JP2002138412A - 車道舗装の補修方法 - Google Patents

車道舗装の補修方法

Info

Publication number
JP2002138412A
JP2002138412A JP2000329319A JP2000329319A JP2002138412A JP 2002138412 A JP2002138412 A JP 2002138412A JP 2000329319 A JP2000329319 A JP 2000329319A JP 2000329319 A JP2000329319 A JP 2000329319A JP 2002138412 A JP2002138412 A JP 2002138412A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
aggregate
pavement
asphalt mixture
asphalt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000329319A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoki Aomori
直喜 青盛
Hideki Komatsu
秀樹 小松
Norio Meshida
紀雄 召田
Shokichi Hairi
昭吉 羽入
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nichireki Co Ltd
Original Assignee
Nichireki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nichireki Co Ltd filed Critical Nichireki Co Ltd
Priority to JP2000329319A priority Critical patent/JP2002138412A/ja
Publication of JP2002138412A publication Critical patent/JP2002138412A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Road Paving Structures (AREA)
  • Road Repair (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価かつ簡便に施工できるとともに、大きな
クラックや激しい凹凸が存在する舗装面に対しても適用
可能で、耐久性及び安全性に優れた舗装層を構築するこ
とのできる車道舗装の補修方法と、その補修方法によっ
て得られる舗装層を提供することを課題とする。 【解決手段】 路面上に、アスファルト混合物を舗設す
る工程、アスファルト混合物の舗設面上に骨材を散布す
る工程、及び、散布された骨材上に結合材を散布或いは
塗布して保護層を形成する工程とを含み、アスファルト
混合物層と骨材層と保護層とが一体化した舗装層を構築
することを特徴とする車道舗装の補修方法を提供すると
ともに、そのような車道舗装の補修方法によって構築さ
れる舗装層を提供することによって上記課題を解決す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車道舗装の補修方
法に関し、詳しくは、耐久性並びに機能性に富んだ舗装
層を安価に構築できる車道舗装の補修方法とその補修方
法によって構築される舗装層に関するものである。
【0002】
【従来の技術】道路、特に車道舗装は、交通に供される
につれて、次第に老化、劣化が進み、路面が摩耗して凹
凸を生じたり、舗装表面にクラック等が発生したりする
ことがあり、凹凸やクラックを放置すると、通行車両の
安全を脅かしたり、雨水等がクラックから舗装体内部に
浸透して舗装体そのものの破損、破壊を引き起こす恐れ
がある。
【0003】従来、このような老化、劣化した車道舗装
を補修するに際しては、パッチングなどによる応急修理
や、表面処理、オーバーレイ、更には打換えなどの方法
が、舗装の破損の程度や範囲の大小に応じて、適宜使い
分けて使用されていた。すなわち、パッチングなどによ
る応急修理は、凹凸やクラックが軽度のものであるか、
或いは部分的なものにとどまる場合に有効であるが、車
道舗装の破損がひどく、或いはその範囲が広い場合に
は、応急修理に代わって表面処理やオーバーレイなどが
採用され、それでも間に合わない場合には、最後の方法
として打換えが行われている。
【0004】これら従来の補修方法において、例えばオ
ーバーレイは、補修すべき舗装面上にアスファルト混合
物などを舗設して、在来の舗装厚を増加するものである
が、舗装厚が増加することによって在来の舗装構造を補
強する作用があると同時に、既存舗装表面の不陸整正を
十分に行ったり、クラックをシールすることによって雨
水等が炉床や路盤に浸入するのを防止することができる
ものである。
【0005】しかしながら、このオーバーレイには、通
常、それ自身が新たに舗装体の表層となることに加え
て、上述のようにクラックを有効にシールして雨水等の
浸入を防止するという観点から、舗装体表層の構築に使
用する密粒度アスファルト混合物が使用されている。こ
のため、オーバーレイ層上の降雨水等はオーバーレイ層
内部に浸透することはなく、オーバーレイ層表面をその
勾配に沿って流れ、降雨時等において、水はね現象やス
モーキング現象を引き起こすという欠点があった。ま
た、オーバーレイ層の表面は、極めて緻密で滑らかであ
るため、特に降雨時等において滑りやすいという欠点も
あった。
【0006】このような欠点を解決するために、オーバ
ーレイに開粒度型のアスファルト混合物を使用すること
も考えられないことではないが、開粒度型アスファルト
混合物は、空隙率が大きいため、耐久性に劣るばかりで
なく、降雨水等を内部に浸透させてしまうため、既設舗
装体がクラックの多い場所では、開粒度型のアスファル
ト混合物を浸透した雨水等がこれらクラック内部に浸透
して、路床土にまで達する危険がある。更に、開粒度型
アスファルト混合物を用いた排水性舗装を構築するに
は、開粒度型アスファルト混合物自体が一般的に高価で
あることに加えて、排水ドレーンの設置や、開粒度型ア
スファルト混合物の下層を不透水層にすることなどが必
要で、工事費用が嵩むという問題がある。
【0007】一方、表面処理は、オーバーレイとは違っ
て、一般的に2.5cm以下の薄い層を構築するもので
あって、既存の舗装体の強度を増すものではなく、クラ
ックをシールして雨水等の浸透を防止するとともに、舗
装表面を若返らせ、さらに加えて、滑り止めや騒音軽減
の効果も兼ねるものである。表面処理には、アスファル
ト乳剤を散布するだけのフォグシールや、細骨材、フィ
ラー、アスファルト乳剤を混合したスラリーを敷き均す
スラリーシール、加熱アスファルト混合物を敷き均す加
熱混合式表面処理などがあるが、中でも、舗装表面に瀝
青材料を散布し、その上を骨材で覆う散布式表面処理
は、クラックなどを有効にシールすることができ表面処
理としての効果が大きいとともに、滑り止め効果がある
などの利点を備えたものである。
【0008】しかしながら、この散布式表面処理は、舗
装面上に瀝青材料と骨材とで構成される表面処理層を薄
く構築するだけのものであるので、補修すべき舗装面上
に、大きなクラックや激しい凹凸が存在する場合には、
それらを有効にシールしたり均したりすることができ
ず、補修後に、既存のクラックがリフレクションクラッ
クとして浮上したり、また、舗装体の強度を増すもので
はないので、支持力不足などで補修すべき舗装体自体の
強度が不足している場合などに、舗装体の強度を増すこ
とができないという欠点があった。更には、表面処理
は、一般に層厚が薄いので、パッチングなどの応急処理
を行った上に施工すると、パッチングの形跡が表面処理
層の表面に現れて、微少な凹凸を形成するという問題も
ある。
【0009】このように、従来、舗装を補修するに際し
ては、破損の程度や状況などに応じて、各種の補修方法
が適宜選択採用されてきたが、それぞれに一長一短があ
り、車道舗装の補修方法としては満足できるものではな
かった。
【0010】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来の補修方法が持つ種々の欠点を解消し、安価かつ
簡便に施工できるとともに、大きなクラックや激しい凹
凸が存在する舗装面に対しても適用可能で、耐久性及び
安全性に優れた舗装層を構築することのできる車道舗装
の補修方法と、その補修方法によって得られる舗装層を
提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、車道舗装
の補修方法について研究を重ねた結果、不陸整正も含め
たアスファルト混合物の舗設と、骨材の散布、そして保
護層の形成とを組み合わせることによって、意外にも、
耐久性に優れ機能性に富んだ舗装層を、安価かつ簡便に
施工することができる、汎用性のある補修方法が得られ
ることを見出して、本発明を完成した。
【0012】即ち、本発明は、路面上に、アスファルト
混合物を舗設する工程、アスファルト混合物の舗設面上
に骨材を散布する工程、及び、散布された骨材上に結合
材を散布或いは塗布して保護層を形成する工程とを含
み、アスファルト混合物層と骨材層と保護層とが一体化
した舗装層を構築することを特徴とする車道舗装の補修
方法を提供するとともに、そのような車道舗装の補修方
法によって構築される舗装層を提供することによって上
記課題を解決するものである。
【0013】すなわち、本発明の車道舗装の補修方法
は、アスファルト混合物の舗設と、骨材の散布、並び
に、結合材による保護層の形成とを一連の工程として行
い、アスファルト混合物層と骨材層と保護層とが一体化
した舗装層を構築することを特徴とするものである。本
発明の車道舗装の補修方法においては、既存の車道舗装
の補修すべき面上に存在するクラックや凹凸などは、ま
ず、アスファルト混合物によってシールされ、かつ不陸
整正されるので、比較的大きなクラックや凹凸などが存
在する場合であっても、それらを有効にシールしたり、
均したりすることが可能である。一方、舗設されたアス
ファルト混合物層上には、骨材が散布され、さらに、保
護層が形成され、アスファルト混合物層上には、アスフ
ァルト混合物層と一体化した骨材層並びに保護層が形成
されるので、構築された舗装層は、アスファルト混合物
層と一体化した骨材層によって滑り防止機能を備えると
ともに、例えば、降雨水などが存在する場合でも、降雨
水等は、路面の勾配に従って、アスファルト混合物層と
一体化した骨材層の骨材間を流れるので、車両が通行し
ても水はね現象やスモーキング現象を引き起こすことが
ない。
【0014】本発明の車道舗装の補修方法においては、
散布する骨材の粒径には特に制限はないけれども、適度
の滑り止め作用を発揮し、かつ、骨材間に降雨水等を有
効に流すには、骨材の粒径があまりに小さいのは不都合
であり、好ましくは、粒径が2.5mm以上の骨材を使
用するのが良く、骨材は単粒度のものが好ましい。
【0015】また、本発明の車道舗装の補修方法におい
ては、骨材を散布する工程が、舗設されたアスファルト
混合物が未だ完全には硬化しないうちに行われ、次い
で、舗設されたアスファルト混合物が未だ完全には硬化
しないうちに骨材の散布面を転圧し、骨材を部分的にア
スファルト混合物層中に埋め込む工程を含むことが望ま
しく、このようにすることによって、アスファルト混合
物層と骨材層との一体化がより強固なものとなり、より
耐久性に優れた舗装層を構築することが可能となる。
【0016】一方、本発明において保護層を形成する結
合材としては、骨材表面を被覆し、骨材とアスファルト
混合物とを一体化することができるものであれば、どの
ようなものを用いても良いが、骨材やアスファルト混合
物との馴染みの良さからは瀝青材料が好ましく、中で
も、アスファルト乳剤を使用するのが望ましい。アスフ
ァルト乳剤は、常温で施工できる材料であるので、加熱
の必要がなく、危険性が少ないと共に加熱に伴う炭酸ガ
スの発生もないので、地球環境保全の観点からも好まし
いものである。なお、本明細書でいうアスファルト乳剤
とは、特に断らない限り、ゴムや熱可塑性高分子重合物
などを添加して改質した改質アスファルト乳剤も含むも
のとする。
【0017】保護層を形成する結合材として散布するア
スファルト乳剤としては、アスファルト乳剤中の蒸発残
留物が40〜70重量%であり、その蒸発残留物の針入
度(25℃)が5〜60(1/10mm)、軟化点が4
0〜80℃であるものを使用するのが、構築される舗装
層の耐久性並びに施工性の点から望ましい。
【0018】本発明は以上のようにして、補修すべき面
上に、アスファルト混合物層と骨材層と保護層とが一体
化した車道舗装における舗装層を一連の工程として構築
するものである。構築される舗装層は、アスファルト混
合物層と骨材層とが保護層によって一体化されているの
で、アスファルト混合物層によって補修すべき面上に存
在するクラックや凹凸を有効にシールし、かつ、不陸整
正することができるとともに、骨材層によって、降雨水
等を骨材間を利用して有効に排水し、水はね現象やスモ
ーキング現象を防止するとともに、車両タイヤに対して
は滑り抵抗を与え、滑り止め効果も兼ね備えたものであ
る。また、上述のように、骨材の散布と骨材の散布面の
転圧とをアスファルト混合物層が未だ完全には硬化しな
いうちに行う場合には、骨材が部分的にアスファルト混
合物層中に埋め込まれ、骨材層とアスファルト混合物層
との一体化はより強固なものとなる。
【0019】なお、本発明において車道舗装の補修すべ
き面上とは、既存の車道舗装の舗装面そのものであって
も良いし、大きなクラックやポットホールなどを一部充
填するなどして前処理を施したものであっても良いし、
更には、既存舗装をその表面から部分的に切削、除去す
ることによって露出した面であっても良く、それらのい
ずれの場合も、本発明は包含するものである。また、本
発明において車道舗装とは、主として車両の通行が予想
される全ての舗装を意味し、例えば、一般道路や、自動
車専用道路は勿論のこと、駐車場や自転車道、飛行場、
港湾施設、構内道路などにおける舗装を含み、本発明の
車道舗装の補修方法は、滑り止め機能及び/又は良好な
路面排水性などが要求される全ての場所の舗装を対象と
するものである。また、本発明の車道舗装の補修方法
は、補修だけでなく、舗装体を新設する場合にも、その
表層の構築に適用することも可能であり、路面という場
合には、車道舗装の補修すべき面上と、車道舗装の構築
されるべき面上の双方を含むものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0021】まず、使用材料について説明する。 〈アスファルト混合物〉本発明で使用するアスファルト
混合物は、加熱タイプのものでも常温タイプのものでも
良く、また粒度も、粗粒度、密粒度、細粒度、いずれの
ものであっても良いが、汎用されており、安価で、安定
して入手できるという観点からは、加熱型密粒度アスフ
ァルト混合物を使用するのが好ましい。
【0022】〈骨材〉本発明でアスファルト混合物上に
散布される骨材とは、社団法人日本道路協会発行の「ア
スファルト舗装要綱」に記載されている舗装用の骨材で
あればどのようなものでも使用でき、例えば、砕石、玉
石、砂利、鉄鋼スラグ等である。しかしながら、舗装層
に高い滑り抵抗性を付与するには、硬質骨材の使用が望
まれ、硬質骨材としては、例えば、エメリー、フェロク
ロム・スラグや電融アルミナなどの人工黒色硬質骨材、
炭化珪素質硬質骨材、セラミックス、シリカサンド、硬
質砂岩などが挙げられ、これらはその1種または2種以
上を併用しても良い。また、これらの骨材にアスファル
トを被覆したアスファルト被覆骨材および再生骨材など
も使用できる。その他、これに類似する粒状材料で、人
工焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、
ルクソバイト、アルミニウム粒、プラスチック粒等も使
用することができる。
【0023】本発明で使用する骨材にアスファルト等を
被覆する場合には、被覆するに必要なアスファルトの量
は、0.1〜1.5重量%程度の範囲である。ポーラス
な骨材の場合には、上記範囲の中でも多い方の量とな
り、非ポーラスな骨材においては、上記範囲の中でも少
ない方の量となる。被覆に使用するアスファルト等とし
ては、アスファルト、アスファルト乳剤、及び、これら
をゴムやポリマーなどで改質した改質アスファルト、改
質アスファルト乳剤なども使用される。また、ケロシン
等で噴霧被覆された骨材を使用しても良い。骨材にアス
ファルトを被覆したアスファルト被覆骨材を使用する場
合には、骨材とアスファルト混合物層ならびに結合材と
の馴染みが良くなり、より強固な一体化を実現できると
いう利点がある。
【0024】なお、本発明で使用する骨材としては、種
々の色を持った有色の骨材を使用することも可能であ
り、例えば、天然有色骨材や、人工焼成骨材、焼成発泡
骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、ルクソバイト、アルミ
ニウム粒、プラスチック粒、セラミックス、エメリー等
の中でも有色のものを使用すれば、有色の舗装層を容易
に実現することが可能である。さらに、異なる石質、種
類、色調の1種又は2種以上の骨材を混合して併用して
も良い。なお、これらの有色骨材は、通常はプレコート
なしに使用されるが、プレコートして使用する場合に
は、それら骨材が本来有している有色性を損なわない材
料を使用することは勿論である。また、骨材として、反
射性や光輝性、蛍光性、或いは蓄光性などの性質を有す
る骨材を使用すれば、反射性や光輝性、蛍光性、或いは
蓄光性などの性質を有する舗装層を容易に構築すること
が可能である。通常の骨材に有色アスファルトや蛍光塗
料ないしは蓄光塗料による被覆を施して、有色骨材また
は蛍光骨材ないしは蓄光骨材として使用するようにして
も良い。
【0025】なお、以上のような骨材は、一般に車道用
に使用することができるものであれば、粒径の上限値及
び下限値に特に制限はないが、できれば最小粒径が2.
5mm以上、好ましくは3mm以上、更に好ましくは5
mm以上、最大粒径が20mm以下のものが好ましい。
最小粒径が2.5mm未満では、骨材の粒径が小さ過
ぎ、降雨水等の排水が有効に行えない恐れがあるととも
に、舗装層に十分な滑り止め機能を与えることができな
い恐れがある。一方、最大粒径が20mmを越えると、
車両の走行によって発生する交通騒音の増大や、施工後
の路面が粗面になるばかりでなく、車両が表面処理層の
上を走行することによって、骨材の飛散が生じる場合が
あり、好ましくない。また、本発明で散布する骨材は、
上記のような粒度の条件を満たしさえすれば、連続粒
度、単粒度、いずれのものも使用可能であるが、舗装層
に均一な滑り止め機能を与え、かつ、降雨水等の排水を
効果的に行う上からは、単粒度のものが望ましい。
【0026】〈結合材〉保護層の形成に使用する結合材
としては、骨材をアスファルト混合物層上に結合し、ア
スファルト混合物層と骨材層とを一体化し、保護層とし
て機能するとことができるものであれば、どのようなも
のを使用しても良く、例えば、アスファルト乳剤、舗装
タール、カットバックアスファルト等の瀝青材料や、石
油系配合油と粘着付与剤を所定の割合で配合して得られ
る人工アスファルトや、この人工アスファルトを改質し
たり乳化したりして得られる人工アスファルト乳剤、改
質人工アスファルト、改質人工アスファルト乳剤や、エ
ポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、変性エポキシ樹脂、変
性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタアクリレ
ート樹脂、ポリウレタン変性アクリレート樹脂、ポリア
クリレート樹脂等の樹脂系材料や、これらの樹脂系材料
を乳化重合して得られるラテックスなどを使用すること
ができる。以上のような結合材は、いずれも本発明にお
いて保護層の形成に使用することができるが、アスファ
ルト混合物層との馴染みの良さの点では、瀝青材料を使
用するのが良く、中でも、アスファルト乳剤を使用する
のが、散布が容易で、加熱の必要がなく、危険性も、炭
酸ガスの発生もないので、最も好ましい。
【0027】〈アスファルト乳剤〉本発明で使用するア
スファルト乳剤とは、レーキアスファルト等の天然アス
ファルト、ストレートアスファルト、ブローンアスファ
ルト、セミブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファル
ト(例えば、プロパン脱瀝アスファルト)等の石油アス
ファルト、重油、タール、ピッチ等の1種、または2種
以上を混合した瀝青物を、各種界面活性剤やクレー(例
えばベントナイト)などの乳化剤を用い、さらには、ア
ルカリ、酸、塩、分散剤、保護コロイドなどを必要に応
じて添加して、コロイドミル、ホモジナイザー、ホモミ
キサーなどの適当な乳化機によって、水中に乳化させた
ものである。
【0028】乳化剤としては、カチオン系、アニオン
系、ノニオン系のいずれをも用いることができ、本発明
で使用できるカチオン系の乳化剤としては、長鎖アルキ
ル基を有する脂肪族あるいは脂環族のモノアミン、ジア
ミン、トリアミン、アミドアミン、ポリアミノエチルイ
ミダゾリン、長鎖ヒドロキシアルキルジアミン、ロジン
アミン、これらアミン類の酸化エチレン付加物、アミン
オキサイド、または、これらのアミン系界面活性剤に塩
酸、スルファミン酸、酢酸などの酸を作用させた水溶性
ないし水分散性の塩、さらには、これらのアミン系界面
活性剤の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。また、
これらの界面活性剤と共に、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテ
ル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコーポ
リマーなどのノニオン系界面活性剤を併用することもで
きる。
【0029】本発明で使用できるアニオン系の乳化剤と
しては、高級アルコール硫酸エステル、アルキルアリル
スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、αオレ
フィンスルホン酸塩、高級アルコールエトオキシレー
ト、高級アルコールエトオキシレートサルフェート、石
鹸、ナフタリンスルホン酸塩およびホルマリン変性物、
アルカリリグニン塩、リグニンスルホン酸塩、カゼイン
のアルカリ塩、ポリアクリル酸塩等が挙げられる。
【0030】本発明で使用できるノニオン系の乳化剤と
しては、アルキルフェノール、モノおよび多価アルコー
ル酸、脂肪族類、脂肪族アミン類、脂肪族アミド類、エ
タノールアミン類等のアルキレンオキシドの付加物、な
どが挙げられる。
【0031】また、アスファルト乳剤に用いられる分散
剤や保護コロイドとしては、ナフタリンスルホン酸ソー
ダ、カゼイン、アルギン酸、ゼラチン、カルボキシメチ
ルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソー
ダ、リグニンスルホン酸塩、ニトロフミン酸塩等が挙げ
られる。
【0032】本発明に使用するアスファルト乳剤は、ゴ
ム及び熱可塑性高分子重合物から選ばれる1種もしくは
2種以上を加えて改質した改質アスファルト乳剤として
使用するのが望ましい。なお、改質アスファルト乳剤
は、アスファルト乳剤にゴム及び熱可塑性高分子重合物
から選ばれる1種もしくは2種以上を加えて改質するこ
とによって調製しても良いし、アスファルトにゴム及び
熱可塑性高分子重合物から選ばれる1種もしくは2種以
上を加えて改質した後に、これを乳化して改質アスファ
ルト乳剤とすることによって調製しても良い。
【0033】改質に使用するゴム及び熱可塑性高分子重
合物としては、天然ゴム、ガタバーチャ、環化ゴム、ス
チレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレンゴム、
イソプレンゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴ
ム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチル
ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチ
レン、エチレンプロピレンゴム、EPTゴム、アルフィ
ンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム、ス
チレン・ブタジエン・スチレン共重合ゴム、スチレン・
イソプレンブロック共重合ゴムなどのゴム、及び、エチ
レン・酢酸ビニール共重合物、エチレン・エチルアクリ
レート共重合物、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポ
リ酢酸ビニール、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合
物、酢酸ビニール・アクリレート共重合物等の熱可塑性
高分子重合物が挙げられる。これらのゴムまたは熱可塑
性高分子重合物は、1種または2種以上を併用して用い
ることができる。これらのゴム及び熱可塑性高分子重合
物は、例えば、粉末状、ラテックス状、エマルジョン
状、水性状のものであり、ラテックス状、エマルジョン
状、水性状のものは、主として、ポストミックスタイプ
の方法による改質アスファルト乳剤に専ら使用される
が、プレミックスタイプの方法による改質アスファルト
乳剤に使用しても良い。
【0034】本発明で使用するアスファルト乳剤は、上
記のように改質アスファルト乳剤を含むものであるが、
これらのアスファルト乳剤には、更に、粘着付与剤とし
て、熱可塑性固形樹脂や固形状ゴム、液状樹脂、軟化
剤、可塑剤などを添加することができる。添加される粘
着付与剤としては、例えば、ロヂンとその誘導体、テル
ペン樹脂、石油樹脂とその誘導体、アルキッド樹脂、ア
ルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマ
ロンインデン樹脂、合成テルペン樹脂、アルキレン樹
脂、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリブデン、
イソブチレンとブタジエンの共重合物、鉱油、プロセス
オイル、パイン油、アントラセン油、松根油、動植物
油、重合油、可塑剤等が挙げられる。また、老化防止剤
や酸化防止剤、硫黄等も添加することができる。さらに
また、改質アスファルト乳剤の粘度調整の目的で、M
C、CMC、HEC、PVA、ゼラチンなどの水溶性高
分子保護コロイドを添加することも可能である。
【0035】改質アスファルト乳剤中のアスファルト
と、ゴム及び熱可塑性高分子重合物との配合割合は、ア
スファルト100重量部に対してゴム及び熱可塑性高分
子重合物が、2〜20重量部、好ましくは、3〜7重量
部の範囲である。ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が
2重量部未満では、改質アスファルト乳剤が分解、硬化
した後における骨材に対する接着力や把握力にゴム及び
熱可塑性高分子重合物を加えた効果が余り見られないの
に対して、ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が20重
量部を越えると、凝集力が強過ぎて、返って骨材からの
剥離が生じ、骨材の飛散を起こし易い。
【0036】本発明で保護層の形成に使用するアスファ
ルト乳剤及び改質アスファルト乳剤の蒸発残留物(固形
物)は、通常、40〜70重量%程度が好ましく、特
に、50〜68重量%のものが更に好ましい。蒸発残留
物分が40重量%未満では、決して使用できないという
訳ではないが、必要な程度の粘弾性を得ることが難し
く、一方、蒸発残留分が70重量%を越えると、これも
決して使用できないという訳ではないが、良好な施工性
を確保しづらい傾向がある。
【0037】また、蒸発残留物は、以下の以下のa)〜
b)に示す特性、即ち、 a)針入度(25℃)が5〜60(1/10mm)、 b)軟化点が40〜80℃、 を有するものが望ましく、更に望ましくは、 a’)針入度(25℃)が10〜40(1/10m
m)、 b’)軟化点が50〜70℃、 を有するものが望ましい。アスファルト乳剤中の蒸発残
留物の針入度が5(1/10mm)未満では、アスファ
ルト乳剤の分解後のアスファルトが硬くなりすぎてしま
うので好ましくなく、逆に、針入度が60(1/10m
m)超では、アスファルト乳剤が分解した後、その上を
車輌等が通行すると、車輌のタイヤにアスファルトが付
着し、それに伴い骨材も剥がれて車輌タイヤに付着した
りする恐れがあり、施工面を汚してしまうだけでなく、
構築された舗装層が破損する危険性がある。他方、アス
ファルト乳剤中の蒸発残留物の軟化点が40℃未満で
は、アスファルト乳剤の分解後のアスファルトが、夏季
等の高温下の路面においてフラッシュ現象を起こし易
く、べたつき易いので好ましくなく、逆に、軟化点が8
0℃超では、アスファルト乳剤の分解後のアスファルト
に柔軟性が不足し、好ましくない。なお、ここで、針入
度及び軟化点はJISK2207に規定されるものであ
る。
【0038】上記のようなアスファルト乳剤または改質
アスファルト乳剤には、耐熱性向上や、紫外線等による
劣化防止、作業性向上、並びに接着性向上等の目的で、
紫外線吸収剤や、各種添加剤、粘度調整剤、造膜助剤な
どを添加しても良い。
【0039】さらには、上記のようなアスファルト乳剤
または改質アスファルト乳剤には、有機系及び/又は無
機系の顔料を適宜加えて着色することも可能である。例
えば、使用する骨材と同系統に着色したアスファルト乳
剤または改質アスファルト乳剤を使用することによっ
て、骨材の明色性を一層高めることも可能である。使用
する無機系顔料としては、例えば、以下に示す顔料、即
ち、 白色:二酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白 黒色:鉄黒、黒鉛、カーボンブラック 赤色:カドミウムレッド 橙色:モリブデンオレンジ 黄色:水酸化第二鉄、酸化黄、黄鉛 緑色:酸化クロム、クロムグリーン 青色:群青、紺青、コバルトブルー 紫色:マンガンバイオレット などが挙げられる。
【0040】また、有機系の顔料としては、 赤色:ウオッチングレッド、キナクリドンレッド 橙色:パーマネントオレンジ 黄色:ファストイエロー 緑色:フタロシアニングリーン 青色:フタロシアニンブルー 紫色:ジオキサジンバイオレット などが挙げられる。
【0041】これらの顔料は、1種又は2種以上を組み
合わせて併用しても良い。また、これら顔料の使用量
は、アスファルト乳剤または改質アスファルト乳剤10
0重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは、3〜
8重量部である。
【0042】次に、本発明の車道舗装の補修方法の施工
方法について図を用いて説明する。
【0043】図1は、補修後の舗装体の断面を模式的に
示したものであるが、符号1は既設の舗装体を示し、既
設の舗装体1には、図に示すような凹凸や、クラック
2、2’が存在している。このような既設舗装体1を補
修するには、まず、補修すべき既設舗装体1の表面をロ
ードスイーパーで清掃した後、比較的幅の大きなクラッ
ク2’に対しては、高圧エアー等を吹き付けてクラック
内部の砂塵などを除去し、目地材やシール材などの充填
材3をクラック内部に充填する。次いで、必要に応じ
て、タックコートとして図示しないアスファルト乳剤を
0.4〜0.6(リットル/m)の割合で散布する。
【0044】タックコートの散布後、アスファルトフィ
ニッシャーなどを用いてアスファルト混合物4を敷き均
す。敷き均されたアスファルト混合物4は、次いで図示
しないタイヤローラーやスチールローラーなどの転圧機
を用いて転圧され、残存するクラック2、2・・・など
を埋めるとともに、補修面の凹凸を均し、アスファルト
混合物層として舗設される。転圧後の舗設厚は、平均し
て約1〜10cm程度、好ましくは約1〜5cm程度、
更に好ましくは、約3〜5cm程度が良い。ここで「平
均して」というのは、舗設面に凹凸が存在する場合に
は、アスファルト混合物の舗設厚が場所によって異なる
ことがあるからで、そのような場合に、例えば、舗設厚
が薄い場所と厚い場所との舗設厚を平均してという意味
である。なお、上記の例では、アスファルト混合物4
は、既設舗装体1の表面に舗設されたが、既設舗装体1
の表面の一部を切削、除去し、それによって露出された
面上に、舗設するようにしても良いし、或いは、舗装の
新設時に適用する場合には、上層路盤などの路盤や、基
層などの面上にアスファルト混合物4を舗設するように
しても良い。
【0045】アスファルト混合物4の舗設が終了する
と、次いで、骨材5の散布を行う。骨材5の散布量は、
100m当り0.4〜2.0mの範囲が好ましい。
100m当りの骨材の散布量が0.4m未満である
と、滑り止め面としての凹凸が不均一になり易いととも
に、フラッシュ現象を誘発し易い傾向がある。逆に、1
00m当りの骨材量が2.0mを越えると、余剰の
骨材が浮石となって車輌の通行を妨げるばかりでなく、
歩行者にとっても歩行しづらい路面となる。また、骨材
の散布量は、粒径の大きい骨材ほど多目に散布するのが
望ましい。なお、骨材は、通常、常温で散布されるが、
100〜170℃に加熱した状態で散布するようにして
も良い。骨材の散布は人力で行っても良いが、チッピン
グマシンを使用すると能率良く散布することができる。
【0046】骨材5の散布が終了すると、骨材5の散布
面をスチールローラーやタイヤローラーなどを用いて転
圧し、転圧後、転圧面上に結合材6を散布或いは塗布す
るなどして保護層を形成する。結合材6の散布はディス
トリビューターや一本撒きのエンジンスプレーヤーなど
を用いて行うのが良く、塗布は例えばローラー刷毛など
を用いて行うのが良い。結合材6の使用量は、結合材6
が骨材5の表面を覆い、骨材5をアスファルト混合物4
に結合する限り特に制限はないが、結合材6としてアス
ファルト乳剤を使用する場合を例にとると、通常、10
0m当り40〜160リットルの範囲が好ましい。1
00m当りのアスファルト乳剤量が40リットル未満
では、アスファルト混合物4の層と骨材5、及び、骨材
5と骨材5間の結合力、接着力が不足する可能性があ
り、逆に、160リットルを越えると、フラッシュ現象
の原因となる。また、この保護層を形成する結合材の使
用量は、骨材の粒径に応じて変化し、一般には、粒径の
大きな骨材を使用する場合ほど使用量は多くなる。
【0047】かくして、アスファルト混合物4の層と、
骨材5の層とは、保護層6によって、図1に示すように
一体化され、舗装層7が構築される。保護層形成用の結
合材の散布後、20〜50分程度の養生時間を置いたの
ち、交通に開放する。
【0048】このようにして構築された舗装層7は、結
合材6からなる保護層によってアスファルト混合物4の
層と一体化された骨材5の層が、図示しない車両タイヤ
に滑り抵抗を与え、滑り止め機能を備えるとともに、骨
材5相互の間に存在する間隙によって雨水等を路面の勾
配に従って有効に排水することができるので、降雨時に
おいても、水はね現象やスモーキング現象の発生を防止
する効果がある。しかも、骨材5の層の上には結合材6
からなる保護層が存在するので、骨材5は、アスファル
ト混合物4の層上に強固に結合し、飛散することがな
い。また、舗装層7は、或る程度の厚さをもったアスフ
ァルト混合物4の層を有しているので、既設舗装体1の
強度補強に効果があり、既設舗装体1に存在したクラッ
クがリフレクションクラックとなって舗装層7上に浮上
してくることもない。また、雨水等がアスファルト混合
物4の層を浸透してくることもなく、既設舗装体1は、
舗装層7によって、有効に補修されたこととなる。
【0049】また、本発明の車道舗装の補修方法の好ま
しい一例においては、アスファルト混合物4の舗設後、
アスファルト混合物4が未だ完全には硬化しないうち
に、骨材5を散布し、続いて、骨材5の散布面をスチー
ルローラーやタイヤローラーなどを用いて転圧して、例
えば図2に示すように、骨材5を破線位置から実線位置
までアスファルト混合物4内に押し込んで、骨材5を部
分的にアスファルト混合物4内に埋め込む工程を含んで
いる。これにより、骨材5から形成される骨材層はアス
ファルト混合物4から形成されるアスファルト混合物層
とより強固に一体化され、より耐久性に富む舗装層を構
築することが可能となる。
【0050】骨材5を埋め込む深さとしては、骨材5の
粒径をLとした場合に、埋め込む深さLが、L
(1/3〜2/3)L程度が好ましい。埋め込む深さ
が余りに浅いと、埋め込むことによる効果が少な
く、また、逆に埋め込む深さL が余りに深いと、滑り
止め効果や排水効果が薄れる傾向があり、好ましくな
い。
【0051】骨材5の散布と、その散布面の転圧を行う
時期としては、アスファルト混合物4が未だ完全に硬化
しないうちならばいつでも良いが、好ましくは、アスフ
ァルト混合物が加熱タイプのものである場合には、完全
に冷え切らないうちに、例えば120〜170℃程度の
温度を保持しているうちに行うのが好ましい。なお、ア
スファルト混合物4が既に硬化してしまっている場合に
は、ヒータープレナー等の加熱装置を用いてアスファル
ト混合物4の表面を加熱して、軟化させた後に、骨材5
の散布と転圧とを行うようにしても良い。したがって、
アスファルト混合物4としては、補修のためにオーバー
レー層として舗設されたものに限らず、新設時の表層と
して舗設されたものであっても、既設舗装の表層として
既に存在しているものであっても良い。
【0052】骨材5の散布面を転圧した後、必要に応じ
て骨材5の散布面を大気温にまで放冷した後、図1を用
いて説明したのと同様に結合材6を散布或いは塗布し
て、図3に示すように、アスファルト混合物層と骨材層
と保護層とが一体化した舗装層7を構築する。構築され
た舗装層7は、骨材5が部分的にアスファルト混合物4
内に埋め込まれているので、骨材5とアスファルト混合
物4との結合力が増強されており、より耐久性に優れた
舗装層である。
【0053】以下、実験例及び実施例を用いて本発明を
更に詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限られ
るものでないことは勿論である。
【0054】〈実験〉保護層の有無と種類が構築された
舗装層の耐久性に及ぼす影響 縦30cm、横30cm、厚さ5cmの型枠内に、加熱
型の密粒度アスファルト混合物を厚さ5cmになるよう
に舗設した。舗設した密粒度アスファルト混合物がまだ
熱い間に、骨材(栃木県葛生産砕石、粒径8−5mm)
0.6リットルをアスファルト混合物表面上に散布し、
続いて、実験用ローラーで線圧7kgf/cmの負荷を
かけて、相反する方向に15回ずつ、合計30回転圧し
た。転圧後、骨材表面が大気温になるまで放冷し、以下
に示す特性を有するアスファルト乳剤Aを結合材とし
て、0.1リットル散布して、アスファルト混合物層、
骨材層、保護層からなる舗装層Aを試験的に構築した。
アスファルト乳剤Aを、以下に示す特性を有するアスフ
ァルト乳剤B、Cに変えた以外は同様にして、舗装層
B、舗装層Cを構築した。また、比較のために、保護層
を設けない点以外は、舗装層Aと同様にして舗装層Dを
構築した。使用したアスファルト乳剤の特性は以下のと
おり。
【0055】アスファルト乳剤A(保護層用実験室調製
アスファルト乳剤) 蒸発残留物:60重量% 蒸発残留物の針入度(25℃):15(1/10mm) 蒸発残留物の軟化点:64(℃) アスファルト乳剤B(「サンピーゾールA」、散布式表
面処理用アスファルト乳剤、ニチレキ株式会社製) 蒸発残留物:68重量% 蒸発残留物の針入度(25℃):103(1/10m
m) 蒸発残留物の軟化点:65(℃) アスファルト乳剤C(比較用実験室調製アスファルト乳
剤) 蒸発残留物:67重量% 蒸発残留物の針入度(25℃):80(1/10mm) 蒸発残留物の軟化点:90(℃)
【0056】舗装層A〜Dの構築後、3時間の養生時間
をおいて、骨材の転圧に用いたのと同じ実験用ローラー
で各舗装層A〜D表面に負荷を掛けたところ、舗装層A
においては、実験用ローラーに対するべたつき感はな
く、骨材の剥離も、保護層の破損も認められなかったの
に対し、舗装層Bにおいては、実験用ローラーに対する
べたつき感があり、骨材の一部が保護層とともに実験用
ローラー表面に付着するのが観察された。これは、舗装
層Bを構成するアスファルト乳剤Bの針入度が103
(1/10mm)と高いためと考えられる。また、舗装
層Cにおいては、実験用ローラーに対するべたつき感は
舗装層Bほどではなかったが、実験用ローラーによる負
荷によって、一部保護層が破損し、骨材が剥離するのが
観察された。これは、舗装層Cを構成するアスファルト
乳剤Cの針入度が80(1/10mm)と高い上に、軟
化点も90(℃)と高いため、骨材とアスファルト混合
物とを一体化する結合力に劣るためと考えられる。一
方、保護層をもうけない舗装層Dにおいては、実験用ロ
ーラーによる負荷によって、骨材が容易に剥離するのが
観察された。
【0057】〈実施例1〉工場内の構内道路の一部を使
用して、本発明の車道舗装の補修方法を施工した。施工
対象の既設の舗装面には、大小のクラック(平均ひび割
れ率:24.5%)が見られ、凹凸も認められた。ま
ず、幅1.5m、長さ5mに亘って、路面上をロードス
イーパーで清掃し、その後、タックコートとして、アス
ファルト乳剤(商品名「CPE−4」、ニチレキ株式会
社製)をエンジンスプレーヤーを用いて、0.5(リッ
トル/m)の割合で散布した。散布後、アスファルト
フィニッシャーを搬入し、加熱型密粒度アスファルト混
合物(アスファルト分:5.5重量%)を平均約4cm
厚で敷き均し、次いで、タイヤローラーとタンデムロー
ラーで転圧した。転圧した面が未だ熱い(120〜15
0℃)うちに、実験で使用したのと同じ骨材(栃木県葛
生産砕石、粒径8−5mm)を改質アスファルト(商品
名「タフファルトスーパー」、ニチレキ株式会社製)
0.6重量%でプレコートしたものを6(リットル/m
)の割合で散布した。散布後、直ちにタンデムローラ
ーで転圧し、骨材粒子をその粒径の約1/2程度、アス
ファルト混合物中に埋め込んだ。その後、大気温になる
まで放冷し、実験で使用したのと同じアスファルト乳剤
Aを、1(リットル/m)の割合で、エンジンスプレ
ーヤーによって散布して保護層を形成し、アスファルト
混合物層と骨材層と保護層とが一体化した本発明の車道
舗装における舗装層を構築した。半日の養生後、重荷重
積載車を試験的に30回通過させたが、骨材の飛散も、
重荷重積載車タイヤへの骨材や保護層の付着も認められ
なかった。スパチュラの先で骨材を掘り起こしてみる
と、アスファルト混合物中に骨材が粒径の1/2程度埋
まり込んでいるのが観察された。骨材の飛散が認められ
なかったのは、このためと考えられる。
【0058】〈比較例1〉実施例1で本発明の車道舗装
の補修方法を施工した場所と近接し、同程度にクラック
や凹凸が存在する既設舗装面に対して、保護層を形成す
るアスファルト乳剤の散布を行わなかったこと以外は実
施例1と同様にして、アスファルト混合物層上に骨材層
を形成した。半日の養生後、重荷重積載車を試験的に3
0回通過させたところ、骨材の飛散が若干認められた。
【0059】〈比較例2〉実施例1で本発明の車道舗装
の補修方法を施工した場所と近接し、同程度にクラック
や凹凸が存在する既設舗装面に対して、結合材と骨材と
をこの順に散布する散布式表面処理工法を施工した。す
なわち、施工面をロードスイーパーで清掃した後、実験
で使用したのと同じアスファルト乳剤Bをエンジンスプ
レーヤーで0.9(リットル/m)の割合で散布し、
次いで、実施例1で使用したのと同じ骨材を8(リット
ル/m)の割合で散布した。仕上げに、タンデムロー
ラーを用いて十分に転圧を行い施工を終了した。構築さ
れた表面処理層表面には、下層の既設路面に存在した凹
凸がそのままに現れており、或る程度以上の凹凸は、一
層仕上げの表面処理では完全には修正できないことを物
語っている。なお、半日の養生後、重荷重積載車を試験
的に30回通過させたところ、1箇所骨材の飛散が認め
られたが、他には問題とするところは認められなかっ
た。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明の車道舗装の補修
方法は、補修すべき車道舗装の面上等の路面上に、アス
ファルト混合物を舗設する工程、アスファルト混合物の
舗設面上に骨材を散布する工程、及び、散布された骨材
上に結合材を散布或いは塗布して保護層を形成する工程
とを含み、アスファルト混合物層と骨材層と保護層とが
一体化した舗装層を構築するようにしているので、凹凸
の平坦化や、クラックの充填が比較的容易に行え、か
つ、雨水等の浸透を防止できるとともに、既設舗装体の
強度補強ともなり得るばかりでなく、アスファルト混合
物層と一体化した骨材層の存在によって、滑り止め機能
を備えるとともに、路面の勾配に沿って雨水等をその表
面で有効に排水して、水はね現象やスモーキング現象の
発生し難い舗装層を、簡単かつ安価に、構築することが
できるものである。
【0061】本発明の車道舗装の補修方法は、アスファ
ルト混合物層と骨材層とが保護層によって一体化した舗
装層を一連の工程によって構築するものであり、特に、
骨材の散布と骨材散布面の転圧とを、アスファルト混合
物が未だ完全に硬化しないうちに行うことによって、骨
材を部分的にアスファルト混合物中に埋め込む場合に
は、骨材とアスファルト混合物との結合がより一層強固
なものとなり、耐久性に優れた舗装層が構築できるもの
である。このようにして構築される本発明の舗装層は、
アスファルト混合物層と骨材層と保護層とが一体化して
いるという、これまでにない構成を有するものであり、
これにより、凹凸の平坦化、クラックの充填、雨水等の
浸透防止、更には、既設舗装体の強度補強という機能だ
けでなく、滑り止め機能や表面排水機能を備えた舗装層
である。
【0062】本発明の車道舗装の補修方法並びにそれに
よって得られる舗装層は、道路補修の分野に新たな可能
性をもたらすものであり、その対象は、単に補修にとど
まらず、新設時においてもユニークな表層の構築方法や
表層自体ともなり得るものであり、極めて、優れたもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車道舗装の補修方法によって得られ
る舗装体の一例の断面の構成を模式的に示す図である。
【図2】 骨材を転圧し、骨材を部分的にアスファルト
混合物中に埋め込む工程の説明図である。
【図3】 本発明の車道舗装の補修方法によって得られ
る舗装体の他の例の断面の構成を模式的に示す図であ
る。
【符号の説明】
1 既設舗装体 2、2’ クラック 3 充填材 4 アスファルト混合物 5 骨材 6 結合材 7 舗装層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 羽入 昭吉 栃木県河内郡南河内町祇園3丁目1番地2 号 自治医大アーバンコンフォート305 Fターム(参考) 2D051 AG01 AH03 EA01 EA06 2D053 AA13 AA15 AD01 AD03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 路面上に、アスファルト混合物を舗設す
    る工程、アスファルト混合物の舗設面上に骨材を散布す
    る工程、及び、散布された骨材上に結合材を散布或いは
    塗布して骨材層を被覆する保護層を形成する工程とを含
    み、アスファルト混合物層と骨材層と保護層とが一体化
    した舗装層を構築することを特徴とする車道舗装の補修
    方法。
  2. 【請求項2】 アスファルト混合物が密粒度型アスファ
    ルト混合物である請求項1記載の車道舗装の補修方法。
  3. 【請求項3】 アスファルト混合物の舗設厚が平均で1
    〜5cmである請求項1又は2記載の車道舗装の補修方
    法。
  4. 【請求項4】 骨材を散布する工程が、舗設されたアス
    ファルト混合物が未だ完全には硬化しないうちに行わ
    れ、次いで、舗設されたアスファルト混合物が未だ完全
    には硬化しないうちに骨材の散布面を転圧し、骨材を部
    分的にアスファルト混合物層中に埋め込む工程を含むこ
    とを特徴とする請求項1、2又は3記載の車道舗装の補
    修方法。
  5. 【請求項5】 散布する骨材として、粒径が2.5mm
    以上の単粒度骨材を使用する請求項1、2、3又は4記
    載の車道舗装の補修方法。
  6. 【請求項6】 散布する骨材が、瀝青材料で被覆されて
    いる請求項1、2、3、4又は5記載の車道舗装の補修
    方法。
  7. 【請求項7】 保護層を形成する結合材がアスファルト
    乳剤である請求項1、2、3、4、5又は6記載の車道
    舗装の補修方法。
  8. 【請求項8】 アスファルト乳剤中の蒸発残留物が40
    〜70重量%であり、その蒸発残留物が以下のa)〜
    b)に示す特性を有するものである請求項7記載の車道
    舗装の補修方法; a)針入度が5〜60(1/10mm)、 b)軟化点が40〜80℃。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の車
    道舗装の補修方法によって構築された舗装層。
  10. 【請求項10】 アスファルト混合物層と、骨材層と、
    骨材層を被覆する保護層とが一体化した車道舗装におけ
    る舗装層。
  11. 【請求項11】 骨材層を形成する骨材が、アスファル
    ト混合物層中に部分的に埋め込まれた状態にある請求項
    10記載の舗装層。
JP2000329319A 2000-10-27 2000-10-27 車道舗装の補修方法 Pending JP2002138412A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000329319A JP2002138412A (ja) 2000-10-27 2000-10-27 車道舗装の補修方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000329319A JP2002138412A (ja) 2000-10-27 2000-10-27 車道舗装の補修方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002138412A true JP2002138412A (ja) 2002-05-14

Family

ID=18806011

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000329319A Pending JP2002138412A (ja) 2000-10-27 2000-10-27 車道舗装の補修方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002138412A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009531565A (ja) * 2006-03-28 2009-09-03 ミードウエストベコ・コーポレーション 油中水型瀝青分散液およびこれを用いた舗装混合物の製造方法
JP2017160658A (ja) * 2016-03-09 2017-09-14 株式会社つばさテクノ 構造物の基礎構造及びその構築方法
JP2019060198A (ja) * 2017-09-28 2019-04-18 太平洋セメント株式会社 コンクリート舗装及びその製造方法
JP2019065512A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 太平洋セメント株式会社 コンクリート舗装の製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009531565A (ja) * 2006-03-28 2009-09-03 ミードウエストベコ・コーポレーション 油中水型瀝青分散液およびこれを用いた舗装混合物の製造方法
JP4748818B2 (ja) * 2006-03-28 2011-08-17 ミードウエストベコ・コーポレーション 油中水型瀝青分散液およびこれを用いた舗装混合物の製造方法
JP2017160658A (ja) * 2016-03-09 2017-09-14 株式会社つばさテクノ 構造物の基礎構造及びその構築方法
JP2019060198A (ja) * 2017-09-28 2019-04-18 太平洋セメント株式会社 コンクリート舗装及びその製造方法
JP7014556B2 (ja) 2017-09-28 2022-02-01 太平洋セメント株式会社 コンクリート舗装の製造方法
JP2019065512A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 太平洋セメント株式会社 コンクリート舗装の製造方法
JP6997576B2 (ja) 2017-09-29 2022-01-17 太平洋セメント株式会社 コンクリート舗装の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5086917B2 (ja) アスファルト舗装路の補修方法
US20100047015A1 (en) Composition and process of using an asphalt emulsion to convert an unpaved surface into a paved surface
WO2010022034A2 (en) Pavement life extension product and method
US20100075029A1 (en) Pavement life extension product and method
KR100588835B1 (ko) 아스팔트의 박층 포장용 조성물 및 이를 이용한 아스팔트박층 포장 방법
US10654751B2 (en) Polymer modified cement adhesive for providing high friction surfacing
KR100853874B1 (ko) 유화 아스팔트, 유화 아스팔트 형성용 개질 아스팔트 및유화 아스팔트 제조방법
JP2002138412A (ja) 車道舗装の補修方法
JP2002138413A (ja) 歩道舗装の補修方法
CN111705583A (zh) 一种水泥混凝土复合路面结构及其适用性判定方法
JP3475071B2 (ja) 部分排水性道路舗装構造とその構築方法
JP3395135B2 (ja) 改良型ニート工法
JP4683510B2 (ja) 被覆層を有する散布式表面処理工法
JPH11247114A (ja) 部分排水性道路舗装構造とその構築方法
JP3236943B2 (ja) 透水性常温混合物およびその製造方法
WO2002020661A1 (en) Paving and sealing composition and method of use
JP2832870B2 (ja) 透水性常温混合物およびその製造方法
JPH10147766A (ja) 舗装用混合物
JP3395134B2 (ja) 機能性複層型散布式表面処理工法
JP2002173902A (ja) 被覆層を有する散布式表面処理工法
JP2002105908A (ja) 車道舗装の補修方法
JP3395133B2 (ja) 単層型散布式表面処理工法
Uzarowski et al. Thin surfacing-effective way of improving road safety within scarce road maintenance budget
KR100402098B1 (ko) 미끄럼 저항성 포장재 및 이를 이용한 시공방법
JP2001336107A (ja) 複層型散布式表面処理工法