JP2000143414A - 水棲生物付着防止効果を有する構造物 - Google Patents

水棲生物付着防止効果を有する構造物

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JP2000143414A
JP2000143414A JP11251344A JP25134499A JP2000143414A JP 2000143414 A JP2000143414 A JP 2000143414A JP 11251344 A JP11251344 A JP 11251344A JP 25134499 A JP25134499 A JP 25134499A JP 2000143414 A JP2000143414 A JP 2000143414A
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thermoplastic resin
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hydrogen atom
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Takao Shimizu
隆夫 清水
Masahiko Nanjo
正彦 南條
Shingo Nakanishi
慎吾 中西
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Kuraray Co Ltd
Kuraray Trading Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
Kuraray Trading Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水棲生物の付着を長期に亘って防止できる構
造物を提供する。 【解決手段】 4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイ
ソチアゾリン−3−オンおよび溶出量制御物質を含有す
る熱可塑性樹脂を被覆してなる樹脂被覆糸から構成され
た構造物であって、防汚剤の海水中への溶出量が25℃に
おいて30mg/cm3以下、15℃において3mg/cm3以上にコン
トロールされている水柱18cm下での通水量が1cc/cm2・s
ec以上の構造物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海水や淡水に長期
間接触して使用される構造物に関し、詳細には、水棲生
物の付着を長期間にわたって防止する効果を有する構造
物に関する。また、本発明は、例えば、水質の測定に使
用されるセンサーに長期間に亘り水棲生物が付着するこ
とを防止するとともに、正確な水質データを取得するた
めの測定環境を維持できる通水性構造物に関する。さら
に、本発明は、優れた水棲生物付着防止効果を有し、且
つ海水や淡水などを長期間安定して流通させることので
きるフィルター及び通水性を有することにより着脱が容
易となる船底カバー、スクリューカバー等に関する。
【0002】
【従来の技術】長期間海水中または海水に一部が接して
使用される製品として、例えば漁業用定置網・養畜魚介
類用いけす網等の水産用資材と、航路浮標・灯浮標・係
留用ブイ等の船舶用資材、及び汚濁防止膜等の土木用資
材などがある。これらの製品は、長期間海水に接触する
うちにその表面に付着性海棲生物、例えばアオサ・ケイ
ソウ等の藻類、イソギンチヤク等の腔腸動物、イソカイ
メン等の海綿動物、ウズマキゴカイ等の環形動物、コケ
ムシ等の触手動物、ムラサキイガイ等の軟体動物、フジ
ツボ等の節足動物、ホヤ等の原索動物などが付着・生息
し、それらの資材本来の機能を十分に果たすことができ
ないという問題が生じている。
【0003】また、近年、河川や海洋の溶存酸素、p
H、温度、塩分、アンモニア、濁度等の多項目に亘る水
質を連続的に測定してモニタリングし、これを解析する
ことにより、赤潮や急激な環境の変化、自然災害等を事
前に予知し、魚介類の養殖や防災に役立てる為の技術が
研究されてきており、これらのデータを自動的に測定す
るセンサーやシステムが開発され、実用化に向けての検
討が行われている。
【0004】ところが、水質に関するデータを自動的に
測定するために、センサーを連続的に水中に浸漬した場
合、センサーの検知部に上記のような水棲生物が付着し
て、2〜3日という短期間で水質データに異常が出て測
定不能になる。このため、頻繁にこれら水棲生物を取り
除くか、センサーを交換する等の補修をする必要があっ
た。また、このような測定システムは沖合に設置される
場合が多く、補修に多大の労力を要し、測定システム普
及の足枷となっていた。
【0005】このような長期間海水に接触する資材・製
品に対する水棲生物の付着を阻止する対策として、従来
は以下のような方法が採用されていた。従来、一般的に
用いられてきた方法は、トリブチルスズオキサイド、ト
リフエニルスズハイドロオキサイド、トリフエニルスズ
アセテート、トリフエニルスズクロライド等の有機スズ
化合物で資材や製品を処理する方法である。しかしなが
らこれら薬物を使用する方法は、処理作業時に激しい不
快臭や刺激臭を伴う弊害があり、またそれだけでなくこ
れら薬物が魚介類の体内に蓄積し、魚介類の奇形・死滅
などの障害をまねき、さらにはそれを摂取する人体への
悪影響も多大なものであることが近年明らかにされ、漁
業関係者間では自主規制に入つており全面禁止となる傾
向にある。従つて、このような多大な弊害を伴う有機ス
ズ化合物に代わりうる新たな技術が求められている。
【0006】このような新しい技術の一つとして、尿素
系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ベンゾチアゾ
ール系化合物、チオフタルイミド系化合物、スルホニル
ピリジン系化合物等の有機硫黄窒素系化合物で製品を処
理する方法がある。この方法は、有機硫黄窒素系化合物
が従来、農薬・殺菌剤・防黴剤として広く用いられてい
ることをもとに、これを水棲生物に対して用いるという
試みである。また、これらの化合物は人体・魚類に対し
て極めて低毒であり、かつ水棲生物付着防止作用完了後
はさらに完全無毒の物質に分解することが明らかとなつ
ている。このように安定性が高く、かつ水棲生物付着防
止効果の高い有機硫黄窒素系化合物を用いた具体的な方
法として、以下のような方法が提案されている。
【0007】例えば、油樹脂性バインダーとして、あま
に油、きり油、大豆油、脱水ひまし油、紅花油もしくは
魚油等の乾性油、あるいはフエノール樹脂、油樹脂性ワ
ニス、多価アルコールとジカルボン酸との反応生成物で
あるアルキド樹脂等を用い、これに有機硫黄窒素系化合
物を混合して塗料としたものを、製品表面に塗装・硬化
させる方法である。しかし、この方法の欠点としては、
海中に投入した当初は効果を発揮するものの、塗装膜の
強度が弱いために摩耗等によつて比較的短期間に有効成
分及び塗装樹脂成分が溶出または脱落し、水棲生物付着
防止効果が短期間に消失してしまうことである。以上の
ように、有機硫黄窒素系化合物を用いたもので、水棲生
物付着防止効果が高く、かつ十分な持続性を有する資材
は水産、船舶、土木のいずれの分野においても得られて
いないのが現状である。
【0008】このような問題は海水中や淡水中で使用さ
れる水質測定用センサーやフィルターなどにおいても生
じており、これを解決するために有機錫系の防汚塗料を
センサーのカバーに塗布することが検討されたが、その
環境汚染性と人体及び海洋生物への毒性及び水質データ
に与える悪影響のため使用できなかった。また、センサ
ー検知部自体に防汚塗料を塗布すると、検知部と水が接
触しなくなり、水質の測定は不可能となるという問題を
有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、海水
や淡水に接して使用される資材に対する水棲生物の付着
を長期に亘って防止できる構造物を提供することであ
る。また、本発明の目的は、水質測定センサーに水棲生
物が長期間付着せず、センサー付近での水の自由な流れ
を妨げることなく、正確な水質データを長期に亘り取得
することのできる水質測定センサー用の通水性カバーを
提供することである。さらに、本発明の目的は、水棲生
物の付着による目詰まりが長期間生じにくい海水や淡水
用のフィルターを提供することである。さらにまた、本
発明は、水棲生物が長期間付着せず、適度な通水性を有
することにより着脱操作を容易に行ない得る通水性構造
物から構成される船底カバー、スクリューカバー等のカ
バー類を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明(第一発明)
は、下記一般式(1)で示される基本構造を有する化合
物を0.1〜20重量%含有する熱可塑性樹脂組成物を
主体として含む成形物からなる構造物であって、該成形
物に水柱18cm下での通水量が1cc/cm2・sec以上となる開
口部が存在することを特徴とする構造物である。
【化7】 但し、一般式中、Yは水素原子、アルキル基、アルケニ
ル基またはアラルキル基を示し、Rは水素原子、ハロゲ
ン原子またはアルキル基を示し、R′は水素原子、ハロ
ゲン原子またはアルキル基を示し、またRとR′とは結
合してベンゼン環を形成することもある。
【0011】また、本発明(第二発明)は、上記の一般式
(1)で示される基本構造を有する化合物を0.1〜2
0重量%含有する熱可塑性樹脂組成物からなる繊維構造
物を構成主体とする構造物であって、水柱18cm下での通
水量が1cc/cm2・sec以上であることを特徴とする構造物
である。
【0012】さらに、本発明(第三発明)は、上記一般式
(1)で示される基本構造を有する化合物を0.1〜2
0重量%含有する熱可塑性樹脂組成物を少なくとも一部
に被覆または含浸させた繊維構造物を構成主体とする構
造物であって、水柱18cm下での通水量が1cc/cm2・sec以
上であることを特徴とする構造物である。
【0013】さらに、本発明(第四発明)は、上記一般式
(1)で示される基本構造を有する化合物を0.1〜2
0重量%含有する熱可塑性樹脂組成物を主体として含む
成形物からなる構造物であって、人工海水へ浸漬した場
合、化合物(1)の初期10日間の積算溶出量が、該熱可塑
性樹脂組成物の単位体積当たり、25℃において30mg
/cm3以下であり、15℃において3mg/cm3以上であるこ
とを特徴とする構造物である。
【0014】また、本発明(第五発明)は、上記一般式
(1)で示される基本構造を有する化合物を0.1〜2
0重量%含有する熱可塑性樹脂組成物からなる繊維構造
物を構成主体とする構造物であって、人工海水へ浸漬し
た場合、化合物(1)の初期10日間の積算溶出量が、該熱
可塑性樹脂組成物の単位体積当たり、25℃において3
0mg/cm3以下であり、15℃において3mg/cm3以上であ
ることを特徴とする構造物である。
【0015】また、本発明(第六発明)は、上記一般式
(1)で示される基本構造を有する化合物を0.1〜2
0重量%含有する熱可塑性樹脂組成物を少なくとも一部
に被覆または含浸させた繊維構造物を構成主体とする構
造物であって、人工海水へ浸漬した場合、化合物(1)の
初期10日間の積算溶出量が、該熱可塑性樹脂組成物の単
位体積当たり、25℃において30mg/cm3以下であり、
15℃において3mg/cm3以上であることを特徴とする構
造物である。
【0016】そしてさらに、本発明は、これらの構造物
を水質測定のセンサー用カバー、海水又は淡水用フィル
ター、船底カバー、船舶スクリューのカバー、波力発電
型灯台のカバー等とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の構造物を構成する熱可塑
性樹脂組成物には、上記のような一般式(1)で示され
る基本構造を有する化合物(以下、単に防汚剤と略称す
ることもある)が特定量含まれていることが重要であ
る。この一般式(1)において、Yは水素原子、アルキ
ル基、アルケニル基またはアラルキル基を示す。アルキ
ル基としては、メチル基、ブチル基、ヘキシル基、オク
チル基、ノニル基、ドデシル基などの炭素数1〜18個
のアルキル基が好ましく、アルケニル基としては、1-プ
ロペニル基、アリル基、ビニル基、イソプロペニル基な
どの炭素数2〜18個のアルケニル基が好ましい。ま
た、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル
基、4−メトキシベンジル基などの炭素数7〜10個の
アラルキル基が好ましい。Rは水素原子、ハロゲン原子
またはアルキル基を示し、R′は水素原子、ハロゲン原
子またはアルキル基を示すものであるが、RおよびR′
におけるハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ素等
が好ましく、アルキル基としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜4個のアル
キル基が好ましい。またRとR′とは結合してベンゼン
環を形成することもある。
【0018】このような化合物の具体例としては、例え
ば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−
メチル−5−クロロ−4−イソチアゾリン−3−オン、
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−n−オ
クチルイソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−
2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン等を挙げる
ことができるが、水棲生物の付着防止という点からは、
RおよびR′がハロゲン原子であり、Yが炭素数1〜9
個のアルキル基であることが望ましく、4,5−ジクロ
ロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オンが最も
好ましい化合物である。
【0019】また、これらの化合物は、塩化亜鉛、臭化
亜鉛、ヨウ化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化銅、臭化
銅、硝酸銅、塩化ニッケル、塩化カルシウム、塩化マグ
ネシウム、塩化鉄、塩化マンガン、塩化ナトリウム、塩
化バリウム等の金属塩や、塩化アンモニウムやその他の
アミンクロライドなどのアミン塩と一体化してコンプレ
ックス(錯体化合物)を形成してもよい。
【0020】熱可塑性樹脂組成物における防汚剤の含有
量は、構造物をどのような形態の構造にするかによって
一概に決定することはできないが、優れた水棲生物付着
防止効果を発現させるという点から0.1重量%以上含
有されていることが重要である。一方、その含有量は過
剰に多くても水棲生物付着防止効果の向上は頭打ちとな
り、成形物等の製造工程や、取扱い性の面での問題点が
顕れてくるので、含有量の上限は20重量%である。よ
り好ましい含有量は3〜15重量%の範囲である。
【0021】上述の防汚剤を含有させる熱可塑性樹脂と
しては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ
ブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(PHMT)などの芳香族ポリエステ
ル、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレ
ンサクシネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレンバリレ
ート、ポリカプロラクトンなどの脂肪族ポリエステル、
ポリカーボネート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロ
ン12、ナイロン4、ポリフタルアミド等のポリアミ
ド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン
−ビニルアルコール系共重合体、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエ
ン、SBR、スチレン−イソプレン系エラストマー、こ
れらの水添物、ポリエステル系エラストマー、ポリエー
テル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、
ポリアミド系エラストマーなどの各種エラストマー等が
挙げられる。
【0022】高温での溶融成形時における防汚剤の揮散
や熱分解、熱可塑性樹脂との均一な混練性等の観点か
ら、本発明においては、テレフタル酸と1,6−ヘキサ
ンジオールからなるヘキサメチレンテレフタレート単位
を基本単位とするポリエステル(PHMT)が好まし
く、特に該ポリエステルをイソフタル酸で5〜20モル
%共重合したものが、加工性、熱溶融特性等の点でより
好ましい。
【0023】ポリエステルに共重合させる成分として
は、上記のイソフタル酸の他に、エチレングリコール、
ジエチレングリコール,1,4−ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタ
ノール、トリシクロデカンジメタノール、ポリエチレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオー
ル成分、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボ
ン酸、フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキ
シ)エタン、4,4−ジカルボキシジフェニル、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸
などの酸成分及びこれらのエステル類が挙げられる。そ
の共重合率は特に限定されないが、一般式(1)で示され
る化合物の徐放性、ポリエステルの結晶性、ガラス転移
点、融点または軟化点等、ポリマーの取り扱い性を考慮
するとジオール成分、酸成分の各成分とも5〜50モル
%、特に10〜30モル%の範囲であることが好まし
い。
【0024】熱可塑性樹脂の融点は150℃以下である
ことが好ましく、160℃、キャピラリー長10mm、
キャピラリー径1mm、剪断速度1000sec-1の条件
下での溶融粘度が10000ポイズ以下であることが好
ましい。この条件に調節するためは、上記のように共重
合によって融点を降下させてもよいし、ポリシロキサ
ン、ポリブテン、流動パラフィン、液状ポリエステル等
の中分子ポリマーなどの融点降下剤を適宜含有させるこ
とができる。
【0025】本発明においては、水棲生物付着防止効果
を長期間に亘り持続させるために、一般式(1)で示され
る化合物の構造物からの溶出量を制御することが重要で
ある。具体的には、初期10日間の人工海水(塩化ナトリ
ウム3%、塩化マグネシウム0.5%、蒸留水96.5%)中へ
の防汚剤の溶出量の積算値が熱可塑性樹脂組成物の単位
体積当たり、25℃で30mg/cm3以下であり、15℃
で3mg/cm3以上とすることが重要であり、好ましくは
25℃で3〜30mg/cm3であり、15℃で3〜30mg
/cm3以上とすることである。
【0026】溶出量を制御するためには、たとえば、ポ
リブテン、鉱物油等の液状ポリオレフィン、液状ポリエ
ステル(−50℃〜200℃で流動性を示すポリエステ
ル化合物であり、例えば、アジピン酸、セバチン酸等の
脂肪族ジカルボン酸成分とエチレングリコール、ブタン
ジオール等のグリコール成分とから合成される脂肪族ポ
リエステルなど)、ポリシロキサン、フェノール樹脂、
フェニルフェノール樹脂、キシレノール樹脂、ブチルフ
ェノール樹脂、レゾルシン樹脂、クレゾール樹脂等のポ
リフェノール、アジン系化合物等を防汚剤と共に熱可塑
性樹脂中に配合することが好ましい。また、成形物や繊
維構造物の表面に、鉱物油、パラフィン、ポリシロキサ
ン、界面活性剤、樹脂エマルジョン等を付着させること
により防汚剤の溶出量を本発明のように制御することも
できる。
【0027】特に、溶出量の制御を長期間持続させるた
めには、液状ポリエステルとクレゾール樹脂を組み合せ
て熱可塑性樹脂組成物に配合しておくことが好ましい。
また、クレゾール樹脂としては、ノボラック型の樹脂を
使用する方が溶出量の制御の点から好ましい。
【0028】このような、溶出量制御のための化合物の
熱可塑性樹脂組成物中の配合割合は、熱可塑性樹脂の種
類、防汚剤の種類、その配合量との関係において設定す
ることであるので、一概に決定できるものではないが、
熱可塑性樹脂組成物中に1重量%〜10重量%の割合で
配合されていることが好ましい。
【0029】さらに上述の熱可塑性樹脂には、紫外線吸
収剤、結晶化遅延剤等の改質剤や着色顔料等の添加剤を
適宜含有させることができる。
【0030】次に、本発明の構造物の製造方法について
説明する。まず、一般式(1)で示される化合物を含有す
る熱可塑性樹脂組成物から成形物を製造するには、例え
ば、二軸混練押出機を用い、一般式(1)で示される化合
物、溶出量を制御するための化合物及び熱可塑性樹脂を
均一に溶融混練し、これを、ダイスリットから押出成形
してフィルムやシート状物を製造したり、射出成型して
所望の形状の3次元成形物としたり、後述するように紡
糸ノズルから押し出して繊維化することができる。
【0031】また、成形物から函体、円筒体など立体的
な構造物とする場合には、複数のシート状成形物を組合
せて立体構造物となしてもよい。ただし、シート状成形
物の場合、それ自身では通水性がないので、成形物に所
望の大きさの孔を開けて目的とする通水量を確保する必
要がある。この孔の形成は、機械的に形成させるもので
あってもよいし、熱可塑性樹脂に後で溶出除去可能な物
質を配合して成形し、その後該物質を除去して細孔を形
成させるような手段であってもよい。さらに成形段階で
開口部を持つような金型設計とすることも可能である。
【0032】次に、防汚剤を含有する熱可塑性樹脂組成
物を繊維化する場合、繊維の製造装置としては、通常の
溶融紡糸装置を使用することができ、繊維の断面形状
は、円形、各種異形、中空のいずれでもよく、さらに一
般式(1)で示される化合物を含有する熱可塑性樹脂が繊
維表面の少なくとも一部、好ましくは繊維断面周長の5
0%以上に現れるようにして、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の他の熱可塑性
樹脂と組合せて芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型の
複合繊維とすることも可能である。
【0033】また一般式(1)で示される化合物を含有す
る熱可塑性樹脂組成物を繊維構造物の少なくとも一部に
被覆または含浸する場合、繊維構造物としては、単繊維
(例えば、モノフィラメント)、繊維集束体(例えば、紡
績糸、マルチフィラメント、トウ、ロープ等)、それら
から構成される不織布、織物、編物、網等を使用するこ
とができる。繊維構造物を構成する繊維素材は、例え
ば、合成繊維、再生繊維、天然繊維、金属繊維、ガラス
繊維、炭素繊維等から選ばれるが、融点、軟化点、また
は分解点が被覆用に使用する熱可塑性樹脂よりも50℃
以上高いものであることが好ましい。そして、かかる繊
維構造物に対し防汚剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を
種々の方法で被覆または含浸させることができる。被覆
または含浸の方法は限定されず、例えば、繊維構造物に
対し溶媒などに溶解した熱可塑性樹脂組成物を塗布する
方法、熱可塑性樹脂組成物をシート状に押出成形する時
に繊維構造物に直接張り合わせる押出コーティング法、
一旦、フィルムやシート状物を作製した後、繊維構造物
に熱ラミネートまたはドライラミネートする方法などが
ある。
【0034】特に本発明においては、防汚剤を含有する
熱可塑性樹脂組成物を芯糸に被覆して得られる樹脂被覆
糸の形態とすることが、得られる構造物の強度および防
汚剤の有効利用の観点から好ましい。樹脂被覆糸の製造
方法としては、該熱可塑性樹脂組成物を溶媒に溶解して
芯糸表面に塗布する方法があるが、本発明においては、
例えば、二軸混練機を使用して原料を均一に混練し、図
2に見られるような芯糸に樹脂を被覆するための加圧ダ
イを備えた図3に見られるような製造工程(溶融押出被
覆法)によって芯糸表面に一般式(1)で示される化合物
を含有する樹脂を直接被覆させて、樹脂被覆糸を作製す
る方法が望ましい。
【0035】樹脂被覆糸の芯糸として使用される素材
は、前述のように、合成繊維、再生繊維、天然繊維、金
属繊維、ガラス繊維、炭素繊維等から選ばれるが、融
点、軟化点、または分解点が被覆用の熱可塑性樹脂より
も50℃以上高いものであることが好ましく、例えば、
被覆用樹脂としてポリヘキサメチレンテレフタレート系
ポリエステルを使用する場合、芯糸はポリエチレンテレ
フタレート繊維で構成されいていることが好ましい。ま
た、芯糸の形態は特に限定されるものではなく、モノフ
ィラメント、マルチフィラメント、紡績糸等を問わず、
さらにこれらからなる合撚糸等も必要に応じて用いるこ
とができる。
【0036】次に熱可塑性樹脂組成物からなる成形物、
繊維構造物、樹脂被覆繊維構造物を用いて構造物を製造
する方法を述べる。まず、シートなどの成形物から構造
物を製造する場合、最終用途の形状を持つ成形型に防汚
剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を押出すことにより製
造可能であり、また、平面的なシート状物を組み合せて
所望の形状の構造物としてもよい。ただし、通水性の必
要な用途においては、シート成形物に後加工で開口部を
設けるか、金型の設計段階で開口部が形成されるように
する必要がある。
【0037】次に、繊維構造物を製造する場合について
述べる。繊維からなる織物、編物、不織布、及びこれら
を積層した複合物は、それ自体で通水性を有するという
特徴を持つものであり、通水性が要求される用途には、
繊維構造物として使用することが好ましい。また、繊維
構造物は、厚みのあるシート状成形物に比して柔軟性が
あるので、曲面や複雑な形状に沿わせて使用する用途に
は、やはり繊維構造物の方が好適である。
【0038】織物とする場合、織機は、有杼織機、レピ
ア織機、エアジェットルーム、グリッパ織機等を使用す
ることができ、織組織も、特に限定されるものではな
く、平織、斜文織、朱子織等を用いることができるが、
水柱18cm下での通水量を本発明の目的とする値にするた
めに、経糸及び緯糸の織密度、夫々のヤーンデニール等
を適切に選択する必要がある。
【0039】また、編物を得る方法としては、経編によ
るインレイ編、パイル編、経緯挿入ラッセル編等の編地
をラッセル機、トリコット機で作製することができる。
緯編、ステッチボンディング及び組物で編物を得ること
もできる。さらに、湿式法、カードウエッブを形成する
乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法など各種の製
造技術で不織布とすることができる。
【0040】本発明において、熱可塑性樹脂と繊維構造
物との複合体とする場合は、熱可塑性樹脂層と繊維構造
物の少なくとも一方に、一般式(1)で示される化合物が
含有されていればよい。ただし、これらの複合構造物は
熱可塑性樹脂により通水性がなくなっているか極めて低
いので、用途によっては所望の通水量の構造物となるよ
う開口部を設ける必要がある。
【0041】さらに本発明の構造物は、水棲生物付着防
止効果を有する成形物、繊維構造物、樹脂被覆繊維構造
物単独から構成されてもよいが、発明の効果を損なわな
い範囲であれば、水棲生物付着防止機能を有していない
他の樹脂成形物、無機物、合成繊維、無機繊維、天然繊
維等を混合もしくは複合して使用することは何ら差し支
えない。このとき両者の割合は、水棲生物付着防止効果
の強弱により変更する必要があるので一概に決定できな
いが、構造物全体の重量の50%以上を上述した水棲生
物付着防止効果を有する構造物が占めていることが望ま
しい。混合または複合形態としては特に限定されない
が、繊維構造物とする場合は、混繊、混紡、合撚、交
織、交編等の手段を採用することができる。また、繊維
構造物に適宜熱処理を行い、繊維間交点を融着させて強
度の向上、目ズレの防止を行うことができる。
【0042】本発明においては、構造物の形態は特に限
定されないが、通水性を要求される用途においては水柱
18cm下での通水量を1cc/cm2・sec以上とすることが好ま
しく、用途に応じて5cc/cm2・sec以上、さらに10cc/cm2
sec以上、好ましくは15cc/cm 2・sec以上に設定すること
ができる。
【0043】ここで通水性構造物の通水量の測定は、図
1に見られるような装置を用いて測定されるものであ
る。図1において、円筒容器1の側面上部には給水口2
が設けられ、円筒容器底部3には開口部4が設けられ、
該開口部4に通水性構造物Aが固定され、該構造物Aの
表面から18cmの高さに相当する、円筒状容器の側面に排
水口5が設けられており、構造物上に常に18cmの高さの
水柱が保持されるように、排水口から常にオーバーフロ
ーするような過剰の水を給水口から供給し、このような
状態で構造物を通過して落下する水の量を求め、cc/cm2
・secの単位で表示したものである。
【0044】本発明者らは、水質測定センサーによる、
長期間安定かつ正確に水質データのモニターを行うた
め、センサーに水棲生物が付着しないようにカバーをか
けて種々検討を重ねた経緯において、海水や淡水の水質
を正確に測定するためには、該検知部に生物が付着しな
いことは勿論のこと、測定対象である水がセンサー付近
で常に流動していなければ、正確な水質データが得られ
ないことを見出し、センサー付近での水の自然な流通を
阻害することなく、しかも水棲生物の付着を防止できる
程度の有効濃度を確保するために、水質測定センサーカ
バーの通水量としては15cc/cm2・sec以上が好ましく、
さらには15〜200cc/cm2・secが好ましい範囲である
ことを見出したのである。通水量が15cc/cm2・sec未満
では、カバーが存在することによってセンサー付近の真
の水質が影響を受け、正確な水質測定ができない。ま
た、通水量が大きすぎると、水棲生物の付着を抑制する
ために有効な防汚剤の濃度環境が確保できず、センサー
に水棲生物が付着しやすい。さらに、水質測定において
溶存酸素以外に濁度を正確に測定するためには、100〜2
00cc/cm2・secの通水性を有する構造物を用いることが好
ましい。
【0045】また、カバーの形態は、上記の通水量が発
揮されるものであれば特に制限されず、センサーを保護
するためのハウジングを袋状に覆ってしまう形態のもの
でもよいし、複数の短冊形状の成形物や紐状物を多数平
行状態に並べそれぞれの端部を連結したような暖簾状
(腰蓑状)の形態としても差し支えない。なお、水質測定
などの高精度が要求されず、水棲生物の付着防止効果が
優先されるような用途においては、通水量が5cc/cm2・s
ec以上であればよい。
【0046】また、本発明の構造物は、水質測定センサ
ー用カバーの他に、火力発電所、原子力発電所等におい
て冷却用に使用される海水の取水部に設置されるフィル
ターやゴルフ場における農薬を含む排水から農薬等を吸
着ろ過するためのフィルターなど、海水または淡水用の
フィルターとしても有効に用いられ、その場合は、5cm
水柱下での通水量が10cc/cm2・sec以上、好ましくは1
5〜50cc/cm2・secであることが好ましい。通水量が1
0cc/cm2・sec未満では、多量の冷却水流を必要とする場
合には抵抗が大きすぎ、一方、通水量が大きすぎると、
水棲生物の付着を抑制するために有効な防汚剤の濃度が
確保できず、例えば、冷却配管中に水棲生物が付着しや
すい。
【0047】本発明において、上記のような通水性の必
要な用途については、通水量の制御のし易さ、製造のし
易さ、製品の強度、寸法安定性の点等から、繊維構造物
の形態をメッシュ織物とすることが好ましい。その場
合、通水量以外に織物の目開きの絶対値として10〜3
0メッシュ程度の織物を使用することがフィルター効果
等の点から好ましい。
【0048】さらに、本発明の繊維構造物は、船底及び
スクリューなどの船底構造物の浸水部のカバーとして用
いられるものであり、船底及び船底構造物への水棲生物
付着を防止するとともに、船底カバー自体にも水棲生物
が付着しないという特徴を有するものである。本発明の
船底カバーは水柱18cm下での通水量を1cc/cm2・sec
以上、好ましくは5cc/cm2・sec以上、さらに好ましくは1
0cc/cm2・sec以上とすることが重要であり、水柱18cm下
での通水量が1cc/cm2・sec未満では、船底カバーを着脱
する際に、カバーの通水性が充分でないため、カバーが
重く作業性が低下する。
【0049】さらに、本発明の構造物は、種々の用途に
使用可能であり、例えば、定置網や養殖用のいけす網と
したり、網を仕立てるためのロープや係留用のロープと
しても使用することができる。また、通水性を要求され
ない用途においては、高密度織物などとして、水中構造
物・建造物等の浸水部をカバーし水棲生物の付着を防止
することもできる。このような、具体的な用途として
は、波力発電型灯台(ブイ)の浸水部のカバー等にも好適
に使用することができる。
【0050】本発明の構造物を、水質センサーのカバー
やフィルター、船底カバー等に使用することにより、従
来、使用開始から数日で水棲生物が付着し、かなりの頻
度で掃除・交換等が必要であった上記用途において、数
ヶ月間以上水棲生物の付着が防止でき、しかも正確な水
質測定環境、スムーズな水流、容易な着脱を維持できる
という効果が確認された。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述するが、本
発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。尚、実施例中の各評価、測定は、以下の方法により
行なったものである。
【0052】・センサーへの水棲生物付着状況 多項目水質モニター「model6000(YSI社製。D8.
9cm×L49.5cm)」に通水性構造物を被覆し、和歌山県白
浜の水深15mの海中に浸漬して、定期的にセンサー検
知部への水棲生物付着状況を観察し、下記の判定基準で
評価した。 判定基準 5:生物の付着が全く観察されなかった。 4:対象物の表面全体の10%程度に生物の付着が認め
られた。 3:対象物の表面全体の20%程度に生物の付着が認め
られた。 2:対象物の表面全体の50%程度に生物の付着が認め
られた。 1:対象物の表面全体に生物の付着が見られた。
【0053】・溶存酸素 「model6000」を接続した水質測定システムによ
り、連続的に測定した。
【0054】・船底カバーへの水棲生物付着状況 瀬戸内海に係留中の長さ7mのプレジャーボートに、船
底カバーを被覆して、船底及び船底カバーに対する水棲
生物付着状況を以下の判断基準で評価した。 5:生物の付着が全く観察されなかった。 4:対象物の表面全体の10%程度に生物の付着が認め
られた。 3:対象物の表面全体の20%程度に生物の付着が認め
られた。 2:対象物の表面全体の50%程度に生物の付着が認め
られた。 1:対象物の表面全体に生物の付着が見られた。
【0055】・防汚剤の溶出量 防汚剤を含有する熱可塑性樹脂組成物について、電子比
重計SD−120L(ミラージュ貿易)で比重を測定し、ま
た、本発明の構造物から熱可塑性樹脂組成物0.5gを
採取して、人工海水(塩化ナトリウム3%、塩化マグネ
シウム0.5%を蒸留水96.5%に完全溶解)300m
l中に浸漬し、25℃及び15℃の恒温槽中で65rpm攪
拌した。24時間毎に人工海水を新しいものと交換する
と共に浸漬した人工海水を採取してHPLC(High Perfor
mance Liquid Chromatography)で防汚剤の溶出量を
測定し、これを10日間実施し、10日間の積算値を求
めた。
【0056】実施例1 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500po
ise)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イ
ソチアゾリン−3−オンを10重量%、クレゾールノボ
ラック樹脂(平均重合度3.6)6重量%、アジピン酸
系液状ポリエステル(アテ゛カサイサ゛ーPN-350、凝固点−15
℃、25℃での粘度10000cp、旭電化製)4重量
%、カーボンよりなる黒色顔料を0.4重量%含有さ
せ、図2及び図3に示す装置を用いて、ポリエチレンテ
レフタレートフィラメント(1000d/192f、8
0T/m片撚り)100重量部に対し、200重量部を
被覆し、3000デニールの樹脂被覆糸を得た。
【0057】得られた樹脂被覆糸から、レピア織機に
て、絡み織で、タテ3000d 13.5本/吋、ヨコ3000d
2本引き揃え 13.5本/吋、目開き6メッシュの織
物を得た。これを、炉長3m×3ゾーンのヒートセット
機を用いて125℃×1.5分の処理速度で交点の熱融
着を行った。得られた織物の通水量は150cc/cm2・se
cであった。また、この織物における防汚剤の初期10
日間の積算溶出量は、25℃で20.4mg/cm3であり、
15℃で9.1mg/cm3であった。
【0058】次に、これを30cm×65cmに裁断し、
「model6000」の全体を被覆して、和歌山県白浜の
海中に浸漬し、溶存酸素とpHを連続的に測定し、また
水棲生物の付着状況を観察し、その結果を表1に示し
た。センサー検知部に3ヶ月間生物は全く付着せず、溶
存酸素、pHのデータにも異常は認められなかった。
【0059】
【表1】
【0060】実施例2 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500po
ise)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イ
ソチアゾリン−3−オンを10重量%、フェノールノボ
ラック樹脂(平均重合度3.8)6重量%、アジピン酸
系液状ポリエステル(アテ゛カサイサ゛ーPN-350、凝固点−15
℃、25℃での粘度10000cp、旭電化製)4重量
%、カーボンよりなる黒色顔料を0.4重量%含有さ
せ、図2及び図3に示す装置を用いて、ポリエチレンテ
レフタレートフィラメント(500d/96f、120
T/m片撚り)100重量部に対し、200重量部を被
覆し、1500デニールの樹脂被覆糸を得た。
【0061】得られた樹脂被覆糸から、レピア織機に
て、平織で、タテ1500d 25本/吋、ヨコ1500d 25
本/吋、目開き27メッシュの織物を得た。これを、炉
長3m×3ゾーンのヒートセット機を用いて125℃×
1.5分の処理速度で交点の熱融着を行った。得られた
織物の通水量は27cc/cm2・secであった。また、この
織物における防汚剤の初期10日間の積算溶出量は、2
5℃で15.9mg/cm3であり、15℃で10.3mg/cm3
であった。これについて実施例1と同様に海中で試験を
行い、溶存酸素、pHと水棲生物の付着状況を調べ、そ
の結果を表1に示した。センサー検知部に3ヶ月間生物
は付着せず、溶存酸素、pHのデータにも異常は認めら
れなかった。
【0062】実施例3 アジピン酸を15モル%共重合したポリヘキサメチレン
テレフタレート(融点132℃、溶融粘度3000pois
e)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソ
チアゾリン−3−オンを6重量%、ポリブテン2000
H(平均分子量3000、出光石油化学製)を6重量
%、カーボンよりなる黒色顔料を0.4重量%含有さ
せ、実施例1と同様に、3000デニールの樹脂被覆糸
を得た。
【0063】得られた樹脂被覆糸から、レピア織機に
て、平織で、タテ3000d 32本/吋、ヨコ3000d 18
本/吋、目開き33メッシュの織物を得た。これを、炉
長3m×3ゾーンのヒートセット機を用いて125℃×
1.5分の処理速度で交点の熱融着を行った。得られた
織物の通水量は16cc/cm2・secであった。また、この
織物における防汚剤の初期10日間の積算溶出量は、2
5℃で14.6mg/cm3であり、15℃で10.2mg/cm3
であった。これについて実施例1と同様に海中で試験を
行い、溶存酸素、pHと水棲生物の付着状況を調べ、そ
の結果を表1に示した。センサー検知部に2ヶ月間生物
は付着せず、溶存酸素、pHのデータにも異常は認めら
れなかった。
【0064】実施例4 ブタンジオールを30モル%共重合したポリヘキサメチ
レンテレフタレート(融点126℃、溶融粘度3600
poise)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−
イソチアゾリン−3−オンを6重量%、ジメチルポリシ
ロキサン(SH200 100000CS、東レ・ダウコーニン
グ製)を4重量%、アジン系染料(ヌビアンブラックP
C−0850、オリエント化学製)を2重量%含有さ
せ、実施例1と同様に、1500デニールの樹脂被覆糸
を得た。
【0065】得られた樹脂被覆糸から、レピア織機に
て、平織で、タテ1500d 25本/吋、ヨコ1500d 25
本/吋、目開き26メッシュの織物を得た。これを、炉
長3m×3ゾーンのヒートセット機を用いて125℃×
1.5分の処理速度で交点の熱融着を行った。得られた
織物の通水量は27cc/cm2・secであった。また、この
織物における防汚剤の初期10日間の積算溶出量は、2
5℃で17.7mg/cm3であり、15℃で7.6mg/cm3
あった。これについて実施例1と同様に海中で試験を行
い、溶存酸素、pHと水棲生物の付着状況を調べ、その
結果を表1に示した。センサー検知部に2ヶ月間生物は
付着せず、溶存酸素、pHのデータにも異常は認められ
なかった。
【0066】実施例5 低密度ポリエチレン(融点105℃、溶融粘度3000
poise)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−
イソチアゾリン−3−オンを5重量%、クレゾールノボ
ラック樹脂(平均重合度3.6)3重量%、カーボンよ
りなる黒色顔料を0.4重量%含有させ、実施例1と同
様に、1500デニールの樹脂被覆糸を得た。
【0067】得られた樹脂被覆糸から、レピア織機に
て、平織で、タテ1500d 25本/吋、ヨコ1500d 25
本/吋、目開き26メッシュの織物を得た。これを、炉
長3m×3ゾーンのヒートセット機を用いて90℃×
1.5分の処理速度で交点の熱融着を行った。得られた
織物の通水量は27cc/cm2・secであった。また、この
織物における防汚剤の初期10日間の積算溶出量は、2
5℃で28.4mg/cm3であり、15℃で12.6mg/cm3
であった。これについて実施例1と同様に海中で試験を
行い、溶存酸素、pHと水棲生物の付着状況を調べ、そ
の結果を表1に示した。センサー検知部に2ヶ月間生物
は付着せず、溶存酸素、pHのデータにも異常は認めら
れなかった。
【0068】実施例6 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500po
ise)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イ
ソチアゾリン−3−オンを10重量%、クレゾールノボ
ラック樹脂(平均重合度3.6)6重量%、アジピン酸
系液状ポリエステル(アテ゛カサイサ゛ーPN-350、凝固点−15
℃、25℃での粘度10000cp、旭電化製)4重量
%、カーボンよりなる黒色顔料を0.4重量%含有さ
せ、30φ二軸押出機で混練し、丸孔ノズルより吐出し
て紡糸した。該紡糸原糸をローラープレート方式でホッ
トローラーを40℃、ホットプレートを75℃、延伸倍
率3.5倍の条件で延伸し、500d/96fのマルチ
フィラメントを得た。これを150T/mで片撚りし、
レピア織機にて、平織で、タテ15本/吋、ヨコ15本
/吋、目開き16メッシュの織物を得た。得られた織物
の通水量は24cc/cm2・sec以上であった。また、この
織物における防汚剤の初期10日間の積算溶出量は、2
5℃で29.0mg/cm3であり、15℃で13.5mg/cm3
であった。これについて実施例1と同様に海中で試験を
行い、溶存酸素、pHと水棲生物の付着状況を調べ、そ
の結果を表1に示した。センサー検知部に3ヶ月間生物
は付着せず、溶存酸素、pHのデータにも異常は認めら
れなかった。
【0069】実施例7 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500po
ise)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イ
ソチアゾリン−3−オンを10重量%、クレゾールノボ
ラック樹脂(平均重合度3.6)6重量%、アジピン酸
系液状ポリエステル(アテ゛カサイサ゛ーPN-350、凝固点−15
℃、25℃での粘度10000cp、旭電化製)4重量
%、カーボンよりなる黒色顔料を0.4重量%含有さ
せ、二軸押出機で混練し、Tダイから吐出して厚さ0.
20mmの樹脂フィルムを得た。該フィルムをポリエチ
レンテレフタレートフィラメントからなる平織り基布
(500d/96f、150T/m片撚糸を用い、密度
タテ25本/吋、ヨコ25本/吋)の両面に熱ラミネー
トして、防汚性ターポリンを得た。該ターポリンのタテ
方向、ヨコ方向に1cm毎に直径6mmの孔を開け、通
水量48cc/cm2・secのターポリンを得た。このターポ
リンにおける防汚剤の初期10日間の積算溶出量は、2
5℃で20.2mg/cm3であり、15℃で9.3mg/cm3
あった。これについて実施例1と同様に海中で試験を行
い、溶存酸素、pHと水棲生物の付着状況を調べ、その
結果を表1に示した。センサー検知部に3ヶ月間生物は
付着せず、溶存酸素、pHのデータにも異常は認められ
なかった。
【0070】実施例8 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500po
ise)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イ
ソチアゾリン−3−オンを10重量%、クレゾールノボ
ラック樹脂(平均重合度3.6)6重量%、アジピン酸
系液状ポリエステル(アテ゛カサイサ゛ーPN-350、凝固点−15
℃、25℃での粘度10000cp、旭電化製)4重量
%、カーボンよりなる黒色顔料を0.4重量%含有さ
せ、二軸押出機で混練し、Tダイから吐出して厚さ0.
5mmの樹脂フィルムを得た。該フィルムのタテ方向、
ヨコ方向に1cm毎に直径6mmの孔を開け、通水量4
8cc/cm2・secのターポリンを得た。このターポリンに
おける防汚剤の初期10日間の積算溶出量は、25℃で
20.4mg/cm3であり、15℃で9.2mg/cm3であっ
た。これについて実施例1と同様に海中で試験を行い、
溶存酸素、pHと水棲生物の付着状況を調べ、その結果
を表1に示した。センサー検知部に3ヶ月間生物は付着
せず、溶存酸素、pHのデータにも異常は認められなか
った。
【0071】実施例9 実施例1と同様の織物を30cm×65cmに裁断し、「mo
del6000」の全体を被覆して、工場排水ピット中に
浸漬し、溶存酸素とpHを連続的に測定し、また水棲生
物の付着状況を観察し、その結果を表1に示した。セン
サー検知部に3ヶ月間生物は全く付着せず、溶存酸素、
pHのデータにも異常は認められなかった。
【0072】比較例1 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500po
ise)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イ
ソチアゾリン−3−オンを6重量%、カーボンよりなる
黒色顔料を0.4重量%含有させ、図2及び図3に示す
装置を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィラメン
ト(500d/96f、120T/m片撚り)100重
量部に対し、200重量部を被覆し、1500デニール
の樹脂被覆糸を得た。得られた樹脂被覆糸から、レピア
織機にて、平織で、タテ1500d 45本/吋、ヨコ1500d
25本/吋、目開き46メッシュの織物を得た。得ら
れた織物の通水量は0.8cc/cm2・secであった。ま
た、この織物における防汚剤の初期10日間の積算溶出
量は、25℃で12.3mg/cm3であり、15℃で2.5
mg/cm3であった。これについて実施例1と同様に海中で
試験を行い、溶存酸素、pHと水棲生物の付着状況を調
べ、その結果を表1に示した。センサー検知部に3ヶ月
間生物は付着しなかったが、通水性不良の為、溶存酸素
のデータに異常が認められた。
【0073】比較例2 ブタンジオールを30モル%共重合したポリヘキサメチ
レンテレフタレート(融点126℃、溶融粘度3600
poise)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−
イソチアゾリン−3−オンを0.05重量%、カーボン
よりなる黒色顔料を0.4重量%含有させ、1500デ
ニールの樹脂被覆糸を得た。
【0074】得られた防汚性樹脂被覆糸から、レピア織
機にて、平織で、タテ1500d 25本/吋、ヨコ1500d
25本/吋、目開き26メッシュの織物を得た。これ
を、炉長3m×3ゾーンのヒートセット機を用いて12
5℃×1.5分の処理速度で交点の熱融着を行った。得
られた織物の通水量は27cc/cm2・secであった。ま
た、この織物における防汚剤の初期10日間の溶出量
は、25℃で1.2mg/cm3であり、15℃で0.2mg/c
m3であった。これについて実施例1と同様に海中で試験
を行い、溶存酸素、pHと水棲生物の付着状況を調べ、
その結果を表1に示した。防汚剤の溶出量が低いため、
防汚効果が不足し、7日目からセンサー検知部に生物が
付着し始め、溶存酸素、pHのデータにも異常が現れ
た。
【0075】比較例3 低密度ポリエチレン(融点105℃、溶融粘度3000
poise)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−
イソチアゾリン−3−オンを25重量%、カーボンより
なる黒色顔料を0.4重量%含有させ、1500デニー
ルの樹脂被覆糸を得た。得られた防汚性樹脂被覆糸か
ら、レピア織機にて、平織で、タテ1500d 25本/
吋、ヨコ1500d 25本/吋、目開き26メッシュの織
物を得た。これを、炉長3m×3ゾーンのヒートセット
機を用いて90℃×1.5分の処理速度で交点の熱融着
を行った。得られた織物の通水量は27cc/cm2・secで
あった。また、この織物における防汚剤の初期10日間
の積算溶出量は、25℃で50.5mg/cm3であり、15
℃で25.5mg/cm3であった。これについて実施例1と
同様に海中で試験を行い、溶存酸素、pHと水棲生物の
付着状況を調べ、その結果を表1に示した。溶出量が高
すぎるため、初期の防汚効果は優れるが、長期間は持続
せず、2ヶ月目からセンサー検知部に生物が付着し始
め、溶存酸素、pHのデータにも異常が現れた。
【0076】比較例4 比較例2のメッシュ織物について実施例9と同様に工場
排水ピットで試験を行い、溶存酸素、pHと水棲生物の
付着状況を調べ、その結果を表1に示した。淡水におい
ても直ちにセンサー検知部に生物が付着してメッシュが
目詰まりし始め、溶存酸素、pHのデータにもすぐに異
常が現れ測定不能となった。
【0077】実施例10 実施例2で得られた防汚性樹脂被覆糸から、レピア織機
にて,平織で、タテ 1500d、45本/インチ、ヨコ 1500
d、25本/インチ、通水量1.0cc/cm2・sec、目開き
46メッシュの織物を得た。この織物における防汚剤の
積算溶出量は、25℃で20.4mg/cm3であり、15
℃で9.1mg/cm3であった。これを船底カバーに縫製
し、瀬戸内海に係留中の長さ7mのプレジャーボートの船
底に被覆して船底及び船底カバー自体への水棲生物の付
着状況を観察し、その結果を表2に示した。該船底カバ
ーの船底への着脱操作性は、船底と船底カバーの間の水
が速やかにカバー該へ抜け出るために良好であった。2
4ヶ月間、船底及び船底カバーに水棲生物は全く付着せ
ず、船底カバーの重量も変化しなかった。
【0078】
【表2】
【0079】実施例11 実施例2で得られた平織物を船底カバーに縫製し、実施
例10と同様にして水棲生物の付着状況を観察し、その
結果を表2に示した。該船底カバーの船底への着脱操作
性は極めて良好であり、24ヶ月間、船底及び船底カバ
ーへ水棲生物は全く付着せず、船底カバーの重量も変化
しなかった。
【0080】実施例12 実施例10の方法において、密度をタテ 1500d、15本
/インチ、ヨコ 1500d、15本/インチに変更したこと
以外は、実施例10と同様の方法により、通水量50cc
/cm2・sec、目開き16メッシュの平織物を得た。この織
物における防汚剤の積算溶出量は、25℃で20.4mg
/cm3であり、15℃で9.1mg/cm3であった。これを
船底カバーに縫製し、実施例10と同様にして水棲生物
の付着状況を観察し、その結果を表2に示した。該船底
カバーの船底への着脱操作性は極めて良好であった。ま
た、12ヶ月間、船底及び船底カバーへ水棲生物は全く
付着せず、船底カバーの重量も変化しなかった。
【0081】比較例5 ポリエステルフィラメント(黒原着糸)よりなる平織物
(タテ1500d/192f、25本/インチ、ヨコ1500d/192f、25
本/インチ、通水量10cc/cm2・sec)を用いて船底カバー
を縫製し、実施例10と同様にして水棲生物の付着状況
を観察し、その結果を表2に示した。該船底カバーの船
底への着脱操作性は、当初は実施例10より良好であっ
たが、約1週間で船底カバーへ水棲生物が付着し始め、3
週間後には、船底カバーは重量増加のため着脱が不能に
なった。また、船底には2ヶ月後から水棲生物が付着し
始め、3ヶ月後には付着量が増大した。
【0082】比較例6 高密度ポリエチレンのテープヤーンからなるタテ 1500
d、8本/インチ、ヨコ1500d、8本/インチの平織物の
両面に、定密度ポリエチレンフィルム(100μm厚)を
押出しコーティングして、防水布(通水量0cc/cm2・sec)
を作成し、該防水布を用いて船底カバーを縫製し、実施
例10と同様にして水棲生物の付着状況を観察し、その
結果を表2に示した。該船底カバーの船底への着脱操作
性は極めて悪く、特に装着時には実施例10に比して5
倍の時間を要した。また、約1週間で船底カバーへ水棲
生物が付着し始め、1ヶ月後には、船底カバーは重量増
加のため着脱が不能になった。また、船底には3ヶ月後
から水棲生物が付着し始め、6ヶ月後には付着量が増大
した。
【0083】実施例13 ポリヘキサメチレンテレフタレ−ト(融点149℃、溶
融粘度1500poise)に、4,5−ジクロロ−2−n
−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを5重量
%、クレゾールノボラック樹脂(平均重合度3.6)3
重量%、アジピン酸系液状ポリエステル(アテ゛カサイサ゛ーPN-
350、凝固点−15℃、25℃での粘度10000cp、
旭電化製)2重量%、カーボンよりなる黒色顔料を0.
4重量%含有させ、二軸押出機で混練し、Tダイから吐
出して厚さ1.0mmの樹脂フィルムを作製し、幅1c
mのテ−プ状に裁断した。このテ−プを直径7mmのワ
イヤ−ロ−プに均一に1重に巻き付けた後、120℃で
5分間の熱融着処理を行った。得られたロ−プにつき、
海中(瀬戸内海)に浸漬して海棲生物の付着状況を観察し
たが、12ヶ月後においても海棲生物の付着は全く観察
されなかった。
【0084】実施例14 イソフタル酸を10モル%共重合したポリヘキサメチレ
ンテレフタレート(融点135℃、溶融粘度3500po
ise)に、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−
イソチアゾリン−3−オンを6重量%、平均分子量30
00のポリブテン(出光石油化学社製、2000H)を
6重量%含有させ、第2図に示される加圧型ダイを備え
た第3図の装置を使用して、ポリアリレートマルチフィ
ラメント(クラレ製:融点320℃、1000デニ−ル
/200フィラメント、80T/M片撚)100重量部
に対して200重量部被覆し、樹脂被覆糸を得た。次
に、該樹脂被覆糸を使用してレピア織機にて絡み織りで
経糸密度4本×2/インチ、緯糸密度4本×2/インチ
(1インチ中に2本揃えの被覆糸が4本存在する意味)
の織網を作成し、151℃で30秒加熱して経糸および
緯糸の交点を熱融着させ、網を得た。この網を海中(瀬
戸内海)に浸漬して水棲生物の付着状況を観察したが、
12ヶ月後においても水棲生物の付着は全く観察されな
かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 通水性構造物の通水量を測定する装置の該略
【図2】 樹脂被覆糸を製造する装置の加圧ダイ断面図
【図3】 樹脂被覆糸の製造工程概念図
【符号の説明】
1 円筒容器 2 給水口 3 円筒容器底部 4 開口部 5 排水口 A 通水性構造物
フロントページの続き (72)発明者 中西 慎吾 大阪市中央区平野町2丁目5番4号 クラ レトレーディング株式会社内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示される基本構造を
    有する化合物を0.1〜20重量%含有する熱可塑性樹
    脂組成物を主体として含む成形物からなる構造物であっ
    て、該成形物に水柱18cm下での通水量が1cc/cm2・sec以
    上となる開口部が存在することを特徴とする構造物。 【化1】 但し、一般式中、Yは水素原子、アルキル基、アルケニ
    ル基またはアラルキル基を示し、Rは水素原子、ハロゲ
    ン原子またはアルキル基を示し、R′は水素原子、ハロ
    ゲン原子またはアルキル基を示し、またRとR′とは結
    合してベンゼン環を形成することもある。
  2. 【請求項2】 下記一般式(1)で示される基本構造を
    有する化合物を0.1〜20重量%含有する熱可塑性樹
    脂組成物からなる繊維構造物を構成主体とする構造物で
    あって、水柱18cm下での通水量が1cc/cm2・sec以上であ
    ることを特徴とする構造物。 【化2】 但し、一般式中、Yは水素原子、アルキル基、アルケニ
    ル基またはアラルキル基を示し、Rは水素原子、ハロゲ
    ン原子またはアルキル基を示し、R′は水素原子、ハロ
    ゲン原子またはアルキル基を示し、またRとR′とは結
    合してベンゼン環を形成することもある。
  3. 【請求項3】 下記一般式(1)で示される基本構造を
    有する化合物を0.1〜20重量%含有する熱可塑性樹
    脂組成物を少なくとも一部に被覆または含浸させた繊維
    構造物を構成主体とする構造物であって、水柱18cm下で
    の通水量が1cc/cm2・sec以上であることを特徴とする構
    造物。 【化3】 但し、一般式中、Yは水素原子、アルキル基、アルケニ
    ル基またはアラルキル基を示し、Rは水素原子、ハロゲ
    ン原子またはアルキル基を示し、R′は水素原子、ハロ
    ゲン原子またはアルキル基を示し、またRとR′とは結
    合してベンゼン環を形成することもある。
  4. 【請求項4】 該熱可塑性樹脂組成物を少なくとも一部
    に被覆または含浸させた繊維構造物が樹脂被覆糸である
    請求項3に記載の構造物。
  5. 【請求項5】 該熱可塑性樹脂組成物を少なくとも一部
    に被覆または含浸させた繊維構造物が樹脂加工布である
    請求項3に記載の構造物。
  6. 【請求項6】 構造物がメッシュ織物又はメッシュ織物
    を基材とするものである請求項2乃至4のいずれか1項
    に記載の構造物。
  7. 【請求項7】 水柱18cm下での通水量が15cc/cm2・sec
    以上の水質測定センサー用カバーである請求項1乃至6
    のいずれか1項に記載の構造物。
  8. 【請求項8】 水柱18cm下での通水量が10cc/cm2・sec
    以上の海水または淡水用フィルターである請求項1乃至
    6のいずれか1項に記載の構造物。
  9. 【請求項9】 水柱18cm下での通水量が1cc/cm2・sec以
    上の船底カバーである請求項2乃至6のいずれか1項に
    記載の構造物。
  10. 【請求項10】 下記一般式(1)で示される基本構造
    を有する化合物を0.1〜20重量%含有する熱可塑性
    樹脂組成物を主体として含む成形物からなる構造物であ
    って、人工海水へ浸漬した場合、化合物(1)の初期10日
    間の積算溶出量が、該熱可塑性樹脂組成物の単位体積当
    たり、25℃において30mg/cm3以下であり、15℃に
    おいて3mg/cm3以上であることを特徴とする構造物。 【化4】 但し、一般式中、Yは水素原子、アルキル基、アルケニ
    ル基またはアラルキル基を示し、Rは水素原子、ハロゲ
    ン原子またはアルキル基を示し、R′は水素原子、ハロ
    ゲン原子またはアルキル基を示し、またRとR′とは結
    合してベンゼン環を形成することもある。
  11. 【請求項11】 下記一般式(1)で示される基本構造
    を有する化合物を0.1〜20重量%含有する熱可塑性
    樹脂組成物からなる繊維構造物を構成主体とする構造物
    であって、人工海水へ浸漬した場合、化合物(1)の初期
    10日間の積算溶出量が、該熱可塑性樹脂組成物の単位体
    積当たり、25℃において30mg/cm3以下であり、15
    ℃において3mg/cm3以上であることを特徴とする構造
    物。 【化5】 但し、一般式中、Yは水素原子、アルキル基、アルケニ
    ル基またはアラルキル基を示し、Rは水素原子、ハロゲ
    ン原子またはアルキル基を示し、R′は水素原子、ハロ
    ゲン原子またはアルキル基を示し、またRとR′とは結
    合してベンゼン環を形成することもある。
  12. 【請求項12】 下記一般式(1)で示される基本構造
    を有する化合物を0.1〜20重量%含有する熱可塑性
    樹脂組成物を少なくとも一部に被覆または含浸させた繊
    維構造物を構成主体とする構造物であって、人工海水へ
    浸漬した場合、化合物(1)の初期10日間の積算溶出量
    が、該熱可塑性樹脂組成物の単位体積当たり、25℃に
    おいて30mg/cm3以下であり、15℃において3mg/cm3
    以上であることを特徴とする構造物。 【化6】 但し、一般式中、Yは水素原子、アルキル基、アルケニ
    ル基またはアラルキル基を示し、Rは水素原子、ハロゲ
    ン原子またはアルキル基を示し、R′は水素原子、ハロ
    ゲン原子またはアルキル基を示し、またRとR′とは結
    合してベンゼン環を形成することもある。
  13. 【請求項13】 該熱可塑性樹脂組成物を少なくとも一
    部に被覆または含浸させた繊維構造物が樹脂被覆糸であ
    る請求項12に記載の構造物。
  14. 【請求項14】 該熱可塑性樹脂組成物を少なくとも一
    部に被覆または含浸させた繊維構造物が樹脂加工布であ
    る請求項12に記載の構造物。
  15. 【請求項15】 水柱18cm下での通水量が1cc/cm2・sec
    以上である請求項10乃至14のいずれか1項に記載の
    構造物。
  16. 【請求項16】 構造物がメッシュ織物又はメッシュ織
    物を基材とするものである請求項11乃至15のいずれ
    か1項に記載の構造物。
  17. 【請求項17】 水柱18cm下での通水量が15cc/cm2・s
    ec以上の水質測定センサー用カバーである請求項15ま
    たは16に記載の構造物。
  18. 【請求項18】 水柱18cm下での通水量が10cc/cm2・s
    ec以上の海水または淡水用フィルターである請求項15
    または16に記載の構造物。
  19. 【請求項19】 船底カバーである請求項15または1
    6に記載の構造物。
  20. 【請求項20】 船舶スクリューのカバーである請求項
    10乃至16のいずれか1項に記載の構造物。
  21. 【請求項21】 波力発電型灯台のカバーである請求項
    10乃至16のいずれか1項に記載の構造物。
  22. 【請求項22】 熱可塑性樹脂がテレフタル酸と、1,
    6−ヘキサンジオールからなるヘキサメチレンテレフタ
    レート単位を基本骨格とするポリエステルである請求項
    1〜21のいずれか1項に記載の構造物。
  23. 【請求項23】 熱可塑性樹脂組成物に、液状ポリオレ
    フィン、液状ポリエステル、ポリシロキサン、フェノー
    ル樹脂、フェニルフェノール樹脂、キシレノール樹脂、
    ブチルフェノール樹脂、レゾルシン樹脂、クレゾール樹
    脂及びアジン系化合物からなる群より選ばれる1種以上
    の化合物が含有されている請求項1〜22のいずれか1
    項に記載の構造物。
  24. 【請求項24】 熱可塑性樹脂組成物に液状ポリエステ
    ルとクレゾール樹脂とが含有されている請求項1〜23
    のいずれか1項に記載の構造物。
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JP2022512834A (ja) * 2018-11-01 2022-02-07 バイオファウリング テクノロジーズ,インコーポレイテッド 耐久性のあるバイオファウリング保護

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