JP2000144329A - 強度一延性バランスに優れた鋼管 - Google Patents

強度一延性バランスに優れた鋼管

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Masanori Nishimori
正徳 西森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 下部組織が微細化され、強度一延性バランス
に優れた鋼管を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.001 〜0.60%、Si:0.
01〜3.0 %、Mn:0.01〜2.0 %、Al:0.001 〜0.10%に
調整し、さらに、必要に応じ、Cu、Ni、Cr、Moのうちか
ら選ばれた1種または2種以上、Nb、V、Ti、Bのうち
から選ばれた1種または2種以上、REM 、Caのうちから
選ばれた1種または2種、のうちの1群または2群以上
を含有する鋼管に、所定条件の絞り圧延を施すことによ
り、組織をフェライトを主体とし、さらにフェライトが
直径2μm 以下のサブグレインに分割された鋼管とす
る。また、フェライトの粒径は5μm 以下、あるいはさ
らに(110 )面のインバース強度比が2.0 以上であるの
が好ましい。また、第2相が直径2μm 以下、あるいは
さらにアスペクト比が3以下であることが好ましい。ま
た、第2相は、面積率で30%以下であるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細な下部組織を
有し、高強度、高靱性・高延性を有しかつ耐衝突衝撃特
性に優れた鋼管に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼材の強度を増加させるためには、Mn、
Si等の合金元素の添加や、さらに、制御圧延、制御冷
却、焼入れ焼戻し等の熱処理あるいは、Nb、V等の析出
硬化型元素の添加などが利用されている。しかし、鋼材
には、強度のみでなく延性・靱性が高いことが必要で、
従来から、強度と延性・靱性がバランスよく向上した鋼
材が要望されている。
【0003】結晶粒の微細化は、強度、延性・靱性を共
に向上させうる数少ない手段として重要である。結晶粒
の微細化の方法としては、オーステナイト粒の粗大化を
防止して、微細オーステナイトからオーステナイト−フ
ェライト変態を利用しフェライト結晶粒を微細化する方
法、加工によりオーステナイト粒を微細化しフェライト
結晶粒を微細化する方法、あるいは焼入れ焼戻し処理に
よるマルテンサイト、下部ベイナイトを利用する方法な
どがある。
【0004】なかでも、オーステナイト域における強加
工とそれに続くオーステナイト−フェライト変態により
フェライト粒を微細化する制御圧延が、鋼材製造に広く
利用されている。また、微量のNbを添加しオーステナイ
ト粒の再結晶を抑制してフェライト粒を一層微細化する
ことも行われている。オーステナイトの未再結晶温度域
で加工を施すことにより、オーステナイト粒が伸長し粒
内に変形帯を生成して、この変形帯からフェライト粒が
生成され、フェライト粒が一層微細化される。さらにフ
ェライト粒を微細化するために、加工の途中あるいは加
工後に冷却を行う、制御冷却も利用されるようになって
いる。
【0005】しかしながら、上記した方法では、フェラ
イト粒径で4〜5μm 程度までの微細化が限度であり、
さらに、鋼管の製造に適用するには、工程が複雑であ
る。このようなことから、鋼管の靱性・延性の向上のた
めに、簡素な工程でフェライト結晶粒のさらなる微細化
が要望されていた。また、上記した方法で製造された鋼
板を曲げ加工により鋼管としても、加工歪が導入される
ため、良好な延性、靱性は得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した問
題を有利に解決し、大幅な工程変更することなく、下部
組織が微細化され、強度一延性バランスに優れた鋼管を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成するために、鋭意研究した結果、組成を限定
した鋼管に、フェライトの回復再結晶温度域で、歪速度
10 /s 以上のパスを少なくとも1回以上有し、剪断歪
が1.2 %以上である絞り圧延を少なくとも1回以上施す
ことにより、フェライトの下部組織であるサブグレイン
が2μm 以下と極めて微細となり、強度一延性バランス
が極めて向上することを見いだした。なお、本発明でい
う剪断歪とは、剪断歪をγ、鋼管長手方向をl、円周方
向をθ、半径方向をrとした場合に、γlθ、γlr、
γrθで表わされる剪断歪の和である。これらの剪断歪
は、例えば鋼管と鋼管を溶接して絞り圧延を行い、その
溶接部のlθ面、lr面、rθ面の形状変化から求める
ことができる。
【0008】本発明は、このような知見に基づいて構成
されたものである。すなわち、本発明は、重量%で、
C:0.001 〜0.60%、Si:0.01〜3.0 %、Mn:0.01〜2.
0 %、Al:0.001 〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可
避的不純物からなる組成を有し、かつ組織がフェライト
を主体とする組織からなり、該フェライトが直径2μm
以下のサブグレインに分割されていることを特徴とする
強度一延性バランスに優れた鋼管である。
【0009】また、本発明では、前記組成を、重量%
で、C:0.001 〜0.60%、Si:0.01〜3.0 %、Mn:0.01
〜2.0 %、Al:0.001 〜0.10%を含み、さらに、Cu:1
%以下、Ni:1%以下、Cr:2%以下、Mo:1%以下の
うちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなる組成としてもよく、ま
た、前記組成を、C:0.001 〜0.60%、Si:0.01〜3.0
%、Mn:0.01〜2.0 %、Al:0.001 〜0.10%を含み、さ
らに、Nb:0.1 %以下、V:0.5 %以下、Ti:0.2%以
下、B:0.005 %以下のうちから選ばれた1種または2
種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる
組成としてもよく、また、前記組成を、C:0.001 〜0.
60%、Si:0.01〜3.0 %、Mn:0.01〜2.0 %、Al:0.00
1 〜0.10%を含み、さらに、REM :0.02%以下、Ca:0.
01%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物からなる組成としてもよ
い。
【0010】また、前記組成を、C:0.001 〜0.60%、
Si:0.01〜3.0 %、Mn:0.01〜2.0%、Al:0.001 〜0.1
0%を含み、さらに、Cu:1%以下、Ni:1%以下、C
r:2%以下、Mo:1%以下のうちから選ばれた1種ま
たは2種以上、Nb:0.1 %以下、V:0.5 %以下、Ti:
0.2 %以下、B:0.005 %以下のうちから選ばれた1種
または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物
からなる組成としてもよく、前記組成を、C:0.001 〜
0.60%、Si:0.01〜3.0 %、Mn:0.01〜2.0 %、Al:0.
001 〜0.10%を含み、さらに、Cu:1%以下、Ni:1%
以下、Cr:2%以下、Mo:1%以下のうちから選ばれた
1種または2種以上、REM :0.02%以下、Ca:0.01%以
下のうちから選ばれた1種または2種を含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなる組成としてもよく、ま
た、前記組成を、C:0.001 〜0.60%、Si:0.01〜3.0
%、Mn:0.01〜2.0 %、Al:0.001 〜0.10%を含み、さ
らに、Nb:0.1 %以下、V:0.5 %以下、Ti:0.2 %以
下、B:0.005 %以下のうちから選ばれた1種または2
種以上、REM :0.02%以下、Ca:0.01%以下のうちから
選ばれた1種または2種を含有し、残部Feおよび不可避
的不純物からなる組成としてもよい。
【0011】また、前記組成を、C:0.001 〜0.60%、
Si:0.01〜3.0 %、Mn:0.01〜2.0%、Al:0.001 〜0.1
0%を含み、さらに、Cu:1%以下、Ni:1%以下、C
r:2%以下、Mo:1%以下のうちから選ばれた1種ま
たは2種以上、Nb:0.1 %以下、V:0.5 %以下、Ti:
0.2 %以下、B:0.005 %以下のうちから選ばれた1種
または2種以上、REM :0.02%以下、Ca:0.01%以下の
うちから選ばれた1種または2種を含有し、残部Feおよ
び不可避的不純物からなる組成としてもよい。
【0012】また、本発明では、前記フェライトの粒径
が、長手方向に垂直な断面で5μm以下であるのが好ま
しく、あるいはさらに円周方向に垂直な断面でのフェラ
イト粒径が10μm 以下であるのが好ましく、また、本発
明では、前記組織が、フェライトと第2相からなり、第
2相が、長手方向に垂直な断面で直径2μm 以下の粒で
あるのが好ましく、あるいはさらに前記第2相のアスペ
クト比が、長手方向に垂直な断面で3以下であることが
好ましい。また、第2相は、面積率で30%以下であるの
が好ましい。
【0013】また、本発明では、前記組織は、長手方向
に垂直な断面でのフェライトの(110 )面のインバース
強度比が2.0 以上、あるいはさらに円周方向に垂直な断
面でのフェライトの(200 )面のインバース強度比が2.
0 以上であることが好ましい。また、本発明は、上記し
たいずれかの組成を有する素材鋼管を、加熱温度:Ac3
変態点〜400 ℃、好ましくは、加熱温度:(Ac1+50
℃)〜400 ℃、さらに好ましくは750 〜400 ℃に加熱し
たのち、圧延温度:Ac3変態点〜400 ℃、好ましくは
(Ac1+50℃)〜400 ℃、より好ましくは750 〜400 ℃
で、歪速度:10/s以上および剪断歪:1.2 %以上の圧
延パスを少なくとも1回含み、累積縮径率:20%以上の
絞り圧延を施すことを特徴とする鋼管の製造方法であ
り、強度一延性バランスに優れた鋼管が製造できる。ま
た、本発明では前記絞り圧延を、1パス当たりの縮径率
が6%以上の圧延パスを少なくとも1パス以上含む圧延
とするのが好ましく、また、前記累積縮径率が60%以上
とするのが好ましい。また、本発明では、前記絞り圧延
を潤滑下での圧延とするのが好適である。また、本発明
では、絞り圧延を施された鋼管は、さらに焼鈍処理を施
されるのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明では素材として鋼管を用い
る。素材鋼管の製造方法についてはとくに限定しない。
高周波電流を利用した電気抵抗溶接法による電気抵抗溶
接鋼管(電縫鋼管)、オープン管両エッジ部を融点以下
の固相圧接温度域に加熱し圧接接合による固相圧接鋼
管、鍛接鋼管、およびマンネスマン式穿孔圧延による継
目無鋼管いずれも好適に使用できる。
【0015】つぎに、素材鋼管および製品鋼管の化学組
成の限定理由を説明する。 C:0.001 〜0.60% Cは、基地中に固溶あるいは炭化物として析出し、鋼の
強度を増加させる元素であり、また、硬質な第2相とし
て析出した微細なセメンタイト、マルテンサイト、ベイ
ナイトが延性(一様伸び)向上に寄与する。所望の強度
を確保し、第2相として析出したセメンタイト等による
延性向上の効果を得るためには、Cは0.001 %以上、好
ましくは0.04%以上の含有を必要とするが、0.60%を超
えて含有すると強度が高くなりすぎ延性が劣化する。な
お、好ましくはCは0.30%以下、より好ましくは0.10%
以下である。このようなことから、Cは0.001 〜0.60
%、好ましくは0.005 〜0.30%、より好ましくは0.04〜
0.30%の範囲に限定した。なお、ラインパイプ用として
耐応力腐食割れ性を向上させるためには、Cは0.10%以
下とするのが好ましい。0.10%を超えると、溶接部の硬
化のため、耐応力腐食割れ性が劣化する。
【0016】なお、高疲労強度鋼管用として、耐疲労特
性を向上させるためには、Cは0.06〜0.30%とするのが
好ましい。0.06%未満では、強度のため、耐疲労特性が
劣化する。 Si:0.01〜3.0 %以下 Siは、脱酸元素として作用するとともに、基地中に固溶
し鋼の強度を増加させる。この効果は、0.01%以上、好
ましくは0.1 %以上の含有で認められるが、3.0 %を超
える含有は延性を劣化させる。このことから、Siは0.01
〜3.0 %の範囲に限定した。なお、好ましくは、0.1 〜
1.5 %の範囲である。
【0017】なお、ラインパイプ用として耐応力腐食割
れ性を向上させるためには、Siは0.5 %以下とするのが
好ましい。0.5 %を超えると、溶接部が硬化し、耐応力
腐食割れ性が劣化する。なお、高疲労強度鋼管用とし
て、耐疲労特性を向上させるためには、Siは1.5%以下
とするのが好ましい。1.5 %を超えると、介在物を生成
するため、耐疲労特性が劣化する。
【0018】Mn:0.01〜2.0 % Mnは、鋼の強度を増加させる元素であり、本発明では第
2相としてのセメンタイトの微細析出、あるいはマルテ
ンサイト、ベイナイトの析出を促進させる。0.01%未満
では、所望の強度が確保できないうえ、セメンタイトの
微細析出、あるいはマルテンサイト、ベイナイトの析出
が阻害される。また、2.0 %を超えると、強度が増加し
すぎて延性が劣化する。このため、Mnは0.01〜2.0 %の
範囲に限定した。なお、強度−延性バランスの観点か
ら、Mnは0.2 〜1.3 %の範囲が好ましく、より好ましく
は0.6 〜1.3 %の範囲である。
【0019】なお、ラインパイプ用として耐応力腐食割
れ性を向上させるためには、Mnは1.8 %以下とするのが
好ましい。1.8 %を超えると、溶接部が硬化するため、
耐応力腐食割れ性が劣化する。 Al:0.001 〜0.10% Alは、結晶粒径を微細化する作用を有している。結晶粒
微細化のためには、少なくとも0.001 %以上の含有を必
要とするが、0.10%を超えると酸化物系介在物量が増加
し清浄度が劣化する。このため、Alは0.001 〜0.10%の
範囲に限定した。なお、好ましくは0.015 〜0.06%であ
る。
【0020】上記した基本組成に加えて、つぎに述べる
A〜C群の合金元素群から選ばれた1群または2群以上
から該各群のうちの1種または2種以上を添加含有して
もよい。 A群:Cu:1%以下、Ni:1%以下、Cr:2%以下、M
o:1%以下の群 Cu、Ni、Cr、Moはいずれも、鋼の焼入れ性を向上させ、
強度を増加させる元素であり、必要に応じ1種または2
種以上を添加できる。これら元素は、変態点を低下さ
せ、フェライト粒あるいは第2相を微細化する効果を有
している。しかし、Cuは多量添加すると熱間加工性が劣
化するため、1%を上限とした。Niは強度増加とともに
靱性をも改善するが1%を超えて添加しても効果が飽和
し経済的に高価となるため、1%を上限とした。Cr、Mo
は多量添加すると溶接性、延性が劣化するうえ経済的に
高価となるため、それぞれ2%、1%を上限とした。な
お、好ましくはCu:0.1 〜0.6 %、Ni:0.1 〜1.0 %、
Cr:0.1 〜1.5 %、Mo:0.05〜0.5 %である。
【0021】なお、ラインパイプ用として耐応力腐食割
れ性を向上させるためには、Cu、Ni、Cr、Moはいずれ
も、それぞれ、0.5 %以下に制限するのが好ましい。0.
5 %を超えて多量添加すると、溶接部が硬化し、そのた
め、耐応力腐食割れ性が劣化する。 B群:Nb:0.1 %以下、V:0.5 %以下、Ti:0.2 %以
下、B:0.005 %以下の群 Nb、V、Ti、Bは、炭化物、窒化物または炭窒化物とし
て析出し、結晶粒の微細化と高強度化に寄与する元素で
あり、特に高温に加熱される接合部を有する鋼管では、
接合時の加熱過程での結晶粒の微細化や、冷却過程でフ
ェライトの析出核として作用し、接合部の硬化を防止す
る効果もあり、必要に応じ1種または2種以上添加でき
る。しかし、多量添加すると、溶接性と靱性が劣化する
ため、Nbは0.1 %、Vは0.5 %好ましくは0.3 %、Tiは
0.2 %、Bは0.005 %好ましくは0.004 %をそれぞれ上
限とした。なお、好ましくはNb:0.005 〜0.05%、V:
0.05〜0.1 %、Ti:0.005 〜0.10%、B:0.0005〜0.00
2 %である。
【0022】なお、ラインパイプ用として耐応力腐食割
れ性を向上させるためには、Nb、V、Tiは、それぞれ、
0.1 %以下に制限するのが好ましい。Nb、V、Tiが0.1
%を超えて、多量に添加されると、析出硬化のため、耐
応力腐食割れ性が劣化する。 C群:REM :0.02%以下、Ca:0.01%以下の群 REM 、Caは、いずれも介在物の形状を調整し加工性を向
上させる作用を有しており、さらに、硫化物、酸化物ま
たは硫酸化物として析出し、接合部を有する鋼管での接
合部の硬化を防止する作用をも有し、必要に応じ1種以
上添加できる。REM :0.02%、Ca:0.01%を超えると介
在物が多くなりすぎ清浄度が低下し、延性が劣化する。
なお、REM :0.004 %未満、Ca:0.001 %未満ではこの
作用による効果が少ないため、、REM :0.004 %以上、
Ca:0.001 %以上とするのが好ましい。
【0023】素材鋼管および製品鋼管は、上記した成分
のほか、残部Feおよび不可避的不純物からなる。不可避
的不純物としては、N:0.010 %以下、O:0.006 %以
下、P:0.025 %以下、S:0.020 %以下が許容され
る。 N:0.010 %以下 Nは、Alと結合して結晶粒を微細化するに必要な量、0.
010 %までは許容できるが、それ以上の含有は延性を劣
化させるため、0.010 %以下に低減するのが好ましい。
なお、より好ましくは、Nは0.002 〜0.006 %である。
【0024】O:0.006 %以下 Oは、酸化物として清浄度を劣化させるため、できるだ
け低減するのが好ましいが、0.006 %までは許容でき
る。 P:0.025 %以下 Pは、粒界に偏析し、靱性を劣化させるため、できるだ
け低減するのが好ましいが、0.025 %までは許容でき
る。
【0025】S:0.020 %以下 Sは、硫化物を増加し清浄度を劣化させるため、できる
だけ低減するのが好ましいが、0.020 %までは許容でき
る。つぎに、製品鋼管の組織について説明する。本発明
の鋼管は、組織がフェライトを主体とする組織からな
り、フェライト粒が直径2μm 以下のサブグレインに分
割されていることを特徴とする。本発明でいうフェライ
トを主体とする組織とは、フェライトが面積率で50%以
上含む組織であり、第2相が析出しないフェライト単独
の組織と、フェライトとフェライト以外の第2相とから
なる組織が含まれる。
【0026】なお、本発明でいう、フェライト粒とは、
隣接する粒との方位差が15°以上の粒界で囲まれたフェ
ライト結晶粒を意味し、サブグレインとは、隣接する粒
との方位差が2 °以上15°未満の粒界で囲まれた結晶粒
をいう。本発明におけるフェライト粒径、サブグレイン
径は、測定断面を、バフ研磨後、ナイタール液で腐食し
Electron Back Scattering Diffraction 法で方位解析
して、200 個以上のフェライト粒およびサブグレインの
円相当径を求め、その平均値を用いた。なお、本発明で
は、とくに断わらないかぎり、組織の観察は鋼管長手方
向に垂直な断面で行うものとする。
【0027】フェライト粒を微細なサブグレインに分割
すると、延性を低下させることなく、高強度が得られ、
強度×伸び値といった特性の向上が著しい。単に、フェ
ライト粒を微細化するだけで高強度は得られるものの伸
びが低下するため、強度×伸び値の改善が不十分とな
る。フェライト粒のサブグレインが2μm を超えると、
強度×伸び値の顕著な改善が望めない。なお、サブグレ
インのサイズは1μm 以下とするのが、強度×伸び値の
観点から望ましい。
【0028】フェライトを微細なサブグレインに分割す
ると、強度一延性バランスが改善する機構については必
ずしも明らかでないが、サブグレインの粒界は、結晶粒
界と異なり、転位が通過できるため転位の増殖源となっ
て変形を容易にしているためと推定される。また、フェ
ライト粒径は5μm 以下とするのが望ましい。フェライ
ト粒が5μm を超えると、強度の顕著な改善がみられな
い。なお、好ましくは3μm 以下である。
【0029】また、本発明では、鋼管の円周方向に垂直
な断面でのフェライト粒径はとくに限定する必要はない
が、円周方向に垂直な断面でのフェライト粒径を、長手
方向に垂直な断面と等しくするか、あるいは 10μm 以
下とするのが、機械的性質の等方性の点から好ましい。
円周方向に垂直な断面でのフェライト粒径が 10 μmを
超えると、円周方向の強度×伸び特性が若干劣化する傾
向を示す。
【0030】また、本発明の鋼管の組織は、フェライト
単独あるいはフェライトと第2相からなる。フェライト
以外の第2相としては、マルテンサイト、ベイナイト、
セメンタイトがあり、それら単独あるいは複合して析出
してもよい。析出した第2相は変形時に一様伸びの向上
に寄与し、鋼管の延性、耐衝突衝撃特性を向上させる
が、このような効果は、第2相の面積率が30%を超える
と少なくなるため、第2相の面積率は30%以下とするの
が好ましい。
【0031】また、第2相は、鋼管長手方向に垂直な断
面で直径2μm 以下の粒であるのが好ましい。粒径が2
μm を超えると、強度×伸び値が劣化する。また、第2
相のアスペクト比を、鋼管長手方向に垂直な断面で3以
下とするのが好ましい。第2相のアスペクト比が、3を
超えると、強度×伸び値が劣化する。
【0032】また、本発明では、長手方向に垂直な断面
でのフェライトの(110 )面のインバース強度比が2.0
以上、あるいはさらに円周方向に垂直な断面でのフェラ
イトの(200 )面のインバース強度比が2.0 以上の集合
組織を有するのが強度×伸び値向上の観点から好まし
い。長手方向に垂直な断面での(110 )面のインバース
強度比が2.0 未満では、集合組織の発達が不十分で伸び
の改善が得られないからである。また、これに加えて、
円周方向に垂直な断面での(200 )面のインバース強度
比を2.0 以上とすることにより、伸びの改善が顕著とな
る。なお、インバース強度比は、測定試料に、X線を照
射し、得られた各結晶面からの回折強度を測定し、結晶
方位がランダムな試料の回折強度との比により、求めた
ものを用いるものとする。
【0033】鋼管長手方向に垂直な断面のフェライトの
(110 )面のインバース強度比が2.0 以上、あるいはさ
らに円周方向に垂直な断面のフェライトの(200 )面の
インバース強度比が2.0 以上になると延性が改善される
機構については、必ずしも明らかでないが、これらの集
合組織が形成されることにより、降伏強さが低下するこ
とや、引張変形時の肉厚減少が抑制されるためと推定さ
れる。このような集合組織の形成は、温間域の管圧延に
特有の現象であり、通常の板圧延や熱間での管圧延では
認められないものである。
【0034】つぎに、本発明の製品鋼管の製造方法につ
いて説明する。上記したいずれかの組成を有する素材鋼
管を、加熱温度:Ac3変態点〜400 ℃、好ましくは、加
熱温度:(Ac1+50℃)〜400 ℃、さらに好ましくは75
0 〜400 ℃に加熱する。加熱温度がAc3変態点を超える
と、表面性状が劣化するとともに、結晶粒が粗大化す
る。このため、素材鋼管の加熱温度はAc3変態点以下、
好ましくは(Ac1+50℃)以下、より好ましくは750 ℃
以下とするのがよい。加熱温度が400 ℃未満では、好適
な圧延温度を確保できないため、加熱温度は400 ℃以上
とするのが好ましい。
【0035】ついで、加熱された素材鋼管は絞り圧延を
施される。絞り圧延は、3ロール方式の絞り圧延機によ
り行うのが好ましいが、これに限定されるものではな
い。絞り圧延機は、複数のスタンドを配設して、連続的
に圧延するのが好ましい。スタンド数は素材鋼管の寸法
と、製品鋼管の寸法により適宜決定できる。
【0036】絞り圧延の圧延温度は、フェライト回復・
再結晶温度域のAc3〜400 ℃、好ましくは(Ac1+50
℃)〜400 ℃、より好ましくは750 〜400 ℃の範囲とす
る。圧延温度がAc3変態点を超えると、再結晶後のフェ
ライト粒の成長が著しくなり強度低下のわりには延性が
向上しない。一方、圧延温度が400 ℃未満では青熱脆性
により脆化し圧延中に材料が破断する恐れがある。さら
に、圧延温度が400 ℃未満では材料の変形抵抗が増大し
圧延が困難となるほか、再結晶が不十分となり加工歪が
残存しやすくなる。このため、絞り圧延の圧延温度は、
Ac3〜400 ℃、好ましくは(Ac1+50℃)〜400 ℃、さ
らに好ましくは750 〜400 ℃の範囲に限定するのが望ま
しい。より好ましくは600 〜700 ℃である。
【0037】本発明における絞り圧延においては、歪速
度:10/s 以上および剪断歪:1.2%以上の圧延パスを
少なくとも1回含む圧延とするのが好ましい。歪速度:
10/s 以上の圧延パスおよび剪断歪:1.2 %以上の圧延
パスを少なくとも1回含むことにより、サブグレインの
形成が顕著となり強度×伸び特性の向上が著しくなる。
また、歪速度、剪断歪とも大きい方が望ましく、それぞ
れ15/s 以上、2.0 %以上とするのがより好ましい。
【0038】絞り圧延における累積縮径率は20%以上と
する。累積縮径率(=(素材鋼管外径−製品鋼管外径)
/(素材鋼管外径)×100 %)が20%未満では、回復・
再結晶による結晶粒の微細化が不十分であり、延性に富
む鋼管とならない。また、造管速度も遅く生産能率が低
い。このため、本発明では累積縮径率を20%以上とし
た。なお、累積縮径率が60%以上では、加工硬化による
強度増加に加えて組織の微細化が顕著となり、上記した
組成範囲の合金添加量が低い低成分系の鋼管でも強度と
延性のバランスに優れ、強度、延性ともに優れた鋼管が
得られる。このことから、累積縮径率は60%以上とする
のがより好ましい。
【0039】また、絞り圧延においては、1パス当たり
の縮径率が6%以上の圧延パスを少なくとも1パス以上
含む圧延とするのが好ましい。絞り圧延の1パスあたり
の縮径率が6%未満では、回復・再結晶による結晶粒の
微細化が不十分である。また、6%以上では、加工発熱
による温度上昇が認められ圧延温度の低下を防止でき
る。なお、1パスあたりの縮径率は、結晶粒微細化によ
り大きな効果がある8%以上とするのがより好ましい。
【0040】本発明における鋼管の絞り圧延は、圧延方
向、円周方向と肉厚方向に歪が導入され著しい結晶粒微
細化効果を得ることができる。また、これにより第2相
の微細化や集合組織の形成がなされる。さらには、孔型
ロール周速差による剪断歪が導入され著しい結晶粒微細
化や集合組織の形成が促進される。これに対し、鋼板の
圧延においては、圧延方向と、板幅方向だけに歪が導入
され、結晶粒微細化に限界がある。
【0041】また、本発明では、絞り圧延は潤滑下での
圧延とするのが好適である。絞り圧延を潤滑下での圧延
(潤滑圧延)とすることにより、厚み方向の歪分布が均
一となり、結晶粒径の分布が厚み方向で均一となる。無
潤滑圧延を行うと剪断効果によって材料表面層部のみに
歪が集中し、厚み方向の結晶粒が不均一となりやすい。
潤滑圧延は、通常公知の、鉱油あるいは鉱油に合成エス
テルを混合した圧延油を用いて行えばよく、圧延油をと
くに限定する必要はない。
【0042】絞り圧延方法は、特に限定されるものでは
ないが、レデューサと称される複数の孔型圧延機による
絞り圧延が好適である。本発明の実施に好適な設備列の
1例を図1に示す。図1では、孔型ロールを有する複数
のスタンドの絞り圧延装置21が示されている。圧延機の
スタンド数は、素材鋼管径と製品管径の組み合わせで適
宜決定される。孔型ロールは、通常公知の2ロール、3
ロールあるいは4ロールいずれでも好適に適用できる。
【0043】また、絞り圧延の加熱または均熱方法はと
くに限定するものではないが、加熱炉、あるいは誘導加
熱によるのが好ましい。なかでも誘導加熱方式が加熱速
度が大きく生産能率あるいは結晶粒の成長を抑制する点
から好ましい。(図1には誘導加熱方式の再加熱装置25
が例示されている。) 絞り圧延加工後、製品管16は室温、好ましくは300 ℃以
下まで冷却される。冷却方法は、空冷でよいが、粒成長
を少しでも抑える目的で急冷装置24を用い水冷、あるい
はミスト冷却、強制空冷等通常公知の冷却方法が適用可
能である。冷却速度は好ましくは10℃/sec 以上とする
のが好ましい。
【0044】なお、本発明では、絞り圧延装置21の入側
あるいは絞り圧延装置21の途中に冷却装置26を設置し、
温度調節を行ってもよい。また、絞り圧延装置21の入側
にデスケリーング装置23を設置してもよい。本発明で素
材とする素材鋼管は、継目無鋼管あるいは、電縫鋼管、
鍛接鋼管、固相圧接鋼管等いずれでもよい。また、本発
明の鋼管の製造工程は、上記した素材鋼管の製造ライン
と連続化してもよい。固相圧接鋼管の製造ラインと連続
化した1例を図2に示す。
【0045】アンコイラ14から払い出された帯鋼1は、
接合装置15により先行する帯鋼と接続され、ルーパ17を
介して予熱炉2で予熱されたのち、成形ロール群からな
る成形加工装置3でオープン管7とされ、エッジ予熱用
誘導加熱装置4とエッジ加熱用誘導加熱装置5により融
点未満の温度域にオープン管7エッジ部を加熱して、ス
クイズロール6で衝合圧接され、素材鋼管8とされる。
【0046】ついで、素材鋼管8は、上記したように、
均熱炉22で所定の温度に加熱あるいは均熱後、デスケー
リング装置23でスケールを除去し、絞り圧延装置21によ
り絞り圧延され、切断機で切断され、管矯正装置19で矯
正され製品管16となる。鋼管の温度は温度計20で測定す
る。また、上記した絞り圧延でも、前記したように、潤
滑下での圧延とするのが好ましい。
【0047】上記した製造方法によれば、フェライトを
主とした組織を有し、鋼材長手方向垂直断面のフェライ
トのサブグレインの平均粒径が2μm 以下の超微細な下
部組織を有する鋼管が得られる。また、上記した製造方
法によれば、電縫鋼管、鍛接鋼管、固相圧接鋼管等のシ
ーム部の硬さが均一な鋼管となるという効果もある。室
温まで冷却された製品鋼管に、さらに機械的性質、とく
に強度を所望の範囲に調整する目的で焼鈍処理を施して
もよい。焼鈍温度は、Ac1変態点以下好ましくは500 ℃
以上とするのが望ましい。焼鈍により強度はやや低下す
るが、延性は著しく改善される。焼鈍温度がAc1変態点
を超えると、フェライトがα→γ変態によりγを生成
し、強度が著しく低下し、TS×El(強度−延性バラ
ンス)が低下する。このため、焼鈍温度はAc1変態点以
下とするのが好ましい。また、焼鈍温度が500 ℃未満で
は、強度の変化が少ない。
【0048】
【実施例】表1に示す化学組成を有する素材鋼管に、図
1に示す示す設備列を用いて、表2に示す温度に再加熱
装置(誘導加熱コイル)25で加熱したのち、3ロール構
造の絞り圧延装置21で表2に示す圧延条件で製品管16と
した。なお、圧延後は空冷とした。
【0049】表2中に示す固相圧接鋼管とは、熱延帯鋼
を600 ℃に予熱したのち、複数の成形ロールで連続的に
成形しオープン管とし、ついで、オープン管両エッジ部
を誘導加熱で1000℃まで予熱したのち、さらに両エッジ
部を誘導加熱により未溶融温度域の1450℃まで加熱しス
クイズロールにより衝合し固相圧接して、鋼管としたも
のを用いた。一方、継目無鋼管は、連続鋳造製ビレット
を加熱し、マンネスマンマンドレル方式のミルで造管
し、継目無鋼管としたものを用いた。電縫鋼管は、表1
に示す組成の熱延鋼板を複数の成形ロールで連続的に成
形しオープン管とし、ついで、オープン管両エッジ部を
溶融域まで加熱しスクイズロールにより衝合し溶接し
て、鋼管としたものを用いた。
【0050】これら製品管の引張特性、結晶粒径、サブ
グレイン径等の組織観察、バルジ特性を調査した。引張
特性は、これら鋼管からJIS 11号試験片を採取し、引張
試験を実施して、引張強さ(TS)、伸び(El)を求
めた。なお、伸びの値は、試験片のサイズ効果を考慮し
て、El=El0 ×(√(a0/a))0.4 (ここに、El0 :実
測伸び、a0:292mm2、a:試験片断面積(mm2 ))を用
いて求めた換算値を使用した。
【0051】組織観察は、鋼管の長手方向に対し垂直な
断面(C断面)について、5000倍の倍率でそれぞれ5視
野以上観察し、第2相の種類、フェライトおよび第2相
の平均結晶粒径、およびサブグレイン径を測定した。バ
ルジ特性は、鋼管を型に入れ、鋼管の一端を閉じ他端か
ら水圧をかけ、鋼管をバルジングさせて、破断したとき
の鋼管の周長の伸び(%)で評価した。なお、鋼管の両
端はバルジングにしたがい移動できるようにした。
【0052】これらの結果を表3に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】表3から、本発明範囲の本発明例は、TS
×Elが25000 MPa %以上と強度−延性バランスに優れ
た鋼管となっている。本発明によれば、従来になく強度
−延性バランスが向上するが、さらに、本発明の鋼管
は、ハイドロフォーム等のバルジ加工性にも優れ、バル
ジ加工用として好適な鋼管である。本発明の鋼管のう
ち、鋼管No.1、No.7の例に示すのように、溶接鋼管(電
縫鋼管)またはシーム冷却を施した固相圧接鋼管におい
ては、硬化シーム部が絞り圧延により母管部と同じレベ
ルの硬さとなり、バルジ加工性が従来より顕著に改善さ
れる。
【0059】また、本発明鋼管のうち、鋼管No.6、No.7
の例に示すように、歪速度が10/s以上の圧延を1パス
以上行うことにより、サブグレインが微細になり、TS
×Elが増加し、強度−延性バランスが顕著に改善され
る。歪速度が10/s 以上のパス回数を増加することによ
り、さらに改善される。また、鋼管No.7、No.8、No.9の
例に示すように、鋼管長手方向に垂直な断面のフェライ
ト(110 )面のインバース強度比、鋼管円周方向に垂直
な断面のフェライト(200 )面のインバース強度比が大
きくなると、TS×Elが増加し、強度−延性バランス
が顕著に改善される。また、鋼管No.10 、No.17 の例に
示すように、剪断歪が1.2 %以上となる圧延を1パス以
上行うことにより、サブグレインが微細となりTS×E
lが増加する。剪断歪が1.2 %以上となる圧延パス数を
多くすると、強度−延性バランスの改善の度合いは増加
する。
【0060】また、鋼管No.14 、No.15 の例に示すよう
に、1パス当たりの縮径率が6%以上の圧延を1パス以
上行うことにより、サブグレインが微細となりTS×E
lが増加する。1パス当たりの縮径率が6%以上の圧延
パス数を多くすると、強度−延性バランスの改善の度合
いは増加する。また、鋼管No.19 、No.21 、No.22 の例
に示すように、累積縮径率が増加するにしたがい、サブ
グレインが微細となりTS×Elが増加する。累積縮径
率を60%以上とすることにより、強度−延性バランスが
著しく改善される。
【0061】また、鋼管No.23 、No.24 の例に示すよう
に、絞り圧延に際し潤滑を施すことにより集合組織が改
善され強度−延性バランスがより改善される。また、鋼
管No.25 、No.26 の例に示すように、絞り圧延後、フェ
ライト域で焼鈍を施すことにより、第2相粒が微細とな
りしかも第2相のアスペクト比が小さくなり、TS×E
lが増加する。
【0062】一方、本発明の範囲を外れる比較例(鋼管
No.2、No.4、No.5、No.11 〜No.13、No.16 、No.20 )
は、フェライトのサブグレイン径が大きく、延性が低下
し、強度−延性バランスが低下している。また、化学組
成が本発明範囲を外れる比較例(鋼管No.33 〜No.36 )
はいずれも延性、バルジ特性が劣化している。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、サブグレインサイズが
2μm 以下とフェライトの下部組織が微細化され、強度
−延性バランスに優れた高強度鋼管を生産性高く、容易
に製造でき、産業上格別の効果を奏する。また、本発明
によれば、耐応力腐食割れ性の優れた高強度、高靱性の
ラインパイプ用鋼管が、合金元素量を低減して、安価に
製造できるという効果もある。さらに、本発明によれ
ば、耐衝撃特性に優れた高強度鋼管を合金元素両を低減
して安価に製造できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に好適な設備列の一例を示す概念
図である。
【図2】本発明の実施に好適な固相圧接鋼管製造設備と
連続化した設備列の1例を示す概念図である。
【符号の説明】
1 帯鋼 2 予熱炉 3 成形加工装置 4 エッジ予熱用誘導加熱装置 5 エッジ加熱用誘導加熱装置 6 スクイズロール 7 オープン管 8 素材鋼管 14 アンコイラ 15 接合装置 16 製品管 17 ルーパ 18 切断機 19 管矯正装置 20 温度計 21 絞り圧延装置 22 均熱炉(シーム冷却および管加熱装置) 23 デスケーリング装置 24 急冷装置 25 再加熱装置 26 冷却装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 依藤 章 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内 (72)発明者 西森 正徳 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内 (72)発明者 板谷 元晶 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内 (72)発明者 橋本 裕二 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 岡部 能知 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内 (72)発明者 荒谷 昌利 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内 (72)発明者 長浜 拓也 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.001 〜0.60%、 Si:0.01〜3.0 %、 Mn:0.01〜2.0 %、 Al:0.001 〜0.10% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を
    有し、かつ組織がフェライトを主体とする組織からな
    り、該フェライトが直径2μm 以下のサブグレインに分
    割されていることを特徴とする強度一延性バランスに優
    れた鋼管。
  2. 【請求項2】 前記組成に加えて、さらに下記A群〜C
    群のうちから選ばれた1群または2群以上から該各群の
    うちの1種または2種以上を含有することを特徴とする
    請求項1に記載の強度一延性バランスに優れた鋼管。 記 重量%で、 A群:Cu:1%以下、Ni:1%以下、Cr:2%以下、M
    o:1%以下の群 B群:Nb:0.1 %以下、V:0.5 %以下、Ti:0.2 %以
    下、B:0.005 %以下の群 C群:REM :0.02%以下、Ca:0.01%以下の群
  3. 【請求項3】 前記フェライトの粒径が、長手方向に垂
    直な断面で5μm 以下であることを特徴とする請求項1
    または2に記載の強度一延性バランスに優れた鋼管。
  4. 【請求項4】 前記組織が、長手方向に垂直な断面で直
    径2μm 以下の粒径の第2相を有することを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれかに記載の強度一延性バラン
    スに優れた鋼管。
  5. 【請求項5】 前記第2相のアスペクト比が、長手方向
    に垂直な断面で3以下であることを特徴とする請求項4
    に記載の強度一延性バランスに優れた鋼管。
  6. 【請求項6】 前記組織は、長手方向に垂直な断面での
    フェライトの(110)面のインバース強度比が2.0 以
    上、あるいはさらに円周方向に垂直な断面でのフェライ
    トの(200 )面のインバース強度比が2.0 以上であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の強
    度一延性バランスに優れた鋼管。
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