JP2000144610A - 道路舗装構造とその構築方法 - Google Patents

道路舗装構造とその構築方法

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JP2000144610A
JP2000144610A JP10320148A JP32014898A JP2000144610A JP 2000144610 A JP2000144610 A JP 2000144610A JP 10320148 A JP10320148 A JP 10320148A JP 32014898 A JP32014898 A JP 32014898A JP 2000144610 A JP2000144610 A JP 2000144610A
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pavement structure
road
pavement
mixture
drainage
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Tokuyasu Nakazawa
徳安 中沢
Norio Meshida
紀雄 召田
Bunichi Tatsushita
文一 達下
Takakazu Marushima
孝和 丸島
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Nichireki Co Ltd
Original Assignee
Nichireki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 道路の轍部に雨水や融雪水等が滞留するとい
う現象を根本的に解消すると共に、強度と耐久性とを兼
ね備え、簡単な作業で安価に構築できる舗装構造とその
構築方法を提供することを課題とする。 【解決手段】 開粒度型舗装用混合物を用いて構築され
た帯状の排水性舗装構造を、既設もしくは新設の他の舗
装構造と隣接させて、1車線当たり少なくとも2本、道
路轍部に相当する部分に有する道路舗装構造を提供する
と共に、既設もしくは新設の他の舗装構造と隣接させ
て、道路轍部に相当する部分に開粒度型舗装用混合物を
舗設し、1車線当たり少なくとも2本の帯状の排水性舗
装構造を道路轍部に沿って構築する道路舗装構造の構築
方法を提供することによって上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路舗装構造とそ
の構築方法に関し、更に詳しくは、開粒度型舗装用混合
物を用いて道路轍部に相当する帯状の部分を排水性舗装
構造とした新規な道路舗装構造とその構築方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】道路舗装は、通常、路床や路盤を整備し
て強固なものとした上に、耐流動性を十分に備えた舗装
用混合物を用いて構築されるのが原則であるが、そのよ
うな原則を遵守したとしても、経年変化に伴う路床構造
の変化や、通過車両による繰り返し荷重、温度変化、更
にはタイヤチェーン使用による摩耗やその他種々の要因
によって、舗装表面には不等沈下や流動化現象並びに摩
耗現象等による路面の変形が発生し、特に車両タイヤ等
が通過する頻度の高い轍部に沿って、いわゆる轍掘れと
言われる凹凸の激しい変形や部分的な凹部が生じること
がある。轍掘れの発生する位置は車線の幅や通過車両の
種類、道路状況などに応じて区々であるが、通常、車線
中央部を挟んで車線当たり2本でき、一旦、轍掘れがで
きてしまうと、後続車両も自然とその部分を通過するよ
うになるので、ますます顕著なものとなっていくのが一
般的である。
【0003】轍掘れは、運転者のハンドル操作に思わぬ
障害を与え、交通事故を誘発したり、降雨、降雪時に
は、雨水や融雪水などが溜まり場となって、車両通過時
に跳ね上げられ、対向車や並進車の窓等に降りかかって
運転の妨げとなるばかりでなく、道路脇の人家や商店、
更には時として歩行者にも跳ね掛かり、種々のトラブル
の原因となることがある。また、運転者の側からして
も、轍掘れに雨水等が滞留していると、道路脇の歩行者
等に注意を払わなければならないだけでなく、滞留水に
よってハンドルを取られたり、夜間に凍結してスリップ
の原因となったりして、運転に支障をもたらすものであ
る。このように、轍掘れは、降雨、降雪の多い日本にあ
っては、種々の問題を引き起こし、日本の交通事情を危
険なものとする一因であった。
【0004】しかしながら、従来、このような問題に対
する対策は十分には為されておらず、轍掘れの激しい道
路の舗装を取り除き、全面的に再構築するか、あるい
は、轍掘れの激しい箇所に点々と混合物を舗設して、部
分的に凹みを繕うか、轍掘れの著しい箇所の轍部を含ん
だ部分の表層を車線幅全幅にわたって削除し、その上に
オーバーレイを施す等のことしか行われていないのが現
状である。舗装を全面的に再構築したり、切削オーバー
レイにて補修対応するのは、確かに1つの方法ではある
が、費用が嵩み、再び轍掘れが生じた際には、同様の問
題が避けられないという欠点がある。また、轍掘れの激
しい箇所に部分的に混合物を充填舗設して凹みを繕う方
法は、充填箇所と非充填箇所との間に不要の段差を生
じ、運転者に不快な振動を与えるだけでなく、道路とし
ての美観を損ね、しかも耐久性に欠けるという欠点があ
る。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術のもつ欠点を解決するために為されたもので、流動化
現象や摩耗現象による路面の変形を修繕し、更には、道
路の轍部に雨水や融雪水等が滞留するという現象を根本
的に解消すると共に、強度と耐久性とを兼ね備え、簡単
な作業で安価に構築できる舗装構造とその構築方法を提
供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく研究を重ねた結果、流動化現象や摩耗等に
よって路面に凹凸が生じ易い轍部に相当する部分を排水
性舗装構造とすることによって上記課題が解決できるこ
とを見出して本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、開粒度型舗装用混合
物を用いて構築された帯状の排水性舗装構造を、既設も
しくは新設の他の舗装構造と隣接させて、1車線当たり
少なくとも2本、道路轍部に相当する部分に有する道路
舗装構造を提供すると共に、既設もしくは新設の他の舗
装構造と隣接させて、道路轍部に相当する部分に開粒度
型舗装用混合物を舗設し、1車線当たり少なくとも2本
の帯状の排水性舗装構造を道路轍部に沿って構築する道
路舗装構造の構築方法を提供することによって上記課題
を解決するものである。
【0008】本発明の道路舗装構造においては、道路轍
部に相当する帯状の部分が、開粒度舗装用混合物を用い
て構築され、排水性舗装構造となる。道路轍部に相当す
る帯状の部分とは、実際に轍掘れが生じている道路部分
であっても良いし、車両タイヤの走行頻度が高いなどの
理由で、将来轍掘れが生じるであろうと予測される道路
部分であっても良い。そのような道路轍部に相当する帯
状の部分は、通常、1車線当たり2本存在する。したが
って、本発明によって構築される道路舗装構造は、通
常、1車線当たり2本の排水性舗装構造を有するが、実
際に3本以上の凹部を有している道路や、将来的に3本
以上の凹部を生じる可能性のある道路においては、1車
線当たり3本以上の排水性舗装構造を有するようにして
も良い。また、例えば、道路の上下線が合わせて1車線
となっているような車線の区別のない道路にあっては、
全体を1車線と見立てて、道路全体の轍部に相当する部
分に、2本ないしはそれ以上の排水性舗装構造を構築す
れば良い。このように、道路轍部に相当する帯状の部分
を排水性舗装構造としておくことにより、たとえ将来、
轍掘れが出来たとしても、その部分に雨水や融雪水等が
滞留することはなく、滞留水を跳ね上げることも、車両
タイヤがスリップする恐れもない。しかも、道路全幅を
排水性舗装構造とするものではないので、道路全体とし
ての強度や耐久性を損なうことがなく、施工上も安価で
ある。また、開粒度舗装用混合物を用いて構築される排
水性舗装構造には、吸音性があり、轍部に相当する部分
を排水性舗装構造とすることによって、車両通行に伴う
騒音発生が抑えられるという利点もある。
【0009】本発明においては、開粒度舗装用混合物を
用いて構築される排水性舗装構造は、既設もしくは新設
の他の舗装構造と隣接して構築される。他の舗装構造と
は、本発明において開粒度型舗装用混合物を用いて構築
される排水性舗装構造以外の舗装構造を言い、通常は、
加熱混合物を用いて構築される密粒度型の舗装構造であ
るのが一般的である。本発明においては、そのような既
設の他の舗装構造の一部を、補修などの目的で一部削除
し、削除した部分に開粒度型舗装用混合物を舗設して排
水性舗装構造を構築しても良いし、新たに道路舗装を構
築する際に、道路轍部に相当する部分に開粒度型舗装用
混合物を舗設して排水性舗装とし、ほぼ同時に新設され
る他の舗装構造と隣接するようにしても良い。
【0010】本発明で使用する開粒度舗装用混合物と
は、排水性舗装を構築するのに適したものであれば良
く、好ましくは、空隙率が10〜30%の範囲のもので
ある。排水性舗装を構築するのに適したものであるなら
ば、開粒度型舗装用混合物の成分や配合割合に特に制限
はないが、典型的には、骨材を主材料とし、これに、ア
スファルト、アスファルト乳剤、ないしは水硬性無機材
料などを混合して得られるものである。
【0011】また、本発明においては、構築される排水
性舗装構造は、通常、舗装体表層部を構成する単層とし
て構築される。このようにすることによって、既設舗装
の上部の一部を削除して、その部分に開粒度型舗装用混
合物を舗設する場合においても、また、新たに道路舗装
を構築する場合にあっても、簡単な作業で、かつ、簡便
に部分排水性舗装構造を構築することが可能となる。
【0012】本発明における排水性舗装構造の部分には
導水部材を内蔵させておくことが望ましい。導水部材は
通常、排水性舗装構造の道路側端側に敷設され、排水性
舗装構造を浸透してきた雨水等を効率的に集水する。排
水性舗装構造と、道路側端部の集水桝等の排水路との間
にも、導水部材を敷設して、排水性舗装構造内で集水さ
れた雨水等を効率的に集水桝等の排水路に排水するのが
望ましい。道路内側の轍部に相当する部分に構築される
排水性舗装構造からの排水は、直接、集水桝等の排水路
まで導水部材を敷設して行っても良いが、隣接する道路
側端部側の排水性舗装構造までの間に導水部材を敷設し
て、順次、道路側端側へと排水していくのが効率的であ
る。排水性舗装構造の部分への導水部材の敷設並びに埋
設は、排水性舗装構造の構築時に行えば良く、また、排
水性舗装構造相互間、或いは、排水性舗装構造と集水桝
等の排水路間への導水部材の敷設は、敷設対象区間が既
設舗装の場合には、一旦部分的に既設舗装を削除して行
えば良い。
【0013】また、本発明において、既設の他の舗装構
造の一部を削除して、削除した部分に開粒度型舗装用混
合物を舗設する場合には、削除によって生じた既設舗装
体の垂直面は整形せずに、凹凸を残したままで開粒度型
舗装用混合物を舗設し、既設舗装体の垂直面の凹凸を新
たに舗設される開粒度型舗装用混合物との接合部として
利用するのが望ましい。コンクリートカッター等によっ
て垂直面を平滑面にしておくのも良いが、なるべく整形
しないで接合した方が、結果的に合着度が良い。削除に
よって生じた既設舗装体の露出面には、開粒度型舗装用
混合物を舗設するに先立って、接着性に優れたゴム入り
アスファルト乳剤などのタックコートを施し、更には、
垂直面とその周辺部を加熱して、加熱した状態で既設舗
装体と新たに舗設される開粒度型舗装混合物とを合着さ
せるのが望ましい。新設の舗装体と隣接させて開粒度舗
装用混合物を舗設する場合も同様であって、このように
することによって、開粒度舗装用混合物によって構築さ
れる排水性舗装構造と隣接する他の舗装構造との結合を
強固にし、本発明の道路舗装構造に優れた耐久性を付与
することが可能となるものである。なお、施工路面に凹
凸がある場合には、予め、凸部を削除してレベリング面
を確保しておくようにしても良い。
【0014】本発明においては、排水性舗装構造と既設
もしくは新設の他の舗装構造との接合部を、細骨材、ア
スファルト乳剤、および、水硬性無機材料を含む混合物
によって、充填、一体化することにより、排水性舗装構
造と既設又は新設の他の舗装構造とを強固に密着、一体
化することもまた1つの大きな特徴である。開粒度型舗
装用混合物を用いて構築した排水性舗装構造と既設もし
くは新設の他の舗装構造との接合部には段差が生じ易
く、また、接合部においては密度や滑り抵抗などが不連
続になるため、接合部は、車両の通行によって最も損傷
を受け易い箇所である。本発明においては、接合部ない
しはその周辺部に、細骨材、アスファルト乳剤、およ
び、水硬性無機材料を含む混合物を流し込み、少なくと
も排水性舗装構造における一部の空隙部を充填し、既設
もしくは新設の他の舗装構造と一体化させることによ
り、接合部を補強する。このようにすることによって、
本発明の道路舗装構造により強固な耐久性を付与するこ
とが可能となるものである。また、本発明は、道路の轍
部に相当する部分以外の部分にも別途排水性舗装構造を
備えた舗装構造を決して排除するものでない。また、帯
状とは、実質的に平行である方が見た目に美しいことも
あって望ましいが、必ずしも全体に渡って同じ幅である
必要はなく、構築される排水性舗装構造の幅は、路面の
状況や轍掘れの程度に応じて、施工路面の領域毎に部分
的に異なっていても良い。
【0015】本発明の道路舗装構造並びにその構築方法
が適用される道路とは、一般道路、高速道路のみなら
ず、工場等の構内道路、駐車場、広場、飛行場、港湾施
設等、舗装され、車両等が通行する全ての場所を含み、
それぞれの場所において、車両等が通行することによっ
て道路轍部に相当する部分に凹凸や凹みが生じる全ての
場所に適用されるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の道路舗装構造とそ
の構築方法について詳細に説明する。
【0017】図1は、既設舗装体の一部を切削、除去し
て、排水性舗装構造を構築する場合の説明図であり、道
路轍部に相当する部分の既設舗装を切削、除去した状態
を示す。図1において、1は既設舗装の基層、2は既設
舗装の表層、3は轍部の凹部、4は凸部、5はレベリン
グ面、6はU字溝、7は集水桝を、それぞれ示してい
る。
【0018】図1の例において、まず、既設舗装体の凸
部4を、適当な切削機械によって切削、除去し、レベリ
ング面5を確保する。凸部4が存在しない場合、若しく
は、存在しても僅かである場合には、レベリング作業は
必ずしも行う必要はない。次いで、凹部3が、轍部に沿
って、帯状に切削、除去される。図1の場合は、切削、
除去された凹部3の下に、湾曲変形した既設舗装体の表
層2の一部が残されているが、凹部3の切削深さが足り
ない場合には、基層1の部分にまで食い込んで切削して
も良い。
【0019】凹部3の切削形状は、断面が長方形状にな
るように削り取るのが望ましい。切削幅には、特に制限
はなく、凹部3をカバーできる範囲であれば良いが、通
常は、40〜150cm程度である。なお、轍部に相当
する部分を複数本削り取る場合には、それぞれの切削幅
は同じであっても、また、互いに異なっていても良い。
切削深さにも、凹部3が除去できる深さであれば特に制
限はないが、切削除去された跡に舗設される開粒度型舗
装用混合物によって構築される排水性舗装構造が、通
常、舗装体の表層を構成するような厚さになるような深
さに既設舗装を削り取るのが好ましい。好ましい排水性
舗装構造の厚さは3〜10cm程度である。排水性舗装
構造の厚さが3cm未満であると、決して実施できない
という訳ではないが、十分な排水能力や十分な消音効果
が得られず、また、10cmを越えると、構築費用が増
大する割には排水能力は増大せず、不経済である。ま
た、図1の例では、2本の轍部に相当する部分が切削除
去されているが、切削除去される帯状部分の本数が、図
示のものに限られるものでないことは勿論である。な
お、轍部に相当する部分は、図示のように、帯状に削り
取るのが好ましいが、凹部3の幅が部分的に大きく変動
しているような場合には、切削除去する幅は部分的に変
更しても良い。そのような場合も、本明細書で言う帯状
に相当する。また、切削によって露出した既設舗装体の
垂直面は、整形せずに、切削時のままの凹凸を残してお
くのが望ましい。この既設舗装体の垂直面の凹凸は、後
述するように、新たに舗設される開粒度型舗装用混合物
との結合面として利用される。
【0020】続いて、図2に示すように、切削除去され
た轍部に相当する空所8−1、8−2に、導水部材9を
敷設する。導水部材9の敷設位置は、特に制限はない
が、通常、路面が横断勾配をもって道路側端部、即ち、
図示のU字溝6に向かって傾斜していることを考える
と、図示のように空所8−1、8−2内の道路側端側に
敷設するのが望ましい。また、図では、各空所に、それ
ぞれ1本の導水部材が配置されているだけであるが、導
水部材の数は1本に限らず、1つの空所内に2本以上の
導水部材を敷設しても良い。
【0021】導水部材9としては、ステンレス鋼材をス
パイラル状に捲回したものや、ガラス繊維、天然繊維、
合成繊維、人造繊維、炭素繊維、金属繊維、金属線など
で網状もしくはメッシュ状に形成された管、強化耐熱性
合成樹脂管に多数の孔をあけた有孔管、ポリエステル、
ポリアミド、ポリプロピレン、ビニロン等の合成繊維や
炭素繊維の不織布を管状ないしは適宜の形状に形成した
ものなど、及び、これらの材料によるペーパードレーン
などを用いることができる。なお、導水部材9の断面形
状は円に限られるものではなく、三角、四角、楕円等、
種々の形態が可能である。また、必ずしも中空でなけれ
ばならないことはなく、導水機能が発揮できるのであれ
ば、多孔性の中実のものとしても良い、導水部材9の大
きさは、直径が10〜30mm程度のもの、或いは、厚
さ3〜25mm、好ましくは5〜20mm、幅が30〜
150mm、好ましくは50〜100mmのものが好ま
しく、従って、導水部材9を埋設する場合には、排水性
舗装構造の厚さもそれ以上が要求されるのは勿論であ
る。
【0022】道路側端側の空所8−1と集水桝7との間
や、空所8−1と空所8−2との間にも、導水部材
9’、9’を敷設して、空所8−1と集水桝7間、及び
/又は、複数の空所間を、通水可能なように接続するの
が望ましい。導水部材9’、9’は、空所8−1、8−
2内に敷設される導水部材9、9と接続されるのが望ま
しいが、接続せずに敷設することも可能である。また、
空所8−2と空所8−1をつなぐ導水部材9’は、空所
8−1内の導水部材9と接続するようにしても良いし、
図示のように、先端を空所8−1内に開けて敷設するよ
うにしても良い。導水部材9’、9’が敷設される位置
は、排水を効率的に行うという観点からは、道路横断方
向の一直線状に揃えるのが望ましく、集水桝7の位置を
一致するのが更に望ましい。導水部材9’、9’を敷設
するに際して、既設舗装の必要部分を切削、除去するこ
とは言うまでもない。なお、図では、2つの空所しか示
していないが、例えば、片側2車線以上の道路におい
て、空所が8−1、8−2、8−3、と多数存在する場
合には、空所間を導水部材9’によって接続し、それぞ
れの排水性舗装構造を浸透してきた雨水等が順次、道路
側端部の排水路に向かって排水されるようにすれば良
い。また、通常、導水部材9’、9’は、道路縦断方向
に適当な間隔を開けて複数本配置される。導水部材9、
9、9’、9’を敷設するに先立って、既設舗装体の露
出面底部、即ち、轍部の切削底面に、シート系防水材に
よる防水層、合成ゴム系塗膜防水材による防水層、アス
ファルト系塗膜防水材による防水層、または、舗装系塗
膜防水材による防水層などの適宜の防水層を構築してお
くことによって、排水性舗装構造を浸透してきた雨水等
が下層に浸透するのを防止し、効率的に道路側端の排水
路に排水することが可能となる。
【0023】次に、空所8−1、8−2の露出面に、タ
ックコートを散布する。タックコートとしては、接着性
に優れた、例えば、ゴム入りのアスファルト乳剤などを
使用するのが好ましい。タックコートの散布後、空所8
−1,8−2の垂直面とその周辺部を携帯用プロパンガ
スバーナー等によって加熱する。続いて、図3に示すよ
うに、空所8−1に開粒度型舗装用混合物を舗設して排
水性舗装構造10を構築する。なお、図示しない他の空
所についても同様である。図3から見て取れるように、
既設舗装体の表層2の垂直面に残された切削時の凹凸
が、舗設された開粒度型舗装用混合物と密接に係合し、
強固な接合部を形成する。なお、接合部の既設舗装側は
加熱によりアスファルト等の結合材が一部熔解している
ので、先の尖ったスコップなどで掻き解し、舗設された
開粒度型舗装用混合物と一部、掻き混ぜ混合することに
よって、接合部の一体化をより一層高めることができ
る。上記作業の終了後、舗設面と接合部周辺を転圧す
る。
【0024】なお、導水部材9’、9’を埋設するため
に切削除去した既設舗装を埋め戻しも、上記と同様に行
われる。その際、使用する混合物としては、通常の加熱
型密粒度混合物であっても良いが、上記で空所8−1、
8−2に用いたのと同じ開粒度型舗装用混合物を使用し
ても良い。また、降雪地帯にあっては、排水性舗装構造
を構築するに際して、導水部材と同様に、排水性舗装構
造下部に図示しない電熱マットや温水パイプ等の融雪装
置を埋設しておくのが好ましい。
【0025】排水性舗装構造10と既設舗装の表層2と
の接合部には段差が生じ易く、また、密度や滑り抵抗に
不連続性があるので、車両の通行等によって、排水性舗
装構造10が損傷を受ける危険性がある。そこで、図4
に示すように、モルタル状の混合物11を接合部とその
周辺部に流し込み、接合部とその周辺部における空隙を
充填して、排水性舗装構造10と既設舗装との密着性を
向上させ、両者を一体化するのが望ましい。このように
することによって、例えば、既設舗装の表層2に、図示
しない角欠部等が存在したとしても、モルタル状の混合
物11によって充填され、強固な接合部を形成すること
ができる。モルタル状の混合物11は、既設舗装の表層
2上を約1〜2mm程度の厚さで一部覆うように流し込
むのが良く、モルタル状混合物11の充填幅Xは5〜3
0cm程度、好ましくは7〜25cm程度、また表層2
を覆う幅Yは2〜10cm程度、好ましくは3〜7cm
程度が十分な接合性を得る上で望ましい。このように、
排水性舗装構造と、例えば既設舗装等の他の舗装構造と
の接合部をモルタル状混合物11によって充填、一体化
することにより、本発明の道路舗装構造の耐久性は一層
向上する。
【0026】なお、図4において、右側の接合部には導
水部材が存在しないので、モルタル状混合物11は、排
水性舗装構造10の下部まで一様に浸透するように流し
込んでも構わないが、図4の左側の接合部のように、下
部に導水部材9が存在する場合には、モルタル状混合物
11は、導水部材9を覆わないように、排水性舗装構造
10の下部を残して上部にのみ流し込むようにするのが
望ましい。その他、図4の右側の接合部であっても、空
所間を接続する導水部材9’が存在するような場所にお
いても同様である。モルタル状混合物が流下浸透する深
さの調整は、流し込む量で行っても良いし、流動化剤な
どを添加することによって、粘度を調整することによっ
て行っても良い。表面に残るモルタル混合物を小型ゴム
レーキなどによってしごき込んだり、周辺部をバイブレ
ータ等によって加振して、浸透を早めることも適宜行わ
れる。モルタル状混合物11によって接合部とその周辺
部を充填した後、必要に応じて、排水性舗装構造10の
上部に、アクリル系、エポキシ系の樹脂を散布してトッ
プコートを行っても良い。導水部材9’、9’の敷設箇
所を埋め戻すに際して、開粒度型舗装用混合物を使用す
る場合には、上記と同様に、モルタル状混合物によって
隣接舗装との接合部を充填するのが望ましい。
【0027】図5は、完成した状態の本発明の舗装構造
を示す。轍部に相当する部分に排水性舗装構造を有する
強固な舗装構造が構築されているのが分かる。
【0028】次に、本発明で使用する開粒度型舗装用混
合物とモルタル状混合物について説明する。
【0029】〈開粒度型舗装用混合物〉本発明で使用す
る開粒度型舗装用混合物は、例えば、アスファルトを結
合材とした加熱アスファルト混合物、セメントを結合材
としたセメント混合物等々、排水性舗装を構築するのに
適したものであればどのようなものを用いても良いが、
好ましくは、粗骨材及び/又は細骨材を主材料とし、ア
スファルト乳剤を結合材として、更に水硬性無機材料を
加え、これらを攪拌、混合して得られるものである。
【0030】本発明で使用する開粒度型舗装用混合物に
使用する骨材としては、社団法人日本道路協会発行の
「アスファルト舗装要綱」に記載されている舗装用の骨
材であればどのようなものでも使用でき、例えば、砕
石、玉砕、砂利、鉄鋼スラグ等があり、また、これらの
骨材にアスファルトを被覆したアスファルト被覆骨材お
よび再生骨材なども使用できる。その他、これに類似す
る粒状材料で、人工焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量
骨材、陶磁器粒、ルクソバイト、シノパール、アルミニ
ウム粒、プラスチック粒、セラッミックス、エメリー等
も使用することができる。
【0031】本発明で使用する粗骨材としては、一般的
には、粒径範囲2.5〜5mmの7号砕石、粒径範囲5
〜13mmの6号砕石、粒径範囲が13〜20mmの5
号砕石、あるいは、これらの1種または2種以上を混合
した砕石や、合成された砕石等を使用することができ
る。これら骨材に、骨材に対して0.3〜2重量%程度
のアスファルト乳剤やストレートアスファルト、エポキ
シ樹脂とその硬化剤、ゴムや合成樹脂などで被覆したも
のも使用できる。本発明で使用する開粒度型舗装用混合
物における粗骨材の使用量としては、骨材全量を100
重量%とした場合、このうちの93〜75重量%の範囲
が好ましい。
【0032】また、本発明で使用する細骨材とは、一般
的に、2.5mmフルイを通過するもので、例えば、川
砂、丘砂、山砂、スクリーニングス、砕石ダスト、シリ
カサンド、人工骨材、石粉、焼却炉灰、クレー、タル
ク、フライアッシュ、カーボンブラックなどであるが、
このほか、ゴム粉粒、コルク粉粒、木質粉粒、樹脂粉
粒、パルプ、人工骨材等が挙げられ、これらの細骨材
は、その1種もしくは2種以上を用いることができる。
本発明で使用する開粒度型舗装用混合物における細骨材
の使用量としては、骨材全量を100重量%とした場
合、このうちの7〜25重量%の範囲が好ましい。
【0033】本発明で使用するアスファルト乳剤とは、
レーキアスファルト等の天然アスファルト、ストレート
アスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンア
スファルト、溶剤脱瀝アスファルト(例えば、プロパン
脱瀝アスファルト)等の石油アスファルト、重油、ター
ル、ピッチ等の1種、または2種以上を混合した瀝青物
を、各種界面活性剤やクレー(例えばベントナイト)な
どの乳化剤を用い、さらには、アルカリ、酸、塩、分散
剤、保護コロイドなどを必要に応じて添加して、コロイ
ドミル、ホモジナイザー、ホモミキサーなどの適当な乳
化機によって、水中に乳化させたものである。
【0034】乳化剤としては、カチオン系、アニオン
系、両性系のいずれをも用いることができる。
【0035】本発明で使用できるカチオン系の乳化剤と
しては、長鎖アルキル基を有する脂肪族あるいは脂環族
のモノアミン、ジアミン、トリアミン、アミドアミン、
ポリアミノエチルイミダゾリン、長鎖ヒドロキシアルキ
ルジアミン、ロジンアミン、これらアミン類の酸化エチ
レン付加物、アミンオキサイド、または、これらのアミ
ン系界面活性剤に塩酸、スルファミン酸、酢酸などの酸
を作用させた水溶性ないし水分散性の塩、さらには、こ
れらのアミン系界面活性剤の第四級アンモニウム塩等が
挙げられる。また、これらの界面活性剤と共に、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアリルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピ
レンブロックコーポリマーなどのノニオン系界面活性剤
を併用することもできる。
【0036】本発明で使用できるアニオン系の乳化剤と
しては、高級アルコール硫酸エステル、アルキルアリル
スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、αオレ
フィンスルホン酸塩、高級アルコールエトオキシレー
ト、高級アルコールエトオキシレートサルフェート、石
鹸、ナフタリンスルホン酸塩およびホルマリン変性物、
アルカリリグニン塩、リグニンスルホン酸塩、カゼイン
のアルカリ塩、ポリアクリル酸塩等が挙げられる。
【0037】本発明で使用できる両性系の乳化剤として
は、アルキルフェノール、モノおよび多価アルコール
酸、脂肪族類、脂肪族アミン類、脂肪族アミド類、エタ
ノールアミン類等のアルキレンオキシドの付加物、など
が挙げられる。
【0038】また、アスファルト乳剤に用いられる分散
剤や保護コロイドとしては、ナフタリンスルホン酸ソー
ダ、カゼイン、アルギン酸、ゼラチン、カルボキシメチ
ルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソー
ダ、リグニンスルホン酸塩、ニトロフミン酸塩等が挙げ
られる。
【0039】本発明に使用されるアスファルト乳剤に
は、上記乳化分散される瀝青物に、ゴム及び熱可塑性高
分子重合物から選ばれる1種または2種以上を、直接混
和するポストミックスタイプによる方法で改質した改質
アスファルト乳剤を用いることもできる。
【0040】改質アスファルト乳剤に使用されるゴム及
び熱可塑性高分子重合物は、例えば、天然ゴム、ガタバ
ーチャ、環化ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレ
ン・イソプレンゴム、イソプレンゴム、ポリイソブチレ
ンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴ
ム、ハロゲン化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン、クロ
ロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、
EPTゴム、アルフィンゴム、スチレン・ブタジエンブ
ロック共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重
合ゴムなどのゴム、及び、エチレン・酢酸ビニール共重
合物、エチレン・アクリレート共重合物、ポリエチレ
ン、酢酸ビニール・アクリレート共重合物などの熱可塑
性高分子重合物であり、これらの1種もしくは2種以上
が併用して使用される。これらは、例えば、粉末状、ラ
テックス状、エマルジョン状、水性状のものであり、ラ
テックス状、エマルジョン状、水性状のものはポストミ
ックスタイプの方法による改質アスファルト乳剤に専ら
使用されるが、プレミックスタイプの方法による改質ア
スファルト乳剤に使用しても良い。
【0041】上記のゴムや熱可塑性高分子重合物ととも
に、接着性や相溶性を改善するために、粘着付与剤とし
て熱可塑性固形樹脂や固形状ゴム、液状樹脂、軟化剤、
可塑剤などを添加しても良い。例えば、ロジンとその誘
導体、テルペン樹脂や石油樹脂とその誘導体、アルキッ
ド樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール
樹脂、クマロンインデン樹脂、合成テルペン樹脂、アル
キレン樹脂、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリ
ブチン、イソブチレンとブタジエンとの共重合物、鉱
油、プロセスオイル、パイン油、アントラセン油、松根
油、可塑剤、動植物油、重合油などである。また、老化
防止剤、酸化防止剤、硫黄等も添加することができる。
さらにまた、改質アスファルト乳剤の粘度調整を目的
に、MC、CMC、HEC、PVA、ゼラチンなどの水
溶性高分子保護コロイドを添加することも可能である。
【0042】改質アスファルト乳剤中のアスファルト
と、ゴム及び熱可塑性高分子重合物との配合割合は、ア
スファルト100重量部に対してゴム及び熱可塑性高分
子重合物が10〜100重量部程度、好ましくは、20
〜50重量部程度である。ゴム及び熱可塑性高分子重合
物の量が10重量部未満では、改質アスファルト乳剤が
分解、硬化した後における改質アスファルト乳剤の骨材
に対する接着力、把握力が劣るのに対し、100重量部
を越えると、凝集力が強すぎて、かえって骨材からの剥
離が生じ易く、また、経済的でない。また、改質アスフ
ァルト乳剤中のアスファルトとしては、分解、硬化した
後の特性を考慮して、針入度(25℃)が40〜300
程度のものを使用するのが好ましい。改質アスファルト
乳剤の蒸発残留物(固形物)濃度は、通常、40〜80
重量%程度であるが、本発明では、なるべく濃度の高い
ものが望ましい。
【0043】また、これらのアスファルト乳剤には、耐
熱性向上や、紫外線等による劣化防止、作業性向上、並
びに接着性向上等の目的で、紫外線吸収剤や、各種添加
剤、粘度調整剤などを添加しても良い。なお、アスファ
ルト乳剤の分解は自然分解に頼るのが一番であるが、場
合によっては、分解剤を使用して強制的に分解させても
良い。
【0044】本発明で使用する開粒度型舗装用混合物に
おける上記のアスファルト乳剤又は改質アスファルト乳
剤の使用量は、骨材100重量部に対して、通常、0〜
15重量部程度、好ましくは、5〜10重量部の範囲で
ある。アスファルト乳剤若しくは改質アスファルト乳剤
の量が15重量部を越える場合には、開粒度型舗装用混
合物の安定性が劣化する。
【0045】本発明で使用する水硬性無機材料として
は、セメント、無水石膏、半水石膏、粉末状高炉スラグ
などが挙げられる。
【0046】使用するセメントとしては、普通ポルトラ
ンドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポル
トランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、白色
ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメン
ト、アルミナセメント、膨張セメント、高炉コロイドセ
メント、コロイドセメント、超速硬セメント、白色セメ
ント、フライアッシュセメント、耐硫酸セメント、ジェ
ットセメントなどが挙げられる。これらの水硬性無機材
料は、その1種もしくは2種以上を併用することも可能
で、更には、水や、公知のセメント用混和材料、例え
ば、収縮抑制材、硬化促進材、硬化遅延材、分散剤、空
気連行剤、増粘剤、減水剤、充填剤などを併用すること
も可能である。
【0047】本発明で使用する開粒度型舗装用混合物に
おける水硬性無機材料の使用量は、骨材100重量部に
対して、通常、1〜15重量部程度、好ましくは3〜9
重量部の範囲である。水硬性無機材料の量が1重量部未
満では、開粒度型舗装用混合物の硬化体の安定度が低下
するのに対して、水硬性無機材料の量が15重量部を越
えると、開粒度型舗装用混合物の硬化体の剛性が強くな
り過ぎて、たわみ性がなくなり、亀裂発生の原因とな
る。
【0048】本発明で使用する開粒度舗装用混合物は、
典型的には、上記の骨材、アスファルト乳剤、並びに水
硬性無機材料を攪拌、混合して製造される。本発明で使
用する開粒度型舗装用混合物には、更に、熱硬化性樹脂
エマルジョンを加えても良い。熱硬化性エマルジョンと
しては、例えば、エポキシ樹脂とその硬化剤の乳化状態
のものが挙げられる。熱硬化性樹脂エマルジョンの添加
量は、骨材100重量部に対して0.1〜3重量部程度
で良い。熱硬化性樹脂エマルジョンにおける硬化剤の割
合は、熱硬化性樹脂エマルジョン中の固形分100重量
部に対して60〜80重量部程度で良い。
【0049】なお、本発明で使用する開粒度型舗装用混
合物としては、空隙率10〜30%のものが好ましい。
空隙率が10%未満では、十分な排水性を備えた舗装構
造を構築することが難しく、逆に空隙率が30%を越え
ると、強度や耐久性の面で問題となる。なお、空隙率と
は、混合物を通常の方法で転圧し締め固めた状態で空中
並びに水中での重量を測定し、(空中重量)/{(空中
重量)−(水中重量)}なる関係式で実際の密度を求
め、次いで、(空隙率%)=100−100×{(実際
の密度)/(理論密度)}なる式によって得られる値で
ある。
【0050】以上、本発明で使用する開粒度型舗装用混
合物として、常温タイプのものについて説明したが、空
隙率10〜30%という条件が見たされるのであれば、
加熱タイプの開粒度型舗装用混合物を使用しても良いこ
とは勿論である。しかしながら、本発明で使用する開粒
度舗装用混合物としては、上記の常温タイプのものの方
が、常温で施工することができるので、材料の加熱に伴
うCOの発生がなく、作業性良いだけでなく、地球環
境にも影響を与えることの少ないので好ましい。
【0051】〈モルタル状混合物〉次に、本発明で使用
するモルタル状混合物について説明する。
【0052】本発明で使用するモルタル状混合物は、細
骨材とアスファルト乳剤と水硬性無機材料とを主成分と
し、これらを混合攪拌して製造したものである。使用す
る細骨材、アスファルト乳剤、及び、水硬性無機材料と
しては、開粒度型舗装用混合物に使用するものと同じも
のが使用できる。
【0053】モルタル状混合物中のアスファルト乳剤の
典型的な配合割合は、細骨材100重量部に対して10
〜50重量部、好ましくは、20〜40重量部の範囲で
ある。アスファルト乳剤の量が10重量部未満、もしく
は、50重量部超では、決して使用できないという訳で
はないが、良好な混合物が得られ難いという不都合があ
る。
【0054】また、モルタル状混合物中の水硬性無機材
料の典型的な配合割合は、細骨材100重量部に対して
0〜10重量部、好ましくは、1〜6重量部の範囲であ
る。水硬性無機材料の量が10重量部を越えると、決し
て使用できないという訳ではないが、良好な混合物が得
られ難くなる。
【0055】以下、実施例を用いて、本発明を具体的に
説明するが、本発明がこれら実施例に限られるものでな
いことは勿論である。
【0056】
【実施例】道路轍部に相当する部分に、深さ8cmの摩
耗による凹部が2本生じている路面に、本発明の舗装構
造を試験的に構築した。路面切削機を用いて、各轍部
を、凹部の最深部を中心に幅80cm、深さ8cmの断
面長方形帯状に切削、除去した。また、切削、除去した
箇所から路側部の集水桝に向かって道路横断方向に、導
水部材敷設用として、既設舗装体表層部を幅10cm、
深さ8cmの断面長方形に削り取った。また、同様に、
帯状に削り取られた2本の轍部間の既設舗装体表層部
も、導水部材敷設用に削り取った。切削屑を取り除いた
後、タックコートをエンジンスプレヤーで散布し、導水
部材を所定の位置に敷設した。導水部材の敷設位置は、
帯状部の道路側端側とした。各々の轍部に敷設された導
水部材を道路横断方向に敷設された導水部材によって接
続し、同じく、道路側端側の轍部に敷設された導水部材
を道路横断方向に敷設された導水部材によって、道路側
端の集水桝に接続した。
【0057】続いて、削り取られた轍部の垂直面とその
周辺部を携帯式のプロパンガスバーナーで十分に加熱
し、直ちに、轍部空所に開粒度型舗装用混合物を舗設し
た。道路横断方向に削り取られた導水部材敷設用の空所
にも、同じ開粒度型舗装用混合物を舗設した。舗設後、
舗設面を転圧し、接合部の温度が冷えるのを待って、接
合部にモルタル状混合物を注入した。注入幅は、轍部に
おいては、接合面よりも既設舗装側に5cm、開粒度型
舗装用混合物側に20cmとし、道路横断方向の埋め戻
し部においては、幅10cmの埋め戻し部を覆うよう
に、15cm幅で注入した。注入幅の限定は路面上の所
定位置にガムテープを貼付することによって行った。小
型のゴムレーキを使用して、モルタル状混合物の上から
しごき込むようにして、下部に浸透、充填させ、最終的
には、モルタル状混合物の層が既設路面から1〜2mm
程度盛り上がるように注入した。下に導水部材が敷設さ
れている接合部、及び、道路横断方向の埋め戻し部につ
いては、モルタル状混合物の注入量を少なくし、敷設さ
れている導水部材がモルタル状混合物によって覆われる
ことがないように注意した。モルタル状混合物は、5〜
7分で固化し、靴で踏んでも靴跡は残らなかった。ガム
テープを剥がし、作業を終了した。
【0058】施工後、1日の養生期間をおいて、施工路
面上に散水車で散水したが、排水性舗装構造からの水の
浸透、排出は速やかに行われ、車両が通行しても水跳ね
することはなかった。また、施工2ヶ月経過後も、排水
性舗装構造部及び接合部に骨材の飛散跡等の損傷は認め
られなかった。降雨日に集水桝を開けると、導水部材か
ら流出水のあることが確認された。
【0059】使用した材料は以下のとおりである。
【0060】〈タックコート〉 カチオゾールGM(ゴム入りアスファルト乳剤、ニチレ
キ(株)製) 散布量:0.8リットル/m
【0061】〈開粒度型舗装用混合物〉 ポーラスロック:100重量部(6号砕石を、6号砕石
100重量部に対して0.7重量部のアスファルト乳剤
によってプレコートしたものと、細骨材と、骨材全量1
00重量部に対し4重量部の早強ポルトランドセメント
とを混合したもの(ニチレキ(株)製)) ポーラスゾール:8重量部 (改質アスファルト乳剤(ニチレキ(株)製)) 性状(改質アスファルト乳剤中の固形分) 軟化点 :120℃以上 蒸発残留分:68% 開粒度型舗装用混合物は、上記のポーラスロック100
重量部とポーラスゾール8重量部とを、200kg容量
のパグミルミキサーで混合することによって製造され
た。
【0062】製造された開粒度型混合物の特性は以下の
とおりであった。 〈マーシャル安定度〉 1.養生日数3日間、試験温度20℃ 安定度 :645(kgf) フロー値:19(1/100cm) 空隙率 :21.5(%) 2.養生日数7日間、試験温度60℃ 安定度 :1220(kgf) フロー値:21(1/100cm) 空隙率 :20.8(%) 〈カンタブロ試験〉 養生日数7日間、試験温度20℃ 損失量 :9.8(%) 〈ホイールトラッキング試験〉 養生日数7日間、試験温度60℃ 動的安定度:10000(回/mm) 〈ラベリング試験〉 養生日数7日間、試験温度−10℃ すりへり量:0.7(cm
【0063】〈モルタル状混合物〉 ロメンパッチ用骨材:3.5kg(細骨材と、細骨材1
00重量部に対して2重量部の早強ポルトランドセメン
トとを混合したもの(ニチレキ(株)製)) パックゾール:1リットル (改質アスファルト乳剤(ニチレキ(株)製) 性状(改質アスファルト乳剤中の固形分) 針入度(25℃):65(1/10mm) 軟化点 :58℃ 蒸発残留分 :50% モルタル状混合物は、上記のロメンパッチ用骨材とパッ
クゾールとを、ロメンパッチ用骨材3.5kgに対して
パックゾール1リットルの割合で混合することによって
製造された。
【0064】製造されたモルタル状混合物の特性は以下
のとおりであった。 〈硬化前の性状〉 可使時間(11℃): 8分 硬化時間(11℃):25分 〈硬化後の性状〉 マーシャル安定度(養生日数3日間、試験温度20℃) 安定度 :385(kgf) フロー値:42(1/100cm)
【0065】
【発明の効果】以上のように、本発明は、道路轍部に相
当する部分に、既設もしくは新設の他の舗装構造と隣接
して開粒度型舗装用混合物による排水性舗装構造を構築
するものであるので、例えば、轍掘れがあったり、将来
轍掘れが発生したりしたとしても、雨水や融雪水等が轍
部に滞留することがなく、車両の通行に伴う水跳ねや、
滞留した水によってハンドルを取られる等の恐れがない
ものである。また、本発明においては、排水性舗装構造
は、表層を構成する単層として構築されるので、施工が
簡単で、かつ、経済的にも優れたものである。しかも、
排水性舗装構造と既設もしくは新設の他の舗装構造との
接合部にモルタル状混合物を流し込み、接合部を充填し
て一体化するので、極めて耐久性に富む舗装構造が得ら
れるものである。更には、轍部が排水性舗装構造となっ
ているために消音効果もある等、本発明は、種々の優れ
た効果を有するものであり、産業上、極めて有用な発明
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の道路舗装構造の構築方法の一工程を
示す図である。
【図2】 本発明の道路舗装構造の構築方法の他の工程
を示す図である。
【図3】 本発明の道路舗装構造の構築方法の更に他の
工程を示す図である。
【図4】 本発明の道路舗装構造の構築方法の更に他の
工程を示す図である。
【図5】 本発明の道路舗装構造の一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 既設舗装体の基層 2 既設舗装体の表層 3 轍部の凹部 4 凸部 5 レベリング面 6 U字溝 7 集水桝 8−1、8−2 空所 9、9’ 導水部材 10 排水性舗装構造 11 モルタル状混合物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸島 孝和 栃木県下都賀郡国分寺町小金井110番2号 ニチレキ小金井寮A−202号室 Fターム(参考) 2D051 AA02 AA03 AA06 AA07 AA08 AC02 AE01 AF01 AF02 AF04 AF07 AG01 AG03 AG06 AG11 AH01 AH02 EA06 EB04 EB06

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開粒度型舗装用混合物を用いて構築され
    た帯状の排水性舗装構造を、既設もしくは新設の他の舗
    装構造と隣接させて、1車線当たり少なくとも2本、道
    路轍部に相当する部分に有する道路舗装構造。
  2. 【請求項2】 排水性舗装構造の幅が1本当たり40〜
    150cmである請求項1記載の道路舗装構造。
  3. 【請求項3】 排水性舗装構造が、表層部を構成する単
    層としてのみ存在する請求項1または2記載の道路舗装
    構造。
  4. 【請求項4】 排水性舗装構造が導水部材を内蔵する請
    求項1、2または3記載の道路舗装構造。
  5. 【請求項5】 排水性舗装構造間及び/又は道路側端側
    の排水性舗装構造と道路側端の排水路との間が、1又は
    複数の導水部材によって連結されている請求項1、2、
    3又は4記載の道路舗装構造。
  6. 【請求項6】 開粒度型舗装用混合物が、空隙率10〜
    30%の範囲にある舗装用混合物である請求項1、2、
    3、4または5記載の道路舗装構造。
  7. 【請求項7】 排水性舗装構造と既設もしくは新設の他
    の舗装構造との接合部ないしはその周辺部が、細骨材及
    びアスファルト乳剤、更に必要に応じて水硬性無機材料
    を含む混合物によって、充填、一体化されている請求項
    1、2、3、4、5または6記載の道路舗装構造。
  8. 【請求項8】 既設もしくは新設の他の舗装構造と隣接
    させて、道路轍部に相当する部分に開粒度型舗装用混合
    物を舗設し、1車線当たり少なくとも2本の帯状の排水
    性舗装構造を道路轍部に沿って構築する道路舗装構造の
    構築方法。
  9. 【請求項9】 既設の舗装構造の轍部に相当する部分を
    削り取り、削り取ったあとの帯状の空所に開粒度型舗装
    用混合物を舗設する請求項8記載の道路舗装構造の構築
    方法。
  10. 【請求項10】 削り取ったあとの空所の垂直面を整形
    せず、そのままの状態で、新たに舗設される開粒度型舗
    装用混合物との接合部として利用する請求項9記載の道
    路舗装構造の構築方法。
  11. 【請求項11】 空所の垂直面とその周辺部を加熱する
    工程を含む請求項9又は10記載の道路舗装構造の構築
    方法。
  12. 【請求項12】 施工路面の表面凸部を削り取りレベリ
    ング面を確保する工程を含む請求項9、10又は11記
    載の道路舗装構造の構築方法。
  13. 【請求項13】 開粒度型舗装用混合物が舗設される帯
    状の空所に導水部材を敷設する工程、及び/又は、開粒
    度型舗装用混合物が舗設される帯状の空所間及び/又は
    開粒度型舗装用混合物が舗設される道路側端側の帯状の
    空所と道路側端の排水路間とを連結する1又は複数の導
    水部材を敷設する工程を含む請求項8、9、10、11
    または12記載の道路舗装構造の構築方法。
  14. 【請求項14】 開粒度型舗装用混合物が、空隙率10
    〜30%の範囲にある舗装用混合物である請求項8、
    9、10、11、12または13記載の道路舗装構造の
    構築方法。
  15. 【請求項15】 排水性舗装構造と既設もしくは新設の
    他の舗装構造との接合部に、細骨材及びアスファルト乳
    剤、更に必要に応じて水硬性無機材料を含む混合物を流
    し込み、接合部とその周辺部を充填、一体化する請求項
    8、9、10、11、12、13または14記載の道路
    舗装構造の構築方法。
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