JP3785828B2 - 鋼管の絞り圧延方法 - Google Patents
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Description
(用語の定義)
化学組成に係る%:重量%。
縮径率:ある一連のパスによる絞り圧延において、圧延前、圧延後の管外径をそれぞれD0 、D1 とすれば、該絞り圧延による縮径率rは、式r=(D0 −D1 )/D0 で表される(%を付すときはこの式の値を100 倍する)。なお、単パス圧延の縮径率を、とくに「縮径率/パス」と記す。
【0002】
φ,T:例えばφ100 mm×T6.0 mmは、管の外径が100 mmで肉厚が6.0 mmの意である。
std. :例えば10std.は、レデューサのスタンド数が10スタンドの意である。
【0003】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管の絞り圧延方法に関し、特に、鋼管に優れた機械的性質を付与できる絞り圧延方法に関する。
【0004】
【従来の技術】
鋼材の強度を増加させるためには、Mn、Si等の合金元素の添加や、さらに、制御圧延、制御冷却、焼入れ焼戻し等の熱処理あるいは、Nb、V等の析出硬化型元素の添加などが利用されている。しかし、鋼材には、強度のみでなく延性・靱性が高いことが必要で、以前から、強度と延性・靱性がバランスよく向上した鋼材が要望されている。
【0005】
結晶粒の微細化は、強度、延性・靱性を共に向上させうる数少ない手段として重要である。結晶粒を微細化する方法としては、オーステナイト粒の粗大化を防止して、微細オーステナイトからオーステナイト−フェライト変態を利用しフェライト粒を微細化する方法、加工によりオーステナイト粒を微細化しフェライト粒を微細化する方法、あるいは焼入れ焼戻し処理によるマルテンサイト、下部べイナイトを利用する方法などがある。
【0006】
なかでも、オーステナイト域における強加工とそれに続くオーステナイト−フェライト変態によりフェライト粒を微細化する制御圧延が、鋼材製造に広く利用されている。また、微量のNbを添加しオーステナイト粒の再結晶を抑制してフェライト粒を一層微細化することも行われている。オーステナイトの未再結晶温度域で加工を施すことにより、オーステナイト粒が伸長して粒内に変形帯が生成し、この変形帯からフェライト粒が生成して、フェライト粒が一層微細化される。さらにフェライト粒を微細化するために、加工の途中あるいは加工後に冷却を行う工程、すなわち制御冷却も利用されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では、最近強く要望されている高安全性自動車に適した構成部材としての耐衝突衝撃特性を高めた鋼管を製造するうえで、設備の改造等を含む大幅な工程改造が必要となり、コスト面で限界があった。
本発明は、かかる問題を有利に解決し、大幅な工程改造を要さず、鋼管に優れた延性及び耐衝突衝撃特性を付与せしめ得る鋼管の絞り圧延方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、延性に優れた高強度鋼管を高造管速度で生産できる鋼管製造プロセスについて鋭意検討した結果、特定組成の素管を、ある限られた条件で熱間絞り圧延後オーステナイトをフェライト−パーライトまたはべイナイトまたはマルテンサイトまたはこれらの混合に変態させ更に温間絞り圧延することにより、ミクロ組織がフェライト粒径2μm以下の微細かつ均一なフェライト、セメンタイト組織になり、高強度でかつ延性・靱性に優れる鋼管が得られることを見いだし、以下に述べる本発明をなした。
【0009】
すなわち本発明は、C:0.005 〜0.30%、Si:0.01〜3.0 %、Mn:0.01〜4.0 %、Al:0.001 〜0.10%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる化学組成を有する素材を素管に加工した後、950 ℃〜Ar3 点で縮径率10%以上の絞り圧延を行い、次いでAr1 点以下まで冷却を行ってフェライト−パーライトからなるミクロ組織とし、次いでAc1 点〜400 ℃で縮径率20%以上の絞り圧延を行って、ミクロ組織がフェライト粒径2μm以下の微細かつ均一なフェライト、セメンタイト組織であるものとすることを特徴とする鋼管の絞り圧延方法である。
【0010】
本発明では、前記素材を素管に加工した後、950 ℃〜Ar3 点で縮径率10%以上の前記絞り圧延を行う前に、950 ℃超で縮径率10%以上の絞り圧延を行うことが好ましい。
また、本発明では、前記素材の化学組成(以下、単に組成ともいう)にさらに、Cu:1%以下、Ni:2%以下、Cr:2%以下、Mo:1%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上、および/または、Nb:0.1 %以下、V:0.3 %以下、Ti:0.2 %以下、B:0.004 %以下のうちから選ばれた1種又は2種以上、および/または、REM :0.02%以下、Ca:0.01%以下のうちから選ばれた1種又は2種が付加されてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、特定組成になる鋼を素材として用いるが、素材を素管(鋼管)に加工する手段(造管法)は特に限定されない。高周波電流を利用した電気抵抗溶接法(素管名称:電縫鋼管)、オープン管両エッジ部を固相圧接温度域に加熱し圧接接合する固相圧接法(素管名称:固相圧接鋼管)、鍛接法(素管名称:鍛接鋼管)、およびマンネスマン式穿孔圧延法(素管名称:継目無鋼管)いずれも好適に使用できる。
【0012】
次に、素材の組成の限定理由を説明する。
C:0.005 〜0.30%
Cは、基地中に固溶あるいは炭化物として析出し、鋼の強度を増加させる元素であり、また、硬質な第2相として析出した微細なセメンタイトが延性(一様伸び)向上に寄与する。所望の強度を確保し、第2相として析出したセメンタイト等による延性向上の効果を得るためには、Cは0.005 %以上、より好ましくは0.04%以上、の含有を必要とするが、0.30%を超えて含有すると強度が高くなりすぎ延性が劣化する。このようなことから、Cは0.005 〜0.30%の範囲に限定した。なお、より好ましい範囲は0.04〜0.30%である。
【0013】
Si:0.01〜3.0 %
Siは、脱酸元素として作用するとともに、基地中に固溶し鋼の強度を増加させる。この効果は、0.01%以上、好ましくは0.1 %以上、の含有で認められるが、3.0 を超える含有は延性を劣化させる。このことから、Siは0.01〜3.0 %の範囲に限定した。なお、耐疲労特性を向上させるには、Siは1.5 %以下とするのが好ましい。1.5 %を超えると介在物を生成するため、耐疲労特性が劣化する。よって、好ましいのは0.1 〜1.5 %の範囲である。
【0014】
Mn:0.01〜4.0 %
Mnは、鋼の強度を増加させる元素であり、本発明では第2相としてのセメンタイトの微細析出を促進させる。0.01%未満では、所望の強度が確保できないうえ、セメンタイトの微細析出が阻害される。また、4.0 %を超えると、強度が増加しすぎて延性が劣化する。このため、Mnは0.01〜4.0 %の範囲に限定した。なお、強度−伸びバランスの観点から、Mnは0.2 〜1.3 %の範囲が好ましく、より好ましくは0.6 〜1.3 %の範囲である。
【0015】
Al:0.001 〜0.10%
Alは、結晶粒径を微細化する作用を有している。結晶粒微細化のためには、少なくとも0.001 %以上の含有を必要とするが、0.10%を超えると酸化物系介在物量が増加し清浄度が劣化する。このため、Alは0.001 〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.015 〜0.06%である。
【0016】
上記した素材鋼管の基本組成に加えて、つぎに述べる合金元素群を単独あるいは複合して添加してもよい。
Cu:1%以下、Ni:2%以下、Cr:2%以下、Mo:1%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上
Cu、Ni、Cr、Moはいずれも強度を増加させる元素であり、必要に応じ1種または2種以上を添加できる。これら元素は、変態点を低下させ、フェライト粒あるいは第2相を微細化する効果を有している。しかし、Cuは多量添加すると熱間加工性が劣化するため、1%を上限とした。Niは強度増加とともに靱性をも改善するが2%を超えて添加しても効果が飽和しコスト高になるため、2%を上限とした。Cr、Moは多量添加すると溶接性、延性が劣化するうえコスト高となるため、それぞれ2%、1%を上限とした。なお、好ましくはCu:0.1 〜0.6 %、Ni:0.1 〜1.0 %、Cr:0.1 〜1.5 %、Mo:0.05〜0.5 %である。
【0017】
Nb:0.1 %以下、V:0.3 %以下、Ti:0.2 %以下、B:0.004 %以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Nb、V、Ti、Bは、炭化物、窒化物または炭窒化物として析出し、結晶粒の微細化と高強度化に寄与する元素であり、特に高温に加熱される接合部を有する鋼管では、接合時の加熱過程での粒の微細化や、冷却過程でフェライトの析出核として作用し、接合部の硬化を防止する効果もあり、必要に応じ1種または2種以上添加できる。しかし、多量添加すると、溶接性、靱性とも劣化するため、Nbは0.1 %、Vは0.3 %、Tiは0.2 %、Bは0.004 %をそれぞれ上限とした。なお、好ましくはNb:0.005 〜0.05%、V:0.05〜0.1 %、Ti:0.005 〜0.10%、B:0.0005〜0.002 %である。
【0018】
REM :0.02%以下、Ca:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種
REM 、Caは、いずれも介在物の形状を調整し加工性を向上させる作用を有しており、さらに、硫化物、酸化物または硫酸化物として析出し、接合部を有する鋼管での接合部の硬化を防止する作用をも有し、必要に応じ1種以上添加できる。REM が0.02%を超え、あるいは、Caが0.01%を超えると介在物が多くなりすぎ清浄度が低下し、延性が劣化する。なお、REM が0.004 %未満、Caが0.001 %未満ではこの作用による効果が少ないため、REM :0.004 %以上、Ca:0.001 %以上とするのが好ましい。
【0019】
素材組成における上記成分元素以外の組成部分(残部)は、Feおよび不可避的不純物からなる。
不可避的不純物としては、N:0.010 %以下、O:0.006 %以下、P:0.025 %以下、S:0.020 %以下が許容される。
N:0.010 %以下
Nは、Alと結合して結晶粒を微細化するに必要な量、0.010 %までは許容できるが、それ以上の含有は延性を劣化させるため、0.010 %以下に低減するのが好ましい。なお、より好ましくは、Nは0.002 〜0.006 %である。
【0020】
O:0.006 %以下
Oは、酸化物として清浄度を劣化させるため、できるだけ低減するのが好ましいが、0.006 %までは許容できる。
P:0.025 %以下
Pは、粒界に偏析し、靱性を劣化させるため、できるだけ低減するのが好ましいが、0.025 %までは許容できる。
【0021】
S:0.020 %以下
Sは、硫化物を増加し清浄度を劣化させるため、できるだけ低減するのが好ましいが、0.020 %までは許容できる。
次に、本発明の絞り圧延工程について説明する。
絞り圧延は、3ロール式の絞り圧延機(レデューサ)により行うのが好ましいが、3ロール式に限定されるものではない。レデューサは複数のスタンドをタンデムに配置した連続圧延可能なものがよい。スタンド数は被圧延管のレデューサ入側および出側での目標寸法により適宜定められる。
【0022】
本発明では、上記組成を有する素材を素管に加工した後、950 ℃〜Ar3 点で縮径率10%以上の絞り圧延(熱間低温域圧延という)を行い、次いでAr1 点以下まで冷却(中間冷却という)を行ってフェライト−パーライトからなるミクロ組織とし、次いでAc1 点〜400 ℃で縮径率20%以上の絞り圧延(温間圧延という)を行って、ミクロ組織がフェライト粒径2μm以下の微細かつ均一なフェライト、セメンタイト組織であるものとする。より好ましくは、加工後の素管に、熱間低温域圧延に先行して、950 ℃超で縮径率10%以上の絞り圧延(熱間高温域圧延という)を行う。
【0023】
図1は、本発明の絞り圧延方法を示す模式図であり、図中▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼は、熱間低温域圧延、中間冷却、温間圧延、熱間高温域圧延にそれぞれ対応する工程を示す。
工程▲1▼(熱間低温域圧延)は、変態前のオーステナイト組織を微細化するために必要なプロセスである。工程▲1▼での温度が950 ℃を超えると、オーステナイトの再結晶・粒成長が促進され、以後の工程▲2▼、▲3▼で微細なフェライト−パーライト組織にすることが困難になる。また、この温度がAr3 点未満になると、圧延中に析出したフェライトが優先的に加工され未変態オーステナイト部分の加工量が不十分となる結果、組織が不均一になる。このことから、工程▲1▼の温度域は950 ℃〜Ar3 点に限定される。また、工程▲1▼での縮径率が10%に満たないと、オーステナイト粒を十分に微細化させることができないため、工程▲1▼での縮径率は10%以上に限定される。
【0024】
また、工程▲4▼(熱間高温域圧延)を工程▲1▼に先行させることにより、工程▲1▼に入る材料のオーステナイト粒径をさらに細粒にすることができる。しかし、縮径率10%未満ではこの更なるオーステナイト細粒化効果がほとんど得られないため、工程▲4▼は、縮径率10%以上に限定される。なお、工程▲4▼を工程▲1▼と区別するために950 ℃超としたが、工程▲4▼先行付加による前記効果は1100℃超えではそれほど顕著でないため、工程▲4▼は950 ℃超1100℃以下の温度域にて行うのがよい。
【0025】
なお、素材を素管に加工する造管法によっては、加工後の材料温度が直ちには工程▲1▼あるいは工程▲4▼の圧延温度域に入らない場合があるが、高温側に外れているときには空冷あるいは強制冷却(水スプレー冷却、衝風冷却、ミスト冷却等)により、低温側に外れているときには加熱(輻射加熱、高周波加熱等)により、材料温度をこの圧延温度域にもってくることが容易である。
【0026】
工程▲2▼(中間冷却)は、工程▲1▼で形成した微細なオーステナイト組織をフェライト−パーライト組織に変態させるために必要なプロセスである。Ar3 点以上からAr1 点以下まで冷却することにより、マルテンサイト変態あるいはべイナイト変態を起こさせずにフェライト−パーライト組織とすることができる。なお、本発明における素材組成では、Ar3 点〜Ar1 点間の平均冷却速度は、200 ℃/min以下とするのが望ましい。中間冷却終了温度はAr1 点以下の範囲で任意に選択できるが、生産性及び省エネルギーの観点からすればAr1 点直下とするのが好ましい。
【0027】
工程▲3▼(温間圧延)は、フェライトに十分な加工歪を導入して粒径2μm以下にまで組織の微細化を達成するために必要なプロセスである。ここでの温度がAc1 点を超えると部分的にオーステナイト変態が生じるため組織が不均一になりやすい。また、400 ℃未満で絞り圧延すると、青熱脆性により脆化して圧延中に材料が破断するおそれがある。また、加工硬化が大きくなって焼付きが発生しやすく、製品での延性も低下する。このため、工程▲3▼の温度域はAc1 点〜400 ℃に限定される。また、縮径率20%未満の絞り圧延では、フェライト粒径を2μm以下に微細化することができないため、縮径率は20%以上に限定される。なお、フェライトの再結晶を促進させてより細粒化させる観点から、工程▲3▼では、少なくともいずれかの圧延パスの縮径率/パスを6%以上とするのが望ましい。
【0028】
工程▲2▼終了時の材料温度が直ちには工程▲3▼の圧延温度域に入らない場合、加熱(輻射加熱、高周波加熱等)または空冷もしくは強制冷却(水スプレー冷却、衝風冷却、ミスト冷却等)を行うことにより、材料温度をこの圧延温度域にもってくることができる。
【0029】
【実施例】
表1に組成を示す鋼A,B,C,F,G,H,I,Kを素材として、表2に示す素管(φ146.0 mm×T5.5 mm)に加工(造管)し、これら素管に、多スタンド・タンデム配置の3ロール式レデューサを用い以下の条件で工程▲1▼→▲2▼→▲3▼を連続実施して製品を得た。
【0030】
なお、工程に付記した管寸法はその工程での仕上寸法である(以下同じ)。
【0031】
また、表1に組成を示す鋼D,E,J,F,Lを素材として、表2に示す素管(φ192.0 mm×T12.0mm)に加工(造管)し、これら素管に、多スタンドの3ロール・レデューサを用い以下の条件で工程▲4▼→▲1▼→▲2▼→▲3▼を連続実施して製品を得た。
ここで、表2中素管の欄に「固相」と記した固相圧接鋼管は、熱延鋼帯を600 ℃に予熱炉で予熱後、複数の成形ロールで連続的に管状に成形し、その継ぎ目部を誘導加熱により、1000℃に予熱後未溶融温度域の1450℃まで加熱し、スクイズロールによりアプセットすることにより造管された。「SML」と記した継目無鋼管は、連続鋳造製ビレットを加熱しマンネスマンマンドレルミルにて穿孔圧延することにより造管された。「ERW」と記した電縫鋼管は、熱延鋼帯を複数の成形ロールで連続的に管状に成形しその継ぎ目部を誘導加熱により溶融温度域に加熱後スクイズロールによりアプセットする常法により造管された。
【0032】
なお、造管後の素管は一旦常温に冷却され、誘導加熱により工程▲1▼あるいは工程▲4▼の温度域に加熱された。工程▲2▼での冷却にはミスト冷却が採用された。工程▲2▼から工程▲3▼に至る間の材料は誘導加熱により加熱された。
絞り圧延後の製品について、引張特性、衝突衝撃特性、フェライト粒径を調査した結果を、比較のために一部の素材を造管後工程▲3▼のみによって製品としたもの、および造管のみによって製品としたものについて前記同様に調査した結果と併せて表2に示す。
【0033】
引張試験にはJIS 11号試験片を用い、伸びの値は、試験片サイズ効果を考慮して、換算式El=El0(√(a0/a))0.4(ここに、El0 :実測伸び,a0:定数292mm2,a :試験片断面積(mm2) )による換算値で評価した。衝突衝撃特性は、歪速度 2000s-1の高速引張試験を行い、得られた応力−歪曲線から歪量30%までの吸収エネルギーを求め、衝突衝撃吸収エネルギーとして評価した。(衝突衝撃特性は、実際に自動車が衝突する時の歪速度1000〜 2000s-1における材料の変形エネルギーで代表され、この値が大きいほど同特性が優れる。)
表2より、造管のみによる製品ではフェライト粒が9μm以上と大きく、温間圧延(工程▲3▼)によりかなり小さくすることができるが、最小でも3μm超の粒径にとどまるのに対し、本発明に従い熱間低温域圧延(工程▲1▼)→中間冷却(工程▲2▼)→温間圧延(工程▲3▼)を順次行うと、製品のフェライト粒が2μm以下に微細化し、さらに熱間低温域圧延(工程▲1▼)に先立って熱間高温域圧延(工程▲4▼)を行うとそれが1μm以下へとさらに微細化し、その結果、強度がより高くしかも延性及び耐衝突衝撃特性の格段に優れた鋼管が得られることが明らかである。
【0034】
本発明を実施するには、既存のレデューサに簡単な加熱手段(誘導加熱装置等)や冷却手段(ミスト冷却装置等)を付加するだけでよいから、大幅な工程改造を伴うことなく、高い生産性を維持することができる。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、大幅な工程改造を要さずに、フェライト粒を2μm以下に微細化させることができ、延性及び耐衝突衝撃特性の格段に優れた鋼管が高能率で生産できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の絞り圧延方法を示す模式図である。
Claims (3)
- C:0.005 〜0.30%、Si:0.01〜3.0 %、Mn:0.01〜4.0 %、Al:0.001 〜0.10%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる化学組成を有する素材を素管に加工した後、950 ℃〜Ar3 点で縮径率10%以上の絞り圧延を行い、次いでAr1 点以下まで冷却を行ってフェライト−パーライトからなるミクロ組織とし、次いでAc1 点〜400 ℃で縮径率20%以上の絞り圧延を行って、ミクロ組織がフェライト粒径2μm以下の微細かつ均一なフェライト、セメンタイト組織であるものとすることを特徴とする鋼管の絞り圧延方法。
- 前記素材を素管に加工した後、950 ℃〜Ar3 点で縮径率10%以上の前記絞り圧延を行う前に、950 ℃超で縮径率10%以上の絞り圧延を行う請求項1記載の方法。
- 前記素材の化学組成にさらに、Cu:1%以下、Ni:2%以下、Cr:2%以下、Mo:1%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上、および/または、Nb:0.1 %以下、V:0.3 %以下、Ti:0.2 %以下、B:0.004 %以下のうちから選ばれた1種又は2種以上、および/または、REM :0.02%以下、Ca:0.01%以下のうちから選ばれた1種又は2種が付加された請求項1または2記載の方法。
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