JP2000144224A - 炉床回転炉を用いた炭素含有鉄の製造方法および製造装置 - Google Patents

炉床回転炉を用いた炭素含有鉄の製造方法および製造装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 直接還元法を使用し、酸化鉄物質から高純度
の炭素含有鉄金属粒を効率よく製造することのできる方
法と装置を提供すること。 【解決手段】 炉床回転炉を利用して酸化鉄を直接還元
する装置と方法を開示するもので、炉床層は耐火物層ま
たは酸化鉄、炭素およびシリカ化合物からなるガラス質
炉床層で構成し、酸化鉄と炭素を入れる前に、耐火物層
またはガラス質炉床層の上に被覆物質を入れ、該被覆物
質により、溶融鉄による炉床層の損傷を防止し、この上
で炭素物質含有酸化鉄を加熱して酸化鉄を炭素物質によ
って還元し、生成する炭素含有鉄よりなる溶融小粒を冷
却固化して炉から取出し、鉄純度の高い固体金属粒を効
率よく製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化鉄を還元処理
して炭素含有鉄を得る鉱石処理の改良された方法と装置
に関し、より詳細には、高純度の鉄を効率よく製造する
方法と、酸化鉄を還元するのに改良された炉装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】Midrex社は1987年に、炉床回転炉を
用いた酸化鉄の還元法、および炉床回転炉に還元ガスと
燃料を導入することによりエネルギー消費量を抑えつ
つ、比較的小型の溶鉱炉を用いる操業方法を開発し、米
国特許第 4,701,214号を取得している。
【0003】主要な製鋼プロセスでは、何れもプロセス
原料として鉄含有物質の使用を必要としている。転炉を
用いる製鋼法では、通常、鉄含有物質として高炉ホット
メタルと鋼鉄スクラップが使用される。広く用いられて
いる鉄源は直接還元鉄(DRI)と呼ばれており、これ
は溶融状態の鉄を経ることなく、鉄鉱石の固体還元によ
り製造されている。DRIおよび/または鋼鉄スクラッ
プは電気炉を用いた製鋼でも使用されている。
【0004】この分野では、酸化鉄が炉床表面で効率的
に精製鉄に還元され、一方では、スラグ成分が高温で精
製鉄から分離され、炭素分の少ない(5質量%以下)高
純度の鉄を効率的に製造し得る様な改良された方法と炉
が求められている。
【0005】1998年にMidrex Internationalは、FA
STMET(という商号・商標によって知られた改良方法と、
回転炉床上にせいぜい2層程度重ねられた酸化鉄と炭素
の乾燥成形体を、約1316〜1427℃の温度に短時
間加熱して直接還元鉄を製造する装置を開発し、米国特
許第5,730,775号を得ている。この米国特許は、最近の
当該分野について理解を深める上で参考になる文献であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、高温の炉床回転炉において、高温の炉床表面で酸化
鉄を効率よく還元すると共に、精製鉄からスラグ成分を
分離して、炭素濃度が1〜5質量%の高純度鉄を効率よ
く製造することのできる方法を提供することにある。
【0007】本発明のもう一つの目的は、還元処理炉に
おいて高温で酸化鉄を効率よく還元する方法を提供する
ことである。
【0008】本発明の更に他の目的は、炉内で生成した
鉄とスラグ成分の分離を促進するために炉床層表面で高
純度鉄を冷却し、高純度鉄を得る改良された炉装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成した本発
明に係る第1の発明は、炭素物質含有酸化鉄物質から炭
素含有鉄を製造する方法において、(a)炉床層表面を有
する炉床回転炉を使用し、(b)前記炉床層表面に炭素物
質含有酸化鉄物質を供給し、(c)該炭素物質含有酸化鉄
物質を加熱し、(d)該炭素物質含有酸化鉄物質中の酸化
鉄を炭素物質によって還元し、(e)前記炉床層表面上に
炭素含有鉄からなる溶融小粒とスラグ粒子を生成させ、
次いで前記溶融小粒を前記スラグ粒子から分離し、(f)
冷却表面を用いて前記溶融小粒を冷却固化し、(g)冷却
固化した炭素含有鉄からなる固体金属粒と前記スラグ粒
子を前記炉から取り出す、工程を含むところに要旨を有
している。
【0010】該第1の発明を実施するに当たっては、前
記炉床回転炉の前記炉床層表面に、酸化鉄、炭素および
シリカ化合物を接触させて、該炉床層表面にガラス質層
を形成しておくことが望ましく、また、炉床回転炉の該
炉床層表面に、更に、酸化マグネシウム化合物、酸化珪
素化合物、酸化アルミニウム化合物、酸化鉄化合物およ
び炭素物質よりなる群から選択される少なくとも1種の
化合物を含む被覆物質を導入して保護層を構成しておく
ことも、好ましい実施形態として推奨される。
【0011】更に ・前記加熱工程では、前記回転炉の内側において、14
50℃〜約1600℃の温度にある複数の放射熱源を用
いて、前記炭素物質含有酸化鉄物質を加熱し、 ・前記還元工程では、前記炉の内側において、1450
℃〜約1540℃の温度にある複数の放射熱源を用いて
加熱し、前記炭素物質による前記酸化鉄の還元を行な
い、 ・前記還元工程では、前記炉床層表面において、140
0℃〜約1500℃の温度にある複数の放射熱源を用い
て、前記炭素物質含有酸化鉄物質を加熱する工程が含ま
れ、 ・該還元工程では、前記炉床層表面において、1410
℃〜約1480℃の温度にある複数の放射熱源を用いて
前記炭素物質含有酸化鉄物質を加熱し、 ・前記供給工程では、前記炭素物質含有酸化鉄物質を導
入する前に、酸化鉄、炭素およびシリカ化合物を含む前
記ガラス質層を形成し、 ・前記冷却固化工程では、前記炉床層表面近傍に配置さ
れた冷却表面で、前記取出し工程の前に、該冷却表面で
前記溶融小粒を冷却して前記炉床表面で炭素含有鉄から
なる固体金属粒を作るといった各工程を単独で、もしく
は適宜組み合わせて採用することも、上記第1の発明を
より効率よく実施するための好ましい実施態様として推
奨される。
【0012】また本発明に係る第2の発明は、酸化鉄
を、固形の炭素含有鉄に直接還元する装置であって、
(a)内側に耐火物からなる炉床層を有する炉、(b)前記
炉床層へ被覆物質を導入する手段、(c)前記炉床層また
は前記耐火物層上に炭素物質含有酸化鉄物質を配置する
手段、(d)前記炉床層、前記被覆物質および前記炭素物
質含有酸化鉄物質を加熱する手段、(e)前記炭素物質含
有酸化鉄物質中の酸化鉄を炭素物質により還元して炭素
含有鉄からなる溶融小粒とスラグ粒子を生成させ、前記
溶融小粒を前記スラグ粒子から分離する手段、(f)前記
炉床層の上で前記炭素含有鉄からなる溶融小粒を冷却
し、炭素含有鉄からなる固体金属粒を形成する手段、
(g)前記炉から、前記固体金属粒と前記スラグ粒子を取
り出す手段、を有するところに要旨を有している。
【0013】該第2の発明においては、 ・前記炉を、回転可能な炉床表面を有する炉床回転炉と
する、 ・前記耐火物からなる炉床層に、酸化鉄とシリカ化合物
からなるガラス質層が形成され、該ガラス質層は、前記
炉床層に前記被覆物質を導入する前に、前記導入手段に
よって配置される構成とする、 ・前記被覆物質を導入する手段として、粒子移動コンベ
アが含まれ、該コンベアで前記被覆物質を前記炉床層に
導入する様に構成する、 ・前記被覆物質として、酸化鉄化合物、シリケート化合
物、酸化マグネシウム化合物、酸化珪素化合物、酸化ア
ルミニウム化合物および炭素物質よりなる群から選択さ
れる1種以上の化合物が含まれる、 ・前記被覆物質には、更に、炭素質物質からなる別の層
が含まれ、該炭素質物質と前記被覆物質が前記導入手段
により前記炉床層に導入される様に構成する、 ・前記被覆物質には、更に炭素質物質が含まれ、前記酸
化鉄と炭素物質が前記炉床層に配置される前に、前記炭
素質物質が前記導入手段により前記炉床層へ導入される
様に構成する、 ・前記炭素物質含有酸化鉄物質を配置する手段はコンベ
アを有しており、該コンベアにより前記炭素物質含有酸
化鉄物質を前記炉床層に配置する様に構成する、 ・前記加熱手段には、1450℃から約1600℃まで
の温度範囲で熱を供給できる複数の放射熱源が含まれ、
該放射熱源により前記炉床層を該温度範囲に保持する様
に構成する、 ・前記加熱手段は、前記炉内の前記炉床層において14
00℃から約1600℃までの温度範囲の熱を供給でき
る複数の放射熱源を含む、 ・前記加熱手段は、前記炉内の前記炉床層の温度を14
50℃から約1530℃の温度範囲に加熱する複数の放
射熱源を含む、 ・前記炉床層において前記炭素含有鉄からなる溶融小粒
を冷却する前記手段には、前記炉床層表面近傍に配置さ
れた冷却表面が含まれ、該冷却表面は前記炉床層上に延
長した冷却プレートが含まれる、 ・前記炭素含有鉄からなる固体金属粒を取り出す前記手
段には排出機構が含まれ、該排出機構には、該固体金属
粒を受け入れるコンベアが含まれる、といった様々の構
成を単独で、もしくは適当に組み合わせて適用すること
は、第2の発明を実施する際のより好ましい実施形態と
して推奨される。
【0014】更に本発明に係る第3の構成は、炭素物質
含有酸化鉄物質から、炭素含有鉄よりなる固体金属粒を
製造する方法において、(a)サブ炉床層表面を備えた炉
を使用し、(b)酸化鉄化合物、炭素物質およびシリカ化
合物を含むコンディショニング物質を前記サブ炉床層表
面に導入し、(c)該コンディショニング物質を加熱し
て、少なくとも酸化鉄とシリカ化合物を含むガラス質層
を形成し、(d)前記ガラス質層の上に炭素物質含有酸化
鉄物質を配置し、(e)該炭素物質含有酸化鉄物質を加熱
して、該物質中の酸化鉄を炭素物質によって還元し、
(f)前記ガラス質層の上に炭素含有鉄からなる溶融小粒
とスラグ粒子を生成させると共に、前記ガラス質層の上
で、上記溶融小粒と前記スラグ粒子を分離し、(g)前記
ガラス質層の上で上記溶融小粒を冷却して、炭素含有鉄
からなる固体金属粒を形成し、(h)前記炉から該固体金
属粒および前記スラグ粒子を取り出す、工程を含むとこ
ろに要旨を有している。
【0015】該第3の発明を実施する際においても、 ・前記炉として、回転可能な炉床表面を有する炉床回転
炉を使用し、 ・前記コンディショニング物質を導入する工程では、更
に、酸化マグネシウム化合物、酸化珪素化合物、酸化ア
ルミニウム化合物、酸化鉄化合物および炭素質化合物よ
りなる群から選択される1種以上の追加コンディショニ
ング物質を用意し、 ・前記加熱工程には、1450℃から約1600℃まで
の温度範囲で熱を供給する複数の放射熱源を用いた前記
被覆物質の加熱が含まれ、 ・前記還元工程には、前記炉内で1410℃から約14
80℃までの温度範囲で熱を供給する複数の放射熱源
に、前記炭素物質含有酸化鉄物質を曝す工程が含まれ、 ・前記炭素含有鉄からなる溶融小粒の前記冷却工程に
は、前記ガラス質層近傍に冷却表面を設けることが含ま
れ、該冷却工程で前記炭素含有鉄からなる溶融小粒を冷
却し、前記ガラス質層の上で炭素含有鉄からなる固体金
属粒を作る様に構成する、といった様々の要件を単独
で、もしくは適当に組み合わせて適用することも、第3
発明を実施する際の好ましい実施形態である。
【0016】更に本発明に係る第4の発明は、炭素物質
含有酸化鉄物質から炭素含有鉄を製造する方法におい
て、(a)サブ炉床層表面を備えた炉を使用し、(b)酸化
鉄化合物、炭素物質およびシリカ化合物を前記サブ炉床
層表面に導入し、(c)これらの化合物を加熱して、少な
くとも酸化鉄とシリカ化合物を含むガラス質層を形成
し、(d)該ガラス質層の上に被覆物質を配置してガラス
質被覆炉床層を形成し、(e)前記炭素物質含有酸化鉄物
質を前記ガラス質被覆炉床層の上に配置し、(f)前記ガ
ラス質被覆炉床層の上で前記炭素物質含有酸化鉄物質を
加熱して、該炭素物質含有酸化鉄物質中の酸化鉄を炭素
物質により還元し、(g)前記ガラス質被覆炉床層の上
で、炭素含有鉄からなる溶融小粒とスラグ粒子を生成さ
せ、(h)前記ガラス質被覆炉床層の上で上記溶融小粒を
冷却して、前記スラグ粒子から分離した前記炭素含有鉄
からなる固体金属粒を形成し、(i)前記炉から該固体金
属粒と前記スラグ粒子を取り出す、工程を含むところに
要旨が存在する。
【0017】該第4の発明を実施する際においても ・前記炉として、回転可能な炉床表面を有する炉床回転
炉を使用し、 ・前記被覆物質を配置する前記工程には、更に、酸化マ
グネシウム化合物、酸化珪素化合物、酸化アルミニウム
化合物、炭素質化合物および酸化鉄化合物よりなる群か
ら選択される1種以上の化合物を配置する工程が含ま
れ、 ・前記加熱工程には、1450℃から約1600℃まで
の温度範囲で熱を供給する複数の放射熱源を用いが前記
化合物の加熱が含まれ、 ・前記還元工程には、前記炉内で1410℃から約14
80℃までの温度範囲で熱を供給する複数の放射熱源に
前記炭素物質含有酸化鉄物質を曝す工程が含まれ、 ・前記炭素含有鉄からなる溶融小粒の前記冷却工程に
は、前記ガラス質炉床表面近傍に冷却表面を設けること
が含まれ、前記取出し工程の前に、前記冷却表面により
前記炭素含有鉄からなる溶融小粒を冷却し、前記ガラス
質層の上で炭素含有鉄からなる固体金属粒を作る構成と
する、といった構成を単独で、もしくは適当に組み合わ
せて採用することは、前記第4の発明を実施する際の好
ましい実施形態として推奨される。
【0018】
【発明の実施の形態および実施例】前述した本発明の目
的は、高温の炉内で酸化鉄を直接還元して精製鉄を製造
する方法により達成される。この方法には、サブ炉床層
を有する炉床回転炉を用い、酸化鉄、炭素およびシリカ
からなるコンディショニング物質を導入し、次いで該コ
ンディショニング物質を加熱して炉床層上にガラス質の
層を形成し、その上に炭素物質含有酸化鉄物質よりなる
(原料)塊状物を配置する工程が含まれている。
【0019】コンディショニング物質を加熱する工程で
は、塊状化した炭素物質含有酸化鉄物質を特定の温度で
加熱し、該物質中の酸化鉄を炭素物質によって還元す
る。この還元によって生成する精製鉄の溶融小粒は、炉
内の炉床層表面でスラグ成分から分離する。そして、分
離工程に続く冷却工程で、炉床層に近接して配置された
冷却手段により、精製鉄の溶融小粒が炉内で冷却されて
固化し、固化スラグを含まない精製鉄が炉から排出され
る。固化スラグは、別途炉から排出される。
【0020】本発明の目的は、炉床上に被覆物質を配置
して作られた反応性のない炉床表面を有し、その炉床表
面に酸化鉄物質と炭素物質を含む塊状物を配置し、炉床
回転炉内において高温で直接還元鉄を製造する装置によ
っても達成される。炉床層には、炭素物質含有酸化鉄物
質からなる塊状物が導入される前に、炉床の耐火物層上
に形成される酸化鉄とシリカ化合物からなるガラス質層
を含む。
【0021】被覆物質と、炭素物質含有酸化鉄物質から
なる塊状物は、特定の温度に加熱され、該炭素物質含有
酸化鉄物質中の酸化鉄が炭素物質によって還元された
後、精製鉄の溶融小粒は炉床層でスラグ成分と被覆物質
から分離される。生成する高純度鉄と少量の炭素を含む
溶融小粒は、炉床層または耐火物表面に近接して配置さ
れた冷却装置に曝され、該炉床層上に配置された冷却手
段の近傍を通過して冷却・固化される。炉床層または耐
火物表面で冷却手段を通過して冷却・固化した少量の炭
素を含む鉄からなる固体金属粒は、炉内で生成したスラ
グ粒子とは別に炉床回転炉の外側で集めるために炉床層
から取り出される。
【0022】炉を用いた酸化鉄の直接還元において、本
発明では、炭素物質を含む酸化鉄原料から高純度鉄を製
造する方法を採用することにより、炉床回転炉の利用状
態を改良している。この方法には、サブ炉床層に酸化
鉄、炭素およびシリカ化合物を導入することにより形成
される耐火物層またはガラス質炉床層からなる炉床層を
有する炉床回転炉を使用する。即ち、ガラス質炉床層を
構成する酸化鉄、炭素およびシリカ化合物を加熱して被
覆炉床層を形成するために、炉床表面に被覆物質を配置
し、炉および被覆炉床層に炭素物質含有酸化鉄物質を供
給し、被覆炉床層の上で該物質を加熱することにより酸
化鉄を炭素物質によって還元し、副生するスラグを分離
して被覆炉床層上に炭素含有鉄からなる溶融小粒を形成
し、これを冷却して炭素含有鉄からなる固体金属粒をつ
くり、そして炉から該固体金属粒と副生スラグを排出す
る工程が含まれている。
【0023】改良された本発明の装置には、炉床層また
は耐火物表面に近接して配置された冷却表面を有する炉
床回転炉が含まれ、該冷却表面は、炭素含有鉄の溶融小
粒を冷却して低炭素で鉄分純度の高い固体金属粒に変
え、この固体金属粒はガラス質炉床層から取り出され
る。
【0024】この方法と装置の改良により、鉄分純度が
高く低炭素量の固体金属粒を得ることができ、得られる
固体金属粒はスラグ粒子から分離され、炉床において鉄
純度を下げることなく炉から金属粒として排出される。
かくしてこの固形金属粒は、鉄分が約95質量%以上で
炭素分が約5質量%以下の鉄純度の高い固体金属粒とし
て得られる。
【0025】実施例1 図面、特に図1を参照しつつ本発明を説明すると、酸化
鉄の還元に直接還元炉10が利用される。図示した炉床
回転炉(RHF)10などの炉のサイズは、約1〜約7
m、またはそれ以上の幅の有効炉床幅を有し、製鉄工業
で利用される典型的な炉床炉のサイズと同じである。R
HF10には、物質供給ゾーン12から、回転可能な耐
火物表面またはガラス質炉床層表面30、2個か3個の
バーナゾーン14,16,17を介して、反応ゾーン1
7と排出ゾーン18がある(図1参照)。
【0026】耐火物表面またはガラス質炉床層表面30
は、連続操業されるゾーン12,14,16,17,1
8を介して、排出ゾーン18から物質供給ゾーン12ま
で反復様式で回転可能に構成されている。バーナゾーン
14,16,17では、それぞれ複数の空気/燃料、オ
イル燃焼、石炭燃焼または酸素富化バーナ20,22に
より加熱される。
【0027】物質供給ゾーン12には、炭素物質含有酸
化鉄からなる原料塊状物28(「グリーンボール」とも
呼ばれる)を装入する開口部24および供給機構26が
ある。酸化鉄、炭素物質およびシリカ(酸化硅素)から
なる最初の層を耐火物サブ炉床の上に置いてガラス質層
を形成し、その層の上に前記原料塊状物28を供給す
る。
【0028】耐火物層表面またはガラス質炉床層表面3
0に形成された被覆物質36には、酸化鉄化合物、シリ
カ化合物および炭素物質が含まれている。これらの化合
物は、スプレイ・インジェクター32または固体物質コ
ンベア34により供給される(図2〜5参照)。原料塊
状物28は、前記表面30の幅を有するレベラー29に
よって、耐火物表面または炉床層表面30上で好適な高
さに均される。そして、可変速駆動装置(図示していな
い)によって該表面30を回転させながら、供給機構2
6により原料塊状物28がRHF10に連続的に供給さ
れる。従って、RHF10内および各ゾーン14,1
6,18内における原料塊状物の保持時間は、可変速駆
動装置を調節することによりコントロールできる。
【0029】物質供給ゾーン12の領域および原料塊状
物28の供給ホッパ27から供給機構26の上流に配置
されているのは、石炭粉末、シリカ、酸化鉄、黒鉛およ
び粗い酸化鉄から生じた微粒子などの被覆物質36を導
入する手段32,34である。一つ以上の固体物質コン
ベア34(図3,5)により、これら被覆物質36およ
び追加の被覆物質38を耐火物層表面またはガラス質炉
床層表面30上に供給し、別々の層として形成される。
【0030】これらの物質36,38が微粒子である場
合は、物質36,38を液体キャリアと混合してスプレ
イ・インジェクタ32により塗布する。該インジェクタ
32は内側から冷却し、被覆物質を表面30に微粒子と
して塗布できる様に、液体スプレイ状で導入する(図
2,4)。物質36,38を液体キャリアなしでRHF
10上に供給する場合は、コンベア34を耐火物層また
はガラス質炉床層30に接近させ、且つ炉床層表面30
の幅を横断して被覆物質36と追加の被覆物質38を供
給する(図2〜5)。
【0031】被覆物質36には、酸化鉄化合物、シリカ
化合物および炭素物質が含まれる。追加の被覆物質38
には、次の化合物、すなわち酸化鉄、シリカ、酸化マグ
ネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al23)、
酸化珪素(SiO2)、酸化鉄の還元と溶融から発生し
た微粒子および炭素質物質の1種以上を含むことができ
る。被覆物質36と追加の被覆物質38のサイズは任意
であるが、10mm未満のものがよく、より好適には約
1mm以下のものである。被覆物質36,38の嵩密度
は、約0.5g/cm3以上が好ましい。被覆物質36,
38によって形成される層の厚さは、約0.1mm以上
が好ましい。
【0032】RHFの耐火物層表面またはガラス質炉床
層表面30には、被覆物質36と追加の被覆物質38が
導入されるが、これらの表面30では、約1500〜約
1600℃の炉床温度で熱処理することができる。好適
な炉床温度は約1530〜約1550℃である。加熱ゾ
ーン14,16を通過して回転した後、被覆物質36,
38は冷却される。冷却手段(装置)は、内部に冷却液
が流されているプレート48であり、このプレート48
は排出ゾーン18の前に配置されている。このプレート
48は表面30に近接しており、且つ表面30の幅に及
んでおり、表面30の近くに比較的温度の低いゾーンを
形成する。
【0033】ゾーン17(図1参照)における好ましい
燃焼温度は約1450〜約1600℃である。酸化鉄と
炭素物質を含む塊状物28は、約1400〜約1500
℃の温度に保持される。該塊状物28を保持するより好
ましい温度は約1410〜約1480℃である。
【0034】炉床層表面30と被覆物質36およびその
上の追加の化合物38を加熱する手段としては、バーナ
ゾーン14,16または17の炉外殻に配置された燃料
バーナが、RHF10を加熱するものとは別に設けられ
ている。バーナ燃料としては、空気または酸素富化空気
を用いて燃焼するコークス炉ガス、天然ガス、燃料油お
よび/または微粉炭などの如く、鉄を扱う工業で通常利
用されている燃料混合物を使用できる。
【0035】被覆物質36および/または追加の被覆物
質38が表面30上に導入された後、塊状物28などの
供給機構26、または他の標準的連続または間欠ベルト
コンベアもしくはスパイラルコンベアからなる塊状物2
8および他の供給物質の供給手段によって、表面30、
被覆物質36,38の上層へ塊状物28等の供給が行わ
れる(図1)。
【0036】炭素物質含有酸化鉄からなる塊状物28は
加熱され、そして回転可能な炉床層上で第1ゾーン14
から第2ゾーン16、または必要であれば第3のゾーン
(図示していない)に移される。バーナゾーン14,1
6および17において該塊状物28は加熱され、該塊状
物28中の酸化鉄は同塊状物中の炭素物質によって還元
され、上記温度で、炭素含有鉄よりなる溶融小粒が生成
し、冷却装置48を有する反応ゾーンにおいて該溶融小
粒の固化が起こる。被覆物質36,38は、還元フェー
ズの間の炉床層30の損傷を抑える。追加の被覆物質3
8は、塊状物28から生成した反応性の高純度の溶鉄に
対するバリアとなり、溶鉄を炉床層30の被覆層上に留
まらせる。
【0037】RHFの操業により製造される溶融金属の
最適中間体は、溶融状態で約95質量%の鉄と約5質量
%の炭素を有する高純度鉄の溶融小粒41である。該溶
融小粒からなる好ましい中間体は、炉床層30の上にお
いて約95.5〜97.5質量%の鉄と約2.5〜4.5質
量%の炭素からなる溶融小粒41である。
【0038】表面30に導入された追加の被覆物質38
の具体的な効果には、酸化鉄と炭素物質を含む塊状物2
8を加熱し、酸化鉄を還元・溶融したときに副生するス
ラグや脈石成分(図示していない)を分離し、炭素含有
鉄からなる溶融小粒41として生成させ、物理的に分離
された炭素含有鉄の溶融小粒41を与えることである。
【0039】炭素含有鉄からなる溶融小粒41は、炉床
層表面30上で塊状物28の内外で生成し、そしてバー
ナゾーン14,16および/または反応ゾーン17で、
高純度鉄の溶融小粒41となる。該溶融小粒41は、炉
床層表面30でスラグや脈石成分から分離されており、
また炉床層表面30は被覆されているので、該溶融小粒
41が炉床層表面30に吸収されることはない。従っ
て、高度に精製された固形鉄(鉄分は95質量%を超え
ている)からなる固体金属粒42は、炉床層表面30や
RHF10の他の内表面で他の脈石粒子やスラグ成分で
汚染されることなく、排出ゾーン18から回収できる。
【0040】被覆物質36や追加の被覆物質38の層
は、RHF10のプロセスサイクルの間に、生成した固
形金属粒42が排出され、そして原料塊状物28が炉床
層表面30に供給される前に、定期的または連続的に被
覆物質36,38を追加供給することによって元に戻す
ことができる。
【0041】高純度の鉄と低濃度の炭素を含む固形金属
粒42は、表面30の上に配置された連続または間欠式
のベルト・スクリューやスパイラル式コンベア等の排出
コンベア50の如き標準的な排出機構により、回転する
炉床層表面30の排出ゾーン18から取り出される(図
8参照)。残留スラグを冷却分離した後の精製鉄金属粒
42は、FASTMET(などの従来の炉床炉技術によって製造
されたものよりも鉄純度が高く炭素含有量が低い。
【0042】実施例2 RHF10を用いた前記実施例1とは別の操業形態で
は、酸化鉄およびシリカからなるガラス質層36および
コンディショニング物質層38が、炉床層表面30とし
て予め形成されている。酸化鉄とシリカからなるガラス
質炉床層30は、炉床層上に生成する高純度鉄含有溶融
小粒41による損傷を防止する作用を発揮する。
【0043】この実施例2では、酸化鉄、シリカ、酸化
マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al
23)、酸化珪素(SiO2)、石炭粉末および酸化鉄
の還元と溶融から発生した炭素微粒子などの被覆物質
が、炉床層表面30に供給される。回転して加熱ゾーン
14,16,17を通過した後、被覆物質38は冷却さ
れる。冷却装置は、内部に冷却液が流れているプレート
48であり、このプレート48は排出ゾーン18の前に
配置されている。プレート48は炉床層表面30に近接
して配置されており、また、その幅に及んでいる。
【0044】別の実施例では、炭素質被覆物質38を炉
床層表面30上に配置し、別個の炭素層(図示していな
い)を形成することができる。この炭素質物質38は、
溶融小粒41や固形金属粒42によって炉床層表面30
を損傷させることなしに、溶融小粒41(図6参照)お
よび固体金属粒42の形成を促進する反応性のない炭素
層として役立つ。スラグ粒子および炉床層表面30から
分離された状態で溶融小粒41や固体金属粒42が生成
する様に制御することにより、鉄分が約95質量%で炭
素分が約5質量%の高純度の鉄を固形金属粒として得る
ことができる。
【0045】この様に本発明によれば、コストを上げ
ず、処理時間を延長することなく、更には炉温を過度に
上げることなく、炉床回転炉で鉄分純度が高く且つ炭素
分の低い固体金属粒を効率よく製造することができる。
【0046】また本発明によれば、炉床層表面30に酸
化鉄、シリカ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、
シリケート化合物および/または炭素物質等からなる特
定の被覆物質により表面保護層を形成して、炭素分含量
が低く且つ鉄純度の高い固形金属粒の生産を実現してい
る。回転可能な炉床層表面30に炭素物質含有酸化鉄か
らなる塊状物を供給する前に、該炉床層表面に被覆物質
を供給して種々の組成の保護層を形成することにより、
炉床層表面の劣化を防止しつつ鉄純度が高く炭素濃度の
低い固体金属粒を得ることができる(図7参照)。
【0047】また本発明によれば、普通の炉温におい
て、耐火物層またはガラス質層に被覆物質を設けた保護
層を形成し、この様な被覆または結合状態を形成するこ
とによって、高純度鉄と低濃度の炭素からなる固体金属
粒を炉から取り出す際の耐火物層などの劣化が防止され
ると共に、RHF10内における鉄分ロスも抑えること
ができる。
【0048】なお、当業者が本発明を容易に実施できる
様に、好適な実施態様を参考にして本発明を詳細に説明
したが、上記で述べた説明と具体的な実施態様は、この
発明の形態と原理を単に説明するだけのものであり、上
記発明の精神と範囲を逸脱することなく、前記方法や装
置の構成を種々変更したり追加態様を付加することは、
いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0049】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、低
コストで処理時間を延長することなく、更には炉を過度
に高温にすることなく、鉄分純度が高く炭素含有量の少
ない固体金属粒状の生産物として効率よく製造すること
のできる方法と装置を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化鉄を還元して溶融鉄の小粒を製造際に、炉
床層表面および高純度の鉄と少量の炭素からなる溶融小
粒を炉内で冷却する手段を採用した炉床回転炉の概略平
面図である。
【図2】本発明に特有の、炉床層表面への被覆物質のス
プレー導入と、被覆炉床層の形成、被覆炉床層への炭素
物質含有酸化鉄からなる塊状物の供給例を示す概略平面
図である。
【図3】本発明に特有の、固体状の被覆物質の配置、被
覆炉床層の形成、被覆炉床層への原料塊状物の配置を例
示する概略平面図である。
【図4】この発明に特有の、多数の被覆物質を炉床層表
面にスプレイして被覆層を形成し、その上に原料塊状物
を供給して平らに均らされる状態を示す説明図である。
【図5】この発明に特有の、多数の層を含む固体被覆物
質を炉床層表面に配置して被覆表面を形成し、その上に
原料塊状物を配置し平らに均らされる状態を示す説明
図。
【図6】この発明に特有の、スラグ粒子から分離し、炉
床層表面上に生成した高純度鉄と低濃度の炭素からなる
溶融小粒の状態を示す側面説明図である。
【図7】この発明に特有の、炉床層表面に近接して配置
された冷却手段を有する、高純度鉄と低濃度の炭素から
なる溶融小粒を冷却する手段をしめす側面説明図であ
る。
【図8】この発明に特有の、炉床層表面から、高純度鉄
と低濃度炭素からなる固形金属粒を取り出すための排出
機構を例示する概略説明図である。
【符号の説明】
10 炉床回転炉 12 物質供給ゾーン 14、16 バーナゾーン(加熱ゾーン) 18 排出ゾーン 20、22 バーナ 26 供給機構 30 炉床層表面 32 スプレイ・インジェクタ 34 コンベア 48 冷却プレート 50 排出コンベア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浦上 昭 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 株 式会社神戸製鋼所 東京本社内 (72)発明者 谷垣 恭広 大阪市中央区備後町4丁目1番3号 株式 会社神戸製鋼所 大阪支社内 (72)発明者 小林 勲 大阪市中央区備後町4丁目1番3号 株式 会社神戸製鋼所 大阪支社内 (72)発明者 津下 修 大阪市中央区備後町4丁目1番3号 株式 会社神戸製鋼所 大阪支社内 (72)発明者 菊池 晶一 大阪市中央区備後町4丁目1番3号 株式 会社神戸製鋼所 大阪支社内 (72)発明者 伊東 修三 大阪市中央区備後町4丁目1番3号 株式 会社神戸製鋼所 大阪支社内 (72)発明者 デイヴィッド シー マイスナー アメリカ合衆国 28270 ノースカロライ ナ州 シャーロット ハンプトンオークス レーン 9527 (72)発明者 グレン イー ホフマン アメリカ合衆国 29720 サウスカロライ ナ州 ランカスター ジョンクライバーン ロード 1092 (72)発明者 カイル ジェイ シュープ アメリカ合衆国 28210 ノースカロライ ナ州 シャーロット ウイローリッジドラ イブ 9411−2A

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素物質含有酸化鉄物質から炭素含有鉄
    を製造する方法において、 (a)炉床層表面を有する炉床回転炉を使用し、 (b)前記炉床層表面に炭素物質含有酸化鉄物質を供給
    し、 (c)該炭素物質含有酸化鉄物質を加熱し、 (d)該炭素物質含有酸化鉄物質中の酸化鉄を炭素物質に
    よって還元し、 (e)前記炉床層表面上に炭素含有鉄からなる溶融小粒と
    スラグ粒子を生成させ、次いで前記溶融小粒を前記スラ
    グ粒子から分離し、 (f)冷却表面を用いて前記溶融小粒を冷却固化し、 (g)冷却固化した炭素含有鉄からなる固体金属粒と前記
    スラグ粒子を前記炉から取り出す、工程を含むことを特
    徴とする炭素含有鉄の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記炉床回転炉の前記炉床層表面に、酸
    化鉄、炭素およびシリカ化合物を接触させ、前記炉床層
    表面にガラス質層を形成する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記炉床回転炉の前記炉床層表面に、更
    に、酸化マグネシウム化合物、酸化珪素化合物、酸化ア
    ルミニウム化合物、酸化鉄化合物および炭素物質よりな
    る群から選択される少なくとも1種の化合物を含む被覆
    物質を導入する請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記加熱工程では、前記回転炉の内側に
    おいて、1450℃〜約1600℃の温度にある複数の
    放射熱源を用いて、前記炭素物質含有酸化鉄物質を加熱
    する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記還元工程では、前記炉の内側におい
    て、1450℃〜約1540℃の温度にある複数の放射
    熱源を用いて加熱し、前記炭素物質による前記酸化鉄の
    還元を行なう請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記還元工程では、前記炉床層表面にお
    いて、1400℃〜約1500℃の温度にある複数の放
    射熱源を用いて、前記炭素物質含有酸化鉄物質を加熱す
    る工程が含まれる請求項1〜5のいずれかに記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 前記還元工程では、前記炉床層表面にお
    いて、1410℃〜約1480℃の温度にある複数の放
    射熱源を用いて前記炭素物質含有酸化鉄物質を加熱する
    工程が含まれる請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記供給工程では、前記炭素物質含有酸
    化鉄物質を導入する前に、酸化鉄、炭素およびシリカ化
    合物を含む前記ガラス質層の形成を行なう工程が含まれ
    る請求項2〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記冷却固化工程では、前記炉床層表面
    近傍に配置された冷却表面で、前記取出し工程の前に、
    該冷却表面で前記溶融小粒を冷却して前記炉床表面で炭
    素含有鉄からなる固体金属粒を作る工程が含まれる請求
    項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 酸化鉄を、固形の炭素含有鉄に直接還
    元する装置において、 (a)内側に耐火物からなる炉床層を有する炉、 (b)前記炉床層へ被覆物質を導入する手段、 (c)前記炉床層または前記耐火物層上に炭素物質含有酸
    化鉄物質を配置する手段、 (d)前記炉床層、前記被覆物質および前記炭素物質含有
    酸化鉄物質を加熱する手段、 (e)前記炭素物質含有酸化鉄物質中の酸化鉄を炭素物質
    により還元して炭素含有鉄からなる溶融小粒とスラグ粒
    子を生成させ、前記溶融小粒を前記スラグ粒子から分離
    する手段、 (f)前記炉床層の上で前記炭素含有鉄からなる溶融小粒
    を冷却し、炭素含有鉄からなる固体金属粒を形成する手
    段、 (g)前記炉から、前記固体金属粒と前記スラグ粒子を取
    り出す手段、を有することを特徴とする炭素含有鉄の製
    造装置。
  11. 【請求項11】 前記炉が、回転可能な炉床表面を有す
    る炉床回転炉である請求項10に記載の装置。
  12. 【請求項12】 前記耐火物からなる炉床層に、酸化鉄
    とシリカ化合物からなるガラス質層が形成され、該ガラ
    ス質層は、前記炉床層に前記被覆物質を導入する前に、
    前記導入手段によって配置される請求項10または11
    に記載の装置。
  13. 【請求項13】 前記被覆物質を導入する手段として、
    粒子移動コンベアが含まれ、該コンベアで前記被覆物質
    を前記炉床層に導入する請求項10〜12のいずれかに
    記載の装置。
  14. 【請求項14】 前記被覆物質として、酸化鉄化合物、
    シリケート化合物、酸化マグネシウム化合物、酸化珪素
    化合物、酸化アルミニウム化合物および炭素物質よりな
    る群から選択される1種以上の化合物が含まれる請求項
    10〜13のいずれかに記載の装置。
  15. 【請求項15】 前記被覆物質には、更に、炭素質物質
    からなる別の層が含まれ、該炭素質物質と前記被覆物質
    が前記導入手段により前記炉床層に導入される請求項1
    0〜14のいずれかに記載の装置。
  16. 【請求項16】 前記被覆物質には、更に炭素質物質が
    含まれ、前記酸化鉄と炭素物質が前記炉床層に配置され
    る前に、前記炭素質物質が前記導入手段により前記炉床
    層へ導入される請求項10〜14のいずれかに記載の装
    置。
  17. 【請求項17】 前記炭素物質含有酸化鉄物質を配置す
    る手段はコンベアを有しており、該コンベアにより前記
    炭素物質含有酸化鉄物質を前記炉床層に配置する請求項
    10〜16のいずれかに記載の装置。
  18. 【請求項18】 前記加熱手段には、1450℃から約
    1600℃までの温度範囲で熱を供給できる複数の放射
    熱源が含まれ、該放射熱源により前記炉床層を該温度範
    囲に保持する請求項10〜17のいずれかに記載の装
    置。
  19. 【請求項19】 前記加熱手段は、前記炉内の前記炉床
    層において1400℃から約1600℃までの温度範囲
    の熱を供給できる複数の放射熱源が含まれている請求項
    10に記載の装置。
  20. 【請求項20】 前記加熱手段は、前記炉内の前記炉床
    層の温度を1450℃から約1530℃の温度範囲に加
    熱する複数の放射熱源が含まれている請求項10〜19
    のいずれかに記載の装置。
  21. 【請求項21】 前記炉床層において前記炭素含有鉄か
    らなる溶融小粒を冷却する前記手段には、前記炉床層表
    面近傍に配置された冷却表面が含まれ、該冷却表面は前
    記炉床層上に延長した冷却プレートが含まれる請求項1
    0〜20のいずれかに記載の装置。
  22. 【請求項22】 前記炭素含有鉄からなる固体金属粒を
    取り出す前記手段には排出機構が含まれ、該排出機構に
    は、該固体金属粒を受け入れるコンベアが含まれている
    請求項10〜21のいずれかに記載の装置。
  23. 【請求項23】 炭素物質含有酸化鉄物質から、炭素含
    有鉄よりなる固体金属粒を製造する方法において、 (a)サブ炉床層表面を備えた炉を使用し、 (b)酸化鉄化合物、炭素物質およびシリカ化合物を含む
    コンディショニング物質を前記サブ炉床層表面に導入
    し、 (c)該コンディショニング物質を加熱して、少なくとも
    酸化鉄とシリカ化合物を含むガラス質層を形成し、 (d)前記ガラス質層の上に炭素物質含有酸化鉄物質を配
    置し、 (e)該炭素物質含有酸化鉄物質を加熱して、該物質中の
    酸化鉄を炭素物質によって還元し、 (f)前記ガラス質層の上に炭素含有鉄からなる溶融小粒
    とスラグ粒子を生成させると共に、前記ガラス質層の上
    で、上記溶融小粒と前記スラグ粒子を分離し、 (g)前記ガラス質層の上で上記溶融小粒を冷却して、炭
    素含有鉄からなる固体金属粒を形成し、 (h)前記炉から該固体金属粒および前記スラグ粒子を取
    り出す、工程を含むことを特徴とする炭素含有鉄の製造
    方法。
  24. 【請求項24】 前記炉が、回転可能な炉床表面を有す
    る炉床回転炉である請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記コンディショニング物質を導入す
    る工程では、更に、酸化マグネシウム化合物、酸化珪素
    化合物、酸化アルミニウム化合物、酸化鉄化合物および
    炭素質化合物よりなる群から選択される1種以上の追加
    コンディショニング物質が用意されている請求項23ま
    たは24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記加熱工程には、1450℃から約
    1600℃までの温度範囲で熱を供給する複数の放射熱
    源を用いた前記被覆物質の加熱が含まれる請求項23〜
    25のいずれかに記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記還元工程には、前記炉内で141
    0℃から約1480℃までの温度範囲で熱を供給する複
    数の放射熱源に、前記炭素物質含有酸化鉄物質を曝す工
    程が含まれる請求項23〜26のいずれかに記載の方
    法。
  28. 【請求項28】 前記炭素含有鉄からなる溶融小粒の前
    記冷却工程には、前記ガラス質層近傍に冷却表面を設け
    ることが含まれ、該冷却工程で前記炭素含有鉄からなる
    溶融小粒を冷却し、前記ガラス質層の上で炭素含有鉄か
    らなる固体金属粒を作る請求項23〜27のいずれかに
    記載の方法。
  29. 【請求項29】 炭素物質含有酸化鉄物質から炭素含有
    鉄を製造する方法において、 (a)サブ炉床層表面を備えた炉を使用し、 (b)酸化鉄化合物、炭素物質およびシリカ化合物を前記
    サブ炉床層表面に導入し、 (c)これらの化合物を加熱して、少なくとも酸化鉄とシ
    リカ化合物を含むガラス質層を形成し、 (d)該ガラス質層の上に被覆物質を配置してガラス質被
    覆炉床層を形成し、 (e)前記炭素物質含有酸化鉄物質を前記ガラス質被覆炉
    床層の上に配置し、 (f)前記ガラス質被覆炉床層の上で前記炭素物質含有酸
    化鉄物質を加熱して、該炭素物質含有酸化鉄物質中の酸
    化鉄を炭素物質により還元し、 (g)前記ガラス質被覆炉床層の上で、炭素含有鉄からな
    る溶融小粒とスラグ粒子を生成させ、 (h)前記ガラス質被覆炉床層の上で上記溶融小粒を冷却
    して、前記スラグ粒子から分離した前記炭素含有鉄から
    なる固体金属粒を形成し、 (i)前記炉から該固体金属粒と前記スラグ粒子を取り出
    す、工程を含むことを特徴とする炭素含有鉄の製造方
    法。
  30. 【請求項30】 前記炉として、回転可能な炉床表面を
    有する炉床回転炉を使用する請求項29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記被覆物質を配置する前記工程に
    は、更に、酸化マグネシウム化合物、酸化珪素化合物、
    酸化アルミニウム化合物、炭素質化合物および酸化鉄化
    合物よりなる群から選択される1種以上の化合物を配置
    する工程が含まれる請求項29または30に記載の方
    法。
  32. 【請求項32】 前記加熱工程には、1450℃から約
    1600℃までの温度範囲で熱を供給する複数の放射熱
    源を用いが前記化合物の加熱が含まれる請求項29〜3
    1のいずれかに記載の方法。
  33. 【請求項33】 前記還元工程には、前記炉内で141
    0℃から約1480℃までの温度範囲で熱を供給する複
    数の放射熱源に前記炭素物質含有酸化鉄物質を曝す工程
    が含まれる請求項29〜32のいずれかに記載の方法。
  34. 【請求項34】 前記炭素含有鉄からなる溶融小粒の前
    記冷却工程には、前記ガラス質炉床表面近傍に冷却表面
    を設けることが含まれ、前記取出し工程の前に、前記冷
    却表面により前記炭素含有鉄からなる溶融小粒を冷却
    し、前記ガラス質層の上で炭素含有鉄からなる固体金属
    粒を作る請求項29〜33のいずれかに記載の方法。
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