JP2000141902A - マーキング方法およびマーク付樹脂成形体 - Google Patents

マーキング方法およびマーク付樹脂成形体

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Yoshihiko Kamimura
芳彦 神村
Hirobumi Kikuta
博文 菊田
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    • Y10S430/146—Laser beam

Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂成形体に対するエネルギー線によるマー
キング方法に関し、自由な文字や図形のマーク色が明確
に区分された複数の色調のマークを安価に施す方法を提
供することを目的とする。 【解決手段】 エネルギー線の照射により変色する充填
剤１２，１４を混合した複数の種類の樹脂を用いて成形
した基材１１，１３を組み合わせて形成された樹脂成形
体１５の表面に、エネルギー線１８を所定の強さで照射
させると基材１１，１３中の充填剤１２，１４の照射個
所が所定の変色をするため、異なる色調のマーク１６と
１７を同時に施すことができ、明確に区分された複数の
色調のマーキングが容易にできる安価なマーキング方法
およびマーク付樹脂成形体を得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光線等のエ
ネルギー線によって樹脂成形体へ文字や図形などの表示
を施すマーキング方法およびマーク付樹脂成形体に関す
るものである。
【０００２】
【従来の技術】従来のレーザ光線による樹脂成形体への
マーキング方法としては、特公昭６１−１１７７１号公
報および特公昭６２−５９６６３号公報に開示された、
レーザ光線の作用で変色する充填剤を基材の樹脂に混合
し、これを射出成形法等により成形して得られた樹脂成
形体にレーザ光線を照射して、充填剤を変色させ所望の
文字や図形のマークを施す方法や、特開昭６０−４０９
４号公報および特開平１−２６７０９２号公報に開示さ
れた、樹脂成形体表面に予め色調の異なる塗料を付着さ
せて複数層の塗膜を形成し、レーザ光線の照射により局
部的に表面層のみあるいは複数の層の塗膜を除去するこ
とにより、所望の文字や図形のマークを施す方法等があ
る。
【０００３】このような従来のマーキング方法およびマ
ーク付樹脂成形体について図５および図６を用いて説明
する。
【０００４】図５は樹脂成形体中の充填剤を変色させる
方法を説明する正面図であり、同図において、１は偏向
装置２で制御されたレーザ光線、３はレーザ光線１の作
用で変色するカーボンブラックや珪素含有染料などの充
填剤４を樹脂に混合して形成された樹脂成形体で、レー
ザ光線１が所望の文字や図形に対応して偏向制御されて
照射されることにより、樹脂成形体３中の充填剤４が色
変化を起し樹脂成形体３の表面層にマーク５を付したマ
ーク付樹脂成形体が得られるものである。
【０００５】また、図６は樹脂成形体上の塗料の塗膜を
除去する方法を説明する要部の断面図であり、同図にお
いて、１は上記と同様の偏向装置２で制御されたレーザ
光線、６は樹脂成形体で、その表面に三色の塗料が順次
塗布されて三層の塗膜７，８，９が形成されており、レ
ーザ光線１が所望の文字や図形に対応して照射位置を偏
向制御されると共に、そのエネルギー量も制御されて樹
脂成形体６の表面の塗膜７側から照射され、エネルギー
量の大きさにしたがって塗膜７、塗膜８あるいは塗膜９
が削り取られて、必要に応じて異なった色調の文字や図
形のマークを施したマーク付樹脂成形体が得られるもの
である。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
のマーキング方法およびマーク付樹脂成形体において、
レーザ光線１による樹脂成形体３の充填剤４の変色を利
用したマーキング方法では、一つの樹脂成形体３上で異
なった色調の文字や図形のマーク５を施すことができ
ず、また、樹脂成形体６の表面に予め塗膜７，８，９を
形成しておきレーザ光線１の照射により局部的に塗膜を
除去する方法においては、塗膜７，８，９の層を異なっ
た色調で多層にすることにより多彩な色調のマークの組
み合わせを行なうことが可能ではあるものの、塗装、乾
燥等の工程数が高く高価なものになるという課題があっ
た。
【０００７】本発明は、このような従来の課題を解決す
るものであり、多彩な色調のマークを安価に樹脂成形体
に施すことのできるマーキング方法およびマーク付樹脂
成形体を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、エネルギー線の照射により異なる色調に変
色する充填剤を混合した樹脂で成形加工した複数の基材
を組み合わせて形成した樹脂成形体の表面にエネルギー
線を照射して、照射個所に複数の色調のマーキングを行
なってマーク付樹脂成形体を構成するものである。
【０００９】これにより、明確に区分された複数の色調
のマークを樹脂成形体に安価に施すことができるマーキ
ング方法およびマーク付樹脂成形体を得ることができ
る。
【００１０】
【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の発明
は、エネルギー線の照射により異なる色調に変色する充
填剤を混合した樹脂で成形加工した複数の基材を組み合
わせて形成した樹脂成形体の表面にエネルギー線を照射
して、照射個所に複数の色調のマーキングを行なうマー
キング方法としたものであり、異なる充填剤を混合した
樹脂で成形された複数の基材を組み合わせた樹脂成形体
の表面に、エネルギー線を照射して種類の異なる色調の
マークを施すことができるため、明確に区分された複数
の色調のマークを樹脂成形体に安価に施すことができる
マーキング方法を得ることができるという作用を有す
る。
【００１１】請求項２に記載の発明は、請求項１記載の
発明において、エネルギー線としてＹＡＧレーザ光線を
照射するものであり、ＹＡＧレーザ光線の波長が短いた
めに樹脂成形体の表面層にエネルギーが集中され、容易
に充填剤の変色が行なえると共に、より鮮明で耐摩耗性
に優れたマークを施すことができるという作用を有す
る。
【００１２】請求項３に記載の発明は、請求項１または
２に記載の発明において、充填剤の異なる樹脂からなる
複数の基材を金型内で一体に成形して樹脂成形体を形成
するものであり、異なる充填剤を混合した複数の樹脂を
射出成形法で一体成形して樹脂成形体を形成するため、
短い製作時間で安価に複数の色調のマークを施したマー
ク付樹脂成形体を得ることができるという作用を有す
る。
【００１３】請求項４に記載の発明は、請求項１〜３の
いずれか一つに記載の発明において、充填剤が混合され
る樹脂が同一材質であるものであり、外観上の色調も含
めて同質の樹脂成形体に明確に区分された複数の色調の
マークを施すことができるという作用を有する。
【００１４】請求項５に記載の発明は、請求項１〜４の
いずれか一つに記載の発明において、樹脂成形体が熱可
塑性樹脂製であるものであり、用いる樹脂が熱可塑性で
あるため、複数の色調や複雑な形状に対応するための樹
脂成形体の材料選定の自由度が大きいという作用を有す
る。
【００１５】請求項６に記載の発明は、請求項１〜５の
いずれか一つに記載のマーキング方法を用いて表面にマ
ークが付されたマーク付樹脂成形体としたものであり、
明確に区分された複数の色調で自由な文字や図形などの
耐摩耗性の優れたマークを施したマーク付樹脂成形体を
安価に得ることができるという作用を有する。
【００１６】請求項７に記載の発明は、請求項６記載の
発明において、樹脂成形体が電子機器用キーボードのキ
ートップであるものであり、同じ形状のキートップに異
なるマークや複数の色調のマークが施された高品位で耐
摩耗性の優れたマークを施したキートップを安価に得ら
れるという作用を有する。
【００１７】以下、本発明の実施の形態について、図１
〜図３を用いて説明する。 （実施の形態）図１は本発明の一実施の形態による樹脂
成形体への複数の色調のマーキングを行なうマーキング
方法を説明する正面図であり、同図において、１１はエ
ネルギー線の照射により変色する充填剤１２を混合した
樹脂を用いて形成された基材、１３は同じくエネルギー
線の照射により充填剤１２とは異なった色調に変色する
充填剤１４を混合した樹脂を用いて形成された基材で、
基材１３の下面に設けられたボス１３Ａが基材１１の下
面の孔１１Ａに挿入され、ボス１３Ａ先端を溶着あるい
はかしめることによって基材１１と基材１３が組み合わ
され一体となって樹脂成形体１５が構成されている。
【００１８】そして、１６，１７はエネルギー線１８に
よってマーキングされた異なる色調のマーク、１９はＮ
Ｃデータでエネルギー線１８を偏向制御する偏向装置、
２０はエネルギー線源、２１は樹脂成形体１５を位置決
め支持する支持台である。
【００１９】以上の構成において、偏向装置１９の下方
の支持台２１の上に樹脂成形体１５を載せて位置決めし
た後、エネルギー線源２０から発せられたエネルギー線
１８を偏向装置１９を介して下方の樹脂成形体１５の表
面に所定の強さで照射させると、基材１１の充填剤１２
と基材１３の充填剤１４が異なる色調に変色をするた
め、色調の異なるマーク１６と１７を同時にマーキング
することができるものである。
【００２０】なお、エネルギー線１８の照射で変色をす
る充填剤１２や１４としては、レーザ光線によってガス
化するカーボンブラックやグラファイト、レーザ光線で
分解する染料や顔料を含有する珪素が知られている。
【００２１】以上のように本実施の形態によれば、樹脂
にエネルギー線の照射により異なる色調に変色する充填
剤を混合した樹脂を用いて成形された複数の基材を組み
合わせて樹脂成形体を形成し、この表面にエネルギー線
を照射して、照射個所に所定のマーキングを行なうこと
により、明確に区分された複数の色調のマークを安価に
施すことができるマーキング方法およびマーク付樹脂成
形体を得ることができる。
【００２２】そして、エネルギー線１８をＹＡＧレーザ
光線とすることにより、ＹＡＧレーザ光線の波長が短い
ために樹脂成形体１５の表面層にエネルギーが集中さ
れ、容易に充填剤１２，１４の変色を行なえると共に、
より鮮明で耐摩耗性に優れたマークを施すことができ
る。
【００２３】また、図２に示すように、異なる色調に変
色する充填剤２２，２４を夫々混合した樹脂を用いた二
材質成形法等によって基材２８，２３を金型内で一体に
成形して樹脂成形体２５を形成し、この表面にエネルギ
ー線１８を照射してマーク２６と異なる色調のマーク２
７，２７Ａをマーキングすることによって、基材２８と
２３の溶着やかしめが不要となり、短い製作時間で安価
にマーク付樹脂成形体を得ることができる。
【００２４】さらに、基材２８，２３が形成される樹脂
に色調も含めて同質のものを用いても、充填剤２２，２
４が異なる色調に変色して明確に区分されたマークを施
すことができると共に、樹脂成形体をＡＢＳ樹脂やポリ
アセタール樹脂等の熱可塑性樹脂で構成することによ
り、樹脂成形体の材料選定の自由度が大きくなるため、
容易に複数の色調や複雑な形状のマーク付樹脂成形体を
得ることができる。
【００２５】また、図３は電子機器用などに使用される
キーボードの部分斜視図であり、同図において、３１は
熱可塑性樹脂製の複数のキートップで、その操作表面に
はキートップ３１上面に付されたマーク３２、同じくマ
ーク３２と色調の異なるマーク３３、キートップ３１の
側面に付されたマーク３４等が設けられている。
【００２６】このように、本発明の方法によってキーボ
ードのキートップにマーキングを施すことにより、明確
に区分された異なった色調の鮮明で高品位な耐摩耗性の
優れた複数の文字や図形のマークを施したキートップを
安価に得ることができる。
【００２７】なお、以上の説明では二種類の基材を左右
に組み合わせたものについて説明したが、図４に示すよ
うに、基材４１と異なる色調や異なる材質の基材４２を
二材質成形法や超音波溶着によって基材４１の内部に組
み合わせて樹脂成形体４３を構成したり、さらに、この
基材４１，４２中に混合する充填剤を異なった色調に変
色させたマーク４４，４５とすることによって、多彩で
様々な色調や組み合わせを行なったマーク付樹脂成形体
を得ることができる。
【００２８】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、明確に区
分された複数の色調のマークを樹脂成形体に安価に施す
ことができるマーキング方法およびマーク付樹脂成形体
を得ることができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態による樹脂成形体へのマ
ーキング方法を説明する正面図
【図２】同樹脂成形体の要部の断面図
【図３】同キーボードの部分斜視図
【図４】同樹脂成形体の断面図
【図５】従来のマーク付樹脂成形体を説明する正面図
【図６】同他の方法による要部断面図
【符号の説明】
１１，１３，２３，２８，４１，４２ 基材 １１Ａ 孔 １３Ａ ボス １２，１４，２２，２４ 充填剤 １５，２５，４３ 樹脂成形体 １６，１７，２６，２７，２７Ａ，３２，３３，３４，
４４，４５ マーク １８ エネルギー線 １９ 偏向装置 ２０ エネルギー線源 ２１ 支持台 ３１ キートップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2H111 HA14 HA23 HA32 4F073 AA32 BA19 BA27 BA34 BA46 BB08 CA53 4J002 AA001 AA011 BN151 CB001 DA026 DA036 FD096 GQ00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 エネルギー線の照射により異なる色調に
    変色する充填剤を混合した樹脂で成形加工した複数の基
    材を組み合わせて形成した樹脂成形体の表面にエネルギ
    ー線を照射して、照射個所に複数の色調のマーキングを
    行なうマーキング方法。
  2. 【請求項２】 エネルギー線としてＹＡＧレーザ光線を
    照射する請求項１記載のマーキング方法。
  3. 【請求項３】 充填剤の異なる樹脂からなる複数の基材
    を金型内で一体に成形して樹脂成形体を形成する請求項
    １または２記載のマーキング方法。
  4. 【請求項４】 充填剤が混合される樹脂が同一材質であ
    る請求項１〜３のいずれか一つに記載のマーキング方
    法。
  5. 【請求項５】 樹脂成形体が熱可塑性樹脂製である請求
    項１〜４のいずれか一つに記載のマーキング方法。
  6. 【請求項６】 請求項１〜５のいずれか一つに記載のマ
    ーキング方法を用いて表面にマークが施されたマーク付
    樹脂成形体。
  7. 【請求項７】 樹脂成形体が電子機器用キーボードのキ
    ートップである請求項６記載のマーク付樹脂成形体。
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