることが好ましい。イットリウムの含有量を0.1モル
%未満にすると、水酸化ニッケル活物質の利用率を十分
に改善することが困難になる。より好ましいイットリウ
ムの水酸化物または酸化物の含有量は、イットリウム換
算で0.5モル%以上である。一方、イットリウムの水
酸化物または酸化物の含有量が多くなり過ぎると、水酸
化コバルト粒子のアルカリ電解液への溶解速度が高くな
るものの、ペースト式正極中のコバルト量が減少して活
物質の利用率が低下する恐れがある。このため、イット
リウムの水酸化物または酸化物の含有量の上限値は、イ
ットリウム換算で50モル%、より好ましくは20モル
%にすることが望ましい。
【0022】前記イットリウムを含有する水酸化コバル
トを主成分とする粒子は、水酸化ニッケル100重量部
に対して3〜15重量部にすることが好ましい。前記粒
子の配合量を3重量部未満にすると、水酸化コバルトが
空気中で酸化された際の活物質の利用率低下および過放
電状態で長期間放置した際の利用率低下の両者を抑制す
ることが困難になる。一方、前記粒子の配合量が15重
量部を超えると、正極に配合される活物質量が相対的に
低下して正極のエネルギー密度が低下する恐れがある。
より好ましい前記粒子の配合量は水酸化ニッケル100
重量部に対して5〜10重量部である。
【0023】前記イットリウムを含有する水酸化コバル
トを主成分とする粒子は、平均粒径が0.01〜1μm
であることが好ましい。
【0024】前記結着材としては、例えばポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリエチレン、ボリプロピレン等の疎
水性ポリマ;カルボキシメチルセルロース、メチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセル
ロース系材料;ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル
酸エステル;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキ
シド等の親水性ポリマ;ラテックス等のゴム系ポリマを
を挙げることができる。
【0025】前記集電体としては、パンチドメタル、エ
キスパンデッドメタル、穿孔剛板、金網などの二次元構
造や、発泡メタル、網城焼結金属繊維などの三次元構造
のものを挙げることができる。
【0026】(II)ペースト式正極 このペースト式正極は、イットリウムおよび水酸化コバ
ルトを含有し、少なくとも前記イットリウムが表面に存
在する水酸化ニッケルを主成分とする粒子を活物質と
し、かつ結着材を含むペーストを集電体に塗布もしくは
充填した構造を有する。
【0027】前記活物質は、具体的にはイットリウムを
含有する水酸化コバルトで表面が被覆された水酸化ニッ
ケル粒子または水酸化イットリウム結晶および水酸化コ
バルト結晶の混晶で表面が被覆された水酸化ニッケル粒
子を挙げることができる。
【0028】前記水酸化ニッケルは、粉末X線回折(C
u−Kα、2θ)の(100)面におけるピークの半価
幅が0.8deg 以上、より好ましくは0.9〜1.1de
g にすることが望ましい。
【0029】前記イットリウムは、前記ペースト式正極
(I)で説明したのと同様、水酸化コバルトに対してイ
ットリウム換算で0.1モル%以上、より好ましくは
0.5モル%以上、さらに好ましくは0.5〜50モル
%、最も好ましくは0.5〜20モル%にすることが望
ましい。
【0030】前記イットリウムおよび水酸化コバルト
は、その合量で水酸化ニッケル100重量部に対して1
〜15重量部にすることが好ましい。前記合量物の配合
量を1重量部未満にすると、水酸化コバルトが空気中で
酸化された際の活物質の利用率低下および過放電状態で
長期間放置した際の利用率低下の両者を抑制することが
困難になる。一方、前記合量物の配合量が15重量部を
超えると、正極に配合される活物質量が相対的に低下し
て正極のエネルギー密度が低下する恐れがある。より好
ましい前記合量物の配合量は水酸化ニッケル100重量
部に対して3〜10重量部である。
【0031】前記結着材および集電体としては、前記ペ
ースト式正極(I)で説明したのと同様のものを用いる
ことができる。
【0032】次に、本発明に係わるアルカリ二次電池
(円筒形ニッケル水素二次電池)を図1を参照して説明
する。
【0033】有底円筒状の容器1内には、ペースト式正
極2とセパレータ3とペースト式負極4とを積層してス
パイラル状に捲回することにより作製された電極群5が
収納されている。前記負極4は、前記電極群5の最外周
に配置されて前記容器1と電気的に接触している。アル
カリ電解液は、前記容器1内に収容されている。中央に
孔6を有する円形の封口板7は、前記容器1の上部開口
部に配置されている。リング状の絶縁性ガスケット8
は、前記封口板7の周縁と前記容器1の上部開口部内面
の間に配置され、前記上部開口部を内側に縮径するカシ
メ加工により前記容器1に前記封口板7を前記ガスケッ
ト8を介して気密に固定している。正極リード9は、一
端が前記正極2に接続、他端が前記封口板7の下面に接
続されている。帽子形状をなす正極端子10は、前記封
口板7上に前記孔6を覆うように取り付けられている。
ゴム製の安全弁11は、前記封口板7と前記正極端子1
0で囲まれた空間内に前記孔6を塞ぐように配置されて
いる。中央に穴を有する絶縁材料からなる円形の押え板
12は、前記正極端子10上に前記正極端子10の突起
部がその押え板12の前記穴から突出されるように配置
されている。外装チューブ13は、前記押え板12の周
縁、前記容器1の側面及び前記容器1の底部周縁を被覆
している。
【0034】次に、前記正極2、負極4、セパレータ3
および電解液について説明する。
【0035】1)ペースト式正極2 このペースト式正極2は、前記(I)、(II)で説明し
たペースト式正極が用いられる。
【0036】2)負極4 このペースト負極4は例えば水素吸蔵合金粉末、導電剤
および高分子結着材を水と共に混練してペーストを調製
し、このペーストを前記導電性基板に充填し、乾燥し、
必要に応じて加圧成形することにより作製される。
【0037】前記水素吸蔵合金の組成は、格別制限され
るものではなく、電解液中で電気化学的に発生させた水
素を吸蔵でき、かつ放電時にその吸蔵水素を容易に放出
できるものであればよい。この水素吸蔵合金としては、
例えばLaNi5 、MmNi5 (Mm;La、Ce、P
r、Nd、Smなどのランタン系元素の混合物からなる
ミッシュメタル)、LmNi5 (Lm;ランタン富化し
たミッシュメタル)、またはこれらのNiの一部をA
l、Mn、Co、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Bの
ような元素で置換した多元素系のもの、もしくはTiN
i系、TiFe系、ZrNi系、MgNi系のものを挙
げることができる。中でも、希土類系水素吸蔵合金が好
ましい。特に、一般式LmNix Mny z (ただし、
AはAl,Coから選ばれる少なくとも一種の金属、原
子比x,y,zはその合計値が4.8≦x+y+z≦
5.4を示す)で表される希土類系水素吸蔵合金を含む
負極は、充放電サイクルの進行に伴う微粉化を抑制で
き、二次電池の充放電サイクル寿命を向上することがで
きるために好適である。
【0038】前記導電剤としては、例えばアセチレンブ
ラック、ケッチャンブラック、ファーネスブラックのよ
うなカーボンブラック等を用いることができる。
【0039】前記高分子結着材としては、前記正極2で
用いたのと同様なものを挙げることができる。
【0040】前記導電性基板としては、パンチドメタ
ル、エキスパンデッドメタル、穿孔剛板、金網などの二
次元構造や、発泡メタル、網城焼結金属繊維などの三次
元構造のものを挙げることができる。
【0041】3)セパレータ3 このセパレータ3は、例えばポリエチレン繊維製不織
布、エチレン−ビニルアルコール共重合体繊維製不織
布、ポリプロピレン繊維製不織布などのオレフィン系繊
維製不織布、またはポリプロピレン繊維製不織布のよう
なオレフィン系繊維製不織布に親水性官能基を付与した
もの、ナイロン6,6のようなポリアミド繊維製不織布
を挙げることができる。前記オレフィン系繊維製不織布
に親水性官能基を付与するには、例えばコロナ放電処
理、スルホン化処理、グラフト共重合、または界面活性
剤や親水性樹脂の塗布等を採用することができる。
【0042】4)アルカリ電解液 このアルカリ電解液としては、例えば水酸化ナトリウム
(NaOH)と水酸化リチウム(LiOH)の混合液、
水酸化カリウム(KOH)とLiOHの混合液、KOH
とLiOHとNaOHの混合液等を用いることができ
る。
【0043】前述した二次電池において、組み立て後の
初回充電を40〜100℃の範囲で行なうことことが好
ましい。
【0044】以上説明した本発明に係わるアルカリ二次
電池ペースト式正極は、水酸化ニッケルを活物質、イッ
トリウムを含有する水酸化コバルトを主成分とする粒子
を添加剤とし、かつ結着材を含むペーストを集電体に塗
布もしくは充填した構造を有する。このようなイットリ
ウムを含有する水酸化コバルトを主成分とする粒子は、
アルカリ電解液への溶解速度を高めることができる。
【0045】これは、イットリウムを特定量含有する水
酸化コバルトは、水酸化コバルトの結晶性が低下し、水
酸化コバルト単体では比較的溶解度の低いという性質が
改質されてアルカリ電解液に容易に溶解する。その結
果、コバルトを活物質である水酸化ニッケル粒子の表面
に均一に拡散させることが可能になり、初充電において
水酸化ニッケル粒子表面に導電性コバルト高次酸化物を
均一に形成できることによるものと推定される。したが
って、水酸化ニッケルの利用率が向上され、放電容量の
高いペースト式正極を得ることができる。
【0046】前記初充電は室温でも効果があるが、40
〜100℃ののような高温で初充電を行なうと、前記イ
ットリウム含有水酸化コバルトを主成分とする粒子がよ
り一層容易にアルカリ電解液に溶解するため、導電性コ
バルト高次酸化物の水酸化ニッケル表面への均一な形成
により、一層利用率が向上され、放電容量の高いペース
ト式正極を得ることができる。
【0047】また、長期保存により水酸化コバルトの表
面に酸化皮膜が生成されても、前述したイットリウムの
作用によりアルカリ電解液の溶解性が阻害されず、活物
質の高い利用率を確保することができる。
【0048】さらに、アルカリ二次電池は高温保存状
態、過放電状態に置かれると、正極の水酸化ニッケル表
面に形成されたコバルト導電性マトリックスが破壊され
て正極の容量低下、つまり回復率の劣化を招くことが知
られている。このような精査質の正極において、イット
リウム含有水酸化コバルトを主成分とする粒子を配合す
ることによって、コバルト導電性マトリックスに溶出抑
制作用を示すイットリウムが存在させることができる。
その結果、長期間放置後の再充電時における放電容量の
低下を抑えることができる。
【0049】また、本発明に係わる別のアルカリ二次電
池用ペースト式正極は、イットリウムおよび水酸化コバ
ルトを含有し、少なくとも前記イットリウムが表面に存
在する水酸化ニッケルを主成分とする粒子を活物質と
し、かつ結着材を含むペーストを集電体に塗布もしくは
充填した構造を有する。
【0050】このような構成の正極によれば、前述した
イットリウムを含有する水酸化コバルトを主成分とする
粒子を添加剤として用いた場合と同様、水酸化ニッケル
の利用率の向上、長期保存後の利用率の向上および高温
保存状態、過放電状態に置かれ多後の回復率の改善を図
ることができる。
【0051】さらに、正極表面にイットリウムを存在さ
せることができるため、酸素過電圧を高めて高温時にお
ける充電受け入れ性を向上することができる。
【0052】前述したペースト式正極を備えたアルカリ
二次電池は、利用率等の優れた特性を有する。
【0053】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照
して詳細に説明する。
【0054】(実施例1) <ペースト式正極の作製>まず、硫酸コバルトおよび硫
酸イットリウムを希硫酸に溶解させ、得られた酸性溶液
をpH調整した水酸化ナトリウム溶液に滴下して沈殿物
を得た。この沈殿物(共晶物)は、平均粒径5.0μm
のイットリウム含有水酸化コバルト粒子であり、コバル
ト水酸化物にイットリウムが固溶した形態または水酸化
コバルト結晶と水酸化イットリウム結晶の混晶物である
と考えられる。
【0055】次いで、水酸化ニッケル90重量部に前記
イットリウム含有水酸化コバルト粒子5重量部を添加
し、結着材であるカルボキシメチルセルロース0.25
重量部、ポリアクリル酸ナトリウム0.25重量部およ
びポリテトラフルオロエチレン3重量部を純水と共に混
練することによりペーストを調製した。つづいて、この
ペーストをニッケル繊維からなる集電体に充填した後、
乾燥し、所定の厚さにプレスすることによりペースト式
正極を作製した。
【0056】<ペースト式負極の作製>市販のランタン
富化ミッシュメタルLmおよびNi、Co、Mn、Al
を用いて高周波溶解炉によって、LmNi4.0 Co0.4
Mn0.3 Al0.3 の組成からなる水素吸蔵合金のインゴ
ットを作製した。つづいて、このインゴットを機械的に
粉砕し、篩い分けを行なって粒径50μm水素吸蔵合金
粉末とした。ひきつづき、前記水素吸蔵合金粉末100
重量部に結着材としてポリアクリル酸ナトリウム0.5
重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)0.1
25重量部、ポリテトラフルオロエチレンのディスパー
ジョン(固形物換算で1.5重量部)および導電剤とし
てカーボンブ粉末1重量部を添加し、水と共に混練する
ことによって、ペーストを調製した。このペーストを導
電性基板としてのパンチドメタルに塗布、乾燥し、さら
にプレスすることによってペースト式負極を作製した。
【0057】次いで、前記負極と前記正極との間に親水
処理したポリプロピレン繊維製不織布を介装し、渦巻状
に捲回して電極群を作製した。この電極群を有底円筒状
容器に収納した後、7N−KOHおよび0.5N−Li
OHからなる電解液を前記容器内に注入し、封口等を行
うことにより前述した図1に示す構造を有する4/3A
サイズの円筒形ニッケル水素二次電池(容量4000m
Ah)を組み立てた。
【0058】(比較例1)水酸化ニッケル90重量部に
水酸化コバルト粒子15重量部を添加し、結着材である
カルボキシメチルセルロース0.25重量部、ポリアク
リル酸ナトリウム0.25重量部およびポリテトラフル
オロエチレン3重量部を純水と共に混練することにより
ペーストを調製した。つづいて、このペーストをニッケ
ル繊維からなる集電体に充填した後、乾燥し、所定の厚
さにプレスすることによりペースト式正極を作製した。
【0059】前記ペースト式正極を用いて実施例1と同
様で、前述した図1に示す構造を有する4/3Aサイズ
の円筒形ニッケル水素二次電池(容量4000mAh)
を組み立てた。
【0060】得られた実施例1および比較例1の二次電
池を、25℃の温度雰囲気において0.1Cで15時間
かけて150%充電(初回充電)した後、0.2C、1
Vで放電した。その後、室温で1C、1.5時間充電
し、1Cで1Vまで放電する操作を3サイクル行なっ
た。これら二次電池の3サイクル目の放電容量を測定
し、理論容量から初期利用率を求めた。この結果を下記
表1に示す。
【0061】また、60℃で0.2C、120%の充電
を行なった後、25℃で1Cの放電を行なうことにより
60℃での高温充電効率を測定した。この結果を下記表
1に示す。
【0062】さらに、放電状態で65℃、1ヶ月間貯蔵
した後、25℃の雰囲気下で0.1C、15時間かけて
150%充電し、0.2Cで1Vまで放電を行なった。
その後、1Cで1.5時間充電し、1Cで1Vまで放電
する操作を3サイクル繰り返し、この放電容量を回復容
量とし、得られた回復容量から次式に従って回復率を求
めた。その結果を下記表1に示す。
【0063】回復率(%)=(回復容量/初期容量)×
100
【表1】
【0064】前記表1から明らかなようにイットリウム
含有水酸化コバルト粒子を添加剤として含む正極を備
え、室温で初充電を行なった実施例1のニッケル水素二
次電池は、水酸化コバルト粒子を添加剤として含む正極
を備え、室温で初充電を行なった比較例1のニッケル水
素二次電池に比べて利用率、高温での充電効率および高
温貯蔵後の回復率のいずれにおいても優れていることが
わかる。
【0065】(実施例2)実施例1の二次電池を、60
℃の温度雰囲気において0.1Cで15時間かけて15
0%充電(初回充電)した後、0.2C、1Vで放電し
た。その後、室温で1C、1.5時間充電し、1Cで1
Vまで放電する操作を3サイクル行なった。
【0066】(比較例2)比較例1の二次電池を、60
℃の温度雰囲気において0.1Cで15時間かけて15
0%充電(初回充電)した後、0.2C、1Vで放電し
た。その後、室温で1C、1.5時間充電し、1Cで1
Vまで放電する操作を3サイクル行なった。
【0067】これら実施例2および比較例2の二次電池
における3サイクル目の放電容量を測定し、理論容量か
ら初期利用率を求めた。この結果を下記表2に示す。
【0068】また、前述した実施例1と同様な方法によ
り60℃での高温充電効率および回復率を測定した。こ
れらの結果を下記表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】前記表2から明らかなようにイットリウム
含有水酸化コバルト粒子を添加剤として含む正極を備
え、60℃の高温で初充電を行なった実施例2のニッケ
ル水素二次電池は、水酸化コバルト粒子を添加剤として
含む正極を備え、60℃の高温で初充電を行なった比較
例2のニッケル水素二次電池に比べて利用率、高温での
充電効率および高温貯蔵後の回復率のいずれにおいても
優れていることがわかる。
【0071】また、実施例2のニッケル水素二次電池は
前述した室温で初充電を行なった実施例1のニッケル水
素二次電池に比べてより一層優れた利用率、高温での充
電効率および高温貯蔵後の回復率を有することがわか
る。
【0072】(実施例3,4)まず、硫酸ニッケル、硫
酸コバルトおよび硫酸イットリウムの混合水溶液を調製
し、この混合水溶液をpH調整した水酸化ナトリウム溶
液に滴下して沈殿物を得た。この沈殿物を濾過、乾燥す
ることによりイットリウムおよび水酸化コバルトを含有
し、前記イットリウムが表面に存在する水酸化ニッケル
を得た。
【0073】次いで、前記水酸化ニッケル90重量部に
前記イットリウム含有水酸化コバルト粒子5重量部を添
加し、結着材であるカルボキシメチルセルロース0.2
5重量部、ポリアクリル酸ナトリウム0.25重量部お
よびポリテトラフルオロエチレン3重量部を純水と共に
混練することによりペーストを調製した。つづいて、こ
のペーストをニッケル繊維からなる集電体に充填した
後、乾燥し、所定の厚さにプレスすることによりペース
ト式正極を作製した。この後、このペースト式正極を用
いて実施例1と同様な方法により前述した図1に示す構
造を有する4/3Aサイズの円筒形ニッケル水素二次電
池(容量4000mAh)を組み立てた。
【0074】得られた二次電池を、25℃および60℃
の温度雰囲気においてそれぞれ0.1Cで15時間かけ
て150%充電(初回充電)した後、0.2C、1Vで
放電した。その後、室温で1C、1.5時間充電し、1
Cで1Vまで放電する操作を3サイクル行なった。これ
ら二次電池の3サイクル目の放電容量を測定し、理論容
量から初期利用率を求めた。この結果を下記表3に示
す。
【0075】また、前述した実施例1と同様な方法によ
り60℃での高温充電効率および回復率を測定した。こ
れらの結果を下記表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】前記表3から明らかなようにイットリウム
および水酸化コバルトを含む層が表面に被覆された正極
を備え、室温で初充電を行なった実施例3のニッケル水
素二次電池は、前述した実施例1と同様、優れた利用
率、高温での充電効率および高温貯蔵後の回復率を有す
ることがわかる。
【0078】また、初充電を60℃の高温で行なった実
施例4の二次電池は室温で初充電を行なった実施例3に
比べてより一層優れた利用率、高温での充電効率および
高温貯蔵後の回復率を有することがわかる。
【0079】なお、前記実施例では円筒形のニッケル水
素二次電池に適用した例を説明したが正極、セパレータ
および負極を積層して電極群を構成する角形の形状のニ
ッケル水素二次電池にも同様に適用することができる。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、水
酸化コバルトの配合量を抑制しつつ、集電体への充填量
の向上、利用率の向上を図ることが可能なアルカリ二次
電池用ペースト式正極を提供できる。
【0081】また、本発明によれば前記正極を備え、利
用率、高温での充電効率および高温貯蔵後の回復率の優
れたアルカリ二次電池を提供できる。
【0082】さらに、本発明によればより一層の高密度
充填が可能で、高い利用率を有し、かつ高温での充電効
率および高温貯蔵後の回復率の優れたアルカリ二次電池
の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるアルカリ二次電池の一例である
ニッケル水素二次電池を示す斜視図。
【符号の説明】 1…容器、 2…正極、 3…セパレータ、 4…負極、 5…電極群、 7…封口板、 8…絶縁ガスケット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山根 哲哉 東京都品川区南品川3丁目4番10号 東芝 電池株式会社内 Fターム(参考) 5H003 AA02 BA00 BA03 BB04 BB11 BC01 BC05 BD01 5H016 AA02 BB09 CC09 EE01 EE05 HH04 HH11 5H028 AA01 AA05 BB03 CC08 CC12 EE01 EE05 HH08 HH10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化ニッケルを活物質、イットリウム
    を含有する水酸化コバルトを主成分とする粒子を添加剤
    とし、かつ結着材を含むペーストを集電体に塗布もしく
    は充填したことを特徴とするアルカリ二次電池用ペース
    ト式正極。
  2. 【請求項2】 水酸化ニッケルを活物質、イットリウム
    を含有する水酸化コバルトを主成分とする粒子を添加剤
    とし、かつ結着材を含むペーストを集電体に塗布もしく
    は充填したペースト式正極を備えたことを特徴とするア
    ルカリ二次電池。
  3. 【請求項3】 水酸化ニッケルを活物質、イットリウム
    を含有する水酸化コバルトを主成分とする粒子を添加剤
    とし、かつ結着材を含むペーストを集電体に塗布もしく
    は充填したペースト式正極を備え、組み立て後の初回充
    電を40〜100℃の範囲で行なうことを特徴とするア
    ルカリ二次電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 イットリウムおよび水酸化コバルトを含
    有し、少なくとも前記イットリウムが表面に存在する水
    酸化ニッケルを主成分とする粒子を活物質とし、かつ結
    着材を含むペーストを集電体に塗布もしくは充填したこ
    とを特徴とするアルカリ二次電池用ペースト式正極。
  5. 【請求項5】 イットリウムおよび水酸化コバルトを含
    有し、少なくとも前記イットリウムが表面に存在する水
    酸化ニッケルを主成分とする粒子を活物質とし、かつ結
    着材を含むペーストを集電体に塗布もしくは充填したペ
    ースト式正極を備えたことを特徴とするアルカリ二次電
    池。
  6. 【請求項6】 イットリウムおよび水酸化コバルトを含
    有し、少なくとも前記イットリウムが表面に存在する水
    酸化ニッケルを主成分とする粒子を活物質とし、かつ結
    着材を含むペーストを集電体に塗布もしくは充填したペ
    ースト式正極を備え、組み立て後の初回充電を40〜1
    00℃の範囲で行なうことを特徴とするアルカリ二次電
    池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011040400A (ja) * 1999-11-05 2011-02-24 Gs Yuasa Corp アルカリ蓄電池用ニッケル電極活物質、アルカリ蓄電池およびアルカリ蓄電池の初期化成処理方法

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JP2011040400A (ja) * 1999-11-05 2011-02-24 Gs Yuasa Corp アルカリ蓄電池用ニッケル電極活物質、アルカリ蓄電池およびアルカリ蓄電池の初期化成処理方法

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